(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかに景気回復のペースを辿るものの、内外需の伸びは弱く、総じて回復の実感には乏しいものとなりました。
当期の後半に入り、米国や中国の景気回復の波及による海外景気の浮上がみられたことや、円安による企業の収益増や公共事業投資などの効果もあり、比較的安定した推移を見ることができました。
このような状況下におきまして、当社グループは「安全・迅速・信頼」をモットーに、より「堅実な兵機」との信頼を得るべく事業展開を進めてまいりました。
海運事業では、燃料価格が年間を通じて安値安定でコスト軽減に寄与いたしました。内航事業にありましては太宗貨物である鉄鋼輸送に伸びが見られず苦戦を余儀なくされました。しかしながら、船舶燃料油コストが安定価格で推移したこともあり、収益の安定化に繋がりました。また、外航事業にありましては、安定した集荷営業と運航効率化が大きく寄与し、前年度に続き業績の改善を果すことができました。
港運・倉庫事業では、内需に力強さが見られないなか、中国の景気停滞、さらには、為替の変動もあって、輸出入貨物の減少という厳しい展開で推移いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の実績につきましては、次の通りとなりました。
取扱輸送量において5.7%(前連結会計年度比較)の落ち込みがあり、売上高も12,471百万円(前期比326百万円減 97.4%)と減収になりました。
一方で、燃料価格の安定化がコスト軽減などの改善に寄与し、経常利益は196百万円(前期比18百万円増 110.7%)となり、親会社株主に帰属する当期純利益においても153百万円(前期比39百万円増 135.0%)と増益になりました。
当連結会計年度におけるセグメントの営業状況は次のとおりです。
① 海運事業
(イ)内航事業・・・・・期初より太宗貨物鉄鋼の輸送に低迷が見られましたが、第3四半期連結会計期間に在庫調整が進んだこともあり、一定の業績回復に繋がりました。また、船舶燃料の価格推移が安定していたこともあり、コスト面からの下支え効果がありました。その結果、取扱輸送量は減少したものの、売上高5,901百万円(前期比166百万円増 102.9%)と増収になりました。また、燃料コスト軽減の一方で傭船料増加もあり、営業利益は140百万円(前期比9百万円増 107.3%)の増益に留まりました。
(ロ)外航事業・・・・・ロシア航路と台湾航路の2軸による安定した運航体制と燃料価格の安定推移が業績の下支えに寄与しました。また、対ロシア集荷営業やプロジェクト案件による取扱いの増加、傭船形態変更によるコスト軽減化を図ってまいりました。その結果、取扱輸送量の増加とともに売上高も1,365百万円(前期比66百万円増 105.1%)と増収をみました。一方でコスト増加を低減できましたので、営業利益は35百万円(前期比30百万円増 690.2%)と2期連続で増益をみることができました。
② 港運・倉庫事業
(イ)港運事業・・・・・農産品や食品類の取扱いに底堅いものがみられましたが、国内の景気低迷により、雑貨品をはじめとして総体的に輸入取扱いが大きく減少しました。また円高傾向を受け、機械類の輸出取扱いも厳しい展開で推移しました。その結果、取扱量の減少により売上高も4,028百万円(前期比512百万円減 88.7%)と減収になりました。一方で、コスト削減による改善を目指しましたが、営業利益は55百万円(前期比0百万円減 98.3%)と減益になりました。
(ロ)倉庫事業・・・・・摩耶倉庫・姫路倉庫にあっては、厳しい中にも底堅い展開が見られました。しかしながら、神戸・大阪の両物流センターでは港運事業の低迷を受け、厳しい展開を余儀なくされました。その結果、貨物取扱量は前期比較76.5%と大きく減衰し、売上高も1,175百万円(前期比46百万円減 96.2%)と減収になりました。また、老朽設備の修繕や管理費増加もあり、営業損失38百万円(前期は10百万円の営業損失)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ37百万円減少し、当連結会計年度末には、1,558百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は648百万円(前期は343百万円の獲得)となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益215百万円、減価償却費360百万円、仕入債務の増加66百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、獲得した資金は414百万円(前期は204百万円の使用)となりました。
主な内訳は、長期貸付金の回収による収入410百万円、投資有価証券の売却による収入48百万円等に対して、固定資産の取得による支出32百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は1,099百万円(前期は552百万円の使用)となりました。
主な内訳は、長期借入金の返済による支出2,131百万円、短期借入金の純減少額300百万円等に対して、長期借入れによる収入1,400百万円等によるものであります。
(1)事業部門別売上高明細
当連結会計年度における事業部門別売上高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
数量 (千トン) |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
(海運事業) |
|
|
|
|
内航事業 |
1,880 |
5,901 |
102.9 |
|
外航事業 |
343 |
1,365 |
105.1 |
|
(港運・倉庫事業) |
|
|
|
|
港運事業 |
1,094 |
4,028 |
88.7 |
|
倉庫事業 |
131 |
1,175 |
96.2 |
|
(その他事業) |
|
|
|
|
商事・賃貸事業 |
- |
0 |
100.0 |
|
合計 |
3,450 |
12,471 |
97.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)輸送品目別トン数及び売上高明細
当連結会計年度における輸送品目トン数及び売上高を示すと、次のとおりであります。
|
輸送品目別 |
数量 (千トン) |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
鉄鋼 |
1,890 |
6,141 |
95.8 |
|
飼料 |
17 |
46 |
50.8 |
|
農水産品 |
182 |
557 |
92.2 |
|
油糧 |
111 |
167 |
109.3 |
|
鉱石類 |
34 |
20 |
22.9 |
|
機械類 |
77 |
561 |
116.6 |
|
紙・パルプ |
8 |
16 |
1,469.3 |
|
自動車 |
1 |
7 |
220.5 |
|
その他貨物 |
1,130 |
4,951 |
99.8 |
|
合計 |
3,450 |
12,470 |
97.4 |
(注)1.外航事業・内航事業・港運・倉庫事業を合算したものであります。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
大和工業株式会社グループ |
3,036 |
23.7 |
3,398 |
27.3 |
|
JFE物流株式会社グループ |
1,395 |
10.9 |
1,333 |
10.7 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「総合物流業者としてその業務を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと顧客のニーズを先取りし、生産と消費をつなぐ物流のエキスパートを目指しております。そのニーズに具体的に応える高度な情報力と革新的でスピーディーな経営を行うとともに社会や環境との共存を図り、株主、顧客、社員の信頼と期待に応えて参ります。
(2)経営戦略等
当社グループは、従来からの事業である「内航・外航海運」と「港運・倉庫」の強化と育成を以て、グループの業容拡大を目指しております。
内航を中心とする国内物流にありましては、鋼材の海陸一貫輸送の取扱いを主力としております。この事業の業容拡大にはベース貨物となる鋼材輸送において、安全で安定した配船サービスの提供が最大の輸送責任と認識しております。そのためにも老朽船のリプレースによる高品質輸送の継続的な提供を考えております。また、傭船船主との良好な関係の構築は不可欠であり、船主の経営強化を目指して新たな体制(共同管理)を検討しております。これにより、当社グループの経営基調である「共存共栄」の精神の下、船腹の増強と収益性の向上に努めて参ります。
外航海運にありましては、自社船(約4,000~5,500トン積)全3隻の稼動による効率運航の強みを発揮した収益体制の構築を目指しており、近年、ロシアの極東開発に着目したロシア航路の拡充に注力し、成果をあげつつあります。また、平成27年1月に吸収合併した旧長門海運株式会社の事業の強みである日本・台湾間の定期貨物航路との相乗効果が期待されると共に、タイ・ミャンマー等のインドシナ半島諸国への足掛かりを多面的に模索し、現地を発信源とする営業開発に注力しております。
国内の港運事業にありましては、AEO認定と規制緩和は同業他社を含めて商圏の再編を招く可能性があり、攻めの営業へのチャンスととらえております。また、通関業を主とする港運事業の人材配置の再編を進め、認定業者として、輸出入貨物のリードタイムの短縮・コストの削減に努め、新たな顧客開発による収益性の向上を目指します。一方、国際物流にありましては、従来からの中国、台湾、韓国地域を中心に、最近ではタイ、ベトナム、インドネシア方面へとその取扱い商圏を広げつつあります。これら業容拡大に欠かせない存在である海外物流パートナー会社との提携開拓と関係強化を推進することにより、相互に請負貨物の取扱量を拡大して参ります。当事業においても現地法人の設立と自前の外航事業を戦略キーとして独自の国際物流ルートの構築を考えております。
倉庫事業にありましては、長期安定貨物のさらなる確保に港運事業ともども邁進しております。また、神戸物流センターにてハラル認証を受けたことから、ハラル貨物の荷捌・保管業務の受注に注力するとともにコスト意識の徹底をもって収益性を高め、業容の拡大を図っていく所存であります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、財務体質の強化が課題であることから、自己資本比率を早期に30%に上げることを目標とする経営指標として取組んでおります。そのためにも更なる経営の効率化を図り、売上高経常利益率3%を目指した業務改善に取組んで参ります。
(4)経営環境
次期の経営環境の見通しにつきましては、当面の景気は緩やかな回復傾向にあると思われます。しかし世界レベルで俯瞰しますと、国家間の均衡概念が塗り替えられようとする中、安定通貨としての円高傾向が過度に進行し、景気の回復力が減衰することも考えられます。また、内需の脆弱さやデフレへの懸念が払拭しきれないなど、本格的な景気回復には不透明感が拭えないものと考えております。当社グループを取り巻く物流一般の環境にありましては、実輸送労働力の慢性的不足や燃料油価格が底値から反転期に入るなど、輸送コストの押し上げと価格への転嫁交渉が厳しくなるものと考えられます。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、各事業に下記の戦略で臨み、経営基盤の強化と企業価値の増大をはかってまいります。
・内航海運・・・・・・主力輸送品である鋼材、その他の荷主に対する良質で安定した輸送サービスを提供するためには船腹の維持更新が必要となっております。各船主との「共存・共栄」の精神の下、運航効率と安全輸送の両立を果たすべく、支配船の新鋭化を図ってまいります。また、関連会社を通じて船舶管理・船員派遣のサービスの拡充化を進めてまいります。
・外航海運・・・・・・大手海運会社と中国系海運各社の狭間ニーズを営業ターゲットとし、当社グループならではの良質できめ細やかな輸送サービスをもって長期運航契約の獲得に努め、収益力の更なる増大を目指しております。しかしながら、物流コスト削減が荷主側の最大テーマで安価な物流コストが求められており、企業競争力の更なる強化が喫緊の課題となっております。そのためにも、特に東南アジアで基盤となる新規輸送案件の成約に向け、更なる営業強化が課題となっております。
・港運事業・・・・・・国際複合輸送を営業の核として、東南アジアを主たる商圏として位置づけ、積極的に外地パートナー企業と業務提携して参ります。当社の国際輸送業務の主たる相手先である中国も世界景気の後退の影響を受けております。そういった厳しい経営環境ではありますが、長年に亘り培ったノウハウと荷主各位との信頼関係を背景に、自社倉庫を最大限に活かしつつ、物流を一貫して遂行担当する細やかな業務体制をもって営業展開を図る必要があります。そのためにも積極的な海外展開が課題となっております。また、今秋に予定される税関申告官署自由化等の大きな規制緩和を控え、事業者間シェア競争による利益率低下も想定されます。これらリスクに備えるため、提案型の営業強化と港湾基盤に縛られることのない営業体を目指してまいります。
・倉庫事業・・・・・・港湾倉庫で培った荷捌ノウハウに加え、梱包等の付帯作業により港運事業(輸出)とのタイアップを図り、付加価値の高い作業受託により収益の安定化を図ることが課題となっております。また、神戸物流センターにてハラル貨物の取扱の認証を受けたことから、ハラル貨物の取扱を含めて、貨物特性に特化した保管荷捌業務を模索してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 傭船先の経営状況の動向
当社グループは、内航海運事業において貨物の輸送責任を全うするため、船舶の確保と傭船先との協調体制を確立する必要があり、船主が船舶を調達するにあたり、船主への貸付金の実行や債務保証を金融機関に行っております。従いまして、傭船先の経営状況によっては債務保証の履行、貸倒損失の発生といったリスクを負っております。
② マーケット動向
当社グループは、近海マーケットに着目して社有船3隻を運航し、積極的な事業展開を図っております。しかし、近海マーケットの需要減退、競争激化または船腹需給バランス等の影響により社有船の稼働率が低下する可能性があり、その結果、当社グループの業績および財務に影響を及ぼす可能性があります。
③ 金利動向
当社は資金の調達手段として間接金融に負うところが大きく、金利スワップ取引による金利の固定化を図っておりますが、一部変動金利で調達している資金については金利変動リスクを受ける可能性があります。
④ 財務制限条項
当社は財務制限条項付借入を受けておりますが、経済・金融環境の激変により、財務制限条項に抵触し金融機関との取引に支障が出る可能性があります。
⑤ 為替動向
当社グループの事業においては、外貨建取引もあり、為替動向により当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 燃料価格の動向
燃料油価格は世界的な原油需給、産油国の動向等により変動しますが、燃料油の価格の著しい高騰等により、当社グループの業績及び財務に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 特定の取引先(高売上比率先)の動向
当社は、大和工業株式会社グループからその物流部門を請け負っており、またJFE物流株式会社グループとも多くの取引を頂いておりますが、その輸送品目は鉄鋼であり、両者グループからの売上は全売上の30%を超えております。経済活動の産業基礎物資である鉄鋼は景気に左右されることから、今後の景気動向、ひいては日本の景気に強い影響力のある中国の動向によりましては経営に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 法的規制の動向
当社グループの事業は、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障等による輸出制限などの政府規制の適用を受けるとともに、通商、独占禁止、環境・リサイクル関連の法的規制を受けております。さらに、国内においても事業継続に必要な各種の法的規制を受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、業務停止などの重いペナルティーを受ける可能性があります。
⑨ 自然災害等の発生
当社グループの事業拠点において自然災害が発生した場合には、顧客の輸送サービスが停止することによる売上高の減少、また被災設備の修復に一時的な費用負担が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ その他
・輸送貨物や保管貨物の安全確保が不十分な場合には、貨物保証リスクの懸念があります。
・当社の輸送手段である船舶については、社有船はもとより傭船にも付保険しておりますが、事故等による運航リスクがあります。
該当事項はありません。
特記事項はありません。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、採用した重要な会計方針及び見積りは、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載しております。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く事業環境は、決して楽観できるものではなく、その継続企業としての前提を脅かすリスクについては、「第2 事業の状況 4事業等のリスク」に記載しております。そのなかでも、近海をマーケットに社有船3隻を投入しており、外航部門の経営成績が当社グループの財務に与えるインパクトは大きいものと考えております。日中関係や為替変動等の懸念材料はありますが、国際複合輸送のノウハウを最大限に生かした営業活動により収益拡大を図っております。
内航部門では、主要荷主である鉄鋼メーカーとのパイプは太く安定しておりますが、鉄鋼そのものの荷動きが景気に左右されることから、その他の安定荷主の開拓が喫緊の課題となっております。また、傭船料の引上げ要請等、内航部門の収益を圧迫する要因が続いており、売上の増加と経費圧縮による利益率の向上を目指しております。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、現金及び現金同等物が37百万円減少しました。これは営業活動によって獲得したキャッシュ・フローが648百万円、投資活動によって獲得したキャッシュ・フローが414百万円、財務活動に使用したキャッシュ・フローが1,099百万円となったことによるものです。