文中における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において判断したものであり、不確実性が内在されておりますので、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 経営方針
当社グループは、国内外で物流サービスの提供を行っており、「ADD SYSTEM」(当社グループが物流システムの創造にたゆまぬ努力を続け、顧客に貢献すること)を社是として、顧客目線を大切にしながら、革新的なサービス開発とより高い信頼性をめざす確実な業務の実行によって、顧客はもとより、広く社会に貢献してまいります。
(2) 中長期的な経営戦略
当社グループは、2025年度から”既存事業の収益力強化と新たな収益構造を確立する”ことをテーマとして、下記のとおり取組むべき課題を明確にしながら「足元の業績立て直し」「事業基盤の強化」「新たな事業領域・価値の創造」「骨太な収益構造の確立」に向けてグループ一丸となって積極的にチャレンジしてまいります。
◆既存の経営資源(人材・施設)を有効活用し、「業績立て直し」と「事業基盤強化」へ向けたチャレンジ◆
・既存顧客とのパートナーシップをさらに強化し、当社グループの柱である国内物流業務・国際物流業務の規模拡大に努める。
・当社グループの強みである人の手を用いたきめ細やかなアセンブリ作業に、機械およびシステムを組み合わせることで提供するサービスに磨きをかけ、競合他社との差別化を図ると同時に、省人化並びに業務効率化を図り、利益率の改善に努める。
・「医療機器製造業」免許等を活用した医療機器物流業務の規模拡大に努める。
・湾岸地区にある自社保有施設の強みを最大限に発揮できるよう、立地特性に合わせた業務と顧客の配置転換を行うことで、資産の有効活用に努める。
・海外事業については、2024年度の不振要因を丁寧に分析し、最適な海外事業の展開、新たな海外事業戦略を検討する。
◆当社グループのこれまでの事業基盤に新たな事業領域・価値をプラス◆
・当社グループの既存サービスであるCOLサービス(コンテンツクラウド+オンデマンドプリント+ロジスティクスの頭文字をとった略語で、顧客は印刷物を保管することなく、必要なタイミングで当社でデータ印刷、製本を行い、指定の配送先に届けるサービス)と医療機器物流業務を掛け合わせる新サービスを構築し、国内物流業務における柱として育成する。
・協業することでシナジーを創造することが可能な企業とのM&Aを検討し、当社グループにおける取扱いサービスの拡大と深化を実現する。
・既存業務の効率化に資するような(適地展開)倉庫物件の取得を検討し、営業収益並びに利益の拡大を図る。
・当社グループの柱である国内物流業務・国際物流業務に続く3本目の柱として倉庫物件を中心とした収益物件取得の検討を行い、営業収益並びに利益の拡大を図る。
◆「事業基盤の強化」、「新たな事業領域・価値の創造」により「骨太な収益構造を確立」する◆
・既存事業の基盤強化による利益率改善、新たな事業領域・価値の創造による営業収益拡大の集大成として「国内事業」「国際事業」「賃貸事業」を3本柱として磨き上げ、骨太な収益構造を確立する。
・次なるステップへ向かって2025年度から計画する既存施設の用途転換(冷凍冷蔵倉庫への転換も含め)の完了を目指す。
3年目である2027年度においては、3年間の集大成として「骨太の収益構造の確立」のために、2025年度から2年間かけて積上げた取組を業績として顕在化させることを目標に取組んでまいります。
(3) 目標とする経営指標
翌連結会計年度以降においては、地政学リスクを起因とした資源高に伴う物価高および急激な為替の変動等の影響は依然として残り、米国の政権交代に伴う通商政策など不安定な要素も多く、経済環境の先行きには不透明感が残ることが予見されます。そのような中で当社は、中長期的な定量目標は掲げてはおりませんが、翌連結会計年度においては、中長期的な戦略を実行することにより、期初に策定した単年度の事業計画を達成させるよう取組んでまいります。
当連結会計年度の事業計画に対する達成状況および翌連結会計年度の事業計画は、次のとおりであります。
(4) 経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、これまで続いていたデフレ経済からインフレ経済への転換点となりました。雇用や所得環境の改善、インバウンド消費の伸長により個人消費に若干の持ち直しが見られ、日経平均株価が史上最高値を更新するなど、緩やかな回復が見られましたが、依然として実質賃金の伸びを上回る物価高は続いており、本格的な景気回復には至りませんでした。また、ウクライナ情勢および中東情勢の停戦は難航しているほか、米国の政権交代に伴う通商政策など不透明な要素は多く、今後の景気先行きに不安定感を抱える状況で推移しました。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後につきましても、社訓「まごころ」、社是「ADD SYSTEM」を念頭に、顧客目線を大切にした品質第一のサービス提供を行うことにより、当社グループを選んで頂けるように努め、「足元の業績立て直し」に向けて、国内物流業務、国際物流業務の規模拡大、強みであるアセンブリ作業に磨きをかけることによる競合他社との差別化、機械およびシステム導入による省人化並びに業務効率化を図り、利益率の改善を実現するためにグループ一丸となって積極的に取組んでまいります。
財務上の課題につきましては、現時点におきまして特段の課題は無いものと認識しておりますが、中長期的な経営戦略における成長に向けた施策を支えるべく、設備投資等の事象が発生した際には、適時に機動的な投資を実現できるよう対処してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、サステナビリティを巡る課題への対応を、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値向上の観点から企業の社会的責任(CSR)として持続可能な開発目標(SDGs)17項目のうち下記9項目を定め、基本的な方針として取組むとともに監督しております。
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう
7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8. 働きがいも経済成長も
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
15. 陸の豊かさも守ろう
具体的な対応として「タカセグループ 企業行動指針」を定め、その中で環境問題や社会、地域に対する貢献活動等への取組や市場の公正なルールの遵守、働きやすい環境整備等を推進しております。これらの取組は、原則毎月1回開催する常任取締役および常勤監査役を中心メンバーとした常任役員会、四半期ごとに開催する業績管理を主体とする四半期業績会議およびその他の諸会議において報告、共有されております。常任役員会におきましては、取組状況に応じて、適宜、経営資源の配分や事業ポートフォリオの見直しを行っております。
また、2023年12月にサステナビリティ担当を任命し、サステナビリティに関する方針並びに戦略策定に向けた準備を行っているほか、サステナビリティを巡る課題解決に向けた計画並びに施策の立案、実行された施策に対するフォロー等を行っております。
当社グループは、「タカセグループ 企業行動指針」の中で、サステナビリティに関する基本方針および戦略を以下のように定めております。
①環境問題への取組
・環境問題を重要な経営課題として位置付け、資源並びにエネルギーの有限性を認識し、その有効利用に努め、環境への影響を十分考えて事業活動を行います。
②社会と地域に対する貢献活動
・事業活動を通じ、また事業に携わる従業員を通じて、地域および社会と深い関わりを持つことを十分に認識し、社会の一員として自己と社会の双方の利益を調和させ事業を展開し、社会や地域に貢献できるように努めます。
③従業員の働きやすい環境の確保、従業員の人格並びに個性の尊重
・従業員が安全で働きやすく、能力を十分に発揮できる職場環境の整備、従業員の人権尊重および機会均等を前提とした雇用、人事制度の構築を行います。
・性別、年齢、人種、国籍等による差別を行いません。また、ハラスメントについては、これを容認しません。
また、当社グループは、事業活動を通じた取組がサステナビリティに関する課題への対応であると認識しており、これらの取組状況に対して、常任役員会等の会議体およびサステナビリティ担当を通じて取組推進のための支援を行っております。
人材の多様性の確保を含めた人材の育成に関しましては、優先すべき課題と考え、中長期的かつ持続的な発展および経営基盤の安定を図るためには、性別、年齢、人種、国籍等に拘らないことが必要であると認識しており、近年の人材採用においては女性比率が高まっているほか、海外人材の採用も行っております。当社および当社グループにおきましても、中国子会社の総経理に外国籍社員を選任する等、すべての従業員に機会均等を前提とした雇用・人事の仕組みを推進しております。
サステナビリティに関して、当社グループは人材の確保や育成に関するリスク並びに環境問題に関するリスクを認識しており、内容については
当社グループにおきましては、現時点では、サステナビリティへの取組に関して、明確な定量目標を定めてはおりませんが、当社グループが重要視する項目につきましては、モニタリングを行っております。各項目における定量目標につきましては、当社における課題をより明確化し、設定してまいります。
女性・外国人・中途採用者の管理職への登用および中核人材の登用等については、現時点においては、明確な定量目標を設定しておりませんが、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、性別、年齢、人種、国籍等に拘らず採用を行うとともに、採用後の処遇についても違いは無く、公正な人事考課制度に従って評価および処遇を行っております。加えて、人材育成においても、従業員の人格、個性を尊重し、社内外教育制度の充実・活用に積極的に取組んでおり、連帯感をもち安全で働きやすい職場環境の確保に引続き努めてまいります。
また、環境問題につきましては、当社グループの運送事業を担う子会社においては、「グリーン経営認証」の取得や東京都トラック協会が実施している「グリーン・エコプロジェクト」への参加、東京都環境局が、二酸化炭素の排出削減等、環境負荷低減に取組む運送事業者を評価する「東京都貨物運送評価制度」において優秀事業者認定を受けるなど、環境対策を自主的に進めております。これに加えまして、当社グループの電力使用における温室効果ガス排出量について、モニタリングを行い、温室効果ガス排出量の前年対比3%削減に向けた取組を継続しており、環境面におきましても持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
当連結会計年度の重点取組項目に対する取組の結果は、集合研修を社内研修に変更したこともあり、教育研修に係る金額が前年同期間と比較して645千円の減少となりました。また、温室効果ガスの排出量につきましても、前連結会計年度までは前年比5%以上の削減が進んでおりましたが、当連結会計年度では前年を上回る排出量となりました。いずれの項目も当社グループの重点取組として注力すべき項目であり、翌会計年度以降においても積極的に取組んでまいります。
(サステナビリティに関する当社の重点取組項目と実績)
(注)男女間の賃金格差については、一人当たりの男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。賃金格差の主要因は、給与の高い等級群の社員における男性比率が高いことによるものであります。なお、人事制度における資格等級別の月額給与については、男女の賃金格差はございません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することは困難でありますが、当社は、取締役会におきまして、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止に取組んでおります。
文中における予想、見込み、方針その他、将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において判断したものであり、不確実性が内在されておりますので、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 価格面等の競争の激化
当社グループの属する物流業界は、最低賃金の上昇、社会保障費の負担増、資源高に起因した燃料費および電力料金の高騰等、仕入コストおよび労務コスト上昇の圧力は強まる一方であります。対して顧客の物流コスト圧縮の要請は依然として強く、業界内の競争は一段と激しさを増しております。今後においては、業界再編成が加速することも予想され、競争が一層激化するものと考えられます。
価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 主要取引先との契約が解除されるリスク
当社グループには、取引先から当社グループとの取引を解除されるリスクが存在します。
業態を問わず、顧客企業の経営戦略上の理由から物流業務の見直しを行うことがあり、主要な顧客であっても物流業務の委託形態の変更の要請や、委託業者の見直しのためになされるコンペティションにおいて当社グループの提案が採用されなかった場合には、契約の解除によって営業収益が大きく落込み、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(3) 人材の確保や育成に関するリスク
当社グループ事業の成長には、顧客や市場の要求に応え、適正な価格で高品質の物流サービスを提供することが不可欠であります。当社グループの将来の成長実現のためには、先見性があり、実行力およびリーダーシップを備えた有能かつ多様な幹部人材の確保や育成が不可欠であると考えております。また、物流業界においては労働人口減少による人手不足、運送事業における従業員の高齢化に加えて、2024年問題など労働力に起因する問題が顕在化しております。
人材の確保又は育成がなされなかった場合には、当社グループの維持成長、業績および財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(4) 海外進出に潜在するリスク
当社グループは、香港、中国、米国に営業拠点を設け、国内外に及ぶ一貫した物流体制を構築し、事業を展開しております。
当社グループは、従来より海外事業投資にあたっては慎重に将来性やリスクを見極め、また、進出後は将来を機敏に見通し、進退を判断するよう努めております。今後も同様に判断しますが、香港と中国本土に関する諸問題、2022年に発生したウクライナ情勢の緊迫や中国上海市におけるゼロコロナ政策によるロックダウン等、海外事業には予測することが難しいリスクが内在しております。
・予期しない法律、税制又は規制の変更
・不利な政治又は経済要因
・人材の採用と確保の難しさ
・テロ、戦争、伝染病、その他の要因による社会的混乱
上記のような事象が発生した場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 災害等による影響
当社グループは、戦後京浜港における海貨事業を主体とする国際物流事業を基盤に発展してきた、という歴史的経緯があり、更に、輸出入関連および消費地直結の物流分野における立地上の競争力確保を狙いとして、首都圏における主要な倉庫等を京浜港周辺地区に集中して設置しております。よって、東京や神奈川で大規模な地震や長期間の停電、その他の操業を中断せざるを得ない事象が発生した場合、当社グループの保管・配送能力は著しく低下し、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 重篤な感染症等の流行による影響
2020年に発生した新型コロナウイルス感染症のような未知の感染症等の流行により、急激な経済の落込みが発生した場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 環境問題に関するリスク
当社グループは、環境問題への関心が高まる中、「みなとSDGsパートナー」へ申請し、登録されるほか、当社グループの運送事業を担う子会社におきましては「グリーン経営認証」を取得しており、新たな取組として、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、2022年から2030年までの間、温室効果ガス排出量の対前年比3%削減をグループ目標とした取組を開始しております。環境問題へ向けた取組は今後も継続してまいりますが、今後想定を上回る環境規制による事業制限等が実施された場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 公的規制
当社グループは、港湾運送事業、通関業、輸出入取扱関連事業、倉庫業、貨物運送事業などを営んでおり、各々関連する業法の適用下にあるほか、交通安全、環境、労働者派遣等に関するさまざまな法規制の適用を受けております。また、当社グループは、事業展開を行っている各国において、事業・投資の許可等、様々な政府規制の適用を受けております。これら関連する法規制又は各種規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性があるとともに、規制を遵守するためにコストの増加につながる可能性があります。従いまして、これらの規制は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 情報漏洩
当社グループは、各事業において多様な顧客情報を取扱っております。当社グループには顧客情報に対する守秘義務があり、それに努めておりますが、管理の不徹底等により情報が外部に漏洩した場合、当社グループの社会的信用の低下を招くだけでなく、損害賠償請求等が発生します。これらの事象が発生した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。
(10) 取引先の信用リスク
当社グループには、取引先から当社グループに支払われるべき金銭の不払に係るリスクが存在します。
当社グループの属する物流業界の回収サイトは、総じて短期間であることが多く、加えて当社グループは、従来から信用リスクの管理には鋭意取組んでおり、不良債権に対しては当社グループとして十分と考える引当金を計上しておりますが、取引規模の大きい顧客の信用状況が急激に悪化した場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 減損会計の適用
当社グループは、物流倉庫等多額の固定資産を保有しており、原則として、各事業部署を基準として資産のグルーピングを行っております。固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。割引前将来キャッシュ・フローについては、現在の使用状況や合理的な使用計画を考慮した事業計画に基づいて算定しておりますが、市場環境の変化により事業計画等の前提に用いた条件や仮定に変更が生じた場合には、減損処理が必要となり、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度において当社グループは、社訓である「まごころ」、社是「ADD SYSTEM」(当社グループが物流システムの創造にたゆまぬ努力を続け、顧客に貢献すること)を基礎として、これまで頂いてきた当社グループのサービスへの信頼をさらに深め、顧客目線を大切にした品質第一のサービス提供を行うべく、グループ一丸となり業務に取組んでまいりました。特に、「社会貢献度の高い分野への物流サービス提供」、「新規顧客の獲得」、「適正料金の収受」の実現については、重点課題として積極的に取組を進めてまいりました。
また、期初に事業構造改革によるコスト削減を目的として発足したプロジェクトにおいて基幹営業所の業績改善に取組んだことに加え、当社グループの強みである流通加工業務において、高いサービスレベルを維持することを前提としながら、作業人員数の見直しや適正な配置、作業費に占める固定費圧縮にも引続き取組み、業務効率化についても取組んでまいりました。
しかしながら、「社会貢献度の高い分野への物流サービス提供」、「新規顧客の獲得」、「流通加工業務にかかるコスト削減」については、満足できる結果は得られておらず、営業活動をさらに強化するとともに、営業所における作業コスト削減に対しては、全社を挙げて、これまで以上に取組む必要があると認識するものであります。「適正料金の収受」についても、当連結会計年度において一部顧客との間で収受料金改定が実現したものの、コスト上昇は継続しており、今後も粘り強く取組む必要があると考えております。
以上の結果、営業収益が期初からの収受料金改定効果、主要顧客における業務取扱量が増加したことを受け、前年同期間と比較して、1.9%増の83億45百万円となりました。利益面につきましては、一部顧客との間で収受料金の改定による利益率改善が実現したものの、最低基準賃金上昇等の作業コスト上昇を補うには至らなかったこと、流通加工業務におけるコスト削減が当初の計画どおりに進まなかったこと、建物および設備の維持にかかる修繕費が増加したことに加え、中国現地法人において年度を通じてコスト削減が進まなかった影響もあり、営業利益は、前年同期間と比較して、53.8%減の79百万円となり、経常利益においては、営業外収益の受取賃貸料が減少した影響が大きく、同47.8%減の1億17百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、当連結会計年度において子会社4社の清算が結了したことにより、内3社(雅達貨運(中山)有限公司・株式会社システム創研・萬警備保障株式会社)の清算による子会社清算益1億13百万円、エーディーディー・エクスプレス株式会社の清算による子会社清算損27百万円をそれぞれ計上したものの、前連結会計年度において「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」上の会社分類を変更したことによる繰延税金資産の追加計上があったことの反動から、同49.3%減の1億55百万円となりました。
② 報告セグメントの状況
A.総合物流事業におきましては、収受価格の改定および主要顧客における業務取扱量が増加したことを受け、営業収益が前年同期間と比較して1.9%増の82億70百万円となりました。営業利益は、一部顧客との間で収受料金の改定による利益率改善が実現したものの、最低基準賃金上昇等の作業コスト上昇を補うには至らなかったこと、コスト削減が当初の計画どおりに進まなかったこと、建物および設備の維持にかかる修繕費が増加したことに加え、中国現地法人におけるコスト削減が進まなかった影響もあり、前年同期間と比較して52.9%減の62百万円となりました。
B.運送事業におきましては、当事業が、総合物流事業に対する運送分野を担っております。営業収益は、一部の顧客で業務取扱量が増加したものの、主要顧客における業務取扱量減少の影響が大きく、前年同期間と比較して6.1%減の2億77百万円になりました。営業利益は、営業収益減少の影響が大きく、前年同期間から1百万円減少し、3百万円の営業損失となりました。
C.流通加工事業におきましては、当事業が、主に、総合物流事業に対する倉庫内オペレーション分野を担っております。国内物流業務取扱量の減少により、営業収益は前年同期間と比較して3.8%減の9億86百万円となりました。営業利益は、労務コストの削減に努めたものの、最低賃金の改定などによるコスト増加が響き、前年同期間から20百万円減少し、2百万円の営業損失となりました。
(注)上記営業収益は、セグメント間取引消去前の金額で記載しております。
③ 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3億92百万円(4.0%)減少し、95億16百万円となりました。
この主な要因は、売掛金及び契約資産が53百万円、前払費用が66百万円増加した一方で、現金及び預金が2億72百万円、有形固定資産が1億3百万円、投資有価証券が1億36百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ5億15百万円(19.2%)減少し、21億66百万円となりました。
この主な要因は、流動負債の「その他」が67百万円、長期借入金が3億48百万円、退職給付に係る負債が47百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ1億23百万円(1.7%)増加し、73億49百万円となりました。
この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益により1億55百万円、為替換算調整勘定が75百万円増加した一方で、前連結会計年度にかかる期末配当金により70百万円、連結範囲の変更により49百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが2億58百万円の増加、投資活動によるキャッシュ・フローが87百万円の減少、財務活動によるキャッシュ・フローが4億43百万円の減少となり、現金及び現金同等物に係る換算差額等を調整し、当連結会計年度末には、17億98百万円となりました。
この結果、当連結会計年度末の資金残高は、前連結会計年度末より2億80百万円の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とこれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、2億58百万円(前年同期間対比4億9百万円の資金獲得減)となりました。
この主な要因は、資金増加要因として税金等調整前当期純利益が1億94百万円(前年同期間対比32百万円の資金減)、減価償却費が3億56百万円(前年同期間は3億46百万円)あった一方で、資金減少要因として退職給付に係る負債の減少が47百万円(前年同期間は15百万円の資金増)、「その他」が42百万円(前年同期間対比30百万円の支出増)あったほか、子会社清算損益85百万円を調整したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は87百万円(前年同期間対比1億2百万円の支出減)となりました。
この主な要因は、資金増加要因として子会社の清算による収入が1億90百万円あった一方で、有形固定資産の取得による支出が2億47百万円(前年同期間対比60百万円の支出増)あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、4億43百万円(前年同期間対比52百万円の支出減)となりました。
この主な要因は、長期借入金の返済による支出が3億65百万円(前年同期間は4億81百万円の支出)、配当金の支払額が69百万円(前年同期間は69百万円の資金減)あったことによるものであります。
⑤ 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、「運送」「保管」「作業」といった物流サービスを組み合わせて提供しておりますが、そのサービス内容は多種多様であり、相互に密接に関連しているほか、受注生産形態をとらない事業であることから、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注状況
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度のセグメント別販売実績は、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は
次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
経営成績の概略につきましては、上記「(1) 経営成績等の概要 ①経営成績の状況」に記載しておりますので、ご参照願います。また、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成および進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載しておりますので、ご参照願います。
a.営業収益
営業収益につきましては、総合物流事業においては、収受価格の改定および主要顧客における業務取扱量が増加したことを受け、前年同期間と比較して1億54百万円増加し、82億58百万円となりました。運送事業においては、一部主要顧客の業務取扱量は減少したものの、その他外部顧客における業務取扱量増加が、主要顧客の減少を補ったことから、前年同期間と比較して4百万円増の58百万円となりました。流通加工事業においては、外部顧客への売上は無くなり、2百万円の減収となりました。以上の結果、当社グループの営業収益は、前年同期間と比較して1億55百万円増加し83億45百万円となりました。
なお、当連結会計年度のセグメント別営業収益は、次のとおりであります。
<セグメント別の状況>
(注)上記営業収益は、セグメント間取引消去後の金額で記載しております。
b.営業利益、経常利益
営業原価につきましては、営業収益の増加(前年同期間対比1億55百万円の増加)は見られたものの、営業原価はそれを上回る前年同期間対比2億28百万円の増加となり、73億70百万円となりました。販売費および一般管理費率は、前年同期間と同様の10.7%であったものの、営業原価率は、前年度同期間と比較して、1.1%悪化した88.3%となったことから、営業利益率は同1.1%悪化した1.0%となっております。営業原価率悪化の主な要因は、収受料金の改定による効果が上昇するコスト増加を補うには至らなかったこと、倉庫内の流通加工業務ならびに中国現地法人においてコスト削減が当初の計画どおりに進まなかったことによるものであります。また、営業外収益は、前年同期間と比較して受取賃貸料の減少等により15百万円減少いたしました。その結果、経常利益率は前年同期間と比較して1.3%悪化し、前年同期間から1億7百万円減少した1億17百万円となりました。
なお、当連結会計年度の営業費用、営業利益および経常利益は、次のとおりであります。
c.親会社株主に帰属する当期純利益
子会社4社の清算が結了したことにより、内3社(雅達貨運(中山)有限公司・株式会社システム創研・萬警備保障株式会社)の清算による子会社清算益1億13百万円、エーディーディー・エクスプレス株式会社の清算による子会社清算損27百万円をそれぞれ計上したものの、前連結会計年度において「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」上の会社分類を変更したことによる繰延税金資産の追加計上があったことの反動から、前年同期間から1億50百万円減少した1億55百万円となりました。
② 財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、上記「(1) 経営成績等の概要 ③財政状態の状況」に記載しておりますので、ご参照願います。
③ キャッシュ・フローの分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、上記「(1) 経営成績等の概要 ④ キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますので、ご参照願います。
なお、資本の財源及び資金の流動性に係る情報に関して、当社グループの主要な資金需要は、営業活動にかかる営業原価および販売費及び一般管理費の支払によるものであり、営業活動によるキャッシュ・フローおよび手許資金並びに金融機関からの短期借入金による運転資金で賄われております。
また、借入金の返済および配当金の支払についても、主に営業活動によるキャッシュ・フローおよび手許資金で賄う予定にしております。
設備等の投資については、その金額規模および資金ポジションを考慮しつつ、大規模となる事案については、金融機関からの長期借入金による資金調達により対応することとしております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。