文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グル―プが判断したものであります。
当社グループは、技術力を極め、環境社会に貢献することをグループ共通の企業理念としており、企業活動を通じて「経済的価値」と「環境・社会的価値」を創出することを目指しております。
当社グループは、中長期的に売上高を150億円以上とすること、営業利益率を10%以上とすることを通し、株主資本の投資効率を示すROEを10%以上とすることに加え、事業リスクの分散化を目的に空港外の売上比率を20%以上とすること、CO2排出量に対する削減目標を33.5万トン以上とすることを経営指標として掲げております。
当社グループは、「ESG経営の推進」により、「成長の実現」と「戦略投資と還元の両立」を目指しており、これらを実現させるために、当社が掲げている経営戦略の3つの柱を遂行してまいります。3つの柱とは、「選択と集中」、「事業基盤のシフト」、「経営基盤の強化」としております。
「選択と集中」では、安定した利益の確保と低採算事業の事業性評価やビジネスモデルの見直しと新たな成長事業への経営資源の再配分を行ってまいります。低採算事業につきましては、改善策を講じ立て直しを図ってまいりますが、業績改善が見込まれない場合には、当社の主力事業との関連性等も踏まえ、必要に応じて、事業売却や事業縮小も含めた対応を行ってまいります。
「事業基盤のシフト」では、これまで日本国内の主要空港に対しておこなってきたサービスや事業を、空港外や海外、地方に対しても提供していくことに加え、新規の産業(物流保守)への参入、新商材の拡充、多角化を推し進めてまいります。
「経営基盤の強化」では「選択と集中」「事業基盤のシフト」を実現するために、組織体制の整備、事業運営管理の適正化、中長期的な企業成長に向けて適正な財務基盤の構築により、経営基盤の強化を推し進めてまいります。組織体制の整備では、加速する技術革新の波が、当社に対して影響を及ぼしつつありますが、環境変化をビジネス機会と捉え、成長戦略を迅速に遂行するための新たな組織を新設し、持続的な売上成長を牽引いたします。
当社が有する高い技術力と環境社会へのさらなる貢献によって、関係するすべてのステークホルダーからの信頼を基に、空港の安全を守るためにこれまで培われた技術を利活用し空港外や海外、地方空港に対してもサービスを提供し、さらなる社会貢献と企業成長に挑戦してまいります。
当社を取り巻く外部環境として、長引く新型コロナウイルス感染症の影響があります。国際航空運送協会(IATA)によると、航空業界全体の旅客数について2024年までにコロナ禍以前の水準以上に回復すると見通されています。一方、アジア太平洋における回復は遅れが懸念されており、当社の動力・整備事業は引き続き一定の影響を受けると考えておりますが、本年3月以降、まん延防止等重点措置の解除や各国の入国制限緩和に向けた動きもあり、航空需要の更なる回復の兆しがみられております。
このような当社を取り巻く経営環境の変化に対し、当社の技術力を活かせる成長領域への積極的な事業展開に向けて、目標を定めて推進しておりますが、現状においては大きな成果を得られたとは言い難い状況です。しかしながら、今後の可能性を秘めた案件の芽も発掘し始めており、今後はこれらの事業を育成し、将来の主軸事業に成長させたいと考えております。また、当社技術を活かせる空港外への事業領域拡大については、既に当社は物流業界へのサービス提供を開始しており、引き続きこれを推し進めるとともに、物流システム機器メーカーとの相互互恵関係を深め、売上拡大を目指します。加えて、当社技術員のマルチスキル化を進めることで業務の効率化を行い、空港内の業務量の一時的な増減に柔軟に対応できる体制を構築するとともに、既存パートナー等の外部リソースを活用し、人件費の抑制とともに空港事業の回復に応需しながら、当社技術員を更なる事業領域の拡大に向けて活用してまいります。
また、株式会社東京証券取引所より「新市場区分の概要等について」が発表され、当社は2022年4月4日より、株式会社東京証券取引所の新市場区分「スタンダード市場」へ移行しました。引き続き企業活動を通じて「社会的価値」と「経済的価値」を創出できる企業を目指してまいります。
当社は企業理念に「環境社会に貢献する」を掲げており、動力事業における埋設式GPU設備等の導入を通じて、CO2排出削減や騒音の低減といった空港環境の改善に寄与してまいりました。今後、動力事業のみならず、すべての事業を通じて“環境社会への貢献”をさらに一歩推し進め、カーボンニュートラルの実現という国家目標に取り組み、貢献してまいります。
AGPグループは企業理念のもと、環境と人を大切にするESG経営を推進しつつ、安全・品質に対する取り組み強化と併せて技術力の向上を図ってまいります。
当社グループの経営成績、株価及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスク及び変動要因は、以下に記載するとおりです。
また、新型コロナウイルス感染症を含め、パンデミックを引き起こす恐れのある新たな感染症等の発生・蔓延は、極めて重要なリスクの一つであると認識しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものでありますが、全てのリスクを網羅したものではなく、災害に関するリスク等、予見しがたいリスクも存在します。
動力事業の売上は、航空各社の発着便数・機種及び地上動力の利用頻度により業績に影響を及ぼす可能性があります。
動力事業の売上に伴う原材料費は、原油価格等の変動により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当事業は初期投資が大きく、減価償却費等の固定費が原価の相当部分を占めております。当社の投資効果試算どおりに各空港の就航便数が伸びず、見込みどおりの利用状況が発生しない場合には、減価償却費・賃借料が負担となります。
IoT技術導入に伴う省人化・自動化の加速等により、保守業務規模が縮小する可能性があります。
空港の施設整備計画が当初計画どおりに進行しない場合や、お客様が設備投資を抑制または経費節減施策を強化する局面においては、業績に影響を及ぼす可能性があります。
フードカートや小売電気の販売では、他社との競争が予想され、販売が計画どおりにならず、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これらリスクの存在を認識したうえで、当該リスクの発生に伴う影響を極力回避するための努力を継続してまいります。
また、今般の新型コロナウイルス感染症により、自動化/省人化が更に加速することも想定されますが、これを好機と捉えてビジネス機会の発掘に努めてまいります。
当期におけるわが国経済は、依然として新型コロナウイルス感染症の収束が不透明な状況にありますが、ワクチン接種の進展を背景に、景気が持ち直していくことが期待されます。しかしながら、オミクロン株の急拡大やウクライナ情勢の緊迫化による資源高の影響等、足元の不確実性は高まっています。
航空業界においては、感染者数の減少や10月からの緊急事態宣言の解除を受け、国内航空需要は回復基調にあり、国際線の需要においても、日本政府による出入国の水際対策に係る措置が継続されているものの、徐々に緩和されており、回復の兆しがみられます。
このような状況下における当社業績は、動力事業、整備事業は増収となった一方で、付帯事業は減収となり、売上高合計は103億81百万円と前期末比23百万円(0.2%)の減収となりました。
営業費用につきましては、付帯事業の減収に伴う原材料費の減少や、管理可能経費の抑制に加え、人件費の抑制については、空港内業務の集約化・効率化を牽引する新たな組織を期初より立ち上げ、業務の抜本的な見直しを実行したことにより、102億59百万円と前期末比2億76百万円(2.6%)の減少となりました。
以上により、営業利益は1億21百万円(前期末 営業損失1億31百万円)、雇用調整助成金の受給により、経常利益は2億36百万円(前期末 経常損失58百万円)、固定資産の減損損失を計上したことにより親会社株主に帰属する当期純利益は、11百万円(前期末 親会社株主に帰属する当期純損失45百万円)となり、黒字化を達成することができました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
① 動力事業
航空需要は長引く新型コロナウイルス感染症の影響下にあるものの、運航便数が回復傾向に推移しているなかで電力供給機会が増加したことにより、売上高は36億47百万円と前期末比3億69百万円(11.3%)の増収となりました。
セグメント損失は、業務の効率化による人件費や管理可能経費の抑制を進めたものの、電力料金単価が上昇傾向にあることと、売上規模が依然としてコロナ前の水準を下回る状況が続いていることにより、1億13 百万円(前期末 セグメント損失1億69百万円)の損失となりました。
空港内の既存業務は長引く新型コロナウイルス感染症の影響により、特殊機械設備*の一部休止が未だ継続しており、保守管理業務の減少に加え、設備の改修・更新工事が抑制され減収となりました。一方で、当社技術を活かせる空港外への事業領域拡大については、物流関連設備の施工管理、設備保守等への技術者支援を推し進めた結果、売上高は49億32百万円と前期末比2億28百万円(4.9%)の増収となりました。
セグメント利益は、上記増収に加え、業務の効率化等により人件費を抑制したことにより、9億28百万円と前期末比2億34百万円(33.7%)の増益となりました。
*特殊機械設備とは旅客手荷物搬送設備及び旅客搭乗橋設備
フードカート販売は地域ネットワークを活用した営業促進により、増収となった一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により、GSE*の販売が減少したこと等により、売上高は18億1百万円と前期末比6億21 百万円(25.6%)の減収となりました。
セグメント利益は、上記増収に加え、前年度に実施した工場野菜生産・販売事業の事業譲渡により、2億1百万円と前期末比8百万円(4.6%)の増益となりました。
*GSEはGround Support Equipment の略称で、航空機地上支援機材の総称
※ 全社に係わる販売費及び一般管理費控除前の金額
流動資産は、前期末比3億37百万円(4.5%)増加の79億3百万円となりました。これは、営業未収入金が3億42百万円、現金及び預金が89百万円増加したこと等によります。
固定資産は、前期末比5億94百万円(8.6%)減少の63億47百万円となりました。これは、有形固定資産が6億46百万円減少し、無形固定資産が38百万円、投資その他の資産が14百万円増加したことによります。
この結果、総資産は、前期末比2億56百万円(1.8%)減少の142億50百万円となりました。
流動負債・固定負債は、前期末比2億83百万円(5.5%)減少の48億92百万円となりました。これは、未払金が63百万円、未払消費税等が1億77百万円、流動負債・固定負債を合算した借入金が51百万円減少したこと等によります。
純資産合計は、前期末比26百万円(0.3%)増加の93億57百万円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、利益剰余金が11百万円増加したこと等によります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末比89百万円(1.8%)増加の49億72百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は、前期末比10億12百万円(68.8%)減少の4億59百万円となりました。
これは、売上債権の増加額が4億38百万円、未払消費税等の減少額が1億77百万円、法人税等の還付額が87百万円、税金等調整前当期純利益が56百万円等によります。
投資活動の結果支出した資金は、前期末比4億78百万円(60.4%)減少の3億13百万円となりました。
これは、有形固定資産の取得による支出が2億46百万円、無形固定資産の取得による支出が77百万円、有形固定資産の除却による支出が2百万円等によります。
財務活動の結果支出した資金は、前期末比8億31百万円増加の59百万円となりました。
これは、長期借入金の返済を51百万円、リース債務の返済を6百万円おこなったこと等によります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標は次のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は、期末株式終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 動力事業は受注生産を行っていないため、記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2 当社グループは、事業の性質上国内航空2社(日本航空株式会社および全日本空輸株式会社)への売上高の総販売実績に占める割合が高くなっております。
当連結会計年度の国内航空2社に対する売上高合計の連結売上高に占める割合は、37.6%であります。
3 各地域別の販売実績は以下のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、必要となる見積りは、連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しております。具体的には、一般に入手可能な市場情報や、国内の航空マーケット需要をもとに、航空需要の回復スピードを仮定し、過去の実績等も勘案し、当社設備の利用率を算定し、繰延税金資産の回収可能性等の会計上見積りを行っております。なお、繰延税金資産について回収可能性がないと見込まれる金額まで評価性引当金を計上しておりますが、将来繰延税金資産が回収可能と判断されれば、評価性引当金を戻し入れます。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要)」に記載のとおりであります。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、2014年12月に策定した「AGPグループ長期ビジョン2025」をベースとし、2015年1月に「AGPグループ中期経営計画(FY15-19)」を策定いたしました。その後、2019年度中にFY20-25の中期経営計画の策定を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による経営環境の変化により、止むを得ず先送りとなりました。
このような状況下において、2021年3月に『「長期ビジョン2025」を見据えた行動指針』を策定し、これに沿って事業運営を進めてまいりましたが、今般「中期経営計画(2022-2025年度)」を策定いたしました。本計画の実現と更なる企業価値向上に努めてまいります。
また、次期の業績予想につきましては、既に公表しておりますが、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した取り組みを実施してまいります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、安全性の高い財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のためにバランスの取れた経営資源配分を基本方針とし、自己資本比率50%を堅持しております。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) キャッシュ・フロー」に記載のとおりであり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、49億72百万円となりました。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われておりません。
当社は、国内の主要空港で航空機用地上動力供給設備を設置し、駐機中の航空機に必要な高品質の電力ならびに冷暖房等を供給しておりますが、航空機の最新鋭化や様々な設置環境に対応した機器の開発・改良が不可欠であります。また、病院や学校ならびに介護施設向けに販売しておりますフードカートについても、多様化するニーズに合わせた新製品の開発や既存品の改良を積極的に進めております。
当連結会計年度の研究開発活動は、付帯事業における新型IH加熱カートの開発・改良等を行った結果、研究開発費の総額は