第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループが、革新を続け持続的成長を果たすために、企業理念を「「人」と「絆」を大切に、社会の基盤を革新し、新たな価値を創造します」とし、当社グループが長い歴史の中で築いてきた信頼と信用、その根幹をなすすべてのサービスの安全・品質に込める強い想いと誇りを示しております。そして、その使命を果たすことを皆様にお約束するために、ブランドメッセージを「私たちの約束:期待を超えなければ、仕事ではない」とし、その「私たちの約束」を具現化する中長期経営計画を策定すると共に、全従業員の行動指針として「私たちの覚悟」を定めております。

 

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(2)中長期的な会社の経営戦略・対処すべき課題

当社グループの事業においては人が根幹であり、人材不足の問題は中長期的にも大きな課題と捉えております。2024年4月より適用されたトラックドライバーや建設業の時間外労働時間の上限規制に伴ういわゆる「2024年問題」等もあり、中長期的な国内生産年齢人口の減少等と相まって人材不足はさらに深刻化するものと考えております。加えて、AI、IoT、ビッグデータ、ロボット等の革新的な新技術の活用が進展し、将来的には、あらゆる業界において自動化・省人化が進んでいくと考えられます。その結果、人を介したオペレーション業務が縮小する一方で、業務プロセス全体をコントロールする能力や、機械・システムに長けた管理・保守・メンテナンス力など人に求められる技術はより専門化かつ高度化していくと捉えております。

これら予見される課題に対して、当社グループでは脅威ではなく新たな事業機会として捉えることで永続的な企業価値の向上を実現していこうと考えております。具体的には、これまで培ったお客様の現場に精通したノウハウを活かし、新技術を取り入れた業務改善・改革によるお客様への提供価値の向上、並びに、新たな業務プロセスの効率的な運用に貢献していく所存です。

これを実現していくためには、従業員一人ひとりが能力を磨き、持てる真価を遺憾なく発揮できる環境を整えると同時に、業務改善・改革の過程で成長を実感する好循環を作りだしていくことが重要と考えております。

このような社会・経済環境の変化及び課題認識を含めて、今般、当社グループが目指す社会基盤の革新に向けて重要課題(マテリアリティ)を整理した上で、これを支える経営基盤の構築を含めた「中期経営計画2027」の策定、及び「2030年ビジョン」の見直しを行いました。

■2030年ビジョン

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(3)中期経営計画2027

①テーマ

『成長投資と人・技術・ICTへの基盤投資で、従業員の幸せと企業価値の最大化を実現する。』

 

②事業戦略

a) 海外事業拡大

・インド、北中米を注力地域と位置づけ成長を加速

海外においては、今後大きな経済成長が期待されるインド、及び、既存の大規模市場である北中米において前中期経営計画に続いて成長投資を継続し、事業展開を加速させてまいります。

インドでは製造業の拡大やインフラ整備の進展を背景に、物流や請負サービスへの需要が高まっており、当社グループの国内で培われたノウハウを生かすことで事業機会の拡大を図ります。また、北中米は冷蔵冷凍事業の拡大に加え、フォワーディングを起点としたデザインパッケージング事業とエンジニアリング事業による高付加価値化、新たな顧客開拓を推進してまいります。これらの地域での事業強化は、中期経営計画2027の重要な施策と考えております。

 

b) 国内事業の成長加速

・サービス分野(メディカル・空港)の強化

・複合ソリューションを含む物流事業を一般・定温・戦略アカウント物流の3領域に分けた戦略展開

複合ソリューション分野では当該業界で確固たる地位を築き、安定した需要が見込まれるサービス分野(メディカル・空港分野)が成長のけん引役となるよう競争力強化と成長加速を進めてまいります。また、国内物流事業を一般・定温・戦略アカウント物流の3領域に分け、それぞれの特性に基づいた事業戦略と領域間の連携強化を実現することにより経営資源の最適化を図ると同時に、お客様の物流課題を解決する価値創造パートナーとして、より付加価値の高い事業を構築してまいります。

 

c) 事業構造の改革

・既存事業分野での保全/メンテナンス領域の拡大

・KOMBO※活動による生産性向上と事業モデル変革

※KOMBO: KONOIKE advanced proposal by COMBINING solution Know-how and

new technology(現場のノウハウと新技術の組み合わせによる新たな提案)

・事業継続性評価による収益構造の変革

既存事業分野においてはオペレーション領域の事業基盤を活用して、設備関係の保全/メンテナンス業務や、空調設備の改装等のエンジニアリング領域の拡大と高付加価値化を実現することで、請負事業の質的転換と安定的な収益基盤の確保につなげてまいります。

また、当社グループ独自の活動(KOMBO活動)として、得意とするお客様の現場での生産性向上のノウハウをベースに、技術・ICTを活用した効率化・省人化の具現化、並びに顧客への仕組み改善・改革提案によって収益性向上及び事業領域開発に取り組んでまいります。

こうした領域拡大と同時に、収益力向上を目指した経営資源の最適化のために、透明性のある新たな事業性評価のしくみ(「事業継続性評価制度」)をスタートさせます。具体的には、国内外のグループ会社を含めた全ての拠点の収益性をROIC・EBITDA・利益規模の観点から評価し、事業継続性審議会にて事業継続/再建・撤退の判断を行ってまいります。

 

③財務・資本政策

当社グループは、中期経営計画2027策定の前提として、株主資本コストは現状8~9%程度と認識し、持続的に企業価値向上を図るべく、人的投資・成長投資・維持強化投資などへのバランスの取れた資金配分を進めるとともに、財務安定性を維持しながら株主還元の充実を進めてまいります。

a) 財務・資本政策のありかた

 

前中期経営計画

中期経営計画2027

現預金回転期間

1.2か月程度

DEレシオ

0.8以下

0.8以下

自己資本比率※

現行基準40%以上

リース含む:40~45%

(現行基準:45~50%)

格付け(JCR)

A-以上

A以上

※2027年度からの新リース会計基準適用に伴い550億円のリース資産(使用権資産)及びリース負債が計上されると仮定し算出。2025年5月現在の基準における水準はカッコ内の通りです。

 

b) 還元方針について

株主還元については、成長投資と株主還元のバランスを取り、継続的かつ安定的な配当の実現を基本とし、現行の配当性向30%以上から40%以上への引き上げを実施します。加えて、株式の流動性向上を優先しつつ、事業環境や財務状況に応じて自己株式取得も柔軟に検討してまいります。

 

c) キャッシュアロケーション

中期的な成長に向けては、「従業員の幸せと企業価値の最大化を実現する」経営方針の下、従業員の処遇改善等の人的投資を3年間で200億円以上実施したうえで、営業キャッシュフロー約730億円を主な財源とし、これに加えて手元資金及び有利子負債約180億円の活用を想定し、計画的な投資を推進してまいります。具体的には、成長投資として480億円(M&A枠200億円を含む)を配分し、成長が期待できる空港・メディカル・エンジニアリング事業、地域としてはインド・北中米に重点的に投資、あわせて今後革新的なレベル向上が期待できるDXやAI等の先進技術導入による生産性向上、技術・ICT投資などに取り組んでまいります。また、維持強化投資には240億円を計画しており、既存事業の競争力維持・強化を図ります。

 

④経営基盤強化

a) 内部統制の強化

当社グループの持続的な成長を実現していくためには、コーポレートガバナンス体制を更に強化し、健全な経営基盤を構築していくことが不可欠と認識しております。

今般、経営における透明性の向上と経営監視機能の充実を図るため、これまでのサステナビリティ委員会傘下の内部統制部会と経営品質協議会等の機能を取締役会の諮問機関である内部統制委員会に一元化し、内部統制機能の一層の強化を図ってまいります。

 

b) 戦略委員会による基盤強化

当社グループが持続的成長を実現していく上で、「人」「技術」にかかわる中長期的な課題に迅速に対応していくために、新たな戦略委員会を設置して対処していくことといたしました。

具体的には、深刻化する人材不足への対応、事業戦略に連動した人材育成、新たな人材マネジメントの構築を目的として人材戦略委員会を設置し、あわせて働きやすい職場環境づくりの強化を図ってまいります。加えて、AI、IoT、ビッグデータ、ロボット等の革新的な技術への対応として技術戦略委員会を設置し、技術革新本部、ICT推進本部が連携して技術全般の中長期ロードマップの策定と課題解決に向けた取り組みを推進してまいります。

 

⑤目標とする経営指標

a) 財務目標

「2030年ビジョン」において、当初の目標としていた営業利益250億円を、更なる高みを目指すべく300億円に引き上げることといたします。具体的な財務目標は以下の通りです。

 

2025年3月期

(実績)

2028年3月期

(中期経営計画2027)

2031年3月期

(2030年ビジョン)

売上高

3,449億円

4,100億円

4,600億円※1

営業利益

213億円

260億円

300億円

営業利益率

6.2%

6.3%

6.5%以上

ROE

10.0%

10%以上

10%以上

海外営業利益 ※2

18億円

33億円

60億円

※1:2031年3月期売上高はガイドラインとする

※2:海外営業利益額=海外拠点営業利益―本社費用賦課分

 

b) 非財務目標

 

2028年3月期

(中期経営計画2027)

2031年3月期

(2030年ビジョン)

環境※

CO2排出量28%削減(2019年3月期比)

CO2排出量35%削減(2019年3月期比)

経営戦略に基づく人材の確保・育成の推進

従業員のウェルビーイング向上

技術

技術革新・DXによる自動化・省力化

労働環境改善による「安全」の絶えざる追求

※対象範囲は単体及び国内連結会社のエネルギー起源Scope1,2

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

当社グループは、お客様、地域社会の皆様と共に、140年以上の歴史を歩んでまいりました。2030年、またその先を見据えた際にも、「社会基盤の革新」という創業以来の理念を大切に、ひたむきに取り組むことで、さらに豊かな企業価値を創出し、ステークホルダーの皆様と共有してまいります。そのために、近年ますます重要視されているサステナビリティ・ESG課題に焦点を当て経営としての取り組みを強化し、SDGsの多面的な目標に対して貢献を果たしてまいります。

 

①ガバナンス

サステナビリティ委員会を取締役会の諮問機関として設置し、取締役会で選任された委員長のもとで、取締役会からの諮問に対する答申の他、サステナビリティに関する個別の課題についての討議を行っております。同委員会の活動内容は翌月に開催する取締役会に報告され、取締役会では報告に対する質疑・指摘がなされます。質疑・指摘は同委員会に共有され、以降の取り組み・活動に反映されます。

また、同委員会傘下の3部会(リスクマネジメント部会・情報セキュリティ部会・環境部会)では年次計画、運用状況などを同委員会に定期的に報告し、各部会には社外有識者を招くなど、公正性・客観性の確保に努めております。

その他、2025年4月から組織体制を見直し、サステナビリティ委員会とは独立した諮問機関として内部統制委員会・人材戦略委員会・技術戦略委員会を新設しました。これにより内部統制・人材・技術の各テーマに関しては各委員会にて個別の討議・検討を行い、取締役会にも定期的に報告することとしております。

 

■サステナビリティに関わる組織体制図

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■各組織の役割

組織

メンバー

主な役割

取締役会

・議長:代表取締役会長兼社長執行役員

・取締役:5名(社内2名、社外3名)

・監査役:4名(社内2名、社外2名)

経営全般における重要事項の決議

業務執行の監督

サステナビリティ

委員会

・委員長:コーポレート部門担当兼サステナビリティ担当役員

・副委員長:経営企画本部、経営品質本部、財務経理本部、営業統括本部、総務本部の各本部長

・委員:その他各本部長等

サステナビリティ分野全般の課題に関する審議・答申

傘下各部会の全体掌理

 

リスクマネジメント部会

・部会長:総務本部本部長

・メンバー:重要リスク所管部門の部室長(事業系本部を除く)、及び内部監査室長等

・社外有識者:1名

定期的なリスクアセスメントの実施

リスク所管部門の取組状況モニタリング

 

情報セキュリティ部会

・部会長:ICT推進本部本部長

・メンバー:本社総務部長、人事・勤労部長、法務部長、デジタルトランスフ

ォーメーション推進部長等

・社外有識者:1名

情報セキュリティ全般に関する人的・物理的・技術的対策の検討

 

環境部会

・部会長:経営品質本部本部長

・メンバー:環境部長、総務部長、各事業本部副本部長又は部長等

・社外有識者:1名

環境関連活動の評価、改善施策の立案・実施

内部統制委員会

・委員長:代表取締役会長兼社長執行役員

・副委員長:コーポレート部門担当兼サステナビリティ担当役員

・委員:専務執行役員、全本部長、全常勤監査役、内部監査室長等

・社外有識者:2名

当社グループの内部統制の構築・運用の推進や内部統制上の課題対応に関する取組の審議・答申

 

内部統制推進部会

・部会長:経営品質本部本部長

・メンバー:全支店長、全経営品質責任者等

内部統制委員会での審議・決議事項及び指示事項の迅速な伝達、実効性の向上

人材戦略委員会

・委員長:人材開発本部本部長

・副委員長:事業開発本部部長、営業企画部長

・委員:人事・勤労部長、人材教育部長等

人材に関する戦略及び中長期課題の解消・解決に向けた取組の審議・答申

技術戦略委員会

・委員長:技術革新本部本部長

・副委員長:ICT推進本部本部長、事業開発本部部長

・委員:食品本部、食品プロダクツ本部、鉄鋼本部、ロジスティクスシステム部、技術革新部等

技術全般の中長期ロードマップとその実現、及び課題解決に関する事項についての審議・答申

ロジスティクス
戦略委員会

・委員長:ロジスティクス戦略担当役員

・副委員長:生活産業本部本部長、食品プロダクツ本部本部長、生活産業本部副本部長、委員長補佐(事業開発本部)

・委員:上記を除く各事業本部長、営業統括本部本部長、ICT推進本部本部長、経営企画本部本部長

ロジスティクス事業全般の中長期成長戦略、及び中長期課題解消・解決取組に向けた事項についての審議・答申

人事・報酬委員会

・委員長:独立社外取締役

・委員:3名(代表取締役会長兼社長執行役員1名、社外取締役2名)

取締役、監査役、執行役員の指名・報酬に関する審議・答申

 

 

 

■取締役会での主な検討事項

2025年3月期における取締役会でのサステナビリティ関連テーマの検討状況は下記の通りです。

●サステナビリティ委員会の活動報告

<リスクマネジメント部会>

・リスクマップに基づく優先対策リスク対応状況の確認

・リスクマップの見直し

・当社版BCP策定(対策本部の初動対応訓練の実施) など

<情報セキュリティ部会>

・セキュリティ規程策定

・CSIRT(情報セキュリティインシデント対応の専門チーム)整備・拡大

・セキュリティ教育・訓練、サーベイの実施 など

<環境部会>

・CO2排出量実績、再エネ切替進捗の報告

・気候変動関連の情報開示(環境データの第三者検証、Scope3排出量算定、サプライチェーンとの対話)など

●サステナビリティ委員会関連の組織体制・規程の見直し

●重要課題(マテリアリティ)に関する討議

●ESG外部評価の報告

●人材戦略に関する討議

●表彰・事故・トラブル・行政指導に関する報告

●不正再発防止の取組及び開示

●取締役会の実効性評価に関する討議

など

 

この他、取締役会では「環境」「人」「技術」の非財務目標を含む当社グループ2030年ビジョン、及び中期経営計画2027を策定しており、その進捗状況についてもモニタリングを実施する予定です。

 

 

 

②戦略

当社グループの2030年ビジョンでは「技術で、人が、高みを目指す」を「私たちの目標」に掲げ、その実現に向けて2026年3月期より3か年の中期経営計画を策定しております。その中で中長期的な非財務目標として「環境」「人」「技術」の3項目を以下のとおり設定しております。

環境:カーボンニュートラルの実現を目指し、循環型社会の形成に貢献してまいります。

人 :経営戦略に基づく人材の確保・育成の推進、従業員のウェルビーイング向上を目指します。

技術:技術革新・DXによる自動化・省力化、技術を活用した安全・安心な労働環境づくりに努めてまいります。

 

また、これら3項目の非財務目標に加え、以下の通り「重要課題(マテリアリティ)」を特定し、経営戦略に組み込んでおります。

 

■重要課題(マテリアリティ)と主な取組

分類

重要課題

主な取組

人と絆を大切にする

安全・品質

お客様との信頼関係の基盤

・安定的な生産・流通・サービス提供プロセスを下支えする「安全・品質」の維持・向上

人 (人権・ダイバーシティ、人的資本開発)

「従業員とその家族の幸せ」の追求

・当社グループ事業の根幹にある「人」に関し、多様な人材の採用・登用、処遇改善・職場環境改善、教育・学習機会の提供

パートナーシップ・地域との共存

140年以上の歴史を支える「絆」

・お客様や取引先との協働、適正な取引関係を通じた新たな価値創造、持続可能なサービス提供体制の維持・構築

・地域貢献活動

社会の基盤を革新し、新たな価値を創造する

社会課題解決に貢献するサービスの提供

グローバルな社会基盤の革新

・自動化・機械化や他社との協業を通じた取組みによる人手不足の解決への貢献

・当社グループの技術・ノウハウの活用による海外のインフラ整備・経済成長への貢献

技術革新・DX

「技術で、人が、高みを目指す」の具現化

・新技術を活用した新規ソリューション・サービスの開発

・高付加価値物流サービス

・新技術を活用した教育・労働負荷軽減

事業活動の

基盤

気候変動

脱炭素・循環型社会への移行・適応

・省エネ・省資源、新技術導入によるCO2削減業務効率化を通じた排出原単位削減

・低炭素輸送・モーダルシフトの取組

ガバナンス・コンプライアンス

企業価値向上に資するガバナンス・コンプライアンス体制の整備

・「公明正大」な企業風土の確立

 

 

 

③リスク管理

■リスク・機会の識別・評価・管理の過程

サステナビリティ全般におけるリスク・機会の内容に関しては、上記「重要課題(マテリアリティ)」に集約されると捉えております。例えば「安全・品質」の場合、「安全・品質」の維持・向上を実現することでお客様との取引拡大という機会獲得に繋がる一方、事故・トラブルの頻発により「安全・品質」が損なわれれば、お客様との信頼関係が失われるリスクに繋がります。

このようなリスク・機会を含む重要課題(マテリアリティ)は、下記の過程を経て識別・評価されました。

A) GRI(Global Reporting Initiative)スタンダード・SASBスタンダード等の国際ガイドライン、及び各ESG 評価機関(MSCI・FTSE等)が公表する評価項目を参考に、重要課題の候補となるキーワードをリストアップ

B) 各事業部門より3~4名程度プロジェクトメンバーを募集、ワークショップ形式で自由討議を行い、各部門にとって重要なサステナビリティ要素、リスク・機会の抽出、及び重要度評価を実施

C) B)の内容を踏まえ、サステナビリティ委員会・取締役会で複数回の検討を行い、経営理念・ビジョンとの一貫性を考慮した項目の絞り込み、具体的な指標への落とし込み等を実施し、「②戦略」に記載の「重要課題(マテリアリティ)」を特定しました。

<取締役会・サステナビリティ委員会等での検討実施状況>

・サステナビリティ委員会(2024年2月・11月)

・サステナビリティ委員会付属の正副委員長会議(2024年10月、2025年3月・4月)

・取締役会(2024年5月、2025年1月、及び2025年5月(決議))

 

また、上記を経て特定された重要課題(マテリアリティ)の管理の過程としては、サステナビリティ委員会及び正副委員長会議にて、定期的に取り組みの進捗を確認し、経営環境の変化に応じた見直し等の審議を行っていく予定です。また、審議の内容は取締役会にも定期的に報告し、取締役会の管理・監督を受けることとしております。

なお、リスクに関しては、サステナビリティ委員会傘下のリスクマネジメント部会が中心となり、リスクアセスメントを実施しリスクの識別を行っております。リスクマネジメント部会で識別されるリスクは、①戦略的意思決定により当社グループの成長及びサステナビリティを巡る課題の解決を図り、将来に向け企業価値を向上させるにあたり、これを阻害する事項 ②法令遵守や経営課題への取り組み不足ほか、既存の事業活動や業務運営の健全な展開を阻害し、現在の企業価値を毀損させる事項 の2点になります。

リスクの評価については、識別したリスクを「発生可能性」と「影響度」で評価を行っております。

 

評価基準

レベル

発生可能性

影響度

今後半年以内に発生する可能性がある当該リスクが過去に発生しており、再発のリスクが高い

会社経営に甚大な影響をもたらす

今後1年以内に発生する可能性がある

会社経営に大きな影響をもたらす

今後3~5年以内に発生する可能性がある

会社経営に中程度の影響をもたらす

今後10年以上発生する可能性がほとんどない

影響はほとんどない

 

評価されたリスクについては、リスクの内容や評価を基に管理レベルを以下の3つに区分し、リスクマネジメント部会にて、取り組み状況をモニタリングしております。

1.優先対策リスク

リスクの中でも特に経営層も把握しておくべきリスク。

所管部門を定めて各種対策を実施することが求められるリスク。

2.全社リスク

リスクの中でも全社的、且つ影響度・発生可能性が相対的に高いリスク。

継続的に状況をトレースしておくべきリスク。

3.部門リスク

影響度・発生可能性は低く、基本的に日常業務の中で各部門が管理するリスク。

 

④指標及び目標

サステナビリティに関する目標は、グループ非財務指標として当社の2030年ビジョン、また中期経営計画に織り込まれております。

 

(2)気候変動

当社グループは気候変動が地球環境や人類、企業活動に影響を与える重要な課題であると認識しており、持続可能で豊かな社会の実現に貢献するためにも、地球温暖化の緩和に向けた活動を積極的に推進しております。当社グループは2022年6月にTCFDへの賛同を表明いたしました。

 

①ガバナンス

(1)サステナビリティでも記載のとおり、サステナビリティ委員会を取締役会の諮問機関として設置し、取締役会の監督の下、気候変動に係る事項を含むサステナビリティに関する課題についての討議を行っております。

また取締役会では、同委員会の評価結果を踏まえ、当社グループの2030年ビジョンと中期経営計画で掲げる「環境」の非財務目標を策定しており、その進捗状況についてもモニタリングを実施しております。

なお、同委員会傘下の環境部会では、毎四半期、各本部の環境データをもとに本部ごとの環境取り組み状況について情報共有し、気候変動を含むそれぞれの課題に対する具体的な解決策を議論しております。また、同部会には社外有識者1名を招くなど、公正性・客観性の確保に努めております。

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(1)「サステナビリティに関わる組織体制図」より一部抜粋

 

②戦略

気候変動の顕在化による事業上のリスクや機会を特定するとともに中長期戦略を策定しております。下表は特定したリスクと機会の概要であります。

分類

影響

時間軸

対応方針

リスク

移行

政策・

法規制

炭素税の導入等に伴う租税負担増による業績悪化の可能性

中期

自社の契約電力は25年3月期までにすべてCO2フリー電力に切替済み。また、運行効率の向上・低炭素技術の導入により排出原単位の削減努力を継続

技術

政策変化や法規制の強化に伴い、低炭素に資する新技術導入の必要性が高まり、設備代替・新設コストが嵩む可能性

短・

中期

・生産性の向上や自社施設への太陽光パネル設置等での原資創出により、普及フェーズに達した低炭素技術は適時導入を図る

・料金改定による代替コストの一部収受

物理的

急性

台風・河川氾濫等の気候変動に起因する災害が増加し、自社拠点が被害を受け、事業継続が危ぶまれる可能性

長期

BCPの高度化(災害対応工事、移転、停電・断水対策等)を図る

慢性

気温上昇に伴う労働環境の暑熱化による生産性悪化、及び採用困難化の可能性

長期

暑熱環境下でも労働負荷を軽減する施策(冷風機・ネッククーラー等)を講じ、労働衛生を維持すると同時に、技術導入・DX化による省人化も推進

機会

資源効率

CO2排出削減等の環境対応強化による顧客への訴求力獲得を通じた取引機会拡大の可能性(逆に、うまく対応できなければ取引機会を失う可能性)

短・

中期

運行効率の向上、製造・サービス提供プロセスの生産性向上や、モーダルシフト・共配の推進等

新市場

CO2排出削減への取組が進む社会において市場の拡大が予想される事業領域・分野への進出の可能性

短・

中期

業界ごとに成長分野を見極め、機会の獲得に向けた情報収集や経営資源の拡充を図る

 

(注)時間軸の考え方 短期:1年、中期:3年、長期:4年以上

 

上記で洗い出したリスク・機会項目の内「炭素税影響」について、国際エネルギー機関(IEA)のWorld Energy Outlook2021を参照し自社に与える影響額を試算しました。ただし、本分析は現時点で可能な取組として試算を行ったもので、あくまで大まかなイメージを示したに過ぎない点にご留意ください。

検討ケース

2030年

2050年

影響額

影響額

非対応(BAUケース)

▲36~42億円

▲50~92億円

会社目標達成ケース

▲23~27億円

影響なし

(注)上記は下記前提に基づき各年の想定CO2排出量と備考2の炭素価格を単純に掛け合わせて算出した数値。

 

(備考1)各ケースの説明

検討ケース

内容

非対応(BAU)ケース

概ね24/3期実績の排出原単位のまま2030年・2050年を迎えたケース

会社目標達成ケース

会社目標(2030年:35%削減(2018年度比)、2050年カーボンニュートラル)が実現できたケース

 

(備考2)炭素価格の前提

(単位:円/t-CO2)

前提

2030年

2040年

2050年

STEPS※1

18,203

19,568

20,478

NZE※2

21,237

31,096

37,923

※1 Stated Policies Scenario。WEO2023で設定されている、既に世界で公表・実施されている政策イニシアティブなど、各国政府の現在の計画を組み込んだシナリオ

※2 Net Zero Emissions by 2050 Scenario。WEO2023で設定されている産業革命前からの温度上昇を1.5℃以内に抑えるシナリオ

(注)炭素価格は、STEPSはEUの値を、NZEは「ネットゼロ目標を持つ先進国」の値を1USD=151.69円で換算

 

(備考3)2030年・2050年の業績・CO2排出量の前提

・2024年3月期の当社グループ各事業におけるCO2排出量・CO2排出原単位に基づき、将来の事業計画(2030年ビジョン)が実現された場合の2030年度CO2排出量を算出した。またその時点から2050年まで日本国全体の成長率(CAGR1%)並みで当社グループが成長すると仮定した場合の2050年時点の売上高を算出した。

・2030年・2050年のCO2排出量は備考1の各ケースの前提に従い算出。

 

③リスク管理

全社にわたるリスク情報は、気候関連リスクは「環境部会」で、その他のリスクは、各部会からの情報を集約する形で「リスクマネジメント部会」(部会長:全社のリスクマネジメント担当)で把握・管理しております。

気候関連リスク・機会の識別・評価については、まず事務局部門(環境、経営企画、総務、財務経理等)にて、当社グループにとって関連の深い機会項目の洗出し、及び機会発現の時間軸、影響度・発生確率の評価を実施したのちに、「環境部会」傘下の「環境小部会」を通じ、各事業部門で考えられる機会項目の抽出、及び時間軸、影響度・発生確率の評価を実施しております。これらを事務局部門にて集約し、グルーピング・整理作業を経て(2)気候変動の②戦略の3行目以降に記載した一覧表に取りまとめました。

気候関連リスク・機会の管理については、環境部会傘下の「環境小部会」にて、リスクへの対応や機会獲得に関わる各本部取組の進捗について定期的に報告されております。それに応じ、リスクや機会項目の洗替え・更新などを継続的に実施しております。同内容は環境部会に報告後、リスクマネジメント部会にも報告しております。

 

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④指標及び目標

CO2排出量削減目標

時期

目標

対象

範囲

2025年3月期

20%削減(2019年3月期比)

国内連結

Scope1・2

2028年3月期

28%削減(2019年3月期比)

2031年3月期

35%削減(2019年3月期比)

2050年

カーボンニュートラルを目指す

 

Scope1、Scope2の排出量

(単位:t-CO2e)

範囲

2025年3月期の排出量実績

目標に対する達成度

Scope1

101,978t-CO2e

2019年3月期比35.2%削減

Scope2

23,915t-CO2e

(注)1.GHGプロトコルに基づき算定

2.Scope2はマーケット基準

3.排出量実績は第三者検証未了の速報値

 

カーボンニュートラル実現に向け、まずは2025年3月期末までに、自社契約電力はCO2フリーの電力への切り替えが完了しました。加えて、燃費改善などの省エネ活動の推進や定期的な車両の代替、加えて一部拠点においてはバイオディーゼル燃料やEVトラックの導入の導入も開始し、2025年3月期の2019年3月期比20%削減の目標は達成いたしました。この達成には、一部子会社の操業状況低下の影響も加わり、この要素を除くと24.7%の削減となります。

今後はグループ全体での業務の拡大や、上述の子会社の操業も回復する見込みのため、さらなる取り組みとして業務連絡車のEV代替・太陽光パネル設置、各種省エネ施策等CO2排出量削減に資する取り組みも行ってまいります。

 

 

(3)人的資本

当社グループの経営課題と経営戦略においては「人」に関するテーマが大きなウエイトを占めております。それは、当社グループの強みの源泉である「人」の成長こそが、持続的な企業価値向上につながることを表しております。2030年ビジョンでは、教育・訓練など人への投資を通じて、そのパフォーマンスを最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげていこうとする「人的資本経営」に取り組んでまいります。最先端技術の導入、デジタル化、働き方の変化や価値観の多様化など、これまでの常識を超えたイノベーションを起こすために、高い専門性や多様な視点で新たな発想を生み出せる人材を確保、育成するために人への投資を強化してまいります。こうした取組みは「従業員とその家族の幸せ」の追求という、当社グループにとって最も重要な課題に資するものであることが前提となります。従業員の一人ひとりがウェルビーイングを向上させることで、持続的に企業価値を押し上げてまいります。

 

①戦略

人材育成については、経営戦略を支える上で最も注力すべき経営課題の一つであると考えております。専門職に対してはすべての職場において不可欠となる「安全と品質」をベースとしたプロフェッショナルな知識・技術の習得のための様々な教育充実を図ってまいります。総合職に対しては「当社グループの永続的発展に積極的に貢献し、広い視野と良識、強い責任感をもった社員を育成する」、「業務遂行に必要な知識・技能を習得させ、優れた創造力と合理的判断力、実行力、指導力を有する社員を育成する」、「経営人材要件にかなう人材プールによるタレントマネジメントを行う」という方針に沿って次世代経営人材の育成を促進しております。

また、社内環境整備については、多様な従業員が活躍できる風土醸成を目指し、海外人材の採用や、女性活躍の推進、障がい者の雇用等、様々な取り組みを進めております。特に近年は総合職社員のキャリア採用を強化し、その結果2025年3月期では通期で44名を採用し、新卒採用(同年実績47名)とは異なるキャリアやバックグラウンドを持った人材が活躍しております。今後も新しい発想や知見・技術を取り入れ、新たな企業文化の醸成と革新的なビジネスモデルの創造を目指し、企業価値向上を目指してまいります。

 

②指標及び目標

人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容、並びに当該指標を用いた実績及び目標は以下のとおりであります。

開示事項

対象

25年3月期

(実績)

26年3月期

(予想)

28年3月期

(計画)

研修費用

全労働者計

6.6億円

6.8億円

7.1億円

研修時間

全労働者計

20.2時間/人

20.3時間/人

20.5時間/人

サーベイ結果 良好度(偏差値)

       注意度(偏差値)

  モラール(0~7の平均値)

プレゼンティーイズム損失割合

専門職(管理監督者)

総合職

良好度   49

注意度   48

モラール 4.31

損失割合14.8%

良好度   50

注意度   47

モラール 4.40

良好度   53

注意度   44

モラール 4.75

 3年以内離職率

正規雇用労働者計

20.2

18.2%

14.7

障がい者雇用率

全労働者計

2.60

2.51%

2.75

(注)1.当社グループでは、当社及びグループ各社の事業特性等に応じてそれぞれ独自に具体的な取り組みを進めているため、指標及び目標については連結会社での記載が困難であります。このため、上記指標の数値はすべて提出会社を対象に算出したものであります。

2.サーベイ結果につきましては、2024年2月にパーソル総合研究所によるウェルビーイングサーベイを実施した結果であります。

(1)良好度及び注意度は、パーソル社の全国平均に対する当社スコアの偏差値であります。

・良好度:社員のはたらく幸せ実感(高偏差値ほど良好)

・注意度:社員のはたらく不幸せ実感(低偏差値ほど良好)

(2)モラールは、組織の状態(集団の士気)を7段階評価で測定した当社の平均値であります。

(3)プレゼンティーイズム損失率は東大1項目版を使用し、算出しております。

3.障がい者雇用率は、障害者雇用促進法第43条第7項に基づき、当該年度の6月1日時点の障がい者雇用人数を報告することが義務付けられていることから、同時点の人数より算出した数値となります。

 

 

③人権への取り組み

近年の人権対応は、一企業内にとどまることなく海外を含めたサプライチェーン全体にわたるものとされ、その領域は大きく広がっています。KONOIKEグループでも対応を進めるべく、2023年4月に「KONOIKEグループ人権方針」を策定し、新たな視点で人権に対する取り組みを開始しました。

人権デュー・ディリジェンスについては、外部機関の協力を得ながら外国人労働者を対象とした多言語対応相談窓口を2024年11月に設置いたしました。今後は、サーベイや面談を実施し、人権の侵害を早期に摘み取る活動に取り組みます。また引き続きサプライチェーン全体における社内教育・研修を充実させ、人権侵害のリスクの軽減を図ってまいります。

 

④健康経営の推進

当社は2023年2月に「健康経営宣言」を発表し、組織的な健康保持・増進活動の展開と健康づくりのための様々な施策を推進、従業員一人ひとりが心身ともに健康で活き活きと輝くことで、幸せを実現できるよう健康経営に積極的に取り組んでいくことを宣言しております。

2025年3月には、経済産業省及び日本健康会議主催の「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に昨年度に引き続き認定されました。今後も、従業員の心身の健康の保持・増進によるパフォーマンス向上と、ワークライフバランス推進施策による人材の安定的な確保と定着率の向上に取り組んでまいります。

3【事業等のリスク】

当社グループの事業及び経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

1.経済動向について

当社グループは、主として国内の製造業や流通・小売・サービス業等を顧客基盤として、生産や物流等にかかる各種アウトソーシングに関する事業を展開しており、景気動向、消費動向及び各種業界の業況等の変動により影響を受けております。

 

2.顧客企業等の動向について

当社グループは、多様な企業との取引により事業リスクの分散を図り、特定企業又は業種の業況変動等による影響を低減させる方針を有しております。しかしながら、2025年3月期においては、特定の主要顧客グループとの取引額は、当社連結売上高のうち、鉄鋼業界向け売上高が約15%を、飲料・食品業界向けが約25%を、それぞれ占めており、引き続き、これらの業界動向等に影響を受けやすい構造にあります。

また、業界動向に加えて、当社グループの主要な顧客企業において、生産調整や物流需要の減少、業界再編や海外移転の進展、その他経営戦略の変更により事業拠点の閉鎖・縮小又は取引関係に重大な変更が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.自然災害、感染症等について

当社グループが事業を展開する地域における大規模な地震や台風等による自然災害や、自社又は顧客企業の事業所施設における火災等による災害の発生、また新型ウイルスなどの疾病の発生・流行等が生じた場合に、その被災状況や感染状況によっては事業活動が困難となり、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。その影響を最小限に抑えるべく、事業継続計画(BCP)の整備、非常時を想定した訓練等を実施しております。

特に新型ウイルス等の疾病の発生・流行等のリスクについては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行により顕在化いたしました。行政による外出自粛要請や施設使用制限等の措置が講じられたことにより、当社グループは空港関連をはじめ多くの分野で影響を受けました。今後も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に限らず、さまざまな感染症リスクが顕在化・拡大した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

また、当社グループは気候変動が地球環境や人類、企業活動に影響を与える重要な課題であると認識しており、持続可能で豊かな社会の実現に貢献するためにも、地球温暖化の緩和に向けた活動を積極的に推進しております。詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。

 

4.コンプライアンスについて

当社グループは、顧客や取引先等ステークホルダーとの信用並びに信頼の維持向上及び財務報告の正確性を確保するために、法令遵守に係る規程等を制定し、国内外の法令・ルール等の遵守を徹底して内部統制システムの強化に努めるとともに、内部通報制度を整備し、法令遵守違反・経営者及び従業員等による不正行為、潜在的な利益相反等に対し、早期の発見や迅速な対応に努めております。しかしながら、その内部統制システムが有効なものであっても、不注意による誤謬、複数の従業員等による不正行為等により、コンプライアンスに関するリスク並びに社会的な信用やブランド価値が毀損されるリスクを完全に回避することはできず、当該リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

 

 

5.競合について

当社グループの事業は、主として業務請負及び貨物運送・倉庫業務を展開しており、顧客企業の事業活動の一部を請負う形態であります。これら業務においては、受注にかかる競合他社との価格競争が生じていることに加えて、顧客企業自身の業務効率化・コスト削減等を目的とした内製化の可能性があります。

当社グループは、様々な現場での業務経験やノウハウと、徹底的な現場目線による課題の改善・改革提案力に基づき、業務オペレーションの効率化、業務品質の向上、顧客ニーズを踏まえた柔軟なサービスの提供を行っております。これらの事業活動を通じ、顧客企業からの評価向上及びリレーションの強化を図り、差別化による受託業務拡大を推進しております。しかしながら今後において、当社グループのサービスの優位性が低下した場合や、競合等により請負単価が想定以上に低下した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

6.人材の育成・確保について

当社グループでは、顧客企業のニーズに応じて多種多様な業務の請負を行っており、各業務に関して顧客が求める専門的な知識を有する人材を確保、育成し、そのスキルを伝承していく必要があります。

当社グループでは人的資本経営を推進するため、積極的な採用活動を進めるとともに、人材育成のためのキャリアプランの策定、教育制度の充実を図ることで、必要な人材の確保に努めております。しかしながら、国内においては構造的な労働力人口の減少に加え、2024年問題等に起因する中長期的な人手不足への対応が喫緊の課題となっております。これらの課題への対応に伴い、労働力の確保や労働環境の維持・向上のため人件費等の費用が増加する可能性があるほか、今後必要な人材の育成及び確保、並びに適切な人員配置等に支障が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また当社グループは、労働環境の維持・向上及び外注企業も含めた人権問題にも適切に対応し、業務運営の円滑化に努めておりますが、当社グループ又は外注企業における差別的な行為などの人権侵害の発生により社会的信用を失墜し、顧客企業からの取引の停止など事業活動に影響が出るおそれがあり、これらに起因して経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

7.当社グループの設備投資等について

当社グループは、新規顧客企業の獲得並びに既存顧客企業との取引拡大等を目的として、物流拠点の整備、車両運搬具及び機械装置を中心に設備投資を実施しており、また、顧客企業の事業拠点内に受託業務遂行のための専用設備等を保有する場合があります。設備投資は、将来見込まれる受注業務等を考慮して実施しておりますが、実際の受託業務での収益が想定を下回った場合には、減価償却負担等の増加による利益圧迫等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループの各事業において、経済環境や事業環境の変化、顧客企業との取引関係の変化等により、事業所等における採算性が低下し損失計上が継続した場合には、保有資産等にかかる減損損失を認識する必要があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

8.受託業務におけるトラブル等について

当社グループは、顧客企業からの受託業務において多種多様な業務工程を担当しており、顧客製品の品質等に影響を及ぼす重要工程も一部含まれております。請負業務については、業務管理全般にわたる責任が受託企業にあり、個々の業務において、労務管理をはじめ、顧客企業の製品の生産量、納期、品質、更には設備、資材管理の領域まで責任を負っており、当社グループは、顧客企業の要求水準を達成するため適切な業務手順を遵守した業務運営に努めております。

しかしながら、受託業務において、当社グループの何らかの瑕疵に起因した品質低下、操業遅延や停止等によるトラブル等の発生により、顧客企業の事業活動に重大な支障が発生する又は多額の損失が発生する様な事象が生じた場合、当社グループの信頼性低下や損害賠償請求の発生、取引解消等に発展し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

9.事故及び労働災害について

当社グループの事業は、トラック、フォークリフト及び大型機械の操作をはじめとして、危険を伴う作業が含まれております。当社グループは、当該状況を踏まえて安全衛生管理を最重要課題として捉え、安全及び衛生管理の徹底を図り、事故を未然に防ぐため業務遂行に際して細心の注意をはらう様に努めております。

しかしながら、何らかの不測の事由から労働災害や事故等が発生する可能性があります。これら事故等について、訴訟問題や重大事故等に起因した行政処分に発展した場合には、損害賠償請求が生じる可能性があるほか、当社グループの社会的な信用及び顧客の信頼を失うことにも繋がり、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

10.技術革新について

当社グループは、多種多様な業務請負を行っておりますが、人工知能やロボット技術等の進歩により生産工程や物流現場等の自動化・省力化が進むことで、当社グループが従来請け負っていた業務が代替され、減少する可能性があります。当社グループでは、顧客の生産・物流現場等に固有のノウハウを蓄積するとともに、新技術を活用した新たな請負の形を模索するなど対応に取り組んでおります。しかしながら、そうした技術革新への対応が十分に図れない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

11.資金調達について

当社グループは、事業資金を金融機関からの借入又は社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。市場金利が上昇した場合、資金調達コストの増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、金融市場の混乱等により金融機関の融資圧縮等が生じた場合や、格付会社による当社格付の引下げ等が生じた場合には、当社グループの資金調達において、必要な資金調達に支障が生じること等により事業展開の制約要因となる可能性があり、また、これらに起因して当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

12.法的規制等について

①許認可等について

当社グループは、事業運営等に際して多種多様な法的規制を受けており、各事業にかかる主要な許認可等は以下のとおりであります。

当社グループはこれら関連法令等の遵守に努めており、本書提出日現在において事業運営上の支障をきたす状況は生じておりません。しかしながら、違反その他事由によりこれら許認可等が停止又は取消となった場合又は法的規制の見直しや新たな制定等により規制強化が生じた場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

主要事業許認可

許認可の名称

法律名

監督省庁

当社グループの対象事業

労働者派遣業

労働者派遣法

厚生労働省

複合ソリューション事業

国内物流事業

国際物流事業

港湾労働者派遣事業

労働者派遣法

厚生労働省

国際物流事業

一般貨物自動車運送事業

貨物自動車運

送事業法

国土交通省

複合ソリューション事業

国内物流事業

国際物流事業

貨物利用運送事業

(第一種、第二種)

貨物利用運送

事業法

国土交通省

複合ソリューション事業

国内物流事業

国際物流事業

倉庫業

倉庫業法

国土交通省

複合ソリューション事業

国内物流事業

国際物流事業

建設業

建設業法

国土交通省

複合ソリューション事業

国際物流事業

産業廃棄物収集運搬業

廃棄物処理法

環境省

複合ソリューション事業

産業廃棄物処分業

廃棄物処理法

環境省

複合ソリューション事業

保税蔵置場

関税法

財務省

複合ソリューション事業

国内物流事業

国際物流事業

特定航空貨物利用運送事業者

航空法

国土交通省

国際物流事業

特定航空運送代理店業者

航空法

国土交通省

国際物流事業

航空運送代理店業

航空法

国土交通省

国内物流事業

国際物流事業

通関業

通関業法

財務省

国際物流事業

海上運送事業

海上運送法

国土交通省

国際物流事業

港湾運送事業

港湾運送事業法

国土交通省

国際物流事業

 

②主要な業務関連法令等について

当社グループの事業の性質上、a)請負・派遣の区分等の適正化に係る規制、b)外注企業の活用における下請代金支払遅延等防止法(下請法)に係る規制、c)従業員の労務管理にかかる労働関連法令に係る規制について、留意する必要があります。

当社グループは、請負・派遣適正化及び下請法については、社内規則・マニュアル・チェックリスト等の整備・運用及び管理の徹底を図るとともに、全事業所を対象とした定期調査を実施し、当該法令順守の推進・維持を含む適切な業務運営が遂行されるように努めております。また、労働関連法令については、業務請負という特性から当社グループの業務量は顧客企業の生産活動等に左右され、突発的な業務量増大等に起因して従業員の労働時間増加が生じる場合があり、適切な人員配置等を推進するとともに、労使間協定の締結及び遵守並びに労働時間の適切な管理の徹底等により、法令及び協定等の遵守を推進しております。

しかしながら、これらの管理不備による不正や違反等により行政処分等が生じた場合には、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③環境規制について

当社グループが使用する貨物トラック(ディーゼル車輌)は、国及び自治体による自動車NOx・PM法及び環境条例等の対象となります。当社グループは、かかる環境規制が定める基準適合車を使用する等、これら規制を順守するために必要な取り組みを行っております。しかしながら、将来においてさらなる規制強化が生じた場合は対策のための費用増加等が生じる可能性や、対応が困難となる場合には事業における制約要因となる可能性があり、これらにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

13.燃料費及び電力料金等の変動について

当社グループにおいて使用する輸送用車輌及び船舶等の燃料費は、原油価格の変動により影響を受けております。今後において、国際的な原油市場の需給バランス、金融情勢、産油国の政治情勢等の影響に伴う原油価格の動向によっては燃料費が上昇する可能性があります。また、当社グループが業務において使用する冷凍冷蔵倉庫をはじめとする倉庫・物流設備等は相応の電力を消費することから、電力料金引き上げ等が生じた場合には費用増加が生じる可能性があります。

当社グループは、これらコスト増加が生じた場合には、顧客企業との協議等により適正な業務単価の維持を図っていく方針でありますが、十分な価格転嫁が困難となる場合には、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

14.海外への事業展開について

当社グループは、国内における事業展開に加えて、アジアや北米などを中心とした地域に拠点を設け、グローバル展開する日系企業及び現地企業を対象とした海外展開強化を推進しております。これら事業展開においては、各地域において法律・規制、為替、社会・政治及び経済動向等の影響を受けております。また、債権回収、取引先との関係構築・拡大、従業員の管理等の点において、海外の商習慣・文化に関する障害に直面する可能性があります。さらに、海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性もあります。

当社グループは、海外進出に際して各地域における法令・政情・経済情勢その他にかかる調査等によるリスクの把握及び対応に努めておりますが、予期せぬ情勢変化等が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

15.M&A、事業提携について

当社グループは、今後の業容拡大においてM&A及び事業提携戦略は重要かつ有効であると認識しております。M&Aや事業提携を行う場合においては、対象会社を慎重に検討し、対象会社の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンス(注)を行うことによって、極力リスクを回避するように努める方針としておりますが、買収後に偶発債務の発生等、未認識の債務が判明する可能性も否定できません。また、のれんが発生する場合はその償却額を超過する収益力が安定的に確保できることを前提としておりますが、買収後の事業環境や競合状況の変化等により買収当初の事業計画遂行に支障が生じ、計画どおりに進まない場合は当該のれんに係る減損損失等の損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(注)デューデリジェンス(Due diligence):M&Aなどの取引に際し、対象企業の法務・財務・ビジネス・人事・環境などを含めた総合的な資産評価に係る調査活動のことであります。

 

16.顧客情報の管理について

当社グループは、業務請負等を通じて、顧客企業の経営上の機密情報や個人情報等の様々な重要情報を取り扱っております。当社グループにおける情報管理は、社内規程の整備・運用及び定期的な研修等により周知徹底を図っておりますが、何らかの要因により外部漏洩やデータ喪失等が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜や損害賠償請求等が生じる可能性があり、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

17.訴訟等について

当社グループの事業運営において、予期せぬトラブル・問題が生じた場合、当社グループの瑕疵に関わらずこれらに起因する損害賠償の請求や、訴訟を提起される可能性があります。これら事象が発生した場合には、訴訟内容や損害賠償額及びその結果等により、当社グループの社会的信用に影響を及ぼすほか、経営成績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。事業に関わる各種法令を遵守するとともに、契約条件の明確化、相手方との協議の実施等により紛争の発生を未然に防ぐよう努めております。

 

18.退職給付債務について

当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上設定した前提条件に基づいて算出されております。しかしながら、年金資産の時価の下落、金利環境の変動等により、退職給付費用が増加した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、インバウンド需要の拡大、大企業を中心とした大幅な賃金改定等の動きが見られる一方、円安の恒常化や慢性的な人手不足等による継続的な物価上昇、消費行動の変容等による個人消費の低迷などに加え米国輸入関税の引き上げによる経済情勢の変化もあり、依然として先行きは不透明と言わざるを得ない状況が続いております。

このような経営環境のもと、当社グループは中期経営計画の最終年度を迎え、引き続き「人と技術のシナジーで時代とともに変化する『期待を超える価値』を創造しよう」という基本方針のもと、収益力の向上に取り組むと同時に、2030年ビジョン実現に向けた成長力強化に向け、積極的な取り組みを展開しております。2024年7月にはカナダ・メキシコにおけるデザインパッケージ事業に関して、合弁会社設立のもと、当該会社の株式を100%取得し完全子会社化いたしました。また、注力地域と位置付けているインドにおいては、2024年6月にインド医療器材滅菌事業会社の株式取得を、2025年1月にはインド国営の鉄鋼スラグ処理事業会社である「Ferro Scrap Nigam Limited(現・FSNL Private Ltd)」を公開入札において落札し、完全子会社化いたしました。加えて、インドでの鉄道コンテナ輸送事業拡大のため、2024年11月より新たに鉄道コンテナ輸送用車両9編成を投入いたしました。今後も大きな需要増と高成長が期待されるインド市場での中長期的な収益基盤の確立を目指し、取り組みを進めてまいります。

当連結会計年度における経営成績については、国際関連での航空貨物運賃市況の回復及び海外現地での取扱量増加、メキシコやカナダでの子会社連結化の効果、空港関連での国際旅客便の復便等の取扱量増加及び機材大型化等による収受単価の上昇、エンジニアリング関連での大型工事案件の獲得、食品プロダクツ関連における得意先堅調や新拠点稼働による倉庫・輸送取扱量増加等の増収要因があったため、売上高は3,449億87百万円(前連結会計年度比9.5%増)となりました。

利益については、空港関連での取扱量増加に伴う業績回復に加え、2022年4月よりスタートした「新中期経営計画2023年3月期~2025年3月期」の基本方針である収益力の向上に継続して取組み、継続しての業務効率化、適正単価の収受等を進めた結果、営業利益は213億85百万円(同28.6%増)、経常利益は212億95百万円(同25.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は140億50百万円(同23.8%増)となりました。

セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。なお、セグメント利益は一般管理費控除前の営業利益であります。

 

①複合ソリューション事業

空港関連における国際旅客便の復便及び機材大型化等による収受単価の上昇やエンジニアリング関連での大型工事案件の獲得、食品プロダクツ関連における倉庫・輸送取扱量の増加や新拠点の稼働があり、売上高は2,166億4百万円(前連結会計年度比7.2%増)となりました。

利益は、空港関連での取扱量増加に伴う業績回復に加え、継続しての業務効率化や適正単価の収受により収益改善に努め、205億89百万円(同18.4%増)となりました。

 

②国内物流事業

食品関連(定温)における取扱量の増加や適正価格への変更、生活関連(物流)における通販品の取扱量の増加により、売上高は567億17百万円(前連結会計年度比5.2%増)となりました。

利益は、増収効果に加え適正単価の収受及び業務効率化等により収益改善に努めた結果、38億7百万円(同23.6%増)となりました。

 

③国際物流事業

航空貨物運賃市況の回復や米国冷凍冷蔵倉庫等での取扱量の増加、メキシコやカナダでの子会社の連結化により、売上高は716億円(前連結会計年度比21.1%増)となりました。

利益は、取扱量の増加や航空貨物運賃市況の回復、新規連結の効果等により47億26百万円(同57.0%増)となりました。

 

 

財政状態の状況は次のとおりであります。

(総資産)

当連結会計年度末における総資産の残高は2,897億2百万円であり、前連結会計年度末に比べ126億45百万円増加しました。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は1,401億29百万円であり、前連結会計年度末に比べ19億53百万円増加しました。主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産が49億7百万円増加したこと、現金及び預金が36億35百万円減少したこと等によるものです。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は1,495億73百万円であり、前連結会計年度末に比べ106億92百万円増加しました。主な要因は、機械装置及び運搬具が34億88百万円増加したこと、投資その他の資産のその他の資産が27億62百万円増加したこと、のれんが12億58百万円増加したこと、建物及び構築物が10億円増加したこと等によるものです。

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計の残高は1,392億78百万円であり、前連結会計年度末に比べ16億96百万円減少しました。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は639億32百万円であり、前連結会計年度末に比べ20億46百万円増加しました。主な要因は、短期借入金が21億85百万円増加したこと、未払費用が20億6百万円増加したこと、支払手形及び買掛金が14億4百万円増加したこと、その他流動負債が10億32百万円増加したこと、1年内償還予定の社債が50億円減少したこと等によるものです。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は753億46百万円であり、前連結会計年度末に比べ37億43百万円減少しました。主な要因は、社債が50億円減少したこと、退職給付に係る負債が15億79百万円減少したこと、その他固定負債が16億94百万円増加したこと等によるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は1,504億24百万円であり、前連結会計年度末に比べ143億42百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金が102億91百万円増加したこと、為替換算調整勘定が23億92百万円増加したこと、退職給付に係る調整累計額が12億11百万円増加したこと等によるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

①営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは234億68百万円の収入(前連結会計年度比57億80百万円の収入増)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が208億58百万円あったこと、減価償却費が87億88百万円あったこと、法人税等の支払額が68億57百万円あったこと等によるものであります。

 

②投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは169億60百万円の支出(前連結会計年度比91億20百万円の支出増)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出が91億64百万円あったこと、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が68億8百万円あったこと等によるものであります。

 

③財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは128億85百万円の支出(前連結会計年度比29億88百万円の支出増)となりました。これは、主に社債の償還による支出が100億円あったこと、配当金の支払額が40億32百万円あったこと等によるものであります。

 

これらの結果に現金及び現金同等物に係る換算差額の増加額6億14百万円等を考慮し、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より54億10百万円減少し、627億4百万円となりました。

 

 

(3)生産、受注及び販売の実績

①生産実績及び受注実績

 当社グループの事業内容は複合ソリューション事業、国内物流事業、国際物流事業、その他と多岐にわたっているため、生産実績を画一的に算定表示することは困難であり、また受注生産形態を採らない事業も多いため、生産実績及び受注実績は記載しておりません。

②販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

複合ソリューション事業

216,604

107.2

国内物流事業

56,717

105.2

国際物流事業

71,600

121.1

報告セグメント計

344,922

109.5

その他

65

240.4

合計

344,987

109.5

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日本製鉄株式会社

40,001

12.7

41,034

11.9

 

経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に関する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。当社グループは連結財務諸表を作成するにあたり、退職給付会計、税効果会計、貸倒引当金の計上等において、過去の実績等を勘案するなど、合理的な見積り、判断を行った上で、その結果を反映させておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(2)経営成績

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(3)財政状態

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(4)キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性

資金需要

当社グループの主な資金需要は、運転資金、設備資金、投融資資金があります。

運転資金については、請負業務、貨物輸送、倉庫業務といった営業活動に必要な資金(外注・材料費及び人件費等)や、一般管理費、販売費があります。

設備資金については、主に拠点拡大、整備等による倉庫建設や、車両運搬具及び機械装置といった固定資産購入によるものであります。投融資資金については、業容拡大のためのM&Aや事業提携による出資金があります。

財務政策

当社グループの資金調達に関しては、内部資金を充当し、不足分については有利子負債で調達しております。具体的な調達手段といたしましては、運転資金については短期借入金やコマーシャル・ペーパー発行により調達し、設備資金、投融資資金については長期借入金や社債発行による調達を実施しております。

なお、資金調達の実施にあたっては、キャッシュ・フローの状況、投資案件の進捗、金利動向を考慮し、調達時期、調達規模、調達手段を適宜判断し実施しております。

一方、グループ内の余剰資金を活用し、資金を必要とする当社グループ会社に融資する事で、資金の流動性を確保し、併せて有利子負債の圧縮に努めております。

 

(7)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、限られた経営資源を効率的に活用することで高い付加価値を生み出しつつ、中長期的な成長を達成することを目指しております。したがって、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を定めております。2025年4月よりスタートした中期経営計画(期間:3年間 2026年3月期~2028年3月期)においては、前中期経営計画での成果をもとに、「成長投資と人・技術・ICTへの基盤投資で、従業員の幸せと企業価値の最大化を実現する」を基本方針に掲げ、当社グループの強みである人と、現場でのノウハウや新技術の活用により、さらなる収益力伸長、企業価値の向上を実現してまいります。中期経営計画における目標指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。今後も経営環境の変化を機会と捉え、資本効率性を高めながら中長期的な成長を図ってまいります。

 

5【重要な契約等】

重要な記載事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 重要な記載事項はありません。