第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している新たな事業等のリスクの発生はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

当中間連結会計期間における経営環境は、物価上昇の継続や、米国の通商政策などによる影響に一層注意する必要があるものの、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあって、景気は緩やかな回復傾向にあります。

旅行市場においては、訪日外客数が過去最高を更新した2024年の勢いそのままに、当中間連結会計期間における前年同期比において125.9%の2,112万人となりました。海外旅行においては、物価上昇・燃油高騰などの経済的要因に加え、不安定な国際情勢などの影響を受けつつも、日本人出国者数は、前年同期比115.9%の684万人と緩やかな回復傾向にあります。(出典:日本政府観光局 (JNTO))

このような環境の中、当社グループにおいては、旅行を中心に幅広い事業の展開を通じて、グループ全体の持続的成長を実現するため、HIS Group Purpose“「心躍る」を解き放つ”の旗印のもと「挑戦心あふれ 世界をつなぎ 選ばれ続ける企業」を目指し、事業推進に努めてまいりました。

セグメント別の当中間連結会計期間の業績は以下のとおりです。なお、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。

 

(旅行事業)

当社の海外旅行事業においては、2・3月出発は卒業旅行、春休みはファミリーやシニア層の取り込みが奏功し、ハワイ・ミクロネシア方面、およびヨーロッパ・中近東方面の売上が好調に推移しました。一方4月出発は、ゴールデンウィークの日並び、および韓国のLCCを中心とした減便、機材の縮小化の影響により、売上を牽引するアジア方面への送客に影響を与えました。主な取り組みとしては「春旅応援キャンペーン」と題して、海外航空券とホテルを組み合わせた「AirZ(エアーズ)」商品の割引施策を展開するなど、4~6月出発の取り込み強化を図りました。

また、旅の魅力を再発見いただくイベント「HIS大感謝祭」の開催や、業界全体で海外旅行の完全回復を目指す「海外旅行拡大プロジェクト」へ参画し、当社では「新パスポート取得サポートキャンペーン」を実施しました。

国内旅行事業においては、強化方面である沖縄が、沖縄本島南部と石垣島の人気観光地を回るバスツアーの拡充を図るなど、着地後のサービス強化を実施したことで集客を牽引しました。航空券とホテルを組み合わせた「ダイナミックパッケージ」において、JALキャンペーンを実施したことが奏功し、高い伸びをみせました。グループ会社であるオリオングループでは、近年まれに見る大雪の影響もあり、各スキー場がシーズン終了まで営業が可能となったことで、スキー&スノーボードの日帰り・宿泊バスツアーにおける売上・送客数がともに増加しました。

4月13日より大阪・夢洲で開催されている「2025年日本国際博覧会 (大阪・関西万博)©Expo 2025」のPRゴールドパートナーとして、更なる盛り上がりを後押しすべく「関西キャンペーン」を実施し、個人旅行・団体旅行などの需要獲得にも努めました。

訪日旅行事業においては、引き続き欧米からの団体旅行の受客が好調に推移しており、特に定番のゴールデンルート(東京・箱根・富士山・京都・大阪)が人気を博しました。個人旅行の受客では、一層高まる桜シーズンの訪日需要を獲得すべく、バスツアーを自社オンラインサイトや、グローバルOTAにて集客強化を図ったことで、当社の訪日旅行事業部における過去最高の単月売上を2カ月連続で更新しました。また、シンガポール最大の旅行博覧会である「NATAS Travel 2025」を通じて、個人旅行商材の販売促進を図るとともに、現地旅行会社との関係構築と取引先の新規開拓に努めました。

法人事業においては、報奨旅行・視察旅行・教育旅行などの旅行事業が、国内・海外ともに引き続き好調に推移しており、各種旅行企画・手配に加え、旅ナカにおける付加価値サービスの強化を図り、収益性の向上に努めました。また官公庁・自治体事業においては、地域ブランディング、イベント運営などで様々な地域との連携を図りました。昨年、資本業務提携をした「さとゆめ社」と共に進めている新しい目的地を創るプロジェクトにおいても、新たに3自治体と協定を結び、地域活性化を推進しました。

海外における旅行事業では、日本からの海外旅行需要の回復により、受客業務であるインバウンド事業が上半期の旅行事業の業績を牽引しました。特に欧州において、日本からのパッケージツアーが好調に推移したとともに、イタリアではバチカンの聖年を記念した「巡礼ツアー」などの集客強化を図ったことで、日本以外のアジアからの受客も増加し、グローバルマーケットの開拓に繋がりました。また東南アジアでは、インドネシア・バリ島での団体旅行やベトナムでのチャーター便に加えて、タイでの「イーペン祭(灯ろう流しのお祭り)」など、季節に合った旅行需要を創出していくことにより、各国における受客が増加しました。海外アウトバウンド事業を牽引するカナダでは、景気減速による単価減少などの影響を受けた一方で、各国の法人において現地企業の業務渡航の需要増加に加え、ローカルマーケットのレジャー旅行の取扱いが堅調に推移しました。

なお、当社グループの営業拠点数は、国内152拠点、海外57カ国110都市143拠点となりました。(2025年4月末日時点)

以上の結果、当中間連結会計期間における売上高は1,495億58百万円(前年同期比113.9%)、営業利益は56億7百万円(同118.9%)、EBITDAベースでは76億96百万円の利益(同112.8%)となりました。

 

(ホテル事業)

ホテル事業では、各国における宿泊市場の着実な回復により、稼働率・客室単価ともに前年同期より上昇がみられ、売上・利益ともに順調に推移しました。日本国内のホテルにおいては、各企業とのコラボレーションが話題を呼んだとともに、訪日外国人旅行者の増加により人気観光地のホテルが高稼働率を維持したことで、ホテル事業の業績を牽引しました。そのほか、2025年2月に、「変なホテル」の累計宿泊者数が500万人を超えたことを記念し「変なホテル500万人感謝セール」を開催するなど、更なる宿泊需要の促進に努めました。海外のホテルにおいては、韓国の「変なホテル ソウル」が、安定したグローバル受客により引き続き好調に推移しました。

以上の結果、当中間連結会計期間における売上高は124億5百万円(前年同期比108.2%)、営業利益は19億20百万円(同108.4%)、EBITDAベースでは39億11百万円の利益(同103.4%)となりました。

 

(九州産交グループ)

九州産交グループでは、訪日需要や台湾企業(TSMC)の進出効果などにより人流が活性化したことで、バス事業全般、航空代理店事業、飲食・物販事業が好調に推移し業績を牽引しました。基幹事業であるバス事業では、訪日外国人旅行者や国内の観光客増加により、高速バスの輸送人員が前年同期比111.4%と好調に推移しました。貸切バスの稼働台数は前年同期比93.9%であるものの、運賃改定効果の継続により増収に繋がりました。また、航空代理店事業においては、グランドハンドリング業務を受託しているスターラックス航空の増便などによる手数料の増加、および品質評価ポイントアップに伴う品質評価報酬の増加などにより、売上・利益が伸長しました。また飲食・物販事業では「北熊本サービスエリア下り線」を開業以来53年ぶりにリニューアルオープンし、飲食・物販事業の拡充を図りました。

以上の結果、当中間連結会計期間における売上高は126億63百万円(前年同期比105.9%)、営業利益は5億8百万円(同173.3%)、EBITDAベースでは13億50百万円の利益(同115.4%)となりました。

 

以上の結果、当社グループの当中間連結会計期間における経営成績は、売上高は1,813億13百万円(前年同期比112.7%)、営業利益は67億21百万円(同121.6%)となりました。また、経常利益は68億81百万円(同117.8%)、親会社株主に帰属する中間純利益は37億98百万円(同104.1%)となりました。

 

 ② 財政状態の分析

当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ372億38百万円減少し、3,749億62百万円となりました。これは主に、旅行前払金の増加(前期末比19億24百万円増)がある一方で、現金及び預金の減少(同337億53百万円減)、受取手形、売掛金及び契約資産の減少(同21億28百万円減)、有形固定資産の減少(同17億91百万円減)によるものです。

当中間連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ409億46百万円減少し、3,089億10百万円となりました。これは主に、旅行前受金の増加(前期末比36億57百万円増)がある一方で、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債の減少(同250億円減)、助成金に係る預り金の減少(同63億64百万円減)、未払金の減少(同47億86百万円減)によるものです。

当中間連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ37億8百万円増加し、660億52百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定の減少(前期末比1億65百万円減)がある一方で、親会社株主に帰属する中間純利益の計上等による利益剰余金の増加(同37億37百万円増)によるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、984億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ337億99百万円減少しました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

営業活動により資金は13億67百万円の増加(前中間連結会計期間は124億55百万円の増加)となりました。これは主に、預り金を含むその他の負債の減少(131億43百万円)、旅行前払金の増加(21億71百万円)、仕入債務の減少(12億30百万円)により資金が減少した一方で、税金等調整前中間純利益(65億93百万円)、非資金項目である減価償却費(54億11百万円)、旅行前受金の増加(39億94百万円)、売上債権及び契約資産の減少(16億72百万円)により資金が増加したことによるものです。

また、前中間連結会計期間の増加は主に、旅行前払金の増加(19億15百万円)、預り金を含むその他の負債の減少(37億17百万円)により資金が減少した一方で、税金等調整前中間純利益(61億21百万円)、旅行前受金の増加(71億74百万円)、非資金項目である減価償却費(53億79百万円)により資金が増加したことによるものです。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資活動により資金は39億87百万円の減少(前中間連結会計期間は48億26百万円の増加)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入(55億53百万円)により資金が増加した一方で、定期預金の預入による支出(57億3百万円)、有形及び無形固定資産の取得による支出(36億44百万円)により資金が減少したことによるものです。

また、前中間連結会計期間の増加は主に、定期預金の預入による支出(116億59百万円)、有価証券の取得による支出(101億55百万円)により資金が減少した一方で、定期預金の払戻による収入(276億83百万円)により資金が増加したことによるものです。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

財務活動により資金は309億74百万円の減少(前中間連結会計期間は194億23百万円の減少)となりました。これは主に、社債償還による支出(250億円)、借入による収入と借入金返済による支出(43億20百万円)により資金が減少したことによるものです。

また、前中間連結会計期間の減少は主に、借入による収入と借入金返済による支出(25億79百万円)、社債償還による支出(150億円)により資金が減少したことによるものです。

 

以上の結果、当中間連結会計期間末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ337億99百万円減少し984億18百万円となりました。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間におきまして、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間におきまして、当社グループが対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

該当事項はありません。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び設備投資等であります。運転資金につきましては金融機関からの借入により資金調達を行っております。設備投資等につきましては金融機関からの借入、社債の発行により資金調達を行っております。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。