第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「総合物流業者としてその業務を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと顧客のニーズを先取りし、生産と消費をつなぐ物流のエキスパートを目指しております。そのニーズに具体的に応える高度な情報力と革新的でスピーディーな経営を行うとともに社会や環境との共存を図り、株主、顧客、社員の信頼と期待に応えてまいります。

(2)経営戦略等

 当社グループは、従来からの事業である「内航・外航海運」と「港運・倉庫」の強化と育成を以て、グループの業容拡大を目指しております。
 内航海運を中心とする国内物流にありましては、鉄鋼メーカーが生産する鋼材の海陸一貫輸送の取扱いを主力としております。この事業の業容拡大にはベース貨物となる鋼材輸送において、安全で安定した配船サービスの提供が最大の輸送責任と認識しております。そのためにも老朽船のリプレースによる高品質輸送の継続的な提供を考えております。また、傭船船主との良好な関係の構築は不可欠であり、船主の経営強化を目指して新たな体制(共同管理)に着手し、当社と船主によって設立しました七洋船舶管理株式会社がその任に当たっております。これにより、当社グループの経営基調である「共存共栄」の精神の下、船腹の維持増強と市況変動に耐えうる強固な収益体制の向上に努めてまいります。
 外航海運にありましては、自社船(約4,000トン積)によるスピーディーでフットワークの良い運航の強みを発揮した収益体制の構築に加え、傭船の利用による輸送効率のアップに注力し、近年、ロシアの極東開発に着目したロシア航路の拡充に、一定の成果をあげてまいりました。また、複数年度に及ぶインフラ整備でのプロジェクト輸送も収益基盤となっており、引き続き案件発掘に注力してまいります。また、東南アジアに絞った長期安定輸送貨物の獲得も目指しております。

 国内の港運事業にありましては、AEO制度による認定と規制緩和は当事業の経営環境を厳しくしておりますが、攻めの営業へのチャンスととらえております。また、通関業を主とする港運事業の人材配置の再編を進め、認定業者として、輸出入貨物のリードタイムの短縮・コストの削減に努め、新たな顧客開発による収益性の向上を目指します。特に、国際複合輸送の分野にありましては、従来からの中国、台湾、韓国地域を中心に、最近ではタイ、ベトナム、インドネシア方面へとその取扱い商圏を広げつつあります。これら業容拡大に欠かせない存在である海外物流パートナー会社との提携開拓と関係強化を推進することにより、相互に請負貨物の取扱量を拡大してまいります。

 倉庫事業にありましては、付加価値の高い危険物に着目し、姫路地区と、神戸地区に建設した危険物倉庫が新たな収益基盤に成長しつつあります。そのために、危険物取扱者の人材育成等安全面にも配慮し、長期安定貨物のさらなる確保に努めてまいります。また、港運事業と倉庫事業の一体性を発揮することで、きめ細かいサービスを顧客に提供することで自社倉庫のさらなる優位性の発揮を目指します。

(3)経営環境

 次期の経営環境の見通しにつきましては、世界レベルではコロナ・ショックからの景気回復は予想を上回る早さが見られ、ワクチン接種が進む諸国は混乱期を終え回復期に入ったものと考えられます。しかしながら、本邦ではコロナ禍収束の目途が立っておらず、当分の間は経済の本格的な回復の道筋も見えない厳しい状況が続くものと想定されます。また、景気回復が出遅れることで円安へのベクトルが強まることや原油高騰への警戒など、輸入のコスト高を招くリスク要因が懸念され、経済の回復を鈍化させるなど、閉塞感が漂うことも想定されます。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 内航事業ではコロナ禍の収束とともに公共投資をはじめ各種の設備投資計画も緩やかな回復が想定され、鉄鋼輸送量の足取りを軽くするものと考えております。老朽船の売船や代替建造、高齢化する船主の廃業選択など、厳しい時代に応じた船団の組み換えを模索する必要がありますが、傭船船主の世代交代も進みつつあり、新造船でラインアップされるHKLシリーズ船団をもって、安全で安定した輸送体制の維持確保を第一に、事業継続と適正利益を残せるよう邁進してまいります。しかしながら、事業そのものが大きな設備投資を伴うことから、船主ともども収益マインドの醸成とコスト管理の強化が課題となっております。

 外航事業では、将来に向けての急速な脱炭素への社会構造の変化を受け、主力貨物の一角である火力発電プラントの輸送は激減するものと想定されます。今後の方針として、時代に沿った環境配慮型産業に注目し、バイオマス発電の燃料輸送など、継続的かつ大量輸送に取り組んでまいります。また、自社船の経過年数を考慮するとリプレイスの検討が必要となっておりますが、厳しい経営環境の下では財務面でのインパクトが強いことから、そのタイミングを模索しております。

 港運及びこれと両輪関係にある倉庫の両事業では、コロナ・ショックでも需要が活発であった食品や衛生(化成品)に着目し、営業展開を目指してまいります。温度管理や危険物管理に適した自営設備と豊富な経験を積んだスタッフ体制を強みに、荷主直結の営業展開を目指すとともに、一般貨物の取り扱いから一歩踏み出し、将来的に需要が見込める危険品等の取扱を新たな営業の柱と位置づけております。神戸港に新設した倉庫設備と先行の姫路地区の倉庫設備とともに危険品等取扱の業容を拡大し、事業収益の底上げを目指してまいります。自社倉庫建設による財務面への影響が強いことから、新型コロナウイルス感染症克服後を睨んだ営業活動の強化が課題となっております。

 当社グループは、もともと船舶・倉庫等の大型設備を必要とする事業特性から自己資本比率が低いことが課題となっております。財務体質の強化を図るために、早急に自己資本比率30%を確保することを経営指標として取組んでおります。そのためにも更なる経営の効率化を図り、売上高経常利益率5%、ネットDEレシオ1.0倍を目指した業務改善に取組んでまいります。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、各セグメント別に特段の経営指標の設定はありませんが、グループ全体での経営指標として、自己資本比率30%の確保を掲げ、売上高経常利益率、ネットDEレシオを重視しております。

 なお、当連結会計年度における、当社グループが経営指標としている自己資本比率は前年同期より3.93ポイント上昇し26.50%となりました。また、売上高経常利益率は前年同期より0.67ポイント後退し1.61%、ネットDEレシオは前年同期より0.75ポイント改善し1.43倍となりました。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当社グループは、事業活動全般のリスクを全社的視点で、合理的かつ最適な方法で管理し、リスク情報の集約や全社的な管理体制を構築するためにリスク管理委員会を設けております。各部・各店にリスク管理者を置き、担当役員がこれらを管掌しております。これにより、定例的にリスクの洗い出しを行い、リスクを共有することでリスク管理を日常業務の一環としてリスク管理意識を向上せしめ、企業全体のリスク対応力の維持・向上を図っております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 傭船先の経営状況の動向

当社グループは、内航海運事業において貨物の輸送責任を全うするために、船舶の確保が最優先課題となっております。そのために、傭船先との協調体制が必要であり、船主が船舶を調達するにあたり、船主への貸付金の実行や債務保証を金融機関に行っております。従いまして、経営環境の変化による傭船先の経営状況によっては債務保証の履行、貸倒損失の発生といったリスクを負っており、当社グループの業績および財務に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスク回避の為に、通常の訪船活動での船主ヒアリングと傭船先の財務諸表等により経営状況を常に注視しております。

② マーケット動向

当社グループは、外航事業において、近海マーケットに着目して社有船を運航し、積極的な事業展開を図っております。しかし、近海マーケットの需要減退、競争激化または船腹需給バランス等の影響により社有船の稼働率が低下する可能性があり、その結果、当社グループの業績および財務に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスク回避の為に、主要航路の複線化、取扱貨物の多様化に向けた営業活動を展開しております。

③ 金利動向

当社グループは資金の調達手段として間接金融に負うところが大きく、金利スワップ取引による金利の固定化を図っておりますが、一部変動金利で調達している資金については金利変動リスクを受ける可能性があります。近年、金利水準が低位安定しておりますので、相対的にはリスクの軽減が図られております。しかし、大型設備投資が必要な業種特性から引続き金利動向を注視してまいります。

④ 財務制限条項

当社グループは財務制限条項付借入を受けておりますが、経済・金融環境の激変により、財務制限条項に抵触し金融機関との取引に支障が出る可能性があり、当社グループの業績および財務に影響を及ぼす可能性があります。そのために、各条項の指標の推移を把握し、経営戦略を微調整するとともに金融機関とのコミュニケーションの強化を図っております。

⑤ 為替動向

当社グループの事業においては、外貨建取引もあり、為替動向により当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、外航事業におけるドル建て売上と港運事業でのドル建てのフレイト支払等で相殺され、為替変動リスクは従前より軽減されております。これは、平成25年迄は、外航部門は海外子会社での事業でありましたが、親会社である兵機海運株式会社が統合したことにより、外為法の規制が外れ、社内での融通が可能になったことによるものであります。

⑥ 燃料価格の動向

燃料油価格は世界的な原油需給、産油国の動向等により変動しますが、燃料油の価格の著しい高騰等により、当社グループの業績及び財務に影響を及ぼす可能性があります。これらに対処するために、主要取引先にはバンカーサーチャージの制度導入をお願いしており、この制度の適用拡大を引続き図ってまいります。

⑦ 特定の取引先(高売上比率先)の動向

当社グループは、大和工業株式会社グループからその物流部門を請け負っており、またJFE物流株式会社グループとも多くの取引を頂いておりますが、その輸送品目は鉄鋼であり、両社グループからの売上は全売上の30%を超えております。経済活動の産業基礎物資である鉄鋼は景気に左右されることから、今後の景気動向、ひいては日本の景気に強い影響力のある中国の動向によりましては経営に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、内航事業での主要貨物である鉄鋼の輸送は船舶が中心となることから、輸送需要の減少下であっても長年に培ったノウハウで顧客満足度をより一層高めるサービスの強化を図っております。さらには、環境負荷が軽いモーダルシフトへの時代を見据えた取扱貨物の複線化を目指しております。

⑧ 法的規制の動向

当社グループの事業は、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障等による輸出制限などの政府規制の適用を受けるとともに、通商、独占禁止、環境・リサイクル関連の法的規制を受けております。さらに、国内においても事業継続に必要な各種の法的規制を受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、業務停止などの重いペナルティーを受ける可能性があります。当社グループでは、法令違反による信頼の失墜が事業存続に大きな影響を与えることから、コンプライアンス委員会を設けております。各部・各店ごとにコンプライアンス委員を指名し、最高責任者には代表取締役社長が就いております。この活動を通じて業務の適正を確保するとともに、外部の専門家に適宜意見を求めて、その補完としております。

⑨ 自然災害等の発生

当社グループの事業拠点において自然災害が発生した場合には、顧客の輸送サービスが停止することによる売上高の減少、また被災設備の修復に一時的な費用負担が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、近年の自然発生の頻度から想定しうる範囲内で、顧客サービスの維持・従業員の安全・当社グループ施設の保全に現場からの意見を重視しながら、全社的に取り組んでおります。

⑩ 新型コロナウイルス感染症拡大に関するリスク

新型コロナウイルス感染症等の感染症が拡大した場合、運送事業は公共の福祉たる使命を受けるため事業継続を最優先と考えられるものの、輸送の延期ないし中止が相次ぐなど、収益低下を招き当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。

なお、事業を維持するための各事業所等の環境につきましては、同感染拡大ステージの進行に応じて立案した社内指針に従い、時差出勤及びリモートワークの実施、社内でのソーシャルディスタンスの確保等の適切な防疫体制を敷いておりますが、閉ざされた環境にある社船乗組員にあっては集団感染のリスクが高く、万一の場合は一定期間の停船も余儀なくされるなど、さらなる経済的な損失リスクが想定されます。

⑪ その他

・輸送貨物や保管貨物の安全確保が不十分な場合には、貨物保証リスクの懸念があります。

・当社の輸送手段である船舶については、社有船はもとより傭船にも付保しておりますが、事故等による運航リスクがあります。

当社グループでは、このような事故が発生した場合、当社グループに対する顧客の信頼や社会的評価が失墜し、当社グループの業績及び財務に影響を及ぼす可能性があります。これらの事故を未然に防ぐためには、内航・外航海運事業では、月次の船舶安全会議及び訪船時の注意喚起、倉庫部門では月次の安全衛生会議及び外部の専門家による安全衛生講習等による指示事項の順守を図っております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、期初より大変厳しい状況が想定され、コロナ・ショック対応に終始した1年となりました。海外に目を向ければいち早く回復したとされる中国経済をはじめ、米国の景気が年末に向けて持ち直したことが転換期となりました。これに円安基調が相まって、期末には輸出需要を中心に景況感が上向くように見られましたが、設備投資も大きく後退し、雇用や家計環境も未だ閉塞感が漂っており、景気の実勢はコロナ禍以前のピークには遠く及ばない状況で推移いたしました。

 このような状況下におきまして、当社グループの活動は公共の福祉たる運送事業であることを認識し、輸送を止めないことを使命として、各事業所や船舶において社内指針を設け、適切な防疫体制を敷き、「堅実な兵機」との信頼を得るべく、事業展開を進めてまいりました。

海運事業では、先の旅客船での集団感染を教訓に、運航に支障をきたさない様、全ての乗組員の安全と感染防止に徹底した衛生管理を実施し、停船休業させることなく運航が出来ました。一方で、太宗貨物やプラント設備の出荷状況が総じて低調となり、両事業の展開は厳しい結果となりました。

港運・倉庫事業では、生活がコロナ禍で変化したこともあり、物流需要にも大きな変化が見られました。折しも神戸地区の新倉庫を新たな営業の核として展開をした時期と重なり、両事業で時流のニーズを取り込むことができました。一方、米中の景気回復はコンテナ輸送の世界的な停滞を招き、輸出計画が見直しされるなど、港運事業では大変厳しいものとなりました。

 

 これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ391百万円増加し、11,628百万円となりました。

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ153百万円減少し、8,546百万円となりました。

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ545百万円増加し、3,081百万円となりました。

 

b.経営成績

当期は取扱輸送量3,333千トン(前期比258千トン減 92.8%)と落ち込み、売上高も13,001百万円(前期比981百万円減 93.0%)と減収になりました。また、輸送ロットの縮小化などで収益性が落ちたこともあり、経常利益は209百万円(前期比109百万円減 65.8%)と厳しい展開となりました。一方で、新倉庫の稼働により旧倉庫となった設備資産を売却し特別利益を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は324百万円(前期比162百万円増 200.2%)と大幅な増益となりました。

 

 当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 1)海運事業

(イ)内航事業・・・・・内航事業の太宗貨物である鉄鋼は国際的な需給バランスの影響を受け、国内需要の回復も鈍いものとなり、総じて大変厳しい状況で推移しました。この対応として、係船措置等を講じる一方、運航効率化、安全運航を目指した船舶再編や新鋭社船の建造を行う等、将来に向けた船団の再構築を進めました。結果としまして、売上高は5,611百万円(前期比821百万円減 87.2%)と減収になりました。運航経費の見直しや管理経費の節減を図りましたが、取扱高減少の影響が大きく、営業利益は115百万円(前期比55百万円減 67.4%)と減益になりました。

(ロ)外航事業・・・・・コロナ禍による世界経済の停滞を受け、ロシア向け航路の輸送需要は足取りが重い中で推移しました。一方で、コスト軽減を目的に、社船を売却しリース運航に変更する等の対応を行いました。また期中より海外船社と業務提携を進め、相互に営業や配船を補完する体制を構築し、新たな商圏獲得に取り組みました。結果としまして、取扱量の減少や輸送ロットの縮小が影響し、売上高は1,195百万円(前期比501百万円減 70.5%)と減収になりました。社船コスト見直しや管理コスト節減に努めましたが、輸送量の減少が大きく響き、営業利益は15百万円(前期比22百万円減 40.7%)と減益になりました。

 2)港運・倉庫事業

(イ)港運事業・・・・・コロナ禍で消費経済や生活習慣が一変し、物資の需給関係に大きな変化が見られました。一般製品から素材物資まで輸入貨物の流通全般に大きな影を落とす一方、巣ごもり生活や食品小売業に通じる輸入品等では大きな伸びが見られました。輸出は円安基調で追い風に乗るものの秋口からのコンテナ不足と海上運賃高騰が物流停滞を招き、総じて厳しい展開で推移いたしました。結果としまして、世界的な貿易縮小の影響を受け取扱量は落ちたものの、新規営業の効果が見られ、売上高は4,751百万円(前期比292百万円増 106.6%)と増収になりました。しかしながら、輸送原価の上昇や管理経費が増加し、営業損失は12百万円(前期営業利益45百万円)と利益貢献には至りませんでした。

(ロ)倉庫事業・・・・・新たな事業展開としてスタートした兵庫埠頭物流センターでは、消毒や衛生分野に通じる危険品や化成品を中心に取り扱い需要が高まり、業績拡大の原動力となりました。一方で、円安を追い風とする機械類等一般輸出貨物については、米中の景気急回復を背景に物流に急激な負荷が掛ったことから、コンテナ不足や海上運賃高騰を招き、景気回復に水を差すこととなりました。結果としまして、新倉庫の本格稼働が寄与しコロナ禍のマイナス要因を払拭したことで、売上高は1,442百万円(前期比50百万円増 103.6%)と増収になり、営業利益も67百万円(前期比50百万円増 404.8%)と大幅な増益となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ605百万円増加し、当連結会計年度末には、1,999百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果、獲得した資金は790百万円(前期は530百万円の獲得)となりました。

 主な内訳は、税金等調整前当期純利益381百万円、減価償却費425百万円、未払消費税等の増加額137百万円等に対して、固定資産売却益274百万円、売上債権の増加89百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、獲得した資金は416百万円(前期は2,149百万円の使用)となりました。

 主な内訳は、固定資産の売却による収入1,075百万円、長期貸付金の回収による収入30百万円等に対して、固定資産の取得による支出680百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は605百万円(前期は1,428百万円の獲得)となりました。

 主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,612百万円、短期借入金の純減少額200百万円、配当金の支払額59百万円等に対して、長期借入れによる収入1,300百万円等によるものであります。

 

事業部門別売上高、輸送品目別トン数及び売上高の実績

(1)事業部門別売上高明細

 当連結会計年度における事業部門別売上高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

数量

(千トン)

金額(百万円)

前年同期比(%)

(海運事業)

 

 

 

内航事業

1,471

5,611

87.2

外航事業

318

1,195

70.5

(港運・倉庫事業)

 

 

 

港運事業

1,228

4,751

106.6

倉庫事業

314

1,442

103.6

(その他事業)

 

 

 

商事・賃貸事業

 

 

 

合計

3,333

13,001

93.0

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

     2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)輸送品目別トン数及び売上高明細

 当連結会計年度における輸送品目トン数及び売上高を示すと、次のとおりであります。

輸送品目別

数量

(千トン)

金額(百万円)

前年同期比(%)

鉄鋼

1,596

5,722

87.2

飼料

7

38

138.7

農水産品

276

929

146.9

油糧

100

139

94.1

鉱石類

56

70

108.5

機械類

91

652

72.9

紙・パルプ

35

8

61.2

自動車

1

1

0.9

その他貨物

1,172

5,436

99.9

合計

3,333

13,001

93.0

 (注)1.外航事業・内航事業・港運・倉庫事業を合算したものであります。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

大和工業株式会社グループ

3,825

27.3

3,525

27.1

JFE物流株式会社グループ

1,274

9.1

968

7.5

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 1)財政状態

 (資産合計)

 当連結会計年度末における資産合計は11,628百万円となり、前連結会計年度末と比較して391百万円増加いたしました。

 流動資産は3,753百万円となり、前連結会計年度末と比較して592百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の増加605百万円、受取手形及び売掛金の増加89百万円等に対して、未収消費税等の減少128百万円等によるものであります。

 固定資産は7,874百万円となり、前連結会計年度末と比較して200百万円減少いたしました。これは主に、新船建造を始めとする有形固定資産の増加677百万円等、時価評価の上昇等による投資有価証券の増加413百万円に対して、固定資産の売却による減少800百万円、減価償却による固定資産の減少425百万円等によるものであります。

 (負債合計)

 当連結会計年度末における負債は8,546百万円となり、前連結会計年度末と比較して153百万円減少いたしました。

 流動負債は4,366百万円となり、前連結会計年度末と比較して42百万円減少いたしました。これは主に、短期借入金の減少363百万円等に対して、未払消費税等の増加137百万円、未払金の増加87百万円、支払手形及び買掛金の増加59百万円等によるものであります。

 固定負債は4,179百万円となり、前連結会計年度末と比較して111百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金の減少149百万円等に対して、退職給付に係る負債の増加38百万円等によるものであります。

 (純資産合計)

 当連結会計年度末における純資産合計は3,081百万円となり、前連結会計年度末と比較して545百万円増加いたしました。これは主に、時価評価によるその他有価証券評価差額金の増加280百万円、利益剰余金の増加265百万円等によるものであります。

 

 2)経営成績

 (売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前期比981百万円減の13,001百万円となりました。

 セグメント別では、港運事業で4,751百万円(前期比292百万円増)、倉庫事業で1,442百万円(前期比50百万円増)と前期を上回りました。港運事業では、新規安定貨物の受注と、コロナ禍による内食需要の増大により運賃価格が高い欧州からの食品輸入が増加したことが売上増の主因となりました。倉庫事業では、2020年1月に営業を開始した兵庫埠頭物流センターが危険物倉庫を軸とした新たな収益基盤としてフル稼働したことが売上増の主因となりました。

 これらの事業に対して、内航事業で5,611百万円(前期比821百万円減)、外航事業で1,195百万円(前期比501百万円減)と海運事業にて前期を下回りました。内航事業では、前期から続く鉄鋼需要の減少の影響が大きく、下期にかけて持ち直しの気配があるものの、年度を通じて、取扱トン数が1,471千トン(前期比272千トン減)と減少したことが売上減の主因となりました。外航事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により現地での需要が減少したことから、輸送機会も減少し、主要航路である日露間の輸送を始め、船積みロットが縮小され取扱トン数が318千トン(前期比57千トン減)と減少したことが売上減の主因となりました。

 (営業利益)

 当連結会計年度の営業利益は、前期比85百万円減の186百万円となりました。セグメント別では、内航事業で115百万円(前期比55百万円減)、外航事業で15百万円(前期比22百万円減)、倉庫事業で67百万円(前期比50百万円増)となりました。一方で、人件費の増大の影響が大きく、管理経費が前年度を55百万円上回った港運事業では12百万円の営業損失(前期は45百万円の営業利益)となりました。セグメント全体で管理経費を前期比12百万円削減しましたが、内航事業を始めとする売上の減少をカバーしきれず、兵庫埠頭物流センターのフル稼働で順調な倉庫事業で前年度を上回ったものの、セグメント全体での営業利益は前年度を下回りました。

 

 (経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益は、前期比22百万円減の80百万円となりました。主な増減は、受取保険金の減少9百万円、受取配当金の減少2百万円、持分法による投資利益の増加3百万円等によるものであります。

 当連結会計年度の営業外費用は、前期比0万円増の56百万円となりました。主な増減は、控除対象外消費税等の増加13百万円、支払利息の減少10百万円等によるものであります。

 以上の結果、経常利益は前期比109百万円減の209百万円となりました。

 (親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度に計上した特別利益は、固定資産売却益298百万円となっております。

 当連結会計年度に計上した特別損失は、本社社屋(神戸物流センター)の修繕に伴う、特別修繕費103百万円、固定資産売却損23百万円、(前連結会計年度は投資有価証券評価損による79百万円を計上)となっております。

 税金等調整前当期純利益381百万円から法人税等合計56百万円を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は324百万円となり、前連結会計年度に比べ162百万円増加いたしました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

ロ)契約債務

 2021年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

1,800

1,800

長期借入金

4,611

1,033

1,222

683

1,671

リース債務

80

32

47

 上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 当社グループの第三者に対する保証は、傭船船主・協力会社の借入金等に対する債務保証であります。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2021年3月31日現在の債務保証額は、1,272百万円であります。

 

ハ)財務政策

 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は銀行借入により資金調達することとしております。このうち、銀行借入による資金調達に関しましては、運転資金については借入時の金融情勢を考慮して短期借入金及び長期借入金にて調達し、船舶建造、倉庫建設などの設備資金については、一部を除き固定金利の長期借入金にて調達しております。変動金利での借入分は金利の変動リスクに晒されていますが、デリバティブ取引(金利スワップ取引)を利用してヘッジを行っております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

    該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 特記事項はありません。