| 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する |
平成27年3月期 | 32,161 | 1,665 | 2,086 | 1,312 |
平成28年3月期 | 33,375 | 2,077 | 3,683 | 2,298 |
増減率(%) | 3.8 | 24.7 | 76.6 | 75.1 |
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復を続けました。企業の設備投資は、収益が改善する中で増加基調となり、個人消費の面でも、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、底堅く推移しました。
また、テレビの広告市況は、第1四半期こそ落ち込みを見せたものの、第2四半期から年度末にかけて徐々に回復傾向が強まっていったことにより、年度全体としては堅調に推移しました。
このような事業環境の下、当社グループの当連結会計年度の売上高は、333億75百万円(前期比3.8%増)、営業利益は20億77百万円(前期比24.7%増)となりました。また、営業外収益における受取配当金が増加したことから、経常利益は36億83百万円(前期比76.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は22億98百万円(前期比75.1%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、従来「ゴルフ場」と表示しておりましたゴルフ場事業は、量的な重要性が乏しくなったため、当連結会計年度より「その他」に含めて記載する方法に変更しております。以下の前連結会計年度との比較につきましては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。
| 放送関連 | 不動産関連 | その他 | |||
売上高 | 営業利益 | 売上高 | 営業利益 | 売上高 | 営業利益 | |
平成27年3月期 | 29,344 | 979 | 1,446 | 594 | 1,370 | 91 |
平成28年3月期 | 30,464 | 1,085 | 1,489 | 873 | 1,420 | 118 |
増減率(%) | 3.8 | 10.8 | 3.0 | 46.9 | 3.6 | 30.2 |
(注)売上高については、セグメント間の取引を相殺消去しております。
〈放送関連〉
当セグメントは、当社、㈱CBCテレビ、㈱CBCラジオ、㈱CBCクリエイションならびに㈱シー・ウェーブで構成されます。
「放送関連」は、テレビスポット収入が堅調な市況や視聴率の上昇を背景に好調に推移したことや、大型のフードイベント開催によりイベント収入が増加したことなどから、売上高は304億64百万円(前期比3.8%増)となりました。
利益面では、テレビ事業の増収効果に加え、映画出資事業において利益が増加したことから、営業利益は10億85百万円(前期比10.8%増)となりました。
CBCグループの中核をなすテレビ事業は、視聴率向上とともに、地域そして全国への情報発信で地上波放送のプレゼンスを高めることを目指しました。そのための戦略として、CBCテレビ制作番組においては、平日午後帯の4時間情報生ワイドゾーンで、「その日の最大関心事にこだわる」をコンセプトに内容の強化を行いました。
3年目を迎えた情報生ワイド番組『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』(月~金曜 13:55~15:58放送)は、エリア内の出来事はもとより、全国のニュースや異常気象、芸能情報など、その日の最新情報をお伝えするコーナーを増やし、情報発信力の強化を行いました。TBSテレビを始めとした系列各局との連携も強化し、昨年5月の鹿児島県口永良部島の噴火や1月に長野県で起きたスキーバス転落事故では、生中継を交えて現地からの情報を発信しました。東海3県エリアの視聴率は、平均で4%台に乗せるなど、視聴者の支持は高まっています。昨年3月から放送の始まった関東エリアでも、9月からは前半1時間に後半を加えた2時間の放送となりました。放送回数を重ねるごとに少しずつ視聴率を上げ、同時間帯の他局の情報番組と競い合っています。今年4月からは東北放送(宮城県)でも放送が始まり、CBCテレビの制作力と信頼性を広く示す格好の場と位置づけ引き続き番組制作を行ってまいります。
報道情報番組『イッポウ』(月~金曜 16:52~19:00放送)は、ニュースを「より速やかに、より深く」伝えることに注力しました。その結果、当期はTBSテレビ系列の優れたスクープ報道に贈られるJNN月間賞を4度受賞するなど、報道取材力の高さが評価されました。また、昨今高まる視聴者の気象への関心に応えるとともに、地震発生の際の減災を呼び掛ける特別番組にも力を入れました。3月には、『イッポウスペシャル 防災列島-巨大地震を迎え撃つ-』をゴールデンタイムで放送し、南海トラフ地震の最新の研究や防災情報、東日本大震災の被災地の現状を伝えました。このような気象、災害情報の発信強化は、異常気象や地震などの発生時に真っ先にCBCテレビを頼りにしていただけることを目指しています。
このほか、情報生ワイド番組『なるほどプレゼンター!花咲かタイムズ』(土曜 9:25~11:30放送)は、地元の人気アイドルとなったMAG!C☆PRINCEを番組のオーディションで発掘し出演者に起用するなどの新たな試みも行い、年間平均視聴率は8.6%を獲得、8年連続で同時間帯1位となっています。
全国向けのレギュラー番組では、日曜の朝と夜にそれぞれ、4年目を迎えた『健康カプセル!ゲンキの時間』(日曜 7:00~7:30放送)と、『旅ずきんちゃん』(日曜 23:30~24:00放送)を放送しています。『健康カプセル!ゲンキの時間』は、健康医療の最新情報のほか、仕事や地域と健康との関連性など新たな切り口による番組作りを行い、関東エリアの視聴率は、年間平均6.4%と前期に比べて0.4ポイント上昇しました。また、『旅ずきんちゃん』も、川の源流を目指す旅や、ご当地グルメを食べつくす旅など、番組企画に娯楽的な広がりをつけ、関東エリアで年間平均視聴率は4.5%と前期に比べて0.4ポイント上昇しました。
このほかにも全国向けの単発番組として、脚本家に地元岐阜県出身の北川悦吏子を3年連続で起用しロケ地も地元白川郷としたスペシャルドラマで大人の恋愛を描き、海外ドキュメンタリーでは、ルワンダで野生ゴリラと人との「コミュニケーション」に挑戦した貴重な映像を満載して生命や自然の神秘を伝えました。
当期の年間平均視聴率は、全日帯(6:00~24:00)が前期比+0.2ポイントの7.2%、ゴールデンタイム(19:00~22:00)が前期比+0.4ポイントの11.3%、プライムタイム(19:00~23:00)が前期比+0.5ポイントの11.2%と、いずれも前期を上回りました。
また、CBCのメディア価値向上を目指し、積極的にイベント事業にも取り組みました。
男子ゴルフの『第56回中日クラウンズ』(4月~5月)は名古屋ゴルフ倶楽部和合コースで開催され、熱戦が繰り広げられました。本戦の前には歴代の優勝者による『チャンピオンズマッチ』も行われ、大会が刻んだ歴史と伝統を印象づけました。ギャラリーは本戦4日間で29,519人を集め、男子ゴルフ国内トーナメント8年連続第1位の観客動員を記録しました。
『第38回名古屋国際音楽祭』(4月~7月)は、ピアニスト小山実稚恵によるラフマニノフの二大コンチェルト公演がチケット完売となるなど、バラエティに富んだ全7公演で多くのクラシックファンを魅了しました。
ロック・ポピュラーでは、『2CELLOS』(7月)、『デフ・レパード』(11月)、『TOTO』(3月)など、人気・話題のアーティスト公演を数多く開催しました。毎年恒例の『青春のグラフィティコンサート2016』(1月)は、今年もチケットが前売りで完売する人気で、会場に集まった大勢のファンを沸かせました。
CBC創立65周年記念事業として、『Riverdance 20years』(4月)、特別公演『宮内庁式部職楽部-重要無形文化財 雅楽- 東遊と管絃』(5月)、『スペイン国立バレエ団』(11月)、『宝塚歌劇 雪組全国ツアー 豊田公演』(12月)、『高野山の聲明 大曼荼羅供』(3月)など様々なジャンルの公演にも挑戦しました。また、約30万人を集客した食のイベント『肉フェス NAGASHIMA RESORT 2015秋』(9月)や『名港水上芸術花火2015』(10月)など新しい取り組みも始めました。
自社コンテンツの海外への販路拡大のためにTIFFCOM(10月)、香港フィルマート(3月)など国際見本市にブースを出展しました。また、名古屋市の魅力を海外へ発信する事業を名古屋市、地元の各放送局と合同で開始しました。
平成16年から続けている映画出資は、『ビリギャル』や『予告犯』、テレビドラマから映画化された『劇場版 MOZU』など8作品に出資を行い、中でも『ビリギャル』は興行収入28億円を超える大ヒットになりました。
2年前から展開中のBOYS AND MENによる『ボイメン体操』は、テレビと視聴者の触れ合いの機会を作ったことが認められJNNネットワーク協議会賞奨励賞を受賞しました。
また、新たな収益源を広げることを目指し、引き続きさまざまな取り組みを行いました。
前期から引き続き、経済産業省の「HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)トライアル事業」に参加しました。三重県桑名市を中心に、データ放送を使って手軽に電力使用量を表示したほか、データ放送でクーポンを配信し実際の店舗へ顧客を呼び込む取り組みも行いました。
さらに、テレビとスマートフォンなどの画面を連携させる「セカンドスクリーン」への取り組みとして『前代未聞の早押しクイズ連動ドラマ「脱線刑事」』(12月)を放送しました。これはドラマの途中でクイズを出題し、スマートフォンの早押しで答えるというもので、その結果、スマートフォンとの連携が視聴者をテレビ番組に強く引き付ける効果のあることが検証されました。
加えて、LINEスタンプの配信を開始しました。日本人最速で世界チャンピオンに輝いたプロボクサー田中恒成選手と中日ドラゴンズ似顔絵サイト『どら似』の2種類があり、徐々に収益を上げつつあります。
テレビ事業の柱である放送セールスは、全国放送の『第56回中日クラウンズ』決勝ラウンドや、新規で田中恒成選手のボクシングWBO世界ミニマム級タイトルマッチ戦などの単発番組について積極的に展開しました。レギュラー番組でも自社制作番組を中心にセールス強化を図った結果、タイム収入は前期を上回りました。また、スポット収入は第1四半期に低調だった市況がその後回復したことや視聴率が上昇したことから前期を上回りました。業種別では通信・IT関連やレジャー関連が好調な「サービス・娯楽」などの出稿が増加しました。
ラジオ事業は、攻めの姿勢で「地域No.1ラジオ局」を目指してきました。
タイム、スポットとも厳しい営業環境の中、個々のクライアントニーズを盛り込んだ企画提案型セールスを展開し、恒例の『CBCラジオ夏まつり2015』(7月)、『CBCラジオ秋まつり2015』(11月)、新生活応援企画『YELL!キャンペーン』(3月)をCBCラジオの3大イベントと位置づけ、人を動かすメディアとしてのラジオをアピールすると共に、売上増を目指しましたが、当期は前期に届きませんでした。
番組面では、6月と12月の中京圏個人聴取率調査(12才~74才)において総合、平日平均、日曜平均で1位を獲得しました。また、有害鳥獣駆除の実態を紹介し「狩猟」と「駆除」のはざまで揺れる猟友会の心の葛藤を描いたドキュメンタリー『狩りと駆除のはざまで~里へ降りてくるどうぶつたち』が、平成27年日本民間放送連盟賞ラジオ報道番組部門で優秀に選ばれました。これでCBCラジオの連盟賞受賞は、4年連続となります。
さらに、災害対策や都市難聴の解消のために、これまでのAM放送に加えてワイドFM放送(93.7メガヘルツ)を10月から始めました。これにより、ビルやマンションなどの建物内でも従来より聴こえやすく、クリアな音声で放送を楽しんでいただけるようになりました。
このほか、大学の周年事業や行政の地域振興政策について、グループ各社が連携して総合メディアコンサルタント機能を発揮し、テレビ、ラジオの番組制作、イベントの実施、他媒体への広告展開など、CBCグループならではの協業の成果を出しました。このうち、愛知県の三河山間地域誘客促進事業「山里の魅力創造社」プロジェクトでは、CBCクリエイションが奥三河の魅力を伝えるテレビ番組、ラジオ番組、イベントなどを企画し、CBCテレビが『プレ旅MAX~山里の魅力創造社』、『旅MAX~山里の魅力創造社』を計12回放送、CBCラジオとシー・ウェーブがラジオのワイド番組内で特産品やバスツアーなどを紹介するコーナーを展開しました。
〈不動産関連〉
当セグメントは、当社と㈱千代田会館で構成されます。
「不動産関連」は、東京の賃貸ビルにおいて新規テナントの入居により賃料収入が増加したことや、太陽光発電の売電収入が堅調に推移したことなどにより、売上高は14億89百万円(前期比3.0%増)となりました。
利益面では、増収効果や減価償却費の減少に加え、前期には賃貸商業施設への大規模修繕によって膨らんだ修繕費が当期は大きく減少したことから、8億73百万円(前期比46.9%増)となりました。
〈その他〉
ゴルフ場事業を営む㈱南山カントリークラブ、保険代理業などを営む㈱CBCビップスならびにタクシー業を営む文化交通㈱で構成される「その他」は、売上高が14億20百万円(前期比3.6%増)、営業利益は1億18百万円(前期比30.2%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
| 平成27年3月期 | 平成28年3月期 | 増減額 |
(百万円) | (百万円) | (百万円) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 3,384 | 2,772 | △611 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △3,461 | △1,241 | 2,220 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △858 | △849 | 8 |
現金及び現金同等物の増減額 | △935 | 682 | 1,617 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 15,422 | 14,486 | △935 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 14,486 | 15,168 | 682 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて6億82百万円増加し、151億68百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は27億72百万円となりました。これは、法人税等の支払額が21億15百万円あった一方で、税金等調整前当期純利益36億12百万円や減価償却費13億40百万円を計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は12億41百万円となりました。これは、有価証券の償還による収入7億10百万円や、投資有価証券の償還による収入24億9百万円があった一方で、有形及び無形固定資産の取得による支出23億59百万円や、投資有価証券の取得による支出19億33百万円があったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は8億49百万円となりました。これは、預り保証金の返還による支出5億20百万円や配当金の支払額4億22百万円があったことによるものです。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、セグメント区分を変更したため、前期比は前連結会計年度の金額を変更後の区分に組み替えて算出しております。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
放送関連 | 30,464 | 3.8 |
不動産関連 | 1,489 | 3.0 |
報告セグメント計 | 31,954 | 3.8 |
その他 | 1,420 | 3.6 |
合計 | 33,375 | 3.8 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先 | 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
㈱電通 | 8,868 | 27.6 | 8,984 | 26.9 |
㈱博報堂DY | 5,988 | 18.6 | 6,130 | 18.4 |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社は、昨年12月に創立65周年を迎え、今年9月にはCBCラジオが開局65周年、12月にはCBCテレビが開局60周年を迎えます。当社グループでは、この2年間を周年の記念期間と位置づけ、地域への感謝の気持ちを込めた企画を打ち出すとともに、次世代につなげる周年キャンペーンを展開しています。
その初年度となる当期は収益の柱である放送収入の伸長や不動産事業の堅調な推移もあり、増収増益を果たすことができました。
しかしながら、当社グループの中核である放送事業を取り巻く経営環境は、むしろマイナスの要因となりかねない構造的な変革期を迎えています。その一つは少子高齢化と人口の減少、もう一つはメディアの多様化、高度化です。テレビではHUT(総世帯視聴率)、ラジオではSIU(総個人聴取率)の下降傾向が見られ、今後さらにメディアの多様化が進めば、放送の価値が相対的に低下していく可能性があります。特に若年層を中心に、“テレビ離れ”という言葉で象徴されるように、テレビの受像機を通じて、コンテンツを見なくなる傾向も表れています。このような状況のもと、私ども企業グループが持続的に成長、発展していくためには、グループ各社が連携して、放送の価値を相対的に高めるための事業強化を図る一方、放送事業に依拠しない新たなビジネスの芽も育てていく必要があります。
グループ各社を蜘蛛の巣状につなげ、相互にリソースを活用する「Webフォーメーション」体制も、攻めの形が整いつつあり、当期は、グループ各社が協業して、大学の周年事業や三河の山里地域誘客促進事業における広報事業活動を展開し、具体的な成果として収益の拡大を図ることができました。
当社グループでは、持続的成長に向け、「確かな情報」、「高精細な映像」、次世代技術の「ICT」の3つを重点的に推進するという経営方針を示しています。メディアの多様化、高度化に対応するためには、この3本柱を強化することが必要であり、そのための組織として当期、『次世代メディア委員会』を設置しました。この委員会は、4K・8Kの超高精細映像技術やメディアの多様化が進む中での新たなコンテンツサービスの可能性について追求していくための組織です。その一環として、当社グループのCBCテレビが中心となって、伊勢神宮の1年を4Kカメラで撮影、取材するプロジェクトをスタートさせ、「伊勢志摩サミット」の開催にあわせた大臣会合や各種の展示会で世界各国の国賓や海外メディアに対して、伊勢神宮の美しく迫力のある4K映像の一部を紹介しました。これを機に今後は、1年がかりの取材の集大成として、放送コンテンツとして番組化し、世界に向けて発信するとともに、放送に限定しない素材の活用策およびマネタイズ化を探っていきたいと考えています。
現状の放送コンテンツを展開する伝送路は、今や地上波だけではなく、BSやCS、さらにはインターネットへと拡がっています。当社グループはインターネット利活用をはじめ、次世代に向けた「ICT」戦略を推し進め、様々な伝送路を使って、地域へ、全国へ、そして世界へと、必要とされる情報や番組を提供し、コンテンツの価値を最大化していくことが重要だと考えています。
10月には、民放各局が共同で開始した「TVer」というインターネットによる見逃し配信サービスにCBCテレビも参画し、現在、地上波では日曜夜に全国放送している『旅ずきんちゃん』を同サービスでも提供しています。この試験的な取り組みを通して、インターネット配信による地上波への影響と今後のマネタイズ化の可能性を見極めていきます。
2020年の東京五輪に向け、海外からの訪問者も急増しています。そして、人口減少による需要の縮小が懸念される国内とは対照的に、新興国では人口増加や所得向上を背景として、今後も需要の拡大が見込まれています。こうした海外需要を取り込んでいくことは今や不可欠で、「ICT」も駆使しながら、日々生み出している放送コンテンツだけではなく、伊勢神宮の4K企画のような「高精細な映像」の新たな展開をグループで模索していきます。
CBCテレビはこの地区で最も高い自社制作率を誇り、その中でも生放送の報道・情報ワイド番組の占める割合が高くなっています。ローカル局が制作する報道・情報番組はローカルの色合いが必然的に強くなりますが、話題の選定や切り口次第でローカルを拠点に全国展開していくことも十分可能です。それを実践しているのが、CBCテレビの午後の情報生ワイド番組『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』です。元々ローカル向けに企画した番組でしたが、エリアを越えて昨年3月からは関東地区で、今年4月からは仙台地区でも放送を開始しました。こうした情報番組を支えるのは、視聴者からの信頼や期待に応える「確かな情報」です。この「確かな情報」をベースに、CBCテレビの存在感、信頼感を全国に示し、ローカル情報番組の新たな形を構築していきたいと考えています。
一方、CBCラジオは、12月の聴取率調査で、3回連続となる総合1位を獲得しました。ラジオの基本姿勢は、テレビ以上に地域との接点を強め、より身近なパーソナルメディアとしての存在を維持し続けることです。その一方でラジオを聴いたことがない若年層にもラジオの魅力を認知させていく必要があります。インターネットラジオサービス「radiko」は、ラジオのリスナー層を拡大するツールとして浸透してきています。こうした動きの中で若年層向けの番組も深夜帯で編成し、イベントも絡めた展開で、リスナー層の拡大を図っています。また、10月には、ワイドFM(FM補完放送)も開局し、クリアな音質で放送を楽しめるようになりました。これによりAM放送が聞き取りにくい難聴エリアの問題も解消され、いざという時に役立つ安全、安心メディアとしての機能も強化されました。
今後も地域に寄り添った番組やイベントを継続していくことで、ラジオメディアの有用性をアピールし、媒体価値の向上とリスナー層の拡大を図っていきます。
東日本大震災の復旧、復興が未だ途上にある中で、今年4月に発生した熊本地震では、放送メディアが果たす役割の大きさを再認識しました。当地域においても南海トラフ地震が発生する可能性が以前から指摘されています。このため、当社グループでは、万が一の事態に備え、日ごろからテレビやラジオの番組を通じて、防災、減災をテーマにした啓蒙活動を行っています。また、10月に増築工事が完了した放送センターではBCP機能を増強し、有事の際には万全な放送体制で臨めるような制作・送出環境の整備を図りました。来年夏竣工予定のCBC西別館には、完成後グループ会社を集めることで、各社間のさらなる連携強化を図ります。また、CBC会館の再開発については、周辺の動向も鑑みながら新たな収益事業の拠点として整備することも検討しています。この他にも保有する資産を中心とした不動産事業収益の最大化や新たな収益物件の開発など、事業のポートフォリオ戦略を推し進め、経営基盤の強化にも努めていきます。
また人材面では、グループ内での人的交流による活性化や女性や高齢者が活躍できる体制、制度の構築を進めることにより、グループ全体の競争力強化を図っていく考えです。
年初からの急速な円高進行や新興国の景気減速により、今後、企業の景況感は悪化するとの見方も出ており、放送業界においても広告出稿への影響が懸念されています。その一方で、これから2020年に開催される東京五輪に向けては、国全体の成長が見込まれる期間でもあり、当社グループにおいても各事業の強化、拡大を図る絶好の機会と捉えています。このため、前述した「情報」「映像」「ICT」を柱に、新しい収益構造の創出による成長戦略の推進、グループ内外の資源活用と連携強化による収益機会の拡大という目標を実現し、今後いかなる環境変化が起きても、それに対応できる磐石なグループ体制を構築していきたいと考えています。
当社グループは、民放第一声から刻み続けた歴史と伝統を次の世代につないでいくべく、主力事業である放送ビジネスを展開軸に、これからも「地域で最も信頼されるメディア企業グループとして、地域社会の経済や文化の発展に寄与する」ことにまい進し、あらゆるステークホルダーの皆さまに最大の満足を提供できるよう弛まぬ努力を続けていきます。
なお、会社の支配に関する基本方針は、次のとおりです。
当社および当社グループは、テレビ、ラジオの放送を通じてすぐれた報道、情報、娯楽番組を制作し、地域社会や文化に貢献することを経営の基本理念にしています。地上波テレビ放送や中波ラジオは、公共性の高いメディアであり、通信技術の進展に伴ってメディアが多様化しても、基幹メディアの地位を維持していくものと考えています。このため、中長期的な視点に立って、安定的に経営を継続していくことが重要であり、それが、ひいては企業価値、株主価値の向上につながるものと確信しています。
当社は、こうした経営の基本理念を支持する者が、「会社の財務および事業の方針の決定を支配する者」であることが望ましいと考えています。
なお、当社では、株式に対する大規模な買収行為がなされた場合に備えた具体的な枠組み(いわゆる「買収防衛策」)は定めていません。
事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 景況等の影響について
当社グループの売上の多くは、広告収入に依存しています。特に、大きなウエイトを占めているテレビスポット収入は、国内景気の全体の動きに加え、広告主である各企業の業績や広告出稿に対する動向などとの連動性が強くなっています。このため、景況や広告主の動向によって、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 視聴率、聴取率による影響
視聴率、聴取率は、スポンサーにとって、CMが、視聴者、リスナーにいかに到達しているかを示す指標となっています。このため、視聴率、聴取率の変動は、放送関連部門の売上高に影響を与えることになります。
テレビにおける視聴率のうち、ゴールデンタイム、プライムタイムと呼ばれる時間帯の多くは、キー局である㈱TBSテレビが制作、編成していますが、こうした番組の視聴率動向によっても、売上高が大きく変動する可能性があります。
(3) 他メディアとの競合について
技術の飛躍的な進歩によるメディア、情報デバイスの多様化は、視聴者・聴取者の動向や企業の広告出稿に影響を与える可能性があり、現実に、ここ数年のテレビ、ラジオの広告収入の伸び悩んでいる状況をみる限り、少なからず、その影響を受けているといわざるを得ません。
リーチ、フリクエンシーでは他の追随を許さないテレビは、広告メディアとして圧倒的な優位性を保っていますが、今後、メディア間での競争が激化し、視聴者の動向や広告メディアとしての価値が変化した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響が出る可能性があります。
(4) 大規模災害の発生や災害放送、緊急時放送について
当社の本社のある名古屋市をはじめ、放送サービスエリア内の広い範囲が、東海地震に係る地震防災対策強化地域および東南海・南海地震防災対策推進地域に指定されています。
当社グループでは、本社建物や電波を送り出す瀬戸のデジタルタワーを始めとした放送関連施設について、最大限の地震対策を施しております。
しかしながら、予想を上回る大地震の発生により、放送関連施設が大きな被害を受けることで、正常な放送を送り出すことができなくなるおそれがあります。
また、当社グループの放送関連部門は、報道機関であることから、大地震をはじめとする大規模な災害や大事故、大事件などが発生した場合、一定期間において、当社グループの主要な収入である広告の放送を行うことなく、テレビ、ラジオの放送を通じて、国民に情報を提供いたします。
さらに、いわゆる「有事法制」における非常時においても、広告の放送を行わないこともあります。
こうした場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 年金債務について
当社グループの年金資産の時価が大きく変動した場合や、年金資産の運用利回りが変動した場合、業績に大きな影響が出る可能性があります。また、金利環境の変動などの要因により、退職給付債務等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 有価証券等の保有について
当社グループが保有する有価証券について、大幅な株式市況の下落や投資先の実質価額が著しく下落した場合に、多額の評価損が計上され、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はありません。
当連結会計年度において、当社グループで特筆すべき研究開発活動は行っておりません。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の数値ならびに当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える見積りおよび仮定設定を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況」に記載しておりますが、特に貸倒引当金、投資の減損、繰延税金資産および退職給付費用に関する見積りおよび判断が連結財務諸表の作成に重要な影響を及ぼすと考えております。
①貸倒引当金
当社グループは、得意先への売掛金等の一般債権について、支払不能時に発生する損失見積額を、過去の貸倒実績率に基づき、貸倒引当金に計上しております。また、相手先の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合には個別に回収可能性を見積り、追加引当を行っております。さらに、当社グループは預託金方式のゴルフ会員権を所有しております。このゴルフ会員権は、下記「②投資の減損」で減損の対象になった際に、時価が額面金額を下回った場合、時価と額面との差額の全額を貸倒引当金として計上しております。
②投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係維持のため、また余資運用目的で有価証券および投資有価証券を所有しております。この中には市場価額のある公開会社への投資と、時価の決定が困難な非公開会社への投資が含まれております。当社グループは投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、投資の減損を計上しております。投資価値の下落が一時的でないとの判断は、「金融商品会計基準」に従って行っております。
③繰延税金資産
当社グループでは、繰延税金資産の判定に当たって慎重な判断を行い、評価性引当額を計上することによって実現可能性の高い金額への修正を行っております。評価性引当額の必要性を評価するに当たっては、将来の課税所得と継続的な税務計画を慎重に判断し、いわゆるスケジューリング不能と判断された場合にはこれを実現できないものとし、繰延税金資産の調整額として費用に計上しております。
④退職給付費用
当社グループでは、従業員退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。また、一部の子会社については簡便法を採用しております。
当社グループの年金制度において、割引率は優良社債の市場利回りを基準に算出しております。長期期待運用収益率は、年金資産が退職給付の支払に充てられるまでの時期、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針および市場動向等を考慮して決定しております。
(2) 経営成績の分析
①売上高
当連結会計年度の当社グループ全体の売上高は、前期比12億13百万円(3.8%)増の333億75百万円となりました。
セグメント別の状況は次のとおりです。
当社グループの中心となる「放送関連」は、前期比11億20百万円(3.8%)増の304億64百万円となりました。これは主に、テレビスポット収入が堅調な市況や視聴率の上昇を背景に好調に推移したことや、大型のフードイベント開催によりイベント収入が増加したことなどによるものです。
「不動産関連」は、東京の賃貸ビルにおいて新規テナントの入居により賃料収入が増加したことや、太陽光発電の売電収入が堅調に推移したことなどにより、前期比43百万円(3.0%)増の14億89百万円となりました。
「その他」は、前期比49百万円(3.6%)増の14億20百万円となりました。
②売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、主にイベント原価やテレビ番組費の増加により前期比5億13百万円(2.9%)増の182億96百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は、増収に伴う代理店手数料の増加などにより前期比2億8千8百万円(2.3%)増の130億1百万円となりました。
③営業利益
営業利益は、前期比4億11百万円(24.7%)増の20億77百万円となりました。
セグメント別では、「放送関連」は前期比1億5百万円(10.8%)増の10億85百万円となりました。また、「不動産関連」は前期比2億78百万円(46.9%)増の8億73百万円、「その他」は前期比27百万円(30.2%)増の1億18百万円となりました。
④営業外損益
営業外収益は、前期比11億97百万円(242.8%)増の16億90百万円となりました。これは、受取配当金が増加したことによるものです。
また、営業外費用は、前期比11百万円(16.0%)増の84百万円となりました。
⑤経常利益
経常利益は、前期比15億97百万円(76.6%)増の36億83百万円となりました。
⑥特別損益
特別利益は、前期比61百万円(76.3%)減の18百万円となりました。これは主に、前期にあった補助金収入76百万円が当期無かったことによるものです。
また、特別損失は、前期比42百万円(91.1%)増の90百万円となりました。これは主に、前期にあった事業構造再編費用33百万円が当期無かったものの、本社エリア再開発に伴い固定資産除却損が86百万円増加したことによるものです。
⑦税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前期比14億93百万円(70.5%)増の36億12百万円となりました。
⑧税金費用
税金費用は、前期比4億93百万円(60.8%)増の13億5百万円となりました。内訳としては、法人税、住民税及び事業税が13億7百万円となり、法人税等調整額が△2百万円となりました。
⑨親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比9億86百万円(75.1%)増の22億98百万円となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 財政状態の分析
①資産の部
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べて8億91百万円増加し、681億9千8百万円となりました。
主な増加要因として、現金及び預金が25億64百万円、受取手形及び売掛金が8億33百万円、固定資産の繰延税金資産が5億76百万円それぞれ増加しております。また主な減少要因として、有価証券が30億8百万円減少しております。
②負債の部
当連結会計年度末における負債は9億39百万円減少し、182億87百万円となりました。
これは、退職給付に係る負債が17億38百万円増加した一方で、流動負債の「その他」が15億86百万円、未払法人税等が6億33百万円、長期預り保証金が3億87百万円それぞれ減少したことなどによるものです。
③純資産の部
当連結会計年度末における純資産は18億31百万円増加し、499億10百万円となりました。
これは、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益と配当金の支払いとの差額により18億76百万円増加したことなどによるものです。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フローの状況
「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
②資金需要及び財務政策
当社グループの主な資金需要は、テレビやラジオの放送における番組制作や送出に係る費用の他、現在計画中である本社地区の再開発や、放送設備の更新等に係る支出が見込まれております。
当社グループは、健全な財務状態及び営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資に要する資金を調達することが可能と考えております。