第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における日本経済は、平成28年の年初からの円高基調が秋口から円安に転じ、米国経済の景気拡大もあり、輸出関連企業を中心に業績は回復基調となりました。一方、雇用・所得環境は改善したものの、海外情勢の不確実性の高まりから個人消費は力強さに欠け、景気の先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループの主たる事業である曳船事業を取り巻く状況につきましては、国内の消費低迷や中国や資源国の景気停滞により輸出入は伸び悩み、東京湾への入出港船舶数は減少傾向が続いております。

このような経済環境のなかで、当社グループは総力を上げて業績向上に努めましたが、売上高は前期に比べ187百万円減収の12,405百万円(前期比1.5%減)となりました。

利益面では、売上高の減収に加え人件費や減価償却費等の固定費も増加しましたが、原油価格が第3四半期まで下落基調が続いたことで燃料費は大幅に減少し、営業利益は828百万円(前期比1.5%増)となりました。経常利益は、持分法による投資利益が減少したことを受け1,146百万円(前期比3.7%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、曳船の売却益(固定資産売却益)が41百万円増加し、989百万円(前期比0.6%増)となりました。

セグメント別の業績を示すと、次のとおりです。

曳船事業

曳船事業は、横浜川崎地区では、平成27年8月からの強制水先制度の規制緩和の影響を受けコンテナ船を中心に作業対象船舶は減少し、さらに、完成自動車の輸出低迷で自動車専用船の入出港数も減少いたしました。また、燃料油価格の下落により燃料油価格調整金の適用水準が下がったこともあり減収となりました。東京地区では、コンテナ船の入出港数は前期とほぼ同水準となりました。横須賀地区では、エスコート対象船舶のコンテナ船は底打ち感が見え始めましたが、LNG船、タンカーの入湾数が減少したことが響き減収となりました。千葉地区では、横浜川崎地区同様に燃料油価格調整金の適用水準が下がったことに加え、LNG船、穀物船の入港数が減少し減収となりました。

また、その他部門では前期第4四半期から始まった千葉県銚子沖洋上風力発電実証研究事業向けの交通船が年間を通じて売上高に寄与しましたが、曳船事業セグメント全体の売上高は123百万円減少し8,961百万円(前期比1.4%減)となりました。

次に利益面では、営業費用のうち燃料費が大幅に減少しましたが、曳船部門での売上減に加え人件費の増加もあり、営業利益は6百万円減少し790百万円(前期比0.9%減)となりました。

旅客船事業

旅客船事業は、横浜港における観光船部門では、4月後半からゴールデンウィークにかけての荒天や、8月から9月にかけての度重なる台風の到来が響き減収となり、クリスマスクルーズや年末年始の各種イベントは堅調に推移しましたが、前半の落ち込みを挽回するまでには至りませんでした。

久里浜・金谷間を結ぶカーフェリー部門では、前半は天候不順の影響を受け減収となりましたが、秋口以降千葉県の観光スポット「濃溝の滝」が注目を集め、バスツアー客が増加傾向となり売上高は前期とほぼ同水準まで回復いたしました。

この結果、旅客船事業セグメントの売上高は55百万円減少し2,574百万円(前期比2.1%減)となりました。

利益面では、人件費が退職給付費用を中心に減少したことに加え、燃料費や修繕費も減少し、営業利益は前期に比べ17百万円増加し20百万円となりました。

売店・食堂事業

売店・食堂事業は、旗艦店の金谷センターで、旅客船事業同様に天候不順による影響で前半に落ち込んでいた食堂利用客が新企画商品の投入効果で11月以降は堅調に推移し、売上高は前期とほぼ同水準まで回復し869百万円(前期比1.0%減)、営業利益は17百万円(前期比14.5%増)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ46百万円減少し3,608百万円となりました。

当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、資金取得は前連結会計年度に比べ114百万円増加し2,078百万円の資金増となりました。資金の増加した主な要因は、税金等調整前当期純利益が1,463百万円、減価償却費が1,084百万円となり、法人税等の支払額が466百万円発生したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、資金支出は前連結会計年度に比べ720百万円増加し1,779百万円の資金減となりました。資金の減少した主な要因は、設備更新(船舶の代替)により有形固定資産の売却による収入が445百万円、有形固定資産の取得による支出が1,191百万円発生したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、資金支出は前連結会計年度に比べ31百万円増加し345百万円の資金減となりました。資金の減少した主な要因は、長期借入金を71百万円返済し、配当金の支払額が268百万円発生したことによるものです。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループ(当社及び連結子会社)の営業形態はサービス業であるため、生産、受注及び販売の状況については、「1  業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しております。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社は、グループの中核である曳船事業において東京湾全域に亘って、船舶の安全航行をサポートし、海難事故へ即応することにより海上交通効率化ならびに海洋環境保全への貢献といった公共的役割を果たしていきます。

具体的には、浦賀水道・中ノ瀬航路における船舶のエスコート業務(前方および側方警戒)、東京湾各港における船舶の離着桟補助業務、LNGバース等での警戒船業務、防災業務、緊急出動・海難救助など、顧客のあらゆる曳船サービスニーズに常時迅速に応えていきます。また、東京湾内の交通船、東京湾口の水先艇運航業務等を展開することによりシナジー効果を高め、総合的なマリンサービス提供会社として港湾の円滑な運営に資してまいります。

また、東京湾外でも国内外において、既存事業のノウハウを活用・拡大でき当社の使命に合致した海事関連分野での事業展開にも注力していきます。

当社は、曳船作業効率化と企業の環境パフォーマンス向上のために、最新テクノロジーを取り入れた新型曳船の開発と導入を継続的に行っていく方針です。

旅客船事業としては、神奈川県・久里浜と千葉県・金谷を結ぶカーフェリー事業、ならびに横浜港における港湾施設及びウォーターフロントの紹介を行う観光船事業を行っており、市民や観光客に対する利便を提供しております。顧客のニーズに合った良質なサービスを安定的に供給していくことが重要と考えております。

今後共こうした事業を基軸として、海運関係者、一般顧客および社会に貢献する企業グループを目指していきます。

 

上記の経営方針に基づいた対処すべき課題は、以下のとおりと考えております。

(1) 会社の対処すべき課題

曳船事業

①  曳船運航定員の削減他の諸施策による運航コスト低減化

②  曳船乗組員の教育訓練の高度化による技能継承

③  曳船作業の効率化と環境負荷低減を目的とした最新鋭曳船の開発・建造

④  曳船事業の国内外での新規プロジェクトの開拓

旅客船事業

①  (カーフェリー部門)地元自治体との連携による新規の観光需要の取り込みと低コスト運航を可能とする新規船隊の整備

②  (観光船部門)営業強化による横浜への国内外からの観光需要の取り込みと新規船隊の整備

新規事業

洋上風力発電交通船等の新規海事産業分野での事業推進

(2) 社会的責任を意識した経営

当社は、より安全で効率的な曳船サービスを提供していくために総合的な品質管理システムの運用を強化していきます。また、社会的な責任として環境マネージメントシステムに基づいた企業経営を行っていきます。これらに加え労働安全や健康に最大限配慮していくことも含め、高いHSE基準を確立し充足していきます。

当社のグループとしての内部統制システムは、財務報告の信頼性確保を目的とするのみならず業務の有効化・効率化、リスクマネージメントを組み込んだ体制とし、同時に公正かつ透明な企業行動のためのコンプライアンス体制と一体となるものとしていきます。

これらの諸施策を実施し、海運関係者、一般顧客および社会から信頼される企業グループ経営を行うことにより株主の利益に最大限貢献したいと考えております。

(3) 目標とする経営指標等

当社グループは、連結ベースでの経営効率の向上ならびに事業競争力の強化に努め、各社がそれぞれ有する経営資源をグループ全体として共有するなど、グループレベルでの収益力の強化を図っていきます。

当社グループの事業は、償却費や船員費用などの固定費比率が高いため、設備稼働率の向上が課題であります。そのために総売上高が重要であるとともに、適正な船隊規模を確保する観点から船舶一隻当たりの売上高も重視しています。

また、収益性を確保する見地から売上高営業利益率や売上高当期純利益率などの改善を目標としており、運航コスト削減や作業単価改善(曳船事業の場合)のための諸施策を実施していきます。

さらに、資本効率面でも、余剰資金を新規のプロジェクトや成長分野の事業へ投資することにより総資産利益率、自己資本利益率の改善を目指します。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループが事業を継続していく上で、今後影響を与える可能性のあるリスクにつき、以下に記載いたします。

 

①  燃料油・原材料価格変動リスク及び調達リスク

当社グループの事業は、曳船部門・旅客船部門が燃料油を使用しており、この価格は原油市場の動向に左右されます。原油価格高騰により収益が圧迫されるリスクと燃料油の供給自体のストップにより運航に支障をきたす恐れがあります。また、鋼材の値上げにより新船の建造価額に影響が出ることもあります。

②  海難事故リスク

曳船事業では、海上災害の予防と海難事故の際の出動は当社の本来の業務でありますが、当社曳船が物理的破損や人的被害を被るリスクがあります。また、当社自体の曳船運航が海難事故の要因となり責任が問われるリスクがあります。これらは即ち、衝突や岸壁破損等のリスク、燃料油・原油流出による海洋汚染リスク、危険物を扱う船舶での業務に伴う海上災害リスク等です。

カーフェリーや観光船事業においては人命にかかわる事故や海洋汚染リスクを抱えております。

③  市場環境の変化のリスク

曳船事業では、当社自身のコントロールの効かない外部環境の変化による売上高減少のリスクがあります。即ち、景気動向や自然災害等を要因とした日本経済低迷による日本の港湾への入出港船舶数の減少、サイドスラスター装備船増加などによる曳船作業数の減少リスクです。また、強制水先規制の緩和をはじめとする船舶運航関連の諸規制の変更に伴う曳船使用の減少リスクがあります。

 

これらリスク要因が当社グループの先行きの業績に影響を与える可能性があります。但し、悪影響を与えうる要素は上記に限定されるものではありません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループの財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における当社グループが判断したものであります。

(1) 当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、主たる事業である曳船事業では、国内の消費低迷や中国や資源国の景気停滞により輸出入は伸び悩み、東京湾への入出港船舶数は減少傾向が続いております。

また、平成27年8月からの強制水先制度の規制緩和や燃料油価格調整金の適用水準が下がったことに加え、完成自動車の輸出低迷で自動車専用船の入出港数も減少し売上高は前期に比べ減収となりました。

旅客船事業では、横浜港における観光船部門では、4月後半からゴールデンウィークにかけての荒天や、8月から9月にかけての度重なる台風の到来が響き減収となり、クリスマスクルーズや年末年始の各種イベントは堅調に推移しましたが、前半の落ち込みを挽回するまでには至りませんでした。

久里浜・金谷間を結ぶカーフェリー部門では、前半は天候不順の影響を受け減収となりましたが、秋口以降千葉県の観光スポット「濃溝の滝」が注目を集め、バスツアー客が増加傾向となり売上高は前期とほぼ同水準まで回復いたしました。

売店・食堂事業では、旗艦店の金谷センターで、旅客船事業同様に天候不順による影響で前半に落ち込んでいた食堂利用客が新企画商品の投入効果で11月以降は堅調に推移し、売上高は前期とほぼ同水準まで回復いたしました。

この結果、グループ全体の売上高は12,405百万円となり187百万円(前期比1.5%減)の減収となりました。

利益面では、売上高の減収に加え人件費や減価償却費等の固定費も増加しましたが、原油価格が第3四半期まで下落基調が続いたことで燃料費は大幅に減少し、営業利益は828百万円(前期比1.5%増)となりました。経常利益は、持分法による投資利益が減少したことを受け1,146百万円(前期比3.7%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、曳船の売却益(固定資産売却益)が41百万円増加し、989百万円(前期比0.6%増)となりました。

(2) 財政状態ならびにキャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ、941百万円増加し26,445百万円となりました。

流動資産の部では、現金及び預金が長期預金の満期による解約や一年以内の定期預金への振替で600百万円増加したことを含め1,553百万円増加し、固定資産の部では、投資有価証券が185百万円増加いたしました。

負債は、前連結会計年度末に比べ、42百万円増加し6,077百万円となりました。流動負債の部では、支払手形及び買掛金が92百万円増加し、未払法人税等が50百万円減少し、固定負債の部では、長期借入金が72百万円減少しましたが、退職給付に係る負債が45百万円、繰延税金負債が55百万円増加いたしました。

純資産は、前連結会計年度末に比べ、898百万円増加し20,367百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益が989百万円となり、剰余金の配当を268百万円実施したことで利益剰余金が720百万円増加し、その他有価証券評価差額金が134百万円増加したことによるものです。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の73.4%から73.9%と0.5ポイント増加いたしました。

連結キャッシュ・フローの状況とそれらの要因についての分析は、「第2事業の状況  1業績等の概要  (2)キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。