第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中のおける将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、技術力を極め、環境社会に貢献することをグループ共通の企業理念としており、企業活動を通じて「経済的価値」と「環境・社会的価値」を創出することを目指しております。


 

(2) 目標とする経営指標

当社は経過措置期間終了の2025年3月末までに、スタンダード市場の上場維持基準の適合「流通株式比率25%以上」に向けて、速やかに流通株式比率の改善ができるよう取組を進めてまいります。

本事業年度末(2024年3月31日)現在の流通株式比率につきましては23.83%であり、当初の17.27%より6.56%改善しましたが、残り1.17%の改善が必要な状況です。

中長期的に売上高200億円を目指しており、中期経営計画期間中には売上150億円以上、営業利益率10%以上、株主資本の投資効率を示すROE10%以上を達成することに加え、事業リスクの分散化を目的に空港外の売上比率20%以上とすること、空港におけるCO2排出量に対する削減目標を2019年度対比100%以上である年間33.5万トン以上とすることを経営指標として掲げております。

本事業年度末の状況は、売上高、営業利益率、ROE、CO2排出量の削減目標に関しましては、航空需要の回復に支えられ、比較的順調に推移しました。しかしながら、成長事業への戦略投資は計画よりも遅延しており、成長事業の創出や新規事業の要となる人的資本投資、研究開発投資の進捗が出せなかったことが一つの要因となっております。これにより、手元資金や有利子負債の有効活用も実行できておらず、自己資本比率が高止まり傾向にあり、今後の改善に向けた施策の実行が必要と考えております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、経営の基本方針に基づき、成長への再投資と成果の還元(株主、従業員、社会)の好循環経営を目指し、資本効率を向上させて企業価値を高めてまいります。3つのステートメントを宣言しており、「ESG経営の推進」により、「成長の実現」と「戦略投資と還元の両立」の達成に向けて、これらを実現させるために、経営戦略の3本の柱である、「選択と集中」、「事業基盤のシフト」、「経営基盤の強化」を行ってまいります。


 

3つのステートメント:

「ESG経営の推進」では、環境社会実現に向けた貢献、人材育成と社員福祉の充実、経営の透明性健全性に重きを置いたガバナンス強化

「成長の実現」では、新たな環境事業の創出、空港外領域事業の更なる展開

「戦略投資と還元の両立」では、資本効率の向上、積極的な戦略投資と機動的な株主還元に加え人的資本投資・研究開発投資を実行

 

経営戦略の3本の柱:

「選択と集中」では、安定した利益の確保と低採算事業の事業性評価やビジネスモデルの見直しと新たな成長事業への経営資源の再配分を行ってまいります。低採算事業につきましては、改善策を講じ立て直しを図ってまいりますが、業績改善が見込まれない場合には、当社の主力事業との関連性等も踏まえ、必要に応じて、事業売却や事業縮小も含めた対応を行ってまいります。当事業年度末現在、選択と集中の一環としてAGP電気サービスを2023年3月末に停止しました。現在は、一部些少な契約を残しておりますが、順次解約が進むものと考えております。

「事業基盤のシフト」では、これまで日本国内の主要空港に対して行ってきたサービスや事業を、空港外や海外、地方に対しても提供していくことに加え、新規の産業(物流保守サービス)への参入、新商材の拡充、多角化を推し進めてまいります。当事業年度末現在、物流保守サービスにつきましては、鋭意、市場開拓を進めておりますが、今後は、AI、IoT等の革新技術を取り入れたサービス形態への変革を推し進める計画です。

「経営基盤の強化」では、組織体制の整備、事業運営管理の適正化、中長期的な企業成長に向けて適正な財務基盤の構築により、経営基盤の強化を推し進めております。今後も継続して、経営基盤の強化に努めてまいります。

当社が有する高い技術力を駆使し、環境社会に対する更なる貢献に努めるとともに、空港の安全を遵守・維持するために培われた技術と経験を活かして、地方空港、海外空港、空港外に対してもサービスの提供を拡充し、さらなる社会貢献と企業成長に挑戦してまいります。

 

(4) AGPグループ中期経営計画(2022-2025)前半2年間の取組実績について

  ① ESG経営の推進

区分

取組内容

環境社会実現に向けた貢献

  航空機用地上電源設備(GPU)利用の促進

  電動ブレーキングカート製品を開発し、市場に導入

  バッテリー駆動式GPU(Be power.GPU)を開発し、市場に導入

  省エネ法に基づく評価制度6年連続Sクラス評価を獲得

  水素運搬・充てん作業助成業務を受注

人材育成と社員福祉の充実

  従業員株式給付制度(J-ESOP)の導入

  ダイバーシティ推進プロジェクトの社内に設置

  国際女性ビジネス会議の参加(常勤役員全員参加)

  タイ人スタッフ35名を雇用

  男性の育児休業取得率改善中(33.3%から81.8%)

経営の透明性/健全性に

重きをおいたガバナンス

  独立社外取締役1名の増員

  指名・報酬員委員会の設置

  中期経営計画期間中に改定コーポレートガバナンス・コードへの準拠

  IR活動の強化、情報開示の充実(四半期毎に機関投資家向け/個人投資家向けの説明会を開催)

  流通株式比率を改善中(17.27%から23.83%)

 

 

  ② 成長の実現


  ③ 戦略投資と還元の充実

区分

取組内容

成長事業投資

5億円の計画に対し、進捗はほぼ無し

空港再編・拡張への設備投資

工事工程の想定より2億円を計画するも、工事計画の変更や撤去工事が伸長したことで8億円の実施

既存設備の更新投資

老朽化した設備更新15億円の計画に対し、7億円の実施に留まる

人的資本投資/研究開発投資

成長投資の一部と計画していた、人的資本投資を0.5億円、研究開発投資を0.4億円実施

株主還元の拡充

中期経営計画期間の4年間の累計総還元性向は100%以上とし、2年間の配当総額は、10.1億円、自己株式取得消却44万株を実施し、2年間の累計総還元性向は100%以上を維持

 

 

(5) 当社を取り巻く経営環境

◆ 政治的な側面(政府の方針や影響する法律・制度など)

  ・ 東京証券取引所の市場区分見直しおよびコーポレートガバナンス・コードの改訂

   東京証券取引所は資本市場を通じた資金供給機能向上を目的に、2022年4月に東京証券取引所の上場制度の見直しと上場維持基準を新たに設定しました。また、世界的にコーポレートガバナンスに関心が高まる中、日本においても持続的成長と中長期的な企業価値向上を実現するために、取締役会の機能発揮、中核人材の多様性の確保、サステナビリティを巡る課題への対応等のガバナンス諸課題に、企業がスピード感を持って対応することが求められるようになり、東京証券取引所により、上場会社に求められるガバナンス水準の具体的な指針が打ち出され、2021年6月に改訂コーポレートガバナンス・コードが公表されました。

   このように独立した上場企業としての在り方が注視される中、当社はスタンダード市場への移行を選択し、スタンダード市場のコンセプトに準じた基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットすることを重要と考え、改めて上場維持を堅持することを決定しました。2024年3月31日現在において、上場維持基準である流通株式比率は23.83%であり現時点では上場維持基準の条件は未達の状況であります。なお、当社は経過措置期間終了の2025年3月末までを目標に上場維持基準を充たす計画としております。

・ 空港分野におけるCO2排出量削減に向けた取組(2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて)

   我が国は、2050年に温室効果ガス排出量の実質ゼロを宣言(カーボンニュートラルの推進)しており、国土交通省は「空港における脱炭素に向けた取組み」を推奨しています。現在、各空港の運営会社等が空港内の脱炭素化の取組みとしての空港内車両のEV・FCV化を検討しています。

   このような中で、当社も空港分野におけるカーボンニュートラルへの取組みを推進し、企業理念のもと環境貢献に資する新たな成長ビジネスの創出を目指しています。

 

◆ 経済的な側面

  ・ 航空需要の著しい伸長

   航空需要については、2023年12月にIATA(国際航空運送協会)より、「2024年の旅客数は新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年に記録した45億人を超え、過去最多となる約47億人を超えることが見込まれる。」と発表されており、今後も航空需要の回復が想定されています。

  そのため、当社の中期経営計画策定時に想定していたコロナからの需要回復よりも、伸長率は高く、今後の当社の売上に大きく影響を与えることが予想されます。

   IoT技術やAIの到来

  加速化するIoT技術、AI、自動化・省人化の到来により、空港業界全体の構造にも変革の波が押し寄せてきています。当社がこれまで技術・技能を具備した人材で担ってきたエンジニアリング業務が一部代替される傾向があり、従来の契約形態へ影響を及ぼす可能性があります。

  このような背景を踏まえ、当社は既存事業との関連性を基に、新たな技術価値によるサービス構築が急務であると課題の認識をしています。

   EC物販市場の拡大

  国内のEC物販は拡大が続き、BtoCの市場規模はこの10年で約2.5倍にまで拡大しております。これに伴い、大手ECメーカーの倉庫等の建設が進んでいます(コロナ禍でのEC市場成長の加速化)。倉庫には、マテリアルハンドリングシステムが設置されており、保守メンテナンスが必要になるものですが、これは当社が、これまで空港内にて培ってきたBHS*の保守業務を活かすことができる技術です。

*BHS;Baggage Handling Systemの略称

 

◆ 社会的な側面

   労働力人口減少問題と物価上昇を背景とした賃上げ

  労働力人口減少を背景に人材不足が深刻化していますが、コロナ後の航空・空港業界全体では特に採用力が低下しており、人材確保が困難となっている状況です。この背景には、ボラティリティが高く、また、航空会社を除くと総じて賃金水準が低位であるという忌避意識が高いと推察しています。加えて、昨今の急激に進む物価上昇を背景に、従業員の生活水準を守るため、政府も企業に対して、賃上げ要請を強めてきております。当社においても、「優秀な人材の確保・維持に向けた採用力強化」、「従業員定着率の向上」、「既存従業員の能力開発」を目的に人的資本投資という位置付けで従業員の賃金水準の引き上げを実施しております。

 

◆ 技術的な側面

   新技術を活用した空港運営

IoT技術等の革新により、欧州を中心にGSE機材のEV化や自動化・省人化が進んでいる状況にあり、また、日本国内においては、空港内車両のEV化、自動運転化のほか、CO2排出抑制に向けた再生可能エネルギーの活用や蓄電技術の発展など、新技術を活用した空港運営が求められています。

  当社においても、外部環境の変化に適応し、革新的・先進的な技術を具備したソリューションを獲得することが急務であるため、主軸技術で強みがある「電気と機械」の技術を柱とした、自社設備・製品開発を積極的に行い、また、空港の脱炭素化に向けた各種実証試験に取り組んでおります。今期からは更なる発展に向けてリソースを優先的に配分し技術の研究開発に取組むことを計画しています。

 

(6) 優先的に対処すべき事業継続上および企業成長上における課題と施策

  私たちAGPグループは、空港をご利用される全ての皆さまに、中立的な立場で社会インフラサービスを公平に提供し続けられるサステナブルな会社を目指しております。

  社会インフラを担う会社として、“安全に”、かつ、外部環境の変化に応じて、“常に進歩・発展をした”サービスを提供し続ける責務を担っていると自覚しており、“技術”を駆使した設備投資を行い、“環境貢献に資する”サービスを提供することを企業理念に掲げています。

  これらを実現するためにESG経営を推進し、「成長の実現」と「戦略投資と還元の両立」を図り、持続的な成長を成し遂げて、株主価値を向上する事が最大の使命であると認識しております。

  当社における優先的に対処すべき事業継続上の課題は、「東証スタンダード市場上場維持基準への適合」であり、この最大の課題を解決するために、企業成長上の課題である「成長の実現と戦略投資と還元の両立」を成し遂げることが必要不可欠であることを認識しており、その実現に向けた取り組みを推進してまいります。

 

  ① 財務視点から見た課題:成長の実現を見据えた「資本効率を意識した戦略投資と還元」の実現

 当社は、独立した上場企業として、持続的な成長による企業価値の向上を目指し、成長事業の創出が急務であると認識しており、そのために必要となる事業投資、機能や事業を具備するためのM&Aなどの実行に加え、成長事業の創出を支える技術開発、新たな自社製品/機能を具備するための研究開発、省人化・省力化に資する研究開発など、当社の根幹を支える技術について、資金投入を積極的に推進し成長事業の創出を実現してまいります。

  このために、戦略投資と還元の両立を目指し、成長分野への資本投入を行い、投下した資本コストを上回る形でのキャッシュリターンの最大化を図りたいと考えており、キャッシュ・フロー計画として、手元資金に加えて当該期間中の営業キャッシュと、資本効率の向上を目的にした調達を行うことで、財務レバレッジを高めながら、戦略投資と株主還元の充実を図る計画をしておりました。しかしながら、前述のとおり、この2年間の成績としては、将来の成長の実現に向けた「戦略投資」の実行が計画より遅れてしまっており、自己資本比率が上昇してしまいました。

  航空需要の回復が著しく業績は順調に推移しましたので、利益増加によるROEは向上したものの、資本効率の向上は図られなかったことは否めません。

  今後、中期経営計画の後半では、将来のAGPのために、積極的に収益機会を求めて戦略投資の実行を推し進めると同時に、投資事業の収益性を見極めながら株主還元の充実を図り、戦略投資と還元の両立を実現してまいります。

    ・ BSを意識した経営の推進

  中期経営計画策定から過去2年間、成長事業の創出に対する資本投入は実現できていません。2024年度からは、資本効率の向上を重要視し、売上や利益のみを意識した経営ではなく、経営資源の適切な配分による利益最大化を目指すBS経営へシフトします。

  資本効率の高い経営を目指し、成長事業を創出するための戦略投資、空港再編・拡張に対する設備・更新投資、それらを実行していくための人的資本投資、外部環境の変化に適応するための革新的な技術の進歩・発展をするために必要となる研究開発投資等を積極的に推し進められるよう再計画を行い、成長分野への積極的な資本投入により、資本効率を高めて企業価値向上を目指します。

 

    ・ 戦略投資の実行

2024年度からはAGPの将来に向けて、成長分野への積極的な資本投入を行い営業キャッシュの最大化を追求していきたいと考えており、一時的に営業利益率の減少およびフリーキャッシュフローのマイナスを計画しております。

  戦略投資に関しては、過度な投資とならぬよう、株主還元方針を念頭に、業績状況に沿って適切に投資と還元をバランスさせるだけではなく、投資事業の収益性や効率性を見極めながら、慎重に資金を活用していく所存です。なお、資金計画については、これまで、慎重な利用であった有利子負債も、市場の動向や事業の状況を注視しながら積極的に活用し、当社の稼ぐチカラの向上と成長のために活かしていく考えです。ただし、財務の健全性の維持の観点から、D/Eレシオ0.5倍を上回らないようにすることといたします。

 

  ② 「優先して対処すべき課題」の解決に向けた、業務執行運営体制の改革

    a)CxO制度の導入

 コーポレートガバナンス体制を強化しつつ、成長戦略の実現を事業領域の枠を超え、スピード感をもって事業部間の連携強化や資源配分の最適化を行うことを目的に、CxO制度を導入しました。

CxOは次の役割を担います。

    ・ 経営目標の達成に向けて戦略を立案し、各戦略担務ごとの方向性を決定し、進捗をモニタリング

・ 特に戦略目標である成長事業の創出、技術研究開発、財務戦略、資本政策等の実行を加速させるため、必要な指導を実施

    ・ 各戦略担務の成長/事業投資において、適切に投資判断基準を充たしているか否かの判断を行う

 

CxOは、最高経営責任を担うCEO、技術面から経営サポートし、新規事業開発、技術研究開発の実現を担うCTO(最高技術責任者)、中期経営計画達成および上場維持、企業価値向上に向けた戦略の立案と実行プロセスの構築を担うCSO(最高戦略責任者)に加え、財務戦略、配当計画・資金調達の戦略立案と実行を担うCFO(最高財務責任者)の4名体制により、スピード感を持った経営の実践に努めてまいります。

 

    b)戦略担務の設置

 CxO制度の導入に加えて、各役員の担当部門における執行責任を負う従来の方式に加え、戦略目標の実行の加速化を目的に、各執行役員に合計8つの戦略担務を設定し、最終目標である株主価値向上に向けて、総力を挙げて推進してまいります。

具体的な戦略担務は、次のとおりです。

戦略担務の名称

具体的な内容

成長事業の創出

「環境×電気×DX」の領域における新規事業開発(EMS/FMS)、物流保守サービスにおける付加価値創造を主なターゲットとして、新規事業の創出を目指してまいります。

事業開発推進(M&A)

将来のAGPのために、新たな収益の柱となる成長事業の創出を果たすための事業開発を推進し、必要な機能を具備するためのM&Aや出資なども行ってまいります。

研究開発推進

成長事業の創出を支える技術開発、新たな自社製品/機能を具備するための研究開発、省人化・省力化に資する技術研究開発を推進してまいります。

人的資本投資・

ダイバーシティ推進

前述のとおり、優秀な人材の確保・維持に向けた採用力強化、従業員の自発的能力開発を目的に従業員の賃金水準の引き上げの実施を決定しました。

加えて、外部人材の活用や幹部候補生の採用などを加速化すること、また、ダイバーシティ研修などを含む各種の研修による能力開発を促進するなど、従業員の成長とともに企業価値を高める施策を実行してまいります。

 BPR推進*1

既存業務領域における適正人員を可視化し、業務効率化・標準化を推進するとともに、適正なシフト編成を確立し、一人当たりの生産性向上を図ります。

 GPU*2設備の投資抑制

動力供給設備の更新投資について、埋設管等のコンポーネント、動力供給設備機材について、既存の技術に新たな技術を融合させて投資コストの削減を図ります。

 コーポレートガバナンス強化

前述のとおり、独立した上場会社として備えるべきガバナンス水準を備え、公平で透明性を持った経営を実践することを目的に、コーポレートガバナンス・コード全項目の準拠に取組み、これを契機に最適な資本構成や適切なガバナンスの仕組みを整え企業価値の向上を図ります。

 上場維持・資本政策・財務戦略

前述のとおり、スタンダード市場上場維持基準達成に向けた取組みを推進してまいります。また、単に基準の充足を目的とするのではなく、これを契機に、最適な資本構成や適切なガバナンスの仕組みを整え、企業価値向上に資する施策を推し進めます。継続的・安定的な配当に加え、自社株買い等の株主還元策を含む総合的な資本政策を実施し、自己資本比率を適正化します。なお、機動的な資本政策の対応には有利子負債の活用も視野にいれています。

投資資本コストを上回るキャッシュリターンの最大化を図るために、手元資金と営業キャッシュに加えて有利子負債の有効活用を行いつつ成長分野への資本投入を実行することで、財務レバレッジを高めながら、ROEの向上を目指してまいります。

 

*1 BPR:Business Process Re-engineeringの略称

*2 GPU:Ground Power Unitの略称

 


 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループにおける、サステナビリティに関する考え方及び取組については、以下に記載のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性が有ります。

 

経営方針とサステナビリティに対する考え方

 当社は1965年に設立して以来、企業活動を通して空港分野において環境貢献に寄与する経営を推進してまいりました。当社グループの経営方針については、前述の「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 本経営方針及び中期経営計画の中には、当社のサステナビリティに関する考え方及び取組も含まれており、本経営方針及び本中期経営計画のもと、中期経営計画期間中にコロナ前(2019年度)の売上・利益水準へ早期に回復させ、その後はさらなる成長を目指して売上規模200億円を目標に掲げ、企業価値向上に向けて経営を推進するとともに、環境・社会・ガバナンスを重視したESG経営を推進してまいります。

 また、当社は自主独立の経営体制で持続的な成長を実現するために、新市場区分におけるスタンダード上場維持基準の適合を目指しており、基準である「流通株式比率25%以上」達成に向けて、専門家を交えてあらゆる手段を鋭意検討しております。

 

 

サステナビリティについての取組

 国内外のサステナビリティ開示で広く利用されている「気候関連財務情報開示タスクフォース( TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の4つの構成要素(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標)に基づき、本経営方針及び本中期経営計画における当社のサステナビリティに関する考え方及び取組に付言しつつ整理の上、開示いたします。当社としては、以下のガバナンス((1)参照)及びリスク管理((3)参照)の取組は、当社のサステナビリティに関する戦略((2)参照)及び指標((4)参照)の実現に資するものであると考えております。

 

(1)ガバナンス

当社の経営状況と課題

 マーケットからは、いわゆる安定株主が株主総会における特別決議可決のために必要な水準を占めることのない公開性が求められており、この公開性の要請に応え、当社がマーケットからの投資対象として十分な流動性とガバナンス水準を備えた会社であることをお示しすることは重要であると認識しています。

 ◆ スタンダード市場への上場維持基準への適合と上場企業としてのガバナンス具備

 当社株式について、過去の設立から現在に至るまでの経緯により、上位3位までの事業法人による当社株式保有が7割以上を占め、出来高が些少となっており、それに起因して純投資目的の投資家の参加率が低い状況であることを課題として認識しております。政策的な保有を目的とされている当該事業法人に対しては、当社株式保有比率低減に向けてのご協力をお願いするほか、各種施策を機動的に検討・実施してまいりましたが、2024年3月31日現在において流通株式比率23.83%と、現時点では上場維持基準である『流通株式比率25%以上』の条件は未達成の状況であります。当社は将来に向けた持続的成長に向けて速やかに流通株式比率の改善をしていきたいと考えております。

 また、当社は、独立した上場企業としてのガバナンス体制を具備することが重要であることを認識しており、ガバナンス体制のさらなる向上に向け、東京証券取引所により2021年6月に公表された「改訂コーポレートガバナンス・コード」について、現在までの2年間で、19項目あったExplainのうち10項目をComplyするに至りました。今後は、現時点で遵守できていない項目について、遵守に向けた取り組みを継続してまいります。

 

基本的な考え方

① 上場維持基準達成に向けた取組の検討体制は、外部専門家およびリーガルアドバイザーとしての弁護士を含めたプロジェクトを社内に立ち上げ、上場維持基準適合に向けた対策を講じております。大株主から派遣されている「特別利害関係取締役」は参加しておりません。

大株主との強固な関係を維持しつつも、少数株主の利益を適切に保護するガバナンス体制の構築を実現し、独立した上場企業として企業価値・株主価値の向上に努めています。

② 上場企業として備えるべきガバナンスの維持・向上に対する考え方につきましては、経営の透明性、健全性に重きを置き、ガバナンスの強化を図り、スタンダード市場のコンセプトに準じて、上場企業としての基本的なガバナンス水準を具備できるよう、適切なガバナンスの仕組みを整え、透明性・公正性を高めると共にリスクマネジメントを強化することで経営基盤の強化を図り、また、企業経営において公正な判断・運営がなされるよう、監視・統制する仕組みの整備、浸透、運用の強化を図っております。

 なお、上場企業として備えるべきガバナンスを具備するための具体的な取組は次のとおりです。

 

具体的な取組

コーポレートガバナンスへ積極的な取組を行い基本的なガバナンス水準を備える

 コーポレートガバナンス・コードの全原則への準拠における過去2年間の実績としては、19項目あったExplainのうち10項目をComplyしましたが、当社は現在、遵守できていない項目についても、本中期経営計画期間の残り2年間で全項目の達成を目指しています。

 2022年9月に独立社外取締役が過半数を占め、かつ、委員長を務める、任意の指名・報酬委員会を設置しており、コーポレートガバナンス・コードへの対応を進めておりますが、原則4-2、補充原則4-2-1(中長期的業績と連動する報酬の割合、現金報酬と自社株報酬の割合の適切な設定)につきましては、当該指名・報酬委員会において、当社と独立した立場にある第三者機関のご助言をいただきながら、取締役会でも適宜報告・協議を行いつつ、経営目標達成に向けて、経営陣へ適切なインセンティブ付けを行えるよう、検討を重ねております。

 加えて、2024年6月末現在、実施できていない原則のうち、補充原則4-3-1、4-3-3、4-8-3それぞれに関しても、当該指名・報酬委員会にて具体的な検討を既に開始しております。

  現時点で実施できていないコーポレートガバナンス・コードの原則につきましては、後述の「第4.提出会社の状況、4.コーポレートガバナンスの状況等」に記載のとおりです。

 

情報開示を充実させ透明性・公正性を高めると共にリスクマネジメントを強化する。

 純投資目的の個人株主及び機関投資家の皆さまが、幅広く関心を持っていただけるよう、認知度向上・株価・出来高の向上に向けてIR活動およびPR活動を推進し、投資家向けの情報発信の充実を図っています。

 決算情報に加えて、より具体的に当社の経営方針や事業戦略等の説明を加え、投資家の皆さまとのエンゲージメント強化に取組み、資本・株式市場における評価を上げるよう努めています。

 ◆ 2022年5月26日にAGPグループ中期経営計画(2022-2025年度)を公表

 ◆ 機関投資家向け説明会を四半期ごとの年間4回開催

 ◆ 個人投資家向け説明会を四半期ごとの年間4回開催

◆ 株主還元方針の開示「持続的な成長により、1株当たり当期純利益(EPS)を増大させることをもって株主価値向上を図るとともに、株主の皆さまへの還元をこれまで以上に充実させるために、配当および自己株式取得に積極的に取組み、本中期経営計画期間である4年間の総還元性向100%以上を目指します」

◆ 東京証券取引所が2023年12月26日に開示した「少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実」に則って、情報開示の充実に努めてまいります。

 

 また、当社としての企業継続性、事業継続性リスク等について十分に認識・分析し、当該リスクに対応するためのリスクマネジメントを強化してまいりました。

 

経営の公正な判断・運営がなされるよう、監視・統制する仕組みを整備し運用の強化を図る。

 当社は、株式会社東京証券取引所の独立性に関する判断基準を基に、当社経営陣から独立した立場で社外役員としての職務を遂行できる独立性が確保できる、幅広い見識、経験に基づき、当社の経営に対して客観的かつ適切な意見を述べることができる方を招聘し、現在、独立社外取締役2名体制としてガバナンス強化を図っております。当社の独立社外取締役には、特に以下の役割・責務を果たしていただいております。

(ⅰ)経営の方針や経営改善について、自らの知見に基づき、会社の持続的な成長を促し中長期的な企業価値の向上を図る、との観点からの助言を行うこと

(ⅱ)経営陣幹部の選解任その他の取締役会の重要な意思決定を通じ、経営の監督を行うこと

(ⅲ)会社と経営陣・支配株主等との間の利益相反を監督すること

(ⅳ)経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること

 

 また、当社は独立社外取締役が取締役会の過半数に達していないため、経営陣幹部・取締役の指名(後継者計画を含む)・報酬などに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化することを目的として、独立社外取締役2名と代表取締役1名を構成員とした、取締役会の任意の諮問機関である指名・報酬委員会を設置しております。

 

指名・報酬委員会

 指名・報酬委員会では、当社のガバナンス体制はどうあるべきかという視座に立って、株主総会に諮る取締役・監査役候補の選任議案の他、取締役の報酬の在り方等について審議を行っております。

 当事業年度におきましては、主に次の活動を行っております。

・ 当社の最高経営責任者(CEO)に求める人物像・プロファイルの明確化を目的として5つのコアバリューを「CEO選任における重要項目*」として定義し、取締役会へ答申

 ・ 取締役候補・監査役候補の選任プロセスを明確化し取締役会へ答申

・ 取締役候補・監査役候補に求める人物像を「CEO選任における重要項目」から定め、また、有すべき専門性・経験・見識を明確化し取締役会へ答申

 ・ 取締役スキルマトリクスに加え監査役スキルマトリクスを策定し取締役会へ答申

・ 当社が備えるべきガバナンス体制を検討し、代表取締役の交代を含む第60期取締役体制の原案を取締役会 へ答申(第59回定時株主総会へ付議)

・ 当社の取締役報酬について、業績と連動する報酬体系とすべく、短期業績と連動する現金報酬割合と中長期的業績と連動する自社株報酬割合の適切な設定を検討し、取締役会へ答申

 

*「CEO選任における重要項目」とは

指名・報酬委員会において、当社の最高経営責任者・社長・CEOのあるべき人物像について協議を重ねた結果、CGSガイドラインの概念も組み込みつつ、最高経営責任者・社長・CEOに求める「5つのバリュー」を『CEO選任における重要項目』として定義しました。

この『CEO選任における重要項目』の定義は、最高経営責任者・社長・CEO候補者の評価の際の目安とするのみならず、会社としてのコアバリューのイメージ、つまり、最高経営責任者・社長・CEOのみ当てはまるのではなく、取締役、監査役をはじめ、組織全体、あるいは、全従業員に至るすべての関係者が共感することができ、同じ価値観として共有することを目的としています。

 


 

今後は、当社の支配株主等を鑑み、「関連当事者取引管理規則」の制定や、利益相反する重要な取引等についての検討・審議を行う、独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成された「特別委員会」の設置を検討するなどして、透明性と健全性を併せ持ったガバナンス体制の構築を進めてまいります。

 

 

(2)戦略

◆経営戦略

経営方針のもと、中期経営計画期間中に成し遂げることを3つの「ミッションステートメント」として宣言しております。

詳細は、前述の「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(3)中長期的な会社の経営戦略に記載のとおりです。

 

◆事業戦略

高い技術力で環境社会に貢献できる企業を目指すとともに、選択と集中により得られる経営資源を十分に活用し、事業基盤のシフトを推し進め、地方・海外空港への展開や当社技術を活かせる空港外産業への事業展開を図り、新しい商品・サービスの開発へチャレンジしながら持続的な成長へ繋げる事を志向しております。

 


 

<事業戦略と具体的な取組>

 当社は、GPU利用促進による地球温暖化防止への取り組みを継続して推し進めております。

 また、これまで国内主要空港にて培ってきた、GPU設備をはじめとする電気インフラに係わる知見と技術  が、最大限活かせる好機と捉え、当社の強みである「電気」を主軸とした、「環境」×「電気」×「DX」領域での事業多角化を行い、新たな収益の柱となるビジネス創出を目指しており、各種ソリューション開発を推し進めております。加えて、既存事業との関連性を基に、新たな技術価値によるサービス構築が急務であるとの課題を認識しており、既存事業で培った技術と親和性の高い「物流保守サービスの拡大」への取組みを進めてまいります。

a)エコ・エアポートの実現を通じてGPU利用を促進することにより地球温暖化防止

・ 空港で駐機中の航空機に対して当社GPU設備の利用を推し進め、2025年度末までにCO2排出量削減33.5万トン以上を目指す。当事業年度末現在、CO2排出量削減は27.8万トン(目標対比82.9%)となっております。

・ 当社GPU設備が配備されていない地方空港等には、各空港のニーズに合わせたGPU設備・機材の提供をはじめとした空港分野における環境貢献に寄与するサービスの拡充を目指す。当事業年度におきましては、バッテリー駆動式GPU(登録商標Be power.GPU)を製品化し、市場に投入いたしました。

・ カーボンニュートラル、環境負荷の低減の実現に向けて、環境貢献機材の開発を推進し、外部電源式省スペース型固定空調装置の開発、移動式GPUに対するバイオディーゼル燃料の導入試験等を継続して実施しており、今後も新技術導入による次世代製品の開発を進めます。

 

 b)当社技術を活かせる新たな領域への事業展開等

・ 環境×電気×DX(空港内車両のEV化を促進し、EMS/FMS*へ展開)

空港分野におけるカーボンニュートラルへの取組みを推進し、企業理念のもと環境貢献に資する新たな成長ビジネスの創出を目指しています。

その中で、空港内に配置されているディーゼル車両を順次EVに置き換えていくことが施策の大きな柱となっており、EVの配備には空港内に適切な充電施設を整備することが不可欠となります。

当社は創業以来、国内主要空港にてGPU設備をはじめとして電気インフラに係わる知見と技術を最大限活かせる好機と捉え、これまで取組んできた「環境」と「電気」に加え、「DX」を掛け合わせた「空港におけるEMS(エネルギーの最適化)の開発」を行い、空港が抱えている問題の解決に向けて貢献したいと考えており、最終的には空港全体のエネルギーマネジメントを実現する構想により新たな価値を生み出し、当社成長領域の柱としていきたいと考えています。

*EMS/FMS;Energy Management System/Fleet Management Systemの略称

・ 物流保守サービスの拡大

   当社は、ボラティリティが高い航空業界に対応した財務の安全性確保という観点からも、これまで空港内で培ってきた技術と経験を駆使し、空港外へ事業領域の拡大を進めておりますが、新規顧客開拓に加えて、エンドユーザーとの直接契約を獲得すること、M&A(事業/企業買収、事業シナジーのある純投資)の検討を進めてまいります。

   既に当社はこの成長分野への参画は出来ておりますが、今後はより積極的に資本を投下しつつ、更なるシェア獲得に向けて邁進し当社の新たな収益の柱となるよう目指しています。

◆人材戦略

 空港業界も少子高齢化による労働人口減少により、人材獲得競争が激化しています。最適な人材を必要な人数採用、適切な配置を行い、研修など時間とコストをかけて従業員へ十分に投資し、従業員の帰属意識の醸成に繋がるよう各種施策を打ち出しています。

 当社においては、労働力人口減少の課題に対してコロナ前より重く捉えており、外国人や女性技術者の採用、定年退職者の再雇用を進めてまいりましたが、BtoB事業が主体であり知名度が低く、働く環境も不規則なシフト勤務などの課題があるため、人材確保は厳しい状況が続いています。当社にとって、「人材は価値創出の原動力であり最大の資本である」という考えのもと、企業成長に不可欠な事業戦略と多様な人材が活躍できる人材戦略を定めて実行しています。

 人材戦略では、会社の目標を達成するために、その事業活動において必要となる要員数、求める人物像を定め、「①必要となる人材確保に向けた方針」、「②人材の有効活用」、「③人材配置・能力開発/育成」、「④人材の活性化(適正な人件費水準の維持)」、「⑤労働環境の整備」における5つの戦略を定めて実行しております。

 また、当社では、多様性の確保・容認に向けたダイバーシティ経営を推進しておりますので、その取組みについても付記いたします

<人材戦略の具体的な取組>

① 人材確保

  ・成長事業の創出に必要となる人材の確保を目的として、幹部候補社員の採用強化

② 人材の有効活用

・適正人員の可視化

・業務効率化(BPR) 推進により労働生産性の向上

・女性、シニア、外国人社員、非正規雇用社員の活躍を促す、ダイバーシティ化の推進

③ 人材配置、能力開発・育成

・従業員受入れ時の育成・能力開発の充実として、外国籍、日本国籍の新入従業員に対して、公平な教育機会、教育内容を提供して、能力開発を推進

・人的資本投資として、自己啓発を促進する資格取得支援・研修制度の拡充

・オペレーション階層である若年層従業員については、ジョブローテーション、マルチスキル化を推進し、技術力の向上と業務波動への対応力強化

④ 人材の活性化・適正な人件費水準の維持

  ・透明性・公平性のある評価・報酬システムの安定運用

・適正な水準の労働分配率を維持

・従業員の生活水準の維持確保、成長事業に資する人材確保に向けた採用力強化の観点から、本年6月より、1人当たり平均で+3.6%の賃金水準の引き上げ

 

⑤ 労働環境の整備

・従業員の経営参画の意識向上に資するとともに、退職後の資産形成の一助となる制度として、従業員向け株式給付信託(J-ESOP)を導入

・業務効率化や従業員が安心して仕事に従事できる環境整備を目的としたシフト勤務の見直し

・継続的に、オンライン会議やテレワークを活用

 

<ダイバーシティ経営の推進に向けた具体的な取組>

  「企業成長に資するダイバーシティ経営」を目指し、多様性のある人材が長期にわたって企業の価値創造に貢献できるよう、経営幹部から従業員まで全員が「ダイバーシティ経営」における理解を深められる環境を構築しています。

  ・毎年継続して「ダイバーシティインデックス*1」に参加することによりダイバーシティ経営を可視化

*1 ダイバーシティインデックス:株式会社イー・ウーマンが運営するダイバーシティ経営を可視化、数値化し、組織の取組の進度を明確にし、課題を解決するために開発された指標。

   ・社内にダイバーシティ推進プロジェクトチームを設置し、ダイバーシティマインドの醸成を目指して推進

   ・全社的にダイバーシティ&インクルージョンの研修を推進

   ・日本人社員のグローバル化を推進

   ・外国籍社員の労働環境を整備

   ・国籍問わず同一教育環境の整備

   ・女性労働者に対する職業生活に関する機会として、育児休業復帰後の多様な働き方の提供

   ・育児・介護休業制度導入や時短勤務など職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備

 

(3)リスク管理

◆リスク管理体制

当社グループは、直接的または間接的に当社グループの経営あるいは事業運営に支障をきたす可能性のあるリスクに対し、迅速かつ的確に対応を図るために定めたリスク管理規則に則り、毎年定期的にリスクマネジメント一覧表を取りまとめ、経営会議に報告するなどして、全社的なリスクの評価、管理、対策立案を実行しております。

顕在化したリスクがあった場合には、顕在化したリスクの内容に沿って予め決められた施策で対応を図ることとしており、必要に応じて取締役会へ情報を共有し監督およびモニタリングを実施するとともに、リスク評価・分析を行い、全社におけるリスク管理の強化を図っています。

 

<リスク管理体制図>


 

◆リスク要因の特定

当社グループは、経営方針に基づく経営戦略の阻害要因となり得るリスクについて、環境分析のもとリスク要因を特定しており、「企業経営の継続に関するリスク」と「事業運営の継続に対するリスク」を認識しています。

 

<主なリスク要因と対応>

① 企業運営の継続に関するリスク

 スタンダード市場における上場維持は、当社がマーケットからの投資対象として十分な流動性とガバナンス水準を備えた会社であることを示すために重要であると認識しておりますが、当社はスタンダード市場の上場維持基準である「流通株式比率の25%以上」を充たしておりません。

 なお、東京証券取引所による上場維持基準に関する経過措置期間の取扱いにより、経過措置期間が2025年3月以降順次終了となっており、当該期限までに「流通株式比率25%以上」を充足させる必要があります。

 

本件につきましては、以下の取組を継続して進めてまいります。

・市場および株価への影響を最小化にしつつも、早期に流通株式比率を高める事ができる具体的手法を実行してまいります。

・過去の経緯から当社株式を多く保有されている株主がございますが、かかる株式につきましては、当該株主の方針を尊重する一方、当社の流通株式の状況をご理解いただいたうえで、当社株式の保有比率低減に向けて、固定株の縮小に向けた取組を、相互信頼関係のもと推進していくご協力をお願いしていく所存です。なお、当社は経過措置期間終了の2025年3月末までを目標に上場維持基準を充たす計画としています。

・本件のリスク対応に関しては、利害関係者を除いた構成員による資本政策プロジェクトチームを組織化して推進しています。

 

② 事業運営の継続に関するリスク

  当社の主要な事業領域である航空・空港産業はボラティリティが高い事業領域です。新型感染症によるパンデミックや天変地異、地域間紛争などによるイベントリスクにより、各種設備関連の稼働状況低下による影響があります。また、IoTやAI等の技術革新による構造的な競争環境の変化により、当社がこれまで技術・技能を具備した人材で担ってきたエンジニアリング業務の一部(保守運用サービス業務)が代替されていくことを脅威として捉えています。そして少子高齢化や働き方改革に伴い人材確保が難しく複雑になってきていることを認識しております。

 

本件につきましては、以下の取組を継続して進めてまいります。

・動力供給事業領域においては、電力料金等原材料費の高騰に対して、2023年4月利用分より原材料費の変動に応じた価格転嫁を行い、改善を図っています。

・エンジニアリング事業領域においては、これまで培ってきた技術・ノウハウを持って空港外の領域へ事業展開を図っています。同時に空港内業務においては、人材不足対応として、技術員のマルチスキル化を進めながらBPRを実行し、業務の効率化や生産性向上を図り、コスト削減・利益の最大化を図っています。

・これらリスクの存在を認識したうえで、空港関連事業による収益依存体制からの脱却を図るとともに、技術革新等の外部環境変化に伴う組織のレジリエンス向上に向けた取組を進めています。

 

(4)指標及び目標

《環境社会実現に向けた目標》

 これまでも当社はGPUの利用促進等企業活動を通じ、環境社会に貢献してまいりました。

 今後も脱炭素、環境負荷低減の実現に向けて更なる貢献を果たし、中長期的な企業価値の向上を図るとともに、CO2排出量削減目標を定めております。

 これを受け国交省は「空港における脱炭素に向けた取組み」を推奨しております。現在、各空港運営会社が空港内の脱炭素、EV化および自動運転を検討している状態です。

 私たちは、このNational Agendaであるカーボンニュートラルへの取組みを推進し、企業理念に準じて環境貢献に資する新たな成長ビジネスの創出を目指していきたいと考えています。

  ① 2025年度末までに2019年実績の33.5万トンを超えるCO2排出量削減を目指す。

  ② 2030年度末までにGPU利用100%目標に向け取組み、空港における更なるCO2排出量削減に貢献する。

《人的資本投資に関する目標》

当社は「人材は価値創出の原動力であり最大の資本」と考えており、今期から社内に採用プロジェクトチームを設置し外部からの多様性のある優秀な人材の確保に努めます。新卒採用のみならず中途採用、次世代リーダー候補者採用、外国人採用を男女問わず優秀な人材の確保に向けての取組を進めてまいります。

    ① 次世代リーダー候補者採用を本社社員の10%を目指す

    ② 外国人社員について、全社員の10%を目指す

 ③ 社員の能力開発に向けて、営業利益の10%程度を目安に社内教育、社外教育、資格取得講習等を行う

 ④ 資格取得の奨励と自己啓発により、技術職は一人当たり10資格以上の資格取得を推進

⑤ ダイバーシティ・インデックスの受講を含め、ダイバーシティ理解を醸成する研修およびワークショップを年4回開催

⑥ 経営陣向けの各種研修を四半期に1回実施

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスク及び変動要因は、以下に記載するとおりです。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものでありますが、全てのリスクを網羅したものではなく、災害に関するリスク等、予見しがたいリスクも存在します。
 

① 動力供給事業
a.航空会社の運航計画等による影響

動力供給事業の売上は、航空各社の運航便数・機種及び地上動力の利用頻度により売上に影響を及ぼす可能性があります。なお、航空会社の運航計画等に関しましては、世界的な疫病の蔓延、世界的な金融危機などにより大きく減少するリスクがあると認識しております。

b.原材料費単価の変動等による影響

電力料金等、燃油費等、原材料費高騰による費用増に影響を及ぼしますが、2023年4月利用分より原材料費の変動に応じた価格転嫁を開始していることから、その影響は縮小しております。なお、原材料費の高騰に関しましては、国際紛争等に起因する地政学リスクの存在を認識しております。

c.初期投資の負担等による影響

当事業は初期投資が大きく、減価償却費等の固定費が原価の相当部分を占めております。

当社の投資効果試算どおりに各空港の運航便数が伸びず、見込みどおりの利用状況が発生しない場合には、減価償却費・賃借料が負担となります。

② エンジニアリング事業
a.空港におけるIoT技術・AI技術導入による影響

加速化するIoT技術、AI、自動化・省人化の到来により、空港業界全体の構造も変革をしています。当社がこれまで技術・技能を具備した人材で担ってきたエンジニアリング業務が一部代替される傾向があり、従来の契約形態へ影響を及ぼし、保守業務の売上規模が縮小する可能性があります

b.空港会社の施設整備計画等の遅延による影響

空港の施設整備計画が当初計画どおりに進行しない場合や、お客様が設備投資を抑制または経費節減施策を強化する局面においては、業績に影響を及ぼす可能性があります。

c.人的資本による影響

当社は、少子高齢化に伴う生産労働人口の減少や働き方改革に伴い人材確保が難しく複雑になってきていることを認識しております。

③ 商品販売事業

他社との競争が予想され、販売が計画どおりにならず、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループでは、これらリスクの存在を認識したうえで、当該リスクの発生に伴う影響を極力回避するための努力を継続してまいります。

また、労働生産人口の減少に伴う人手不足の顕在化により、自動化・省人化が更に加速することも想定されますが、これを好機と捉えてビジネス機会の発掘に努めてまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当期においては、物価上昇や原材料価格等の高騰はあるものの、円安を背景としたインバウンド需要も好調に推移し、航空需要においても国際線の回復が一段と進みました。

このような状況における当社業績は、運航便数の増加により動力供給事業、エンジニアリング事業が牽引したことに加え、商品販売事業は堅調に推移した結果、売上高合計は129億86百万円と前期末比19億46百万円(17.6%)となり、全てのセグメントにおいて増収となりました。

営業利益は10億59百万円と前期末比5億31百万円(100.8%)の増益、経常利益は10億75百万円と前期末比5億62百万円(109.7%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は6億89百万円と前期末比1億78百万円(35.0%)の増益となりました。

各セグメントの業績は次のとおりであります。

セグメントの名称

業績の概況

動力供給事業

順調に推移している国内線需要に加え、欧米や豪州、東南アジア諸国からのインバウンド需要により、国際線の運航便数が増加したことで、電力供給機会が増加しました。さらに2023年4月利用分より原材料費の変動に応じた価格転嫁を開始したことで、売上高は54億75百万円と前期末比12億8百万円(28.3%)の増収となりました。

セグメント利益は、復便に伴う設備稼働の向上により、10億10百万円と前期末比7億64百万円(310.5%)の増益となりました。

エンジニアリング事業

運航便数の増加に伴う特殊機械設備*1の稼働再開等により、保守業務および整備工事等が増加した結果、売上高は64億93百万円と前期末比6億23百万円(10.6%)の増収となりました。

セグメント利益は、増収により、13億35百万円と前期末比46百万円(3.6%)の増益となりました。

商品販売事業

AGPでんきサービス終了の影響がある一方で、フードシステム販売は新規顧客の獲得により、介護・福祉施設へのカート販売が好調に推移いたしました。また、GSE*2の販売も増加したこと等により、売上高は10億17百万円と前期末比1億15百万円(12.8%)の増収となりました。

セグメント損失は、5百万円(前期末 セグメント損失36百万円)と赤字幅が縮小いたしました。

 

*1 特殊機械設備とは旅客手荷物搬送設備及び旅客搭乗橋設備

*2 GSEはGround Support Equipment の略称で、航空機地上支援機材の総称

 

 

(単位:百万円)

 

売上高

セグメント利益又は損失(△)

第58期
2023年3月

第59期
2024年3月

対前期比(%)

第58期
2023年3月

第59期
2024年3月

対前期比(%)

動力供給事業

4,267

5,475

128.3

246

1,010

410.5

エンジニアリング事業

5,870

6,493

110.6

1,288

1,335

103.6

商品販売事業

902

1,017

112.8

△36

△5

合計

11,039

12,986

117.6

1,498

2,339

156.2

全社費用 ※

970

1,280

132.0

営業利益

527

1,059

200.8

 

※ 全社費用は、主に報告セグメントに帰属していない一般管理費です。

 

(2) 財政状態

①資産

流動資産は、前期末比1億28百万円(1.8%)増加の72億69百万円となりました。これは、現金及び預金が3億81百万円減少し、営業未収入金が3億10百万円、棚卸資産が91百万円、前渡金が77百万円増加したこと等によります。

固定資産は、前期末比3億12百万円(5.0%)増加の65億26百万円となりました。これは、有形固定資産が4億48百万円増加し、無形固定資産が23百万円、投資その他の資産が1億12百万円減少したことによります。

この結果、総資産は、前期末比4億41百万円(3.3%)増加の137億96百万円となりました。

 

②負債

流動負債・固定負債は、前期末比2億67百万円(6.4%)増加の44億42百万円となりました。これは、未払金が3億51百万円、未払法人税等が1億56百万円、未払費用が88百万円増加し、流動負債・固定負債を合算した借入金が2億71百万円、営業未払金が32百万円減少したこと等によります。

 

③純資産

純資産合計は、前期末比1億73百万円(1.9%)増加の93億53百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により6億89百万円増加し、剰余金の配当により5億29百万円減少したこと等によります。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末比3億81百万円(9.0%)減少の38億48百万円となりました。

 

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

①営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果得られた資金は、前期末比4億64百万円(65.3%)増加の11億75百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益が10億15百万円となり、減価償却費が6億7百万円、売上債権の増加額が3億31百万円、棚卸資産の増加額が91百万円であったこと等によります。

 

②投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果支出した資金は、前期末比3億31百万円(78.5%)増加の7億54百万円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が8億44百万円、有形固定資産の除却による支出が80百万円、国庫補助金による収入が1億77百万円であったこと等によります。

 

 

③財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果支出した資金は、前期末比2億28百万円減少の8億6百万円となりました。これは、配当金の支払額が5億28百万円、長期借入金の返済が2億71百万円であったこと等によります。

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標は次のとおりであります。

 

第56期

第57期

第58期

第59期

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

自己資本比率(%)

64.3

65.7

68.7

67.8

時価ベースの自己資本比率(%)

52.7

52.8

78.4

84.1

キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(年)

0.8

2.5

1.3

0.5

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

413.4

83.9

142.2

314.7

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

(注)1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。

3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(4)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

動力供給事業

5,475,433

128.3

エンジニアリング事業

6,487,506

109.6

商品販売事業

993,862

112.7

合計

12,956,802

117.1

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

②受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

エンジニアリング事業

6,756,265

110.7

739,430

155.1

商品販売事業

1,197,509

101.1

584,688

144.4

合計

7,953,775

109.1

1,324,118

150.2

 

(注) 動力供給事業は受注生産を行っていないため、記載しておりません。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

動力供給事業

5,475,433

128.3

エンジニアリング事業

6,493,659

110.6

商品販売事業

1,017,789

112.8

合計

12,986,882

117.6

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

日本航空株式会社

2,823,640

25.6

3,441,398

26.5

全日本空輸株式会社

1,495,470

13.5

1,786,041

13.8

株式会社成田エアポートテクノ

1,661,125

12.8

 

2 当社グループは、事業の性質上国内航空2社(日本航空株式会社および全日本空輸株式会社)への売上高の

  総販売実績に占める割合が高くなっております。

当連結会計年度の国内航空2社に対する売上高合計の連結売上高に占める割合は、40.3%であります。

3 前連結会計年度の株式会社エアポートテクノについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略

  しております。

4 各地域別の販売実績は以下のとおりであります。

地域名

金額(千円)

前年同期比(%)

成田国際空港

4,872,273

123.9

東京国際空港(羽田空港)

2,766,910

122.3

関西国際空港

1,667,355

99.4

その他

3,680,343

116.2

 

 

 

 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、必要となる見積りは、連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しております。具体的には、IATA(国際航空運送協会)の航空旅客者数の予測、一般に入手可能な航空需要や電力価格推移の情報等、また過去の実績等も勘案し、繰延税金資産の回収可能性等の会計上見積りを行っております。なお、繰延税金資産について回収可能性がないと見込まれる金額まで評価性引当金を計上しておりますが、将来繰延税金資産が回収可能と判断されれば、評価性引当金を戻し入れます。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況  1連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(経営成績等の状況の概要)」に記載のとおりであります。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループは財務戦略の基本方針として、資本コストを意識し、資本効率の高い経営を推進することにより、ROE向上と営業キャッシュ最大化を図ることとしています。

資金調達については、円滑な事業活動に必要な流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するために、財務指標を総合的に勘案しながら、安全性の観点からD/Eレシオ0.5を上回らない範囲で財務レバレッジを利かせ、最適な資金調達を進めることとしています。

収益性と資本効率を重視した成長分野への積極投資に加え、人的資本投資と研究開発投資を推し進め、株主還元は総還元性向100%以上を目指し、ROEを高めながら自己資本比率を50%台の水準とする計画をしています。

2024年3月期においては安定的な配当に加え増配を行い、株主還元を機動的に実施しましたが、空港再編計画の遅れによる設備更新投資の後倒しや戦略投資の遅れにより自己資本比率67.8%と資本効率は改善できておりません。前述の財務戦略に基づいた資本マネジメントサイクルを適切に運用し、引き続き資本効率改善を図ってまいります。

キャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) キャッシュ・フロー」に記載のとおりであり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、38億48百万円となっており、安全な水準を維持しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われておりません。

 

6 【研究開発活動】

当社は、国内の主要空港で航空機用地上動力供給設備を設置し、駐機中の航空機に必要な高品質の電力ならびに冷暖房等を供給しておりますが、航空機の最新鋭化や様々な設置環境に対応した機器の開発・改良が不可欠であります。また、病院や学校ならびに介護施設向けに販売しておりますフードカートについても、多様化するニーズに合わせた新製品の開発や既存品の改良を積極的に進めております。

当連結会計年度の研究開発活動は、航空機用地上冷暖房設備の開発等を行った結果、研究開発費の総額は41百万円となっております。