文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
2020年春、当社グループは企業理念を刷新致しました。有限希少の電波を預かる放送事業者を中核とする総合メディアグループとしての新たな企業理念は次の通りです。
「TBSグループは、時代を超えて世界の人々に愛されるコンテンツとサービスを創り出し、多様な価値観が尊重され、希望にあふれる社会の実現に貢献してまいります。」
この理念を実現していく上で、当社グループの全員が常に心の中にとどめておくべき未来への志、お客様への大切な約束であるブランドプロミスも併せて制定致しました。
「最高の〝時″で、明日の世界をつくる。」
当社グループが、さまざまなフィールドで心揺さぶる”時間”をお届けし、社会を動かす起点となることを目指す。その未来への決意を表明したものです。
今後は、この企業理念及びブランドプロミスをあらゆる経営活動の指針とし、新しいことにチャレンジしつつ、公正・迅速な報道と愛されるコンテンツの提供に努めるとともに、さらなる企業価値の向上を目指し、株主の皆様のご期待にお応えしてまいりたいと存じます。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、企業価値を生み出す源泉としての指標である「売上高」と、本業の中で効率よく利益を生み出す指標としての「営業利益」を重要な経営指標としております。当連結会計年度の売上高は3,567億9千6百万円(前年比2.6%減)、営業利益は131億3百万円(同29.4%減)でした。今後も経営環境の変化に柔軟に対応し、持続的な収益性向上を実現して、企業価値の向上を図ります。
(3) 経営環境及び当面の対処すべき課題と当社グループの経営戦略など
当社グループを取り巻く経営環境は、大きく変化しております。今年1月から巻き起こっている新型コロナウィルス感染症は、経済活動に大きな影響を及ぼしており、国内景気がマイナス成長に転ずる見通しが強まる中、今後の広告市況などへの影響度合いも不透明な状況にございます。
一方でメディアの視聴環境においては、デバイスの高機能化などにより、スマートフォンやタブレット端末で手軽に動画コンテンツを楽しむことが日常になるなど、多様化しており、この変化にあわせるように、広告の手法、ならびに広告主のニーズも多様化しつつあります。先般発表されました2019年の日本の広告費においては、インターネット広告がはじめてテレビ広告を逆転致しました。
動画配信領域においては、外国資本の巨大プラットフォーマーが日本市場での存在感を高める一方、NHKが同時配信を恒常的に実施するなど、視聴ユーザーの獲得競争が激化しており、今後、インターネット領域でのタッチポイントを増やし、いかにマネタイズにつなげていくかが、大きな課題の一つであると認識しております。
こうした状況の中、当社は、時代の変化に対応し、常に皆様から愛され信頼されるメディアグループへの進化を目指し、2018年度から2020年度を計画期間とする「TBSグループ中期経営計画2020」を策定致しました。現在、目標達成に向けてグループ一丸となって取り組んでおります。
「グループ中期経営計画2020」における重点目標と、2019年度の主な取り組みは、次の通りです。
<重点目標>
(1)TBSテレビの競争力向上
(2)TBSシナジーを生む総合メディアの多様化と挑戦
(3)TBSグループが果たすべき社会的責任の遂行
1つ目の「TBSテレビの競争力向上」についてですが、2019年度の世帯視聴率は、前年に比べてわずかに数字を落としております。ただ、当社では13歳から59歳までの男女の視聴者層を「ファミリー・コア」と名付け、昨年から、こうした視聴者の個人視聴率を上げることを番組制作の指標とし、家族で見ていただける番組を増やしていくよう、改善を進めてまいりました。その結果、ドラマ、バラエティを中心に、多くのファミリー・コア視聴者から支持を頂き、特に、ドラマでは、「テセウスの船」や「恋はつづくよどこまでも」「グランメゾン東京」「ノーサイド・ゲーム」など多くのヒットタイトルをお届けすることができました。
報道機関の取り組みとしては、ニュースの速報性と正確な情報提供を重視し、地上波放送とデジタルメディアの一体運用を推進し、24時間365日ニュースを届ける体制を強化致しました。新型コロナウイルス関連の報道においては、世の中の人がコロナウイルスを正しく知って、正しく恐れ、正しく対応することができるよう、特別取材体制を組成し、社を挙げて情報を伝え続けました。さらにデジタルでも積極的に対応し、ライブ配信やSNSなどで、記者会見の模様や解説記事などを連日発信しております。
2つ目の「総合メディアの多様化と挑戦」につきましては、総合メディア戦略の重点領域として、動画配信サービスの充実と収益化に注力しています。無料見逃し配信では、配信コンテンツのラインナップ強化とともに利用が伸び、広告収入も年々増加しております。中核となる民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」のアプリダウンロードは累計2,500万件を超えており、さらに身近なサービスへステップアップをめざします。報道目的に沿う記者会見や、スポーツ中継のライブ配信についても随時対応を強化してきております。有料動画配信については、放送局・コンテンツホルダーが主体となる株式会社プレミアム・プラットフォーム・ジャパンに基幹株主として参画し、同社の運営する定額見放題配信(SVOD)サービス「Paravi」(パラビ)にコンテンツを提供しており、有料契約件数は増加を続けております。当社の連続ドラマ等のヒットに加え、ディレクターズカット版やスピンオフコンテンツの独占提供が加入者獲得に大きく貢献しております。他動画配信事業者へのコンテンツ提供も実施し、動画配信事業の成長に取り組んでおります。今後も、動画配信事業の更なる推進に努めて参ります。
また、2019年12月には、オンライン経済メディア「NewsPicks」を運営するユーザベース社と資本業務提携を行いました。成長著しいデジタルメディア関連のIT企業と連携し、両社のノウハウを掛け合わせたコンテンツの共同制作やデジタル広告の共同開発などを目指します。
また、AR、VR技術を駆使したコンテンツ開発や体験施設の運営などに多角的に取り込むために、スタートアップ数社に出資しました。ARやVR、MR等を総称する「XR」は、当社グループの映像制作力を遺憾なく発揮できる分野です。当社は、こうした出資企業との連携を図りながら、世の中を驚かせるようなエンタテインメントを提供し、最先端テクノロジーの事業化に取り組んでおります。
また、2019年1月に発表致しました「赤坂エンタテインメント・シティ計画」も順調に進んでおります。2019年7月には「赤坂エンタテインメント・シティ準備室」を設置し、最先端の技術を駆使した全く新しいエンタテインメントの発信拠点を作り上げるべく、様々な角度から検討を重ねております。
当社としては、今後も、総合メディアグループとしての発展を目指し、さらに翼を広げ、成長を続けるために引き続き戦略的投資を実施してまいります。
3つ目の「社会的責任の遂行」につきましては、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の推進を加速するべく、国連「SDGメディア・コンパクト」に加盟しました。あわせまして今年の1月より、ニュース番組を中心に、シリーズ企画「SDGs2030年の世界へ」を放送しております。JNN系列局とも協力しながら、「地球規模の共通課題に取り組む人たちの姿」を報じております。
また、2019年10月より赤坂サカス広場及び赤坂ACTシアター、マイナビBLITZ赤坂に関して100%再エネ化を実現しました。劇場やコンサートホールの再エネ化は国内では、初の取り組みとなります。今後もグループのサステナビリティ活動推進を加速させ、「より良い世界」へ向けた様々な施策に取り組んでまいります。
グループ中期経営計画のこうした取り組みの結果として、2020年度の定量目標である連結売上高4,000億円、連結営業利益250億円、売上高営業利益率6.3%に対し、本年度は、連結売上高3,567億円、連結営業利益131億円、売上高営業利益率が3.7%となりました。
ただ、今後の見通しとして、2020年度は、スポット広告の地区投下量が前年比でマイナスと予想される中、新型コロナウィルス感染症による広告市況および映画・イベント興行などへの影響がどこまで続くのか、現時点では不透明な状況でございます。
このような経済状況の中、中期経営計画の最終年度を迎える当社グループとしては、視聴率向上と営業努力によってスポットの局間シェアを上げていくことや、事業買収を含めた戦略的投資に積極的に取り組んでまいりますが、目下の経済環境などを鑑みますと、中期経営計画最終年度の定量目標達成は大変難しい状況になっております。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している事項は、以下の通りであります。必ずしも事業のリスクに該当しない事項についても、投資者の判断上、重要であると考えられる事項については、情報開示の観点から開示しております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
なお、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅したものではありませんのでご留意ください。
<メディア・コンテンツ事業に関するリスク>
(1)地上テレビ広告収入への依存と国内景気変動について
当社グループの売上の大きな割合を占め、重要な要素であるテレビ収入は、実質GDPなどの指標にも表れる国内景気や広告主である企業の業績との連動性が強く、場合によっては急激に下降局面に入ることもあります。当社グループは慎重に景気の動向を見極め、コスト低減などの方策もとってきましたが、なお当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)メディア間の競争およびコンテンツの獲得について
テレビを中心とした映像・音声の伝送メディアは、従来型の放送、すなわち地上波、衛星(BS及びCS)、ケーブルテレビに加えて、インターネット上のブロードバンド配信サービスの普及が進展するなど多様化し、メディア間の競争も本格化しております。そうした中で、当社グループは、総合メディアグループとして持続的な成長を促進するべく「グループ中期経営計画2020」を策定し、競争力の強化に努めておりますが、競争相手及び競合するサービスが増えて、競争がさらに激化することが予想されます。
当社グループでは見逃し配信サービスとして、「TBS FREE」、民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」を利用した動画配信を提供するほか、2018年4月には、㈱日本経済新聞社、㈱テレビ東京ホールディングス、㈱WOWOW、㈱電通、㈱博報堂DYメディアパートナーズなど多様なメディア企業と共同出資した㈱プレミアム・プラットフォーム・ジャパンが運営する有料動画配信サービス「Paravi」(パラビ)を開始いたしました。これら配信ビジネスは、競争環境が厳しく、将来の収益獲得のために当初は投資が先行しますが、事業が計画通りに伸長しない場合など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、スポーツコンテンツの放送権料が高騰する傾向にある一方で、優良なコンテンツの獲得をめぐる同業者間・メディア間の獲得競争も激化しております。今後、当社グループは一層強いコンテンツを生み出すことでリスクを回避してまいりますが、これらの競争の激化はリスクの拡大と認識しており、なお当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)映画、イベント事業について
当社グループは、映画やイベントの企画製作または出資を積極的に行っております。これらの製作、出資は収支のシミュレーションを十分行った上で製作または出資を実施しておりますが、集客や物販の収入が計画を下回った場合には、出資に見合う回収ができずに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)ライブエンタテインメント事業について
当社グループは、東京都内に3つの劇場等を所有し、演劇などの企画製作や出資を積極的に行っております。これらの製作、出資は収支のシミュレーションを十分行った上で製作または出資を実施しておりますが、集客や物販の収入が計画を下回った場合には、出資に見合う回収ができずに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)著作権等の知的財産権について
当社グループの制作するテレビ番組等のコンテンツは、原作者、脚本家、音楽の作詞・作曲家、レコード製作者、実演家等多くの著作権者等の方々の知的創作活動の成果として著作権や著作隣接権が密接に組み合わされた創造物であります。当社グループはコンテンツを地上波放送以外にも、BS・CS等の衛星放送はじめ配信やパッケージなどにマルチユース展開しております。この際には、様々な著作権者等の権利に十分配慮しながら展開しておりますが、万一、著作権者等に対して不適切な対応を取った場合には、放送の差し止めや損害賠償請求などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)設備投資について
当社グループは既存の放送インフラの維持、更新に加えて、デジタルメディアの普及により、4Kコンテンツなどをはじめとする高精細映像を制作、放送するための設備や新技術に対する投資を行っていく必要があり、BS放送では2018年12月から㈱BS-TBSにおいて4K実用放送を行っております。これらの設備投資や伝送路に係る追加のコストが、広告収入に見合わない場合には、収益性が悪化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<ライフスタイル事業に関するリスク>
(7)消費者のライフスタイルの変化とコスト構造について
ライフスタイル事業については、生活に密着した衣料、化粧品、食料品、雑貨小物などを、店舗、カタログ通販などを通して、調達から販売までを担って、消費者に届けるビジネスを行っておりますが、消費者の嗜好や購買行動の変化、流通コストや生産コストの高騰や流通経路の障害などにより収益機会を逃し、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<不動産・その他事業に関するリスク>
(8)賃貸等不動産市況について
当社グループは港区赤坂を中心に不動産開発を行い、賃貸等不動産を保有しております。当連結会計年度末において、これらの不動産に減損の兆候は認識しておりませんが、今後の不動産市況の動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<その他の事業リスク>
(9)投資有価証券の時価評価について
当連結会計年度の純資産の部におけるその他有価証券評価差額金は前連結会計年度より約276億円減少いたしました。投資有価証券の時価評価額の増減はキャッシュ・フローに直接影響するものではありませんが、その増減に大きな変動があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態を示す指標に影響を及ぼす可能性があります。
また、M&Aやスタートアップ企業への投資など、保有する時価の無い投資有価証券は連結会計年度末に適切な評価を行っておりますが、投資企業の業績悪化や伸長が計画通りに進まない場合には、減損処理などによって当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)個人情報等の取り扱いについて
当社グループは、番組の出演者、観覧者、雑貨販売業者、通信販売事業、インターネット上の会員サービスなどにおいて個人情報を保有し、その他各種データを含めて、社内のデータベースや外部のクラウドサービスを利用して保管しております。これら個人情報等の取り扱いにつきましては、十分な注意を払い、また、高度なセキュリティ対策を講じておりますが、昨今のサイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、万が一個人情報の漏洩や不正アクセス、不正利用などの事態が発生した場合は、当社グループに対する信頼性の低下や損害賠償の責任により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)法的規制の影響
当社は、放送法が定める認定放送持株会社として放送法ならびに関係の法令に規制されております。また、当社グループの主たる事業であるテレビ放送事業は、電波法、放送法等の法令に規制されております。放送法は放送の健全な発展を図ることを目的とし、番組編集の自由や放送番組審議会の設置などを定めています。また、電波法は、電波の公平かつ能率的な利用を確保し、公共の福祉を増進することを目的とし、無線局の免許制度を定め、放送局の免許の有効期間も定めています。当社グループの地上テレビ放送については、1955年1月に免許を受けて以来、同法による免許の有効期間である5年毎に免許の更新を続け、その後、2009年4月1日に認定放送持株会社化した当社に代わって、子会社である㈱TBSテレビが同日免許を承継して現在に至っております。ラジオ放送の免許については、1951年12月に免許を受けて以来同様に更新を続け、2001年10月に子会社である㈱TBSラジオ&コミュニケーションズ(現 ㈱TBSラジオ)がこれを承継して現在に至っております。また、㈱BS-TBS、㈱CS-TBSは衛星基幹放送の業務の認定を受けて現在に至っております。
いずれの会社も、電波法、放送法等の法令による規制等に将来重大な変更があった場合や、それら法令に抵触する決定を受けた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、放送法に定める外国人等が直接間接に占める議決権の割合が当社の議決権の5分の1以上を占めることとなるときは、放送法の規定に従い、外国人等が取得した当社株式について、株主名簿に記載または記録することを拒むことができるとされております。また、放送法および放送法施行規則の規定により、一の者が有し、または有するものとみなされる当社株式の保有割合の合計が、当社総株主の議決権に占める割合の33%を超えることとなるときは、当該超過部分の議決権を有しないとされております。
その他、当社グループは、放送関連および放送外の不動産賃貸事業、雑貨販売事業、通信販売事業、ビューティ&ウェルネス事業、飲食事業等を含む多様な企業群からなり、それぞれ、大規模小売店舗立地法、薬事法、特定商取引法、個人情報保護法、食品衛生法などの関係法令や、表示、品質に関する基準、環境に関する基準、会計基準や税法など、事業ごとにさまざまな法規制を受けております。当社グループではコンプライアンス(法令遵守)と倫理的行動に万全を期しておりますが、法制度の改廃などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)災害等の発生の影響について
放送事業者は、放送法により災害が発生した場合またはそのおそれがある場合には、その発生の予防または被害軽減のための放送を行うことが義務付けられております。大規模な災害等が発生した場合には緊急に報道特別番組を放送することにより、事前に予定されているCM放送の休止などにより収入が減少することがあります。それ以外にも自然災害や感染症の蔓延など、大規模災害等が発生した場合には、景気動向と連動した広告収入の中長期的な減少、放送設備等の被災による放送運行への影響などにより十分な収入が得られず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、2020年初頭から発生しております新型コロナウイルス(COVID-19)の感染症拡大と経済活動の自粛等の長期化により、消費マインドの低下やイベントの自粛期間が長期化する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性がありますので、今後の推移を注視してまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移してまいりました。しかしながら、通商問題を巡る緊張など海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響などに加え、直近では新型コロナウイルス感染症が世界中に拡大し内外経済に大きな影響を与えた結果、急速に厳しい状況に転じ、依然として先行きの不透明な状態が続いております。
こうした環境下、「2019年日本の広告費」(暦年、㈱電通発表)によりますと、日本の総広告費は6兆9,381億円(前年比6.2%増)と8年連続のプラス成長となりましたが、そのうちの地上波テレビ広告費は1兆7,345億円(同2.8%減)、衛星メディア関連は1,267億円(同0.6%減)、ラジオ広告費は1,260億円(同1.4%減)となりました。インターネット広告費は、2兆円を超え、初めてテレビメディア広告費を上回りました。
また、テレビ広告市況はスポット広告費の関東地区投下量が前年比93.5%と大変厳しい状況で推移いたしました。
このような状況の下、当連結会計年度における当社グループの連結売上高は、関東地区投下量が低調に推移したスポット収入の減収、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う興行収入の減収、及びタイム収入の反動減などにより、3,567億9千6百万円(前年比2.6%減)となりました。
売上原価と販売費及び一般管理費を合わせた営業費用は、前年の大型スポーツ単発に係る制作費や放送権料の反動減などにより、3,436億9千2百万円(前年比1.2%減)となりました。
この結果、営業利益は131億3百万円(前年比29.4%減)となりました。また、経常利益は受取配当金の減少などにより212億7千4百万円(同26.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は特別利益に投資有価証券売却益が計上されたことなどにより301億7千4百万円(同19.7%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
当社は2019年5月14日開催の取締役会において、セグメント区分を変更することを決議いたしました。
前連結会計年度において「放送事業」、「映像・文化事業」、「不動産事業」としていたものを、当連結会計年度より「メディア・コンテンツ事業」、「ライフスタイル事業」、「不動産・その他事業」に変更いたしました。
報告セグメントの業績の状況は以下の通りであります。なお、前連結会計年度の数値については変更後の区分により作成したものを記載しております。
|
|
売上高 |
セグメント利益 |
||||
|
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減 (%) |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減 (%) |
|
メディア・コンテンツ事業 |
278,188 |
270,265 |
△2.8% |
7,890 |
2,409 |
△69.5% |
|
ライフスタイル事業 |
71,895 |
70,007 |
△2.6% |
2,895 |
2,751 |
△5.0% |
|
不動産・その他事業 |
16,268 |
16,523 |
1.6% |
7,787 |
7,942 |
2.0% |
|
調整額 |
- |
- |
-% |
△0 |
0 |
-% |
|
合計 |
366,353 |
356,796 |
△2.6% |
18,572 |
13,103 |
△29.4% |
◇メディア・コンテンツ事業セグメント
メディア・コンテンツ事業セグメントの当連結会計年度の売上高は2,702億6千5百万円(前年比2.8%減)、営業利益は、24億9百万円(同69.5%減)となりました。
㈱TBSテレビのテレビ部門の当連結会計年度の売上高につきましては、41億6百万円減収の1,820億8千3百万円(前年比2.2%減)となりました。このうち、タイム収入が872億3千万円(同0.8%減)、スポット収入が792億7千5百万円(同5.2%減)、国内番販や無料動画配信での広告収入を含むコンテンツ収入が108億9千2百万円(同0.6%増)となりました。タイム収入については、レギュラー番組が堅調に推移した他、「世界陸上2019 ドーハ」など単発セールが寄与しましたが、前年の「アジア大会2018 ジャカルタ」や「2018 FIFA ワールドカップ ロシア」の売上をカバーするには至りませんでした。スポットセールスについては、広告主の関東地区投下量が前年比6.5%減と低調に推移する中、5局シェアは19.3%と前年比で0.2ポイント増加したものの、前年を割り込む結果となりました。コンテンツ収入については、無料動画配信の需要増などが貢献し、ワールドカップ広告収入があった前年を上回り増収となりました。
㈱TBSテレビの事業部門の当連結会計年度の売上高につきましては、29億2千6百万円減収の253億4百万円(前年比10.4%減)となりました。
催事では、10月に国立西洋美術館にて開催した「ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史」が39.5万人を超える動員を記録し、また、11月に国立科学博物館にて開催した「特別展 ミイラ ~『永遠の命』を求めて」が46万人を超える動員を記録しました。興行では、アジア初の360度シアターである「IHIステージアラウンド東京」での「BOUM!BOUM!BOUM!香取慎吾NIPPON初個展」などが好調に推移しました。しかし、前年の「髑髏城の七人」シリーズや「スターズ・オン・アイス2018」の反動減や、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う公演中止などにより、催事・興行全体としては減収となりました。映画事業は、9月公開の映画「かぐや様は告らせたい 〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」(出演:平野紫耀、橋本環奈ほか、監督:河合勇人)の大ヒットなどがありましたが、新作タイトル数が前年と比較して少なかったことや、2月以降の来場者数が減少したことなどから減収となりました。
メディアビジネス関連では、動画配信事業や映像コンテンツ事業が堅調に推移し増収となった一方で、海外事業における中国を中心とするアジア地域への番販の苦戦などによる減収や、ライセンス事業における商品化の不調などにより減収となりました。
㈱BS-TBSの当連結会計年度の売上高につきましては、タイムレギュラーが伸長したことや、ショッピング番組が堅調に推移したことにより、4億5千万円増収の168億4千9百万円(前年比2.7%増)となりました。
㈱TBSラジオの当連結会計年度の売上高につきましては、厳しいラジオ広告市況の中、2億1千7百万円減収の95億6千7百万円(前年比2.2%減)となりました。
費用面において、前年の大型スポーツ単発に係る制作費や放送権料反動減などがありましたが、同セグメントにおける営業利益は54億8千1百万円減益となる24億9百万円(前年比69.5%減)となりました。
◇ライフスタイル事業セグメント
ライフスタイル事業セグメントの当連結会計年度の売上高は、700億7百万円(前年比2.6%減)、営業利益は27億5千1百万円(同5.0%減)となりました。
㈱スタイリングライフ・ホールディングスで中核の小売事業「プラザスタイルカンパニー」は、化粧品の売上などは好調に推移していったものの、暖冬の影響もあり生活雑貨や衣料品は不調でした。化粧品事業「BCLカンパニー」では、中国などのアジア地域を中心に海外への販売が苦戦しました。また、消費税増税後に消費が落ち込んだことや、直近では新型コロナウイルス感染症拡大の営業活動への影響が甚大であったことなどにより、減収・減益となりました。
◇不動産・その他事業セグメント
不動産・その他事業セグメントの当連結会計年度の売上高は165億2千3百万円(前年比1.6%増)、営業利益79億4千2百万円(同2.0%増)となりました。
収入面では、赤坂Bizタワーが引き続き高い稼働を維持していることや、当社敷地に隣接するビル「ザ・へクサゴン」の収入が加わったことなどにより増収となりました。費用面においては、修繕費などの増加がありましたが、増益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は850億5千9百万円で、前連結会計年度末に比べて130億2千6百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、214億6百万円の収入になりました(前年同期は352億1千5百万円の収入)。主な増額要因は、税金等調整前当期純利益468億6千7百万円、減価償却費148億4千3百万円、売上債権の減少額15億2百万円など、一方、主な減額要因は、投資有価証券売却益273億3千9百万円、法人税等の支払額139億1千万円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、59億6千2百万円の収入となりました(前年同期は215億8千8百万円の支出)。主な内訳は、投資有価証券の売却による収入284億3千4百万円、有形固定資産の取得による支出155億5千万円、無形固定資産の取得による支出21億4千3百万円、投資有価証券の取得による支出23億2千万円、関係会社株式の取得による支出14億8千5百万円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、142億2百万円の支出となりました(前年同期は243億8千7百万円の支出)。主な内訳は、長期借入金の返済による支出12億円、自己株式取得による支出39億9千1百万円、配当金の支払額52億3千5百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出30億円などであります。
③ 販売の実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
メディア・コンテンツ事業 |
270,265 |
△2.8 |
|
ライフスタイル事業 |
70,007 |
△2.6 |
|
不動産・その他事業 |
16,523 |
1.6 |
|
合計 |
356,796 |
△2.6 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
㈱電通 |
104,309 |
28.5 |
100,030 |
28.0 |
|
㈱博報堂DYメディアパートナーズ |
53,749 |
14.7 |
51,948 |
14.6 |
3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高及び営業利益
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」にて記載したとおりです。
b.経常利益
営業外収益は97億1千2百万円で、20億6千1百万円の減少となりました。受取配当金が16億6千7百万円減少したことが主な要因です。営業外費用は15億4千1百万円でほぼ前連結会計年度並みでしたが、支払利息が2億1百万円減少、持分法による投資損失が1億4千3百万円減少しております。
この結果、当連結会計年度における経常利益は212億7千4百万円で、75億6千万円、26.2%の減益となりました。
c.親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は273億6千5百万円で、145億1千5百万円の増加となりました。投資有価証券売却益273億3千9百万円を計上しました。
特別損失は17億7千2百万円で、9千3百万円の増加となりました。減損損失8億3千5百万円、投資有価証券評価損8億2千1百万円、組織再編関連費用1億1千4百万円を計上しました。
この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は301億7千4百万円で、49億6千9百万円、19.7%の増益となりました。
② 財政状態に関する分析
当連結会計年度末における資産合計は7,830億2千4百万円で、前連結会計年度末に比べて154億5千6百万円の減少となりました。現金及び預金が131億2千6百万円増加、有形固定資産が建設仮勘定の増加等により42億3千8百万円増加した一方、保有する株式の売却及び含み益の減少等により投資有価証券が316億3千3百万円減少したことなどによります。
負債合計は1,910億9千3百万円で、前連結会計年度末に比べて60億9千6百万円の減少となりました。支払手形及び買掛金が6億9千8百万円増加、未払金が11億2千2百万円増加、未払法人税等が11億7百万円増加した一方、長期借入金(1年内返済予定分含む)が返済により12億円減少、保有する株式の売却及び含み益の減少等により繰延税金負債が59億2千5百万円減少したことなどによります。
純資産合計は5,919億3千1百万円で、前連結会計年度末に比べて93億6千万円の減少となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上や配当金の支払いにより、利益剰余金が差し引き247億7千8百万円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が276億3千4百万円減少したことなどによります。
この結果、自己資本比率は73.9%、1株当たりの純資産は3,356円30銭となっております。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」にて記載したとおりです。
b.資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローは前年を138億円下回りましたが、投資有価証券の売却収入を284億円計上、また、前年より借入金の返済が少なかったため、手元資金は130億円増加しました。短期的な設備投資や戦略的投資は、現在のところ手元資金と通年の営業キャッシュ・フローで賄える見込みですが、新型コロナウイルスの感染拡大が当社のキャッシュ・フロー予想に影響を与える場合には、機動的な資金調達を検討してまいります。
④ 重要な会計の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際し、見積り及び仮定設定が決算数値に大きく影響を与えることを考慮し、当社グループでは特に更生債権、投資、賞与、退職金、偶発債務や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して慎重に評価及び測定を行っております。経営陣は発生した事象に関して、過去の実績や状況等様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、その結果を決算数値に反映させております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があり、また今後の新型コロナウイルス感染症の拡大の如何によりましては、これらの見積りが異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、債務者の支払不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しております。債務者の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当てが必要となる可能性があります。
b.投資の減損
当社グループは、所有する有価証券、投資有価証券及び出資金の投資価値が著しく下落し、回復の見込みがないと判断した場合、これらにつきまして評価損を計上しております。将来の株式市場の低迷または投資先の財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
当連結会計年度におきましては、投資有価証券の評価損8億2千1百万円を計上しております。
c.繰延税金資産
当社グループでは、繰延税金資産の算定に当たって慎重な判断を行い、評価性引当額を計上することによって実現可能性の高い金額への修正を行っております。評価性引当額の必要性を評価するに当たっては、将来の課税所得と継続的な税務計画を慎重に判断しております。
d.退職給付債務及び費用
当社グループの従業員退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出し、また、一部の子会社については簡便法を採用して当社グループの連結財務諸表に計上しております。
割引率は、主として安全性の高い長期の債券の市場利回りを基準に算出しております。なお、年金資産の長期期待運用収益率は2.9%としております。
数理計算上の差異は主として発生年度の翌連結会計年度に償却しておりますが、スタイリングライフグループにおいては、数理計算上の差異及び過去勤務費用を従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(11~13年)で償却しております。
e.固定資産の減損
事業用資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、減損の計上が必要となる可能性があります。
当連結会計年度におきましては、固定資産の減損損失8億3千5百万円を計上しております。
(1)建物賃貸借契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約締結年月 |
契約内容 |
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株式会社東京放送 |
三井不動産株式会社 |
2008年1月 |
赤坂サカスにおける業務棟の一括賃貸借、テナントへの転貸借及び運営管理業務一切 |
(2)事業協定
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約締結年月 |
契約内容 |
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株式会社東京放送 |
三菱地所株式会社 |
2019年1月 |
東京都港区赤坂所在の国際新赤坂ビル及び隣接する建物の将来的な建替えに向けた事業協定 |
当社グループは、公共の電波を用いて国民に高品位で多様なサービスを提供するとともに次世代のデジタル放送の実用化に貢献すべく、新しい番組制作、伝送、放送技術等の研究開発を行っております。
報告セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
メディア・コンテンツ事業
主な研究開発活動は、①リアルタイムトランスコードと配信技術を用いた、報道素材閲覧システムの開発、②高速ファイル転送技術を活用した番組素材ファイル交換システムの開発、③顔認識AI技術を用いた番組出演者検索表示システムの開発などであります。特に①については、社内にある報道素材を社外からセキュリティを高度に保ちながら閲覧・確認することを可能にしたシステムであり、積極的なテレワークが推奨される状況においても迅速かつ正確な報道を送り出すことに大きく貢献するものであります。
研究開発費の金額は、
ライフスタイル事業
現代女性のための理想的なスキンケアの研究に取り組んでおり、消費者ニーズ、市場性等と他社との差異化の観点から製品コンセプトを企画し、企画された製品コンセプトをもとに製品開発を行っております。基礎研究においては主に新規原料の開発等を行っております。また、先端的な研究を効率的に応用できるように外部研究機関との共同研究も行っております。
研究開発費の金額は、
不動産・その他事業
特に研究開発活動は行っておりません。