第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、お客さまからの信頼を事業活動の原点に据え、お客さまに愛される会社であり続けることを目指して、他社グループにはない旅行事業のビジネスモデルを構築し、リスク管理を含めた内部統制の強化、CSR活動の充実を図ることにより、当社グループ全体の企業価値を高めてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループでは、2021年2月に公表いたしました中期経営計画のとおり、事業構造改革と再成長に向けた事業基盤固めに取り組んでおります。当社の経営指標として最も重要なものは営業利益と考えており、今般の事業構造改革と2021年度を初年度とする中期経営計画の各施策を確実に実行することにより、早期に収支の改善を行い、営業利益の最大化を図ります。また、資本の積み上げも重要課題であることから、親会社株主に帰属する当期純利益の最大化を2つ目の経営指標としています。

本中期経営計画では、2022年度を黒字化と位置付けており、2025年度では営業利益130億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益110億円以上を指標としています。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

①新型コロナウイルスの感染拡大の影響について

当連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が2021年10月から12月を除くほぼすべての期間に発出・適用されたこと、旅行業界におきましては、期待されたGoToトラベルキャンペーンの再開が見送られたこともあり、旅行需要の大幅な消失状況から抜け出すことができませんでした。

このような状況の下、当社グループは、オンラインツアーや近隣地域への旅行、感染症対策に徹底的に取り組んだ「クラブツーリズム ニュースタイル」等コロナ禍でも需要のある旅行販売に注力するとともに、県民割・隣県割等助成金を活用したツアーの催行に努めました。また、近畿日本ツーリスト株式会社では、旅行業におけるSDGsへの取組みが広がる中、10月に「KNT ハイクラスサイト Blue Planet」を開設し、サステナブルな旅を求めるお客さまニーズへの対応を強化したほか、11月からWeb上にアバターを使った新しいオンライン接客サービス「旅のアバターコンシェルジュ」を開設し、Web上でもヒューマンタッチな接客を行える態勢を整えました。このほか東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、近畿日本ツーリスト株式会社が大会関係者バス輸送の主幹業務を、北京2022オリンピック・パラリンピック冬季競技大会では、株式会社近畿日本ツーリストコーポレートビジネスが日本代表選手団の派遣業務をそれぞれ受託し、無事完遂いたしました。しかしながら旅行事業収入は、新型コロナウイルスの感染拡大前の2018年度と比べ83.3%減の67,494百万円にとどまりました。

このような状況に対処するため、当社グループは旅行業以外の収入確保に努め、近畿日本ツーリスト各社は、従来の観光施設の運営業務等に加え、新型コロナウイルスのPCR検査やワクチン接種の受付業務その他を全国各地の自治体から受注いたしました。さらに、クラブツーリズム株式会社では、事業ポートフォリオの再構築も視野に入れ、2021年10月からKDDI株式会社と業務提携を行い、様々な趣味をオンラインで深めることができるサブスクリプションサービス「クラブツーリズムパス」を開始いたしました。他のグループ各社においても、オンデマンド印刷のプリンティング事業、コンタクトセンター受託事業等の新規事業に着手いたしております。

一方、費用面では、事業構造改革を推進し、近畿日本ツーリストの個人旅行店舗を40箇所、団体旅行支店を18箇所、クラブツーリズム株式会社の旅行センターを9箇所、当社を含め4社の本社事務所を閉鎖・縮小したほか、後方部門の集約化を図るため近畿日本ツーリストの地域会社等9社を統合するなど、人件費、事務所賃借料その他の費用削減に格段の努力を払いました。

②その他の対処すべき課題

今後につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大に加え、ロシアによるウクライナ侵攻の影響もあり、景気はなお先行き予断を許さない状況が続くものと予想されます。

このような状況の下、当社グループは、2021年2月に策定いたしました中期経営計画の目標達成に邁進してまいります。

(資本施策の実施の進捗状況)

当社は、2021年5月12日開催の取締役会において、第三者割当の方法により、当社の親会社である近鉄グループホールディングス株式会社、合同会社あかりおよび合同会社まつかぜを割当先とする、総額400億円のA種種類株式およびB種種類株式の発行を決議いたしました。その後、同年6月16日開催の当社定時株主総会において、本第三者割当についてご承認をいただき、同年6月30日付にて本第三者割当による種類株式の発行および払込の完了により、債務超過を解消いたしましたが、2022年3月期においても連結営業損失76億86百万円、連結経常損失38億86百万円、親会社株主に帰属する当期純損失57億71百万円を計上いたしましたため、なお継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象等が存在しております。当社グループといたしましては、中期経営計画に基づく施策を着実に遂行することにより早期に業績を回復し、これを解消してまいります。

(中期経営計画の目標達成に向けた事業構造改革の推進)

クラブツーリズム株式会社では、コロナ禍収束後に拡大する旅行需要を的確に捉えるため、テーマ旅行をはじめとする旅行商品の強化に取り組むとともに、KDDI株式会社との共同キャンペーンや無料コンテンツの充実、旅行特典の拡充等の対策を講じて「クラブツーリズムパス」の会員増加を図ってまいります。また、政府の地方創生政策に呼応し、近畿日本ツーリスト株式会社とともに、地域の観光資源を深掘りする「地域の魅力発信事業」等に取り組んでまいります。

近畿日本ツーリスト株式会社の個人旅行事業につきましては、中期経営計画に基づきWeb販売の強化、特にダイナミックパッケージの販売拡大を進めてまいります。このため、2022年1月に国内ダイナミックパッケージで取り扱う宿泊施設を大幅に拡大いたしましたが、本年5月にはさらに海外ダイナミックパッケージの販売を開始し、コロナ禍収束後の海外旅行需要に応えてまいります。同社では、国内外のダイナミックパッケージ商品により、多種多様な旅行需要に応える一方、「KNT ハイクラスサイト Blue Planet」等を通じて、こだわりの旅行商品の販売に取り組んでまいります。

近畿日本ツーリスト株式会社の団体旅行事業につきましては、学校教育において、SDGsの重要性が高まっている状況を捉え、生徒の皆さんに、カーボン・オフセットの仕組みを利用して旅行で排出するCO2量に見合う寄付を行っていただく「ゼロ・カーボンツアー」を販売するなど、当社グループのSDGsへの取組みを活かした営業活動を進めてまいります。また、株式会社近畿日本ツーリストコーポレートビジネスでは、その高い専門性とホスピタリティを活かし、引き続きお客さまのニーズを先取りした提案型営業に取り組んでまいります。

このほか、当社グループは、コロナ禍の教訓を糧に旅行業以外の収入比率の向上を目標としており、2022年度においても新規事業の強化と開拓に取り組んでまいります。

当社グループは、以上の方針に基づき事業の強化を進めるとともに、コンプライアンスの徹底、情報セキュリティを始めとするリスク管理の強化、SDGs等の社会課題への貢献を推進し、企業価値向上に努めてまいります。

これらとともに、次のコスト構造の見直しにより、2018年度比で、2022年度には約200億円の経費削減効果を図り、2025年度には営業利益ベースで100億円以上の改善を見込みます。

(a)組織の再編

2021年10月1日付で、株式会社近畿日本ツーリスト首都圏を存続会社、株式会社近畿日本ツーリスト北海道、株式会社近畿日本ツーリスト東北、株式会社近畿日本ツーリスト関東、株式会社近畿日本ツーリスト中部、株式会社近畿日本ツーリスト関西、株式会社近畿日本ツーリスト中国四国、株式会社近畿日本ツーリスト九州、株式会社KNT-CTウエブトラベルを消滅会社とする吸収合併を行い、合併を機に、株式会社近畿日本ツーリスト首都圏の商号を近畿日本ツーリスト株式会社に変更し、本社部門等の後方部門の統合を行ったことをはじめ、組織体制の見直しにより、消滅会社各社に設置されていた営業本部などの間接部門を存続会社に集約するスリム化を進めるとともに、同時にKNT-CTホールディングス株式会社から合併後の近畿日本ツーリスト株式会社に事業推進部門を移管し、当社はグループ全体の経営戦略および経営管理部門に特化する体制としました。

営業拠点数は、団体旅行販売店舗は事業構造改革前には99あった店舗数を当連結会計年度末時点で77店舗に、個人旅行販売店舗は事業構造改革前には138あった店舗数を29にまで縮減するなど、支店、店舗の統廃合を計画どおり完了いたしました。

(b)人員調整

新規採用の抑制、定年退職等による自然減、グループ外への出向を実施し、2024年度末までに2020年3月末時点6,968名の在籍人員を約3分の2に縮小する予定であり、現段階では概ね計画どおりに進捗しております。あわせて、旅行業務が減少する中、ワクチン接種関連事業等の受託業務や、オンデマンド印刷事業など旅行近接サービス領域への人材投入等、再成長に向けた人員の適切な再配分に取り組んでいます。

(c)その他のコスト削減

旧来のシステムに関わるITコストを削減するほか、組織の見直し、テレワークやフリーアドレス化など働き方改革の推進等により、短期的には当社本社オフィスをはじめ各グループ会社の事務所スペースの縮小や営業拠点の閉鎖など、引き続き事務所経費をはじめ諸経費のさらなる圧縮を進めております。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)継続企業の前提に関する重要事象等

 前連結会計年度(2021年3月期)は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による極めて厳しい環境下のなか、感染症対策に徹底的に取り組んだ安心安全な旅の販売に注力し、旅行業以外の収入確保に努める等様々な対策を講じたものの、連結営業損失270億82百万円、連結経常損失167億27百万円、親会社株主に帰属する当期純損失284億56百万円を計上し、期末純資産は96億54百万円の債務超過となりました。

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び対処すべき課題 ②その他の対処すべき課題(資本施策の実施の進捗状況)」に記載のとおり、2021年6月末に債務超過を解消いたしましたが、当連結会計年度においても新型コロナウイルスの感染拡大の影響を強く受け、連結営業損失76億86百万円、連結経常損失38億86百万円、親会社株主に帰属する当期純損失57億71百万円を計上しており、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象等が存在しております。

 当社グループにおきましては、中期経営計画に基づく施策の着実な実行、引き続き確実な事業構造改革を推進していくこととしており、2023年3月期の連結業績予想を踏まえ、2023年3月末時点においても債務超過にはならないものと見込んでおります。

 以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

(2)自然災害、テロ、感染症等に関わるリスク

 国内外で大規模な地震、台風、豪雨、大規模テロ又は重大な感染症の拡大が発生した場合、関係地域への旅行がキャンセルされ、さらに旅行の自粛や出控えが生じるため、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)深刻な感染症に関わるリスク

 さらに今般の新型コロナウイルス感染症のように感染症の拡大が深刻化し、政府から外出の自粛要請等がなされた場合、広範囲にわたる旅行需要が長期間消失し、当社グループの業績及び財政状態に甚大な影響を及ぼします。なお、対応策については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び対処すべき課題 ①新型コロナウイルスの感染拡大の影響について」をご参照ください。

 

(4)情報セキュリティに関わるリスク

 当社では、IT企画部に情報セキュリティ対策の専門担当者を置き、同部の定める情報セキュリティ基準に従って各部が対策を講じ、その遵守状況を監査部が監査することとしています。当社グループでは、この体制で情報セキュリティの向上を図っていますが、万一第三者によるサイバー攻撃等により、社内システムがダウンし、またはそのデータの消失・改ざん、個人情報の漏えい等が生じた場合は、業務の停止に加え、情報漏えいに伴う損害賠償、信用失墜に伴う売上高の大幅な減少が生じ、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)個人情報に関わるリスク

 当社グループは、顧客情報等大量の個人情報を取り扱うため、主要な子会社がプライバシーマークを取得するなど、個人情報の漏えい防止に万全を期していますが、万一大規模な情報漏えいが生じた場合は、顧客等への損害賠償に加え、信用失墜により売上高が大幅に減少する恐れがあり、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)法的規制に関わるリスク

 当社グループは、旅行業法、景品表示法、消費者契約法等さまざまな法規制のもと事業を行っており、それらの法令を遵守するための内部統制システムを整備していますが、法的規制の変更に十分な対応ができず、万一重大な法令違反を冒した場合は、行政当局から営業停止処分等を受け売上高が減少するほか、ブランドイメージが毀損し当社グループの事業の展開及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)事業運営に関わるリスク

 従業員の手配ミス等により、重要な輸送機関・宿泊機関の予約、重要なチケットの入手ができなかった場合、損害賠償請求を受ける恐れがあります。また、交通機関その他の業務委託先が事故や法令違反等を起こした場合も委託先の選定責任等が問われ、損害賠償請求や旅行業法に基づく処分を受ける恐れがあります。当社グループでは、様々な業務マニュアルを整備し、計画的な訓練を実施することでこれらの防止に努めていますが、万一大規模な手配ミスや業務委託先による事故等が発生した場合は、当社グループの業務品質に対する信頼が低下し、ブランドイメージが毀損されますので、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)情報システムに関わるリスク

 当社グループでは、旅行予約や乗車券、観光券の発券作業等、情報システムに依存している業務が多いため、それらのシステムが重大な故障に見舞われた場合、長時間にわたり業務が滞る恐れがあります。そのため、当社グループでは、システムの保守に留意し、クラウドサービスの利用、システムのオープン化、ネットワークの二重化など様々な対策を講じていますが、万一重要なシステムに故障等が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)人材の確保・育成に関わるリスク

 当社グループは、お客さまに感動と笑顔を呼ぶヒューマンサービスをモットーとするため、優秀な人材を継続的に確保し計画的に育成していますが、労働市場等の影響を受けこれらが計画どおり進まなかった場合、他社との競争や事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人口動態に関わるリスク

 当社グループは、売上高に占める国内顧客の割合が比較的高いため、国内人口の減少や少子高齢化が売上高の減少につながる可能性があります。このため、訪日旅行事業の強化に取り組み、教育旅行事業のシェア拡大、アクティブ・シニアの旅行需要の深耕等に注力していますが、これらが計画どおり進展しない場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)経済状況に関わるリスク

 旅行事業は、主に個人の余暇を充実することを目的とするため、景気変動の影響を強く受ける傾向があります。当社グループでは、法人需要の取込み、公務の受託事業、業際ビジネスの拡大に取り組むほか、訪日旅行、国際旅行の拡大を図ることで、国内景気の影響を緩和するよう努めていますが、景気が想定以上に悪化し、個人消費が低迷した場合は、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)為替の変動に関わるリスク

 当社グループの海外旅行における地上費(ホテル代等)取引は、大半が米ドルをはじめとする外国通貨による決済となっております。このため、先物為替予約を用いて契約時と決済時の為替変動による為替リスクをヘッジしていますが、著しい為替変動が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(13)原油価格の高騰に関わるリスク

 原油価格が大幅に高騰した場合、燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の上昇により海外旅行需要が減少することとなりますので、当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(14)訴訟に関わるリスク

 当社グループは、事業に関して訴訟を提起される可能性があります。訴訟の内容によっては、多額の損害賠償を要求され、事業活動が制限される可能性がありますので、万一敗訴した場合等は、当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が2021年10月から12月を除くほぼすべての期間に発出・適用されたこともあり、引き続きサービス業を中心に厳しい状況で推移いたしました。

 旅行業界におきましては、期待されたGoToトラベルキャンペーンの再開が見送られたこともあり、旅行需要の大幅な消失状況から抜け出すことができませんでした。

 このような状況の下、当社グループは、オンラインツアーや近隣地域への旅行、感染症対策に徹底的に取り組んだ「クラブツーリズム ニュースタイル」等コロナ禍でも需要のある旅行販売に注力するとともに、県民割・隣県割等助成金を活用したツアーの催行に努めました。また、近畿日本ツーリスト株式会社では、旅行業におけるSDGsへの取組みが広がる中、10月に「KNT ハイクラスサイト Blue Planet」を開設し、サステナブルな旅を求めるお客さまニーズへの対応を強化したほか、11月からWeb上にアバターを使った新しいオンライン接客サービス「旅のアバターコンシェルジュ」を開設し、Web上でもヒューマンタッチな接客を行える態勢を整えました。このほか東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、近畿日本ツーリスト株式会社が大会関係者バス輸送の主幹業務を、北京2022オリンピック・パラリンピック冬季競技大会では、株式会社近畿日本ツーリストコーポレートビジネスが日本代表選手団の派遣業務をそれぞれ受託し、無事完遂いたしました。しかしながら旅行事業収入は、新型コロナウイルスの感染拡大前の2018年度と比べ83.3%減の67,494百万円にとどまりました。

 このような状況に対処するため、当社グループは旅行業以外の収入確保に努め、近畿日本ツーリスト各社は、従来の観光施設の運営業務等に加え、新型コロナウイルスのPCR検査やワクチン接種の受付業務その他を全国各地の自治体から受注いたしました。さらに、クラブツーリズム株式会社では、事業ポートフォリオの再構築も視野に入れ、2021年10月からKDDI株式会社と業務提携を行い、様々な趣味をオンラインで深めることができるサブスクリプションサービス「クラブツーリズムパス」を開始いたしました。他のグループ各社においても、オンデマンド印刷のプリンティング事業、コンタクトセンター受託事業等の新規事業に着手いたしております。

 一方、費用面では、事業構造改革を推進し、近畿日本ツーリストの個人旅行店舗を40箇所、団体旅行支店を18箇所、クラブツーリズム株式会社の旅行センターを9箇所、また、当社を含め4社の本社事務所を閉鎖・縮小したほか、後方部門の集約化を図るため近畿日本ツーリストの地域会社等9社を統合するなど、人件費、事務所賃借料その他の費用削減に格段の努力を払いました。

 

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、主に預け金および受取手形、営業未収金及び契約資産の増加により1,023億41百万円となり、前連結会計年度末に比較して395億23百万円(62.9%)の増加となりました。一方、負債合計は、主に未払金が減少したものの、営業未払金などの増加により780億25百万円となり、前連結会計年度末に比較して55億53百万円(7.7%)の増加となりました。

 当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が減少したものの、第三者割当増資に伴う資本剰余金の増加により243億15百万円(前連結会計年度末 △96億54百万円)となりました。

 この結果、自己資本比率は23.7%(前連結会計年度末 △15.4%)、1株当たり純資産額は△595.61円(前連結会計年度末 △354.72円)となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度においても新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受け、連結売上高は1,399億57百万円(前年同期比59.2%増)、連結営業損失は76億86百万円(前期 営業損失270億82百万円)、連結経常損失は38億86百万円(前期 経常損失167億27百万円)となり、店舗閉鎖等に伴う事業構造改革関連費用、ソフトウエア等の減損による特別損失の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失は57億71百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失284億56百万円)となりました。

なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がりや収束時期等を含む仮定について、2022年度には国内旅行の需要は概ね回復する一方、海外旅行および訪日旅行については緩やかに回復、また、旅行関連事業の収入が確保できるものとし、事業構造改革の実行によるコスト削減の効果等を仮定としております。

新型コロナウイルス感染症の収束時期は不確実であり、予測が困難ですが、このような仮定を踏まえ、連結財務諸表作成日現在において入手可能な情報に基づき、当連結会計年度における会計上の見積り(固定資産の減損および繰延税金資産の回収可能性等の検討)を実施しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期に比較して319億74百万円増加し557億80百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金は82億44百万円の減少(前期は241億67百万円の減少)となりました。これは主に仕入債務の増加による影響で80億97百万円増加したものの、税金等調整前当期純損失の計上で49億81百万円、売上債権及び契約資産の増加による影響で96億54百万円、未払金の減少による影響で49億13百万円それぞれ減少したためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金は76百万円の増加(前期は3億1百万円の減少)となりました。これは主に固定資産の取得による支出で12億44百万円減少したものの、差入保証金の回収による収入で13億56百万円増加したためであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金は398億61百万円の増加(前期は51百万円の減少)となりました。これは株式の発行による収入で398億60百万円増加したためであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、旅行業の単一セグメントであり受注生産形態をとらない商品が多いため生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 当社グループは旅行業の単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容についての記載を省略しております。

 

① 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、有価証券、減価償却資産、貸倒引当金、繰延税金資産、退職給付に係る資産、賞与引当金、旅行券等の計上について見積りを行っております。

 なお、見積りについては、過去の実績や現在の状況等に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 

 主なものとしては次のとおりであります。

 

 固定資産の減損

 当社グループは、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、新たに減損損失が発生する可能性があります(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。)。

 

 繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得は過去の業績等に基づいて見積っているため、税制改正や経営環境の変化等により課税所得の見積りが大きく変動した場合等には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。)。

 繰延税金資産の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (税効果会計関係)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (税効果会計関係)」をご覧ください。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)経営成績

(売上高と営業損益)

 当連結会計年度においても新型コロナウイルスの感染拡大の影響を強く受け、旅行関連の売上が低迷した一方、PCR検査受付業務等の取扱いが想定以上に増加したことにより、前連結会計年度に比べ、売上高は59.2%増の1,399億57百万円となりました。販売費及び一般管理費においては人件費、事務所賃借料をはじめとする販管費全般の削減に努めましたが、営業損失は76億86百万円(前期 営業損失270億82百万円)となりました。

(経常損益)

 当連結会計年度の営業外収益および営業外費用の純額は37億99百万円の収益超過でありましたが、助成金収入と為替差益の減少により前連結会計年度に比べ65億55百万円の減益となりました結果、当連結会計年度の経常損失は、38億86百万円(前期 経常損失167億27百万円)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

 当連結会計年度の特別利益および特別損失の純額は、特別損失として4億85百万円の事業構造改革関連費用や

7億11百万円の減損損失を計上したことにより10億95百万円の損失超過となりました。

 また、当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税は7億9百万円、法人税等調整額は89百万円であり、非支配株主に帰属する当期純損失を差し引いた当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は、57億71百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失284億56百万円)の損失となりました。

 

2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループをとりまく環境としましては、国内における人口減少や高齢化、アジア諸国の経済発展、国を越えた人の動きの活発化等内外の社会構造の変化が旅行業に影響を与えております。また、外資を含めたOTAの事業拡大、国内航空旅行を中心に柔軟に商品価格を変化させるテクノロジーを活用したプライシング機能等の新たなサービスの進化等により事業環境は著しく変化しております。

 また、旅行市場は、政府の「観光立国」に向けた政策はあるものの、新型コロナウイルスによる感染拡大に加え、ロシアによるウクライナ侵攻の影響、原油価格の高騰、円安基調など、旅行需要を激減させる事態が継続しており、今後も混乱が残るものと予想されます。

 当社グループは、個人、団体の国内旅行、海外旅行の企画・販売をはじめ、海外からの訪日旅行を取り扱うため、国内、海外の安全性が損なわれる事態(自然災害、国際テロ、紛争および新興感染症等)が生じた場合や、景況悪化による個人消費の落ち込み、天候や休日の日並びの良否等市場環境の変化などに起因し、経営成績に影響を受ける可能性があります。

 

2)今後の見通し

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

1)資金需要

 当社グループの資金需要は、営業活動については、旅行商品の企画販売にかかる宿泊機関・運輸機関・観光機関等からの仕入、および人件費ならびに販売諸経費等の営業費用が主な内容であります。投資活動については、システム投資をはじめとする設備投資が主な内容であります。

2)財務政策

 当社グループは現在、営業活動による資金需要、投資活動による資金需要いずれについても、内部資金により調達しており、借入や社債発行等による外部からの資金調達は行っておらず、有利子負債の金額は僅少であります。

 また、当社グループの各社の資金需要については当社が一元管理するとともに、グループ内における資金の効率的活用を図るため、キャッシュマネジメントシステムによる国内子会社の余剰資金の集中および配分を行っております。

 なお、当社グループ全体の余剰資金は、親会社である近鉄グループホールディングス株式会社のキャッシュマネジメントシステムに預入を行っております。

3)資金の状況

 第三者割当による資金調達については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (資本施策の実施の進捗状況)」に記載のとおりであります。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標(KPI)としては、営業利益および親会社株主に帰属する当期純利益を最も重要な指標と位置付けておりますが、新型コロナウイルスの感染が収束しないなか、2021年2月に公表した中期経営計画について、随時環境に応じた見直しを行い、推進中の事業構造改革に施策を加え、確実に実行することにより、早期の収支改善を図ってまいります。

 なお、2026年3月期には営業利益130億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益110億円の目標値に変更はありません。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(第三者割当による種類株式の発行に係る引受契約の締結)

 当社は、2021年5月12日開催の取締役会において、第三者割当の方法により近鉄グループホールディングス株式会社に対して総額150億円のA種種類株式、ならびに合同会社あかりおよび合同会社まつかぜに対して総額250億円のB種種類株式を発行することを決議し、同日付で、近鉄グループホールディングス株式会社、合同会社あかり、合同会社まつかぜとの間でそれぞれ引受契約書を締結いたしました。

 

5【研究開発活動】

 特記事項はありません。