(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、円安を追い風にした企業業績の好調な回復がみられ、前半は良好に推移いたしました。しかしながら、中国や東南アジア新興国の景気の減速や年明け後の円高株安の傾向が響き、素材業種や輸出企業を中心に景気の息切れ感が強まりました。一方で、設備投資は堅調であり、雇用情勢も改善が続いており、経済基調に底堅いものが見られることから、急激な景気低下を招くには至りませんでしたが、経済の鈍化が鮮明になってまいりました。
このような状況下におきまして、当社グループは「安全・迅速・信頼」をモットーに、より「堅実な兵機」との信頼を得るべく事業展開を進めてまいりました。
海運事業では、燃料価格が年間を通じて安値安定でコスト軽減に寄与いたしました。しかし、内航事業にありましては太宗貨物である鋼材輸送の足取りが重い状態で推移し、厳しい展開となりました。また、外航事業にありましては、旧長門海運株式会社(平成27年1月吸収合併)との相乗効果が具体的な形で出始めてまいりました。
港運・倉庫事業では、国内消費の弱含みが輸入雑貨を主とする物流取扱いに大きく影響し、特に大阪地区ではその大半を東南アジア輸入貨物に依存するところから、厳しい展開となりました。
これらの結果、当連結会計年度の実績につきましては、次の通りとなりました。
取扱輸送量において約9%(前連結会計年度比較)の落ち込みがあり、売上高も12,797百万円(前年同期比1,024百万円減 92.6%)と大幅な減収になりました。
一方で、燃料価格の安定化で一部コスト軽減には繋がったものの、売上高の減少に固定コストの削減対応が及ばず、傭船傭車による輸送経費や管理経費のコスト比率が高まったことから、経常利益は177百万円(前年同期比91百万円減 66.0%)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は当該年度の税金費用36百万円を差し引き113百万円(前年同期比2百万円減 97.8%)と減益になりました。
当連結会計年度におけるセグメントの営業状況は次の通りです。
① 海運事業
(イ)内航事業・・・・・当期は、主要取扱貨物である鋼材の国内需要が低迷し、メーカーの減産や在庫調整により取扱量が減少しました。その結果、売上高は5,734百万円(前年同期比633百万円減 90.1%)と大幅な減収となりました。一方、燃料コストの軽減効果はあったものの、安定輸送と定期傭船の観点から傭船料削減には厳しいものが見られたこともあって、営業利益は131百万円(前年同期比181百万円減 41.9%)と大幅な減益となりました。
(ロ)外航事業・・・・・前期末に実施した赤字社船の売却により、取扱輸送量と売上高に落ち込みがあったものの、ロシア航路と台湾航路の二軸体制の確立とその相乗性が徐々に形を創り始めたことや、自社船運航の穴を委託船契約でカバーできたこともあり、運航効率が向上しました。その結果、売上高は1,299百万円(前年同期比38百万円減 97.1%)と減収になったものの、営業利益は5百万円(前年同期は48百万円の営業損失)と大幅に収益性が改善し、経営課題でありました外航事業の黒字化を見ることができました。
② 港運・倉庫事業
(イ)港運事業・・・・・中国経済の減速、更には東南アジアの伸び悩みが事業全体に大きく影を落とす結果となりました。平成26年度に比較して、円安基調で推移したこともあり、機械類の輸出が順調に推移いたしましたが、アパレルをはじめとする輸入貨物の取扱いに落ち込みが激しく、特に中国からの輸入に頼る大阪地区では厳しい営業展開となりました。その結果、売上高は4,541百万円(前年同期比330百万円減 93.2%)と減収になりました。また、輸送コスト、管理経費ともに節減をはかるものの売上高の減収に見合うコスト削減がこれに及ばず、営業利益では56百万円(前年同期比13百万円減 80.2%)と大幅な減益となりました。
(ロ)倉庫事業・・・・・港運事業に連動する外貿貨物の取扱いにあっては非常に厳しい状況で推移しました。特に大阪と神戸の両物流センターにおいては、中国経済の減速と円安基調が雑貨貨物の取扱いに大きく影を落とす結果となりました。一方、姫路地区倉庫で始まった長期取扱い案件が安定収益に寄与したことや、摩耶倉庫の輸出貨物の取扱いが底堅かったこともあり、厳しい業績の中でもこれらが事業収支の下支えとなりました。
その結果、売上高1,221百万円(前年同期比22百万円減 98.2%)と減収になり、利益貢献には至りませんでしたが、コスト軽減にも努めましたことから、営業損失10百万円(前年同期は18百万円の営業損失)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ414百万円減少し、当連結会計年度末には、1,595百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は343百万円(前年同期は698百万円の獲得)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益149百万円、減価償却費354百万円、売上債権の減少41百万円等に対して、仕入債務の減少99百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は204百万円(前年同期は413百万円の獲得)となりました。
これは、主に固定資産の取得による支出162百万円、長期貸付金の実行による支出189百万円等に対して、長期貸付金の回収による収入156百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は552百万円(前年同期は895百万円の使用)となりました。
これは、長期借入金の返済による支出1,980百万円、短期借入金の純減少額200百万円等に対して、長期借入れによる収入1,700百万円等によるものであります。
(1)事業部門別売上高明細
当連結会計年度における事業部門別売上高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
数量 (千トン) |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
(海運事業) |
|
|
|
|
内航事業 |
1,995 |
5,734 |
90.1 |
|
外航事業 |
303 |
1,299 |
97.1 |
|
(港運・倉庫事業) |
|
|
|
|
港運事業 |
1,188 |
4,541 |
93.2 |
|
倉庫事業 |
171 |
1,221 |
98.2 |
|
(その他事業) |
|
|
|
|
商事・賃貸事業 |
- |
0 |
100.00 |
|
合計 |
3,658 |
12,797 |
92.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)輸送品目別トン数及び売上高明細
当連結会計年度における輸送品目トン数及び売上高を示すと、次のとおりであります。
|
輸送品目別 |
数量 (千トン) |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
鉄鋼 |
2,159 |
6,410 |
97.3 |
|
飼料 |
47 |
91 |
61.5 |
|
農水産品 |
192 |
604 |
99.1 |
|
油糧 |
103 |
152 |
100.9 |
|
鉱石類 |
84 |
91 |
191.9 |
|
機械類 |
108 |
481 |
125.3 |
|
紙・パルプ |
1 |
1 |
90.6 |
|
自動車 |
1 |
3 |
87.8 |
|
その他貨物 |
962 |
4,961 |
84.3 |
|
合計 |
3,658 |
12,797 |
92.6 |
(注)1.外航事業・内航事業・港運・倉庫事業を合算したものであります。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
大和工業株式会社グループ |
3,151 |
22.8 |
3,036 |
23.7 |
|
JFE物流株式会社グループ |
1,505 |
10.9 |
1,395 |
10.9 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは、各事業に下記の戦略で臨み、経営基盤の強化と企業価値の増大をはかってまいります。
・内航海運・・・・・・主力輸送品である鋼材、その他の荷主に対する良質で安定した輸送サービスを提供するためには船腹の維持更新が必要となっております。そのためにも、各船主との「共存・共栄」の精神の下、安全・安定運航の基本理念をもって確実な収益確保と老朽船のリプレイスが課題となっております。
・外航海運・・・・・・大手海運会社と中国系海運各社の狭間ニーズを営業ターゲットとし、当社グループならではの良質できめ細やかな輸送サービスをもって長期運航契約の獲得に努め、収益力の更なる増大を目指しております。しかしながら、物流コスト削減が荷主側の最大テーマで安価な物流コストが求められており、企業競争力の更なる強化が喫緊の課題となっております。そのためにも、特に東南アジアで基盤となる新規輸送案件の成約に向け、更なる営業強化が課題となっております。
・港運事業・・・・・・国際複合輸送を営業の核として、東南アジアを主たる商圏として位置づけ、積極的に外地パートナー企業と業務提携して参ります。当社の国際輸送業務の主たる相手先である中国も世界景気の後退の影響を受けております。そういった厳しい経営環境ではありますが、長年に亘り培ったノウハウと荷主各位との信頼関係を背景に、自社倉庫を最大限に活かしつつ、物流を一貫して遂行担当する細やかな業務体制をもって営業展開を図る必要があります。そのためにも積極的な海外展開が課題となっております。また、AEO通関業者の認定を取得したことから、認定業者として、今後予定される規制緩和に対し、スピーディな対応を行うことも課題となっております。
・倉庫事業・・・・・・港湾倉庫で培った荷捌ノウハウに加え、梱包等の付帯作業により港運事業(輸出)とのタイアップを図り、付加価値の高い作業受託により収益の安定化を図ることが課題となっております。また、神戸物流センターにてハラル貨物の取扱の認証を受けたことから、ハラル貨物の取扱を含めて、貨物特性に特化した保管荷捌業務を模索してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 傭船先の経営状況の動向
当社グループは、内航海運事業において貨物の輸送責任を全うするため、船舶の確保と傭船先との協調体制を確立する必要があり、船主が船舶を調達するにあたり、船主への貸付金の実行や債務保証を金融機関に行っております。従いまして、傭船先の経営状況によっては債務保証の履行、貸倒損失の発生といったリスクを負っております。
② マーケット動向
当社グループは、近海マーケットに着目して社有船3隻を運航し、積極的な事業展開を図っております。しかし、近海マーケットの需要減退、競争激化または船腹需給バランス等の影響により社有船の稼働率が低下する可能性があり、その結果、当社グループの業績および財務に影響を及ぼす可能性があります。
③ 金利動向
当社は資金の調達手段として間接金融に負うところが大きく、金利スワップ取引による金利の固定化を図っておりますが、一部変動金利で調達している資金については金利変動リスクを受ける可能性があります。
④ 財務制限条項
当社は財務制限条項付借入を受けておりますが、経済・金融環境の激変により、財務制限条項に抵触し金融機関との取引に支障が出る可能性があります。
⑤ 為替動向
当社グループの事業においては、外貨建取引もあり、為替動向により当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 燃料価格の動向
燃料油価格は世界的な原油需給、産油国の動向等により変動しますが、燃料油の価格の著しい高騰等により、当社グループの業績及び財務に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 特定の取引先(高売上比率先)の動向
当社は、大和工業株式会社グループからその物流部門を請け負っており、またJFE物流株式会社グループとも多くの取引を頂いておりますが、その輸送品目は鉄鋼であり、両者グループからの売上は全売上の30%を超えております。経済活動の産業基礎物資である鉄鋼は景気に左右されることから、今後の景気動向、ひいては日本の景気に強い影響力のある中国の動向によりましては経営に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 法的規制の動向
当社グループの事業は、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障等による輸出制限などの政府規制の適用を受けるとともに、通商、独占禁止、環境・リサイクル関連の法的規制を受けております。さらに、国内においても事業継続に必要な各種の法的規制を受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、業務停止などの重いペナルティーを受ける可能性があります。
⑨ 自然災害等の発生
当社グループの事業拠点において自然災害が発生した場合には、顧客の輸送サービスが停止することによる売上高の減少、また被災設備の修復に一時的な費用負担が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ その他
・輸送貨物や保管貨物の安全確保が不十分な場合には、貨物保証リスクの懸念があります。
・当社の輸送手段である船舶については、社有船はもとより傭船にも付保険しておりますが、事故等による運航リスクがあります。
該当事項はありません。
特記事項はありません。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、採用した重要な会計方針及び見積りは、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載しております。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く事業環境は、決して楽観できるものではなく、その継続企業としての前提を脅かすリスクについては、「第2 事業の状況 4事業等のリスク」に記載しております。そのなかでも、近海をマーケットに社有船3隻を投入しており、外航部門の経営成績が当社グループの財務に与えるインパクトは大きいものと考えております。日中関係や為替変動等の懸念材料はありますが、国際複合輸送のノウハウを最大限に生かした営業活動により収益拡大を図っております。
内航部門では、主要荷主である鉄鋼メーカーとのパイプは太く安定しておりますが、鉄鋼そのものの荷動きが景気に左右されることから、その他の安定荷主の開拓が喫緊の課題となっております。また、傭船料の引上げ要請等、内航部門の収益を圧迫する要因が続いており、売上の増加と経費圧縮による利益率の向上を目指しております。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループは、従来からの事業である「内航・外航海運」と「港運・倉庫」の強化と育成を以って、グループの業容拡大を目指しております。
内航を中心とする国内物流にありましては、鋼材の海陸一貫輸送の取扱いを主力としております。この事業の業容拡大にはベース貨物となる鋼材輸送において、安全で安定した配船サービスの提供が最大の輸送責任と認識しております。そのためにも老朽船のリプレースによる高品質輸送の継続的な提供を考えております。また、傭船船主との良好な関係の構築は不可欠であり、船主の経営強化を目指して新たな体制(共同管理)を検討しております。これにより、当社グループの経営基調である「共存共栄」の精神の下、船腹の増強と収益性の向上に努めて参ります。
外航海運にありましては、自社船(約4,000~5,500トン積)全3隻の稼動による効率運航の強みを発揮した収益体制の構築を目指しております。特に、平成27年1月に吸収合併した旧長門海運株式会社の事業の強みである日本・台湾間の定期貨物航路との相乗効果が期待されると共に、タイ・ミャンマー等のインドシナ半島諸国への足掛かりを多面的に模索し、現地を発信源とする営業開発に注力しております。
国内の港運事業にありましては、AEO認定と規制緩和は同業他社を含めて商圏の再編を招く可能性があり、攻めの営業へのチャンスととらえております。その為に、通関業務を主とする港運事業の人材配置の再編を進め、認定業者として、輸出入貨物のリードタイムの短縮・コストの削減に努め、新たな顧客開発による収益性の向上を目指します。また、国際物流にありましては、従来からの中国、台湾、韓国地域を中心に、最近ではタイ、ベトナム、インドネシア方面へとその取扱い商圏を広げつつあります。これら業容拡大に欠かせない存在として、海外物流パートナー会社があり、このパートナー会社との提携開拓と関係強化を推進することにより、相互に請負貨物の取扱量を拡大して参ります。当事業においても現地法人の設立と自前の外航事業を戦略キーとして独自の国際物流ルートの構築を考えております。
倉庫事業にありましては、長期安定貨物のさらなる確保に港運事業ともども邁進しております。神戸物流センターにてハラル認証を受けたことから、ハラル貨物の荷捌・保管業務の受注に注力しております。また、これらと平行して管理経費の削減とコスト意識の徹底をもって収益性を高め業容の拡大を図っていく所存であります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、現金及び現金同等物が414百万円減少しました。これは営業活動によって獲得したキャッシュ・フローが343百万円、投資活動によって使用したキャッシュ・フローが204百万円、財務活動に使用したキャッシュ・フローが552百万円となったことによるものです。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。しかしながら、ここ数年の世界的な物流事業のビジネス環境の変化を考慮しますと、当社グループを取り巻く事業環境はさらに厳しさを増すことが予想されます。そのなかで短期的には、当期黒字化した外航事業のさらなる充実が喫緊の課題と認識しております。それに対しては、発展著しいインドネシア等の東南アジア諸国の物流業者との提携または合弁会社の設立など積極的な海外展開を検討してまいります。この方針は国際複合輸送業務発展にも寄与するものと考えております。また、中長期的には、内航事業では輸送責任を確固たるものにするためと取引採算の確立のための船腹の適正配置を推し進める方針であります。港運・倉庫事業では、念願のAEO通関事業者の認定を取得できたことから、今後予定される規制緩和に対し、守りから攻めへの転換を図ってまいります。