第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、この先の100年も存在価値のある、魅力的な企業グループとして成長し続けていくために、ブランド価値の確立・強化を進めております。まずこれまでの経営理念・行動指針などブランド価値を構成する要素の整理・再構築を行い、「私たちのブランド」として2018年5月にブランドプロミスを策定しました。そして、当社グループが長い歴史の中で築いてきた、すべてのサービスの安全・品質に込める強い想いと誇りを「私たちの約束=期待を超えなければ、仕事ではない」という言葉にまとめました。これは「私たちのブランド」を象徴する社会の皆様と当社グループの約束の言葉です。そして、その約束を果たし続けるために当社グループが目指すべき姿、存在意義を不変の「企業理念」として新たに定義し、その実現のための「行動指針」を策定しました。

 

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(2)経営環境及び「2030年ビジョン」

当社グループでは、特に中長期的に対処するべき経営環境の変化として、国内生産年齢人口の減少による「人手不足の深刻化」とAI(人工知能)、IoT、ビッグデータ、ロボットの活用に代表される「技術革新の進展」という2つの潮流を認識しております。このような経営環境の変化は、長期的に当社グループの事業の前提を大きく変容させるものでありますが、これを脅威としてではなくいかに機会として捉えていくかが重要な経営課題であると認識しております。さらに、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経営環境の急激な変化により、これらの技術革新の進展の動きが一段と強まるものと考えております。「人手不足の深刻化」に対しては、足元では積極的な人材採用活動等により事業継続への影響を最小限に抑えていますが、中長期的には生産性の向上によって根本的に解決を図る必要があります。具体的には、AI、IoT、ロボットなど様々な「技術革新の進展」により、当社グループの業務は、長期的に自動化・機械化が進んでいくと考えられ、新技術を取り入れながら業務を革新することが求められます。

創業150周年となる2030年、さらにその先の未来に向けて当社グループがお客様や社会から信頼され、選ばれ続けていくためには、中長期的な経営環境の変化に対して事業のあり方を柔軟に変化させていきながら、上記の企業理念の実現を追求していくことが求められます。この道筋を明確にするために、2030年に目指すべき経営の姿を「2030年ビジョン」として定めております。

 

2030年ビジョン[2030年定量目標]

事業ポートフォリオ

10事業本部以上をめざし事業の多角化

売上高

3,500億円~5,000億円

物流売上高:サービス売上高(※)

40:60

国内売上高:海外売上高

80:20

営業利益率

5%以上

ROE

10%以上

(※)サービス売上高:複合ソリューション事業における請負業務、エンジニアリング業務など、純粋な物流業務以外の業務の売上高

(3)中期経営計画と対処すべき課題

2030年ビジョンを踏まえ、2019年3月期~2021年3月期を対象とした中期経営計画の3カ年を「2030年ビジョン実現に向けた『確固たる基盤づくり』の期間」と位置づけ、以下の事項に取り組んでおります。

 

① 意識改革への取り組み

「人手不足の深刻化」と「技術革新の進展」という2つの潮流に対処するには、これまでの当社グループの経営と事業のあり方を、グループ一体となって見直すことが不可欠です。その一体感の醸成のためには、当社グループの従業員一人ひとりが共通の使命感・志を持ち、誇りをもって働けるブランド力を有していることが重要であると捉えており、全従業員に対し「企業理念」と「行動指針」を常に意識し実践することを求め、「私たちのブランド」の社内浸透施策を推進しております。

「私たちのブランド」は、これまでの当社グループの140年の歴史の中で共有され、育まれてきた不変の理念や価値観を改めて明文化したものです。「私たちのブランド」を経営の軸として、これまでの経営と事業のあり方について2030年に向けたあるべき姿へと見直しを図ります。

 

② 基盤づくりに向けた取り組み

ⅰ) 将来を見据えた事業基盤の充実

「2030年ビジョン」に向けた変革を進めていくには、将来を見据えた事業基盤の充実を図ることが喫緊の課題と認識しております。特に、以下の点に積極的に取り組みます。

 

・人材の採用・育成活動などによる人材基盤の強化

・システム化投資・自動化投資や本社業務プロセスの見直しを通じた生産性の向上

・安全衛生・品質管理レベルの妥協のない改善

 

人材基盤の強化に関しては、業界全体で人手不足が深刻な課題となっている中、当社グループは積極的に採用活動に取り組み、全体として当面の業務運営には支障をきたさない程度に人材を確保しております。今後も、積極的な採用活動を継続するとともに、人材定着率の向上に取り組みます。そのために「やりがい」と「ゆとり」を両立できる職場づくり、多様な価値観(ダイバーシティ)が受け入れられる職場づくりを推進します。外国人技能実習生の受け入れや外国人総合職採用の拡大に伴い、ダイバーシティの取り組みの重要性はさらに増していることから、2019年4月よりダイバーシティ推進部を設置しました。また、事業戦略の遂行を支える、多様な人材の育成への取り組みも強化します。空港関連分野においては、フィリピンのグランドハンドリング事業を行うMacroAsia Airport Services Corporationとの資本提携に加え、成田航空ビジネス専門学校を傘下に置き、空港業界全体の人材育成に貢献しております。このように、当社グループのニーズだけでなく社会ニーズにも対応した広い視野での人材育成にも取り組んでおります。

生産性の向上に関しては、ICT推進本部や情報システム開発子会社であるコウノイケITソリューションズ㈱が中心となり、全社的なシステムの見直し及び再構築に着手しております。各現場の物流システムの統合化・共通化や経営情報システムの整備を通じて、生産性と効率性の向上を図ります。また、各現場においても、自動化・省力化のための設備投資を進めております。本社部門においても、部門横断的な業務プロセスの見える化と見直しを通じて、業務の生産性及び付加価値向上に取り組んでおります。加えて、2020年4月よりICT推進本部のもとにデジタルトランスフォーメーション推進部を設置し、ICT(情報通信技術)を活用した働き方改革、業務プロセス改革をより一層進めてまいります。

さらに、当社グループがお客様に提供する価値の中でも特に重要な要素である安全衛生・品質管理に関して妥協なくさらなる向上を追求します。安全衛生・品質管理への取り組みについては、各支店に本部直轄の安全品質専任者を、各関係会社に安全品質担当者を置く体制をとり、営業現場と本社が同じ目線で一体となって取り組みを進めております。

 

ⅱ) 経営基盤の再構築

「2030年ビジョン」に向けた企業経営を促進する経営基盤の再構築を進めております。その一環として、経営の健全性及びコーポレート・ガバナンス体制の一層の強化を図るべく、取締役会を構成する全取締役の1/3以上を社外取締役としております。加えて、独立社外取締役を委員長とする「人事・報酬委員会」を、取締役会の任意の諮問委員会として設置し、人事・報酬の決定における客観性・透明性の更なる向上を図っております。

また、2019年3月期に設定した、事業本部別のKPI(重要業績評価指標)については、半期ごとにモニタリングを実施し、中長期的に達成すべき戦略目標に向け、着実な遂行を図ってまいります。今後も企業価値向上に向けた意思決定に資する仕組みの整備・運用に取り組みます。

ⅲ) 資本コストをさらに意識した経営への取り組み

当社グループの持続的な発展のためには、限られた経営資源を効率的に活用することが不可欠です。事業の生産性・持続可能性を測る指標としてROICを活用し、資本コストを意識した事業運営に取り組んでまいります。その中で、全事業のポートフォリオを明確化するため、各事業を基盤事業、収益改善事業、成長事業の3つの事業群に分類し、各事業の位置づけ・課題を明確にしております。それぞれの事業の位置づけに応じた戦略の立案・実行・見直しを進めるとともに、全社最適の観点から事業ポートフォリオの見直しを進めてまいります。このため、経営会議の諮問機関である投資調査部会の機能強化を実施し、資本コストによる判断基準を明確にしたうえで、全社における意識の徹底を図っております。

また、先行きが不透明な経営環境であるからこそ、「確固たる基盤づくり」の重要性が増すものと考え、中期経営計画の最終年度にあたる2021年3月期においては、当初2021年4月以降としていた不採算事業についての拠点の再構築、撤退、売却などの方針決定を一年前倒しで実施することといたしました。すでに、2020年3月末において方向性を定めておりますが、それらに従い、2021年3月末までに各事業の具体化方針を決定し、次期中期経営計画の期間内で実行すべく進めてまいります。加えて、将来のさらなる成長に向けた布石としての成長事業への投資は欠かすことが出来ないものであり、積極的な取り組みを継続してまいります。

 

(当社グループの事業ポートフォリオマネジメント)

 

分野

課題

基盤事業

鉄鋼関連、食品関連、食品プロダクツ関連、生活関連

基盤事業の持続、フリーキャッシュフローの維持・向上

収益改善事業

物流関連、定温関連、メディカル関連、海外関連

ROIC思考の徹底、生産性の改善

成長事業

空港関連、環境・エンジニアリング関連、インド関連(メディカル、鉄道)

事業成長、M&Aの取り組み、海外展開

 

ⅳ) 部門の垣根を越えた成長の促進

お客様に当社グループを選び続けていただくには、各事業本部単位で完結するサービスに終始するのではなく、部門の垣根を越えて、当社グループ全体でお客様にソリューションを提供することがますます重要になると認識しております。その一環として2019年4月より、インド統括本部を発足させました。従来、海外事業本部とメディカル事業本部にまたがっていたインド事業を1つの本部に括り直し、同本部を中心に他の国内事業のインド展開の可能性を模索しております。これは部門の垣根を越えた1つの成長の形であり、今後もこのような従来の組織の枠組みに捉われない成長の形を追求します。

また、営業本部を中心に全社横断プロジェクトとして推進しておりました、コウノイケ・レールゲートプロジェクトの集大成として2020年4月に東京レールゲート営業所を開設いたしました。今後も営業本部を中心に、当社グループ内での連携をさらに強化してまいります。

 

ⅴ) 新たな中核事業の発掘・育成と価値革新への取り組み

新事業開発本部の主導のもと、「2030年ビジョン」の実現に不可欠な「新たな中核事業の発掘・育成」を進めております。お客様の生産プロセスやバリューチェーンに深く入り込み、請負サービス、物流サービスなど様々なサービスを組み合わせて提供する当社グループ独特のビジネスモデルは、業種や地域を問わず、さらなる成長の可能性を有していると考えております。そして、新たな成長のために、ロボット技術などの新技術の業務への取り込みを行いつつ、新しい形の請負サービス・物流サービスなどの開発に取り組み、価値の革新を図ります。

具体的な取り組みとして、新技術の研究部署である鴻池技術研究所では様々な新技術を導入することで新しい生産請負作業・物流作業の形を作り出す検討を重ねています。基本となる技術は、①AI画像認識技術を活用した自動検査、②シミュレーションによる工程&作業最適化、③人間とロボットの協業を目指した汎用性のある自動化適用、④IoT&センシング技術による設備保守作業効率化等となります。

個別事例では、昨年度に実用化スタートした自動フォークリフトの機能拡張を進めつつ、それ以外でも拡張現実(AR)を活用した航空貨物計測システム開発、設備保守へのAIセンサー導入、空港域内での位置検知センサー活用等、海外のスタートアップ企業の技術適用も積極的に検討を進めています。この活動を更に加速させるために東京レールゲート建屋内にイノベーションセンター(実験倉庫)を4月に設置いたしました。

当社が持つ最良の資産である作業者のスキルと最新の技術を融合させた請負作業の新しい姿を創出して参ります。

(4)足下の経営環境と喫緊の課題

今後の国内及び世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響等により大幅な減速が懸念されます。航空業、観光業を未曽有の危機に晒しているだけでなく、サプライチェーンの分断によって製造業にも広く波及していることから、当社の経営環境にも少なからぬ影響が出ることが考えられます。

現中期経営計画の最終年度に当たる2021年3月期については、現時点で合理的に影響額を算定することが困難であることから、業績が見通せない状況にあります。

このような状況の下、当社グループは、経営基盤をより強固にするために、徹底したコスト削減、不採算事業や投資計画の見直しに加え、手元流動性の確保にも万全を期してまいります。

一方で、事態終息後においては社会の価値観や企業に求められる役割がこれまでと変わる可能性があります。とりわけ重要性が再認識されている社会インフラを担う当社グループとしては、これらの変化を見据えつつ、次期中期経営計画を策定する予定です。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

1.経済動向について

当社グループは、主として国内の製造業や流通・小売・サービス業等を顧客として、生産活動や物流機能等にかかる各種アウトソーシングに関する事業を展開しており、景気動向、消費動向及び各種業界の業況等の変動により影響を受けております。

一般に、景気及び消費低迷時には、アウトソーシングにかかる取扱業務量は減少する傾向がありますが、一方で、企業業績低迷から業務効率改善やコスト削減等を目的としたアウトソーシング需要が拡大する側面があり、これら状況により当社グループの経営成績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。

 

2.顧客企業等の動向について

当社グループは、多様な企業との取引により事業リスクの分散を図り、特定企業又は業種の業況変動等による影響を低減させる方針を有しております。しかしながら、2020年3月期においては、特定の主要顧客グループとの取引額は、当社連結売上高のうち、鉄鋼業界向け売上高が約17%を、飲料・食品業界向け売上高が約25%を、それぞれ占めており、これらの業界動向等に影響を受けやすくなっております。また、近年では空港関連分野の事業規模が拡大傾向にあり、業界動向等の影響を受けた場合、損益に与える影響が大きくなる可能性があります。

また、業界動向に加えて、当社グループの主要な顧客企業において、業績低迷等による生産調整や物流需要の減少等が生じた場合や、業界再編や海外移転の進展、その他経営戦略の変更により事業拠点の閉鎖・縮小又は取引関係に重大な変更が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.自然災害、感染症等について

当社グループが事業を展開する主要な地域における大規模な地震や台風等による自然災害の発生や、自社又は顧客企業の事業所施設における火災等による災害の発生、また新型ウイルスなどの疾病の発生・流行等が生じた場合に、その被災状況や感染状況によっては事業活動が困難となり、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。その影響を最小限に抑えるべく,事業継続計画(BCP)の整備,非常時を想定した訓練等を実施しています。

なお、2020年1月より顕在化した新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、経済への影響が長期化することが懸念されております。2020年度の航空需要におきましては、IATA(国際航空運送協会)より大幅に減少する予測が出されており、世界各国の入国制限措置や国内の外出自粛等の影響で国内外の航空需要が急激に減退しております。そのため、複合ソリューション事業における空港関連分野を中心に当社グループの経営成績及び財政状況に大きな影響を及ぼす可能性がありますが、現時点では未確定な要素が多いため、今後も注視してまいります。

 

4.競合について

当社グループの各事業は、主として業務請負及び貨物運送・倉庫業務を展開しており、これら業務は、顧客企業の事業活動の一部を請負う形態であります。これら業務においては、業務受注にかかる競合他社との価格競争が生じていることに加えて、顧客企業自身の業務効率化・コスト削減等による内製化への移行の可能性があります。

当社グループは、様々な現場での業務経験やノウハウと、徹底的な現場目線による請負現場課題の改善・改革提案力に基づき、業務オペレーションの効率化、業務品質の向上、顧客ニーズを踏まえた柔軟な業務サービスの提供等により、顧客企業における評価向上及びリレーションの強化を図り、差別化による受託業務拡大を推進しております。しかしながら今後において、当社グループの業務サービスの優位性が低下した場合や、競合等により請負単価が想定以上に低下した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.人材の育成・確保について

当社グループでは、顧客企業のニーズに応じて多種多様な業務の請負を行っており、各業務に関して専門的な知識を有する人材を育成し、確保する必要があります。また、顧客企業の季節需要を含む業務の繁閑に対して、外注企業の活用を含めた柔軟な人員配置をコントロールしていく必要があります。

当社グループでは積極的な採用活動を進めるとともに、人材育成のための社内研修の充実を図ることで、必要な人材の確保に努めております。しかしながら、国内においては構造的な労働人口の減少等に起因し、労働集約型産業を中心に人手不足感が強まっております。これに伴い、労働力の確保や労働環境の維持・向上のため人件費等の負担が増加する可能性があるほか、今後必要な人材の育成及び確保ができなかった場合又は適切な人員配置等に支障が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループの請負業務遂行は、当社グループの従業員に加えて一部は外注先等の従業員が担っております。当社グループは、適法性のみならず業務遂行上必要な人員を確保する観点からも、労働環境の適正化及び管理並びに適正な外注管理等による業務運営の円滑化に努めておりますが、当社グループの従業員又は外注先等の従業員並びに関連する労働組合との間で何らかの問題や調整事項等が生じた場合には、業務運営に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、問題等の発生に対して、弁護士等専門家や行政機関等の関与のもと早期に解決を図っていく方針でありますが、結果として費用増加等が生じる可能性があり、これらに起因して経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

6.当社グループの設備投資等について

当社グループは、新規顧客企業の獲得並びに既存顧客企業との取引拡大等を目的として、物流拠点の整備、車両運搬具及び機械装置を中心に設備投資を実施しており、また、顧客企業の事業拠点内に受託業務遂行のための専用設備等を保有する場合があります。設備投資に際しては、将来に見込まれる受注業務等を考慮して実施しておりますが、実際の受託業務での収益が想定を下回った場合には、減価償却負担等の増加による利益圧迫等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループの各事業において、経済環境や事業環境の変化、顧客企業との取引関係の変化等により、事業所等における採算性が低下し損失計上が継続した場合には、保有資産等にかかる減損損失を認識する必要があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

7.受託業務におけるトラブル等について

当社グループは、顧客企業からの受託業務において多種多様な業務工程を担当しており、顧客製品の品質等に影響を及ぼす重要工程も一部含まれております。請負業務については、業務管理全般にわたる責任が受託企業にあり、個々の業務において、労務管理をはじめ、顧客企業の製品の生産量、納期、品質、更には設備、資材管理の領域まで責任を負っており、当社グループは、顧客企業の要求水準を達成するため適切な業務手順を遵守した業務運営に努めております。

しかしながら、受託業務において、当社グループの何らかの瑕疵に起因した品質低下、操業遅延や停止等によるトラブル等の発生により、顧客企業の事業活動に重大な支障が発生する又は多額の損失が発生する様な事象が生じた場合、当社グループの信頼性低下や損害賠償請求の発生、取引解消等に発展し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

8.事故及び労働災害について

当社グループの事業は、トラック、フォークリフト及び大型機械の操作をはじめとして、危険を伴う作業が含まれております。当社グループは、当該状況を踏まえて安全衛生管理を最重要課題として捉え、労務管理及び安全管理の徹底を図り、事故を未然に防ぐため業務遂行に際して細心の注意をはらう様に努めております。

しかしながら、何らかの不測の事由から労働災害や事故等が発生する可能性があります。これら事故等について、訴訟問題や重大事故等に起因した行政処分に発展した場合には、損害賠償請求が生じる可能性があるほか、当社グループの社会的な信用及び顧客の信頼を失うことにも繋がり、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

9.技術革新について

当社グループは、多種多様な業務作業の請負を行っておりますが、人工知能やロボット技術等の進歩により生産工程や物流現場等の自動化・省力化が進むことで、当社グループが従来請け負っていた業務が代替され、減少する可能性があります。当社グループでは、顧客の生産・物流現場等に固有のノウハウを蓄積するとともに、新技術を活用した新たな請負の形を模索するなど対応に取り組んでおります。しかしながら、そうした技術革新への対応が十分に図れない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

10.資金調達について

当社グループは、事業資金を金融機関からの借入又は社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。市場金利が上昇した場合、資金調達コストの増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、金融市場の混乱等により金融機関の融資圧縮等が生じた場合や、格付会社による当社格付の引下げ等が生じた場合には、当社グループの資金調達において、必要な資金調達に支障が生じること等により事業展開の制約要因となる可能性があり、また、これらに起因して当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

11.法的規制等について

①許認可等について

当社グループは、事業運営等に際して多種多様な法的規制を受けており、各事業にかかる主要な許認可等は以下のとおりであります。

当社グループはこれら関連法令等の遵守に努めており、本書提出日現在において事業運営上の支障をきたす状況は生じておりません。しかしながら、違反その他事由によりこれら許認可等が停止又は取消となった場合又は法的規制の見直しや新たな制定等により規制強化が生じた場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

主要事業許認可及び有効期限

許認可の名称

法律名

監督省庁

許認可等の

内容

有効期限

当社グループの対象事業

労働者派遣業

労働者派遣法

厚生労働省

許可

許可後5年間

複合ソリューション事業

国内物流事業

港湾労働者派遣事業

労働者派遣法

厚生労働省

許可

許可後5年間

国際物流事業

一般貨物自動車運送事業

貨物自動車運

送事業法

国土交通省

許可

期間の定め無し

複合ソリューション事業

国内物流事業

国際物流事業

貨物利用運送事業

(第一種、第二種)

貨物利用運送

事業法

国土交通省

許可・登録

期間の定め無し

複合ソリューション事業

国内物流事業

国際物流事業

倉庫業

倉庫業法

国土交通省

登録

期間の定め無し

複合ソリューション事業

国内物流事業

国際物流事業

食品衛生法

厚生労働省

許可

許可後6年間

建設業

建設業法

国土交通省

許可

許可後5年間

複合ソリューション事業

国際物流事業

産業廃棄物収集運搬業

産業廃棄物処

理法

環境省

許可

許可後5年間

複合ソリューション事業

産業廃棄物処分業

廃棄物処理法

環境省

許可

許可後5年間

複合ソリューション事業

保税蔵置場

関税法

財務省

許可

許可後5年間

複合ソリューション事業

国内物流事業

国際物流事業

特定航空貨物利用運送事業者

貨物利用運送事業法

国土交通省

許可・登録

期間の定め無し

国際物流事業

特定航空運送代理店業者

貨物利用運送事業法

国土交通省

許可・登録

期間の定め無し

国際物流事業

航空運送代理店業

貨物利用運送事業法

国土交通省

許可・登録

期間の定め無し

国内物流事業

国際物流事業

通関業

通関業法

財務省

許可

期間の定め無し

国際物流事業

海上運送事業

港湾運送事業法

国土交通省

届出

期間の定め無し

国際物流事業

港湾運送事業

港湾運送事業法

国土交通省

許可

期間の定め無し

国際物流事業

 

②コンプライアンスについて

当社グループの事業の性質上、a)請負・派遣の区分等の適正化に係る規制、b)外注企業の活用における下請代金支払遅延等防止法(下請法)に係る規制、c)従業員の労務管理にかかる労働関連法令に係る規制について、留意する必要があります。

当社グループは、請負・派遣適正化及び下請法については、社内規則・マニュアル・チェックリスト等の整備・運用及び管理の徹底を図るとともに、全事業所を対象とした定期調査を実施し、当該法令順守の推進・維持を含む適切な業務運営が遂行されるように努めております。また、労働関連法令については、業務請負という特性から当社グループの業務量は顧客企業の生産活動等に左右され、突発的な業務量増大等に起因して従業員の労働時間増加が生じる場合があり、適切な人員配置等を推進するとともに、労使間協定の締結及び遵守並びに労働時間の適切な管理の徹底等により、法令及び協定等の遵守を推進しております。

しかしながら、これらの管理不備による不正や違反等により行政処分等が生じた場合には、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③環境規制について

当社グループが使用する貨物トラック(ディーゼル車輌)は、国及び自治体による自動車NOx・PM法及び環境条例等の対象となります。当社グループは、かかる環境規制が定める基準適合車を使用する等、これら規制を順守するために必要な取り組みを行っております。しかしながら、将来において更なる規制強化が生じた場合は対策のための費用増加等が生じる可能性や、対応が困難となる場合には事業における制約要因となる可能性があり、これらにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

12.燃料費及び電力料金等の変動について

当社グループにおいて使用する輸送用車輌及び船舶等の燃料費は、原油価格の変動により影響を受けております。今後において、国際的な原油市場の需給バランス、金融情勢、産油国の政治情勢等の影響に伴う原油価格の動向によっては燃料費が上昇する可能性があります。また、当社グループが業務において使用する冷凍冷蔵倉庫をはじめとした倉庫・物流設備等は一定の電力消費を行うことから、電力料金引き上げ等が生じた場合には費用増加が生じる可能性があります。

当社グループは、これらコスト増加が生じた場合には、顧客企業との協議等により適正な業務単価の維持を図っていく方針でありますが、十分な価格転嫁が困難となる場合には、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

13.海外への事業展開について

当社グループは、国内における事業展開に加えて、アジアや北米などを中心とした地域に拠点を設け、グローバル展開する日系企業及び現地企業を対象とした海外展開強化を推進しております。これら事業展開においては、各地域において法律・規制、為替、社会・政治及び経済動向等の影響を受けております。また、債権回収、取引先との関係構築・拡大、従業員の管理等の点において、海外の商習慣・文化に関する障害に直面する可能性があります。さらに、海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性もあります。

当社グループは、海外進出に際して各地域における法令・政情・経済情勢その他にかかる調査等によるリスクの把握及び対応に努めておりますが、予期せぬ情勢変化等が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

14.M&A、事業提携について

当社グループは、今後の業容拡大等においてM&A及び事業提携戦略は重要かつ有効であると認識しております。M&Aや事業提携を行う場合においては、対象会社を慎重に検討し、対象会社の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンス(注)を行うことによって、極力リスクを回避するように努める方針としておりますが、買収後に偶発債務の発生等、未認識の債務が判明する可能性も否定できません。また、のれんが発生する場合はその償却額を超過する収益力が安定的に確保できることを前提としておりますが、買収後の事業環境や競合状況の変化等により買収当初の事業計画遂行に支障が生じ、計画どおりに進まない場合は当該のれんに係る減損損失等の損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(注)デューデリジェンス(Due diligence):M&Aなどの取引に際し、対象企業の法務・財務・ビジネス・人事・環境などを含めた総合的な資産評価に係る調査活動のことであります。

15.顧客情報の管理について

当社グループは、業務請負等を通じて、顧客企業の経営上の機密情報や個人情報等の様々な重要情報を取り扱っております。当社グループにおける情報管理は、社内規程の整備・運用及び定期的な研修等により周知徹底を図っておりますが、何らかの要因により外部漏洩やデータ喪失等が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜や損害賠償請求等が生じる可能性があり、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

16.訴訟等について

当社グループの事業運営において、予期せぬトラブル・問題が生じた場合、当社グループの瑕疵に関わらずこれらに起因する損害賠償の請求や、訴訟を提起される可能性があります。これら事象が発生した場合には、訴訟内容や損害賠償額及びその結果等により、当社グループの社会的信用に影響を及ぼすほか、経営成績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。事業に関わる各種法令を遵守するとともに、契約条件の明確化、相手方との協議の実施等により紛争の発生を未然に防ぐよう努めております。

 

17.退職給付債務について

当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上設定した前提条件に基づいて算出されております。しかしながら、年金資産の時価の下落、金利環境の変動等により、退職給付費用が増加した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、企業業績や雇用情勢の改善を背景に緩やかな回復基調にあった一方で、消費増税後の個人消費に力強さが見られなかったことに加え、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による国内及び世界経済に与える影響が顕著となっております。今後の先行きに関しても、新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中で、極めて不透明な状況になっており、最大の懸念事項と認識しております。当社グループにおきましても、これらの影響は不可避であり、空港関連分野を始めとする一部の事業におきましてすでに顕在化しております。

そのような中、当社グループは、2018年4月から2021年3月末を対象とする中期経営計画の2年目を迎え、創業150周年にあたる2030年に向けた「確固たる基盤づくり」を進めてまいりました。具体的には、人材の採用・育成やシステム投資等による事業基盤の充実、コーポレート・ガバナンスの強化、管理会計制度の見直し等による経営基盤の再構築といった施策に加え、各事業を基盤事業、成長事業、収益改善事業と3つの事業群に分類し、各事業群の課題に応じた取り組みを進めております。成長事業においては、インドでの事業展開を加速すべくインド統括本部を2019年4月に新設したほか、環境・エンジニアリング関連分野において総合建設業を行う中電産業㈱を連結子会社化したことに加え、空港関連分野では、フィリピン最大規模のグランドハンドリング事業を行うMacroAsia Airport Services Corporationと資本提携を行うなど成長力強化に向け、積極的な取り組みを展開しております。また、収益改善事業の中でも国内物流事業については着実に取り組みを進め、すでに収益性の改善の成果が上がりつつあります。

 

当連結会計年度における経営成績については、海外関連分野や環境・エンジニアリング関連分野における新規連結会社の寄与、震災復興関連業務の増加により、売上高は3,108億34百万円(前連結会計年度比5.7%増)となりました。また、利益面につきましては、営業利益は米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症の拡大による複合ソリューション事業並びに国際物流事業の減益要因に加え、システム先行投資の増加等により96億86百万円(同11.8%減)、経常利益は95億59百万円(同16.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、45億93百万円(同27.0%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。また、セグメント利益は当社の管理部門に係る一般管理費等の全社費用控除前の営業利益であります。

なお、当連結会計年度より、各報告セグメントを構成する事業本部に所属する営業所の一部について、主要顧客並びに事業内容の変化に対応するため、所属する事業本部を変更いたしました。そのため、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を当該変更後の数値で比較しております。

 

 

①複合ソリューション事業

複合ソリューション事業におきましては、震災復興関連業務が増加、環境・エンジニアリング関連分野において、一部、再資源化業務の減少はあるものの総合建設業を行う中電産業㈱の新規連結により増加しました。また、食品関連分野での新規拠点開設、メディカル関連分野での病院内物流業務増加等により、売上高は2,144億11百万円(前連結会計年度比5.0%増)となりました。利益につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大による空港関連分野での業務減少の影響や、新規事業立ち上げ費用等の発生により、125億64百万円(同8.6%減)となりました。

 

②国内物流事業

国内物流事業におきましては、生活用品の取扱量増加等はありましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大等による一部業務減少により、売上高は482億48百万円(前連結会計年度比1.0%減)となりました。利益につきましては、業務効率化や単価改定等により、25億34百万円(同6.8%増)となりました。

 

③国際物流事業

国際物流事業におきましては、前年度連結の香港のフォワーディング会社 BEL INTERNATIONAL LOGISTICS LTD.の寄与、並びに、設備解体や据付業務の増加により、売上高は481億75百万円(前連結会計年度比17.0%増)となりました。利益につきましては、欧州市場向け集荷貨物の減少や米中貿易摩擦にともなう航空貨物需要の減速影響等により、7億68百万円(同25.8%減)となりました。

 

④その他

その他の事業におきましては、当社グループ内のソフトウェア開発及び保守業務等が中心であり、金額的重要性も低いため報告セグメントとはしておりません。そのため記載を省略しております。

 

財政状態の状況は次のとおりであります。

(総資産)

当連結会計年度末における総資産の残高は2,234億99百万円であり、前連結会計年度末に比べ102億44百万円増加しました。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は898億35百万円であり、前連結会計年度末に比べ59億1百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が69億71百万円増加したこと、受取手形及び売掛金が14億84百万円減少したこと等によるものです。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は1,336億63百万円であり、前連結会計年度末に比べ43億42百万円増加しました。主な要因は、建設仮勘定が23億円増加したこと、土地が10億8百万円増加したこと、繰延税金資産が7億26百万円増加したこと等によるものです。

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計の残高は1,239億26百万円であり、前連結会計年度末に比べ122億35百万円増加しました。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は528億45百万円であり、前連結会計年度末に比べ75億61百万円減少しました。主な要因は、1年以内償還予定の社債が100億円減少したこと、その他流動負債が18億96百万円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が8億85百万円増加したこと等によるものです。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は710億81百万円であり、前連結会計年度末に比べ197億96百万円増加しました。主な要因は、社債が200億円増加したこと、長期借入金が11億21百万円減少したこと等によるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は995億72百万円であり、前連結会計年度末に比べ19億90百万円減少しました。主な要因は、自己株式の取得により48億40百万円減少したこと、利益剰余金が26億23百万円増加したこと等によるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

①営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは183億67百万円の収入(前連結会計年度比125億59百万円の収入増)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が80億51百万円あったこと、減価償却費が81億73百万円あったこと、法人税等の支払額が42億38百万円あったこと等によるものであります。

 

②投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは165億45百万円の支出(前連結会計年度比78億48百万円の支出増)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出が107億44百万円あったこと、持分法で会計処理されている投資の取得による支出が24億34百万円あったこと等によるものであります。

 

③財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは35億77百万円の収入(前連結会計年度比74億10百万円の収入増)となりました。これは、主に社債の発行による収入が198億89百万円あったこと、社債の償還による支出が100億円あったこと、自己株式の取得による支出が48億57百万円あったこと、長期借入金の返済による支出が39億40百万円あったこと等によるものであります。

 

これらの結果に為替変動による増加額12百万円を考慮し、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より54億12百万円増加し、276億91百万円となりました。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績及び受注実績

 当社グループの事業内容は複合ソリューション事業、国内物流事業、国際物流事業、その他と多岐にわたっているため、生産実績を画一的に算定表示することは困難であり、また受注生産形態を採らない事業も多いため、生産実績及び受注実績は記載しておりません。

(2)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

複合ソリューション事業

214,411

105.0

国内物流事業

48,248

99.0

国際物流事業

48,175

117.0

報告セグメント計

310,834

105.7

その他

合計

310,834

105.7

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

      2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日本製鉄㈱

36,292

12.3

38,040

12.2

    3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に関する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。当社グループは連結財務諸表を作成するにあたり、退職給付会計、税効果会計、貸倒引当金の計上等において、過去の実績等を勘案するなど、合理的な見積り、判断を行った上で、その結果を反映させておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2) 経営成績

当連結会計年度における売上高は3,108億34百万円であり、前連結会計年度比で166億76百万円(5.7%増)の増収となりました。売上高が増加した主な要因は、海外関連分野や環境・エンジニアリング関連分野における新規連結会社の寄与、震災復興関連業務の増加等によるものであります。

売上原価は2,849億54百万円と、前連結会計年度比で168億6百万円増(6.3%増)となり、売上総利益は258億80百万円と、前連結会計年度比で1億30百万円(0.5%減)の減益となりました。売上原価増加の主な要因は、外注費の増加等によるものであります。

販売費及び一般管理費は161億94百万円と、前連結会計年度比で11億59百万円増(7.7%増)となりました。主な要因は、システム先行投資の増加等によるものであります。

以上の結果、営業利益は96億86百万円と、前連結会計年度比で12億90百万円(11.8%減)の減益、経常利益は95億59百万円と、前連結会計年度比で18億14百万円(16.0%減)の減益となりました。

特別損益は、減損損失17億11百万円を特別損失として計上いたしました。特別利益は固定資産売却益3億44百万円を計上しております。

その結果、税金等調整前当期純利益は80億51百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は45億93百万円となり、前連結会計年度比で16億95百万円の減益となりました。

なお、事業別の売上高及び営業利益の概況については、「経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

(3) 財政状態

(総資産)

当連結会計年度末における総資産の残高は2,234億99百万円であり、前連結会計年度末に比べ102億44百万円増加しました。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は898億35百万円であり、前連結会計年度末に比べ59億1百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が69億71百万円増加したこと、受取手形及び売掛金が14億84百万円減少したこと、貯蔵品が10百万円減少したこと等によるものです。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は1,336億63百万円であり、前連結会計年度末に比べ43億42百万円増加しました。主な要因は、建設仮勘定が23億円増加したこと、土地が10億8百万円増加したこと、繰延税金資産が7億26百万円増加したこと等によるものです。

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計の残高は1,239億26百万円であり、前連結会計年度末に比べ122億35百万円増加しました。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は528億45百万円であり、前連結会計年度末に比べ75億61百万円減少しました。主な要因は、1年内償還予定の社債が100億円減少したこと、その他流動負債が18億96百万円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が8億85百万円増加したこと等によるものです。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は710億81百万円であり、前連結会計年度末に比べ197億96百万円増加しました。主な要因は、社債が200億円増加したこと、長期借入金が11億21百万円減少したこと等によるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は995億72百万円であり、前連結会計年度末に比べ19億90百万円減少しました。主な要因は、自己株式の取得により48億40百万円減少したこと、利益剰余金が26億23百万円増加したこと等によるものです。

 

(4) キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況につきましては、「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因としては、ⅰ)顧客企業・顧客業界の動向、ⅱ)コスト動向、ⅲ)事故・災害、ⅳ)人材の育成・確保、ⅴ)法的規制の動向等が挙げられます。

ⅰ) 顧客企業・顧客業界の動向

当社グループは、顧客企業のニーズに応じて様々な請負サービス及び物流サービスを提供しております。当社グループの売上高は、請負業務の取扱量や物流業務の輸送量に連動する傾向があり、そしてこれらの取扱量や輸送量は、顧客企業の生産量・販売量に連動する傾向があります。したがって、顧客企業の生産・販売動向、ひいては顧客業界における市場動向が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。特に、当社グループの売上高のうち、43%が鉄鋼関連分野と食品・飲料関連分野の売上高であり、両分野の影響を強く受けます。また、近年ではメディカル関連分野や空港関連分野の事業規模が拡大傾向であり、これらの業界の動向も経営成績に影響を与える可能性があります。

さらに、顧客企業の外注化に関する方針に変更がある場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

ⅱ) コスト動向

当社グループの主要なコストは、人件費(労務費)、外注費、燃料費等であり、これらのコスト動向が経営成績に影響を与える可能性があります。

例えば、人手不足の深刻化や社会的な企業への賃上げ要請の高まりなどによって、人件費単価は上昇傾向にあり、当社グループにおいても人件費や外注費が増加する可能性があります。また、当社グループにおいて使用する輸送用車輌等の燃料費は、軽油価格等の変動の影響を受けております。

当社グループは、これらのコスト増加が生じた場合には、生産性向上等のコスト改善努力を行うとともに、顧客企業との協議により適正な業務単価の維持を図っていく方針ではありますが、コスト改善効果が十分ではなく、また、価格転嫁も困難となる場合には、減益要因となる可能性があります。

一方、人件費等のコスト上昇に伴い、顧客企業等において業務効率改善やコスト削減等を目的としたアウトソーシングを推進する動きが強まれば、当社グループの業務拡大の機会が増加し、当社グループの経営成績にプラスの影響を与える可能性があります。

ⅲ) 事故・災害

当社グループは、請負サービスや物流サービスの提供を通じて、顧客企業の生産工程やサプライチェーンに深く関与しております。したがって、当社グループの経営上最も重視すべき点は、安全衛生の向上並びにサービスの品質管理を徹底し、事故・災害を未然に防止すること、そして、さらにはこのような安全衛生・品質管理への徹底した姿勢を強みにまで昇華させることであると認識しております。安全衛生・品質管理への徹底した取り組みは、業務の生産性を維持・向上させ、顧客企業との信頼関係強化につながり、経営成績にプラスの影響を与える要因となります。しかしながら、当社グループの安全・品質の不備に起因する重大事故や災害が発生した場合には、当社グループのみならず顧客企業の社会的な信用の失墜に繋がり、当社グループの経営成績に大幅なマイナス影響を与える可能性があります。

ⅳ) 人材の育成・確保

当社グループでは、顧客企業のニーズに応じて多種多様な業務作業の請負を行っており、各業務作業に関して専門的な知識を有する人材を育成し、確保する必要があります。また、顧客企業の季節需要を含む業務の繁閑に対して、外注企業の活用を含めた柔軟な人員配置をコントロールする必要があります。したがって、必要な人材の確保・育成及び適正配置を行うことが、当社グループの健全な成長の前提条件であり、これが達成できない場合には、経営成績にマイナスの影響を与える可能性があります。

ⅴ) 法的規制の動向等

当社グループは、多種多様な許認可等を得て事業運営を行っております。これらの許認可等が一種の参入障壁となり、事業の安定に寄与している側面があります。当社グループはこれら関連法令等の遵守に努めており、本書提出日現在において事業運営上の支障をきたす状況は生じておりません。しかしながら、違反その他事由により必要な許認可等が停止又は取消となった場合には、当社グループの経営成績にマイナスの影響を与える可能性があります。

また、当社グループの事業の性質上、a)請負・派遣の区分等の適正化に係る規制、b)外注企業の活用における下請代金支払遅延等防止法(下請法)に係る規制、c)従業員の労務管理にかかる労働関連法令に係る規制、さらにはd)自動車NOx・PM法をはじめとする環境関連の法令・条例等について、留意する必要があります。当社グループの事業に関連する法的規制の強化等により、それに対応するためのコスト増や設備投資等が必要となる場合には、経営成績にマイナスの影響を与える可能性があります。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性

資金需要

当社グループの主な資金需要は、運転資金、設備資金、投融資資金があります。

運転資金については、請負業務、貨物輸送、倉庫業務といった営業活動に必要な資金(外注・材料費及び人件費等)や、一般管理費、販売費があります。

設備資金については、主に拠点拡大、整備等による倉庫建設や、車両運搬具及び機械装置といった固定資産購入によるものであります。投融資資金については、業容拡大のためのM&Aや事業提携による出資金があります。

財務政策

当社グループの資金調達に関しては、内部資金を充当し、不足分については有利子負債で調達しております。具体的な調達手段といたしましては、運転資金については短期借入金やコマーシャル・ペーパー発行により調達し、設備資金、投融資資金については長期借入金や社債発行による調達を実施しております。

なお、資金調達の実施にあたっては、キャッシュ・フローの状況、投資案件の進捗、金利動向を考慮し、調達時期、調達規模、調達手段を適宜判断し実施しております。

一方、グループ内の余剰資金を活用し、資金を必要とする当社グループ会社に融資する事で、資金の流動性を確保し、併せて有利子負債の圧縮に努めております。

 

(7) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、限られた経営資源を効率的に活用することで高い付加価値を生み出しつつ、中長期的な成長を達成することを目指しております。したがって、売上高や営業利益といった事業規模や成長性を示す指標と、売上高営業利益率や自己資本当期純利益率(ROE)といった収益性、投下資本利益率(ROIC)といった資本効率性を示す指標が、当社グループの経営上の目標の達成状況を判断する上での基本的な指標であると考えております。

2020年3月期の売上高は3,108億34百万円前連結会計年度比5.7%増、営業利益は96億86百万円(前連結会計年度比11.8%減)であり、営業利益率は3.1%(前連結会計年度と同水準)、ROEは4.7%(前連結会計年度比1.7ポイント減)、ROICは3.9%(前連結会計年度比0.7ポイント減)でした。今後も、2030年に向けた基盤作りを行うべく、人材の採用・育成コスト、システム関連コストなどの負担が増加することが見込まれます。しかし、これらのコストは、生産年齢人口の減少に伴う構造的な人手不足など長期的な経営環境の変化に対応するために、経営戦略上必要なコストであると考えております。

今後も経営環境の変化を機会と捉え、資本生産性を高めながら中長期的な成長を図ってまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(株式の取得による関連会社化)

当社は、2019年11月5日付で株式譲渡契約を締結し、MacroAsia Airport Services Corporation (以下MASCORP)」の株式20%を、その親会社であるMacroAsia Corporation (以下MAC)」から取得いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

(孫会社株式の売却)

当社の子会社である株式会社NKSホールディングは、2019年11月5日付で株式譲渡契約を締結し、日本空港サービス株式会社の株式30%を、MACに売却いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

 重要な記載事項はありません。