文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループが、革新を続け持続的成長を果たすために、企業理念を「『人』と『絆』を大切に、社会の基盤を革新し、新たな価値を創造します」とし、当社グループが長い歴史の中で築いてきた信頼と信用、その根幹をなすすべてのサービスの安全・品質に込める強い想いと誇りを示しております。そして、その使命を果たすことを皆様にお約束するために、ブランドメッセージを「私たちの約束:期待を超えなければ、仕事ではない」とし、その「私たちの約束」を具現化するため、全従業員の行動指針として「私たちの覚悟」を定めております。
また、2022年5月には、2030年ビジョンとして「技術で、人が、高みを目指す」と定めました。事業環境が大きく変化し、将来の予測が難しい時代にあっても、当社グループの永続的な企業価値の向上には人の成長が不可欠であることに変わりありません。一人ひとりが能力を磨き、真価を遺憾なく発揮できる環境を整えると同時に、当社グループの現場に長年蓄積されたノウハウをはじめとする有形・無形の財産である幅広い技術を活用し、業務改善・改革に取り組み、その過程で従業員一人ひとりが成長する。このような循環を作りだしてまいりたいと考えております。
2030年ビジョンの財務目標は下表の通り、営業利益250億円、ROE10%以上とし、売上高4,500億円は実現に向けたガイドラインと位置付けております。これは、売上高に偏った成長を追うのではなく、幅広い技術の活用をはじめとした創意工夫により、お客様や社会の困りごとを解決し、高い利益成長を図っていくことを意図しております。加えて、持続的な成長の観点から「環境」「人」「技術」の非財務目標を掲げております。
全従業員が2030年ビジョンを共有することで、一人ひとりが成長意欲を持ち活躍できる風土づくりを進めることで、目標達成に邁進してまいります。
2030年ビジョン[2031年3月期経営目標]
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財務目標 |
売上高※ |
4,500億円 |
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営業利益 |
250億円 |
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ROE |
10%以上 |
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非財務目標 |
環境 |
CO2排出量35%削減(2019年3月期比) |
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人 |
経営戦略に基づく人材育成の推進 従業員の働き甲斐(エンゲージメント)の向上 |
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技術 |
技術革新・DXによる自動化・省力化 労働環境改善による「安全」の絶えざる追求 |
※売上高はガイドラインとする。
(2)中期的な会社の経営戦略・対処すべき課題
はじめに、2024年2月9日に公表いたしました当社元従業員が取引業者と共謀した架空請求・横領等の不正行為の発生につきまして、株主・投資家、お取引先等の皆さまをはじめ、全てのステークホルダーの皆さまには多大なるご迷惑とご心配をお掛けする事態となりましたことを深くお詫び申し上げます。当社は内部統制調査委員会の調査結果及び再発防止に向けた提言を真摯に受け止め、再発防止策を検討・策定し、その概要の公表に加え、4月より代表取締役会長兼社長執行役員を会長とした経営品質協議会を立ち上げ、再発防止策の早期実施と徹底を図るとともに、コンプライアンス経営の推進に一層注力し、皆さまの信頼回復に全力で取り組んでまいります。
① 中期的な経営環境の認識
当社グループの事業においては人が根幹であり、人手不足の問題は中期的な大きな課題と捉えております。2024年4月より適用されたトラックドライバーや建設業の時間外労働時間の上限規制に伴ういわゆる「2024年問題」等もあり、人手不足は、中長期的な国内生産年齢人口の減少等と相まってさらに深刻化するものと考えております。一方で、人手不足への対応としてAI、IoT、ビッグデータ、ロボット等の革新的な新技術の活用が進展することで、将来的には、あらゆる業界において自動化・省人化が進んでいくと考えられます。当社グループの業務においても新技術を取り入れながら業務を改革・革新することが急務であると捉えております。
このような課題に対し、当社グループはこれらを脅威ではなく機会として捉え、新たな領域拡大に繋げることが不可欠と考えております。新たな領域拡大に向けては、長期視点、中期視点の両面で進めていくことが必要と考えており、長期視点ではデータを活用した物流ソリューション等新サービスの創出を目指し、研究開発を進めてまいります。
② 2024年3月期の振り返り
2024年3月期の当社を取り巻く環境は、社会経済活動の正常化の進展やインバウンド需要の回復等プラス要因があった一方、人手不足深刻化、人件費の上昇、円安等を背景とした原材料価格の高止まり等による物価上昇の影響もあり、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。このような環境の中で、空港関連での国際旅客便の復便に加え、グループ全体での継続した適正単価の収受や効率化等の取り組みにより、売上高は3,150億円、営業利益166億円、ROE8.9%となりました。
③ 現中期経営計画の概要
現在、当社グループでは2030年ビジョンの実現に向け、2023年3月期~2025年3月期までを対象期間とする中期経営計画を進めております。2024年3月期までを振り返りますと、収益力の向上については一定の成果が出ていると捉えておりますが、資本収益性の向上については引き続き課題と捉えております。資本収益性の向上につきましては、更なる収益力の向上、事業戦略の明確化、戦略を踏まえた資本政策のあり方の検討等の取り組みにより向上を図ってまいります。
なお、現中期経営計画では、「人と技術のシナジーで時代とともに変化する『期待を超える価値』を創造しよう」という基本方針を定め、当社グループの強みである「人」と、「現場でのノウハウや新技術」の活用により、さらなる企業価値の向上を実現すべく、以下の4つの重点事項を定めております。これらの取り組みについては最終年度となる2025年3月期においても引き続き進めてまいります。
重点事項
・革新への挑戦
注力事業における挑戦(含M&A)、技術の活用とDX並びに協業による挑戦、人的資本強化
・安全・安心の追求
より安全・安心な職場環境・社会の実現、安全人づくり
・サステナビリティの追求
全員参加で豊かな社会の実現
・収益力の向上
革新への挑戦による収益性・効率性の向上、収益の改善継続
④ 現中期経営計画の主要財務目標と進捗
現中期経営計画では、従来の売上高・営業利益といった事業規模や成長性を示す指標、自己資本当期純利益率(ROE)といった資本収益性を示す指標を目標とし進捗をモニタリングしております。
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2023年3月期 (実績) |
2024年3月期 (実績) |
2025年3月期 (予想) |
2025年3月期中期経営計画 最終年度 |
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財務目標 |
売上高 |
3,118億円 |
3,150億円 |
3,400億円 |
3,320億円 |
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営業利益 |
132億円 |
166億円 |
180億円 |
160億円 |
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ROE |
7.1% |
8.9% |
8.8% |
8.0% |
a) 収益力向上に向けた取り組み
当社グループは長年、業界を軸に事業本部を設置し、お客さま第一の体制を敷いてまいりました。お客さまからの信頼醸成、深耕化等に強みを発揮する一方、事業本部間のシナジーを十分に発揮出来ていないこと等、課題もありました。このような中、コロナ禍を乗り越える過程で多くの部門間連携が進み、収益改善はもとより多くの学びを得て、改めて部門間連携の重要性を認識いたしました。
この連携をさらに強め、より付加価値の高いサービスを提供していくべく、2023年4月には事業本部横断で請負並びにロジスティクス戦略委員会を取締役会の諮問委員会として立ち上げました。ロジスティクス戦略委員会においては「2024年問題」を契機に、配車業務の共通基盤システムの構築、幹線輸送におけるスイッチセンターの活用や他社との連携を促進する新たな仕組みの構築に取り組んでいるところです。また請負戦略委員会においては、部門連携による様々な事業機会の創出や現在の事業基盤をベースにした保全事業の具体化並びにこれら施策の実現に不可欠な人材の確保・育成強化の検討を行っているところです。
これらの取り組みを通じ、引き続き、付加価値の高いサービスの提供はもとより、新たなビジネスの獲得による収益力の向上と持続的成長に資する中長期の戦略構築に努めてまいります。
b) 資本収益性向上に向けた取り組み
持続的な成長と資本収益性向上の両立のためには、限られた経営資源の効果的かつ効率的な活用が不可欠です。当社グループは、資本収益性の向上を図るため、2017年よりROICを活用し、資本コストを意識した経営に取り組んでおります。取り組みにあたっては、全事業を基盤事業、改善事業、注力事業の3つに分類し、各事業の位置づけに応じた戦略の立案・実行・見直しを進めるとともに、全社最適の観点から事業ポートフォリオの見直しを進めております。
・当社グループの事業ポートフォリオ
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分類 |
分野 |
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基盤事業 |
鉄鋼関連、食品(食品)関連、食品プロダクツ関連、生活(生活)関連 |
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改善事業 |
生活(物流)関連、食品(定温)関連、国際関連 |
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注力事業 |
空港関連、エンジニアリング関連、メディカル関連、インド事業 |
そして、設備投資やM&Aの投資回収に関しては、投資判断から投資後モニタリングに至る仕組みを強化し、取締役会への報告と戦略の見直しを行い、投資回収の実効性を高める取り組みを行っております。また、前中期経営計画より継続している不採算事業の収益改善の取り組み(投下資本10億円以上の大規模拠点について、ROICの視点で対象を選定)については、2024年3月期を最終年度と計画しておりましたが、適正単価の収受や遊休資産の売却等が進んだ一方で、当初想定出来なかったエネルギーコストの高騰やフォワーディング事業における運賃市況の悪化もあり、当初目標としていた水準と比較すると達成率は50%にとどまる結果となりました。まずは諸コストの転嫁を進めると同時に、継続可否の検討も行い、現中期経営計画最終年度での達成に向け取り組んでまいります。
なお、上記取り組みにより、2024年3月期のROICは5.2%(前連結会計年度比0.9ポイントの向上)となり、ROEは8.9%(前連結会計年度比1.8ポイントの向上)となりました。
次に、資本コストの認識についてです。進行中の現中期経営計画策定時において当社の株主資本コストについては伊藤レポートや当時の市場評価を参考に8%と設定し、現中期経営計画最終年度(2025年3月期)のROE目標を8%と致しました。しかしながら、取締役会等で継続的に議論した結果、2022年3月期以降ROEが7%台に回復する中でも、下記の通り直近の市場評価において、相応した評価がなされないこと等を踏まえ、株主資本コストは8%ではなく、8~9%の認識に改めております。現状のROE・ROICの水準であれば、株主資本コスト・WACCを十分には超えていない水準と考えられ、引き続き資本収益性の向上は課題であると捉えております。まずは現中期経営計画最終年度の財務目標であるROE8%は必達目標とし、これを通過点として、2031年3月期に目標として掲げているROE10%以上の早期実現を目指します。そのために、2026年3月期から始まる次期中期経営計画では、引き続き収益力向上を図ると同時に、鉄鋼関連の高炉休止後の成長戦略や、資本効率を意識したバランスシートマネジメント方針の明確化を行ってまいります。

c) 資本政策のあり方
2030年ビジョンの達成と企業価値の持続的な向上のためには、新規設備投資やM&Aなどの成長投資に加え、技術革新・DX投資、既存設備更新等の一定の投資が必要です。これらの投資にあたり当社では、WACCを踏まえたハードルレートを基準としたNPVやROIC等の定量指標と戦略との整合性等の定性面を勘案し、企業価値向上に資するかどうか判断しております。
現中期経営計画においては、営業活動によるキャッシュ・フロー450~500億円(3ヵ年累計)を前提に、その範囲内での設備投資・M&A・株主還元を計画しており、財務規律については、投資余力・最適資本構成・株主還元余力のバランスを考慮して以下の目標を設定し、財務健全性を確保しております。
・DEレシオ0.8倍以下
・自己資本比率40%以上
・格付けA-以上
株主還元については、現中期経営計画1年目・2年目にあたる2023年3月期及び2024年3月期は、コロナ禍前の1株当たり年間配当額36円への早期回復、利益成長に応じた連結配当性向30%を目安とした増配に努めてまいりました。2025年3月期につきましては、さらなる株主還元の拡充と資本収益性向上を図るべく、連結配当性向30%以上、1株当たり年間配当額70円以上の株主還元を予定。同時に、経営環境に応じ自己株式の取得による追加還元も検討してまいります。また、2026年3月期から始まる次期中期経営計画においては、成長投資と株主還元の両立を図りつつ資本収益性向上を目指す株主還元方針を検討してまいります。
d) 空港関連と鉄鋼関連の取り組み状況
当社グループは、多様な企業との取引により事業リスクの分散を図り、特定企業又は業種の業況変動等による影響を低減するよう努めておりますが、コロナ影響を大きく受け、環境変化が著しい空港関連、業界の構造変化による影響が大きい鉄鋼関連については、特に重要課題であると認識し、それぞれ下記の通り取り組みを進めております。
空港関連の見通しと対応
2024年3月期につきましては、2023年5月以降の水際対策の撤廃もあり、全体的に大きく復便が進む一方で、中国便に関しては、他の方面と比較すると低調な結果となりました。しかしながら、空港関連全体では、予算の前提としたコロナ前と比較した本邦への国際旅客便就航率年平均60%をやや上回る結果となりました。
加えて、グランドハンドリング業界全体として人手不足の状況や処遇改善の必要性から適正単価の収受が大きく進んだことで、2020年3月期以来の黒字化を果たすこととなりました。2025年3月期に向けては、さらに復便が進むものと考えられ、それらの需要に応える体制を構築するため、外国人人材も含めた多様な人材確保と教育を進めると同時に、処遇改善による魅力の向上・定着率の向上や自動化等による業務負荷軽減を図ってまいります。
鉄鋼関連の見通しと対応
鉄鋼関連においては、2021年の和歌山第1高炉休止に続き、鹿島第3高炉が2025年3月期末をめどに休止予定となっており、具体的な時期は明示されておりませんが、2025年3月期末で閉鎖されるものと想定し、休止に向けた準備と安定操業の完遂の両面で適時適切な要員の再配置、それにともない必要となる資格の取得支援等の対応を進めております。
加えて、DX推進やドローン活用による作業の効率化等の取り組みを進め、顧客への提供サービスをより高度化することでパートナーシップを強化してまいります。
⑤ 現中期経営計画の主要非財務目標と進捗
現中期経営計画では、財務目標に加え、2030年ビジョンと同様に非財務面で、「環境」「人」「技術」に関し目標を掲げ、進捗をモニタリングしております。
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2023年3月期 (実績) |
2024年3月期 (実績) |
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非財務目標 |
環境※ |
161,929t-CO2 (2019年3月期比 CO2排出量17%削減) |
142,833t-CO2 (2019年3月期比 CO2排出量26.5%削減) |
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人 |
・タレントマネジメントシステム導入による人材情報の可視化 ・外部調査機関を通じたエンゲージメントサーベイの実施 |
・タレントマネジメントシステムの利活用促進による人材情報の可視化・事業戦略に即したバックキャスト思考による人材マネジメントの仕組みづくり推進 ・ウェルビーイングサーベイの継続実施とPDCAによる改善活動の始動 |
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技術 |
1.新技術導入による現場改善 ①現場への技術導入実績件数:19件 ②現場への技術導入に向けたPoC件数:55件 ③技研ICでの技術検証件数:13件 2.デジタル技術を活用した現場改善 ①新統合WMS導入実績件数:1件 ②事業現場業務の生産性向上実績件数:7件 ③MOVE導入実績件数:3件 3.全社改善活動の推進 ①本社安全品質活動報告会事例件数:8件 ②支店安全品質活動報告会件数:79件 ③コーポレート部門改善報告会事例件数:6件 |
1.新技術導入による現場改善 ①現場への技術導入実績件数:26件 ②現場への技術導入に向けたPoC件数:45件 ③技研ICでの技術検証件数:9件 2.デジタル技術を活用した現場改善 ①新統合WMS導入実績件数:3件 ②事業現場業務の生産性向上実績件数:12件 ③MOVE導入実績件数:8件 3.全社改善活動の推進 ①本社安全品質活動報告会事例件数:8件 ②支店安全品質活動報告会件数:76件 ③コーポレート部門改善報告会事例件数:6件 |
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2025年3月期 (予想) |
2025年3月期 (現中期経営計画目標) |
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非財務目標 |
環境※ |
CO2排出量20%削減(2019年3月期比) |
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人 |
経営戦略に基づく人材育成の推進 従業員の働き甲斐(エンゲージメント)の向上 |
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技術 |
技術革新・DXによる自動化・省力化 労働環境改善による「安全」の絶えざる追求 |
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※対象範囲は単体及び国内連結会社のエネルギー起源Scope1,2
2023年3月期数値について第三者検証完了につき、前年度より一部修正しております。
2024年3月期数値は第三者検証未了のため、変更の可能性があります。
a) 環境に関する取り組み
当社グループでは、CO2排出量を2031年3月期までに35%削減(※)、2050年にはカーボンニュートラルの実現を目標に掲げております。そのようななかで、中計の最終年度2025年3月期には20%(※)の削減を目標に掲げ、自社契約電力の再生可能エネルギー由来の電力100%導入並びに省資源・省エネルギー化に取り組んでおり、2024年3月期末では、26.5%(※)の削減となりました。引き続き、上記取り組みを進めると同時に、事業活動を通じた環境負荷低減が実現できるよう、新技術の導入や生産性の向上にも取り組んでまいります。
また、Scope3については、2023年3月期より集計を開始し、同年度の排出量は694,646t-CO2でした。今後はScope3も含めた排出量削減に向け、課題の整理や必要な取り組み、目標設定に向けて取り組んでまいります。
※削減目標・削減実績はすべて2019年3月期比。対象範囲は単体及び国内連結会社のエネルギー起源Scope1,2
b) 人に関する取り組み
2030年ビジョンの非財務目標「人」に掲げる目標である「①経営戦略に基づく人材育成の推進」及び「②従業員の働き甲斐(エンゲージメント)の向上」に関わり、2024年3月期には下記の取り組みを実施しました。
経営戦略に基づく人材育成の推進
・人材情報の可視化…2021年に導入したタレントマネジメントシステムの利活用促進(搭載情報拡充と利用者階層拡大)により全社的な人材情報の可視化が飛躍的に向上
・人材マネジメントの仕組みづくり…事業戦略に即したバックキャスト思考による人材ポートフォリオの実現に向けて、キャリアパス策定と人材プール化の準備を進め、将来の経営人材や事業部門・コーポレート部門それぞれのエキスパート人材育成の仕組みづくりを推進
・キャリア採用の強化…多様性の確保に重点を置くとともに、今後の事業戦略に対応するための要員計画に従ってキャリア採用を強化(実績:21名)
・コーチングワークショップの展開…役員・管理職クラスを対象に、自律型人材の育成をねらいとしたコーチング研修を継続して実施(累計実績:157名)
従業員の働き甲斐(エンゲージメント)の向上
・ウェルビーイングサーベイの継続実施…サーベイ結果の分析、各部門へのフィードバック、スコア向上施策の策定・実行の取り組みをPDCAサイクルによる継続的な改善活動として始動
・健康経営優良法人2024認定の取得…2024年3月に経済産業省・日本健康会議主催「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」の認定を取得
・従業員の福利厚生制度の充実…2024年4月より病気やけがの収入不安に備えたGLTD(団体長期障害所得補償保険)の導入、社内レクレーションに代わるカフェテリアプランの導入
c) 技術に関する取り組み
2030年ビジョンでも示している通り、当社グループの価値の源泉である「人」が、さらなる付加価値を生み出すカギは「技術」であると考えております。この「技術」は新技術・DX等のデジタル技術と従業員個人や現場にあるアナログ技術(改善活動、安全な環境づくり、品質等)との組み合わせを含む幅広い「無形資産」であると定義しております。
そのため、中期経営計画では「新技術による現場革新」「DXによる事業革新」「新技術による安全性向上」の強化を進めております。属人的になりがちな経験、知恵、ノウハウの共有化を進めると同時に、今後は新技術やDXを活用することで、当社ならではのサービス提供を目指しています。具体的には、「技術」を社内で容易に水平展開できるよう、実際に各現場で導入された事例、あるいはその効果を「技術ライブラリー」で見える化し、全ての従業員が新しいアイデアの創出に活用することで、付加価値創出を強化してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
当社グループは、お客さま、地域社会の皆さまと共に、144年の歴史を歩んでまいりました。2030年、またその先を見据えた際にも、「社会基盤の革新」という創業以来の理念を大切に、ひたむきに取り組むことで、さらに豊かな企業価値を創出し、ステークホルダーの皆さまと共有してまいります。そのためには、近年ますます重要視されているサステナビリティ・ESG課題に焦点を当て経営としての取り組みを強化し、サステナブルな社会構築との調和を図りながら発展していくことが不可欠であり、SDGsの多面的な目標に対して貢献を果たしてまいります。
①ガバナンス
サステナビリティ委員会は取締役会の諮問機関として、取締役会からの諮問に対する答申の他、サステナビリティに関する個別の課題についての討議を行い、その内容を取締役会へ定期的に報告することとしております。また、本委員会の傘下には機能別に5つの部会と2つのワーキング・グループ(WG)を設けており、各部会・WGが策定した年次計画、運用状況などは本委員会に定期的に報告し、評価を受けることとしております。さらに、各部会には社外有識者1名を招くなど、公正性・客観性の確保にも努めております。
②戦略
当社グループの2030年ビジョンでは「技術で、人が、高みを目指す」を「私たちの目標」に掲げ、その実現に向けて2023年3月期より3か年の中期経営計画を策定しております。その中で中長期的な非財務目標として「環境」「人」「技術」の3項目を以下のとおり設定しております。
環境:カーボンニュートラルの実現を目指し、循環型社会の形成に貢献してまいります。
人 :経営戦略に基づく人材育成を推進し、持続的成長に向けた人的資本経営を推進してまいります。
技術:技術革新・DXによる自動化・省力化と、技術を活用した安全・安心な労働環境づくりに努めてまいります。
詳細は「
なお「環境」「人」「技術」につきましては、サステナビリティ委員会にて重要な検討事項としてモニタリングをしており、引き続き取り組みの推進を図ります。今後はこれら3項目の非財務目標に限らず、ステークホルダーへのヒアリングやサステナビリティに関する国際基準と照らし合わせ、幅広く情報収集・分析することで重要課題を過不足なく抽出し、企業価値向上を目指すという観点で関係が深いマテリアリティを特定いたします。そして経営戦略に組み込み、事業活動の持続可能性を高めてまいります。
③リスク管理
「リスクマネジメント規程」により、事業上のリスク管理に関する基本方針や体制を定め、リスクマネジメント部会を設置して、企業価値を毀損させる可能性のあるリスクの発現や、危機の発生を予防・抑制する活動を継続的に展開し、実効性のあるリスク管理体制の運用を図ります。
リスクマネジメント部会においては、事業上のリスクを①事業継続リスク、②資産保全リスク、③業務運営リスクの3つのカテゴリーに分類するとともに、2つの管理レベル(全社リスクと部門リスク)を設け、カテゴリーと管理レベルに応じて適正なリスク管理を実施します。
「事業継続計画(BCP)」に関して、危機対応マニュアルの整備や「危機管理基準」を制定し、大災害や大事故、不祥事等の不測の事態が発生した時でも事業の継続や早期の復旧・再開ができる体制を構築します。
④指標及び目標
サステナビリティに関する目標は、グループ非財務指標として当社の2030年ビジョン、また中期経営計画に織り込まれております。詳細は、「
(2)気候変動
当社グループは気候変動が地球環境や人類、企業活動に影響を与える重要な課題であると認識しており、持続可能で豊かな社会の実現に貢献するためにも、地球温暖化の緩和に向けた活動を積極的に推進しております。当社グループは2022年6月にTCFDへの賛同を表明いたしました。
①ガバナンス
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「サステナビリティ委員会」を取締役会の諮問機関として設置し、取締役会からの諮問に対する答申の他、気候変動に係る事項を含むサステナビリティに関する課題についての討議を行い、その内容を取締役会へ定期的に報告することとしております。 本委員会の傘下には機能別に5つの部会を設けており、そのうち「環境部会」にて毎四半期、各本部の環境データをもとに本部ごとの環境取り組み状況について情報共有し、それぞれの課題に対する具体的な解決策を議論しております。また、同部会には社外有識者1名を招聘しており、公正性・客観性の確保に努めております。 |
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②戦略
気候変動の顕在化による事業上のリスクや機会を特定するとともに中長期戦略を策定しております。下表は特定したリスクと機会の概要であります。
③リスク管理
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全社にわたるリスク情報は、気候関連リスクは「環境部会」で、その他のリスクは、各部会からの情報を集約する形で「リスクマネジメント部会」(部会長:全社のリスクマネジメント担当)で把握・管理しております。気候関連リスクについては、環境部会傘下の「環境小部会」でリスクの低減、洗い替え・更新などを継続的に実施しており、同内容は環境部会に報告後、リスクマネジメント部会にも報告しております。 |
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④指標及び目標
カーボンニュートラル実現に向け、まずは2025年3月期末までに、自社契約電力の再生可能エネルギー由来の電力100%導入を目指しております。
その他、業務連絡車のEV代替・太陽光パネル設置、各種省エネ施策等CO2排出量削減に資する取り組みも行ってまいります。
(3)人的資本
当社グループの経営課題と経営戦略においては「人」に関するテーマが大きなウエイトを占めております。それは、当社グループの強みの源泉である「人」の成長こそが、持続的な企業価値向上につながることを表しております。2030年ビジョンでは、教育・訓練など人への投資を通じて、そのパフォーマンスを最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげていこうとする「人的資本経営」に取り組んでまいります。最先端技術の導入、デジタル化、働き方の変化や価値観の多様化など、これまでの常識を超えたイノベーションを起こすために、高い専門性や多様な視点で新たな発想を生み出せる人材を確保、育成するために人への投資を強化し、持続的に企業価値を押し上げてまいります。
①戦略
人材育成については、当社グループ
また、社内環境整備については、当社グループ
②指標及び目標
人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容、並びに当該指標を用いた実績及び目標は以下のとおりであります。
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開示事項 |
対象 |
24年3月期 (実績) |
25年3月期 (予想) |
(計画) |
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全労働者計 |
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6.6億円 |
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全労働者計 |
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20.0時間/人 |
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サーベイ結果 良好度(偏差値) 注意度(偏差値) モラール(0~7の平均値) |
専門職(管理監督者) 総合職 |
良好度 50 注意度 47 モラール 4.36 |
良好度 52 注意度 46 モラール 4.50 |
良好度 53 注意度 43 モラール 4.70 |
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専門職 総合職 上記計 |
23.8% 8.6%
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21.4% 7.7% 20.0% |
18.5% 10.8%
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全労働者計 |
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2.70% |
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(注)1.当社グループでは、当社およびグループ各社の事業特性等に応じてそれぞれ独自に具体的な取り組みを進めているため、指標及び目標については連結会社での記載が困難であります。このため、上記指標の数値はすべて提出会社を対象に算出したものであります。
2.サーベイ結果につきましては、2024年2月にパーソル総合研究所によるウェルビーイングサーベイを実施した結果であります。
(1)良好度及び注意度は、パーソル社の全国平均に対する当社スコアの偏差値であります。
・良好度:社員のはたらく幸せ実感(高偏差値ほど良好)
・注意度:社員のはたらく不幸せ実感(低偏差値ほど良好)
(2)モラールは、組織の状態(集団の士気)を7段階評価で測定した当社の平均値であります。
3.障がい者雇用率は、障がい者雇用納付金の算出方法である4月から翌年3月の1年間における障がい者の延べ人数により算出しております。
③人権への取り組み
近年の人権対応は、一企業内にとどまることなく海外を含めたサプライチェーン全体にわたるものとされ、その領域は大きく広がっています。KONOIKEグループでも対応を進めるべく、2023年4月に「KONOIKEグループ人権方針」を策定し、新たな視点で人権に対する取り組みを開始しました。
今後は取り組みを具体的なものとすべく、人権デュー・ディリジェンスの推進に努めます。人権への負の影響の特定・分析・評価、人権に関する社内教育・研修、サプライヤー行動規範の策定などサプライチェーン全体における取り組みを進めることで、実効性を高めてまいります。
④健康経営の推進
当社は2023年2月に「健康経営宣言」を発表し、組織的な健康保持・増進活動の展開と健康づくりのための様々な施策を推進、従業員一人ひとりが心身ともに健康で活き活きと輝くことで、幸せを実現できるよう健康経営に積極的に取り組んでいくことを宣言しております。
2024年3月には経済産業省及び日本健康会議主催の「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に初認定されました。今後も、従業員の心身の健康の保持・増進によるパフォーマンス向上と、ワークライフバランス推進施策による人材の安定的な確保と定着率の向上に取り組んでまいります。
当社グループの事業及び経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
1.経済動向について
当社グループは、主として国内の製造業や流通・小売・サービス業等を顧客基盤として、生産や物流等にかかる各種アウトソーシングに関する事業を展開しており、景気動向、消費動向及び各種業界の業況等の変動により影響を受けております。
2.顧客企業等の動向について
当社グループは、多様な企業との取引により事業リスクの分散を図り、特定企業又は業種の業況変動等による影響を低減させる方針を有しております。しかしながら、2024年3月期においては、特定の主要顧客グループとの取引額は、当社連結売上高のうち、鉄鋼業界向け売上高が約16%を、飲料・食品業界向けが約26%を、それぞれ占めており、引き続き、これらの業界動向等に影響を受けやすい構造にあります。
また、業界動向に加えて、当社グループの主要な顧客企業において、生産調整や物流需要の減少、業界再編や海外移転の進展、その他経営戦略の変更により事業拠点の閉鎖・縮小又は取引関係に重大な変更が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
3.自然災害、感染症等について
当社グループが事業を展開する地域における大規模な地震や台風等による自然災害や、自社又は顧客企業の事業所施設における火災等による災害の発生、また新型ウイルスなどの疾病の発生・流行等が生じた場合に、その被災状況や感染状況によっては事業活動が困難となり、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。その影響を最小限に抑えるべく、事業継続計画(BCP)の整備、非常時を想定した訓練等を実施しております。
新型ウイルスなどの疾病の発生・流行等のリスクについては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行により顕在化いたしました。一例として、空港関連においては、各国の水際対策の強化に伴う航空便の減便による影響は、依然として残っております。今後、復便が進むにつれ、影響は軽減するものと思われますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大前の2019年までの回復には一定程度の時間を要すると考えております。そのため、複合ソリューション事業における空港関連を中心に当社グループの経営成績及び財政状況への影響は、今後も注視してまいります。
また、当社グループは気候変動が地球環境や人類、企業活動に影響を与える重要な課題であると認識しており、持続可能で豊かな社会の実現に貢献するためにも、地球温暖化の緩和に向けた活動を積極的に推進しております。詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。
4.コンプライアンスについて
当社グループは、顧客や取引先等ステークホルダーとの信用並びに信頼の維持向上及び財務報告の正確性を確保するために、法令遵守に係る規程等を制定し、国内外の法令・ルール等の遵守を徹底して内部統制システムの強化に努めるとともに、内部通報制度を整備し、法令遵守違反・経営者及び従業員等による不正行為、潜在的な利益相反等に対し、早期の発見や迅速な対応に努めております。しかしながら、その内部統制システムが有効なものであっても、不注意による誤謬、複数の従業員等による不正行為等により、コンプライアンスに関するリスク並びに社会的な信用やブランド価値が毀損されるリスクを完全に回避することはできず、当該リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
5.競合について
当社グループの事業は、主として業務請負及び貨物運送・倉庫業務を展開しており、顧客企業の事業活動の一部を請負う形態であります。これら業務においては、受注にかかる競合他社との価格競争が生じていることに加えて、顧客企業自身の業務効率化・コスト削減等を目的とした内製化の可能性があります。
当社グループは、様々な現場での業務経験やノウハウと、徹底的な現場目線による課題の改善・改革提案力に基づき、業務オペレーションの効率化、業務品質の向上、顧客ニーズを踏まえた柔軟なサービスの提供を行っております。これらの事業活動を通じ、顧客企業からの評価向上及びリレーションの強化を図り、差別化による受託業務拡大を推進しております。しかしながら今後において、当社グループのサービスの優位性が低下した場合や、競合等により請負単価が想定以上に低下した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
6.人材の育成・確保について
当社グループでは、顧客企業のニーズに応じて多種多様な業務の請負を行っており、各業務に関して顧客が求める専門的な知識を有する人材を確保、育成し、そのスキルを伝承していく必要があります。
当社グループでは人的資本経営を推進するため、積極的な採用活動を進めるとともに、人材育成のためのキャリアプランの策定、教育制度の充実を図ることで、必要な人材の確保に努めております。しかしながら、国内においては構造的な労働力人口の減少に加え、2024年問題等に起因する中長期的な人手不足への対応が喫緊の課題となっております。これらの課題への対応に伴い、労働力の確保や労働環境の維持・向上のため人件費等の費用が増加する可能性があるほか、今後必要な人材の育成及び確保、並びに適切な人員配置等に支障が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループは、労働環境の維持・向上及び外注企業も含めた人権問題にも適切に対応し、業務運営の円滑化に努めておりますが、当社グループ又は外注企業における差別的な行為などの人権侵害の発生により社会的信用を失墜し、顧客企業からの取引の停止など事業活動に影響が出るおそれがあり、これらに起因して経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
7.当社グループの設備投資等について
当社グループは、新規顧客企業の獲得並びに既存顧客企業との取引拡大等を目的として、物流拠点の整備、車両運搬具及び機械装置を中心に設備投資を実施しており、また、顧客企業の事業拠点内に受託業務遂行のための専用設備等を保有する場合があります。設備投資は、将来見込まれる受注業務等を考慮して実施しておりますが、実際の受託業務での収益が想定を下回った場合には、減価償却負担等の増加による利益圧迫等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループの各事業において、経済環境や事業環境の変化、顧客企業との取引関係の変化等により、事業所等における採算性が低下し損失計上が継続した場合には、保有資産等にかかる減損損失を認識する必要があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
8.受託業務におけるトラブル等について
当社グループは、顧客企業からの受託業務において多種多様な業務工程を担当しており、顧客製品の品質等に影響を及ぼす重要工程も一部含まれております。請負業務については、業務管理全般にわたる責任が受託企業にあり、個々の業務において、労務管理をはじめ、顧客企業の製品の生産量、納期、品質、更には設備、資材管理の領域まで責任を負っており、当社グループは、顧客企業の要求水準を達成するため適切な業務手順を遵守した業務運営に努めております。
しかしながら、受託業務において、当社グループの何らかの瑕疵に起因した品質低下、操業遅延や停止等によるトラブル等の発生により、顧客企業の事業活動に重大な支障が発生する又は多額の損失が発生する様な事象が生じた場合、当社グループの信頼性低下や損害賠償請求の発生、取引解消等に発展し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
9.事故及び労働災害について
当社グループの事業は、トラック、フォークリフト及び大型機械の操作をはじめとして、危険を伴う作業が含まれております。当社グループは、当該状況を踏まえて安全衛生管理を最重要課題として捉え、安全及び衛生管理の徹底を図り、事故を未然に防ぐため業務遂行に際して細心の注意をはらう様に努めております。
しかしながら、何らかの不測の事由から労働災害や事故等が発生する可能性があります。これら事故等について、訴訟問題や重大事故等に起因した行政処分に発展した場合には、損害賠償請求が生じる可能性があるほか、当社グループの社会的な信用及び顧客の信頼を失うことにも繋がり、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
10.技術革新について
当社グループは、多種多様な業務請負を行っておりますが、人工知能やロボット技術等の進歩により生産工程や物流現場等の自動化・省力化が進むことで、当社グループが従来請け負っていた業務が代替され、減少する可能性があります。当社グループでは、顧客の生産・物流現場等に固有のノウハウを蓄積するとともに、新技術を活用した新たな請負の形を模索するなど対応に取り組んでおります。しかしながら、そうした技術革新への対応が十分に図れない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
11.資金調達について
当社グループは、事業資金を金融機関からの借入又は社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。市場金利が上昇した場合、資金調達コストの増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、金融市場の混乱等により金融機関の融資圧縮等が生じた場合や、格付会社による当社格付の引下げ等が生じた場合には、当社グループの資金調達において、必要な資金調達に支障が生じること等により事業展開の制約要因となる可能性があり、また、これらに起因して当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
12.法的規制等について
①許認可等について
当社グループは、事業運営等に際して多種多様な法的規制を受けており、各事業にかかる主要な許認可等は以下のとおりであります。
当社グループはこれら関連法令等の遵守に努めており、本書提出日現在において事業運営上の支障をきたす状況は生じておりません。しかしながら、違反その他事由によりこれら許認可等が停止又は取消となった場合又は法的規制の見直しや新たな制定等により規制強化が生じた場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
主要事業許認可
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許認可の名称 |
法律名 |
監督省庁 |
当社グループの対象事業 |
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労働者派遣業 |
労働者派遣法 |
厚生労働省 |
複合ソリューション事業 国内物流事業 国際物流事業 |
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港湾労働者派遣事業 |
労働者派遣法 |
厚生労働省 |
国際物流事業 |
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一般貨物自動車運送事業 |
貨物自動車運 送事業法 |
国土交通省 |
複合ソリューション事業 国内物流事業 国際物流事業 |
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貨物利用運送事業 (第一種、第二種) |
貨物利用運送 事業法 |
国土交通省 |
複合ソリューション事業 国内物流事業 国際物流事業 |
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倉庫業 |
倉庫業法 |
国土交通省 |
複合ソリューション事業 国内物流事業 国際物流事業 |
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建設業 |
建設業法 |
国土交通省 |
複合ソリューション事業 国際物流事業 |
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産業廃棄物収集運搬業 |
廃棄物処理法 |
環境省 |
複合ソリューション事業 |
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産業廃棄物処分業 |
廃棄物処理法 |
環境省 |
複合ソリューション事業 |
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保税蔵置場 |
関税法 |
財務省 |
複合ソリューション事業 国内物流事業 国際物流事業 |
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特定航空貨物利用運送事業者 |
航空法 |
国土交通省 |
国際物流事業 |
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特定航空運送代理店業者 |
航空法 |
国土交通省 |
国際物流事業 |
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航空運送代理店業 |
航空法 |
国土交通省 |
国内物流事業 国際物流事業 |
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通関業 |
通関業法 |
財務省 |
国際物流事業 |
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海上運送事業 |
海上運送法 |
国土交通省 |
国際物流事業 |
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港湾運送事業 |
港湾運送事業法 |
国土交通省 |
国際物流事業 |
②主要な業務関連法令等について
当社グループの事業の性質上、a)請負・派遣の区分等の適正化に係る規制、b)外注企業の活用における下請代金支払遅延等防止法(下請法)に係る規制、c)従業員の労務管理にかかる労働関連法令に係る規制について、留意する必要があります。
当社グループは、請負・派遣適正化及び下請法については、社内規則・マニュアル・チェックリスト等の整備・運用及び管理の徹底を図るとともに、全事業所を対象とした定期調査を実施し、当該法令順守の推進・維持を含む適切な業務運営が遂行されるように努めております。また、労働関連法令については、業務請負という特性から当社グループの業務量は顧客企業の生産活動等に左右され、突発的な業務量増大等に起因して従業員の労働時間増加が生じる場合があり、適切な人員配置等を推進するとともに、労使間協定の締結及び遵守並びに労働時間の適切な管理の徹底等により、法令及び協定等の遵守を推進しております。
しかしながら、これらの管理不備による不正や違反等により行政処分等が生じた場合には、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③環境規制について
当社グループが使用する貨物トラック(ディーゼル車輌)は、国及び自治体による自動車NOx・PM法及び環境条例等の対象となります。当社グループは、かかる環境規制が定める基準適合車を使用する等、これら規制を順守するために必要な取り組みを行っております。しかしながら、将来においてさらなる規制強化が生じた場合は対策のための費用増加等が生じる可能性や、対応が困難となる場合には事業における制約要因となる可能性があり、これらにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
13.燃料費及び電力料金等の変動について
当社グループにおいて使用する輸送用車輌及び船舶等の燃料費は、原油価格の変動により影響を受けております。今後において、国際的な原油市場の需給バランス、金融情勢、産油国の政治情勢等の影響に伴う原油価格の動向によっては燃料費が上昇する可能性があります。また、当社グループが業務において使用する冷凍冷蔵倉庫をはじめとする倉庫・物流設備等は相応の電力を消費することから、電力料金引き上げ等が生じた場合には費用増加が生じる可能性があります。
当社グループは、これらコスト増加が生じた場合には、顧客企業との協議等により適正な業務単価の維持を図っていく方針でありますが、十分な価格転嫁が困難となる場合には、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
14.海外への事業展開について
当社グループは、国内における事業展開に加えて、アジアや北米などを中心とした地域に拠点を設け、グローバル展開する日系企業及び現地企業を対象とした海外展開強化を推進しております。これら事業展開においては、各地域において法律・規制、為替、社会・政治及び経済動向等の影響を受けております。また、債権回収、取引先との関係構築・拡大、従業員の管理等の点において、海外の商習慣・文化に関する障害に直面する可能性があります。さらに、海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性もあります。
当社グループは、海外進出に際して各地域における法令・政情・経済情勢その他にかかる調査等によるリスクの把握及び対応に努めておりますが、予期せぬ情勢変化等が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
15.M&A、事業提携について
当社グループは、今後の業容拡大においてM&A及び事業提携戦略は重要かつ有効であると認識しております。M&Aや事業提携を行う場合においては、対象会社を慎重に検討し、対象会社の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンス(注)を行うことによって、極力リスクを回避するように努める方針としておりますが、買収後に偶発債務の発生等、未認識の債務が判明する可能性も否定できません。また、のれんが発生する場合はその償却額を超過する収益力が安定的に確保できることを前提としておりますが、買収後の事業環境や競合状況の変化等により買収当初の事業計画遂行に支障が生じ、計画どおりに進まない場合は当該のれんに係る減損損失等の損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注)デューデリジェンス(Due diligence):M&Aなどの取引に際し、対象企業の法務・財務・ビジネス・人事・環境などを含めた総合的な資産評価に係る調査活動のことであります。
16.顧客情報の管理について
当社グループは、業務請負等を通じて、顧客企業の経営上の機密情報や個人情報等の様々な重要情報を取り扱っております。当社グループにおける情報管理は、社内規程の整備・運用及び定期的な研修等により周知徹底を図っておりますが、何らかの要因により外部漏洩やデータ喪失等が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜や損害賠償請求等が生じる可能性があり、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
17.訴訟等について
当社グループの事業運営において、予期せぬトラブル・問題が生じた場合、当社グループの瑕疵に関わらずこれらに起因する損害賠償の請求や、訴訟を提起される可能性があります。これら事象が発生した場合には、訴訟内容や損害賠償額及びその結果等により、当社グループの社会的信用に影響を及ぼすほか、経営成績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。事業に関わる各種法令を遵守するとともに、契約条件の明確化、相手方との協議の実施等により紛争の発生を未然に防ぐよう努めております。
18.退職給付債務について
当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上設定した前提条件に基づいて算出されております。しかしながら、年金資産の時価の下落、金利環境の変動等により、退職給付費用が増加した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、社会経済活動の正常化の進展やインバウンド需要の回復等プラス要因があった一方、人手不足深刻化、人件費の上昇、円安等を背景とした原材料価格の高止まり等による物価上昇の影響もあり、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。
このような経営環境のもと、当社グループは2025年3月期を最終年度とする中期経営計画の2年目にあたり、2023年4月から取締役会の諮問機関として、新たに請負並びにロジスティクス戦略委員会を立ち上げ、2024年問題をはじめとする足下の全社的な課題解消に加え、付加価値の高いサービス提供、新たなビジネスモデルの開発等、中長期的な請負・ロジスティクス事業の戦略の明確化を図るべく部門横断的な取り組みを進めているところです。これらの取り組みにより、更なる事業の拡大並びに収益力の向上を図ってまいります。また、空港関連においては、国際旅客便の回復や単価改定、領域拡大等により収益改善が大きく進み、2020年3月期以来4期ぶりに黒字に転換しました。引き続き更なる復便とグランドハンドリング事業の持続的な発展に向け、体制強化や領域拡大に努めてまいります。
当連結会計年度における経営成績については、空港関連での国際旅客便の復便等での取扱量増加、主に得意先の生産回復や猛暑等による増産、大口スポット作業の継続獲得、生産請負作業での単価アップ、エンジニアリング関連での大型案件の受注等の増収要因が、海上・航空貨物の需要減退や運賃市況等のマイナスの影響を上回ったため、売上高は3,150億29百万円(前連結会計年度比1.0%増)となりました。
利益については、燃料価格や電気料金の高止まりはあったものの、空港関連での取扱量増加に伴う黒字転換に加え、2022年4月からスタートした「新中期経営計画2023年3月期~2025年3月期」の基本方針である収益力の向上に継続して取り組み、適正単価の収受、業務効率化等を進めた結果、営業利益は166億34百万円(同25.6%増)、経常利益は170億34百万円(同19.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は113億49百万円(同36.7%増)となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。なお、セグメント利益は一般管理費控除前の営業利益であります。
①複合ソリューション事業
空港関連における国際旅客便の復便や食品プロダクツ関連における猛暑等による得意先増産での取扱量の増加や新拠点稼働、鉄鋼関連における生産請負作業での大口スポット作業の継続獲得や単価アップ、エンジニアリング関連における大型工事の受注が寄与した一方で、2022年9月での震災復興作業の終了や一部得意先からの業務撤退もあり、売上高は2,019億65百万円(前連結会計年度比6.9%増)となりました。
利益は、燃料価格や電気料金の高止まり、流通センター倉庫の大規模修繕費の発生はあったものの、主に空港関連での取扱量増加に伴う黒字転換や鉄鋼関連でのスポット作業等獲得に加え、適正単価の収受及び徹底した業務効率化の結果、173億92百万円(同33.9%増)となりました。
②国内物流事業
食品関連(定温)における定温新倉庫の稼働等による取扱量の増加や生活関連における土産物やガス機器等の取扱量の増加により、売上高は539億1百万円(前連結会計年度比2.3%増)となりました。
利益は、燃料価格や電気料金の高止まりもあったものの、増収効果に加え適正単価の収受及び業務効率化等により収益改善に努めた結果、30億81百万円(同1.1%増)となりました。
③国際物流事業
海上・航空貨物の需要減退や運賃市況等のマイナスの影響が大きく、インド・タイ・アメリカ等での倉庫・輸送取扱量の増加もありましたが、売上高は591億36百万円(前連結会計年度比15.8%減)となりました。
利益は、一部拠点での業務効率化等による増益はあるものの、事業全体としては、取扱量減少等により30億10百万円(同15.3%減)となりました。
財政状態の状況は次のとおりであります。
(総資産)
当連結会計年度末における総資産の残高は2,770億56百万円であり、前連結会計年度末に比べ110億34百万円増加しました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は1,381億76百万円であり、前連結会計年度末に比べ59億21百万円増加しました。主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産が45億79百万円増加したこと、流動資産のその他が10億55百万円増加したこと等によるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は1,388億80百万円であり、前連結会計年度末に比べ51億12百万円増加しました。主な要因は、土地が17億76百万円増加したこと、建物及び構築物が10億35百万円増加したこと、投資有価証券が9億54百万円増加したこと、その他投資その他の資産が8億60百万円増加したこと等によるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計の残高は1,409億75百万円であり、前連結会計年度末に比べ12億52百万円減少しました。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は618億86百万円であり、前連結会計年度末に比べ93億59百万円増加しました。主な要因は、1年内償還予定の社債が100億円増加したこと、その他流動負債が34億12百万円増加したこと、短期借入金が26億31百万円減少したこと、1年内返済予定の長期借入金が22億28百万円減少したこと等によるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は790億89百万円であり、前連結会計年度末に比べ106億12百万円減少しました。主な要因は、社債が100億円減少したこと、長期借入金が16億17百万円減少したこと、退職給付に係る負債が9億39百万円増加したこと等によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は1,360億81百万円であり、前連結会計年度末に比べ122億87百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金が89億26百万円増加したこと、為替換算調整勘定が17億96百万円増加したこと等によるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは176億87百万円の収入(前連結会計年度比11億5百万円の収入減)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が172億3百万円あったこと、減価償却費が80億97百万円あったこと、法人税等の支払額が63億49百万円あったこと等によるものであります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは78億39百万円の支出(前連結会計年度比19億93百万円の支出増)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出が76億51百万円あったこと、無形固定資産の取得による支出が5億69百万円あったこと等によるものであります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは98億96百万円の支出(前連結会計年度比63億48百万円の支出増)となりました。これは、短期借入金の返済による支出が56億31百万円あったこと、配当金の支払額が25億44百万円あったこと等によるものであります。
これらの結果に現金及び現金同等物に係る換算差額の増加額5億13百万円等を考慮し、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より5億33百万円増加し、681億14百万円となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績及び受注実績
当社グループの事業内容は複合ソリューション事業、国内物流事業、国際物流事業、その他と多岐にわたっているため、生産実績を画一的に算定表示することは困難であり、また受注生産形態を採らない事業も多いため、生産実績及び受注実績は記載しておりません。
②販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
複合ソリューション事業 |
201,965 |
106.9 |
|
国内物流事業 |
53,901 |
102.3 |
|
国際物流事業 |
59,136 |
84.2 |
|
報告セグメント計 |
315,002 |
101.0 |
|
その他 |
27 |
173.2 |
|
合計 |
315,029 |
101.0 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
日本製鉄株式会社 |
36,865 |
11.8 |
40,001 |
12.7 |
経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に関する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。当社グループは連結財務諸表を作成するにあたり、退職給付会計、税効果会計、貸倒引当金の計上等において、過去の実績等を勘案するなど、合理的な見積り、判断を行った上で、その結果を反映させておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)経営成績
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(3)財政状態
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(4)キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(6)資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社グループの主な資金需要は、運転資金、設備資金、投融資資金があります。
運転資金については、請負業務、貨物輸送、倉庫業務といった営業活動に必要な資金(外注・材料費及び人件費等)や、一般管理費、販売費があります。
設備資金については、主に拠点拡大、整備等による倉庫建設や、車両運搬具及び機械装置といった固定資産購入によるものであります。投融資資金については、業容拡大のためのM&Aや事業提携による出資金があります。
財務政策
当社グループの資金調達に関しては、内部資金を充当し、不足分については有利子負債で調達しております。具体的な調達手段といたしましては、運転資金については短期借入金やコマーシャル・ペーパー発行により調達し、設備資金、投融資資金については長期借入金や社債発行による調達を実施しております。
なお、資金調達の実施にあたっては、キャッシュ・フローの状況、投資案件の進捗、金利動向を考慮し、調達時期、調達規模、調達手段を適宜判断し実施しております。
一方、グループ内の余剰資金を活用し、資金を必要とする当社グループ会社に融資する事で、資金の流動性を確保し、併せて有利子負債の圧縮に努めております。
(7)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、限られた経営資源を効率的に活用することで高い付加価値を生み出しつつ、中長期的な成長を達成することを目指しております。したがって、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を定めています。2022年4月よりスタートした中期経営計画(期間:3年間 2023年3月期~2025年3月期)においては、前中期経営計画、2020年2月からの構造改革、及び2022年3月期方針での成果をもとに、「人と技術のシナジーで時代とともに変化する『期待を超える価値』を創造しよう」を基本方針に掲げ、当社グループの強みである人と、現場でのノウハウや新技術の活用により、さらなる収益力伸長、企業価値の向上を実現してまいります。中期経営計画における目標指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。今後も経営環境の変化を機会と捉え、資本効率性を高めながら中長期的な成長を図ってまいります。
重要な記載事項はありません。
重要な記載事項はありません。