第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における日本経済は、日銀の金融緩和政策により続いてきた円安が年初から円高に転じ、中国や資源国の景気減速も影響し輸出は減少いたしました。また、個人消費は、雇用・所得環境は改善したものの、消費行動に慎重さが見られ盛り上がりを欠く展開となりました。

当社グループの主たる事業である曳船事業を取り巻く状況につきましても、製造業の海外現地生産化や中国経済の減速で輸出は振るわず、コンテナ船各社の輸送効率化による運航船舶数の削減も進み、東京湾への入出港船舶数は引き続き低迷しております。

このような経済環境のなかで、当社グループは総力を上げて業績向上に努めた結果、売上高は12,593百万円となり38百万円(前期比0.3%減)の減収となりました。

一方、利益面では原油価格が年間を通じて下落基調となったことで燃料費は大幅に減少し、営業利益は前期に比べ154百万円増加し816百万円(前期比23.3%増)、経常利益は149百万円増加し1,190百万円(前期比14.4%増)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、新造船建造に伴う船舶の代替と運航船舶数削減により曳船の売却益(固定資産売却益)が増加し983百万円(前期比14.8%増)となりました。

セグメント別の業績を示すと、次のとおりです。

曳船事業

曳船事業は、横浜川崎地区の作業対象船舶は、タンカーは増加したものの平成27年8月からの強制水先制度の規制緩和の影響を受けコンテナ船を中心に減少し、さらに鉱石船やバルカー船も減少いたしました。また、燃料油価格の下落により燃料油価格調整金の適用水準が下がったこともあり減収となりました。東京地区では特別作業の増加で増収となりました。横須賀地区では、エスコート対象船舶のコンテナ船、LNG船、鉱石船等の入湾数が減少したことが響き減収となりました。千葉地区では、横浜川崎地区同様に燃料油価格調整金の適用水準が下がったことに加え、LNG船、鉱石船、穀物船等の入港数が減少し減収となりました。

また、その他部門では第4四半期から千葉県銚子沖洋上風力発電実証研究事業向けの交通船の運航開始がありましたが、曳船事業セグメント全体の売上高は133百万円減少し9,085百万円(前期比1.4%減)となりました。

次に利益面では、営業費用のうち人件費は増加しましたが燃料費が大幅に減少し、営業利益は89百万円増加し797百万円(前期比12.7%増)となりました。

旅客船事業

旅客船事業は、横浜港における観光船部門では、ゴールデンウィークやシルバーウィークが好天に恵まれたことや、レストラン船や観光船での新企画が奏功し増収となりました。

久里浜・金谷間を結ぶカーフェリー部門では、売上高はほぼ横ばいとなりました。

この結果、旅客船事業セグメントの売上高は99百万円増加し2,630百万円(前期比4.0%増)となりました。利益面では、燃料油価格の下落に加えカーフェリー部門での平日減便実施により燃料費は大幅に減少したものの退職給付費用や修繕費が増加し、営業利益は3百万円(前期は56百万円の営業損失)となりました。

売店・食堂事業

売店・食堂事業は、旗艦店の金谷センターで団体客の利用に陰りが見られ低迷いたしましたが、物販が好調であったことで売上高は前期に比べ微減の878百万円(前期比0.5%減)となり、営業利益は前期に比べ4百万円増加し15百万円(前期比42.0%増)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ591百万円増加して3,654百万円となりました。

当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ資金取得は341百万円増加し1,964百万円の資金増となりました。資金の増加した主な要因は、税金等調整前当期純利益が1,445百万円、減価償却費が1,050百万円、法人税等の支払額が395百万円発生したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ資金支出は298百万円減少し1,058百万円の資金減となりました。資金の減少した主な要因は、船舶の設備更新により有形固定資産売却による収入が310百万円ありましたが、有形固定資産取得による支出が1,411百万円発生したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ資金支出は72百万円増加し314百万円の資金減となりました。資金の減少した主な要因は、短期及び長期借入金を87百万円返済し、配当金の支払額が218百万円発生したことによるものです。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループ(当社及び連結子会社)の営業形態はサービス業であるため、生産、受注及び販売の状況については、「1  業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しております。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社は、グループの中核である曳船事業において東京湾全域に亘って、船舶の安全航行をサポートし、海難事故へ即応することにより海上交通効率化ならびに海洋環境保全への貢献といった公共的役割を果たしていきます。

具体的には、浦賀水道・中ノ瀬航路における船舶のエスコート業務(前方および側方警戒)、東京湾各港における船舶の離着桟補助業務、LNGバース等での警戒船業務、防災業務、緊急出動・海難救助など、顧客のあらゆる曳船サービスニーズに常時迅速に応えていきます。また、東京湾内の交通船、東京湾口の水先艇運航業務等を展開することによりシナジー効果を高め、総合的なマリンサービス提供会社として港湾の円滑な運営に資してまいります。

また、東京湾外でも国内外において、既存事業のノウハウを活用・拡大でき当社の使命に合致した海事関連分野での事業展開にも注力していきます。

当社は、曳船作業効率化と企業の環境パフォーマンス向上のために、最新テクノロジーを取り入れた新型曳船の開発と導入を継続的に行っていく方針です。

旅客船事業としては、神奈川県・久里浜と千葉県・金谷を結ぶカーフェリー事業、ならびに横浜港における港湾施設及びウォーターフロントの紹介を行う観光船事業を行っており、市民や観光客に対する利便を提供しております。顧客のニーズに合った良質なサービスを安定的に供給していくことが重要と考えております。

今後共こうした事業を基軸として、海運関係者、一般顧客および社会に貢献する企業グループを目指していきます。

 

上記の経営方針に基づいた対処すべき課題は、以下のとおりと考えております。

(1) 会社の対処すべき課題

曳船事業

①  曳船運航定員の削減他の諸施策による運航コスト低減化

②  曳船乗組員の教育訓練の高度化による技能継承

③  曳船作業の効率化と環境負荷低減を目的とした最新鋭曳船の開発・建造

④  曳船事業の国内外での新規プロジェクトの開拓

旅客船事業

①  (カーフェリー部門)地元自治体との連携による新規の観光需要の取り込みと低コスト運航を可能とする新規船隊の整備

②  (観光船部門)営業強化による横浜への国内外からの観光需要の取り込みと新規船隊の整備

新規事業

洋上風力発電交通船等の新規海事産業分野での事業推進

(2) 社会的責任を意識した経営

当社は、より安全で効率的な曳船サービスを提供していくために総合的な品質管理システムの運用を強化していきます。また、社会的な責任として環境マネージメントシステムに基づいた企業経営を行っていきます。これらに加え労働安全や健康に最大限配慮していくことも含め、高いHSE基準を確立し充足していきます。

当社のグループとしての内部統制システムは、財務報告の信頼性確保を目的とするのみならず業務の有効化・効率化、リスクマネージメントを組み込んだ体制とし、同時に公正かつ透明な企業行動のためのコンプライアンス体制と一体となるものとしていきます。

これらの諸施策を実施し、海運関係者、一般顧客および社会から信頼される企業グループ経営を行うことにより株主の利益に最大限貢献したいと考えております。

(3) 連結経営

当社グループは、連結ベースでの経営効率の向上ならびに事業競争力の強化に努め、各社がそれぞれ有する経営資源をグループ全体として共有するなど、グループレベルでの収益力の強化を図っていきます。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループが事業を継続していく上で、今後影響を与える可能性のあるリスクにつき、以下に記載いたします。

 

①  燃料油・原材料価格変動リスク及び調達リスク

当社グループの事業は、曳船部門・旅客船部門が燃料油を使用しており、この価格は原油市場の動向に左右されます。原油価格高騰により収益が圧迫されるリスクと燃料油の供給自体のストップにより運航に支障をきたす恐れがあります。また、鋼材の値上げにより新船の建造価額に影響が出ることもあります。

②  海難事故リスク

曳船事業では、海上災害の予防と海難事故の際の出動は当社の本来の業務でありますが、当社曳船が物理的破損や人的被害を被るリスクがあります。また、当社自体の曳船運航が海難事故の要因となり責任が問われるリスクがあります。これらは即ち、衝突や岸壁破損等のリスク、燃料油・原油流出による海洋汚染リスク、危険物を扱う船舶での業務に伴う海上災害リスク等です。

カーフェリーや観光船事業においては人命にかかわる事故や海洋汚染リスクを抱えております。

③  市場環境の変化のリスク

曳船事業では、当社自身のコントロールの効かない外部環境の変化による売上高減少のリスクがあります。即ち、景気動向や自然災害等を要因とした日本経済低迷による日本の港湾への入出港船舶数の減少、サイドスラスター装備船増加などによる曳船作業数の減少リスクです。また、強制水先規制の緩和をはじめとする船舶運航関連の諸規制の変更に伴う曳船使用の減少リスクがあります。

 

これらリスク要因が当社グループの先行きの業績に影響を与える可能性があります。但し、悪影響を与えうる要素は上記に限定されるものではありません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループの財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における当社グループが判断したものであります。

(1) 当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、主たる事業である曳船事業では、製造業の海外現地生産化や中国経済の減速で輸出は振るわず、コンテナ船各社の輸送効率化による運航船舶数の削減も進み、東京湾への入出港船舶数は引き続き低迷しております。

また、平成27年8月からの強制水先制度の規制緩和や燃料油価格調整金の適用水準が下がったことも影響し売上高は前期に比べ減収となりました。

旅客船事業では、久里浜・金谷間を結ぶカーフェリー部門では、売上高はほぼ横ばいでありましたが、横浜港における観光船部門では、ゴールデンウィークやシルバーウィークが好天に恵まれたことや、レストラン船や観光船での新企画が奏功し増収となりました。

売店・食堂事業では、旗艦店の金谷センターで団体客の利用に陰りが見られ低迷いたしましたが、土産品の物販が好調であったことで売上高は微減となりました。

この結果、グループ全体の売上高は12,593百万円となり38百万円(前期比0.3%減)の減収となりました。

利益面では、人件費のちで退職給付費用が増加しましたが原油価格が年間を通じて下落基調となったことで燃料費が大幅に減少し、営業利益は816百万円(前期比23.3%増)、経常利益は1,190百万円(14.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は固定資産売却益が増加し983百万円(前期比14.8%増)となりました。

(2) 財政状態ならびにキャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ、720百万円増加し25,504百万円となりました。これは主に、現金及び預金が1,471百万円増加し、設備投資により船舶勘定が342百万円増加しましたが、長期預金の解約が900百万円発生したことや投資有価証券の期末時価評価により161百万円減少したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べ、223百万円増加し6,035百万円となりました。これは、主に短期及び長期借入金の返済が進み87百万円減少しましたが、退職給付に係る負債が305百万円増加したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ、496百万円増加し19,469百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益が983百万円となり、剰余金の配当を218百万円実施したことで利益剰余金が764百万円増加しましたが、その他有価証券評価差額金が111百万円減少し退職給付債務に係る調整累計額が157百万円減少したことによるものです。

連結キャッシュ・フローの状況とそれらの要因についての分析は、「第2事業の状況  1業績等の概要  (2)キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。

(3) 経営戦略の現状、問題認識と今後の方針について

①  曳船事業

曳船運航定員の削減他の諸施策による運航コスト低減を図ります。また、曳船サービスの総合的な品質管理システムの運用を強化するとともに、曳船乗組員の教育訓練の充実による技能の継承・向上に取組みます。

さらに、既存事業のノウハウを活用した収益性の高い新規事業の展開を目指します。特に、洋上風力発電向け交通船事業については、今後とも実践・研究を重ね発展させてまいります。

②  旅客船事業

カーフェリー部門において、地元自治体との連携による新規の観光需要の取り込みと新規船隊整備を図り、運航コスト低減と顧客数増加による売上の拡大を目指します。

観光船部門では、新規企画を中心に積極的な営業展開を行い国内外からの観光需要を取り込み、新規船隊整備を図り顧客数増加による売上の拡大を目指します。