第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、お客さまからの信頼を事業活動の原点に据え、お客さまに愛される会社であり続けることを目指して、他社グループにはない旅行事業のビジネスモデルを構築し、リスク管理を含めた内部統制の強化、CSR活動の充実を図ることにより、当社グループ全体の企業価値を高めてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、売上高と営業利益の拡大を重視しておりますが、同時に安定性や効率性を計る指標として、自己資本比率および自己資本利益率を定めております。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

当社は、第一に近畿日本ツーリスト株式会社の過大請求事案によって失墜した当社グループの信頼を取り戻すために「再発防止を講じた内部統制システムの強化」に加えて「コンプライアンスを最優先させる風土」を育んでまいります。具体的には、当社に「コンプライアンス改革本部」を設置して、グループ全体の組織風土改革と従業員のコンプライアンスの底上げを図るとともに、近畿日本ツーリスト株式会社等に「法令倫理管理センター」を設置して、今後調査委員会から提言される再発防止策を踏まえた内部統制の再構築を図ってまいります。

第二に、当社グループは引き続き事業構造改革を推進し、中期経営計画の目標達成に邁進してまいります。その一環として2023年4月1日、当社は近畿日本ツーリスト株式会社および株式会社近畿日本ツーリストコーポレートビジネス間の会社分割を実施し、個人旅行のWeb販売専門会社「株式会社近畿日本ツーリストブループラネット」の立ち上げ、ならびに近畿日本ツーリスト株式会社と株式会社近畿日本ツーリストコーポレートビジネスの団体旅行部門の統合を行いました。

この新体制の下、個人旅行事業につきましては、株式会社近畿日本ツーリストブループラネットが、Web販売の専門会社としてWeb商品の企画・販売を一体的に強化し、近畿日本ツーリスト株式会社のWebシフトを加速してまいります。一方、クラブツーリズム株式会社においては、2022年11月に販売を開始した、新しい旅のスタイル「旅’smart(たびすまーと)」を拡充し、タビナカに多くの自由行動時間を組み込んだツアーを販売することで、40代、50代のお客さまを中心に顧客層の拡大につなげてまいります。

団体旅行事業につきましては、新体制の下、コンプライアンスの強化に最大限の注意を払いつつ、近畿日本ツーリスト株式会社の全国ネットワークと旧株式会社近畿日本ツーリストコーポレートビジネスのMICE事業、訪日旅行事業等のノウハウを掛け合わせることで、首都圏のみならず全国においてMICE事業、地方創生事業等にさらに取り組み、団体旅行事業の深耕を図ってまいります。加えて、2022年に開発したデジタルクーポン発行システムを活用し、企業の福利厚生素材として、近畿日本ツーリスト株式会社およびクラブツーリズム株式会社の個人旅行商品を法人顧客に販売してまいります。

このほか、コロナ禍で開発してきた新規事業につきましては、特に学校支援ビジネスを軌道に乗せてまいります。

当社グループは、何よりも近畿日本ツーリスト株式会社の事案により失墜した信頼の回復を最優先課題とし、事業の強化、情報セキュリティをはじめとするリスク管理の強化、SDGs等の社会課題への貢献を推進することにより、企業価値の向上に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理

<ガバナンス>

 当社グループは、環境・社会・ガバナンスなどSDGsの諸課題に対する取組みを推進するため、SDGs委員会を設置しています。SDGs委員会の委員長は社長とし、SDGs委員会には事業を通じてSDGs課題への取組みを推進する「事業SDGs部会(3分科会)」とSDGsに関わる社内課題への取組みを推進する「社内SDGs部会(3分科会)」の2つの部会を設置しております。

 SDGs委員会では、SDGsの推進体制の整備とSDGsに関わる重要課題(マテリアリティ)および重点施策の策定、各重点施策のKPI(重要業績評価指数)の進捗管理を行い、サステナビリティに関わる諸課題に積極的に取り組んでおります。

 

<リスク管理>

 当社グループでは、旅行業やその他事業に関わるリスクを最小限に食い止めるため、グループ全体でリスクマネジメントの管理体制を構築し、運用しています。

 その一環として、コンプライアンス委員会を設置して、定期的にリスクアセスメントを行いながら、リスクの発生頻度と重要度に応じた様々な対策を講じ、インシデント発生の都度、当該リスク管理体制に問題がないかを確認し、必要に応じて是正しております。

 

(2)人的資本に関する戦略並びに指標および目標

■基本方針

 当社グループビジョン「世界中の人々の夢と感動のため、私たちは常にチャレンジします」の実現に向け、グループの発展・成長を目指す事業構造改革を更に加速していくため、人的資本の充実化に取り組みます。

 

■人財の多様性確保を含む人財育成方針

 刻々と変わる社会環境、ビジネス環境の中で、どんなときにも個々の知力、能力、マインドを発揮し続け、「お客さま」に心の満足を与えることができる人財を育成していきます。

<具体的取組み>

① 適所適材によるグループ全体での人財配置の最適化に取り組んでいます。

事業構造改革による組織再編を実施し、グループ会社のシナジー効果を最大限に活かすよう、人財を最適に配置することにより、そのポテンシャルを最大限に引き出していくとともに、継続的な生産性の向上を図ります。

② DEI(Diversity,Equity&Inclusion)を推進しつつ、次世代を担う人財の確保と育成に取り組んでいます。

次世代を担う若年層の確保と育成強化を重要経営課題に掲げ、チャレンジし甲斐のある公正な人事制度の設計・定着・拡充や、自発性を重視する公募実施に取り組んでいます。

また、当社グループは若年層を中心に女性比率が高く、次世代を担う多様な人財確保の観点から、柔軟な働き方を可能とする人事関連制度の整備により、女性社員の継続勤務率および女性管理職比率の向上に取り組んでいます。

③ 人財活用事業の強化を通じ、長期的な人財育成とスキルの活用に取り組んでいます。

当社グループは、旅行・観光・非日常体験の企画・運営ノウハウを有する人財を多数有しています。グループ内だけではなく、グループ外に対しても出向や定年退職後の人材派遣等を通じて、長くそのスキルの活用と成長を続けることが可能です。様々なフィールドで幅広く活躍し、今後も旅行・観光業界の発展に貢献していくことを目指しています。

 

<指標および目標>

① 管理職に占める女性の割合(全社計)

2022年度実績

目標と目標年度

17.0%

35%(2030年度)

② 育児休職からの復職率(主要4社計)

過去5年間の実績(2018~2022年度)

目標と目標年度

89.2%

95%(2027年度)

(注)主要な会社はKNT-CTホールディングス株式会社、クラブツーリズム株式会社、近畿日本ツーリスト株式会社、株式会社近畿日本ツーリストコーポレートビジネスであります。

③ 定年再雇用後の派遣人材数

2022年度実績

目標と目標年度

162名

340名(2027年度)

 

■社内環境整備方針

 人財ポートフォリオの充実化に向けた人財育成を可能とする社内環境整備に取り組み、グループの人的資本に帰属する知的資産の発展に取り組みます。

<具体的取組み>

① ジョブ型要素を反映した人事制度の定着・拡充を図ります。

人財の確保と付加価値創出の最大化の観点から、ジョブ型要素を反映した人事制度を導入しており、今後その拡充を図ります。また人事関連領域におけるグループ内で共通化できる制度の拡充を図り、人的ローテーションの活性化や人財ポートフォリオの拡充を行います。

② タレントマネジメントの仕組みを整備します。

これまでグループ各社が独立して行っていた人的資本管理を一元化し、人財情報の活用を図るため、グループ全体でのタレントマネジメントの運用を開始しました。

③ コーポレートアカデミー(仮称)の設立を行います。

採用力の強化を図り、グループの価値観や理念の共有、中期経営計画と連動した育成・啓発プログラムの立案・推進、グループ内の研修体系の整備等を目的とする社内組織として、コーポレートアカデミー(仮称)の設立に向けた検討を行っています。

④ 健康経営に取り組みます。

従業員が心身ともに健康的で意欲的に働き続けることができるよう、健康宣言を行うとともに、グループ各社の状況に即して健康の維持促進に向けた取組みを行っています。

 

<指標および目標>

健康経営に関する認定取得

2022年度実績

目標と目標年度

健康優良企業「銀の認定」2社

認定計4社(2025年度)

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)自然災害、テロ、感染症等に関わるリスク

 国内外で大規模な地震、台風、豪雨、大規模テロ又は重大な感染症の拡大が発生した場合、関係地域への旅行がキャンセルされ、さらに旅行の自粛や出控えが生じるため、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)深刻な感染症に関わるリスク

 さらに今般の新型コロナウイルス感染症のように感染症の拡大が深刻化し、政府から外出の自粛要請等がなされた場合、広範囲にわたる旅行需要が長期間消失し、当社グループの業績及び財政状態に甚大な影響を及ぼします。

 

(3)情報セキュリティに関わるリスク

 当社では、IT企画部に情報セキュリティ対策の専門担当者を置き、同部の定める情報セキュリティ基準に従って各部が対策を講じ、その遵守状況を監査部が監査することとしています。当社グループでは、この体制で情報セキュリティの向上を図っていますが、万一第三者によるサイバー攻撃等により、社内システムがダウンし、またはそのデータの消失・改ざん、個人情報の漏えい等が生じた場合は、業務の停止に加え、情報漏えいに伴う損害賠償、信用失墜に伴う売上高の大幅な減少が生じ、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)個人情報に関わるリスク

 当社グループは、顧客情報等大量の個人情報を取り扱うため、主要な子会社がプライバシーマークを取得するなど、個人情報の漏えい防止に万全を期していますが、万一大規模な情報漏えいが生じた場合は、顧客等への損害賠償に加え、信用失墜により売上高が大幅に減少する恐れがあり、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)法的規制に関わるリスク

 当社グループは、旅行業法、景品表示法、消費者契約法等さまざまな法規制のもと事業を行っており、それらの法令を遵守するための内部統制システムを整備していますが、法的規制の変更に十分な対応ができず、万一重大な法令違反を冒した場合は、行政当局から営業停止処分等を受け売上高が減少するほか、ブランドイメージが毀損し当社グループの事業の展開及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)事業運営に関わるリスク

 従業員の手配ミス等により、重要な輸送機関・宿泊機関の予約、重要なチケットの入手ができなかった場合、損害賠償請求を受ける恐れがあります。また、交通機関その他の業務委託先が事故や法令違反等を起こした場合も委託先の選定責任等が問われ、損害賠償請求や旅行業法に基づく処分を受ける恐れがあります。なお、2023年4月12日付で公表いたしました連結子会社である近畿日本ツーリスト株式会社の過大請求事案に関して、今後関係各所から損害賠償請求や入札禁止の処分を受け事業活動が制限される恐れがあります。当社グループでは、様々な業務マニュアルを整備し、計画的な訓練を実施することでこれらの防止に努めていますが、万一大規模な手配ミスや業務委託先による事故、入札禁止処分等が発生した場合は、当社グループの業務品質に対する信頼が低下し、ブランドイメージが毀損されますので、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)情報システムに関わるリスク

 当社グループでは、旅行予約や乗車券、観光券の発券作業等、情報システムに依存している業務が多いため、それらのシステムが重大な故障に見舞われた場合、長時間にわたり業務が滞る恐れがあります。そのため、当社グループでは、システムの保守に留意し、クラウドサービスの利用、システムのオープン化、ネットワークの二重化など様々な対策を講じていますが、万一重要なシステムに故障等が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8)人材の確保・育成に関わるリスク

 当社グループは、お客さまに感動と笑顔を呼ぶヒューマンサービスをモットーとするため、優秀な人材を継続的に確保し計画的に育成していますが、労働市場等の影響を受けこれらが計画どおり進まなかった場合、他社との競争や事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)人口動態に関わるリスク

 当社グループは、売上高に占める国内顧客の割合が比較的高いため、国内人口の減少や少子高齢化が売上高の減少につながる可能性があります。このため、訪日旅行事業の強化に取り組み、教育旅行事業のシェア拡大、アクティブ・シニアの旅行需要の深耕等に注力していますが、これらが計画どおり進展しない場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)経済状況に関わるリスク

 旅行事業は、主に個人の余暇を充実することを目的とするため、景気変動の影響を強く受ける傾向があります。当社グループでは、法人需要の取込み、公務の受託事業、業際ビジネスの拡大に取り組むほか、訪日旅行、国際旅行の拡大を図ることで、国内景気の影響を緩和するよう努めていますが、景気が想定以上に悪化し、個人消費が低迷した場合は、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)為替の変動に関わるリスク

 当社グループの海外旅行における地上費(ホテル代等)取引は、大半が米ドルをはじめとする外国通貨による決済となっております。このため、先物為替予約を用いて契約時と決済時の為替変動による為替リスクをヘッジしていますが、著しい為替変動が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(12)原油価格の高騰に関わるリスク

 原油価格が大幅に高騰した場合、燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の上昇により海外旅行需要が減少することとなりますので、当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(13)訴訟に関わるリスク

 当社グループは、事業に関して訴訟を提起される可能性があります。訴訟の内容によっては、多額の損害賠償を要求され、事業活動が制限される可能性がありますので、万一敗訴した場合等は、当社グループの業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 2023年4月、当社の連結子会社である近畿日本ツーリスト株式会社が新型コロナウイルス関係業務等において、自治体等から指示を受けた要員数・個数に満たない仕入れを行うなどして、過大請求を行っていた事案が発覚いたしました。

 事業の遂行に当たっては、何よりもコンプライアンス遵守を優先すべきところ、今般発覚いたしました事案は、これまで当社グループが積み上げてきた社会的信頼を損なう行為であり、株主の皆様、お客様、関係協力機関の皆様、行政及び関係者の皆様をはじめとした当社グループの全てのステークホルダーの皆様にご不快な思いのみならず、ご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、深くおわび申しあげます。

 当社グループでは、本件発覚後当社グループの総力を挙げて本件および本件以外の不適切な事案の有無を解明すべく、緊急社内点検に着手するとともに、さらに客観的かつ徹底的な調査を行うため、4月17日に中立・公正な独立社外取締役2名および外部の専門家2名からなる調査委員会を設置いたしました。調査委員会による調査は継続しておりますが、この間、当社グループとして調査委員会の調査の状況も踏まえながら緊急社内点検を十分かつ適切に実施いたしました。今後、調査委員会により究明される本事案の根本的な原因に照準を合わせ、当社グループの内部統制を再構築し再発防止を図るとともに、社内規定に則った厳正な処分を行い、信頼回復に努めてまいります。

 当連結会計年度の事業活動につきましては、旅行業においては、新型コロナウイルス対策に万全を期しつつ、修学旅行その他の団体旅行、国内個人旅行の催行に努めるとともに、Web販売の強化と都道府県民割、全国旅行支援事業等を活用した旅行商品の販売に注力いたしました。しかしながら、2022年5月から販売を再開した海外旅行の需要回復の遅れもあり、旅行業収入はコロナ前に大きく及ばない状況で推移いたしました。

 このような状況に対処するため、当社グループは、引き続き旅行業以外の事業の拡大に努め、従来の観光施設運営業務、観光振興業務等に加え、全国の自治体、企業等から新型コロナウイルス関係業務等を受託するなどBPO(Business Process Outsourcing)事業に鋭意取り組みましたが、そのような新規の事業活動が冒頭の不正事案につながったことは、誠に遺憾であり、慙愧に堪えません。

 

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、主に現金及び預金、預け金、受取手形、営業未収金及び契約資産および旅行前払金の増加により1,386億71百万円となり、前連結会計年度末に比較して363億29百万円(35.5%)の増加となりました。一方、負債合計は、主に営業未払金、旅行前受金および賞与引当金の増加により1,027億45百万円となり、前連結会計年度末に比較して247億20百万円(31.7%)の増加となりました。

 当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により359億25百万円となり、前連結会計年度末に比較して116億9百万円(47.7%)の増加となりました。

 

 この結果、自己資本比率は25.9%(前連結会計年度末 23.7%)、1株当たり純資産は△198.35円(前連結会計年度末 △595.61円)となりました。

 

 

b.経営成績

 当連結会計年度の連結業績は、連結売上高は2,521億52百万円(前年同期比80.2%増)、連結営業利益は114億10百万円(前期 営業損失76億86百万円)、連結経常利益は120億58百万円(前期 経常損失38億86百万円)となりましたが、上記の過大請求事案に伴う特別調査費用等9億円を特別損失に計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益は117億90百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失57億71百万円)となりました。なお、緊急社内点検の結果により算定された過大請求額を基に連結売上高の減額修正を行っておりますが、過年度分につきましてもその金額的な影響に重要性がないと判断していることから、当連結会計年度の連結売上高から減額しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期に比較して151億20百万円増加し709億円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金は149億93百万円の増加(前期は82億44百万円の減少)となりました。これは主に売上債権及び契約資産の増加による影響で156億91百万円減少したものの、税金等調整前当期純利益の計上で110億68百万円、旅行前受金の増加による影響で183億67百万円それぞれ増加したためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金は29百万円の増加(前期は76百万円の増加)となりました。これは主に定期預金の預入による支出で4億59百万円、固定資産の取得による支出で7億50百万円それぞれ減少したものの、定期預金の払戻による収入で5億44百万円、固定資産の売却による収入で3億50百万円、差入保証金の回収による収入で5億24百万円それぞれ増加したためであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金は30百万円の減少(前期は398億61百万円の増加)となりました。これは主にリース債務の返済による支出で28百万円減少したためであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、旅行業の単一セグメントであり受注生産形態をとらない商品が多いため生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 当社グループは旅行業の単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容についての記載を省略しております。

 

① 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、有価証券、減価償却資産、貸倒引当金、繰延税金資産、退職給付に係る資産、賞与引当金、特別調査費用等引当金、旅行券等の計上について見積りを行っております。

 なお、見積りについては、過去の実績や現在の状況等に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 

 主なものとしては次のとおりであります。

 

 固定資産の減損

 当社グループは、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、新たに減損損失が発生する可能性があります。

 

 繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得は過去の業績等に基づいて見積っているため、税制改正や経営環境の変化等により課税所得の見積りが大きく変動した場合等には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。)。

 繰延税金資産の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (税効果会計関係)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (税効果会計関係)」をご覧ください。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)経営成績

(売上高と営業損益)

 当連結会計年度の売上高と営業損益は、旅行業で都道府県民割や全国旅行支援等を活用したツアーが堅調に推移したほか、観光施設の運営業務、観光振興業務、新型コロナウイルス関連業務等のBPO事業の受注など、非旅行業の取扱いが増加したため、前連結会計年度に比べ、売上高は80.2%増の2,521億52百万円、営業利益は114億10百万円(前期 営業損失76億86百万円)となりました。

(経常損益)

 当連結会計年度の営業外収益および営業外費用の純額は6億48百万円の収益超過となり、助成金収入の減少により前連結会計年度に比べ31億51百万円の減益となりましたが、当連結会計年度の経常利益は、120億58百万円(前期 経常損失38億86百万円)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

 当連結会計年度の特別利益および特別損失の純額は、特別損失として9億円の特別調査費用等を計上したため、9億90百万円の損失超過となりましたが、事業構造改革関連費用や減損損失の減少により前連結会計年度に比べ1億4百万円の増益となりました。

 また、当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税は5億62百万円、法人税等調整額は△12億78百万円であり、非支配株主に帰属する当期純損失を差し引いた当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は、117億90百万円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失57億71百万円)の利益となりました。

 

2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループをとりまく環境としましては、国内における人口減少や高齢化、アジア諸国の経済発展、国を越えた人の動きの活発化等内外の社会構造の変化が旅行業に影響を与えております。また、外資を含めたOTAの事業拡大、国内航空旅行を中心に柔軟に商品価格を変化させるテクノロジーを活用したプライシング機能等の新たなサービスの進化等により事業環境は著しく変化しております。

 また、旅行市場は、政府の「観光立国」に向けた政策はあるものの、新型コロナウイルスによる感染拡大に加え、ロシアによるウクライナ侵攻の影響、原油価格の高騰、円安基調など、旅行需要を激減させる事態が継続しており、今後も混乱が残るものと予想されます。

 当社グループは、個人、団体の国内旅行、海外旅行の企画・販売をはじめ、海外からの訪日旅行を取り扱うため、国内、海外の安全性が損なわれる事態(自然災害、国際テロ、紛争および新興感染症等)が生じた場合や、景況悪化による個人消費の落ち込み、天候や休日の日並びの良否等市場環境の変化などに起因し、経営成績に影響を受ける可能性があります。

 

2)今後の見通し

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

1)資金需要

 当社グループの資金需要は、営業活動については、旅行商品の企画販売にかかる宿泊機関・運輸機関・観光機関等からの仕入、および人件費ならびに販売諸経費等の営業費用が主な内容であります。投資活動については、システム投資をはじめとする設備投資が主な内容であります。

2)財務政策

 当社グループは現在、営業活動による資金需要、投資活動による資金需要いずれについても、内部資金により調達しており、借入や社債発行等による外部からの資金調達は行っておらず、有利子負債の金額は僅少であります。

 また、当社グループの各社の資金需要については当社が一元管理するとともに、グループ内における資金の効率的活用を図るため、キャッシュマネジメントシステムによる国内子会社の余剰資金の集中および配分を行っております。

 なお、当社グループ全体の余剰資金は、親会社である近鉄グループホールディングス株式会社のキャッシュマネジメントシステムに預入を行っております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、安定的に利益を出すことのできる体質を構築し、売上高および営業利益を重視しておりますが、同時に安定性や効率性を計る指標として、自己資本比率および自己資本利益率を定めております。

 当連結会計年度における自己資本比率は25.9%(前期比2.2ポイント改善)であり、自己資本利益率(ROE)は39.2%(前期 △79.1%)でした。引き続きこれらの指標について改善されるよう取り組んでまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 特記事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 特記事項はありません。