第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社は、グループの中核である曳船事業において東京湾全域に亘って、船舶の安全航行をサポートし、海難事故へ即応することにより海上交通効率化ならびに海洋環境保全への貢献といった公共的役割を果たしていきます。

具体的には、浦賀水道・中ノ瀬航路における船舶のエスコート業務(前方および側方警戒)、東京湾各港における船舶の離着桟補助業務、LNGバース等での警戒船業務、防災業務、緊急出動・海難救助など、顧客のあらゆる曳船サービスニーズに常時迅速に応えていきます。また、東京湾内の交通船、東京湾口の水先艇運航業務等を展開することによりシナジー効果を高め、総合的なマリンサービス提供会社として港湾の円滑な運営に資してまいります。

また、東京湾外でも国内外において、既存事業のノウハウを活用・拡大でき当社の使命に合致した海事関連分野での事業展開にも注力していきます。

当社は、曳船作業効率化と企業の環境パフォーマンス向上のために、最新テクノロジーを取り入れた新型曳船の開発と導入を継続的に行っていく方針です。

旅客船事業としては、神奈川県・久里浜と千葉県・金谷を結ぶカーフェリー事業、ならびに横浜港における港湾施設およびウォーターフロントの紹介を行う観光船事業を行っており、市民や観光客に対する利便を提供しております。顧客のニーズに合った良質なサービスを安定的に供給していくことが重要と考えております。

今後ともこうした事業を基軸として、海運関係者、一般顧客および社会に貢献する企業グループを目指していきます。

 

上記の経営方針に基づいた対処すべき課題は、以下のとおりと考えております。

(1) 会社の対処すべき課題

曳船事業

①  曳船運航定員の削減他の諸施策による運航コスト低減化

②  曳船乗組員の教育訓練の高度化による技能継承

③  曳船作業の効率化と環境負荷低減を目的とした最新曳船の開発・建造

④ IT高度化とデジタル化を推進し、各業務プロセスの一体的な効率化と有効化

⑤  曳船事業の国内外での新規プロジェクトの開拓

旅客船事業

①  (カーフェリー部門)地元自治体との連携による新規の観光需要の取り込みと低コスト運航を可能とする新規船隊の整備

②  (観光船部門)営業強化による横浜への国内外からの観光需要の取り込みと新規船隊の整備

新規事業

洋上風力発電交通船等の新規海事産業分野での事業推進

(2) 社会的責任を意識した経営

当社は、より安全で効率的な曳船サービスを提供していくために総合的な品質管理システムの運用を強化していきます。また、社会的な責任として環境マネージメントシステムに基づいた企業経営を行っていきます。これらに加え労働安全や健康に最大限配慮していくことも含め、高いHSE基準を確立し充足していきます。

当社のグループとしての内部統制システムは、財務報告の信頼性確保を目的とするのみならず業務の有効化・効率化、リスクマネージメントを組み込んだ体制とし、同時に公正かつ透明な企業行動のためのコンプライアンス体制と一体となるものとしていきます。

これらの諸施策を実施し、海運関係者、一般顧客および社会から信頼される企業グループ経営を行うことにより株主の利益に最大限貢献したいと考えております。

(3) 目標とする経営指標等

当社グループは、連結ベースでの経営効率の向上ならびに事業競争力の強化に努め、各社がそれぞれ有する経営資源をグループ全体として共有するなど、グループレベルでの収益力の強化を図っていきます。

当社グループの事業は、減価償却費や船員費用などの固定費比率が高いため、設備稼働率の向上が課題であります。そのため、総売上高が重要であるとともに、適正な船隊規模を確保する観点から船舶一隻当たりの売上高も重視しています。

また、収益性を確保する見地から売上高営業利益率や売上高当期純利益率などの改善を目標としており、運航コスト削減や作業単価改善(曳船事業の場合)のための諸施策を実施していきます。

さらに、資本効率面でも、余剰資金を新規のプロジェクトや成長分野の事業へ投資することにより総資産利益率、自己資本利益率の改善を目指します。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループが事業を継続していく上で、今後影響を与える可能性のあるリスクにつき、以下に記載いたします。

 

①  燃料油・原材料価格変動リスクおよび調達リスク

当社グループの事業は、曳船部門・旅客船部門が燃料油を使用しており、この価格は原油市場の動向に左右されます。原油価格高騰により収益が圧迫されるリスクと燃料油の供給自体のストップにより運航に支障をきたす恐れがあります。また、鋼材の値上げにより新船の建造価額に影響が出ることもあります。

②  海難事故リスク

曳船事業では、海上災害の予防と海難事故の際の出動は当社の本来の業務でありますが、当社曳船が物理的破損や人的被害を被るリスクがあります。また、当社自体の曳船運航が海難事故の要因となり責任が問われるリスクがあります。これらは即ち、衝突や岸壁破損等のリスク、燃料油・原油流出による海洋汚染リスク、危険物を扱う船舶での業務に伴う海上災害リスク等です。

カーフェリーや観光船においては人命にかかわる事故や海洋汚染リスクを抱えております。

③  市場環境の変化のリスク

曳船事業では、当社自身のコントロールの効かない外部環境の変化による売上高減少のリスクがあります。即ち、景気動向や自然災害等を要因とした日本経済低迷による日本の港湾への入出港船舶数の減少、サイドスラスター装備船増加などによる曳船作業数の減少リスクです。また、強制水先規制の緩和をはじめとする船舶運航関連の諸規制の変更に伴う曳船使用の減少リスクがあります。

 

これらリスク要因が当社グループの先行きの業績に影響を与える可能性があります。但し、悪影響を与えうる要素は上記に限定されるものではありません。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、世界的な景気拡大を背景に企業業績は堅調に推移し、個人消費も雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調となりました。

当社グループの主たる事業である曳船事業を取り巻く状況につきましては、第2四半期以降増加傾向を示していた東京湾への入出港船舶数が年初から弱含みに転じております。

このような経済環境のなかで、当社グループは総力を挙げて業績向上に努め、売上高は前期に比べ432百万円増収の12,713百万円(前期比3.5%増)となりました。

利益面では、原油価格が昨年の年初から上昇し燃料費は大幅に増加しましたが、増収効果により営業利益は883百万円(前期比37.8%増)となり、経常利益は1,255百万円(前期比24.0%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、曳船の売却益(固定資産売却益)が前期に比べ193百万円増加したこともあり、1,006百万円(前期比65.1%増)となりました。 

セグメント別の業績を示すと、次のとおりです。

曳船事業

曳船事業は、横浜川崎地区では、鉱石船やバルカー船の入出港数は減少となりましたが、タンカーやLPG船等の危険物積載船への作業数の増加に加え、燃料油価格の上昇を受け、適用される燃料油価格調整金が増加したこともあり増収となりました。東京地区では、コンテナ船の入出港数が増加したうえに適用される燃料油価格調整金の増加もあり増収となりました。横須賀地区では、特殊海難救助作業の発生に加えハーバータグ作業も増加し増収となりました。また、千葉地区では、大型タンカーの入港数が増加し、造船所作業や特殊警戒作業もあり増収となりました。

また、その他部門では北九州響灘沖洋上風力発電実証研究事業向けの交通船の運航が10月から開始され増収となりました。 

この結果、曳船事業セグメント全体の売上高は433百万円増加し9,383百万円(前期比4.8%増)となりました。

次に利益面では、営業費用のうち燃料費や用船料が増加しましたが、営業利益は各地区の増収効果により240百万円増加し930百万円(前期比34.8%増)となりました。

旅客船事業

旅客船事業は、横浜港における観光船部門では、上半期の不安定な天候に左右され利用客が低迷しておりましたが、秋口以降は安定した天候が続き主力のレストラン船が増収となりました。

久里浜・金谷間を結ぶカーフェリー部門では、秋口以降は安定した天候で利用客は増加したものの、上半期の悪天候の影響に加え昨年好調であったバスツアー団体客の減少が響き、さらに2月に入り強風による欠航も重なり減収となりました。

この結果、旅客船事業セグメントの売上高は47百万円増加し2,558百万円(前期比1.9%増)となりました。

一方利益面では、燃料費や修繕費の増加が響き38百万円の営業損失(前期は50百万円の営業損失)となりました。

売店・食堂事業

売店・食堂事業は、旗艦店の金谷センターで新企画商品を投入し増収を図りましたが、旅客船事業同様にバスツアー団体客の利用低迷が響き、売上高は771百万円(前期比5.9%減)となり7百万円の営業損失(前期は1百万円の営業利益)となりました。

 

 

②財政状態の概況

資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ833百万円増加し27,803百万円となりました。

流動資産の部では、売掛金が185百万円増加しその他流動資産が213百万円増加いたしました。固定資産の部では、船舶が531百万円増加し関係会社株式が61百万円増加いたしました。

負債は、前連結会計年度末に比べ44百万円増加し6,324百万円となりました。流動負債の部では、未払法人税等が89百万円増加いたしました。固定負債の部では、長期借入金が133百万円減少しましたが、退職給付に係る負債が70百万円増加いたしました。

純資産は、前連結会計年度末に比べ、788百万円増加し21,478百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益が1,006百万円となり、剰余金の配当を198百万円実施したことで利益剰余金が807百万円増加したことによるものです。 

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の73.4%から73.7%と0.3ポイント増加いたしました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,052百万円減少し2,574百万円となりました。

当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、資金取得は前連結会計年度に比べ86百万円減少し1,529百万円となりました。資金収支の主な内訳は、税金等調整前当期純利益が1,579百万円、減価償却費が1,103百万円となり、法人税等の支払額が345百万円発生したことです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、資金支出は前連結会計年度に比べ795百万円増加し2,234百万円となりました。資金収支の主な内訳は、設備更新(船舶の代替)により有形固定資産売却による収入が498百万円となったものの有形固定資産取得による支出が1,590百万円発生したこと、預入期間が3カ月を超える定期預金が純額で1,100百万円増加したことです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、資金支出は前連結会計年度に比べ190百万円増加し347百万円となりました。資金収支の主な内訳は、長期借入金を133百万円返済したこと、配当金の支払額が198百万円発生したことです。

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点における当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に係る会計方針および見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

A.経営成績

(売上高)

曳船事業において、横浜川崎地区では作業対象船舶のうち鉱石船やバルカー船の入出港数が落ち込みましたが、コンテナ船の入出港数が回復傾向となり、大型危険物船の作業数が増加し増収となりました。東京地区でも同様にコンテナ船の入出港数が増加しました。横須賀地区では湾口水先艇の乗下船作業やエスコート作業が減少となりましたが、特殊海難救助作業が発生し増収となりました。千葉地区では上半期低調であった大型タンカーの入港数が9月以降増加傾向となり、特殊作業等の発生もあり増収となりました。

旅客船事業では、横浜港の観光船部門で夏場の天候不順や秋口にかけての相次ぐ台風の到来により、上半期は減収を余儀なくされましたが、秋口以降は安定した天候に恵まれたうえに年末年始も堅調に推移したことで主力のレストラン船が増収となりました。
 久里浜・金谷のカーフェリー部門と売店・食堂事業では、昨年好調であった団体バスツアーの利用客が大きく落ち込み、さらに2月以降の強風等で悪影響を受け減収となりました。
 当社グループ全体の売上高は、432百万円の増収となり12,713百万円(前期比3.5%増)となりました。

(営業利益)

営業利益は、昨年の初めから原油価格の上昇が続き、連結グループ全体で燃料費が大幅に増加した影響を主因として売上原価が250百万円増加しましたが、曳船事業の増収効果が奏功し前期に比べ242百万円増益の883百万円(前期比37.8%増)となりました。

(経常利益)

経常利益は、持分法投資利益が275百万円となったことが寄与し1,255百万円(前期比24.0%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、曳船3隻の設備更新により自社船2隻及び共有船1隻の売却により固定資産売却益が323百万円となり1,006百万円(前期比65.1%増)となりました。

B.財政状態

財政状態につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

④資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、営業原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、主要な設備であります曳船の設備更新によるものです。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入金を基本としております。

重要な設備投資等の予定及びその資金調達方法については、「第3 設備の状況 3.設備の新設、除却等の計画」に記載しております。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

当社グループは、経営者の問題意識と今後の方針として、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

⑥次期の見通しについて

今後の見通しにつきましては、主力の曳船事業では、米中の貿易摩擦や英国のEU離脱による世界経済への悪影響など不透明な事業環境が続き下振れリスクが予想されます。

旅客船事業では、国内景気は雇用・所得環境の改善が進み、個人消費は緩やかに回復傾向で推移することが予想されるものの、10月に実施される消費増税が個人消費に与える影響が懸念されます。

また費用面では、イラン原油の輸入停止や産油国の政情不安による原油価格への影響、また船舶燃料油のSOX規制等による燃料油価格の上昇懸念があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

特記事項はありません。