第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社は放送事業を核とする認定放送持株会社として、エリアに貢献する総合メディア企業体を目指して、戦略的かつ安定的な経営をこころがけております。経営を取り巻く環境の変化はスピードを増していますが、情報発信に留まらず、自らも持続可能な社会を目指して、エリアの方々とともに行動して参ります。

放送事業においては、インターネットをはじめとするデバイス多様化の影響で、地上波テレビの視聴率は業界全体で漸減傾向にあり、視聴率に連動するスポット収入も減少しております。これを受け、当社は、コンテンツ制作力を高め視聴者の期待により一層応えられるように取り組むとともに、制作現場の労働環境の改善や働き方改革の推進、組織の改編も進めております。

またストレートニュースがインターネット上で一瞬にして共有化される時代にあって、記者の継続的な取材力を生かした調査報道やデータ比較、分析など我々独自のジャーナリズムでコンテンツを展開することも必要とされており、既にニュースをはじめ様々なコンテンツを、インターネットを通じて配信しております。2024年の日本の広告費の中で、テレビメディア関連の動画広告は、前の年より47.4%も伸びました。RKB毎日放送株式会社が各種ニュースサイトに配信しているニュースやRKBオンラインへのアクセス数も増えており、その広告収入も着実に伸びております。放送で培ったコンテンツ制作力を活かして、PodcastやSNSなどインターネットも駆使した情報発信を今後も進めて参ります。

次に、株式会社BCCを中心とするシステム関連事業ですが、DX(デジタルトランスフォーメーション)による企業変革と人材不足を背景としたデジタル化の需要の高まりにより、極めて大きな転換期を迎えております。従前からのコアビジネスである、官公庁、自治体、医療機関、空港、ホームセンター、ドラッグストアなどの社会インフラ分野を対象とした堅実な事業推進を行うとともに、AI、セキュリティなどの新たな技術へのチャレンジ、首都圏を中心とした全国のマーケットへのビジネス展開を加速し、更なる企業価値の向上を目指して参ります。

新規事業については、サーモンを陸上養殖する宗像陸上養殖株式会社が本年3月に竣工式を執り行いました。環境に配慮した養殖施設を整備し、サーモンの生産能力は年間500トン、初出荷は2025年度中を予定しております。サーモンは人気が高いものの国内消費のおよそ8割を海外からの輸入に頼っており、生産を安定させることで、持続的に当社の収益に貢献するものと確信しております。

その他事業については、これからも魅力ある事業イベントを地域の方々に提供して参ります。またEC事業を行うFun Standard株式会社を本年1月に子会社としております。同社が持つSNSやネットを活用したECサイトの運営ノウハウを活用し、ネットと放送(テレビ・ラジオ)両方を有機的に活用する形で「放送局×コマース」の事業を展開することで、当社グループで制作する番組やイベントなどとのシナジー効果を期待しております。

当社グループは、経済情勢の変化やデジタル化の進展など社会の変容、また国際情勢などを見据えた施策を推進するとともに、的確な情報発信に努め、すべてのステークホルダーの期待に応えて参ります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループでは気候変動への対応を重要な社会的な課題の一つと捉え、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき気候変動が社会にもたらす影響を放送やイベントを通じて啓蒙しております。「Be colorful」という理念のもと、多様性を尊重し、公正で透明性の高い経営に取り組むことを基本的な考えとしております。その実現のため、株主、視聴者、取引先、地域社会、従業員等を含むステークホルダーと良好な関係を築き、長期的な視点に立ちグループ企業価値の向上を目指すべく経営活動を推進しております。

 

(1) ガバナンス

当社グループでは、2021年1月1日付で、連結子会社であるRKB毎日放送株式会社の組織としてSDGs推進室を設置し、サステナビリティに関する様々なリスク及び機会を検討しております。また、人材育成及び社内環境整備につきましては経営管理局が検討をしております。SDGs推進室及び経営管理局は取締役会及び経営会議にサステナビリティに関する議案を必要に応じて提出します。取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。SDGs推進室及び経営管理局で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループのサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての審議・監督を行っております。

 

(2) 戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

① 採用方針

当社グループでは、人材の確保のため、新規卒業者を対象とした定期採用に加えて、様々な経験やスキルを有し即戦力となる中途採用も積極的に行い、多様性のある組織をめざしております。

② 社内環境整備方針

当社グループでは、年齢、性別及び障がいの有無等に関係なく、多様な人材が意欲をもって活躍できる職場環境の構築を推進しております。

③ 人材育成方針

当社グループでは、自ら考えて行動する人材の育成に重きを置き、成長を支える制度の実現や、様々な知識や経験をもった人材が自律的に学び、成長できる環境を整えてまいります。

④ 健康経営

当社グループでは、従業員の健康を重要な経営資源と捉え、健康状況を把握し改善する取り組みを推進しております。健康診断で体調やメンタル不調の未然防止に努め、健康やメンタルの不安に対して対応する産業医のカウンセリング窓口、EAP(従業員支援プログラム)専門機関と連携した相談窓口を設置し健康維持増進につなげております。また、コンプライアンス推進室を新設予定です。

 

(3) リスク管理

当社グループにおいて、全社的なリスク管理は、リスク管理委員会において行っておりますが、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについて、SDGs推進室及び経営管理局の中でより詳細な検討を行い、共有しております。優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、当社グループに与える財務的影響、当社グループの活動が環境・社会に与える影響、発生可能性を踏まえ行われます。

重要なリスクは、経営会議の協議を経て戦略、計画に反映され、取締役会へ報告、監督されます。サステナビリティに関するリスクへの対応状況は、SDGs推進室及び経営管理局においてモニタリングされ、その内容は必要に応じて取締役会へ報告されます。サステナビリティ関連の機会の識別、評価や優先順位付けは、SDGs推進室及び経営管理局において行われ、重要と認識された機会については、経営会議の協議を経て戦略、計画に反映され、取締役会へ報告、監督されます。

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した健康経営に関する方針に係わる指標について、関連する指標のデータとともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社の共通目標は設定していないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営むRKB毎日放送㈱のものを記載しております。

 

指標

目標 2025年度

実績 2024年度

健康診断受診率

100.0

96.1

ストレスチェック受検率

100.0

88.1

コンプライアンスアンケート
(年2回)回答率

100.0

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 国内景気変動による業績への影響

当社グループの収入の柱である放送事業は、企業の広告費に拠っており、企業が景況に応じて広告費を調整する傾向にあるため、国内の景気動向に大きく影響を受ける可能性があります。当社グループは、国内景気の動向を慎重に見極めコストの削減等の方策をとっておりますが、当社グループの経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2) 放送事業における競合の影響

放送事業では、広告枠の販売をめぐり福岡地区の他の放送局と競合関係にあります。連結子会社であるRKB毎日放送㈱は自社制作番組はもとより、㈱TBSテレビや㈱TBSラジオを中心としたネットワーク番組でも、競合他社より優位に立てるような強力なコンテンツの開発、制作に努めております。しかしながら、テレビやラジオコマーシャルの放送時間枠の販売価格を決定する大きな要素である視聴率や聴取率の動向が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 他メディアとの競合による影響

合併効果による規模拡大を武器にサービス内容を向上させているCATV、高速化大容量化等の機能向上や携帯端末向けサービスが多様化する携帯電話、さらにブロードバンドの進化により広く一般家庭に普及したインターネットは、ユーザーニーズをとらえて多くの人々の関心を引き付け、広告価値を急速に高めております。特にインターネット広告については、既にテレビメディアの広告を上回り大幅な伸びを見せております。これら他メディアの広告価値が一層高まれば、地上波テレビ放送の広告価値を低下させることになり、当社グループの経営を圧迫する可能性があります。

 

(4) 大規模災害や感染症の蔓延による影響

当社グループの放送関連施設は地震等の災害に対して最大限の対策を施しておりますが、想定を上回る大規模災害の発生により、放送関連施設が大きな被害を受ける可能性があります。

また、経済活動に甚大な影響を与える感染症が世界的又は全国的な規模で長期的に流行した場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 放送業界に対する法的規制の影響

当社は、放送法が定める認定放送持株会社として放送法並びに関係の法令に規制されています。また、当社グループの主たる事業である放送事業は、公共の電波を利用して放送事業を行うことから電波法、放送法等の法令により厳格な規制を受ける免許事業者であります。放送法は、放送の健全な発展を図ることを目的とし、番組編集の自由や放送番組審議会の設置などを定めております。また、電波法は、電波の公平かつ能率的な利用を確保し、公共の福祉を増進することを目的としており、無線局の免許制度を定め、放送局の免許の有効期間等も定めております。当社は1951年10月にラジオ放送の免許、1958年2月にテレビ放送の免許を取得しており、それ以来、免許の有効期間である5年毎に免許の更新を続けております。2016年4月1日に認定放送持株会社化した当社に代わって、連結子会社であるRKB毎日放送㈱が同日免許を承継して現在に至っております。

電波法は、所定の事態が生じた場合における総務大臣の権限として、電波の発射の停止や無線局の免許の取消等を定めております。テレビ、ラジオ放送事業の継続は、当社グループの存立を左右する問題であるため、そのような事態が生じることのないよう常に心がけ、放送に携わっています。しかしながら、仮に電波法の規定により放送免許の取消等を受けた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。また、今後も法律等の改正により、当社グループの経営環境が大きく変化する可能性があります。

なお、電波法では、外国人等が「放送をする無線局」の業務を執行する役員である場合、または外国人等が直接出資のみならず直接・間接を併せて議決権の5分の1以上を占める場合、免許を与えないとされております。このため、放送法では一定条件のもとで、外国人等からの名義書き換えを拒むことができるとされております。外国人等の有する議決権の割合が100分の15に達した場合には、放送法の規定により、その割合を公告しております。また、放送法及び放送法施行規則では、一の者が有し、または有するものとみなされる当社株式の保有割合の合計が、当社総株主の議決権に占める割合の3分の1を超えることとなるときは、当該超過部分の議決権を有しないとされております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や訪日外国人旅行者数の増加等により、国内景気が緩やかな回復基調となりました。一方で、米国の政策動向や欧州における高い金利水準の継続、中国経済停滞の継続的な影響など、海外景気の下振れによるわが国の景気の下押しリスクに加え、物価上昇、金融資本市場の変動等が影響し、依然として先行きは不透明な状況が続いております。当社グループの主力事業分野である広告業界では、2024年の日本の広告費が総額で前年を上回り、地上波テレビは前年比101.6%、ラジオは前年比102.0%となりました。

このような情勢の中、当社グループは放送事業をはじめ、システム関連事業、不動産事業、その他事業で積極的な営業活動を展開したところ、全体の売上高は242億51百万円と前年度に比べ4億2百万円(1.7%)の増収となりました。

この結果、経常利益は、経費の効率的な運用に努めたこともあり、15億47百万円と前年度に比べ91百万円(6.3%)の増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益も7億90百万円と前年度に比べ73百万円(10.2%)の増益となりました。

事業別の経過及びその成果は、次のとおりです。

 
a.放送事業

放送事業の収入は141億49百万円と前年度に比べ1.7%の増収となり、営業利益は4億56百万円と前年度に比べ4.5%の増益となりました。

(テレビ事業)

タイム収入は、女子プロゴルフトーナメント「RKB×三井松島レディス」や音楽イベント「福岡音楽祭 音恵2024」、「北九州マラソン」に加え、今年度から新たに取り組んだ女子プロゴルフステップ・アップ・ツアー「サロンパスレディスオープン」などの各種イベントに精力的に取り組みましたが、大型レギュラー番組の終了等が響き、0.8%の減収となりました。

スポット収入は、前年度に比べて2.3%の増収となりました。業種別では、食品部門や情報通信部門、自動車部門が好調でしたが、昨年の酒税法改正の反動で、アルコール飲料部門は伸び悩みました。福岡地区に対するスポットの投下額は前年度に比べ1.4%増加し、特に8月以降は需要が高まりました。この結果、テレビ事業全体では前年度に比べ1.3%の増収となりました。

番組編成面では、平日午後に「タダイマ!」「タダイマ!NEWS」、金曜日午前に「金曜ももピッ!」、日曜日に「サンデーウォッチ」を生放送で編成し、ニュース・スポーツ・エリアの情報を中心に視聴者に届けました。北九州で起きた中学生殺傷事件を総力取材した一連の報道は「JNN大賞」を受賞しました。水曜19時からの「まじもん!」では「福岡えこひいきクイズ」などの企画が視聴者に支持されました。昨年5月から始まった土曜日午後の情報バラエティ「ハカタの王様」は、若年層・ファミリー層の視聴者をとらえております。

ドキュメンタリーでも、諫早湾干拓事業の是非を問うた「誰のための公共事業~ギロチンが宝の海を壊した~」がギャラクシー賞テレビ部門で奨励賞を受賞するなど、地域の抱える問題を映し出した番組が高い評価を得ました。木曜深夜の「エンタテ!区~テレビが知らないe世界~」では、「バーチャル大道具さんと作るメタバース音楽番組」の技術がJNN技術賞の番組技術部門で入賞しました。また、女性のウェルビーイングやフェムテック(女性の健康課題を解決する技術やサービス)普及を促進する企画を番組やイベントなど多角的に展開し、社会課題と向き合いました。昨年12月に全国放送した「独占取材!ピラミッドの常識を覆す3つのカギ 5000年の謎を解く新説とは?」では、エジプト・ギザにある発掘現場の独占取材が叶い、多くの反響を得ました。

スポーツの分野では、パ・リーグを制した「福岡ソフトバンクホークス」やJ1「アビスパ福岡」など地元プロスポーツの試合を、日々の番組を通して伝えました。他にも女子プロゴルフトーナメント「RKB×三井松島レディス」や「別府大分毎日マラソン」、北九州市で開催された「ブレイキンワールドマッチ2025 日韓頂上決戦」を全国に向けて発信しました。

 

 

(ラジオ事業)

タイム収入は、ラジオショッピングなど通販の落ち込みや長年続いたレギュラータイムの終了により、昨年から減少傾向にありましたが、競馬中継の通年化や新規番組の開始、単発番組セールスなどにより、4.8%の増収となりました。スポット収入についても、新規顧客の獲得、イベント告知などにより1.7%増収となりました。制作収入は、マネーセミナーや公開録音イベントの開催に加え、前年度に引き続き昨年10月に開催した全社イベント「カラフルフェス2024」の売り上げも好調で、16.0%の増収となりました。これらの結果、ラジオ事業全体では前年度に比べ7.2%の増収となりました。

番組編成面では、テレビ番組と連動した日曜ワイド番組「サンデーウォッチR」を昨年秋に開始し、ニュースサイト「NEWS DIG」とも連携しました。また、福岡市博多区に音声コンテンツ特化型レンタルスタジオ「RKBスタービル博多祇園スタジオ」を開設し、企業・団体・個人が高品質な収録・配信を行える環境を提供しております。このスタジオからの番組「サンデー・チェンジメーカーズ」も放送を開始しました。

番組では、冨士原圭希アナウンサーが企画・脚本・演出を手がけた特撮風ラジオドラマ「空想労働シリーズ サラリーマン」が日本民間放送連盟賞・番組部門ラジオエンターテインメント<優秀>を受賞し、ギャラクシー賞のラジオ部門優秀賞、放送文化基金賞のラジオ部門優秀賞と合わせて3冠を達成しました。第2期となる「帰りたいサラリーマン」も放送しました。また、金曜日のワイド番組「立川生志 金サイト」は、ギャラクシー賞のラジオ部門奨励賞を受賞しました。

 

b.システム関連事業

企業の経済活動の活発化と人手不足を背景にDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する需要が高まり、全体的には堅調に推移しました。

官公庁領域では、国による自治体システム標準化の準備期間にあることから、新規需要の失速はあるものの、税制改正や福祉政策の変更によるシステム対応に加えPC・サーバの販売など需要取り込みにより、収入が計画を大きく上回りました。医療分野でも病院の電子カルテや医療事務システムの更新に加え、新規導入による病院数の増加により当分野の拡大を行いました。

民需領域では、ドラッグストアのセキュリティサービス展開やメーカー直販店のDX対応など、引き続き顧客伴走型での事業推進を行い収入を拡大しました。また、インバウンドの増加に伴い空港のグランドハンドリング用DXソリューションも需要が高まり、開発した大規模空港向け新規システムが羽田空港で稼働したほか、中小規模空港向け自社クラウドサービスも機能の向上とともに実績を伸ばすことができました。

全体としてもパートナー企業との連携強化による多くの人的リソース確保に加え、サービス化推進による効率化、品質改善の実現、増加分原価のマーケットに対する価格転嫁などにより、システム関連事業の収入は81億19百万円と、前年度に比べて3.4%の増収となりました。また、経費面ではSIサービス原価の最適化、仕入コストの低減を進めた結果により、営業利益は9億8百万円と前年度に比べ56.1%の増益となりました。

 

c.不動産事業

賃貸不動産の建替え等で賃貸収入が減少したことなどにより、9億93百万円と前年度に比べ2.3%の減収となり、営業利益は10億2百万円と前年度に比べ3.8%の減益となりました。

 

d.その他事業

催事部門は「大哺乳類展-わけてつなげて大行進」「天野明展」「生誕100年 山下清展 -百年目の大回想」などの主催イベントを積極的に開催しましたが、前年の反動を埋めるには至らず減収となりました。一方、通販事業やデジタル広告は好調でした。また、映画出資にも注力しましたが、収入は9億89百万円と前年度に比べ7.4%の減収となりました。損益状況は、催事部門における減収及び新規事業であるサーモン陸上養殖において工場建設費用が発生したことなどにより前年度に比べ1億27百万円減少し、営業損失は92百万円となりました。

 

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により22億26百万円増加し、有形固定資産の取得等により投資活動で48億2百万円減少、短期借入金の返済等により財務活動で13億33百万円減少したことなどにより、当連結会計年度末には、前連結会計年度末に比べ39億8百万円減少し(前連結会計年度は17百万円の増加)、62億65百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、22億26百万円(前連結会計年度は25億82百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上15億38百万円と減価償却費の計上11億68百万円により資金が増加したものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、48億2百万円(前連結会計年度は27億50百万円の使用)となりました。これは主に、サーモン陸上養殖の工場建設(福岡県宗像市)、賃貸用建物建設(福岡市中央区)及び賃貸用不動産購入(東京都品川区)等の有形固定資産の取得32億53百万円、投資有価証券の取得4億31百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得4億21百万円により資金が減少したものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、13億33百万円(前連結会計年度は1億85百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の返済8億円とリース債務の返済3億57百万円により資金が減少したものであります。

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

  a.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

 

放送事業

14,149

1.7

 

システム関連事業

8,119

3.4

 

不動産事業

993

△2.3

 

その他事業

989

△7.4

 

合計

24,251

1.7

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱電通

3,186

13.4

3,279

13.5

㈱博報堂DYメディアパートナーズ

2,171

9.1

2,203

9.1

 

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

当社グループは、放送を核とした総合メディア企業として、主たる事業である放送事業のコンテンツ制作力を高め、放送による地域貢献を推し進め、また、グループ各社の連携を深めグループ全体の企業価値を向上させつつ新たな経営視点でビジネス領域を広げ、戦略的でかつ安定的な経営を実現する強靱かつ持続可能な企業体を目指しています。

当連結会計年度における売上高は、242億51百万円と前年度に比べ4億2百万円(1.7%)の増収となりました。また、売上原価と販売費及び一般管理費を合わせた営業費用は、228億85百万円と前年度に比べ3億20百万円(1.4%)増加しました。

この結果、営業利益は、13億65百万円と前年度に比べ81百万円(6.4%)の増益となりました。また、経常利益も、15億47百万円と前年度に比べ91百万円(6.3%)の増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益も、7億90百万円と前年度に比べ73百万円(10.2%)の増益となりました。

なお、セグメントごとの経営成績等については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(財政状態)

当連結会計年度末の総資産は、554億98百万円と前連結会計年度末と比べ11億35百万円増加しました。これは主に、企業結合により商品が8億81百万円増加し、のれんが4億66百万円発生したこと等によるものであります。

当連結会計年度末の総負債は、146億87百万円と前連結会計年度末と比べ6億3百万円増加しました。これは主に、企業結合により借入金(流動及び固定)が10億4百万円増加したこと及び設備投資によりリース債務(流動及び固定)が2億84百万円増加したこと等によるものであります。

当連結会計年度末の純資産は、408億11百万円と前連結会計年度末と比べ5億31百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が6億26百万円増加したこと等によるものであります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により22億26百万円増加し、有形固定資産の取得等により投資活動で48億2百万円減少、短期借入金の返済等により財務活動で13億33百万円減少したことなどにより、当連結会計年度末には、前連結会計年度末に比べ39億8百万円減少し(前連結会計年度は17百万円の増加)、62億65百万円となりました。

なお、詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、放送設備等の取得は継続的に予定されています。運転資金は内部資金及び必要に応じて銀行借入等で調達しております。流動資産から流動負債を控除した運転資本については、流動資産が上回っております。また、資金運用については短期的な定期預金及び安全性の高い金融商品に限定しており流動性を高めております。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の数値並びに当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行います。

当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、特に貸倒引当金、投資の評価、繰延税金資産の回収可能性及び退職給付に関する見積り及び判断が連結財務諸表の作成に重要な影響を及ぼすと考えております。

なお、見積り及び判断・評価につきましては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

 

5 【重要な契約等】

連結子会社であるRKB毎日放送㈱は、放送事業において、概略下記内容のネットワーク協定を締結しております。

(1) テレビジョンネットワーク

連結子会社であるRKB毎日放送㈱は、㈱TBSテレビとJNNネットワーク基本協定を締結しております。

JNNネットワーク加盟各社(全国で28社)は、編成・報道・制作・営業等で相互に協力するものであります。ネットワーク番組の放送は、㈱TBSテレビが中心となって行っており、放送したネットワーク番組について、一定の基準に従い、ネット特別分担金を支払い、ネットワーク配分金を受取っております。

 

(2) ラジオネットワーク

連結子会社であるRKB毎日放送㈱は、㈱TBSラジオとJRNネットワーク契約を締結しております。

㈱TBSラジオは、JRNネットワーク加盟各社(全国で34社)の協力によりネットワーク番組の企画・編成・制作・送出を行っており、放送したネットワーク番組について、一定の基準に従い、番組ネット料金を支払い、ネットワーク配分金を受取っております。

 

(3) 建物譲渡特約付借地権

当社は大和リース㈱と建物譲渡特約付借地権設定契約を締結しており、当該契約期間は2006年8月1日から30年間となっております。

 

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。