文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、国民の共有財産である電波資源を基にした放送に携わる企業グループとして、公平・公正さを保ち、迅速・正確な情報を発信することを通して、全てのステークホルダーから「信頼」されるサービスの提供を心がけながら事業を継続・発展させてまいります。具体的には、当社グループの一番の強みであるコンテンツ制作力を最大限に活かし、テレビ放送事業や動画配信事業のほか、映画事業、イベント事業、物品販売事業や国内外へのコンテンツ販売等の「メディア・コンテンツ事業」を進めてまいります。また、本格的な少子高齢化社会の到来を視野に、国民の健康意識向上と、健康的な生活の実現を目的とする「生活・健康関連事業」を事業の柱の一つとして成長させ、コア事業であるメディア・コンテンツ事業との間にシナジー効果を創出してまいります。
当社グループは、メディア・コンテンツ業界のトップカンパニーとして「改革と挑戦」を続けつつ、これらの経営施策を通じて、「良質なコンテンツの創造」「新たな文化の創造」「豊かな社会の創造」さらに「夢ある未来の創造」の四つの創造を実現し、一層の企業価値向上に努めてまいります。
当社グループは、地上波テレビ放送で長年培ってきたコンテンツ制作力と媒体力をコアコンピタンスとし、事業を拡大し成長させてまいりました。しかし、インターネットメディアの普及等に伴うコンテンツ視聴環境の変化や、それに伴う広告手法の進化によって、インターネット広告へのシフト、動画配信市場の拡大等が進み、テレビが持つ絶対的優位性の維持が大きな課題となっています。また、法令改正に伴う人件費の上昇、オリンピックやFIFAワールドカップ等の大型スポーツイベントを中心に放送権料が高騰しているほか、4K放送及び5Gといった新技術対応のためのコストも必要となり、収益の確保がますます難しくなってきていると認識しております。これらに加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大による世界経済の減退や急激な社会のデジタル化へのシフト、気候変動による集中豪雨や大型台風の発生をはじめとする甚大な被害を伴う自然災害といった外的要因による大きな経営環境の変化が生じております。
当社グループとしましてはこれらの経営環境の変化やリスクを踏まえて、収益性を確保すべく適切に対処していくことが肝要であると認識しております。
こうした経営環境の中、当社グループは、時代の変化を正しくとらえて進化し、最強のコンテンツ制作集団として、放送や映画、動画配信等の映像コンテンツを創造・発信するだけでなく、リアルなイベント事業や通販事業、教育事業、㈱ティップネスが提供する健康プログラムなど「国民の生活を豊かにする」コンテンツ・サービスを幅広く提供することで、人々の「生活時間接触No.1」となる「総合コンテンツ企業」として進化することを目指してまいります。
また、当社グループは公共性・公平性を担う報道機関として常にサステナビリティを意識し、かねてより「24時間テレビ 愛は地球を救う」や「カラダWEEK」の展開など、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)達成のための活動に取り組んできました。2021年6月には「サステナビリティ推進事務局」を新設し、今後も、放送事業にとどまらず企業活動のあらゆる分野で「持続可能な未来」へ貢献してまいります。
当社グループは、いかなる環境の変化に対しても「進化」する事で事業の成長を目指し、2021年度を最終年度とする「日本テレビグループ 中期経営計画2019-2021 日テレ eVOLUTION」を策定し、「テレビを超えろ」をスローガンとしました。しかしながら、このうち定量目標につきましては、現在のコロナ禍を受け、基本的な考え方は引き続き踏襲しつつも、達成が困難になったと判断し、2020年7月に取り下げております。一方で、2020年11月に、現在のコロナ禍を乗り切るとともに、コロナ禍収束後もトップカンパニーとして更なる高みを目指すべく「新しい成長戦略」を策定しました。
ここでは基幹事業である放送事業を発展させるとともに、2020年代半ばには非放送事業の収入比率50%超を達成し、グループ全体の収益力の抜本的な強化を目指すべく、以下の改革に取り組んでいくこととしております。
Ⅰ.デジタル領域事業の飛躍的拡大
Ⅱ.コンテンツへの戦略投資と収支構造の見直し
Ⅲ.グループ事業の強化
2021年5月には、「2021年度 経営方針」を公表し、この「新しい成長戦略」に基づき、2020年代に当社グループが飛躍的に発展するための足掛かりとなる重要な年と位置付け、各施策を推進してまいります。
地上波テレビ放送事業は、総務大臣の許認可を必要とし、電波法・放送法など様々な法規制をクリアする必要があるため、新規参入が難しい事業であり、直ちに競合社が増加する可能性は低いと考えております。また、当社グループは全国のネットワーク各局と協定を結び強固な協力関係を築き上げており、10年連続で年間個人視聴率三冠王を獲得しています。
しかしながら、動画配信サービスの進化、動画制作のパーソナル化が進む中、動画コンテンツをインターネット環境下で視聴するユーザーが増加し、地上波テレビの視聴者は漸減傾向にあります。これに伴って地上波テレビ広告市場も徐々に縮小する傾向にあります。
また、動画配信サービスの拡大に伴い、コンテンツへのニーズが高まったことで、IP(知的財産権)ホルダーや制作会社・タレント事務所、スポーツ権利団体等、取引先の交渉力が高まっており、権利の獲得費用及び制作費の高騰が進んでおります。これに加え、番組制作を中心とする業務は働き方改革や、同一労働同一賃金への対応などから人件費の高騰にも直面しております。
このような状況の中、当社グループは地上波放送にとどまらないコンテンツを制作するために、200億円の戦略的投資枠を策定し、運用を開始しました。これにより、デジタル領域での収入を含めた多様な収入を前提とした制作体制へシフトします。すでに一部を2021年度に「コンテンツ戦略費」として予算化すると共に企画募集を開始し、複数のプラットフォームに展開するコンテンツが検討されております。今後は、ライブコンテンツの強化をはじめとして、マルチプラットフォームに展開する戦略コンテンツの制作を加速してまいります。
また、コロナ禍の影響で制約を受けている番組制作では、情報・報道番組内の連絡ツールの電子化などで、より少ない人数での制作を実現し、また、オンライン上で完結する新たな制作システムの構築を進めることで、制作者の負担の大幅な軽減を図ると共に生産性を向上させていきます。地上波放送の制作費をコントロールしつつ、多様化する収入獲得源に合わせたコンテンツ生産量を飛躍的に増加させ、投資効果を最大化させてまいります。
地上波テレビ放送事業については当社グループの根幹を支える事業として、今後も報道機関としての責務を果たし、制作費の徹底的な抑制は継続しつつもクライアントや視聴者に評価される番組作りに邁進し、視聴率、放送収入ともに在京キー局トップを確保してまいります。さらに、データ・マーケティングの強化と放送と通信を組み合わせた広告展開で放送広告収入を拡大してまいります。
インターネット事業においては、動画配信サービス「Hulu」と広告付き無料動画配信を営む民放公式テレビポータル「TVer」を収益の柱に成長させることを当該事業における重要な目標としております。インターネットを通じた動画配信事業は、市場全体が右肩上がりに成長していることに加え、コロナ禍による在宅時間の増加を背景に更なる拡大が見込まれています。一方で、豊富な資金力を有する外資系企業が日本に進出しており、会員獲得に多額の投資が必要なビジネスモデルとなっていることから厳しい競争環境に晒されております。
このような環境の中、当社グループでは保有するドラマやバラエティなどの豊富な放送コンテンツや、映画・イベントなどの事業コンテンツと動画配信事業を有機的に連動させること等により、オリジナルコンテンツを増やすことで競合他社との差別化を図り事業を拡大してまいります。「Hulu」においては定額制動画配信サービスのみならず、都度課金制の配信コンテンツも拡充し、多様な収益獲得体制を構築することで、新規会員の更なる獲得、既存会員の追加購入を推進し、売上の最大化を目指します。「TVer」につきましては、当連結会計年度中に実験的に行われたライブ配信を強化し、テレビの枠を超えてコンテンツを多くのユーザーに見ていただく機会を創出します。動画ソリューション事業を展開する㈱PLAYは、高い技術力で動画配信のニーズに応えて業績は好調に推移しており、今後もこの流れを強化してまいります。
これに加えて、生活者と直接繋がったサービス・ビジネス基盤の開発、5Gを活用した新サービスや若年層向けインターネットサービスの開発など、全てがネットでつながるIoT社会を踏まえたコンテンツ・サービスのネット対応を拡大してまいります。
アニメ・映画事業等に関しては、ビジネススキームの抜本的見直しと、IP(知的財産権)ビジネスの積極的推進を図ってまいります。アニメ事業では大型原作獲得へのチャレンジ、映画事業においてはドラマ連動やシリーズ作となる映画制作の強化による確実な収益の獲得を目指してまいります。このほか、保有するIPの有効活用を図っていくと同時に、海外市場においても国内外のパートナーと連携し、海外向けバラエティフォーマットやドラマリメイクの開発や販路の拡大を図ってまいります。
生活・健康関連事業領域における重要な目標は、㈱ティップネスが営むスポーツクラブ事業を当社グループにおける収益の柱の一つにまで成長させると同時に、超高齢化社会が進む日本において「健康意識の向上」に寄与することです。
総合型スポーツクラブから特化型スポーツクラブへの利用者ニーズの高まりに伴い、小規模事業者の新規参入が容易な状況となっており、市場には女性専用小規模サーキットジム、24時間営業のトレーニングジム、ホットヨガ、ストレッチ専門店など多数の業態がひしめいております。また、アプリ等を利用した自主トレーニング等、スポーツクラブ以外でのトレーニング手段も多様化しております。これに加え、現在のコロナ禍においては、各自治体からの要請等による休館や時短営業の影響もあり、会員の減少が続くなど極めて深刻な影響が生じており、当連結会計年度において多額の損失を計上しております。
このような状況の中、㈱ティップネスは、店舗戦略の見直しを実施し、収益性の回復に努めてまいります。大幅な会員の減少が続く現在の状況下において、不採算店舗の閉鎖などを実施し、コストの削減に努めております。新たな出店に際しても、これまで以上に厳しく収支をシミュレーションしたうえで実施してまいります。一方で、成長が見込めるキッズスクールに関しては前連結会計年度中に当社グループの関連会社となった㈱ジェイエスエスとの連携を深めつつ強化を図り、収益向上を図ってまいります。
また、オンラインフィットネス「torcia(トルチャ)」を立上げ、デジタル化を推進し、新たな収益源とすべく確実に成長させております。ヘルスケア領域の購買や行動のデータを日本テレビグループの保有するデータと連携させていくことにより利便性の高いサービスを提供してまいります。
汐留及び番町地区等において不動産賃貸事業を計画し、実施しております。また、千代田区麹町5丁目にオフィスビルを建設するなど、番町再開発事業を進めております。
クリーンエネルギー創生は、環境に配慮した発電事業として社会的に意義のあるものであると判断し、太陽光発電事業を進めております。現在、岩手県九戸発電所・胆沢発電所・大規模営農型の熊本県小国発電所を稼働させております。電力会社と固定価格買取保証の契約を締結するなどにより、長期安定的に収益を計上出来るように事業を進めてまいります。
当社グループでは、2020年代半ばまでに非放送事業の収入比率を50%超へと引き上げるために、新規事業開発を積極的に推進しております。新型コロナウイルス感染症の流行は長期化し、社会や経済への影響も長引くことが懸念されています。当社グループは、この困難な状況の中でも、メディアとコンテンツのデジタル化を加速させ、コンサート等イベントのオンライン化やEコマース事業の強化、番組からオンラインイベントに誘導する新規事業の強化などでコロナ禍を乗り越える事業を推進してまいります。現在、当社グループのDNAである「人のやっていないことをやり、自ら歴史を作る」精神を受継ぎ、独自のコンテンツ等当社グループの資産を活用した人材育成事業の「日テレHR(人材育成・研修事業)」、eスポーツチーム「AXIZ」の運営を中心とする「eスポーツ事業」、バーチャルYouTuberに関した番組やイベント等を通じて収益化を目指す「VTuber事業」等を行っております。
また、投資枠を1,000億円とし、業種・国境を越えた「聖域なき起業・M&A・アライアンス」を推進してまいります。
各事業を円滑に進めるために、グループ全体で「意識・組織・常識の改革」を進めております。積極的なキャリア採用、成長のエンジンとなる「人財」の育成に取り組み、既存の組織や制度をゼロベースで見直し、いかなる環境の変化にも対応出来る「未来に繋がる組織・制度」に変革していきます。また、「前例踏襲撲滅」「AI(人工知能)等の新技術の導入」により、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じた業務の軽量化・迅速化を図り、従来業務にかける人的・物的リソースの2割程度を成長分野に振り向けてまいります。
これと同時に、コロナ禍で打撃を受けたグループ企業の立て直しを強化します。すでに経営効率の見直しを行い、改革を軌道に乗せました。今後は、新たなグループ企業の評価制度を導入するなど、監督と対話を促進することでガバナンスの徹底を図ります。
また、当社グループは、公共性・公平性を担う報道機関としての社会的責任を果たしながら、「持続可能な未来」へ貢献していきたいと考えております。当連結会計年度よりスタートした、より良い未来を作るためのキャンペーン「Good For the Planet」WEEKの展開を強化し、全ての番組で持続可能で多様な社会の実現に向けた啓発を行ってまいります。今後は、サステナビリティ実現に向けて当社グループを挙げて取り組むため、温室効果ガスの削減問題など具体的な方針について策定していくと共に、2021年3月に当社ホームページ内に開設したサステナビリティサイトを通じて、当社グループのサステナビリティに関する取組みを発信してまいります。
当社グループは、事業効率性という観点から「売上高営業利益率」を重要な経営指標にしております。戦略的投資や新規事業については、少数出資・組合出資等の成果が営業外損益に反映されるケースもあり、事業ポートフォリオの多様化の観点から「売上高経常利益率」も重要な経営指標にしております。当連結会計年度におきましては「売上高営業利益率」は8.8%、「売上高経常利益率」は11.0%となりました。また、株主の皆様に出資していただいた資本の運用効率や収益性を計る尺度である「自己資本利益率(ROE)」の向上にも引き続き努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。当社グループは、これらのリスクの存在を認識した上で、その回避及び顕在化した場合の対応に努める方針です。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクを網羅するものではありませんのでご留意下さい。
(地上波テレビ放送の媒体価値と収益性)
当社グループの主たる事業であるメディア・コンテンツ事業は、地上波テレビ広告枠の販売による地上波テレビ広告収入に依存しており、当連結会計年度における地上波テレビ広告収入は総売上高の58%を占めています。一般に、広告市況は経済のマクロ動向と連動する傾向があり、日本国内においては少子高齢化と人口減少により大きな市場の伸びが期待できない状況です。また、メディアの多様化やインターネット広告市場拡大等の変化により、地上波テレビ放送事業は厳しい状況に晒されています。2020年の広告費全体はコロナ禍の影響を受け大きく減少(前年比△11.2%)しており、地上波テレビ広告費についても同様に前年比で大きく落ち込んで(前年比△11.3%)おります。一方で、インターネット広告費はこのような状況下においても成長(前年比+5.9%)を続けており、広告価値における地上波テレビ放送が有してきた絶対的優位性の維持・確保が課題であると認識しております。
当社グループといたしましては、視聴者から支持される番組を作り続ける事により、視聴率・視聴質の維持・向上に努め、今後厳しさが増すと予想される市場環境の中でも、地上波テレビ広告市場におけるシェアを拡大することで地上波テレビ広告収入の確保に努めております。これに加え、SAS(スマート・アド・セールス)といった新しいセールス手法を開発し、新たなクライアントニーズを取り込むことで、地上波テレビ広告価値の維持・向上に努めております。近年高まっている、広告の効果分析に対するニーズに対しては、DMP(顧客情報システム)構築や獲得した大量のデータの有効な処理・活用のためのデータサイエンティストの確保などを推進し、視聴データの整備を進めております。
また、中期経営計画において「テレビを超えろ」をテーマに掲げ、非放送広告収入の拡大を重要なミッションとしております。特に、今後著しい成長が見込まれるデジタル領域の事業を積極的に推進し、2023年にこの領域での連結売上高を1,000億円とすることを目標としております。当社グループでは、地上波テレビ放送と連動した、動画配信・映画・イベント等、幅広いコンテンツサービスを提供する事により、これら非放送広告収入の拡大に積極的に取り組んでおります。
しかしながら、今後の日本経済のマクロ動向や広告市場の動向により、地上波テレビ広告収入が大幅に縮小し、かつ、地上波テレビ広告収入の落ち込みを補う非放送広告収入を創出できなかった場合は、当社グループの存続に関わる、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(メディアの多様化)
通信環境の進化とともにスマートフォンやタブレット等の端末が広く普及する中、インターネットメディアをはじめ、視聴スタイルが多様化しております。当社グループは、地上波・BS・CSの3波協業を皮切りに、2014年4月にアメリカの動画配信会社 Hulu,LLC の日本市場向け事業(定額制動画配信サービス「Hulu」の運営)を承継し、SVOD(Subscription Video On Demand:定額動画配信)事業に参入し、現在ではTVOD(Transactional Video On Demand:都度課金型動画配信)事業も開始しております。また、「日テレ無料!(TADA)by日テレオンデマンド」において、2014年度より放送事業者として初めて、一部放送コンテンツで広告付き無料見逃し配信(キャッチアップ)のサービスを開始し、インターネット環境下での放送コンテンツ視聴のBtoB事業化に着手、2015年には民放公式テレビポータル「TVer」をスタートし、AVOD(Advertising Video On Demand:広告付き無料動画配信)事業にも着手しております。
SVOD事業及びTVOD事業は、今後の動画配信市場の拡大と、それに伴う会員数の拡大という目標に向け、連続ドラマからHuluオリジナルストーリーへの展開や、スポーツコンテンツについてテレビ放送との工夫のあるライブ配信を行うなど、当社グループが展開しているコンテンツサービスとの連携を強め、注目を集めています。AVOD事業はドラマの見逃し配信を中心に着実に利用者を拡大しております。当社グループといたしましては、今後も地上波テレビ放送を軸にしながら多様化するメディアに積極的に参入してまいります。
しかしながら、これらの事業は成長分野であるとともに、豊富な資金力を有する外資系企業が参入するなど競争環境は年々厳しくなっております。事業が想定通りに伸長しない場合や、ネットワークインフラと端末の高機能化等により、市場を取り巻く環境が大きく変容する可能性もあります。このような場合には、投下資本の回収が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
映画・イベント等への展開に関しては、慎重にシミュレーションを行った上で、投資判断を行っております。しかしながら、実際の映画の興行収入や劇場公開後の二次利用収入・イベントチケット販売収入や関連グッズなどの物品販売収入等がシミュレーション通りの収益を確保する保証はなく、当初計画した収益を確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(地上波テレビ放送の視聴動向)
テレビ広告収入に大きな影響を及ぼすのが視聴率動向です。当社グループは、国民の皆さまの視聴ニーズを的確に捉え、最も視聴され共感されるコンテンツの制作を目指しており、地上波での2020年の年間個人平均視聴率は、全日帯、ゴールデン帯、プライム帯の3部門全てでトップとなり、年間「個人視聴率三冠王」を継続することができました。日本国内の人口減少やコンテンツの視聴環境の多種多様化により、地上波テレビ放送の視聴率は減少しておりますが、当社グループは高いレベルで「三冠王」を維持・継続しております。
コンテンツ制作においては、新たなデジタルテクノロジーの導入を進めるなどして制作体制を強化するとともに効率化を進めております。当社グループが有するコンテンツ制作力を結集し、引き続き、視聴者の皆さまから支持される良質なコンテンツを開発してまいります。
しかしながら、日本国内の人口減少やコンテンツの視聴環境の多種多様化により、地上波のタイムテーブル全般で視聴率の大幅な低下があった場合には、地上波テレビ広告収入の大幅な減少等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(放送権・配信許諾等ライセンスの高騰)
メディア・コンテンツ事業を主たる事業とする当社グループは、オリンピックやFIFAワールドカップ等、全国民が注目するスポーツイベントの放送をテレビ放送事業者の使命として行ってまいりました。しかしながら、近年これらのスポーツイベントの放映権料が高騰する一方で、高額なテレビ放映権料に見合う広告収入の確保は年々困難になっており、その採算性は悪化する傾向にあります。「東京2020オリンピック・パラリンピック」についても当連結会計年度において放送権料に関わる評価損を計上しました。当社グループといたしましては、今後も、国民の皆さまに娯楽を提供するという放送事業者としての使命を全うすべく、スポーツイベントのテレビ放送に携わっていく所存ですが、テレビ放映権料の更なる高騰は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
動画配信事業においては豊富なコンテンツを安価で提供することが、サービスが顧客から選ばれる要因となっていることから、近年、コンテンツホルダーの交渉力が高まっており、配信許諾等ライセンスが高騰する傾向にあります。当社グループといたしましては、コンテンツの選別を精緻に行い、慎重に収支のシミュレーションを行った上で、ライセンスを購入しております。また、購入したライセンスは効果的に利用すべく、マルチプラットフォーム戦略の下、当社グループが有する地上波テレビ放送をはじめとする各メディアとの連携を図り、収益の最大化を進めております。しかしながら、配信許諾ライセンスの更なる高騰により、投下資本の回収が困難なケースが増えた場合は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(コンテンツ制作の取り組み)
当社グループでは、今後、多様化するメディアの中で、制作したコンテンツのテレビ放送での利用は、ゲーム・商品化・映画・舞台等様々な利用方法と並列と捉えてマネタイズを組み立てる必要があり、IP(知的財産権)の構築及び確保が重要であると考えております。当初より様々な利用を前提とし、権利処理関係においてより上流に位置することになるIPの構築には、これまでのテレビ放送を前提としたコンテンツ制作とは異なるケースも多々発生し、構築までに時間と費用がかかる場合があります。今後、当社グループの収入源の多様化を図るためにもIPを構築し確保することは重要でありますが、想定した通りのIPの構築が進まない場合、あるいはIPの構築に想定以上のコストが必要となった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
番組制作においては、働き方改革の促進に伴い、クラウド上での編集システムの検討など効率化に取り組んでおります。しかしながら、現状の番組クオリティを維持するためには、スタッフの人員増や編集システムへの投資など、費用が増加する傾向にあります。
また近年、SNS等のインターネットメディアの拡大に伴い、テレビ番組以外の制作物も増加しております。その対応のための人材確保や外部リソースの活用などを推進しておりますが、業種を問わずニーズが高い分野のため、優秀な人材を確保ができない場合や確保できたとしても高コストになってしまうことも想定されます。計画的な設備投資、人材の採用を行い、コスト抑制に努めてまいりますが、想定を超える技術革新、人件費の高騰が進んだ場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(著作権等の知的所有権)
当社グループの制作するテレビ番組は、原作者、脚本家、音楽の作詞・作曲者、レコード製作者、実演家等多くの人々(以下、「著作権者等」という。)の知的・文化的な創作活動の成果としての著作権や著作隣接権(以下、「著作権等」という。)が密接に組み合わされた創作物です。著作権法は、その第1条においてこれらの創作活動を行う著作権者等の権利を定め、その公正な利用に留意しつつ、著作権者等の権利の保護を図り、文化の発展に寄与することを目的としています。
当社グループは制作したテレビ番組を、地上波テレビ放送や動画配信、BS・CS等の衛星放送、ケーブルテレビへの配信、DVD / Blu-ray Disc等によるパッケージメディア化、海外への番組販売等によるグローバル展開、番組キャラクター等のマーチャンダイジングや出版化等によりマルチユース利用することで収益を獲得しております。この際、様々な著作権者等が保有する著作権等に十分配慮しつつ展開することが求められます。
しかしながら、当社グループの制作するテレビ番組は、原則として日本国内における地上波放送や衛星放送を前提として著作権者等から著作権等の利用を許諾されており、これら以外への利用を目的とした権利取得が十分に行われていないテレビ番組が存在します。このため、テレビ番組をインターネット等の新たなメディアでマルチユース利用する場合や、海外展開をしていく上で、予め著作権者等の許諾を得たり、放送と並行して、あるいは放送後に著作権者等の許諾を再度取得することが必要不可欠となります。これらの権利処理には多くの時間と費用が必要となる可能性があります。当社グループでは、新たに番組を制作する際には予めマルチユース利用を前提とした著作権等の許諾を得て制作を進めていくほか、これまでに制作した番組については、必要に応じて適切に著作権者等から著作権等の許諾を取得する作業を行い、コンテンツのマルチユースがスムーズに進められるよう心掛けております。
万が一、当社グループが著作権者等に対し、不適切な対応を行った場合には、放送の差し止め要請や損害賠償請求を受ける可能性があります。このような場合には、収益の大幅な減少・訴訟等に伴う費用の大幅な増加等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、2014年12月に総合スポーツクラブ事業を営む㈱ティップネスの発行済株式の全てを取得し、連結子会社化したことを契機に、生活・健康関連事業を展開しています。生活・健康関連の市場規模は拡大傾向にあるものの、新規事業者の参入などにより事業の競争環境は厳しさを増しております。㈱ティップネスにおいても従来の総合型スポーツクラブ「ティップネス」に加え、24時間営業のトレーニングジム「FASTGYM24」を展開し、新たな顧客層の獲得へ取り組んでおります。また、2020年3月には水泳スクールを営む㈱ジェイエスエスの株式を取得し、関連会社としました。同社は数々の優秀な選手を輩出し、水泳スクールにおける受講者の育成のほか、プールの安全性及び衛生の維持・管理において卓越したスキルとノウハウを有しております。当社グループは連結子会社の㈱ティップネスとのシナジーも含め、本セグメントにおけるスクール事業の強化に努めていく所存です。
しかしながら、スポーツ施設の運営において、同業他社や他のスポーツ関連サービス等との競合により会員を計画通りに確保できない場合や、価格競争により平均単価が低下した場合、あるいは賃貸契約を更新できずに店舗を閉鎖せざるを得ない場合には、安定的な収益が得られない可能性があります。また、新規出店やリニューアルなどには、規模に応じた投資を要するため、会員の確保が計画通り進まない場合には投下資本の回収が困難になる可能性があります。特に現在のコロナ禍においては、各自治体からの要請等による休館や時短営業の影響もあり、休・退会者が増加し、会員の大幅な減少が続いております。このような状況を受けて、当連結会計年度において多額の減損損失を計上いたしました。当社グループといたしましては、不採算店舗の閉鎖も実施しつつ、コスト構造の見直しを通じて収益性の回復を図るほか、デジタル化を通じた新規事業の創出に取り組んでおります。しかしながら、引き続き会員数の回復が見込めない場合や想定外の多額の費用投下が必要になった場合などには、収益の大幅な減少や更なる不採算店舗の閉鎖コストの発生、固定資産の更なる減損リスクが発生するなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、汐留及び番町地区等において不動産賃貸事業を計画、実施しており、千代田区麹町5丁目にオフィスビルを建設したほか、保有地の活用検討を進めております。
当社グループといたしましては、建設費の高騰等を想定し、できる限りコストコントロールに努めた上で事業を進めてまいりますが、予期せぬ事情により今後の計画に何らかの影響が及んだ場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、2014年に岩手県九戸発電所と胆沢発電所を稼働させ、2018年5月には、大規模営農型の熊本県小国発電所を稼働させました。当社グループではクリーンエネルギーの創生は、環境に配慮した発電事業として社会的に意義のあるものと考えており、電力会社と固定価格買取保証の契約を締結することなどにより、長期安定的に収益を計上できるよう取り組んでおります。
しかしながら、合理的な理由を前提とした電力会社から事業者への出力抑制の要請等で、計画通りに買い取りが行われないような状況が発生した場合や、設備トラブルや天候不順・天変地異等により発電量が大幅に低下した場合、営農型発電所において営農の継続性に疑義が生じた場合、稼働済みの発電所から撤退する場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、2019年度から2021年度を計画期間とする日本テレビグループの中期経営計画「日本テレビグループ 中期経営計画2019-2021 日テレ eVOLUTION」においては、投資枠を1,000億円とし、M&A等による事業セグメントの拡大をグループ全体で進め、2020年代半ばまでに非放送事業の収入比率を50%以上にすることを目指しております。しかしながら、M&Aに関しては、適切な候補先が見つからない場合や、条件に合致しないなどの理由により、当社グループの想定通りに取引が進まない可能性があります。
M&Aを行うにあたっては、事前に対象企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行い、十分にリスクを回避するように努めていますが、対象企業に偶発債務の発生や未認識債務の判明など事前の調査で把握できない問題が生じる可能性も否定できません。
また、M&Aにおいては、対象企業とのシナジー効果を含んだ金額での合併・買収価額となることが通常であるため、事前段階から綿密な統合計画を作成し、合併・買収後において、速やかに統合計画を実行することにより、早期のシナジー発現を目指しております。しかしながら、合併・買収後に重要な役員・従業員の退職や取引先との関係悪化といった躓きが生じた場合や、事業環境の変化その他の理由により統合後の事業展開が計画通りに進まず、シナジー効果が発現できない場合には、のれん等の減損リスクが発生するなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループが事業活動を行う上で、人材の確保は重要な課題と捉えています。現在遂行中の事業をさらに拡大させていく場合や新たなサービスを開発し対応する場合、特に放送・配信等に対応したコンテンツを制作するにはそれぞれ必要なスキルを有した人材が新たに必要となります。しかしながら、昨今、労働需要がひっ迫し、労働力及び人材の確保が難しくなってきております。また、今後、AI化がますます重要となる社会が予想されることから、獲得した大量のデータを適切に処理・活用することができるデータサイエンティストに対するニーズが一段と高まってきております。当社グループにおきましても、このような人材を獲得することが非常に重要と考えておりますが、様々な業界・企業から必要とされている人材であるため、優秀な人材の確保は容易ではありません。
当社グループでは、在宅勤務をはじめとして働き方改革に全社を挙げて取り組み、社員や協力スタッフにとって働きやすい労働環境の整備に努め、人材の確保に注力しております。さらに、キャリア採用の強化等で多彩な人材を迎え入れ、当社グループの一番の強みであるコンテンツ制作力を強化するとともに新規事業へも積極的にチャレンジしております。特に上述のデータサイエンティストについては、キャリア採用に加えて技術会社に対するM&Aを実施するなどして優秀な人材の獲得を推進しております。このほか、経理部門等の重要な管理部門においても専門スキルを有する人材を継続して採用するなどし、ガバナンス機能の強化に努めております。
これらに加え、人材の永続的な確保という観点から、入社した人材の流出を防ぐことも重要であると考えております。働きやすい環境を作り上げるために、絶えず制度を改善することを続けており、離職率は1%未満と極めて低い水準を維持しております。特に女性が働きやすい環境作りに注力しており、出産後の女性の復職率も非常に高く、出産を経た女性もキャリアを積み上げていくことが可能な環境を整えております。
また、人材の確保のみならず、人材の育成も重要な要素であると考えております。当社グループでは部署の横断プロジェクトの立上げや社内あるいはグループ内外の人事交流を深めること等を通じて優秀な人材の育成に努めております。報酬については、人材評価制度を充実させ、成果・業績に基づく賃金体系を導入しており、優秀な人材のモチベーション及びパフォーマンス向上に取組んでおります。
しかしながら、労働力・人材を十分に確保できなかった場合、また労働関係の法令や制度の改正等により人材にかかわる費用が増加する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、人的資産を活かすには適切な組織の存在と適材適所の人材の配置が重要であると考えております。組織においては、テレビ広告のみをクライアントにセールスするのではなく、当社グループが保有する商品を総合的に提案、販売するための組織改編の実施やデジタルテクノロジーを駆使した新規事業を創設するための部署を設けるなど、中期経営計画の達成に向けて、適切な組織の構築に努めております。また、りん議等社内決裁作業の電子化、クラウドサービスの導入等ITテクノロジーの活用や、社内横断プロジェクトを発足し、ボトルネックとなっている業務改善の実施等、業務の効率化を図り、余裕が生じた労働力を新規事業に充当することにより、事業の拡大に努めております。
しかしながら、人的資産が有機的に機能しない事態に陥った場合、企業活動が停滞する等、当社グループの存続に関わる状況となり、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業の用に供する様々な不動産を保有しております。このうち、汐留地区にある本社ビル「日本テレビタワー」及び番町地区に保有する不動産は、メディア・コンテンツ事業及び不動産関連事業に供している資産で、当連結会計年度末における汐留地区の「日本テレビタワー」及び番町地区の保有不動産の帳簿価額は合わせて、2,112億49百万円(建物及び構築物と土地の合計額)であり、当社グループの総資産の20.5%を占めております。
当連結会計年度末現在、汐留地区の「日本テレビタワー」及び番町地区の保有不動産に関して減損の兆候は認識しておらず、将来における回収可能性はあるものと認識しており、当面、減損の兆候を認識するような事態にはならないと考えております。しかしながら、将来において、経営環境の著しい悪化等により当社グループの収益性や営業キャッシュ・フローの大幅な悪化が見込まれた場合や、地価が著しく下落した場合、保有する不動産に対して減損損失を計上する必要があるため、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
当社グループは、放送事業における基幹システムの更新・改修に加え、動画配信事業におけるシステムの開発、さらには4K放送や5Gといった新技術への対応を行うなど、次世代技術を含めた開発・新規投資を行っております。加えて、新規に事業を開始する際には新たに対応するシステムの構築が必要となる場合もあります。事業の効率性を高め、競争力のあるサービスを提供するためには、これら様々なシステムの重要性はますます高まっています。
必要と認められるシステムは、初期費用、ランニング費用、その後の必要な改修費用等を慎重にシミュレーションし、外部ベンダーへの依頼やグループ内での内製及びクラウドサービス等の利用により、システム開発及び改修の必要性を精査することでコストコントロールに努めて構築しております。
しかしながら、近年の技術革新のスピードや消費者ニーズの変化はとても速く、当初の予想を超えて開発・投資した技術やシステムが陳腐化する等、当初計画値以上の再投資が必要になる場合、さらに投資額に見合った収入の確保あるいは業務の効率化が見込めない場合には、固定資産の減損及び減価償却費の増加等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、近年ではサイバー攻撃の手口が高度化・巧妙化していることから、各種システムのセキュリティリスクは年々高まっています。当社グループとしても様々な高度なセキュリティ対策を講じていますが、これらを超える新たなセキュリティ上の脅威が発覚し、その対策として多額の投資が発生した場合、あるいは個人情報や営業上の機密の漏洩をはじめとするリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業上の結びつきまたは資金運用を目的とし、複数の会社・組合等に投資を行っています。一方で、当社グループは、保有有価証券等の評価に当たり、会計基準に則した社内ルールを設定し、減損処理等の必要な措置を適宜施し、投資先企業の業績や市場での取引価額が当社グループの業績に適切に反映されるよう厳格に運用しています。
新規の投資案件に関しては、リスク及びリターンを充分に考慮し、投資判断を行っています。また、保有している有価証券等につきましても、投資先との関係、取引状況、協業機会、シナジー効果及び市場の動向や投資先企業の業績を絶えずチェックし、最大限の収益獲得に努めています。しかしながら、これらの投資先企業の業績や市場動向を確実に予想することは困難であり、将来的に当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
認定放送持株会社は、放送法による認定を受けることで、複数の地上波放送局とBS放送局及びCS放送局を子会社として保有することが認められています。当社は日本テレビ放送網㈱、㈱BS日本、㈱CS日本を子会社とする認定放送持株会社として認定を受けています。今後、認定放送持株会社の資産に関する基準等、放送法で定める基準を満たさなくなった場合には、認定の取り消し(放送法第166条)を受ける可能性があります。仮に認定の取り消しを受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、放送法で定める外国人等が直接及び間接に占める議決権の割合が、当社の議決権の20%以上となる場合には、認定放送持株会社としての認定が取り消されることになります。このため、このような事態に至る場合は、放送法に基づき、外国人等が取得した当社株式につき、株主名簿への記載または記録を拒むことができ、その議決権は制限されることとなります。
当社グループの主たる事業であるメディア・コンテンツ事業におけるテレビ放送は、「放送法」及び「電波法」等の法令による規制を受けています。
このうち、放送法は放送の健全な発展を図ることを目的とし、番組編集の自由や放送番組審議機関の設置、BS・CS放送等の衛星基幹放送の業務の認定に関する基準等を定めています。また、電波法は電波の公平且つ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的としています。電波法第4条は電波を送信する「無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。」、電波法第13条では「免許の有効期間は、免許の日から起算して五年を超えない範囲内において総務省令で定める。」など、地上基幹放送の免許を定めています。当社グループのテレビ放送事業については、当社が1952年7月31日に我が国初のテレビ放送免許を取得し、それ以来、放送局の再免許を受けてきました。2012年10月1日には認定放送持株会社化した当社に代わって、子会社の日本テレビ放送網㈱が同日免許を承継し、現在に至っております。また、㈱BS日本、㈱CS日本につきましてはそれぞれ衛星基幹放送の業務の認定を受けており、放送法等の法令による規制を受けています。
所定の事態が生じた場合における総務大臣の権限として、衛星基幹放送に関しては放送法の「業務の停止」(第174条)や「認定の取り消し等」(第103条、第104条)、地上基幹放送に関しては電波法の「電波の発射の停止」(第72条)や「無線局の免許の取り消し等」(第75条、第76条)を定めております。将来にわたるテレビ放送事業の継続は、当社グループの存立をも左右する問題であり、当社グループといたしましては、そのような事態が生じることのないよう常に公平・公正さを保ち、信頼される番組作りを心掛け、放送の社会的使命を果たしていく所存です。具体的には視聴者センターを設け、視聴者の皆様の声を伺い番組作りに役立てるほか、考査部や番組審議会を組織し、定期的に放送番組をチェックすることで放送倫理を保つことを心掛けます。しかしながら、仮に放送法や電波法に反するような状態が生じ、放送事業の免許や認定の取り消し等を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
当社グループは、動画配信サービスや通信販売事業、スポーツクラブ事業等のサービスを展開するにあたり、会員及びユーザーの氏名、住所、電話番号、口座情報などのほか、番組の観覧者や出演者などの個人情報も取り扱っております。当社グループは、これらの個人情報は当社グループの事業の運営に際し必要不可欠な資産であると認識しております。従って、当社グループは、全ての会員及びユーザー並びに番組関係者等が安心して当社グループのサービスの利用若しくは番組等と関係を築くことができることが重要であると捉え、個人情報保護の観点から、従業員等に対する研修を行い、社内ルールの徹底を図ることで情報セキュリティの確立に注力しております。
しかしながら、昨今のサイバー攻撃の手口は高度化・巧妙化していると同時に個人情報の保護に関する法令等もますます複雑化しております。不正アクセス・不正利用などにより、当社グループの有する個人情報が漏洩した場合、あるいは複雑化する個人情報の保護に関する法令等に適切に対応できなかった場合、当社グループのデータ管理への信頼性の低下による各事業への影響並びに損害賠償等の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
我が国は元来、地殻変動や火山活動が発生しやすい地理特性にあり、地震・津波や噴火及びそれに伴う事故といった大きな被害が度々発生しております。これに加え、近年、地球温暖化に伴う異常気象の影響もあり、大型台風や局所的な集中豪雨といった風水害の危険性も高まってきております。
日本テレビ放送網㈱等は放送法により「暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、その発生を予防し、又はその被害を軽減するために役立つ放送をするようにしなければならない」と災害時の放送を義務付けられております。当社グループは、報道機関としてこのような有事の際に、携わる社員・スタッフの安全を確保しつつ、国民の皆さまにいち早く正確な情報を伝達する使命を有しております。大規模災害が発生し、報道特別番組等を放送する場合には、事前に予定されていたCM放送を休止することがあるほか、被害状況によっては、当社グループの放送設備が被災し、テレビ放送自体に支障が生じる可能性があります。
当社グループではこのような大規模災害時でもテレビ放送を続けられるよう、番町地区に耐震性が高くBCPに対応したスタジオ棟を建設する等の対策を講じております。また、首都圏が甚大な被害に見舞われ、東京地区からのテレビ放送が困難な事態に陥った場合には関西地区からの放送が実施できる仕組みを整えることで放送の継続を可能とする体制を築いております。
このほか、テレビ放送以外の事業におきましても、保有または利用する設備等が被災した場合、あるいは携わる社員・スタッフが何らかの被害にあった場合でも事業への影響を最小限に抑えられるよう、様々なケースを想定してシミュレーションを行ない、対策を講じております。
しかしながら、想定以上の事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
現在、世界各地で新型コロナウイルス感染症が発生しており、世界的に被害が拡大しております。これに対抗するワクチンの開発が進み、実用化されるなど少しずつ事態が好転する兆しが見える一方で、感染力の高い変異株の発生など不安材料もまだまだ多く、日本国内においてもワクチンの接種が進んでいるものの、国民へ広く行き渡るにはまだ時間を要する見込みであります。一部の地域では緊急事態宣言の再三に亘る発出やまん延防止等重点措置が適用されるなど、コロナ禍の早期の収束は極めて難しいと予想されます。
当社グループにおきましてもこのような情勢に鑑み、一部番組におけるロケ撮影やスタジオ収録の中止、公開映画やイベントの延期・中止・縮小等をはじめとして、㈱ティップネスにおいてはスポーツクラブの休館や時短営業、㈱ACMにおいてはテーマパークの休園や時短営業・入園制限といった措置を余儀なくされる状況となりました。また、テレビ広告収入は経済のマクロ動向に大きく影響されることから、このような社会的な景気の落ち込みを受け、当社グループの基幹事業であるテレビ広告収入が大きく減収となりました。さらに、中継を予定していた試合・イベント等の中止や出演者をはじめとする番組制作関係者の感染等により、番組制作が予定通りに行えない状況になった場合には、代替番組の制作等にかかるコストの発生などが考えられます。
こうした状況下で、当社グループではまず、基幹事業であるテレビ放送の継続と社員・スタッフやその家族及び出演者等の関係者の安全の確保を最優先に取り組んでおります。社員に対して毎日健康状態を報告させるほか、テレワークができる環境を整えたうえで従前より取り組んできた在宅勤務の一層の推奨を通じて出社人数の大幅な削減を実行し、さらに社屋への入構制限を実施するなどして感染拡大の防止に努めております。また、番組制作に際しては、一定の基準を設けたうえで実施するなど徹底した健康・衛生管理を実施しております。一方で、コロナ禍において、社会の急激なデジタル化が進みました。当社グループでは、withコロナ/afterコロナを視野に入れつつ、この社会の変革を好機とすべく動画配信サービス「Hulu」をはじめとしたデジタル領域での事業の拡大に努めております。
しかしながら、現時点に至るまで、新型コロナウイルス感染症の拡大は依然として世界各国で深刻な状況が続いております。日本国内においてもいまだコロナ禍の終焉は見通せず、まだ長期化すると考えられます。このような場合、テレビ広告収入への影響や公開映画・イベント等の更なる延期・中止、スポーツクラブの再休館・時短営業やテーマパークの再休園・入場制限など広範囲に影響が及ぶことが想定されます。これらにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、予想される将来のキャッシュ・フローや経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告されている数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」にて記載しておりますが、経営者による見積りを要する主な会計方針及びそれらに内在する見積り要素は下記のとおりです。
なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは第5「経理の状況」の連結財務諸表の「重要な会計上の見積り」に記載しております。会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響についても同記載をご参照ください。
売上債権等の貸倒損失に備えるため回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。将来、債務者の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
たな卸資産、番組勘定は、評価基準として原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しております。市場の需給動向や回収可能額を超える番組制作費の発生等により、たな卸資産、番組勘定の収益性が低下した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
退職給付に係る負債及び退職給付費用は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算定されております。これらの前提条件には、長期的な金利水準、将来の給付水準、退職率等が含まれますが、実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。
固定資産については、資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失として計上しております。回収可能価額は、正味売却価額と使用価値のいずれか大きい方としていることから、不動産取引相場や賃料相場が変動した場合や固定資産の収益性が低下した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
所有する有価証券、投資有価証券及び出資金の投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。将来の市況悪化や投資先の業績不振など、現在の投資簿価に反映されていない損失が発生するなどにより投資簿価の回収が困難となった場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業収益の大幅な減少があり、個人消費も急速な減少からの持ち直しに弱含みの傾向がみられるなど、厳しい状況で推移しました。
こうした経済環境の中、2020年の日本の総広告費(暦年、㈱電通調べ)は、6兆1,594億円(前年比88.8%)と前年実績を大きく下回りました。このうち地上波テレビの広告費は1兆5,386億円(同88.7%)となりましたが、インターネット広告費は社会のデジタル化加速が追い風となり、2兆2,290億円(同105.9%)となりました。当社グループは、地上波テレビ広告収入におけるシェア拡大に加え、伸長するインターネット広告費に向け、民放公式テレビポータル「TVer」を中心とした積極的なコンテンツ配信を通じてさらに収益を拡大させていきます。
テレビメディア広告費とインターネット広告費(暦年)
(単位:億円)
(㈱電通調べ「2020年 日本の広告費」)
また、地上波の視聴率動向につきましては、在京キー局間の2020年度平均個人視聴率において、当社グループは、全日帯(6~24時)、ゴールデン帯(19~22時)、プライム帯(19~23時)でトップとなり、8年連続(年間は10年連続)で「個人視聴率三冠王」を獲得しました。当社グループは報道機関としての責務を果たし、クライアントや視聴者に評価される番組作りに邁進することにより、在京キー局間での視聴率トップを継続し、人々の「生活時間接触No.1」となる企業を目指します。
日本テレビの年度平均個人視聴率と在京キー局間の順位(関東地区個人視聴率)
(㈱ビデオリサーチ調べ)
このような状況のもと、当連結会計年度における当社グループの連結売上高は、主たる事業であるメディア・コンテンツ事業において、地上波テレビ広告収入がスポット収入を中心に大幅な減収となったほか、生活・健康関連事業において、コロナ禍におけるスポーツクラブの休館や会員数の大幅な減少による施設利用料収入の減収などがあり、前連結会計年度に比べ352億6千4百万円(△8.3%)減収の3,913億3千5百万円となりました。
売上原価と販売費及び一般管理費を合わせた営業費用は、「東京2020オリンピック・パラリンピック」の放送権料に関わる評価損の計上があったものの、コロナ禍による減少やコストコントロールにより、前連結会計年度に比べ266億7千8百万円(△7.0%)減少の3,568億8百万円となりました。
この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ85億8千5百万円(△19.9%)減益の345億2千6百万円、経常利益は、持分法による投資利益の増加などにより62億6千2百万円(△12.7%)減益の429億4千4百万円となりました。また、特別利益において投資有価証券売却益を計上したものの、特別損失において生活・健康関連事業に係るのれんを含めた固定資産の減損損失や新型コロナウイルス感染症による損失を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は65億1千2百万円(△21.3%)減益の240億4千2百万円となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
(メディア・コンテンツ事業)
地上波テレビ広告収入のうちタイム収入は、レギュラー番組枠において堅調に推移しましたが、前期の「ラグビーワールドカップ2019日本大会」による収入の反動減やコロナ禍によるスポーツ中継番組の減少などにより、前連結会計年度に比べ46億9千8百万円(△3.7%)減収の1,210億6百万円となりました。スポット収入は、スポット広告市況の大幅な低迷の影響により、前連結会計年度に比べ166億1千3百万円(△13.6%)減収の1,052億3千3百万円となりました。この結果、地上波テレビ広告収入は前連結会計年度に比べ213億1千1百万円(△8.6%)減収の2,262億3千9百万円となりました。
BS・CS広告収入は、BS広告収入においてスポット収入の増収はあったもののスポーツ中継番組の減少などによるタイム収入の減収により、前連結会計年度に比べ2億7千3百万円(△1.9%)減収の141億8千3百万円となりました。
その他の広告収入は、3,500万ダウンロードを突破した民放公式テレビポータル「TVer」などによる動画広告の増収により、前連結会計年度に比べ3億6千1百万円(+14.6%)増収の28億4千3百万円となりました。
コンテンツ販売収入は、動画配信サービス「Hulu」の会員数が引き続き好調に増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ54億1千4百万円(+8.0%)増収の734億7千8百万円となりました。
物品販売収入は、巣ごもり需要で通販「日テレポシュレ」が好調に推移したことなどにより、前連結会計年度に比べ4億8千7百万円(+1.9%)増収の261億1千3百万円となりました。
興行収入は、幹事映画「今日から俺は!!」や「新解釈・三國志」が大ヒットとなったものの、コロナ禍によるイベント等の中止・延期により、前連結会計年度に比べ22億3千3百万円(△21.4%)減収の82億5百万円となりました。
その他の収入は、コロナ禍によるイベント業務受託収入の減収などにより、前連結会計年度に比べ19億9千8百万円(△13.6%)減収の127億4千9百万円となりました。
この結果、メディア・コンテンツ事業の売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含め、前連結会計年度に比べ198億4千4百万円(△5.2%)減収の3,643億7千5百万円となりました。また、売上原価と販売費及び一般管理費を合わせた営業費用において、コロナ禍による減少やコストコントロールがあったものの、「東京2020オリンピック・パラリンピック」の放送権料に関わる評価損の計上により、営業利益は前連結会計年度に比べ19億8千5百万円(△4.9%)減益の386億2千4百万円となりました。
メディア・コンテンツ事業の外部顧客への売上高の内訳は次ページの表のとおりです。日本の総広告費(暦年、㈱電通調べ)における地上波テレビの広告費は漸減傾向にあり、当社グループにおきましてもスポット収入の減収が続いております。このため、視聴率、地上波テレビ広告収入ともに在京キー局間トップの継続や、媒体力を明確に示す為の新指標の制定、クライアントのニーズに即したセールス改革を通じたテレビ広告の価値向上に努めてまいります。また、インターネット広告へのシフト、動画配信事業の拡大が進む中、当社グループでは動画配信サービス「Hulu」によるコンテンツ販売収入と広告付き無料動画配信を営む民放公式テレビポータル「TVer」によるその他の広告収入の伸長を継続していきます。加えて、豊富なコンテンツと映画・イベントなどの事業を有機的に連動させることによる興行収入の拡大も図ってまいります。
外部顧客への売上高(メディア・コンテンツ事業)
(単位:百万円)
(生活・健康関連事業)
スポーツクラブ運営による施設利用料収入を主とする生活・健康関連事業の売上高は、コロナ禍による休館の影響や、会員数が大幅に減少したことにより、セグメント間の内部売上高又は振替高を含め、前連結会計年度に比べ152億7千7百万円(△42.5%)減収の206億2千8百万円となり、72億6千4百万円の営業損失となりました(前連結会計年度は6億8千6百万円の営業損失)。
コロナ禍による運営施設の休館などに伴い市場環境の厳しさが増す中、店舗戦略の見直しに加え、ヘルスケア領域の購買や行動のデータをグループと連携させていくことにより、利便性の高いサービスを提供していきます。
(不動産関連事業)
汐留及び番町地区を主とする不動産関連事業の売上高は、新規ビル稼働などにより、セグメント間の内部売上高又は振替高を含め、前連結会計年度に比べ2千6百万円(+0.3%)増収の103億7百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ2億6千8百万円(+7.8%)増益の37億1千5百万円となりました。
なお、第1四半期連結会計期間より、従来「不動産賃貸事業」としていた報告セグメントの名称を「不動産関連事業」に変更しております。この変更によるセグメント情報に与える影響はありません。
当社グループでは、番町再開発事業を進めており、日本テレビ麹町旧社屋の解体、千代田区麹町5丁目のオフィスビル賃貸事業などを展開しております。
(資産)
流動資産は、現金及び預金の増加や1年内償還予定の公社債の増加に伴う有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に比べ490億4千2百万円増加し、3,077億8千4百万円となりました。
固定資産は、減損損失計上に伴うのれん等の減少があったものの、投資有価証券の時価が上昇したことなどにより、前連結会計年度末に比べ510億2千3百万円増加し、7,243億7千万円となりました。
この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ1,000億6千5百万円増加し、1兆321億5千5百万円となりました。
(負債)
流動負債は、未払法人税等の増加などにより、前連結会計年度末に比べ100億6千6百万円増加し、1,046億7千2百万円となりました。
固定負債は、投資有価証券の時価上昇に伴う繰延税金負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ212億4千4百万円増加し、1,069億7千6百万円となりました。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ313億1千万円増加し、2,116億4千8百万円となりました。
(純資産)
純資産は、株主配当による利益剰余金の減少を上回る親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことや、投資有価証券の時価上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ687億5千4百万円増加し、8,205億6百万円となりました。
なお、主要な自己資本比率の推移は下記のとおりです。
(注) 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2019年3月期の期首から適用しており、2018年3月期に係る自己資本比率については、当該会計基準等を遡って適用した後の比率となっております。
当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は下記の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、410億9千7百万円となりました(前連結会計年度は563億8千5百万円の資金の増加)。これは主に、税金等調整前当期純利益454億3千2百万円や減損損失の計上198億3千6百万円、減価償却費の計上174億3千8百万円による増加、投資有価証券売却益の計上279億2千3百万円及び法人税等の支払い160億5千6百万円による減少があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の増加は、5億3千5百万円となりました(前連結会計年度は387億2千1百万円の資金の減少)。これは主に、投資有価証券の取得による支出1,006億2千万円、有形固定資産の取得による支出130億1千6百万円があった一方で、有価証券の償還による収入100億円や投資有価証券の償還による収入723億8千2百万円、投資有価証券の売却による収入348億4千4百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、配当金の支払い等により109億5千3百万円となりました(前連結会計年度は105億6千5百万円の資金の減少)。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より306億6千3百万円増加し、838億9千3百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資本の流動性に係る情報は下記の通りです。
(基本的な考え方)
当社グループは、メディア・コンテンツ業界のトップカンパニーとして「改革と挑戦」を続けつつ、「良質なコンテンツの創造」「新たな文化の創造」「豊かな社会の創造」さらに「夢ある未来の創造」の四つの創造を実現し、一層の企業価値向上に努めることを基本方針としております。新型コロナウイルス感染症の拡大で先行き不透明感が高まったことを受け、これを乗り切るとともに、コロナ禍収束後もトップカンパニーとしてさらなる高みを目指すべく2020年11月に「新しい成長戦略」を策定しました。2021年度を最終年度とする中期経営計画について、基本的な考え方は継続しながら、以下の財務方針に取り組んでまいります。
・中期経営計画における投資枠
現在のコロナ禍を受け、中期経営計画における「定量目標」について達成が困難になったと判断し、2020年7月に取り下げておりますが、「新規起業・M&A推進のための投資枠1,000億円」は、投資枠を変更することなく引き続き取り組んでまいります。また、業種・国境を越えた聖域なき起業・M&A・アライアンスを推進し、2020年代半ばには非放送事業の収入比率50%超を達成し、グループ全体の収益力の抜本的な強化を目指してまいります。
・設備投資金額
2019年度から2021年度を最終年度とする中期経営計画における3年間の設備投資金額は、次のとおりです。
2019年度の当社グループの設備投資総額は213億3千5百万円であり、地上波テレビ及びBS日テレにおける更なる安定的な放送と、汐留日本テレビタワー内のスタジオの4K生放送対応をはじめ、既存スタジオ更新等、また「横浜アンパンマンこどもミュージアム」を移転リニューアルオープンしました。
2020年度の当社グループの設備投資総額は、132億1千7百万円であり、地上波テレビにおける更なる安定的な放送と、コンテンツ制作力の強化のため、汐留日本テレビタワー内の回線センターをはじめ、既存スタジオの設備更新などを行い、また千代田区麹町5丁目にオフィスビルを建設し、稼働を開始しております。
最終年度の2021年度の当社グループの設備投資金額は77億1千万円を予定しております。
・安定的・継続的な配当支払
事業環境の変化に柔軟に対応できる企業体質の確立と収益基盤の強化及び積極的な事業展開のための内部留保との調和を図りながら、継続的で安定的な株主還元を行います。 株主還元の詳細につきましては、「第4[提出会社の状況]3[配当政策]」をご参照ください。
・重要な経営指標として売上高営業利益率及び売上高経常利益率を設定
当社グループは、事業効率性という観点から「売上高営業利益率」を重要な経営指標にしております。戦略的投資や新規事業については、少数出資・組合出資等の成果が営業外損益に反映されるケースもあり、事業ポートフォリオの多様化の観点から「売上高経常利益率」も重要な経営指標としており、当該指標を向上させることで効率的かつ効果的にキャッシュ・フローを創出いたします。また、資本の効率や収益性を図る尺度である自己資本利益率(ROE)の向上につきましても引き続き努めてまいります。
(経営資源の配分に関する考え方)
当社グループは、上記財務方針に従い企業価値向上に資する経営資源の配分に努めてまいります。また、安定的な経営及び事業展開に伴う資金需要等に対して機動的に対応するため、十分な現金及び現金同等物を保有しております。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標水準は定めておりませんが、事業活動等の資金需要を越える余剰資金に関しましては金融情勢等を勘案しつつ、安全性並びに流動性の高い金融商品で運用しております。
(資金需要の主な内容と資金調達)
当社グループにおける主な資金需要は、当社及び子会社が事業活動を行っていく上で必要な運転資金、設備投資、戦略的なM&A及び有利子負債の返済等です。 設備投資の計画としては、メディア・コンテンツ事業では、放送設備の更新、インターネット事業への投資等、生活・健康関連事業では、総合型スポーツクラブや24時間型トレーニングジムの維持・リニューアル等、不動産関連事業では、番町再開発に係る投資等が予定されております。また、2020年11月に策定した「新しい成長戦略」において、2023年にデジタル領域事業の連結売上高1,000億円の達成を目標として掲げ、その具体策として、地上波にとどまらないコンテンツ制作のため、地上波放送の制作費とは別に200億円の戦略的投資枠を新設しました。
これらの資金需要につきましては、主に自己資金によって賄う予定ではありますが、それを超える資金需要が発生する場合には当社グループ及びメディア・コンテンツビジネス業界を取り巻く諸環境や金融情勢等を総合的に勘案し、それぞれの時点において最も有利で最適と考えられる資金調達を行う方針です。
また、当社グループは、CMS(キャッシュマネージメントサービス)を導入し、グループ内資金を一元的に管理しております。
なお、2021年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりです。
このほか、オペレーティング・リース取引を行っており、解約不能のものに係る未経過リース料は138億9千6百万円(1年内:29億4千2百万円、1年超:109億5千4百万円)です。
また、当社グループの第三者に対する保証は、関係会社の建物賃貸借契約における連帯保証債務と従業員の住宅資金銀行借入に関する債務保証です。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2021年3月31日現在の債務保証額は、14億9千6百万円です。
当社グループの主たる事業であるメディア・コンテンツ事業の大きな柱は地上波テレビ放送事業であり、下記に記載のプライム帯(19~23時)などの番組を中心にタイムテーブルを編成し、広告枠の販売を行いました。また、ドラマやバラエティなどの豊富な放送コンテンツや、映画・イベントなどの事業コンテンツ等と動画配信事業(「TVer」「Hulu」他)を有機的に連動させることにより、競合他社との差別化を図り事業を拡大しました。
なお、当連結会計年度における番組制作費は、「東京2020オリンピック・パラリンピック」の放送権料に関わる評価損の計上があったものの、コロナ禍による減少やコストコントロールにより、884億2千1百万円(日本テレビ放送網㈱の数値)となり、前期比68億2千4百万円(△7.2%)の減少となりました。
(主な地上波レギュラー番組)
[プライム帯(19~23時)]
(注) 当連結会計年度内に改編を行っております。
(主な地上波単発番組)
メディア・コンテンツ事業、生活・健康関連事業及び不動産関連事業の事業形態は、いずれも「受注」という概念にそぐわないため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.当社グループは、主要な顧客である広告主に対し、広告代理店を通じてテレビ広告枠の販売などを行っております。最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合を広告代理店別に示すと次のとおりです。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2[事業の状況]2[事業等のリスク]」に記載のとおりです。
当社グループは、事業効率性という観点から「売上高営業利益率」を重要な経営指標にしております。戦略的投資や新規事業については、少数出資・組合出資等の成果が営業外損益に反映されるケースもあり、事業ポートフォリオの多様化の観点から「売上高経常利益率」も重要な経営指標にしております。当連結会計年度におきましては「売上高営業利益率」は8.8%、「売上高経常利益率」は11.0%となりました。また、株主の皆様に出資していただいた資本の運用効率や収益性を計る尺度である「自己資本利益率(ROE)」の向上にも引き続き努めてまいります。
該当事項はありません。
当社グループは、公共の資源である電波を預かる放送事業者として、多様化する視聴者ニーズと放送局を取り巻く技術面での課題に応えるため、AI(人工知能)を用いた画像認識技術を応用し、新たな番組演出の創出や番組制作を効率化する研究、会話AIサービスを用いてテレビと視聴者の新たなコミュニケーションの場を提供する実証実験など、幅広く新技術の研究開発に取り組んでおります。当社グループの研究開発は、主に日本テレビ放送網(株)技術統括局において推進しております。
メディア・コンテンツ事業における研究開発項目は、新たに以下の2つを主要テーマとしております。
① 番組制作支援、業務効率化に関する研究開発
AIによる画像認識技術を応用し、番組演出や番組制作の支援に関する研究など
② 将来の番組制作に関する研究開発
放送設備へのIP技術やクラウド技術の導入検証、IPネットワークを用いた映像・音声の伝送実験に関する研究など
当連結会計年度におけるメディア・コンテンツ事業の研究開発費は
① 2020年度の野球中継では、新しい視聴体験として「AIを活用し、次の投球を予測する“AIキャッチャー”」を導入し、実際の投球が「解説者の“読み”」「AIの“データ分析”」のどちらになるのかを楽しんでいただきました。実際「AIキャッチャー」がSNSのトレンドワード上位に挙がるなど、大きな反響をいただきました。
② 中継車内の密になりがちな状況を解消するため、IP技術を使って中継現場のカメラ映像・音声を全て本社に送り、本社側で映像切り替えや音声ミックスを行う「リモートプロダクション」を活用し、コロナ禍でのスポーツ中継を円滑に実施いたしました。
③ カメラマンによるカメラワークをAIに学習させ、1台の4Kカメラ映像から「適切な画角の映像」を切り出すことで、複数のカメラを使用せずに番組制作が出来るシステムを開発しています。また、より多彩な映像表現を最少のスタッフで行えるように、固定カメラだけでなく、リモコン制御で動くカメラとの連動などにも取り組んでいます。
これらの研究開発と共に、特許取得や機器メーカー等との共同開発契約に係る業務を行っております。これまで開発した機器にはメーカー・ベンダーを通じて販売されているものが多数あります。また、当連結会計年度は、新たに1件の特許出願を行い、出願済の「自動スイッチング技術」「演者空間共有体験」「視聴ユーザー解析」等、8件が特許登録(査定1件を含む)されました。
社外からの評価としては、以下のように各方面から高い評価を得ております。
① 「テレビ番組制作支援用AI顔認識システムの開発」が、映像情報メディア学会「技術振興賞 進歩開発賞(現場運用部門)」、及び日本映画テレビ技術協会「技術開発賞」を受賞しました。
② 「画像認識AI技術によるフィールド競技のコンテンツ解析と制作」 が、映像情報メディア学会「技術振興賞 コンテンツ技術賞」を受賞しました。
なお、生活・健康関連事業及び不動産関連事業に係る研究開発活動は行っておりません。