文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、放送という公共性の高い事業を中核としており、「テレビ、ラジオの放送を通じてすぐれた報道、情報、娯楽番組を提供し、地域社会や文化に貢献する」ことを経営の基本理念としております。放送局を取り巻く環境は、メディア、情報デバイスの多様化によって大きく変容してきていますが、相次ぐ災害、新型コロナウイルスの感染拡大など、人類が経験したことのないような事象が続く中、信頼ある情報を発信するメディアの存在価値が改めて見直され、とりわけ地域に根差したローカル放送局が果たす役割の重要性は、ますます高まってきています。こうしたメディア環境を踏まえ、当社グループはこれからも、安定した経営基盤を確保しながら、地域を代表する放送局、そして報道機関として、地域にとって有益な情報、魅力あるコンテンツ、そして生活者のライフスタイルにふさわしいサービスを提供し続けてまいります。
当社グループの中核をなす放送事業は、広告市場から大きな影響を受けるという特殊性を持っています。今般の新型コロナウイルス拡大は、広告市況の急激な悪化をもたらし、当社グループの業績にも影響を及ぼしています。これから先、いかなる状況下にあっても、地域住民の生命、財産を守るという放送事業者としての使命を全うするためには、収束後における様々な環境変化に柔軟に対応し、安定した経営基盤を確保し続けていくことが重要であると考えています。このため、当社グループは、成長戦略の3本柱「映像」「情報」「ICT」を軸に、「中期経営計画2018-2020」で掲げた「現行ビジネスの強化」「新規事業の創出、拡張」「成長を支える基盤の強化」という重点施策を遂行し、最大のリーチメディアである地上波放送を軸に、様々な出口戦略でコンテンツを発信し、その成果をデータで示していくことにより、グループ全体の業容の最適化と収益性の最大化を推進し、持続的な成長に向け注力してまいります。
東京オリンピック・パラリンピックが開催され、アスリートたちの活躍に沸き返るはずであった2020年、世界は新型コロナウイルスのパンデミックに脅かされることとなりました。人類が未だかつて経験したことのない脅威の中、根拠のない情報が大量に拡散するインフォデミックも、人々を混乱に陥れています。こういうときだからこそ、放送局は、地域の情報インフラとして、正しく、速く情報を届け、地域住民の生命、生活、財産を守るための存在であらねばなりません。
1945年8月の終戦から5年後の1950年12月15日、日本で最初の民間放送局として当社は産声をあげました。当社を嚆矢とする各民放事業者は、NHKとの二元体制の下、放送法に謳われた正確な報道や多角的論点などを遵守することにより、それぞれの地域住民との信頼性が築かれ、民主主義の理想の実現に寄与してきました。
新型コロナウイルス拡大は、番組収録の中止や延期などの事態を招き、当社グループの業績にも影響をもたらすなど、事業継続計画(BCP)対応が問われる局面となっていますが、私たちには、この70年の歴史で築いてきた英知があります。この英知を基に、今後、いかなる時も地域住民の生命を守る使命を果たすため、放送を中心にグループ事業を継続することに全力を尽くしていきます。
持続可能な価値の創造
今年12月、当社は民放初の創立70周年を迎えます。70周年のテーマは「未来にワクワクを」。当社グループがこれからも地域に貢献し、信頼される存在であり続けるため、2015年に国連で採択された「SDGs」の考え方を根底に、「100年企業」に向けたサステナブル(持続可能)な価値の創造を目指して、様々な取り組みを進めていきます。不穏な日々が続く状況であるからこそ、地域の情報インフラとしての存在意義を高めつつ、それを乗り越えた先に、ワクワクする未来を地域にお届けできるよう、取り組んでいきます。
「映像」「情報」「ICT」を軸にした「中期経営計画2018-2020」
当社グループは、一昨年、2018年度を初年度とする「中期経営計画2018-2020」を策定しました。グループ各社の大半は順調に数字を積み上げ、着実に成果を出しているものの、テレビ事業に関しては、スポット収入の下降傾向が続く中、新型コロナウイルス拡大という未曽有の事態も追い打ちとなり、平時を前提として策定した計画値は、実情にそぐわない数字となっています。
2020年度は、新型コロナウイルス拡大の影響も踏まえ、地域住民の生命、生活、財産の維持に全力を尽くすことが最優先です。そして、その上で、「100年企業」となる2050年においても成長し続けるグループとなるために、成長戦略の3本柱「映像」「情報」「ICT」を軸とした「現行ビジネスの強化」「新規事業の創出、拡張」「成長を支える基盤の強化」という重点施策にいま一度立ち返ることで、事業の発展的継続につなげ、次期中期経営計画に向けて基盤をできるだけ高く積み上げることに注力します。
現行ビジネスの強化
こうした状況下における「現行ビジネスの強化」とは、放送を中心とした事業を継続しながら、いかに利益を確保し、現行ビジネスの新たな在り方を見出していくかということです。㈱電通の最新調査結果によると、日本の広告費全体としても、インターネット広告費がテレビメディア広告費を上回ったと言われますが、メディアとして通信が放送に取って代わるということではありません。放送と通信は、それぞれ特色や違いがあるということを再認識し、放送が優っている信頼性や地域性、そして、その到達率を最大限に活かしつつ、劣っていることに関しては通信を活用していくことが重要です。
CBCテレビでは、信頼性と地域性のさらなる強化を目指して、2019年4月より開始した『チャント!』を軸に、スポンサーのニーズに応えた、より幅広い視聴者層の獲得を目指していきます。そして、その一方で、今年4月より19局29都道県まで放送エリアを拡大した『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』をはじめ、配信も含めた出口戦略も推し進めていきます。CBCラジオでは、終活、声優、アイドル、スポーツなどのテーマで、ターゲットをより明確にした番組やイベントの開発を進めており、スポンサーとリスナーを直接つなぐマネタイズモデルとして育ちつつあります。また、番組コンテンツを記事として配信する「RadiChubu」のマネタイズや、インターネットラジオの「radiko」を活用したターゲティング広告配信など、通信を活用した取り組みも今後さらに加速させていきます。
当社グループの経営資源の有効活用策として戦略的に取り組んでいる不動産事業では、名古屋駅前エリアのテナントビルをはじめ、アピタ長久手店や千代田会館、太陽光発電事業などが安定的な収益をもたらし、グループ事業の下支えとなっています。これからも、保有する不動産資産に関して、さらなる高度利用の検討に加え、入れ替えや見直しも図りつつ、価値の最大化に努めていきます。
新規事業の創出、拡張
現行ビジネスの維持、強化を最優先としながらも、次の時代を見据え、将来成長が見込まれる分野にリソースを投入し、新しい収益の柱を創出していくのが、「新規事業の創出、拡張」です。
その1つは「放送事業を強化する総合的メディアデザインの構築」です。メディアの多様化が進む中、圧倒的な到達率を持つ放送と機能的な通信、各々の特性を踏まえつつ、視聴者のニーズを見極め、生活スタイルに適した形でコンテンツを提供していくことが重要であり、両方を活用できるのは、放送事業者しかいません。今年4月にはNHKが常時化を見据えた同時配信を本格開始しましたが、当社も昨年3月に有料動画配信プラットフォーム「Paravi」を運営する㈱プレミアム・プラットフォーム・ジャパンに出資したことに続き、今年3月にはCBCテレビも在名放送局4局共同で、動画を中心とした様々な情報を配信する公式サービス「Locipo(ロキポ)」を開始し、同時配信も含めた将来のメディア環境変化への備えを進めています。出口が多様化するときだからこそ、私たちはこれまで放送70年の歴史で培ってきたコンテンツ制作力を絶えず磨き続けていくことが不可欠です。そして、生み出したコンテンツを、放送を軸として、適切なプラットフォームに展開し、その価値を示すデータ利活用を進めることにより、マネタイズを実現していきます。
もう1つは「次世代に向けた戦略的投資、新規事業の開拓」です。放送関連分野だけではなく、「ICT」分野を中心に検討を行い、高度な技術や知見を有する様々な企業とのオープンイノベーションによる連携や協業も進めながら、事業拡大に取り組んでいます。駐車場シェアリングエコノミーサービス運営の「akippa」や有人宇宙機開発の「PDエアロスペース」などへの出資のほか、「CBCスマホ」事業や「Tokyo Otaku Mode」事業など、これまで種を播いてきた新たな事業分野での取り組みが、これから先、コンテンツの活用やビジネス領域の拡大、地域活性化への貢献などにつながることを目指し、グループの持続的成長の促進を図っていきます。
成長を支える基盤の強化
新型コロナウイルス拡大は、経済全般へ甚大な影響をもたらしました。私たちが未だかつて経験したことのないような状況においても事業を継続するために、最優先すべきは、従業員の安全を確保し、人材を守っていくことです。あわせて、報道機関を持つ当社グループは、緊急時や非常事態などにおいては、主要な収入である広告が大幅に減少したり、全く無くなったりした場合でも、放送を続けるばかりでなく、平時以上の情報を提供し続けるという使命を負っているため、財務基盤を常に強化し続ける必要があります。
堅固な財務基盤のもと、人材を守り、情報メディアとしての機能を維持し続けながら、今回の危機を乗り越えていくことは、その先において、必ずや将来の成長を支える源泉となっていくものと考えています。その一方で、今回の危機への対応から見えてきた変化や、知恵、工夫を生かし、リモートワークや業務の効率化など、新たな働き方の創出、そして新しいメディアの在り方に関しても検討を進めていきます。
「100年企業」へ向かって
創立70周年を迎える今年、取り巻く環境は日々、変化し続けますが、上記目標及び課題に対処していくことこそが、報道機関、情報インフラとしての使命を果たしつつ、企業としての持続的な成長につながっていくものと確信しています。
民間放送のパイオニアとして歴史を先導してきた当社グループは、まずは、地域の皆さまがコロナ危機を乗り越え、収束後における生活の立て直しに役立てるよう尽力していきます。そして、その収束後における社会構造の変化も見極めながら、大きな変革を飛躍の糧とし、事業領域を広げ、未来に向かって持続的に成長することで、地域で最も信頼されるメディア企業グループとして、あらゆるステークホルダーの皆さまに最大の満足を提供できる存在であり続けたいと考えています。
なお、会社の支配に関する基本方針は、次のとおりです。
当社グループは、テレビ、ラジオの放送を通じてすぐれた報道、情報、娯楽番組を制作し、地域社会や文化に貢献することを経営の基本理念にしています。テレビやラジオは、公共性の高いメディアであり、通信技術の進展に伴ってメディアが多様化しても、基幹メディアの地位を維持していくものと考えています。このため、中長期的な視点に立って、安定的に経営を継続していくことが重要であり、それが、ひいては企業価値、株主価値の向上につながるものと確信しています。
当社は、こうした経営の基本理念を支持する者が、「会社の財務および事業の方針の決定を支配する者」であることが望ましいと考えています。
なお、当社では、株式に対する大規模な買収行為がなされた場合に備えた具体的な枠組み(いわゆる「買収防衛策」)は定めていません。
事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 景況等の影響について
当社グループの売上の多くは、広告収入に依存しています。特に、大きなウエイトを占めているテレビスポット収入は、国内景気の全体の動きに加え、広告主である各企業の業績や広告出稿に対する動向などとの連動性が強くなっています。このため、景況や広告主の動向によって、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、放送事業の広告収入を柱としながらも、不動産関連セグメント他の事業により収益基盤を強化しており、リスクの最小化に努めております。
(2) 視聴率、聴取率による影響
視聴率、聴取率は、スポンサーにとって、CMが、視聴者、リスナーにいかに到達しているかを示す指標となっています。このため、視聴率、聴取率の変動は、放送関連部門の売上高に影響を与えることになります。
テレビにおける視聴率のうち、ゴールデンタイム、プライムタイムと呼ばれる時間帯の多くは、キー局である㈱TBSテレビが制作、編成していますが、こうした番組の視聴率動向によっても、売上高が大きく変動する可能性があります。
当社グループのCBCテレビでは、キー局制作の番組を番組宣伝などにより多くの視聴者に見ていただけるよう努める一方、自社による編成時間帯では、自社制作番組の強化などにより、高い視聴率を獲得できるよう取り組んでおります。
(3) 他メディアとの競合について
テレビメディアはその到達率に関して他の追随を許さず、広告メディアとしての優位性を保っていますが、技術の飛躍的な進歩によるメディア、情報デバイスの多様化は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、最大のリーチメディアである地上波放送を軸に、通信を活用した多様な出口戦略にも取り組み、グループの業容拡大と収益性の最大化を目指してまいります。
(4) 大規模災害の発生時や新型コロナウイルス感染症拡大などによる緊急時対応について
当社の本社のある名古屋市をはじめ、放送サービスエリア内の広い範囲が、東海地震に係る地震防災対策強化地域および東南海・南海地震防災対策推進地域に指定されています。当社グループでは、本社建物や電波を送り出す瀬戸のデジタルタワーを始めとした放送関連施設について、最大限の地震対策を施しております。
また、当社グループの放送関連部門は報道機関であることから、大地震をはじめとする大規模な災害や今般の新型コロナウイルス感染症拡大などの緊急時や非常事態においても、放送を続けるばかりでなく、平時以上の情報を提供し続けるという使命を負っております。
当社グループでは、財務基盤を常に強化し続けることで、広告収入が一定期間大幅に減少したり全く無くなった場合でも放送事業を継続できるよう備えております。また、こうした有事の際の放送事業継続にあたっては、BCPに則り、対応マニュアル発動、テレワーク等勤務体制の変更、番組収録体制の工夫等、事業リスクの最小化に向けた施策を推進してまいります。
(5)新型コロナウイルス感染症拡大による業績への影響について
今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、事業を取り巻く環境について先行き不透明な状況が生じています。すでに足元の状況として広告出稿をはじめとする売上高の減少等がみられますが、今後影響がさらに拡大、長期化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、コストコントロールを徹底することで業績への影響が最小となるよう対策をしてまいります。
(6) 年金債務について
当社グループの年金資産の時価が大きく変動した場合や、年金資産の運用利回りが変動した場合、業績に大きな影響が出る可能性があります。また、金利環境の変動などの要因により、退職給付債務等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 有価証券等の保有について
当社グループが保有する有価証券は、政策保有目的の株式など当社の企業価値向上を目的として中長期的に保有しているものですが、これらについては大幅な株式市況の下落や投資先の実質価額の著しい下落があった場合には、多額の評価損が計上され、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出や生産では弱さが続く一方で、設備投資の増加や雇用情勢の改善がみられましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、期末にかけて厳しい状況となっています。また、当社グループに影響を与えるテレビの広告市況につきましては、年間を通して厳しい状況で推移しました。
このような事業環境の下、当社グループの当連結会計年度の売上高は、330億94百万円(前期比2.8%減)となりました。利益面では、営業利益は15億82百万円(前期比34.5%減)、経常利益は20億3百万円(前期比29.2%減)となりました。特別利益において固定資産売却益を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は24億83百万円(前期比46.6%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(注)売上高については、セグメント間の取引を相殺消去しております。
〈放送関連〉
当セグメントは、当社、㈱CBCテレビ、㈱CBCラジオ、㈱CBCクリエイションならびに㈱CBCコミュニケーションズで構成されます。
CBCグループの中核をなすテレビ事業は、視聴率やメディア価値を高め、収益を向上させることを目標としました。
当期の年間視聴率は、全日帯(6:00~24:00)が6.6%、ゴールデンタイム(19:00~22:00)が10.6%、プライムタイム(19:00~23:00)が10.6%となりました。
平日午後帯改革の一環として、昨年4月からスタートした報道情報番組『チャント!』(月~金曜 15:49~19:00放送)は、これまで培った「骨太の報道」に、身近な生活情報や芸能情報を充実させ、より幅広い視聴者層の獲得を目指しました。新たな視聴者は着実に増えており、さらなる内容の充実を進めてまいります。
平日午後帯改革のもう一つの大きな柱である情報生ワイド番組『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』(月~金曜 13:55~15:49放送)は、ますます放送エリアを拡大しており、昨年7月には高知地区、10月には鹿児島、大分、愛媛地区、さらに今年4月からは、山梨、福島、宮崎、岡山・香川地区で放送が開始され、ローカルの枠を超えて全国に通用する情報番組として成長を続けています。
また、このエリアの土曜の朝を代表する番組となった情報生ワイド番組『なるほどプレゼンター!花咲かタイムズ』(土曜 9:25~11:30放送)は、12年連続で同時間帯視聴率1位となりました。
一方、ラジオ事業は、ターゲットとなるリスナーをより絞り込んだ番組制作やスポンサーニーズと番組コンテン
ツを融合した企画で、マネタイズの機会拡大と収益の向上を目指しました。
聴取率では、6月の中京圏個人聴取率調査(12才~74才)で、総合1位となりました。
昨年4月には、土曜深夜の時間帯に声優がパーソナリティを務める番組を増やしたほか、平日夕方にスポーツ情報番組『ドラ魂キング』(月曜 16:00~18:00 火~金曜 16:00~17:53放送)の放送を開始しました。10月には、平日深夜帯を5年半ぶりに改編しました。地元若手タレントを起用した『チュウモリ』(月~金曜 22:00~24:30放送)をスタートし、着実に新たな若年層リスナーを獲得しています。有料で開催した各番組の関連イベントには、多くの来場者が訪れ、夏恒例の『CBCラジオ夏まつり2019』(7月)も盛況を博し、売上向上に貢献しました。
テレビ・ラジオを支えるコンテンツ制作力は、今期も高い評価を得ました。テレビでは、都会の負の産物を引き受ける残土ビジネスの実態を追った『土がくる~規制なき負の産物の行方』が第74回文化庁芸術祭のテレビ・ドキュメンタリー部門で優秀賞を受賞しました。この番組に関連した一連の報道は、第56回ギャラクシー賞の報道活動部門の選奨に選ばれました。また、過去の伊勢湾台風の映像をAI技術でカラー化した『伊勢湾台風60年 色と記憶』が61回科学技術映像祭の研究・技術開発部門で文部科学大臣賞を受賞しました。ラジオでは、余命宣告を受けた女性がヘルプマーク普及活動に尽力する姿を追ったドキュメンタリー『マリエのように』が、2019年日本民間放送連盟賞の準グランプリに輝きました。
このほか、CBCのメディア価値向上につながる企画・イベントにも取り組みました。節目の記念大会となった『第60回中日クラウンズ』(5月)や名古屋を代表するクラシックの祭典『第42回名古屋国際音楽祭』(3~7月)といった恒例のイベントをはじめ、『サラ・ブライトマン』(4月)『KISS』(12月)といった海外アーティストのコンサート、また、『ビートたけし“ほぼ”単独ライブ』(8月)をこのエリアで初めて開催するなどし、いずれも好評を博しました。
また、将来のメディア環境の変化も見据えた新たな取り組みを始めました。CBCテレビを含む在名放送局4局共同でスマートフォンやパソコンでニュース番組などを視聴できる動画配信サービス「Locipo(ロキポ)」をスタートさせ、系列の枠を超えて利用者拡大を目指します。
このような事業活動等を展開した結果、テレビ事業において『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』の放送エリア拡大に伴い番組販売収入が増収となったことや、ラジオ事業が増収となった一方で、全国的にスポット市況が低迷する中、名古屋地区へのスポット投下量が前期を下回る状況が続きテレビスポット収入が減少したことから、「放送関連」の売上高は297億50百万円(前期比3.1%減)となりました。
利益面では、テレビ事業における番組販売収入の増加による利益の押上げや、ラジオ事業における増収や費用低減による増益効果があったものの、売上規模の大きいテレビスポットの減収により、営業利益は4億29百万円(前期比65.1%減)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、今年4月開催予定であった大型音楽イベントや、『第61回中日クラウンズ』など各種のイベントが中止となったため、イベント中止損失2億70百万円を特別損失に計上しております。
〈不動産関連〉
当セグメントは、当社と㈱千代田会館ならびに㈱CBCビップスで構成されます。
「不動産関連」は、前期に保養所跡地を再開発により収益物件化したことや、東京および名古屋駅エリアの賃貸ビルにおける収入増加などにより、売上高は17億58百万円(前期比0.6%増)となりました。利益面では、増収効果はありましたが、賃貸物件の修繕費が増加したことにより、営業利益は10億53百万円(前期比2.1%減)となりました。
〈その他〉
ゴルフ場事業を営む㈱南山カントリークラブ、保険代理業などを営む㈱CBCビップスならびにタクシー業を営む文化交通㈱で構成される「その他」は、売上高が15億86百万円(前期比0.3%減)、営業利益は99百万円(前期比11.8%減)となりました。
② 財政状態の状況
(a)資産の部
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べて1億69百万円増加し、714億34百万円となりました。
主な増加要因として、現金及び預金が43億37百万円増加しております。また、主な減少要因として、保有株式の時価下落などに伴い投資有価証券が38億94百万円減少しております。
(b)負債の部
当連結会計年度末における負債は1億3百万円増加し、159億18百万円となりました。
主な増加要因として、退職給付に係る負債が6億68百万円、流動負債の「その他」が5億26百万円それぞれ増加しております。また、主な減少要因として、繰延税金負債が3億62百万円、長期預り保証金が2億67百万円、未払法人税等が2億2百万円それぞれ減少しております。
(c)純資産の部
当連結会計年度末における純資産は66百万円増加し、555億15百万円となりました。
その他有価証券評価差額金が24億50百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益と配当金の支払いとの差額により利益剰余金が19億55百万円増加し、非支配株主持分も5億17百万円増加したことにより、純資産全体では増加となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて43億36百万円増加し、167億60百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は31億88百万円となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上44億97百万円、減価償却費の計上12億46百万円、退職給付に係る負債の増加額7億36百万円、売上債権の減少額5億53百万円および法人税等の還付額2億95百万円です。また主な減少要因は、法人税等の支払額13億27百万円です。
なお、固定資産売却益25億15百万円、投資有価証券売却益2億58百万円は投資活動により発生した損益であることから、営業活動によるキャッシュ・フローから控除されています。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の増加は21億26百万円となりました。主な増加要因は、有形及び無形固定資産の売却による収入25億19百万円、信託受益権の償還による収入(純額)5億99百万円、投資有価証券の売却による収入4億51百万円です。また、主な減少要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出13億9百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は9億78百万円となりました。これは、配当金の支払額5億28百万円や預り保証金の返還による支出4億69百万円があったことによるものです。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)当連結会計年度の経営成績の分析
(売上高および営業利益)
当社グループは一昨年、「中期経営計画2018-2020」を策定いたしました。策定にあたり、当計画期間を、「100年企業」となる2050年においても成長し続けるグループとなるために、主力であるテレビ・ラジオの放送を中心に既存の事業を更に強化しつつ、グループ全体で将来の種を播き、成長の可能性を見出す3年間と位置付けました。
しかしながら、計画2年目となる当連結会計年度は5期ぶりの減収、営業利益も3期連続の減益となりました。これは主に当社グループの中核をなす「放送関連」セグメント、特に主力であるテレビスポット収入の落ち込みによるものです。不安定な海外情勢による企業収益の悪化や一部大手広告主の販促費へのシフトなどに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大による広告宣伝費への影響が追い討ちをかけ始めております。その一方で、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大は、信頼ある地域情報を届ける情報インフラとしての放送の存在意義を改めて示す機会ともなりました。今、優先すべきは、地域の皆さまが今回の危機を乗り越え、収束後における生活の立て直しに役立てるよう尽力していくことです。そして、その上で、「最大のリーチメディアである地上波放送を軸に、様々なメディアを活用しながら、地域性と信頼性に基づくコンテンツを発信し、その成果をデータで示す」。この一連の流れを確立し、放送メディアの価値をさらに向上させていくことが、中長期的な収益の確保につながり、さらには今後いかなる状況においても、地域の情報インフラとして存在し続けることにつながっていくものと考えております。
そして、グループの成長を支えるため、体制と基盤も常に強化し続けていく必要があります。当連結会計年度においても「不動産関連」セグメントは増収となっていますが、今後もビジネス領域の拡大や事業の多角化により、主力の放送事業を支え、グループの持続的成長を促進していこうと考えております。
2020年度は、当連結会計年度以上に、新型コロナウイルス感染症の拡大が業績に影響を及ぼすことが予想されますが、まずは地域の情報インフラとして、住民の生命、生活、財産の維持に全力を尽くすことが最優先です。その上で、放送関連収入の落ち込みを取り戻しつつ、次世代に向けた新たな事業領域の創出を目指すことにより、次期中期経営計画に向けて、基盤をできるだけ高く積み上げることに注力いたします。
なお、上記事項を含むセグメント別の売上高および営業利益の詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)対処すべき課題」並びに「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、受取配当金の増加などにより、前期比13百万円(3.1%)増の4億60百万円となりました。一方で、営業外費用は、前期比4百万円(12.0%)増の40百万円となりました。この結果、経常利益は前期比8億25百万円(29.2%)減の20億3百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は、東京都千代田区の土地の一部を譲渡したことに伴う固定資産売却益や、投資有価証券売却益を計上したため、前期比27億45百万円増の27億73百万円となりました。特別損失は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により各種のイベントが中止となったことに伴いイベント中止損失を計上したため、前期比2億5百万円(280.5%)増の2億78百万円となりました。
税金費用は、税金等調整前当期純利益の増益により、前期比4億28百万円(40.5%)増の14億87百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比7億89百万円(46.6%)増の24億83百万円となり、前期を大幅に上回りました。
(b) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、テレビやラジオの放送における番組制作や送出に係る費用のほか、多額を要する放送設備の更新と社屋関係へのインフラ投資、持続的な成長を維持するための事業展開に向けた投資が見込まれております。また、株主還元等については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。
当社グループは、健全な財務状態及び営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資ならびに株主還元等に要する資金を調達することが可能と考えております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は167億60百万円となっております。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の数値ならびに当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える見積りおよび仮定設定を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積もり及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に係る当連結会計年度の会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
(a)固定資産の減損
当社グループは、減損の兆候が認められた場合には事業計画に基づく将来キャッシュ・フロー及び不動産鑑定評価額等から関連する経費を差し引いた正味売却価額を用いて、減損損失の認識の要否を判定しております。今後、経営環境の悪化により将来キャッシュ・フローが減額された場合や保有資産の市場価額が下落した場合には、回収可能価額が低下し損失が発生する可能性があります。
(b)投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係維持のため、また余資運用目的で有価証券および投資有価証券を所有しております。この中には市場価額のある公開会社への投資と、時価の決定が困難な非公開会社への投資が含まれております。今後、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、投資の減損が計上されることになります。投資価値の下落が一時的でないとの判断は、「金融商品会計基準」に従って行っております。
(c)繰延税金資産
当社グループは、課税所得の将来見積額や一時差異等のスケジューリングの結果に基づき繰延税金資産を計上しております。今後、経営環境の悪化により課税所得の見積りが減額となった場合には繰延税金資産を取り崩す必要が生じる可能性があります。
(d)退職給付費用
当社グループでは、従業員退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。また、一部の子会社については簡便法を採用しております。
当社グループの年金制度において、割引率は優良社債の市場利回りを基準に算出しております。長期期待運用収益率は、年金資産が退職給付の支払に充てられるまでの時期、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針および市場動向等を考慮して決定しております。このため、上記の前提条件に変更が生じた場合、退職給付費用の額が変動する可能性があります。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はありません。
当連結会計年度において、当社グループで特筆すべき研究開発活動は行っておりません。