第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針および経営環境

当社グループは、放送という公共性の高い事業を中核としており、「テレビ、ラジオの放送を通じてすぐれた報道、情報、娯楽番組を提供し、地域社会や文化に貢献する」ことを経営の基本理念としております。

テクノロジーの進展、メディア・デバイスの多様化、広告市場の変化、少子高齢化と人口の減少、新型コロナウイルス感染症の影響などで、当社グループを取り巻く経営環境は大きく変わってきております。これまで、主力である放送事業は、高成長・高収益をもたらしてきましたが、視聴者や聴取者はいまや、時間、空間、デバイスを問わず、コンテンツを取捨選択するようになりました。放送は絶対的に優位なメディアではなくなっていることは事実です。しかし、その一方で、大規模な災害や感染症拡大などの緊急時において、信頼ある情報を発信するメディアの存在価値は改めて見直され、とりわけ地域に根差したローカル放送局が果たす役割の重要性は、ますます高まってきております。こうした環境変化を踏まえ、当社グループはこれからも、地域を代表するメディア、そして報道機関として、地域にとって有益な情報、魅力あるコンテンツ、そして生活者のライフスタイルにふさわしいサービスを提供し続けてまいります。

当社グループの中核をなす放送事業は、広告市場から大きな影響を受けるという特殊性を持っております。ウクライナや中東などの世界情勢や、アメリカの政策動向による不安定な経済情勢は、広告市況の停滞につながり、当社グループの業績にも影響を及ぼします。これから先、いかなる状況下にあっても、地域住民の生命、財産を守るという放送事業者としての使命を全うするためには、様々な環境変化に柔軟に対応し、安定した経営基盤を確保し続けていくことが重要であると考えております。

 

(2)対処すべき課題

日本で初めての民間放送として1951年にラジオ放送を開始した中部日本放送は2025年12月、「創立75周年」を迎えます。私たちはこれまで、自らの取材にもとづき、社会で起こっている事象を伝え、健全な娯楽や役に立つ情報でこの地域の皆様の喜怒哀楽に変わらず寄り添ってまいりました。

一方でスマートフォンの登場により社会には膨大な量の情報があふれ、様々な業界でデジタル化が加速度的に進んでいます。「いつでも」「どこでも」「なんにでも」アクセス可能な社会は生活を便利にしましたが、同時に「フィルターバブル」「エコーチェンバー」「アテンションエコノミー」といった現象が顕在化しています。SNSの拡散力は時に二元論や分断をうみ、国内外の選挙結果に大きな影響を与えています。そして、我々既存のメディアは「オールドメディア」と称され、その存在意義を問われています。

また近年、我が国は生命の危機に直結する記録的な猛暑や頻発する豪雨災害など、かつてない自然の猛威に晒されています。8月には、日向灘を震源とする地震の発生を受け、気象庁が初めて「南海トラフ地震臨時情報」を発表するなど、切迫した状況が現実味を帯びてきています。

情報に対する信頼が揺らぎ、予測不能な災害の脅威に生活が脅かされる今こそ、放送が持つ公共性と信頼性が、社会から強く求められています。私たち放送局が長きにわたり培ってきた「信頼」こそ、何物にも代えがたい最大の財産であります。そして、これからも真に価値ある良質なコンテンツを提供し続けることが、地域の皆様からの更なる信頼を勝ち得る唯一の道です。

創立75周年を機に、私たちはあらためてその使命を認識し、これからも時代の変化を的確に捉え、培ってきた信頼を礎とし、新たな情報発信の可能性を追求し、地域社会の発展に貢献してまいります。

 

フェアな姿勢でデジタル化社会に「信頼」を

「信頼」を失わずに維持していくためには、「フェア」=公正でなければなりません。ルールを守るコンプライアンスだけが「フェア」ではありません。社会の規範や価値観は時代とともに変わるからです。私たちは多様性や人権などを大切にし、コンプライアンスの先にある「フェア」な姿勢で時代にあった新しい価値を生み出していかなければなりません。

現在、社会において人権侵害やハラスメントに対して、これまで以上に厳しい視線が注がれています。私たちは従前から「CBCグループ行動憲章」(2007年3月)、「CBCグループ人権方針」(2023年12月)を掲げ、その精神と内容を徹底してきました。

我々には公共の電波を預かっている責任があります。公共性への自覚と、放送事業者としての倫理観を持ち、いかなる状況においても「フェア」を追求し続け、社会の信頼に応えてまいります。

 

「中期経営計画2024-2026」

当社は「地域で最も信頼されるメディアコンテンツグループとして地域社会の経済や文化の発展に寄与し続ける」という普遍的な経営方針のもと、当期を初年度とする「中期経営計画2024-2026」を策定しました。

本計画実行にあたり、大切にしている3つのキーワードがあります。それは「地域」「コンテンツ」「人財」です。信頼を培い、最重要マーケットである「地域」から、グループ成長のため我々が生み出していくのが「コンテンツ」です。「コンテンツ」はエリアを超えグローバルにも展開できますし、放送や配信で発信されるものだけでなく、グループ各社が提供する商品・サービスもそのひとつと考えています。そして、最も大切なものは成長戦略の原動力であり財産でもある「人財」です。

当社は2014年以降、認定放送持株会社体制を敷いています。グループの主力である放送ビジネスを取り巻く環境は配信プラットフォームの成長により、厳しさを増しています。グループ成長のため、2030年にあるべき姿を定め、「収益構造改革」と「デジタル推進」を2つの改革の柱とし、戦略の転換により、収益ポートフォリオの最適化を図ることを進めています。

デジタル時代における競争力向上のため、各社の自立と協調を促しつつ、グループ全体のトータルマネジメントを行い、すべてのリソースを有効に活用して、CBCグループを発展させていきます。

 

〈メディアコンテンツ関連〉

生活におけるメディア全体への接触時間は増え、2024年の日本の総広告費はインターネット広告費がけん引役となり3年連続で過去最高を更新しました。テレビの総個人視聴率・PUT(=Persons Using Television)は減少傾向が続いていますが、スポットを中心とするテレビCMへの広告主の需要はむしろ大きくなっています。2024年はラジオに加えて、地上波テレビも3年ぶりに総広告費が前年実績を上回り、当社グループのCBCテレビ、CBCラジオはともに増収となっています。デジタル広告はターゲットのセグメントが容易にでき、広告効果の検証もしやすいというメリットがある一方で、詐欺広告やブランドセーフティ等のリスクが顕在化しており、放送広告の公共性や安全性があらためて評価されつつあります。こういった環境下で、「従来の放送ビジネス」の再価値化(リブランディング)で視聴率の向上と広告価格の適正化を目指してまいります。

一方で「新たな収益の柱」として、アニメ、ドラマ、映画など「知的財産(IP)事業」や、放送枠以外の商品を開発する「ビジネスプロデュース(BP)事業」を成長させ、新たな収益ポートフォリオの構築も進めています。

IP事業の取り組みとして、4月に日曜夜のアニメ放送枠を『アガルアニメ』(日曜 23:30~24:00放送)としてスタートし、全国へ向けてアニメコンテンツを放送しています。アニメに限らず、デジタルや海外など、エリアを越えたコンテンツ流通に積極的に取り組んでまいります。

BP事業は、放送に加えてCBCのIP、デジタル、リアルなどを複合的に組み合わせ、スポンサーの課題を解決する領域です。12月には『セカンドライフフェス』、3月には大規模イベント『5チャン春祭り』を開催するなど、自主運営のイベントには多くの企業に協賛をいただきました。

CBCテレビで放送中の番組では、『ゴゴスマ』(月~金曜 13:55~15:49放送)が、関東での放送開始10年目で初めて関東地区で個人視聴率同時間帯1位を獲得しました。2025年4月以降は金曜日のみローカルで1時間放送時間を拡大してさらなる番組の可能性を追求しています。また、平日夕方のワイド番組の『チャント!』は18時15分からの45分間、ローカルニュースに特化した番組『newsX(ニュースクロス)』(月~金曜 18:15~19:00放送)を新たにスタートしました。ローカル報道のフラッグシップとしての役割を担います。

CBCラジオも4月、朝の情報番組をリニューアルし『CBCラジオ #プラス!』(月~金曜 6:30~9:00放送)がスタートし、幅広い世代の方にお楽しみいただいています。

デジタル化が急速に進む社会において持続的な成長を実現するためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)への積極的な取り組みが不可欠です。データの活用を進め、ビジネス価値を創造し競争優位性につなげるとともに、DXを推進することにより、業務の効率化も進めてまいります。放送機能の先進化に向けては、テクノロジーの進展に合わせた新たな設備投資も必要です。また、報道機関である当社グループは、いつ、いかなるときも、その役割を果たし続けていく使命があるため、財務基盤を常に強化し続ける必要があります。そして、テクノロジーの進化をはじめとする社会の動きに的確に対応できるよう、多様な人材の採用や育成を進め、組織の成長につながる「人財」の育成を行ってまいります。

 

 

〈不動産関連〉

保有資産の「選択と集中」戦略に基づき、新たなポートフォリオの構築を行った不動産関連事業は、安定的な収益をもたらしました。引き続き、保有資産の収益率向上に努め、グループを支える収益基盤の強化に向け、さらなる高度利用の検討を進めていきます。

 

〈その他〉

その他の各社における事業に関しては、メディアグループの一員として放送事業を支える機能を強化するとともに、CBCのブランド力を活かしたさらなる連携、協業を推進し、グループ外売上の拡大を図ります。

 

 メディアコンテンツグループとしての使命、SDGs達成への貢献

当社は、当地域でいち早く「SDGメディア・コンパクト」に加盟し、テレビやラジオなどを通じて啓蒙活動に注力してきました。CBCグループはSDGs宣言をし、地域に根差したメディアコンテンツグループとして、SDGs達成に貢献していきます。

 

 ~CBCグループSDGs宣言~

CBCグループは、国際社会の共通目標として掲げられたSDGsに賛同し、「地域で最も信頼されるメディアコンテンツグループ」を目指して、様々な価値の創造、正確で有益な情報発信を続けていきます。

視聴者・リスナーをはじめ、地域の皆さまとともに様々な問題を考え、行動し、全ての人が笑顔で日々を暮らせる未来を目指します。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス及びリスク管理
 当社グループは、「100年企業」に向けたサステナブル(持続可能)な価値の創造を目指すことを目的として、当社代表取締役を議長とする「CBCサステナビリティ会議」を設置しています。「CBCサステナビリティ会議」の下に「CBCサステナビリティ委員会」「CBCサステナビリティワーキンググループ」を組織し、グループのサステナビリティに関する目標・計画などを立案、実行しています。 

 また当社グループは、「CBCグループ行動憲章」に、「環境への配慮」、「人権の尊重」、「公正な取引の維持」などを掲げ、グループの全職員がこれを行動指針としています。

 こうした体制をもとに、当社取締役会が持続可能な社会の実現に係る重要事項を踏まえ、当社グループ全体のリスクや機会を管理し、ガバナンスの強化を進めています。また、中期経営計画の策定においては、外部環境の変化によるリスクや機会を識別・評価し、取締役会の承認を得ています。なお、環境への対応や人的資本に関する事項等につきましては、定期的に常勤取締役会に報告しており、重要リスクを把握・管理しています。

 

(2) 戦略

 当社グループは、中期経営計画の策定において、2050年の当社創立100周年を見据え、外部環境の変化を認識し、2030年のあるべき姿に向けたグループ構造改革の立案と具体的目標の設定を行っています。その中で、当社グループの普遍的な経営方針として、「地域で最も信頼されるメディアコンテンツグループとして、地域社会の経済や文化の発展に寄与し続ける」ことを目指しています。

  また、以下の「CBCグループ SDGs宣言」を掲げ、本方針に基づく取組みとして、SDGメディア・コンパクトに加盟し、SDGsに関する社会課題の解決に向けた情報発信を推進しています。

 

<CBCグループ SDGs宣言>

 

CBCグループは、国際社会の共通目標として掲げられたSDGsに賛同し、「地域で最も信頼されるメディアコンテンツグループ」を目指して、様々な価値の創造、正確で有益な情報発信を続けていきます。

 

「未来にワクワクを」をキーワードに、視聴者・リスナーをはじめ、地域の皆さまとともに、様々な問題を考え、行動し、全ての人が笑顔で日々を暮らせる未来を目指します。

 

 

<CBCグループが取り組む重点目標>

 

1 安心・安全に住み続けられるまちづくりを

公正・正確な情報を発信し、地域の皆さんの命と財産、自然環境及び歴史を守ることに努め、役に立つ情報と楽しい番組で皆さんの人生を豊かにすることを目指します。

 

2 豊かな自然環境を守り、気候変動対策を進める

東海地方には豊かな自然環境が今も多く存在します。放送事業を通して自然環境保護を啓発するとともに、自社においても環境負荷軽減に努め、気候変動対策に貢献します。

 

3 未来にワクワクを 子どもに笑顔を

これからの未来をつくる子どもたちを支え、これからも子どもたちがワクワクするような学びの場を提供し、子どもたちの笑顔を大切にします。

 

4 未来を担う人材の育成、働きがいのある企業へ

「民放第一声」以来70年以上受け継がれてきた「パイオニア精神」と「信念を持って継続する力」を大切にし、多様な人材が働きがいや誇りを感じ、常に新しい価値を生み出せるよう環境整備を進めます。

 

 

 

また、当社グループは、人権を尊重する責任をよりいっそう果たすべく、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「CBCグループ人権方針」を下記の通り制定しております。

 

<CBCグループ人権方針>

 

CBCグループは「真実と自由を求める」「価値の創造に生きる」「協同と責任をたっとぶ」と綱領に定め、従前掲げてきた「CBCグループ行動憲章」や「番組基準」に沿って、企業活動を通じた人権尊重に取り組んできました。

 

今回策定する「CBCグループ人権方針」は、「CBCグループ行動憲章」に基づいた人権への方針・取り組みを詳述するものであり、CBCグループは役職員を含むあらゆるステークホルダーの基本的人権を尊重する責任を果たすよう努めてまいります。

 

また、CBCグループと取引のあるビジネスパートナーやその他の関係者に対しても、本方針の理解と遵守を求め人権の尊重を期待します。

 

1.基本姿勢

CBCグループの全企業活動を通じて、人権を尊重します。

 

2.適用範囲

CBCグループ全役職員

 

3.差別の禁止

私たちは、人格や個性を尊重し、性別、年齢、国籍及び出身、人種、宗教、政治的思想、経済的または社会的関係、障がいの有無、婚姻歴、子どもの有無、性的指向、性自認等によって、差別を行いません。

 

4.番組制作や提供するサービスにおける人権尊重

私たちは、視聴者や取材対象者、サービスの提供を受ける全ての方の人権やプライバシーが損なわれることのないよう、誠実なコンテンツ制作やサービスの提供を心がけます。私たちが発信・提供する全てのコンテンツやサービスで基本的人権を尊重し、自律・公平を確保することによって表現の自由を守り、社会の人権意識向上に努めます。

 

5.職場での人権尊重

私たちは、強制労働、過重労働、最低賃金を下まわる労働、児童労働、いかなる差別、ハラスメントも認めません。安全で健康的な職場環境を整備し、結社の自由及び団体交渉権を尊重します。

 

6.人権尊重に関する規範や法令の遵守

「日本国憲法」ならびに「国際人権章典」「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」に挙げられた基本的人権に関する規範を支持・尊重し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」や政府の「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」の考えに基づき、社会的責任を果たすよう努めます。

 

 

 

 

人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針としては、中核人材の登用等における多様性の確保について、性別・国籍・採用ルート等の属性に依ることなく、個人の能力・成果に基づく評価・登用を行っており、一人ひとりの個性や多様性を尊重しています。また、多様性の確保に向けた人材戦略として、ライフイベントと仕事の両立を支援する各制度や、人材育成方針に基づく教育研修体系を整備しており、多様な人材の活躍を推進しています。また、中核会社である㈱CBCテレビにおいて、女性活躍推進法ならびに次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画として、それぞれ以下の行動計画を策定しております。なお、㈱CBCテレビは、一定の基準を満たした企業が「子育てサポート企業」として厚生労働大臣から認定を受ける制度「くるみん認定」を取得しました。

 

 

<一般事業主行動計画(女性活躍推進法)> 

 女性の就業継続、キャリア形成を推進するとともに、全ての社員が能力を最大限に発揮できる職場環境を作るため、次のように行動計画を策定しました。(2021年4月1日策定)

 

1.計画期間 2021年4月1日~2026年3月31日

 

2.目標と取組内容

 

  目標1 正社員に占める女性割合を25%に引き上げる

   ●取組内容(2021年4月~) 

     ・正社員の新卒採用の割合を男女半々とする方針を継続する

     ・育児休業後、安心して職場復帰できる支援の取組みを集約し、周知する

     ・育児等の理由で離職した女性の再雇用制度を安定的に運用する

     ・女性の多様なキャリアコースの拡充に向けて検討する

 

  目標2 管理職に占める女性割合を2015年度比3倍にする

   ●取組内容(2021年4月~)

     ・女性管理職育成のための研修プログラムを継続的に実施する

     ・女性の積極的な育成と公正な評価に向け、所属長へのヒアリングを定期的に実施する

 

  目標3 正社員の有給休暇取得率を40%に引き上げる

   ●取組内容(2021年4月~)

     ・年次有給休暇の取得促進のため取得奨励日を設定し、全社に周知する

     ・管理職等責任者に研修等を通じて定期的に取得促進を周知する

 

 

<一般事業主行動計画(次世代育成支援対策推進法)>

 職員ひとりひとりが働きやすい環境の中で仕事と生活を両立させることができ、次の世代を担う子どもたちが健やかに生まれ育つ環境を作るため、新たな行動計画を策定します。(2025年3月25日策定)

 

1.計画期間 2025年4月1日から2027年3月31日までの2年間

 

2.目標と取組内容

 

  目標1 仕事と子育ての両立がしやすく、ひとりひとりが働きやすい環境作り

   ●取組内容(2025年4月~)

     ・ソフト・ハードの両面からひとりひとりの働きやすさを創出し労働環境を整える

     ・ワークライフバランスの向上を目指し年次有給休暇取得率50%以上を目標にする

     ・よりいきいきと健康的に働けるために、社員のセルフケアを積極的に支援

 

  目標2 男性の育児休業取得を促進し、子育てしながら働く環境を整える

   ●取組内容(2025年4月~)

     ・制度活用促進のために周知を行い、取得しやすい環境を整備

       男性の育児休業取得率について、30%以上を目指す

       女性の育児休業取得率について、100%維持を目指す

 

  目標3 地域の放送局として、次世代の健やかな育成に寄与する活動に取り組む

   ●取組内容(2025年4月~)

     ・子供達の夢を応援する活動やメディアリテラシー向上につながる取組みを継続

       小学校への出張授業、こども絵画展、絵本読み聞かせ、親子ワークショップなど

     ・大学生を対象としたインターンシップなど、就業体験の機会の提供

       インターンシップ、美術展、高校・大学への出張授業など

 

 

 

(3) 指標及び目標

上記「(2) 戦略」に記載しておりますが、当社グループでは中核会社である㈱CBCテレビにおいて、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関わる指標として、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性割合

2026年3月末までに2015年度の3.7%から3倍となる11.1とする。

14.4

正社員に占める女性割合

2026年3月末まで25に引き上げる。

24.3

正社員の有給休暇取得率

2026年3月末まで40に引き上げる。

42.9

育児休業取得率

男性:10%以上、女性:80%以上を目指す。

男性:100%、女性:100%

 

(注) 上記指標については、㈱CBCテレビにおいては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載はしておりません。

 

3 【事業等のリスク】

事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 景況等の影響について

  当社グループの売上の多くは、広告収入に依存しています。特に、大きなウエイトを占めているテレビスポット収入は、国内景気の全体の動きに加え、広告主である各企業の業績や広告出稿に対する動向などとの連動性が強くなっています。このため、景況や広告主の動向によって、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、放送事業の広告収入を柱としながらも、不動産関連セグメント他の事業により収益基盤を強化しており、リスクの最小化に努めております。

 

(2) 視聴率、聴取率による影響

  視聴率および聴取率は、スポンサーにとって、CMが、視聴者および聴取者に、いかに到達しているかを示す指標となっています。このため、視聴率や聴取率の変動は、メディアコンテンツ関連部門の売上高に影響を与えることとなります。

テレビにおける視聴率のうち、ゴールデンタイム、プライムタイムと呼ばれる時間帯の多くは、キー局である㈱TBSテレビが制作、編成していますが、こうした番組の視聴率動向によっても、売上高が大きく変動する可能性があります。

当社グループの㈱CBCテレビでは、キー局制作の番組を番組宣伝などにより多くの視聴者に見ていただけるよう努める一方、自社による編成時間帯では、自社制作番組の強化などにより、高い視聴率を獲得できるよう取り組んでおります。

 

(3) 他メディアとの競合について

テレビメディアは受像機が広く普及しており、広告メディアとしての優位性を保っていますが、技術の飛躍的な進歩によるメディア、情報デバイスの多様化は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、報道、制作、編成、営業の各部署が連携して、番組を主軸としたコミュニケーション力を最大化する「総合力」を生かして、70年余りの間に培ってきた制作力に基づくコンテンツを生み出し、最大のリーチメディアである地上波放送や通信を活用した多様なメディア戦略によって、その価値を最大化し、グループの業容拡大と収益性の最大化を目指してまいります。

 

(4) 大規模災害の発生、気候変動、感染症拡大などへの対応について

  当社の本社がある名古屋市をはじめ、放送サービスエリア内の広い範囲が、東海地震に係る地震防災対策強化地域および東南海・南海地震防災対策推進地域に指定されています。当社グループでは、本社建物や電波を送り出す瀬戸のデジタルタワーを始めとした放送関連施設について、最大限の地震対策を施しております。

また、当社グループのメディアコンテンツ関連部門は報道機関であることから、大地震をはじめとする大規模な災害や感染症拡大など、緊急時や非常事態においても、放送を続けるばかりでなく、平時以上の情報を提供し続けるという使命を負っております。

さらに、地球規模で深刻さを増す気候変動は、日本でも異常気象が大規模な災害をもたらしており、災害による被害に加え、気候変動に対処する規制などが当社をはじめ様々な企業の活動に影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループでは、財務基盤を常に強化し続けることで、広告収入が一定期間大幅に減少したり、全く無くなったりした場合でも放送事業を継続できるよう備えております。また、こうした有事の際の放送事業継続にあたっては、BCPに則り、対応マニュアル発動、テレワーク等勤務体制の変更、番組収録体制の工夫等、事業リスクの最小化に向けた施策を推進してまいります。

 

 

(5) 有価証券等の保有について

  当社グループが保有する有価証券は、政策保有目的の株式など当社の企業価値向上を目的として中長期的に保有しているものですが、これらについては大幅な株式市況の下落や投資先の実質価額の著しい下落があった場合には、多額の評価損が計上され、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 法的規制について

  当社は、放送法が定める認定放送持株会社として放送法ならびに関係の法令に規制されております。また、当社グループの主たる事業である放送事業は、電波法や放送法等の法令に規制されております。当社は1951年8月に放送法に基づく放送免許を取得して以来、同法による免許の有効期間である5年ごとに更新を続け、その後、2013年4月にラジオ放送免許を㈱CBCラジオに、2014年4月にテレビ放送免許を㈱CBCテレビに、それぞれ承継し、当社は2014年4月に認定放送持株会社化して現在に至っております。

 いずれの会社も、将来において、電波法、放送法等の法令による規制に重大な変更があった場合や、それらの法令に抵触する決定を受けた場合には、当社グループの事業活動や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、内部管理体制の強化やコンプライアンス体制の整備に努めてまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 

売上高
(百万円)

営業利益
(百万円)

経常利益
(百万円)

親会社株主に帰属する
当期純利益
(百万円)

2024年3月

32,625

1,381

2,062

1,186

2025年3月

33,296

1,546

2,116

1,331

増減率(%)

2.1

11.9

2.6

12.2

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善などにより緩やかに回復しているものの、物価の上昇の継続により、個人消費の持ち直しには一部に足踏みが残りました。また、金融資本市場の変動リスクや不安定な世界情勢、アメリカの政策動向などにより、先行き不透明な状況が続きました。

一方、当社グループに影響を与える広告市況につきましては、概ね堅調に推移しました。

このような事業環境の下、当社グループの当連結会計年度の売上高は332億96百万円(前期比2.1%増)となりました。利益面では、営業利益は15億46百万円(前期比11.9%増)、経常利益は21億16百万円(前期比2.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億31百万円(前期比12.2%増)となりました。

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

メディアコンテンツ関連

不動産関連

その他

売上高
(百万円)

営業利益
(百万円)

売上高
(百万円)

営業利益
(百万円)

売上高
(百万円)

営業利益
(百万円)

2024年3月

29,818

202

1,855

1,080

951

114

2025年3月

30,490

359

1,862

1,079

943

107

増減率(%)

2.3

77.8

0.4

△0.1

△0.8

△6.2

 

(注)売上高については、セグメント間の取引を相殺消去しております。

 

〈メディアコンテンツ関連〉

  当セグメントは、当社、㈱CBCテレビ、㈱CBCラジオ、㈱CBCクリエイション、㈱CBCコミュニケーションズ、㈱ケイマックスならびに㈱CBC Dテックで構成されます。

 当期を初年度とする「中期経営計画2024-2026」では、「地域」「コンテンツ」「人財」の3つをキーワードに掲げ、「従来の放送ビジネス」の再価値化(リブランディング)により視聴率の向上と広告価値の適正化を目指す一方、「新たな柱」としてアニメ、ドラマ、映画など「知的財産(ⅠP)事業」や、放送枠以外の商品を開発する「ビジネスプロデュース(BP)事業」を成長させ、新たな収益ポートフォリオの構築を進めてまいりました。

 視聴率向上への取り組みとしてCBCテレビでは、平日午後の生情報番組強化に注力しました。放送開始から12年を迎えた情報生ワイド番組『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』(月~金曜 13:55~15:49放送)は、名古屋地区の個人視聴率で同時間帯1位(2期連続)を獲得したほか、関東地区でも初の同時間帯1位をとるなど他地区でも視聴率の上昇傾向が見られました。放送エリアがさらに増え、現在全国25局40都道府県で放送されています。

 また平日夕方のニュース情報番組『チャント!』(月~金曜 15:49~19:00放送)は、東海3県の暮らしに役立つ情報から社会性の高いニュースの深掘りまで、“地元”にこだわった放送を展開しています。

 情報生ワイド番組『なるほどプレゼンター!花咲かタイムズ』(土曜 9:25~11:30放送)は、個人および世帯視聴率で放送開始から17年連続同時間帯1位となるなど、週末の情報番組として地域を代表する存在になっています。

 2023年10月にゴールデンタイムのレギュラー番組としてスタートした『太田×石井のデララバ』(水曜 19:00~20:00放送)は、爆笑問題の太田光と『ゴゴスマ』の石井亮次アナウンサーが東海地方の地元ネタを徹底的に掘り下げる番組です。全国ネット番組がひしめくゴールデンタイムで個人視聴率が同時間帯1位を獲得した日もあり、CBCテレビの新たなフラッグシップ番組として成長しています。

 また、『歩道・車道バラエティ 道との遭遇』(火曜 23:56~24:44放送)は、全国の「道」をテーマに独自の切り口で展開する内容が評価され、放送文化基金賞のエンターテインメント部門で最優秀賞を受賞しました。

 ⅠP事業の一環としてスタートしたアニメビジネスについては、全国ネット『アガルアニメ』枠(日曜 23:30~24:00放送)を立ち上げ、『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』、『キン肉マン 完璧超人始祖編』を放送しました。数ある全国ネットのアニメ枠のなかでも注目の枠となっており、視聴率も好調で幸先のよいスタートを切っています。

 こうした放送活動の結果、当期のCBCテレビの年間視聴率は、個人全体で全日帯(6:00~24:00)が2.6%、ゴールデンタイム(19:00~22:00)が4.2%、プライムタイム(19:00~23:00)が4.0%となりました。

 当期は映画の出資も積極的に行いました。前期の4作品を大きく上回る10作品に出資し、なかでも『ラストマイル』が400万人以上の観客を動員し、興行収入59億円に、また『グランメゾン・パリ』が約280万人の観客を動員し、興行収入40億円を超える大ヒットになりました。

 イベント部門では、『第64回中日クラウンズ』(5月)に4日間で2万人を超える観客が来場し当日券の販売が大幅に伸びました。また名古屋を代表するクラシックの祭典『第47回名古屋国際音楽祭』(4~7月)も前年を上回る売上となりました。

 放送枠以外でスポンサーのニーズに寄り添った商品開発を行うBP事業としては、名古屋国際会議場で開催したミドルシニアに向けたイベント『セカンドライフフェス』(12月)や栄の久屋大通公園で開催した『5チャン春祭り』(3月)などで協賛セールスを積極的に進めたほか、商業施設や公共スペースでの販売促進イベントを受託し、売上を伸ばしました。

 配信部門では、TVerを強化し『ゲンキの時間』『太田×石井のデララバ』などのレギュラー番組や日本民間放送連盟賞(番組部門 テレビバラエティ 優秀)受賞の『ハートフルワールド』など単発番組を配信するほか、YouTubeでも『CBCニュース』や『CBCドキュメンタリー』、『燃えドラch』などが好調で、チャンネル登録者数が増加しています。

 CBCラジオでは、2024年の春改編で、25年続いた『多田しげおの気分爽快!!朝からP・O・N』に代わり『CBCラジオ #プラス!』(月~金曜 6:30~9:00放送)がスタートしました。CBCの若手・中堅アナウンサーがMCを務め、ニュースからエンターテインメント情報までリスナーの朝にプラスになる情報をお届けしています。

 またリスナー層の拡大を目指すべく、前期に引き続き若年層向け施策を実施しました。CBCラジオのパーソナリティの座をかけ、東海3県の高校生が番組制作力を競い合うコンテスト『トーク甲子園』を実施し、優勝した現役高校生による新番組『たっちゃん部』(火曜 21:30~21:40放送)を放送しました。

 またradikoでは、ライブ聴取とタイムフリー聴取を合わせた総合計で、聴取者の数、再生時間、再生回数の全てにおいて中京圏エリア1位となり、聴取者の数は前期から順調に伸びています。

 ラジオ主催のイベントも多数開催しました。恒例の『CBCラジオ夏まつり』(7月)や、『CBCラジオ春の終活文化祭~シニアにYELL!~』(3月)をはじめ、豊田スタジアムで開催した『三河ラジオフェス&とよた軽まつり』(4月)、『CBCラジオ秋まつりinリトルワールド』(11月)などの大型イベントが盛況を博し、グッズ販売も好調で収益の向上に貢献しました。

 

 このような事業活動の展開により、当期はテレビタイム収入やテレビスポット収入が増加しました。一方で、映像コンテンツ制作を営む子会社において受注の減少がありましたが、「メディアコンテンツ関連」の売上高は304億90百万円(前期比2.3%増)となりました。

 利益面では、テレビタイム収入やテレビスポット収入の増収に加え、固定費の減少などにより、営業利益は3億59百万円(前期比77.8%増)となりました。

 

〈不動産関連〉

当セグメントは、当社と㈱千代田会館ならびに㈱CBCビップスで構成されます。

「不動産関連」は、名古屋栄地区の賃貸ビルにおいて増収となったことにより、売上高は18億62百万円(前期比0.4%増)となりました。

利益面では、修繕費の増加などにより、営業利益は10億79百万円(前期比0.1%減)となりました。

 

〈その他〉

ゴルフ場事業を営む㈱南山カントリークラブならびに保険代理業などを営む㈱CBCビップスで構成される「その他」は、前期に大型設備更新工事の受注があった反動減などにより、売上高は9億43百万円(前期比0.8%減)、営業利益は1億7百万円(前期比6.2%減)となりました。

 

 

 

 

② 財政状態の状況

  (a)資産の部

当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べて19億86百万円増加し、887億82百万円となりました。

これは、減価償却により有形及び無形固定資産が6億85百万円、有価証券が3億円それぞれ減少した一方で、債券の購入や保有株式の時価上昇などにより投資有価証券が24億38百万円、退職給付に係る資産が6億7百万円それぞれ増加したことなどによるものです。

  (b)負債の部

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて2億67百万円増加し、169億48百万円となりました。

これは、流動負債のその他が1億25百万円減少した一方で、保有株式の時価上昇などにより繰延税金負債が3億97百万円、未払費用が1億37百万円それぞれ増加したことなどによるものです。

    (c)純資産の部

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて17億19百万円増加し、718億34百万円となりました。

これは、親会社株主に帰属する当期純利益と配当金の支払額の差額により利益剰余金が9億35百万円、保有株式の時価上昇に伴いその他有価証券評価差額金が4億43百万円、退職給付に係る調整累計額が3億円それぞれ増加したことなどによるものです。

 

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

 

2024年3月

2025年3月

増減額

(百万円)

(百万円)

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

4,213

2,945

△1,268

投資活動によるキャッシュ・フロー

△778

△2,743

△1,965

財務活動によるキャッシュ・フロー

△485

△486

△1

現金及び現金同等物の増減額

2,950

△284

△3,234

現金及び現金同等物の期首残高

11,314

14,264

2,950

現金及び現金同等物の期末残高

14,264

14,012

△252

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて2億52百万円減少し、140億12百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は29億45百万円となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上21億69百万円、減価償却費の計上17億7百万円です。また主な減少要因は、法人税等の支払額8億97百万円です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は27億43百万円となりました。これは、投資有価証券の取得による支出18億32百万円や有形及び無形固定資産の取得による支出11億71百万円などによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は4億86百万円となりました。これは、配当金の支払額3億96百万円や預り保証金の返還による支出75百万円などによるものです。

 

 

 ④ 販売の状況

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

メディアコンテンツ関連

30,490

2.3

不動産関連

1,862

0.4

報告セグメント計

32,352

2.1

その他

943

△0.8

合計

33,296

2.1

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

2  主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

 

相手先

前連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱電通

7,146

21.9

7,468

22.4

㈱博報堂DY
メディアパートナーズ

5,528

16.9

6,075

18.2

 

(注)  ㈱博報堂DYメディアパートナーズは、2025年4月1日付で㈱博報堂を承継会社とする吸収分割により、㈱博報堂に統合しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

(a)当連結会計年度の経営成績の分析

 (売上高および営業利益)

 当社グループは2024年を初年度とする「中期経営計画2024-2026」を策定し、当連結会計年度は1期目となります。

 当計画においては、当社の最大の財産である長年かけて培ってきた「信頼」を活かして、「従来の放送ビジネス」の拡大、そして「新たな収益の柱」の構築を通じてメディアコンテンツ関連セグメントを強化する収益構造改革を掲げ、取り組んでぉります。

 計画1期目となる当連結会計年度は3期ぶりの増収、連結営業利益は2期連続の増益となりました。テレビのタイム、スポットを中心としたメディアコンテンツ関連セグメントの伸長が増収増益につながっています。

 2024年の日本の総広告費は3年連続で過去最高を更新し、地上波テレビの総広告費も3年ぶりに前年実績を上回りました。テレビの総個人視聴率・PUT(=Persons Using Television)は減少傾向が続く一方で、放送広告の公共性や信頼性に対する広告主からの評価はあらためて高まりつつあります。このような環境の下で「従来の放送ビジネス」の再価値化(リブランディング)を進め、視聴率や聴取率の向上、および広告価格の適正化を目指してまいります。

 同時に、アニメを中心とするIP(知的財産)事業や、当社のIP、デジタル、リアルを複合的に組み合わせ、スポンサーの課題を解決するBP(ビジネスプロデュース)事業も、「新たな収益の柱」にすべく積極的に取り組んでまいります。

 そして、グループの成長を支える体制と基盤も常に強化し続けていく必要があります。不動産関連セグメントは、今後も保有資産の収益率向上を図ることで、主力のメディアコンテンツ関連事業を支え、グループの持続的成長を促進していこうと考えております。

 また、メディアとして、地域住民の生命、生活、財産の維持に全力を尽くすことを最優先とし、中期経営計画の実行で将来にわたる経営基盤の安定化を進め、今後いかなる状況においても、地域の情報インフラとして存在し続けていくことを目指してまいります。

 なお、上記事項を含むセグメント別の売上高および営業利益の詳細については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

 (経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、受取配当金の減少などにより、前期比1億6百万円(15.3%)減5億85百万円となりました。一方で、営業外費用は、前期比5百万円(45.4%)増16百万円となりました。この結果、経常利益は前期比53百万円(2.6%)増21億16百万円となりました。

 

 (親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益は、当社の連結子会社である㈱ケイマックスが、当社の非連結子会社であった㈱マルホランドを吸収合併したことに伴い、抱合せ株式消滅差益37百万円を計上したほか、投資有価証券売却益23百万円を計上しました。また、特別損失は、遊休土地の減損損失などを計上し、前期比3百万円(127.7%)増7百万円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1億44百万円(12.2%)増13億31百万円となりました。

 

(b)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析

 「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

  資本の財源及び資金の流動性

  当社グループの主な資金需要は、テレビやラジオの放送における番組制作や送出に係る費用のほか、多額を要する放送設備の更新と社屋関係へのインフラ投資、持続的な成長を維持するための事業展開に向けた投資が見込まれております。また、株主還元等については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。

  当社グループは、健全な財務状態及び営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資ならびに株主還元等に要する資金を調達することが可能と考えております。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は140億12百万円となっております。

 

 ② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の数値ならびに当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える見積りおよび仮定設定を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、経営者による見積りを要する主な会計方針およびその見積り要素は下記のとおりです。

なお、この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(a)固定資産の減損

当社グループは、減損の兆候が認められた場合には事業計画に基づく将来キャッシュ・フロー及び不動産鑑定評価額等から関連する経費を差し引いた正味売却価額を用いて、減損損失の認識の要否を判定しております。今後、経営環境の悪化により将来キャッシュ・フローが減額された場合や保有資産の市場価額が下落した場合には、回収可能価額が低下し損失が発生する可能性があります。

 

(b)投資の減損

当社グループは、長期的な取引関係維持のため、また余資運用目的で有価証券および投資有価証券を所有しております。この中には市場価格のある公開会社への投資と、市場価格のない非公開会社への投資が含まれております。今後、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、投資の減損が計上されることになります。投資価値の下落が一時的でないとの判断は、「金融商品に関する会計基準」に従って行っております。

 

(c)繰延税金資産

当社グループは、課税所得の将来見積額や一時差異等のスケジューリングの結果に基づき繰延税金資産を計上しております。今後、経営環境の悪化により課税所得の見積りが減額となった場合には繰延税金資産を取り崩す必要が生じる可能性があります。

 

5 【重要な契約等】

当連結会計年度において、重要な契約等はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度において、当社グループで特筆すべき研究開発活動は行っておりません。