文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来、①お客様への最適な物流方法を提案する「提案力」、②中国を中心とした海外拠点の確かな「ネットワーク」、③物流情報をタイムリーに提供できる「オペレーティング」の3つをキーワードに、お客様の多様な物流ニーズにお応えしてまいりました。
このキーワードをもとに、当社グループでは次の4つを経営基本方針として掲げております。
1.常にお客様の立場を考えたサービスを提供するために、他社に先駆けたより良い貨物輸送サービスを研究開発します。
2.拠点網を拡大し、よりお客様に密着したサービスを提供できる、ワールドワイドな総合物流企業を目指します。
3.創造力豊かで世界に挑戦する勇気ある人材を育成します。
4.人間性を尊重し、風通しの良い魅力ある職場を作ります。
当社グループは、この基本方針のもと、企業倫理を尊重しながら、顧客・株主・従業員にとって存在価値のある企業グループとして、社会や経済の発展に貢献するとともに持続的成長と企業価値の向上に努めてまいります。
当社グループは、経営方針に基づき安定的かつ持続的な成長と利益の確保を経営目標としており、営業収益、営業利益及び経常利益においては、成長率を重要な経営指標と捉え、これらの向上を重視した経営に取り組んでまいります。また、ROE(自己資本利益率)並びにROA(総資産経常利益率)においても、現在の水準から更なる向上を図るべく努力してまいる所存であります。
当社グループは、国際物流事業において、より良い貨物輸送サービスを展開し、お客様に密着したサービスを提供できるワールドワイドな総合物流企業を目指しております。
物流業界におきましては、近年、労働人口の減少や労働者の高齢化、ECの普及による物流需要の増加等により人手不足がさらに深刻化しております。加えて、世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、2020年の秋以降は世界的な輸送コンテナ不足や船腹スペースの逼迫が起因となり、海上貨物輸送における運賃は大きく値を上げ、輸出入者の物流コストは増大しております。
さらに、近年、市場環境や消費者ニーズが急速に変容を遂げる中で、お客様の物流に対するニーズもより多様化・高度化しており、これらを背景に、フォワーダー間においても今後も継続してサービス、価格双方の面で厳しい競争が続くものと予想され、厳しい経営環境が続くことが想定されます。
このように、さまざまな環境が急速に変化する中で、当社グループは今日までDXを活用し、サービスメニューを拡充するとともに、多くの業務効率化を図ってまいりましたが、当社グループの競争力を強化する上で、デジタル戦略をさらに強く推進することが必要不可欠であると考えております。物流業界でも、デジタル化の流れが加速する中で、当社グループでは、提供するするサービスをデジタルに置き換える、或いは従前のサービスにデジタルを付加価値として加える等、デジタルを活用して競争優位性をさらに高め、顧客の利便性向上に繋がる取り組みを行ってまいります。
当社グループでは、これらの取り組みをもとに、主力である国際貨物輸送を始め、通関や配送、検品・検針・加工業務といった輸出入の付帯業務の受注を増加させ、さらなる収益拡大を目指してまいります。
また、当社グループがワールドワイドな総合物流企業へと成長するため、国内外の現地法人や各国の代理店と連携し、三国間輸送の獲得にも継続して注力するとともに、グローバル物流体制と収益基盤の更なる強化を図ってまいります。
そして、輸出貨物輸送、航空貨物輸送、通関、保管業務、配送業務等それぞれに得意分野を持つ企業との提携も視野に入れながら、これらの事業提携を通じて、総合的な物流サービスの展開を推進していくことも中長期的な戦略として掲げ、持続的成長と企業価値の向上に努めてまいります。
(4)優先的に対処すべき課題
グローバル化した今日の企業活動の中で、当社グループの主な事業である国際貨物輸送事業は、社会的、経済的に重要であり、大きな役割と責任を負っていると考えております。また、当社グループでは、今般の感染症拡大等、不測の事態が生じても、社員の健康と安全の確保を最優先として、社会生活を支える国際物流、日本の物流を止めないことがグループの企業使命であると認識し、日々変化する状況に対応しながら事業活動に取り組んでおります。
当社グループがお客様の支持を得て事業を伸展することは、当社グループの企業価値の増大に結びつくだけではなく、物流企業としての社会的使命と責任を果たすことにつながるものであると認識し、特に以下の項目を優先的に対処すべき課題として掲げて、積極的に取り組んでおります。
①グループの持続的成長の実現と収益基盤の強化・拡大
近年、社会環境や事業環境等が目まぐるしく変化する中で、人々の生活様式や社会構造、消費者ニーズは急速に変容を遂げております。また、当社グループのビジネスの主となる海上輸送では、コンテナ不足や積載スペースの逼迫、さらには円安の進行も重なり海上運賃は高騰し、物流コストの増加が重荷となる中で、顧客の物流に対するニーズはより多様化・高度化しております。
この環境下、当社グループでは、国際貨物輸送だけでなく、通関や倉庫保管、配送に加え、検品・検針・加工業務までを一貫して受注することが可能な環境を整え、物流の効率化や合理化、コストの削減、納期の短縮等、顧客のニーズに応えるべく、物流提案を行っております。
このような中、当社グループの業績は、営業努力の積み重ねに加え、海上運賃の高騰といった外部環境の影響もあり、この2年で大きく伸長しました。海上運賃は、2022年の秋口頃から当社グループで最も取扱いが多い中国航路の一部でも下落傾向にありますが、当社グループでは、持続的な成長を実現するには、競争優位性をさらに高め、外部環境に左右されないより強固な収益基盤を構築することが重要課題であると認識しています。
当社グループでは、競争力を向上させるためにデジタル戦略を強く推進し、競合他社とのサービスの差別化を図るとともに、顧客の利便性向上に繋がるための施策に取り組み、主力である国際貨物輸送を始め、通関や配送、検品・検針・加工業務といった輸出入の付帯業務の受注増加に注力し、2023年2月期で減少したコンテナ取扱量、通関受注件数をグループで一丸となり回復させ、収益拡大を目指してまいります。また、海外の現地法人や各国の代理店とも連携し、三国間輸送の獲得にも継続して注力するとともに、グローバル物流体制の基盤強化にも取り組んでまいります。さらに、収益性の改善に向けて社内体制やインフラの整備、効率化による様々なコスト削減等にも取り組んでまいります。
そして、今後当社グループが注力すべき分野に精通した企業との提携等も視野に入れ、事業規模のさらなる拡大を図ってまいります。
当社グループでは、持続的な事業拡大と中長期的に成長を遂げていくうえで、企業の成長に応じた優秀な人材の確保及び人材育成が重要課題であると考えております。
現在、物流業界でも人手不足の状況が継続する中、採用競争は激しさを増し、適正な人材の確保が困難な状況となっております。特に国際貨物輸送サービスでは、日本国内及び世界各国の物流事情に精通した知識と経験を持つ人材が必要不可欠であり、今後の事業の拡大及び海外展開を加速させる上で、人材確保と育成は、重要な経営課題であり、また当社グループの成長を支える重要な要素であると認識しております。
人材確保には、人材の獲得及び離職の防止の2つの側面が存在しますが、人材の獲得では、即戦力となる人材の獲得を目的とした中途採用及び将来を担う社員の育成と組織の活性化を目的とした新卒採用を行っております。離職の防止では、働きがいや働きやすさを感じる職場環境を目指し、エンゲージメントサーベイを活用しております。これらを活用しながら、各種課題の解決に取り組むとともに、より適正な人事評価制度の構築や社員の給与体系などの待遇面の改善も図り、従業員が高いモチベーションを持って働けるよう、環境の整備を行ってまいります。
当社グループでは、持続的な成長の維持と企業価値の向上を図るためには、成長を支える組織体制と内部管理体制の強化、そして内部統制の実効性を高めるための環境を整備し、コーポレート・ガバナンスを充実させることが必要不可欠であると認識しております。
当社グループは、事業拡大に伴う組織体制の見直しと整備を逐次実施するとともに、監査役と内部監査室の連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対するコンプライアンス研修の実施等を通じて、内部管理体制の強化を図り、コーポレート・ガバナンスの浸透に取り組んでおります。
今後もこの内部管理体制を有効に機能させることが企業価値をさらに高め、効率的かつ健全な企業経営を実現するものと認識し、より透明性の高い健全な企業経営を目指し、相互牽制の効いた内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社グループは、これらのリスク要因を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に全力で努めてまいる所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、これらの記載のうち将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したもので、不確実性を内包しており、当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではなく、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループは、船舶・自動車等を持たず、取引先から受託した貨物の輸送を実運送業者(船会社・自動車運送業者等)に委託しております。このため、燃油価格の変動や船腹・車両不足等により実運送業者の輸送運賃が変動した場合、当社グループの仕入コストも変動いたします。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため、一部の実運送業者との間で輸送運賃に関する契約を締結し、一定期間、運賃の固定化を図るよう努めております。また、市場環境の急激な変化等により輸送運賃の仕入価格が変動した場合は、競合他社の動向等も踏まえ、通常、仕入価格が上昇した際には販売価格に転嫁し、仕入価格が下落した際には販売価格の引下げや調整を行います。
しかしながら、何らかの事由により、仕入価格が上昇した際に販売価格へ転嫁できなかった場合、或いは仕入価格が急激に下落し販売価格を引き下げた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが展開する国際貨物輸送事業は、国際間の物流量の影響を受けるため、国内外の景気動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの売上高は、繊維・雑貨関連の企業への依存が相対的に高くなっております。当社グループでは、未だ取扱いの少ない他の業種への営業活動も強化し、収益獲得機会の拡大を図っており、現在、幅広い業種、多くの企業と取引を行っております。よって、特定した企業への依存度は低いものの、これら特定する業種への景気の悪化等で、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの行う国際貨物輸送事業は、輸送手段(船舶・自動車等)を所有、運行せず、取引先の要望に応じて、船会社等の実運送業者のサービスを活用して貨物輸送を行い、取引先(荷主)に対して輸送責任を負う貨物利用運送事業者として、「貨物利用運送事業法」の規制を受けております。当社グループでは「貨物利用運送事業法」に基づき、国土交通大臣より「第一種貨物利用運送事業」の登録及び「第二種貨物利用運送事業」の許可を受けております。当該登録及び許可には期限の定めはありませんが、貨物利用運送事業に関し不正な行為を行った場合などの事由により、期間を定めた事業の全部もしくは一部の停止、あるいは、登録・許可が取り消される可能性があります。
さらに、当社グループでは貨物輸送に附帯する業務として通関業を行っており、所轄地税関長より「通関業法」に基づく通関業の許可を受けております。当該許可についても期限の定めはありませんが、関税法や通関業法などに違反した場合は、許可が取り消される可能性があります。
また、当社グループでは中国においても、「無船承運(NVOCC)業務営業許可」を受けており、不正な行為を行った場合には、許可が取り消される可能性があります。
本書提出日現在、当社グループにはこれらの登録・許可の取消し事由に該当する事実はありませんが、将来何らかの理由により、登録・許可の取消し等の事態が発生した場合、当社グループの経営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
それらのリスクに対して当社グループは、関係法令の制定、改廃に関する情報収集を行い、事前の対策を図るとともに、法令等に定められた有資格者の配置や社員へ関係法令の周知徹底に努めるとともに、役職員を対象に定期的なコンプライアンス研修を実施し、法令遵守の徹底を図り、各種許認可等の取消事由の発生を未然に防止することにより、当該リスクの低減に努めております。
当社グループが展開する国際貨物輸送事業における主要な業務は、日中間の海上コンテナ輸送の取扱いであります。そのため、中国における政治的・経済的な混乱の発生、中国政府の政策変更、人民元の為替動向、反日運動の発生等の影響により、日中間の国際物流環境に大きな変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
それらのリスクに対して当社グループは、中国に2社、香港に1社連結対象子会社を有し、中国の主要となる沿岸部に拠点を設置して、これら拠点から中国国内の経済・社会・政治的状況や法規制等の動向について、適宜情報を収集しております。また、毎月開催される取締役会においても、中国及び香港子会社の事業環境及び経営状況に関する報告がなされており、対応が必要な事象が生じた際には、取締役会での検討及び所管の取締役が中国及び香港の子会社と連携して適宜対応を行います。
当社グループは、中国以外の地域とのコンテナ輸送等も展開しており、中国情勢の変化だけではなく、グローバル化に伴う次のようなリスクが存在しております。これらのリスクが顕在化した場合或いは予期せぬカントリーリスクが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
1. 事業や投資に係る許認可、税制、通商制限等
2. 戦争、暴動、テロ、ストライキ、その他の要因による社会的混乱
3. 移転価格税制等の国際税務リスク
4. 急激な為替レートの変動
それらのリスクに対して当社グループは、新たに海外進出する際には、現地の政情や経済情勢、並びに当社グループの取引先が当該国と潜在的に持つ貨物量を勘案するほか、考えられる限りのリスクを把握し、対処するよう努めております。また、当社グループでは、中国と香港以外に台湾、ベトナム、ミャンマーに連結対象子会社を有し、それぞれにおいて、中国子会社と同様の対応を行っております。
当社グループの行う国際貨物輸送事業において、その運賃収入及び運賃仕入の一部は米ドル建てであるため、為替レートの変動により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、外貨建の債権債務については、為替予約の実施等によりリスクヘッジをおこなっておりますが、全てのリスクを回避するものではなく、経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、海外連結子会社における営業収益、費用及び資産等の現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算しております。従って、円換算時の為替レートにより、これらの項目の円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、為替レートの変動は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが展開する国際貨物輸送事業においては、国内外の物流事業に精通した人材の確保、育成が必要不可欠であります。当社グループにとって重要な経営資源は人材であり、経営計画に基づいた事業の拡大のために、新卒採用並びに企業の成長に応じた人材の中途採用を現在も継続しており、人材紹介会社を積極的に活用すると共に、教育研修制度の充実も図り、人材の育成に取り組んでおります。
しかしながら、このような物流事業に精通した人材の確保や予定通りの研修育成が実施出来なかった場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、より高度な付加価値サービスの提供や事業基盤の拡大及び補強のために、事業戦略の一環として他企業との戦略的事業提携を行う可能性があります。戦略的事業提携につきましては、事前の十分な検討や対象企業の詳細なデューデリジェンスを行いますが、提携後の事業計画が当初の計画通りに進捗しない場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、取引先は特定した先に集中することなく、多数の取引先に分散されており、且つ当社の中心的な業務である国際貨物輸送の基本的な取引はキャッシュオンデリバリーで、相対的に売上債権の回収リスクは低いものの、最近では一貫輸送の営業強化の関係から通関業務の受託が増加し、必然的に売上債権が増加しております。さらに通関業の商習慣として、輸入する取引先が負担する商品の輸入関税等の立替も発生することが多く、立替金も増加傾向にあります。当社グループでは、輸入する取引先が負担する商品の輸入関税等について、当社グループが立替えることなく、取引先にて直接納付頂くよう求め、リスク軽減に取り組んでおります。
当社グループは、増加傾向にあるこれら売上債権や立替金に対し、細心の注意を払った与信管理を行い、取引先によっては、ファクタリングを活用して、リスクヘッジを行っております。ただし、これらヘッジを行ったとしても、信用リスクが顕在化し、ファクタリング等で補填が出来ず、貸倒が発生することも考えられます。これら貸倒が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
物流業界におきましては、近年、人手不足が顕著となり、また、海上貨物輸送の運賃水準も高く、物流コストは上昇しております。さらには新型コロナウイルスの感染拡大によりさまざまな環境が変化を遂げる中、お客様の物流に対するニーズもより多様化・高度化しております。当社グループを取り巻く環境としては、常に同業他社との競争、競合状態にあります。当社グループでは、顧客企業への納品までの輸送期間の短縮や船舶と鉄道を組み合わせた輸送サービス、輸入業務をクラウド上で完結できるサービス等、独自のサービスの開発を進め、競合他社との差別化を図り、また価格競争力の強化にも努めております。しかしながら、新規参入業者の増加等で価格競争は激化の傾向にあり、独自の優位性を確保出来なかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国際貨物輸送事業者として培ったノウハウを持って、取引先の貨物が安全かつ確実に輸送されるよう細心の注意を払っていると共に、輸送事故等の発生に備え、利用運送業務に加え、通関業務等に関連する事故も保険の対象となる包括賠償責任保険等に加入しております。ただし、発生する特殊な事故のケースでは、保険等で補償されない場合もあり、このような場合には、社会的信用の低下や補償費用等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは経理業務・国際貨物輸送業務等に関して、情報システムを活用しております。当社グループでは、業容の拡大に伴い、情報システムの強化を行っており、システム障害に備えてデータの定期的なバックアップを行っております。また、自然災害、事故等が発生した場合に備え、外部のデータセンターを活用しております。しかしながら、何らかのトラブルにより、これらの情報システムに障害が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、船舶等による日中間の国際貨物輸送を主な業務としております。このため、これらの地域で起こる大地震・台風等の自然災害によっては、事業活動の停止及び社会インフラの大規模な損壊や機能低下により、当社グループが委託する実運送業者の貨物輸送に支障を来たすことがあります。このような場合、取引先への輸送サービスが停止し、売上高の減少等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、大規模な地震・風水害等に備え、災害対策マニュアル等を整備し、安否確認システムの導入や防災訓練の実施など行い、また災害発生時には、必要に応じて緊急対策本部を設置するなど様々な対策を行っておりますが、自然災害による被害を完全に排除できるものではなく、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループの売上高は、「(2)一般的な景気動向と特定業種への依存について」にも記載の通り、繊維・雑貨関連の企業への依存が相対的に高まっております。新型コロナウイルス感染症の再拡大や新たな感染症の発生により、これら企業の業績が悪化し、国際貨物の物流量が減少した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、同感染症の再拡大や新たな感染症の発生により、中国をはじめとする各国の生産活動の停止や物流に長期的な停滞等が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、徹底した感染症対策に取り組み、在宅勤務や時差出勤、Web会議の活用等を推進し、従業員の安全確保に十分配慮しながら、物流事業者としての責務を果たすべく事業活動を行っております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響、収束時期等今後の経過によっては、当社グループの業績に予期せぬ変動が生じる可能性があるため、今後も状況を注視してまいります。
当社グループでは、取引先・個人等の情報を取扱っており、コンプライアンスや取引先・個人情報管理の徹底など、社内教育を通じて情報管理体制の強化に努めております。また、個人情報の取扱いについては、個人情報保護規程を策定の上、細心の注意を払っております。しかしながら、情報の外部漏洩やデータ喪失等が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次の通りであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中でも経済社会活動が徐々に正常化し、景気も緩やかに持ち直しの動きがみられました。しかしながら、国際情勢の悪化や円安の進行等により原材料やエネルギー価格は高騰し、物価上昇が続く中で、回復傾向にあった個人消費は節約志向が強まっており、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。
当社グループを取り巻く環境としても、昨年4月及び5月の2カ月間は、上海でのロックダウンにより一時的にサプライチェーンに混乱が生じ、物流機能が低下する等の難しい一面もありましたが、安定的に国際貨物の輸送が行えるよう尽力してまいりました。
また、当社グループの主軸となる海上輸送では、当連結会計年度において、北米や東南アジア航路で運賃水準が下落し、さらに取扱量の多い中国航路でも2022年の秋口頃から一部航路で下落傾向にあります。しかしながら、未だコロナ前の運賃水準よりも高く、また円安が続く中で多くの荷主は物流コストが重荷となっています。国際物流の提案型営業を行う当社グループは、この状況を収益拡大に向けての大きな好機と捉え、新規顧客の獲得と既存顧客の取引深耕に取り組み、一貫輸送の更なる受注獲得を目指して精力的に営業活動を展開してまいりました。そして、円安の環境が続く中で、日本からの輸出貨物の集荷にも注力してまいりました。
当連結会計年度では、序盤の上海でのロックダウンの影響と中盤以降は円安進行により一部の顧客で輸入を控える動きもあり、コンテナの取扱量並びに通関受注は前年同期と比較して減少しました。しかしながら、前連結会計年度と比較し、海上運賃が高い水準で推移したことに加え、円安進行が収益拡大の更なる追い風となり、物量等の減少による収益の低下要因を十分に補うことが出来ました。また、DXへの取組みにも継続して注力する等して業務の効率化を推進し、可能な限りの販売費及び一般管理費の抑制にも努め、利益の創出を図ってまいりました。
これらの結果、当連結会計年度における営業収益は69,463百万円(前年同期比15.9%増)と前年同期を大きく上回りました。また、営業収益が好調に推移したことにより、営業利益は5,288百万円(前年同期比47.7%増)、経常利益は5,605百万円(前年同期比46.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,684百万円(前年同期比55.7%増)といずれも前年同期を大幅に上回ることができました。
セグメント別の経営成績は次の通りであります。
なお、報告セグメントの「中国」では、当連結会計年度において「暖新国際貿易(上海)有限公司」が清算結了したため、連結の範囲から除外しております。
(日本)
当連結会計年度では、物価上昇や円安の進行により輸入品価格が上昇する中、個人消費を取り巻く環境も依然として厳しさが残る状況となっております。また、上海でのロックダウンは、一時的ではあるものの日中間の国際物流に混乱を招く事態となりました。
このような環境下で、当社グループは、国際貨物輸送のみならず通関や配送までを一貫して請け負える強みを活かし、営業活動に注力するとともに、海外拠点とも密に連携し、顧客へ物流に関連する情報を積極的に提供してまいりました。
当連結会計年度では、コンテナの積載スペースの逼迫状況は改善傾向にあるものの、上海でのロックダウンの影響と円安進行下で輸入貨物の荷動きが鈍化し、海上輸送の取扱コンテナ本数は、輸入で242,407TEU(前年同期比9.3%減)、輸出入合計では258,302TEU(前年同期比7.9%減)と前年同期を下回りました。通関受注件数においても、海上輸送の取扱いが減少したことにより、135,176件(前年同期比7.4%減)と前年同期を下回る推移となりました。
しかしながら、取扱量の最も多い中国航路の海上運賃が前連結会計年度に比べて高い水準で推移し、さらには円安による収益へのプラス効果もあり、営業収益、売上総利益は大きく伸長しました。また、販売費及び一般管理費においては、DXを活用し業務効率化に取り組むとともに、継続してコストの見直しを行い、利益の創出を図ってまいりました。
以上のことから、日本における営業収益は59,963百万円(前年同期比19.3%増)と前年同期を上回り、セグメント利益は、売上総利益が大幅に増加したことに加え、人件費や営業活動における費用の抑制に努めたこと等で4,519百万円(前年同期比45.6%増)となりました。
(中国)
アパレル関連の取扱いは徐々に回復してきているものの未だ力強さを欠く状況にあり、検品・検針等の付帯業務の受注は厳しい環境が続いております。このような中、昨年1月から3月までの累計期間では、日用品や雑貨等の取扱いが堅調であったことから日本向け貨物の取扱量は増加し、中国国内での輸送関連の収益機会も増しました。しかしながら、昨年4月及び5月は上海でのロックダウンの影響から貨物の取扱量が減少し、その後は急激な円安の進行等から日本向け貨物の取扱量が伸びず、中国での収益機会は減ることになりました。
この結果、中国における営業収益は7,957百万円(前年同期比4.7%減)となりましたが、セグメント利益は、収益性の改善効果もあり538百万円(前年同期比38.1%増)となりました。
(その他)
台湾子会社では、円安進行等が影響して日本向け貨物の取扱いが減少したことで、収益機会が減ることとなりましたが、ベトナム子会社では、貨物の取扱量及び収益が安定的に確保でき、またミャンマー子会社では、新型コロナウイルス感染症や政情不安等の影響が和らいだことで収益は回復傾向にあります。さらには、円安に伴う円貨換算額の増加も加わり、営業収益は1,542百万円(前年同期比17.8%増)となり、セグメント利益は230百万円(前年同期はセグメント利益88百万円)となりました。
(注)TEU(Twenty-foot Equivalent Unit、20フィートコンテナ換算)とは、海上コンテナの数量を表す単位で、20フィートコンテナ1個分を1TEUと計算します。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,372百万円増加し24,888百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,812百万円増加し21,048百万円となりました。これは主に、現金及び預金が2,720百万円増加した一方で、営業債権が597百万円、立替金が366百万円減少したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ440百万円減少し3,840百万円となりました。これは主に、顧客関連資産が263百万円、のれんが108百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債総額は、前連結会計年度末に比べ1,096百万円減少し8,286百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,280百万円減少し6,594百万円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が1,000百万円、買掛金が327百万円減少した一方で、未払法人税等が234百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ184百万円増加し1,691百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が38百万円、退職給付に係る負債が34百万円増加したことによるものです。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ2,468百万円増加し16,602百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益3,684百万円を計上した一方で、剰余金の配当により1,550百万円が減少したことによるものであります。また、為替換算調整勘定が246百万円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,903百万円増加し、15,323百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの内訳は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は5,321百万円(前年同期比1,548百万円増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を5,609百万円計上したことのほか、売上債権の減少691百万円、減価償却費659百万円、立替金の減少366百万円、利息及び配当金の受取額232百万円等の資金の増加要因に対し、法人税等の支払額1,565百万円、仕入債務の減少390百万円等の資金の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、獲得した資金は167百万円(前年同期比229百万円減)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入448百万円等の資金の増加要因に対し、定期預金の預入による支出246百万円等の資金の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は2,809百万円(前年同期比612百万円増)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出2,700百万円、配当金の支払1,550百万円等の資金の減少要因に対し、長期借入れによる収入1,700百万円の資金の増加要因によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループは、国際貨物輸送サービスの提供をしております。従って、サービスの性格上、生産実績を定義することが困難であるため生産実績の記載は省略しております。
生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありませんので、記載を省略しております。
3.「中国」では、「暖新国際貿易(上海)有限公司」が当連結会計年度において清算結了したため、連結の範囲から除外しております。
4.「その他」には、台湾、ベトナム及びミャンマーの現地法人を含めております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金、賞与引当金等の各引当金や退職給付に係る負債の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、会計上の見積り及び仮定にあたっての新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
(営業収益)
当連結会計年度における営業収益の概況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しております。
(営業利益)
当連結会計年度は、海上運賃が2022年秋口頃まで非常に高い水準で推移し、営業収益と同様に営業原価も大幅に増加しました。一方で、仕入価格が上昇する中でも可能な限り販売価格への転嫁を行い、また、コスト圧縮等を図ることで、原価率は前年同期と同水準を維持しました。その結果、当連結会計年度における営業原価は58,221百万円(前年同期比15.9%増)となりました。
販売費及び一般管理費では、デジタル戦略の一環として、DXを活用し実務の効率化を図り、事業活動に掛かる費用や人件費の抑制等に努め、利益の創出に取り組んでまいりました。これらの結果、販売費及び一般管理費は、5,953百万円(前年同期比2.3%減)と前年同期を下回り、営業収益が大きく増加したことと販売費及び一般管理費の削減・抑制効果の双方により、営業利益は5,288百万円(前年同期比47.7%増)と前年同期を大幅に上回る結果となりました。
(経常利益)
営業外収益では、主に為替差益を62百万円計上した一方で、前連結会計年度に比べ、持分法による投資利益が11百万円減少しました。この結果、営業外収益は、前連結会計年度に比べ29百万円増加し、333百万円となりました。営業外費用では、主に為替差損の計上がなかったことで、前連結会計年度に比べ47百万円減少し、16百万円となりました
これらにより、経常利益は5,605百万円(前年同期比46.7%増)と前年同期を上回る結果となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益にて固定資産売却益41百万円等が発生し、特別損失にて事業構造改革費用25百万円、固定資産除却損24百万円等が発生しました。また、法人税、住民税及び事業税に法人税等調整額等を合わせた法人税等合計は1,816百万円となり、この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,684百万円(前年同期比55.7%増)と前年同期を上回る結果となりました。
b. 財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載の通りであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用および金融機関からの借入により資金調達を行っております。
主な資金需要につきましては、運転資金として、国際貨物輸送事業に係る営業原価、及び販売費及び一般管理費等であります。また、設備資金として、基幹システムの改修に係る費用等があります。
これら資金需要及び事業規模と業容の拡大を図るためのM&Aに係る資金等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達にて対応してまいります。
株主還元につきましては、各期の連結業績や連結配当性向、将来の国内外での事業展開及び経営基盤の強化を図るための内部留保を総合的に勘案しながら、安定的且つ継続的に配当を実施することを基本方針としております。この方針の下、株主の皆様のご期待にお応えするべく、配当による更なる利益還元を推し進めていきたいと考えております。配当政策に関する詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、組織体制、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
当社は、2018年10月10日開催の取締役会にて、株式会社日立物流との間で資本業務提携を行うことを決議し、同日、両社間で資本業務提携契約を締結しております。なお、株式会社日立物流は、2023年4月1日付でロジスティード株式会社に商号変更されております。
(注)株式会社日立物流は、2023年4月1日付でロジスティード株式会社に商号変更されております。
該当事項はありません。