第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループの事業基盤である伏木港、伏木外港万葉埠頭、富山新港は、環日本海経済圏の中心に立地しており、地理的優位性を活かし対岸諸国との物的、人的交流を推進します。当社グループは総合物流事業を通じて地域社会に貢献すると同時に、継続的な成長と収益向上を目指しております。

「FKKグループ経営理念」

① FKKグループは、顧客、株主、社員とその家族、地域社会に信頼され、全ての人々に貢献する企業集団を目指します。

② FKKグループは、富山県を基盤とした事業展開を図りつつ、常に視野を世界に広げ、グローバルな問題意識でビジネスに挑戦します。

③ 「攻め」は「改革・改善」の積み重ねで目標を達成し、「守り」は「報告・連絡・相談」の徹底で事故・ミスを無くし、顧客や地域の信頼を得ることを基本とします。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

① グループの主力事業である港湾運送事業は、地方港の規制緩和がなされた結果、競争が益々激化するとの危機意識のもと、コスト削減に努めると同時に、顧客の多様化するニーズに積極的に応えるべく総合的な物流ノウハウを駆使したサービスの充実に努めます。

② 「FKKグループの経営理念」の徹底を図り、法令遵守を基本として内部統制システムを整備し企業の社会的責任を重視し、環境に配慮した経営を継続します。

③ 港湾運送事業及び関連事業に携わる若年世代の人材育成は最も重要な課題であるとの認識に立って、業務のノウハウ、作業技術の伝承を確実に行い、現場の安全作業を徹底いたします。

 

(3) 会社の対処すべき課題

当社グループは、世界との交易の拠点となる港湾物流を主たる事業として、地域社会の発展に資することを目指しており、ESG(環境、社会、企業統治)経営を基本方針として以下の課題に取組んでまいります。

 

① 拠点となる伏木富山港における取扱貨物と航路の拡充、物流インフラの整備とノウハウの蓄積を図ります。

 

② 物流業界における2024年問題等に対処するため、国内におけるモーダルシフトに注力致します。

 

③ 次代を担う人材の育成・確保、コンプライアンス意識の向上、内部統制の強化に努めます。

 

④ 国土交通省「みなとSDGsパートナー」として、より一層の環境保護に取組み、SDGsの目標達成に貢献することを目指します。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) ガバナンス

サステナビリティに対する課題は、重要な経営課題のひとつであると認識しており、その対応に当たっては、取締役会を頂点とした指揮・命令系統を通じて行うこととしております。具体的には、取締役会にて審議し対応方針が示されたサステナビリティに対する課題は、幹部会議を経て、当社の各部署において課題解決に当たることとしております。

 

(2) 戦略

① 環境に対する取組み

当社は港湾運送事業を主力としており、環境に対する取組みを強固にするため、国土交通省港湾局が創設した「みなとSDGsパートナー」に申請し、2023年6月30日に登録されました。みなとをフィールドとした企業として港湾の持続可能な発展を目指して取組んでまいります。

② 人的資本に関する取組み

・当社では、年齢や性別に関係無く、多様な人材の活躍を推進しております。定年を65歳までとする就労環境を整備しており、高齢者は技能伝承等の重要な役割を担っています。

・様々なバックグラウンド・価値観を有する人々にとって働きやすい職場とすべく、育児や介護に関して社内規程を設け育児介護休業の取得について容易に行える環境を整えております。

・育児介護休業が終了し復職の場合の取り扱いは原則として休業直前の職場及び職務とし、また、本人の希望がある場合には、部署及び職務の変更を行う等対応しております。

・本人の申請により育児介護短時間勤務制度の適用を可能としています。また、ライフワークバランス推進の観点から、在宅勤務等の働きやすい環境整備、就業時間管理の徹底、会議の時間短縮・効率化等にも努めております。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、グループ会社へは当社役職員が取締役として就任し、サステナビリティ課題等に係るリスク管理状況を把握、当社においては、各部門長がサステナビリティ課題等に係るリスク管理状況を把握し、最高責任者の社長を議長とする「幹部会議」においてその内容を報告しております。

当社グループでは、上記プロセスを経て、特に重要と評価された課題について、取締役会による監督体制の下、当社グループにおける企業リスクの一つとして、戦略に反映し、対応しております。

 

(4) 指標及び目標

当社は2022年度策定の一般事業主行動計画(「女性活躍推進法」に基づく)において以下の目標を掲げ、各種施策に取組んでおります。

指 標

目 標

実績(当連結会計年度)

 女性管理職の割合

2025年3月まで25以上

19.1%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。

 

(1) 人材の確保について

当社グループの展開する事業は労働集約型産業が多く、事業を行う上で労働力としての人材の確保が重要であります。そこで、優秀な人材を継続的に採用し育成を行い、適正な要員配置を行うこと、労働環境を整備し社員の定着を図る事が、当社企業グループの成長にとって必要となります。これが達成できなかった場合には、当社グループの将来の成長が鈍化し、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(2) 重大交通事故による社会的信用低下について

当社グループは、デリバリー事業を中心に車両により営業活動を行っております。営業にあたり人命の尊重を最優先とし安全対策に努めておりますが、重大交通事故を発生させてしまった場合は社会的信用が低下し、業績に悪影響を与える可能性があります。また、重大交通事故を発生させた事業者に対しては行政処分として車両の使用停止が行われます。これらの行政処分により事業が中断中止するような事態となった場合は、当社企業グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(3) ゴルフ場経営による影響について

当社企業集団には、ゴルフ場経営を行っている企業があります。
 ゴルフ場経営は、全国的に極めて厳しい環境にあることが認識されている一方、当社グループにおいてはゴルフ場関係の業績は安定的に推移してはおりますが、県内ゴルフ場の値下げ競争も見受けられ、今後利用者数の減少、客単価の低下等のマイナス要因が強まった場合、当社企業グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) コスト上昇について

当社グループの輸送事業において、多量の燃料を使用しております。
 原油価格の動向により燃料費が大幅に高騰し、輸送コストが上昇する可能性があり、その場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 固定資産の減損について

当社グループでは事業の運営のため固定資産を多数保有しております。現在使用している固定資産について、時価の著しい低下や将来キャッシュ・フローが見込めない場合には、減損処理を行う可能性があります。

減損処理を行った場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境に改善の動きがあり、緩やかに持ち直しつつあるものの、資源価格の高騰や円安に伴う物価上昇が続き、特に北陸地方においては「令和6年能登半島地震」発生の影響も大きく、景気は足踏みの状況となりました。

このような事業環境のなか、当社企業グループでは、主力の港運事業においてロシア向け輸出等、貨物取扱量が前年同期と比較して減少しました。一方で旅行業等、個人消費関連の事業では売上が増加しました。

この結果、当連結会計年度の売上高は129億3千5百万円(前年同期比1億3千万円1.0%の減収)、営業利益は7億4千1百万円(前年同期比5億9千2百万円44.4%の減益)、経常利益は7億1千4百万円(前年同期比5億4千1百万円43.1%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億6千8百万円(前年同期比2億2千万円32.0%の減益)となりました。

 

② 生産、受注及び販売の状況

当社グループは受注生産形態を取らない業種のため、生産実績及び受注実績は記載しておりません。なお、販売実績については「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」における各セグメント業績に含めて記載しております。

 

③ 財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は、230億4千5百万円となり、前連結会計年度比で3.0%6億6千7百万円増加しました。
 負債につきましては、108億5千万円となり、前連結会計年度比で1.4%1億4千6百万円増加しました。
 純資産につきましては、121億9千4百万円となり、前連結会計年度比で4.5%5億2千1百万円増加しました。

 

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、53億4千4百万円となり、前連結会計年度比で1.1%5千7百万円減少しました。この減少の主な要因は、現金及び預金(25億7千8百万円から25億5千3百万円へ2千5百万円減)が減少したことや、その他前払費用等(2億2千4百万円から1億7千5百万円へ4千9百万円減)が減少したことなどによるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、177億1百万円となり、前連結会計年度比で4.3%7億2千4百万円増加しました。この増加の主な要因は、有形固定資産が建物及び構築物や機械装置及び運搬具の取得(137億7千2百万円から143億5百万円へ5億3千2百万円増)で増加したことや、投資その他の資産の投資有価証券(24億4百万円から25億9千6百万円へ1億9千2百万円増)が増加したことなどによるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、35億8千7百万円となり、前連結会計年度比で13.4%5億5千6百万円減少しました。この減少の主な要因は、1年内償還予定の社債(3億円から4千万円へ2億6千万円減)が減少したことや、その他前受金等(8億6千7百万円から7億1千5百万円へ1億5千2百万円減)が減少したことなどによるものであります。

 

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、72億6千3百万円となり、前連結会計年度比で10.7%7億2百万円増加しました。この増加の主な要因は、長期借入金(32億3千8百万円から35億2千7百万円へ2億8千9百万円増)が増加したことや、社債(7億円から9億6千万円へ2億6千万円増)が増加したことなどによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、121億9千4百万円となり、前連結会計年度比で4.5%5億2千1百万円増加しました。この増加の主な要因は、利益剰余金(69億6千7百万円から72億7千9百万円へ3億1千2百万円増)やその他有価証券評価差額金(3億4千万円から5億7百万円へ1億6千7百万円増)が増加したことなどであります。

 

④ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動による収入超過11億4千9百万円、投資活動による支出超過12億5千8百万円、財務活動による収入超過1億7百万円等により前連結会計年度末に比べて1百万円減少し、19億9千1百万円となりました。
  各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は次のとおりであります。

 

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

税金等調整前当期純利益8億1千万円に減価償却費7億8千7百万円、売上債権の増加△3千7百万円、仕入債務の増加1千6百万円などを加えた結果、営業活動での収入超過が11億4千9百万円となり、前連結会計年度比4億9千9百万円の収入減少となりました。

 

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

有形固定資産の売却による収入4千6百万円ありましたが、有形固定資産の取得による支出13億8千4百万円などにより12億5千8百万円の支出超過となり、前連結会計年度比5億9千4百万円の支出増加となりました。

 

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

長期借入れによる収入17億5千7百万円、長期借入金の返済による支出14億8千4百万円などにより1億7百万円の収入超過となり、前連結会計年度比8億6千5百万円の収入増加となりました。

 

当企業集団の財政状態及びキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2022年6月

2023年6月

2024年6月

自己資本比率(%)

44.7

47.2

48.0

時価ベースの自己資本比率(%)

15.4

19.2

18.5

債務償還年数(年)

4.6

3.5

5.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

24.5

33.3

22.8

 

(注)1.自己資本比率: 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率: 株式時価総額/総資産

債務償還年数: 有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ: 営業キャッシュ・フロー/利払い額  

① 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

② 株式時価総額は、期末株価終値 × 期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

③ 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

④ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている社債、借入金の合計額を対象としております。また、利払い額については、連結キャッシュ・フロー計算書の支払額を使用しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の状況)

当社グループの当連結会計年度の経営成績等の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

当連結会計年度における売上高は、港湾貨物の取扱量は減少し、129億3千5百万円となり、前年同期比1.0%減収となりました。売上原価は、110億1千5百万円となり、前年同期比4.2%増加し、販売費及び一般管理費は、その他の一般管理費等の増加により11億7千8百万円、前年同期比1.4%増加しました。

 この結果、営業利益は7億4千1百万円となり前年同期比44.4%減益経常利益は7億1千4百万円、前年同期比43.1%減益親会社株主に帰属する当期純利益は4億6千8百万円、前年同期比32.0%の減益となりました。

各セグメントの経営成績の状況に関する分析は次のとおりであります。

 

[港運事業]

港運事業は、輸出入貨物の取扱量が共に減少したことにより、売上高は84億9千5百万円(前年同期比7億4千7百万円8.1%の減収)、セグメント利益は9億2百万円(前年同期比6億2千9百万円41.1%の減益)となりました。主な輸移入貨物は、ウッドチップ、石炭、コンテナ貨物、オイルコークス、木質燃料、工業塩、アルミ地金、鋼材等であり、輸移出貨物は、コンテナ貨物や自動車等であります。

 

[不動産事業]

不動産事業は、住宅事業の受注が増加したことなどにより、売上高は12億5千7百万円(前年同期比1億2千9百万円11.5%の増収)、セグメント利益は3億1千6百万円(前年同期比5千万円19.0%の増益)となりました。

 

[繊維製品製造事業]

繊維製品製造事業は、自動車内装材の受注が一部回復したことにより、売上高は20億8千2百万円(前年同期比2億5千4百万円13.9%の増収)となりましたが、売上原価の高騰分を補うことができず、セグメント損失は4千万円(前年同期はセグメント損失6千1百万円)となりました。

 

[その他事業]

その他事業は、旅行業の回復により、売上高は12億5千9百万円(前年同期比3億1千7百万円33.7%の増収)、セグメント利益は4千9百万円(前年同期比6百万円15.9%の増益)となりました。

 

(財政状態の状況)

当社企業グループの当連結会計年度の財政状態の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資金需要につきましては、運転資金が主なものであり、短期的な運転資金の需要は、自己資金及び金融機関からの短期借入金等で賄っております。また、設備投資などの長期的な資金需要につきましては、自己資金及び金融機関から金利コストを考慮した長期借入金等により賄っており、両者を組み合わせることで、過不足の無い効率的な調達に努めております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。