当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
当社グループは「国際物流業務を通して世界の産業とくらしに貢献する」を事業コンセプトとし、経営方針につきましては、「顧客の課題を解決することによって付加価値の高いサービスを提供する」「経営基盤を強化し、存在感のある事業体となる」「社員にとって働きがいのある、いきいきとした職場を作る」を基本方針として、経営を進めてまいります。また、当社グループは、株主資本の効率的な運用と収益性の一層の向上を目指して、自己資本利益率と売上高経常利益率を重視し、高収益企業を目指してまいります。
また、当社グループは「国際物流のトータルプランナーとして常に革新する企業」を目指し、常に顧客ニーズの変化に的確に対応した事業体となる経営を進めてまいります。当社グループを取り巻く港湾物流業界は、流通形態の変革により今後の事業環境は大きく変化するものと思われます。当社グループといたしましては、この変化に即応できる効率的な体制づくりと物流の合理化要請に対応できる商品、情報、サービスの提供をグローバルに取組み、積極的な営業展開による収益の拡大に努めてまいります。
具体的には、当社グループでの港湾関連情報における環境を整備するため、港湾関連データ連携基盤の構築により全ての港湾情報や貿易手続きを電子的に取り扱うことが可能となるサイバーポートへの接続や、通関業連合会の通関業者のためのクラウドサービス提供により当社グループ基幹システムとの連携強化を進めます。当社グループ内のIT環境を整備することにより業務の効率化を通じて働き方改革を実行し、仕事の付加価値を高め収益性の向上に繋げます。新サービスとして海上輸送とJRの鉄道輸送網を組み合わせた国際複合一貫サービスを構築し、新たなツールとして営業展開しております。モーダルシフトによる物流機能を強化すると共に、顧客と連携し環境負荷の低減により、物流事業者として社会的貢献をしてまいります。また、グループ会社を含めた海外合弁会社4社を中心に、従来のサービスの強化と新たな商品開発を推進します。今後は取引先の海外生産拠点の変化に柔軟に対応し、当社グループの国際物流網の強化を図るため、海外に新たな投資先を模索し、積極的に投資を推進することにより、海外事業の拡大や収益源を求めてまいります。引続き情報を的確に捉え取引先のニースに応え新たなサービスを提供し海貨系国際物流事業者としての役割を果たし、事業活動の効率化を図り健全な経営を維持し企業価値の向上を目指してまいります。
(2)経営環境及び対処すべき課題
当社グループは五大港に自己資産もしくは賃貸により倉庫設備を保有し、輸出入貨物の海上輸送及び国内物流を取り扱う海貨系国際物流事業者として事業展開しています。港湾運送事業の規制緩和は近年大きく前進しておらず、当社を取り巻く事業環境は急激な変化もなく、港湾地域への企業の新規参入もない状況です。しかしながら新型コロナウイルス感染症の収束とともに新たな社会様式が定着し、国内における消費動向も変化しています。さらに少子高齢化と国内人口の減少により日本の経済力低下は否めず、中長期的には国内消費全体の縮小等が進み、当社グループの主要倉庫設備等拠点がある神戸港をはじめとして、輸出入貨物の取扱量は、今後減少していくことが推測され、業者間の競争がより一層激化することが予想されます。
港湾物流を担うコンテナ運送及び国内トラック運送業界における人手不足や人件費上昇の問題、燃料費等の高騰による物流コストの上昇も顕在化しており、行政主導によるターミナル等の港湾物流の効率化推進事業の進捗状況に歩調を合わせ、当社グループでの業務の効率化に繋げてまいります。現在当社グループは海外投資資産を持たずアジアを中心に海外フォワーダーと資本提携による合弁会社を設立もしくは代理店契約により連携を強化し海外展開を行っています。投資効果においては安定的な利益配当を確保し、営業面では、取引先のニーズに沿ったきめ細かなサービスを提供し、新たなサービスを開発し他社と差別化した国際物流をコーディネートすることにより海外における収益の確保を目指しています。輸出部門の主要顧客は、グローバルなサプライチェーンの枠組みの中で堅調を維持しているものの、海上コンテナ不足や本船スペース不足等による国際物流網混乱の収束とともに分散化・最適化へと動き、荷動きは世界の生産構造の変化や生産状況に大きく左右され、当社業績へ大きく影響します。また、輸出・輸入・国際の全ての部門において、機械機器メーカー、商社、小売業を中心に主要取引先の営業収入の比重が高い顧客構成となっています。輸入部門・国際部門の輸入においては中国から貨物の依存度が高く、中国の政策や経済情勢等による影響も受け易く、当社グループの主要取扱い貨物構成も繊維製品、生活雑貨等の消費資材に偏重しているため、国内消費動向も業績に大きく影響します。今後も取引先の事業展開、世界経済や地政学的な外部要因により、当社グループ業績への影響が非常に危惧される状況が続くと予想されます。
今後の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、個人消費の下支えにより景気は回復基調となることが見込まれる一方、ウクライナ情勢の影響による原材料、エネルギー価格の高騰を発端に世界的なインフレが進行し、各国における政策金利の引上げによって世界的な景気減速懸念され、地政学リスク高まりや脱炭素の潮流の中、依然として先行き不透明な状況が続くものと予測されます。また、国際物流網の安定化に伴い、顧客の物流コスト削減意識が強まり、業者間の価格競争が一層激化し、当社グループを取り巻く事業環境の厳しさは増大するものと考えております。従いまして2023年4月以降の経済情勢はまだまだ予断を許さない状況で推移するものと考えております。
このような状況下、景気の動向や経営環境の変化に柔軟かつ迅速に対応し、継続的に安定した収益を確保できる基盤を確立するため、海外拠点の充実強化によるサービス提供と営業収入の拡大に努める一方、基幹港湾物流施設を有効利用し、安定的な収益源の確保と高付加価値貨物の取込みにより収益性の向上を図ります。また、港湾関連情報ネットワークへの連携を図るとともに、オンラインを活用した働き方改革を推進し、労働生産性向上させ、ITを積極的に活用し合理化による固定費削減に取組み、顧客からのより一層の信頼を得る海貨系国際物流事業者として、業績の向上を目指してまいります。
当社では、社会・環境の持続可能性が非常に重要なテーマであるとの認識のもと、持続可能性に対する課題解決と中長期的な企業価値向上を目指し、自主目標を設定し、具体的な取組を進めていくこととしております。
(1)ガバナンス
サステナビリティに対する課題は、重要な経営課題のひとつであると認識しており、その対応に当たっては、取締役会を頂点とした指揮・命令系統を通じて行うこととしております。具体的には、取締役会にて審議し対応方針が示されたサステナビリティに対する課題は、執行役員会を経て、当社の各部署において課題解決に当たることとしております。
(2)戦略
①環境に対する取り組み
<グリーン経営認証>
倉庫業としてグリーン経営認証を取得、地球温暖化対策に対する社会的責任であるグリーン経営を実践しております。
<鉄道利用運送によるCO2削減>
近年のトラックドライバー不足や頻発する大規模災害を背景に、多様な輸送手段の確保が求められている中、従来のトレーラー、トラックに依存した物流から鉄道を利用した輸送手段に変更(モーダルシフト)することで、カーボンニュートラルの実現に向け取組を進めております。鉄道貨物輸送はCO2排出量がトラックの約13分の1と様々な輸送機関の中で最も少ない輸送手段であり、環境負荷低減に貢献します。
②人材の育成及び社内環境整備に関する方針
入社1~3年程度の社員については、フォローアップ研修や、他部署での短期研修等を行い、組織内の連携強化、人的交流を図っております。また、中堅社員、管理職については外部研修等を活用し、当社の今後を担う人材としての意識強化や経営者の視点を養う等、レベルアップを図っております。
また、当社では、女性社員の継続就業者が増えるよう、妊娠・出産・復職時における支援に取り組んでおります。
その他の取組といたしましては、社員のライフスタイルの多様性に配慮し、フレックス制度や在宅勤務等の働きやすい環境整備を推進しております。
(3)リスク管理
当社では、リスク管理委員会を設置しており、サステナビリティ関連のリスク管理を行っております。リスク管理委員会にて収集された情報は、内部監査部門、コンプライアンス委員会、取締役会と共有し、体制の強化に努めております。
(4)指標及び目標
当社の今後を担う中核人材の登用等における多様性の確保のため、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等で制限は設けないこととしております。特に、女性の管理職への登用等においては、女性活躍推進法に基づき、女性社員の継続就業者が増えるよう、妊娠・出産・復職時における支援に取り組むため、次のように行動計画と自主目標を設定しております。
・育児による短時間勤務制度の周知を図り、労使協議のうえ、通勤時間や経歴を考慮して、配置転換を計画的に実施することで、継続就業者を増やす。
・職場環境を整備し、男女を問わない業務担当へ配置する。
・2025年までに事務社員の女性管理職比率を20%以上にする。
2023年3月末における、女性管理職比率は16.7%であり、目標達成のため継続して取組を進めてまいります。
当社グループは、物流の近代化、国際化の進展、取引先のニーズの多様化に伴い、経営環境は大きく変化し、国際物流事業者が抱えるリスクは多種多様化しており、リスク管理の強化・高度化の必要性はますます高まっています。適切なリスク管理が経営の健全性を確保するために極めて重要であることを認識し、取締役会を頂点としたリスク管理体制のもと、重大な影響を及ぼす可能性のある様々なリスクを洗い出し、未然に防止すると共にリスクが発生した場合は、迅速かつ適切に対処することにより被害を極小化し、再発防止の対応策を実施するなど企業価値の保全に取組んでいます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。
a.事務リスク
役職員が正確な事務を怠る(作業上の貨物事故を含む)、あるいは、事故・不正等を起こすことにより取引先が損害を被り、当社が損害賠償責任を負うリスクを指しますが、正確かつ効率的な事務処理は取引先との信頼関係において原点との認識ではあるものの、膨大な取扱い件数及び多種多様な貨物取扱い事務作業において大小様々なビジネスクレームの発生の可能性は非常に高いものと予想されます。
コンプライアンスの徹底を図ると共に、各部署において業務マニュアル等の整備、事務手続きの見直し等を進めると共に、事務関連の事故内容等を含めた事例の詳細については執行役員会への報告義務としています。月例会議及び職制会議を通じて全従業員に周知し、事務ミス発生状況の実態把握を通じて、事務処理水準の向上や事務リスク防止の徹底を図っています。
b.法務リスク
法令や契約書等に違反すること、不適切な契約を締結すること、その他の法的原因により、損失を被るリスクとなります。法令を遵守することは、企業として不可欠であるとの認識に立ち、コンプライアンス規定、内部者取引管理規定等を定めると共に、法律、条令当業務関連法律等の整備保管を怠らず、また遵守に努めています。当社は2008年5月に特定保税承認を取得し、同年10月に認定通関業者として認定され、それぞれの制度法令に則り五大港及び各事業所において自社倉庫施設による保税業務及び通関業を含めた関連業務を行っております。過去の実例において、口頭注意から非違該当による減点等の行政処分は軽微ながら散発的に発生しており、今後重大な事故により一定期間の自社保税倉庫への搬入停止等の行政処分を受ける可能性も排除出来ず、取引先からの信頼を失うと共に社会的信用失墜にも繋がり当社業績へ重大な影響を与えることとなります。軽微な事例であっても事故対策委員会のもと再発防止策を策定し、事故内容等を含めた事例の詳細については執行役員会への報告義務とし、月例会議及び職制会議を通じて全従業員に周知徹底し再発防止、法令等の順守に努めています。
c.社会リスク
外部からの反社会的攻撃により当社が存続の危機にさらされる、または甚大な損害を被るリスクとなります。企業防衛は、企業存続のみならず、グループ会社、従業員およびその家族、株主等を守るうえで、不可欠であるとの認識に立ち、取締役会を中心に情報収集等につとめ、社外各関係先との連携を密にするとともに、必要に応じて対策委員会を設置するなど、解決にあたることとしています。
d.システムリスク
コンピューターシステムのダウンまたは誤作動等、システムの不備等に伴い、損失を被るリスク、さらに近年頻繁に発生する企業に対するサイバー攻撃により、コンピューターのシステムダウンや不正使用されることにより当社グループが損失を被るリスクとなります。コンピューターシステムの安全稼働を確保するため、セキュリティーポリシーに基づいた各種対策を実施するとともに、万一障害が発生した場合の影響の極小化と早期復旧を図るため、情報資産に関する管理体制の整備、コンピューターのバックアップ体制などの対策を講じています。
e.財務リスク
取引先の倒産等に起因して損害を被るリスクですが、債権管理に対する経理規定を遵守し、当社が定めた取引先与信基準に従い事業年度毎に取引先に対する与信限度枠を設定し、立替金については取引先との回収約定をもとに債権管理を徹底し、貸倒発生等による損害の防止等に努めています。また、海上運賃の水準や為替レートの変動の影響を受けるため、関税等の立替金を取引先銀行口座から直接納付へと切替え、また、高額立替となる運賃等については前受金を受領し最大限リスクの低減を図り、売掛金及び立替金の債権残高や取引先の動向に十分注意を払い、営業債権の確実な回収を行っています。また、国外において海外の合弁会社・提携先代理店を経由した海外法人との取引もあり、海外合弁会社等と情報共有を行い、連携を強化して貸倒防止に努めています。
f.人事・労務リスク
労務慣行の問題(役職員の人事処遇の問題、勤務管理上の問題)、ならびに職場の安全衛生環境の問題に起因して損失を被るリスク、および役職員の不法行為による使用者責任を問われるリスクがあります。就業規則を定め、労働基準関係法令の遵守に努めるとともに、労働組合とも協調し、より快適な労働環境を目指し、職場改善を行っています。
g.大規模災害リスク・世界的なウイルス感染症等による異常事態リスク
当社グループは、複数の事業拠点、五大港を中心とした物流施設を保持し事業運営をしております。大規模な自然災害や新型コロナウイルス感染症拡大のようなパンデミックが当社の想定を超える規模で発生し、労働生産力の大幅な低下や保有資産等への甚大な被害により事業運営が困難になった場合、財務状況や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。過去の風害や新型コロナウイルス感染症拡大の経験を踏まえ、従業員の安全確保を最優先課題とし、事業所での感染防止策の徹底、有事に備えた事業復旧の早期化及び被害の最少化のため、分散化による業務運営拠点の移管体制の整備強化に努め、在宅勤務及びサテライトオフィスによるテレワーク勤務体制を積極的に推進し、危機管理体制の強化を図っています。
h.主要取扱い貨物構成によるリスク
当社グループ輸出部門の取扱い主力貨物は機械機器であり、グローバルなサプライチエーンの枠組みにおいて生産状況が変化し、取引先受注状況により当社の取扱量が増減するため業績へ大きく影響します。また輸入部門の主要取扱い貨物構成は繊維製品、生活雑貨等の消費資材に偏重しており、国内消費動向が当社業績に大きく影響します。今後は取扱い貨物の開拓と多様化をより積極的に推進するとともに、高付加価値貨物の自社倉庫への取扱いを強化し、分散化によるリスクの低減を図ってまいります。
i.特定の取引先・貿易相手国への依存について
当社グループの営業収入で、輸出関連と輸入関連での上位10社の営業収入占有率をみますと下記のとおり大きなものとなっております。
|
(単位千円) |
営業収入 |
上位10社営業収入 |
占有率 |
|
輸出(約 500社) |
2,643,468 |
1,589,856 |
60.1% |
|
輸入(約 830社) |
5,159,531 |
2,169,339 |
42.1% |
また、中国関連の営業収入占有率を見ますと、下記のとおり大きなものとなっております。
|
(単位千円) |
合計 |
中国関連営業収入 |
占有率 |
|
輸出 |
2,643,468 |
640,704 |
24.2% |
|
輸入 |
5,159,531 |
3,027,669 |
58.7% |
|
国際 |
11,852,908 |
5,907,486 |
49.8% |
|
その他含む営業収入合計 |
19,855,181 |
9,575,859 |
48.2% |
当社グループの輸入部門及び国際部門輸入においては、中国からの輸入貨物の比率が非常に高く、アジアにおける当社設立海外合弁会社も中国を中心として海外展開をしております。対象国に関係する貿易摩擦や当該地域における紛争及び国内法及び外国資本に対する法制度改正により、輸入貨物の大幅な減少や当該地域での事業活動が困難となる事態も想定されるため、海外展開地域の軸足を中国偏重から脱却し世界の生産構造の変化に追従した新たな海外拠点の充実強化と新たな物流サービスの提供を目指しております。
j.特有の法的規制・取引慣行について
特有の法的規制につきまして該当事項はありませんが、取引慣行としましては港湾物流業界における立替金(輸入海上運賃、関税等)の慣行があり、新規取引先開拓の手段にもなっております。当連結会計年度末時点での受取手形、売掛金及び契約資産の残高18億21百万円余に対し、立替金の残高11億98百万円余と一般企業と比較すると多く、運用資金面でのリスク及び貸倒債権となるリスクがあります。顧客の信用調査ならびに与信管理を徹底し、早期回収を行い貸倒債権とならないよう努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症による活動制限や半導体などの供給制約が緩和されたことにより、個人消費や設備投資に回復が見られ、緩やかながらも持ち直しました。一方で、ウクライナ情勢の影響による原材料、エネルギー価格の高騰を発端に世界的なインフレが進行し、各国における政策金利の引上げによって世界的な景気減速懸念も高まり、依然として不透明な状況が続いております。
当社グループが属する港湾物流業界における貿易に関しましては、当連結会計年度初めに上海ロックダウンの影響を受け、輸出、輸入ともに取扱量・取扱件数が一時的に減少する事態に見舞われましたが、ロックダウン解除後は回復し堅調に推移しました。一方、国際物流を担うコンテナ船による海上輸送においては、海上運賃の高騰と円安の追い風を受け、近年にない活況を呈しました。今後、世界経済の減速懸念はあるものの、外需は引続き緩やかに回復に向かい、また、内需はコロナ禍の収束とともに、個人消費が持ち直し、一般消費財の取扱量の増加が期待されます。その一方で、海上輸送においては、国際物流網の混乱の収束、分散化・最適化への動きから、激しい価格競争が繰り広げられることが予想されます。
a.財政状態
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べ3億13百万円余増加し、104億25百万円余となりました。
当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度に比べ1億40百万円余減少し、67億45百万円余となりました。
当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度に比べ4億54百万円余増加し、36億80百万円余となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、このような不安定な状況の中、従業員の安全に配慮しつつ、リモートワークやオンラインでの商談を活用しながら積極的な営業展開に努めてまいりました。その結果、総取扱量は前年同期比3.0%増加し、国際部門の伸長により営業収入は前年同期比8.0%増の198億55百万円余(対前年同期14億65百万円余増)となりました。
損益面につきましては、国際部門の利益貢献により営業総利益は前年同期比20.2%増の12億34百万円余(対前年同期2億7百万円余増)となりました。営業損益は、一般管理費が増加したものの前年同期比48.5%増の4億43百万円余の利益(対前年同期1億44百万円余増)、経常損益は、持分法による投資利益等が減少しましたが、受取配当金が増加したため、前年同期比39.3%増の6億19百万円余の利益(対前年同期1億74百万円余増)となりました。さらに特別利益として投資有価証券売却益1億48百万円余を計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比69.0%増の5億18百万円余(対前年同期2億11百万円余増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
輸出部門
輸出部門におきましては、食料品と雑貨の取扱いが増加し、主力の機械機器製品が微減となった結果、取扱量は前年同期比で微増となりました。しかしながら、取扱件数が前年を大きく下回ったことで通関料収入等の減少を招き収益性が悪化したことから、輸出部門の営業収入は前年同期比3.9%減の26億43百万円余(対前年同期1億5百万円余減)、セグメント損失74百万円余(前年同期はセグメント利益25百万円余)となりました。
輸入部門
輸入部門におきましては、繊維製品、機械製品の取扱いが減少しましたが、雑貨が大きく増加し、取扱量は前年同期比11.6%増加となりました。また、取扱件数が前年を上回り、輸入部門の営業収入は前年同期比3.0%増の51億59百万円余(対前年同期1億48百万円余増)となりましたが、高付加価値案件が少なく収益面で貢献できず、セグメント損失85百万円余(前年同期はセグメント損失75百万円余)となりました。
国際部門
国際部門におきましては、輸出・輸入ともに、運賃は下期にかけて下落基調で推移しましたが、当初の想定レートよりも円安が継続した影響で、日本円で収受する運賃収入が増加したため、営業収入・セグメント利益が増加しました。輸出においては、航空便のスポット案件、北米向け三国間、台湾、インド向け設備等が好調に推移しました。下期では運賃下落の影響もありましたが、混載便の強化で利益の確保に努めました。そのため、取扱量は前年同期並みとなり、営業収入は前年同期比5.4%増加となりました。輸入においては、東南アジアからの雑貨の取扱いが好調でしたが、中国からの靴、衣類関連の低迷を補うに至らず、取扱量は前年同期比8.5%減少となりました。下期で運賃下落の影響もありましたが、営業収入は前年同期比16.3%増加となりました。その結果、国際部門の営業収入は前年同期比13.5%増の118億52百万円余(対前年同期14億8百万円余増)、セグメント利益は前年同期比88.7%増の5億39百万円余(対前年同期2億53百万円余増)となりました。
倉庫部門
倉庫部門におきましては、賃借人の変更等に伴い賃料収入が前年同期比4.2%減少し、営業収入は56百万円余(対前年同期2百万円余減)となりましたが、セグメント利益は前年並みの52百万円余となりました。
その他
船内荷役等の営業収入は前年同期比13.1%増の1億45百万円余となり、セグメント利益は前年同期比0.9%減の10百万円余となりました。
(注) その他のセグメントの営業収入には、セグメント間の内部営業収入2百万円余を含んでおります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、13億57百万円余となり、前連結会計年度末より5億73百万円余の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動による資金は9億85百万円余の獲得(前連結会計年度56百万円余支出)となっております。これは、営業債務の減少1億22百万円余がありますが、税金等調整前当期純利益7億68百万円余、営業債権の減少2億6百万円余、立替金の減少23百万円余によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動による資金は1億47百万円余の獲得(前連結会計年度61百万円余支出)となっております。これは、主に有形・無形固定資産の取得による支出83百万円余がありますが、投資有価証券の売却による収入2億28百万円余によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動による資金は5億58百万円余の支出(前連結会計年度1億54百万円余獲得)となっております。これは、主に短期借入金の純減額2億65百万円余、配当金の支払額73百万円余によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、生産・販売の形態をとらない業種のため、実態にあわせた表示をしております。
営業実績
当連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
営業実績(千円) |
前期比(%) |
|
輸出部門 |
2,643,468 |
△3.9 |
|
輸入部門 |
5,159,531 |
3.0 |
|
国際部門 |
11,852,908 |
13.5 |
|
倉庫部門 |
56,760 |
△4.2 |
|
その他 |
145,152 |
13.1 |
|
小計 |
19,857,821 |
8.0 |
|
消去 |
△2,640 |
- |
|
合計 |
19,855,181 |
8.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(退職給付費用)
退職給付費用および債務の計算は、その計算の際に使われた仮定により異なります。これらの仮定には、割引率、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率などの要因が含まれております。これらの仮定と実際の結果との差額は発生した連結会計年度に債務認識しております。当社は使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により、当社グループの退職給付費用および債務に影響を与える可能性があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「重要な会計上の見積り」をご参照下さい。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度において流動資産は前連結会計年度より3億13百万円余増加し、固定資産は前連結会計年度並となり、結果総資産は104億25百万円余と前連結会計年度より3億13百万円余の増となりました。流動資産増加については、年度末にかけて海上運賃が下落したため受取手形、売掛金及び契約資産が2億6百万円余減少しましたが、手元運転資金を手厚くしたことにより、現金及び預金が5億73百万円余増加したためです。固定資産増加については、減価償却に伴い有形固定資産が84百万円余減少しましたが、投資有価証券が80百万円余増加したことが主たる要因です。
負債については、前連結会計年度より1億40百万円余減少しました。流動負債においては、主に未払法人税等が1億15百万円余増加しましたが、海上運賃水準の安定化に伴い短期的な運転資金需要が収まり、短期借入金が2億65百万円余減少したことによります。固定負債は退職給付に係る負債等の増加もありましたが、主に計画的な有利子負債圧縮により長期借入金が1億66百万円余減少したためです。
純資産合計は、前連結会計年度に比べ4億54百万円余増加しています。退職給付に係る調整累計額が98百万円余減少したものの、前連結会計年度末に比べ当社グループ保有の金融関係株式を中心に株価が上昇し、その他有価証券評価差額金が1億1百万円余増加に加え、利益剰余金が4億44百万円余増加したためです。
海上運賃高騰に伴い、短期的には資金需要に備えるため有利子負債増加は容認してまいりましたが、長期的には計画的に有利子負債の圧縮を図っており、当連結会計年度においては自己資本比率も改善しました。当社グループは、一定の財務規律の下で事業投資や株主還元を行っており、当連結会計年度のコロナ禍の状況下に於いては、安定した財務構成を維持するため、設備投資として大幅な財政出動を要するものは控え、安全面に配慮した既存設備の維持更新を基本とし、生産性の向上を図るためIT関連投資の促進に努めています。
b.経営成績の分析
<輸出部門>
輸出部門については、経営成績に繋がる外部要因としてグローバルなサプライチェーンの枠組みによる海外経済情勢の影響を受けます。当社グループの主力取扱い貨物である機械機器製品の受注状況は、当連結会計年度始めに中国向け貨物が上海ロックダウンの影響を受け、一時的に取扱量が大幅に減少する事態となり、ロックダウン解除後には堅調さを取り戻したかにみえました。しかしながら中国経済の減速と相まって世界的な半導体不足や生産調整の影響が尾を引き機械機器製品の荷動きが鈍く、他の商品取扱いの強化に取組んだものの、補うには至りませんでした。また、取扱件数が大幅に減少し通関料収入等の落込みが大きく影響しため収益性が悪化し、前連結会計年度25百万円余のセグメント利益より一転して74百万円余のセグメント損失となりました。
<輸入部門>
輸入部門については、当社グループ扱い商品は生活消費材が中心となっており、国内の景況感による消費動向が営業収入に影響します。年度当初に、主要輸入先である中国の上海ロックダウンの影響を受け収益を圧迫しましたが、ロックダウン解除後には荷動きが大幅に回復し、上半期にかけ業績の改善が見られました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の収束とともに、当社グループの主要取扱い貨物の生活雑貨の取扱いが大幅増加し取扱量を確保し取扱い件数も前年を上回ったものの、当連結会計年度全般において基幹倉庫を活用した高付加価値案件の受注が減少し、取扱い単価の低下を招いた結果、収益性の改善には至りませんでした。前連結会計年度75百万円余のセグメント損失より悪化し、85百万円余のセグメント損失となりました。
<国際部門>
国際部門については、営業収入に占める海上運賃等の仕入原価の割合が高く収益率が低い商品となっており、収入源である海上運賃の大部分は外貨建てであるため為替レートの影響を受け、同時に仕入れる海上運賃の水準にも大きく左右される商品となっています。当連結会計年度において国際輸出・輸入ともに、上期は海上運賃の高騰と円安の追い風を受け日本円で収受する運賃収入が増加し、営業収入及び利益面で大きく業績に貢献しました。下期に入り海上運賃は下落基調で推移しましたが、当初見込みよりも下落時期がずれ込み下落幅も緩やかであったこと、円安水準が持続し、なお且つ最大限収入面での運賃水準の維持に努めたことが功を奏し、上期よりさらに業績を押し上げる結果となりました。加えて航空便によるスポット案件、三国間及び設備案件の取込み、収益性の高い混載便の強化に努め、営業収入は前連結会計年度より14億8百万円余増加し、セグメント利益は前連結会計年度2億85百万円余から大幅に増加し5億39百万円余となりました。
<倉庫部門・その他>
倉庫部門は、安定した収益源としてセグメント利益は52百万円余を計上し、その他については、前連結会計年度並み利益の10百万円余となりました。
c.キャッシュ・フローの状況の分析
企業活動の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度は海上運賃の高騰と円安により国際部門の営業収入増加と利益面へ大きく寄与し、財源としての利益は拡大し累積した結果、営業活動による資金は9億85百万円余の獲得となりました。当社グループの属する港湾運送業界では、輸入部門での関税・消費税、輸出及び輸入部門における海上運賃を取引先に代わり一旦立替える商習慣が根強く残っております。年度当初より海上運賃高騰により立替金が増加し、運転資金を圧迫する事態に見舞われ、加えて国際部門の営業収入増加の影響を受け、資金需要が急激に高まったまま推移しましたが、立替金の圧縮策として取り組んだ取引先の口座より関税等を直接引き落とすリアルタイム口座方式への切替えや、事前に高額海上運賃支払いに備え前受金を確保したことが資金獲得に寄与しました。投資活動による資金は一部銘柄の投資有価証券の売却により1億47百万円余の獲得としています。一方、資金運用は、短期的に金融機関との借入枠を増額し資金調達を行い、現金及び預金の最適な水準を維持しつつ資金の流動性を確保し、長期借入金をシンジケートローンによる計画的な有利子負債の圧縮を図り、両者の調整により安定化を図っています。当年度末にかけて海上運賃水準の安定化に伴い各部門に関連する資金需要も収まったため、短期借入金を返済し財務活動による資金は5億58百万円支出となり、結果当連結会計年度末の資金としては、前連結会計年度末より5億73百万円増加となりました。
該当事項はありません。
該当事項はありません。