第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営環境及び対処すべき課題

当社グループは、メディア・コンテンツ事業においては、地上波テレビ放送で長年培ってきたコンテンツ制作力と媒体力をコアコンピタンスとし、事業を拡大し成長させてまいりました。しかし、インターネットメディアの普及等に伴うコンテンツ視聴環境の変化や、それに伴う広告手法の進化によって、インターネット広告へのシフト、動画配信市場の拡大等が進み、テレビが持つメディアとしてのパワーの維持が大きな課題となっています。また、オリンピック等の大型スポーツイベントを中心に放送権料が高騰しているほか、5Gなどの新技術対応のためのコストも必要となり、収益の確保が難しくなってきていると認識しています。一方で、インターネットを通じた動画配信事業は、社会のデジタルシフトを受け、市場全体が右肩上がりに成長していくことが見込まれているものの、豊富な資金力を有する外資系企業が日本に進出しているほか、国内配信事業の統合もあり、会員獲得に多額の投資が必要なビジネスモデルとなっていることから厳しい競争環境に晒されています。

生活・健康関連事業においては、総合型スポーツクラブから特化型スポーツクラブへの利用者ニーズの移行に伴い、小規模事業者の新規参入が容易な状況となっており、24時間営業のトレーニングジム、ホットヨガ、ストレッチ専門店等に加え、アプリ等を利用した自主トレーニングなど多様化が進んでおります。また、コロナ禍において減少した会員数の回復に時間を要しているほか、光熱費の高騰など、厳しい状況が継続しています。

これらに加えて、急激な社会のデジタル化へのシフト、ロシアによるウクライナ侵攻などの世界情勢不安、気候変動による集中豪雨や大型台風の発生をはじめとする甚大な被害を伴う自然災害といった外的要因による大きな経営環境の変化が生じております。当社グループはこのような経営環境の変化に適切に対処し、進化していくことが重要な課題であると認識しております。

当社グループは2022年5月、経営方針を新しく定めるとともに、2022年度から2024年度を計画期間とする中期経営計画を策定いたしました。中期経営計画2022-2024は、「総合コンテンツ企業」への進化を目指した前中期経営計画をさらに深化・拡張させ、あらゆる感動を創造し、生活者に信頼されるNo.1企業となるための取り組みと目標を示すものです。

 

 

(2) 経営方針及び基本姿勢

 

 

 

経営方針

 

感動×信頼No.1企業へ

 

生活者にとってのいちばんに、クリエイターにとってのいちばんに。

 

日本テレビグループはあらゆる感動を創造し、信頼されるNo.1企業を目指します。

 

 

 

 

基本姿勢

 

メディアの信頼性向上・サステナビリティへの恒常的な取り組み

 

 

 

当社グループは、すべてのステークホルダーから信頼されるコンテンツ・サービスを提供し、報道機関として迅速・正確な報道の強化に努めます。また、サステナビリティポリシーに則り、多様な人材の活躍と共生を支援し、社会的責任を果たしていきます。

 

■報道の信頼性向上

▶報道機関として公平・公正さを保ち、迅速・正確な情報を発信し、信頼性を高めます。

▶言論および表現の自由を確保し、健全な民主主義の発展に尽くすことで社会の信頼に応えます。

▶放送とインターネットの両輪による安心・安全な情報の発信に努めます。

 

■サステナビリティへの恒常的な取り組み

▶サステナビリティポリシーに則り、あらゆる活動をクリエイティブに発想し、持続可能な未来に向けて積極果敢に取り組みます。

・Good For the Planet(※1)の地上波にとどまらない通年発信

・健康経営の推進、DXによるワークライフバランスの実現 など

 

(3) 中期経営計画2022-2024

 

 

 

中期経営計画のスローガン

 

「テレビを超えろ、ボーダーを超えろ。」

 

感動×信頼のNo.1企業として

メディア、国境、固定概念、すべての境界を超えた新しい感動体験を創造しよう。

 

 

 

中期経営計画2022-2024重点目標

コンテンツの価値最大化

新規ビジネス創出の加速

ウェルネス経済圏の構築

 

「売上高5,400億円」、「営業利益700億円」へ

 

①中期経営計画2022-2024目標数値

最終年度(2024年度)に、過去最高となる連結売上高5,400億円(うちM&A加算額400億円)、連結営業利益700億円(うちM&A加算額20億円)を目指します。

当連結会計年度は中期経営計画2022-2024の1年目として、最終年度の目標数値を達成するために、放送外事業の伸長と放送事業の価値向上の両立を図るべく、先行投資や更なるコンテンツへの戦略的投資を加速させるための足掛かりとなった1年となりました。

なお、当連結会計年度における財政状態、経営成績につきましては、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)経営成績の概要・分析(3)財政状態の概要・分析」に記載しております。

                              (単位:億円)

 

 

 

 

 

2022年度

実績

2024年度

目標

 

連結売上高

4,139

5,400

 

 

メディア・コンテンツ事業

3,843

4,640

 

 

 

広告収入

2,520

2,840

 

 

 

 

うち地上波広告

2,317

2,430

 

 

 

 

うちデジタル広告

51

250

 

 

 

コンテンツ事業収入他

1,322

1,800

 

 

生活・健康関連事業他

296

360

 

 

新規M&A

400

 

連結営業利益

465

700

 

 

(連結営業利益率)

(11.3%)

(13.0%)

 

 

うち新規M&A

20

 

 ※2022年度の「コンテンツ事業収入他」には2022年3月31日付で連結子会社となった㈱ムラヤマの売上高120億円を、また「連結営業利

  益」には同社の営業損失16億円(のれん償却費含む)を含んでおります。

 

②中期経営計画2022-2024の取り組み

メディア・コンテンツ事業領域においては「コンテンツ中心主義」を改めて掲げ、あらゆるプラットフォーム、デバイスに向けて生活者に最適なコンテンツを制作します。また、外部パートナーとの協業・共創を推進し、国内外に向けて発信していきます。

さらに、VTuber事業を始めとした社内インキュベーション事業の強化・拡充を図るとともに、新たな領域への投資機会を追求し、新規ビジネスの創出を加速させます。また、ティップネスを始めとしたウェルネス経済圏を構築し、国民の健康寿命の伸長に貢献します。

当社グループは、あらゆるボーダーを超えた「感動×信頼のNo.1企業」として、生活者に新たな価値を提供し、企業価値のさらなる向上に取り組んでまいります。

 

A    コンテンツの価値最大化

コンテンツ戦略本部の設立

▶顧客体験価値(カスタマーエクスペリエンス)を重視し、これまで以上にメディア横断的に生活者が見たいコンテンツを届けるためのコンテンツ制作・指揮組織を作ります。

▶戦略的パートナー ウォルト・ディズニー・ジャパンなどとのコンテンツ共同開発により、世界配信強化を図ります。

▶海外展開を軸としたアニメ事業の強化を行い、利益最大化での配信を目指します。

 

(当連結会計年度の取り組み)

▶2022年6月にコンテンツ戦略本部を設立し、コンテンツのPF最適化、生活者接点の最大化に向けたコンテンツ制作の指揮コントロールに努めています。引き続き、「生活者接点No.1」の実現を目指してまいります。

▶ウォルト・ディズニー・ジャパン㈱との戦略的協業の取り組みの一環として、日本テレビ系2022年4月期ドラマ「金田一少年の事件簿」をディズニー公式動画配信サービス「ディズニープラス」にて国内及び世界配信いたしました。日本テレビ系地上波連続ドラマとしては、初の世界配信となりました。また、バラエティにおいては、Netflix,Inc.に「名アシスト有吉」を制作し、世界配信を開始しました。今後も、世界市場に向けたコンテンツの共同開発を目指してまいります。

▶日本テレビアニメ枠「AnichU」にて「トモダチゲーム」、「シャインポスト」を放送した他、2022年11月には日本テレビが出資したアニメ映画「劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編」が公開されました。今後は、全世界同時配信の強化、編成戦略の拡充と系列局との連携強化、原作元との関係強化及びグループ会社である㈱マッドハウスや㈱タツノコプロの活用を図ってまいります。

 

知的財産(IP)コンテンツの開発

▶Nizi Project、THE FIRSTに次ぐ大型IP開発を推進します。

▶ビーグリーとの共創、メディアミックス展開により原作クリエイターの発掘・育成を行い、世界でヒットする新規IPを開発します。

 

(当連結会計年度の取り組み)

▶YOSHIKIと日本テレビが強力タッグを組むボーイズグループオーディションプロジェクト「YOSHIKI SUPERSTAR PROJECT X」が進捗し、今春デビューメンバーが決定し、グループ「XY」が誕生いたしました。また、㈱スターダストプロモーション、㈱ソニー・ミュージックレーベルズと日本テレビがタッグを組み、女王蜂のヴォーカル・アヴちゃんがプロデュースする “スクール型”オーディション企画「0年0組 – アヴちゃんの教室」を実施いたしました。今後は、更なるIP開発の進化、自社が関与したIPを活かしたデジタル展開の拡大及び海外進出の強化を図ってまいります。

▶㈱ビーグリーと「クリエイターの発掘・育成・支援」共創プロジェクトとして、漫画家発掘を目的としたオーディション企画「THE TOKIWA」を「シューイチ」で放送いたしました。優勝した漫画家による作品は㈱ビーグリーが運営する「まんが王国」にて配信しております。2023年度以降も様々な形の共創プロジェクトを企画中です。

 

新たな共創体制の構築

▶ムラヤマ、ビーグリー、ディズニーに続く共創体制の構築機会を追求します。

▶アフターコロナ時代に向けた、共創によるリアルイベント制作体制強化を図ります。

 

(当連結会計年度の取り組み)

▶出資先である㈱絵本ナビと「絵本コンテンツの開発・制作」共創プロジェクトを実行し、アナウンサー考案の滑舌をテーマにしたデジタル絵本4作をリリースした他、㈱タツノコプロが絵本ナビとライセンス契約を結び、ハクション大魔王「アクビ」絵本シリーズ3作をリリースいたしました。今後はさらなる共創体制の構築機会を追求してまいります。

▶エグゼクティブ・プロデューサー久石譲氏のもと、イギリスの名門演劇カンパニー、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーと日本テレビが共同製作した舞台「となりのトトロ」が、英国演劇界で最も権威のある「ローレンス・オリビエ賞」で最多6部門を受賞しました。

 また、国内では㈱ムラヤマとの協業によりBiSHのヒストリーを集めた「美醜秘宝館」を開催した他、㈱アールビーズとの共創による「カラダWEEK47都道府県対抗ウォーキングバトル」の開催やSKY-HIと実施したダンス&ボーカルイベント「D.U.N.K」など、当社グループの共創によるリアルイベント制作体制強化を着実に推進しております。

 

B    新規ビジネス創出の加速

社内インキュベーションからの新規事業確立

▶ VTuber事業はClaN Entertainmentへの分社化と人材採用強化でインフルエンサーに特化したエンターテイメント企業へと進化させます。

▶HR事業(※2)・XR事業(※3)について、独立した事業として体制を構築します。

▶上記に続く新規事業を社内インキュベーションから立ち上げます。

 

 

(当連結会計年度の取り組み)

▶2022年4月1日付で㈱ClaN Entertainmentを分社化し、クリエイターネットワーク事業、メタバースコンテンツ事業及びメタバースソリューション事業を展開し、地上波番組「プロジェクトV」の放送や、バーチャルイベント「Summer Voyage!!」の開催等を実施いたしました。

▶人材育成事業を行うアチーブメント㈱との資本業務提携を実施し、教育事業「日テレHR」との相互シナジーにより更なる成長を目指しています。

 また、2022年4月より、XR分野のコンテンツ制作をワンストップで提供するサービス「日テレXR」をスタートいたしました。日本テレビグループならではの放送クオリティの企画演出・コンテンツ制作でB2B・B2C双方の課題解決のサポートを、「XRコンテンツ制作」サービス、「XRプロトタイプ開発」サービス及び「XRオリジナルプロダクト」サービスの3つのサービスで提供いたします。

▶社内インキュベーション事業として、映像編集の自動モザイク入れAIソフトウェア「BlurOn(ブラーオン)」、アナウンサーの声から生まれたブランド「Audire(アウディーレ)」をローンチいたしました。

 

新規事業領域への投資機会の追求

▶当社グループならではの価値を創造できる領域の探索・進出を行い、M&Aを含め、収益の柱となる事業領域への投資機会を追求します。

 

(当連結会計年度の取り組み)

▶新規事業創出及び戦略的投資に際しては、当社グループならではの価値を創造できる領域の探索・進出を行っています。

 

C    ウェルネス経済圏の構築

CDP(顧客情報システム)によるウェルネス経済圏構想

▶ティップネスの顧客情報を、当社グループが持つ他の顧客情報と併せて活用することにより、生活者個々に寄り添った生活満足度の向上に寄与します。

▶CDPの活用を検討する委員会を発足、ウェルネス事業者CDPとの連携を行い、サービスの付加価値をさらに向上させていきます。

 

(当連結会計年度の取り組み)

▶ティップネスをご利用の皆様への満足度を高めるべく、CDPのシステム開発のプロジェクトチームを立ち上げました。今後システム構築に向けて、概念実証や社会実装の実現に向けて努めてまいります。

 

ティップネスの再成長

▶ティップネスはコロナ禍からの早期回復を図り、CDP活用により健康ニーズに迅速・的確に応える「コンテンツ・サービス企業」へと進化します。

 

(当連結会計年度の取り組み)

▶カラダWEEKのキャンペーンでは情報番組と㈱ティップネスの連動企画の放送やオンラインフィットネス「torcia(トルチャ)」とのコラボ展開、更に日テレ・東京ヴェルディベレーザと試合会場でのフィットネスイベントおよびティップネスユーザーを試合会場にご招待するなど協業施策を実行しました。

 

健康事業部の設置

▶生活・健康関連事業をさらに強力に推進するために、当社グループに統括する部門を設置します。

 

(当連結会計年度の取り組み)

▶2022年6月に健康事業部を設立。日本テレビの目指すウェルネス経済圏のビジョンを明確化。生活・健康関連事業を担うグループ会社との連携を強化し、ウェルネス経済圏構築に向けた施策を提案およびその実現に向けた取り組みを加速させています。

 

③戦略的投資方針

投資枠1,000億円を継続し、メディア・コンテンツ事業と生活・健康関連事業の強化と領域の拡張、さらに新規領域への挑戦に向けて投資を実行し、企業価値の持続的な向上を目指します。

メディア・コンテンツ事業領域

・知的財産(IP)開発

・コンテンツ制作体制の強化

新規事業領域

・XR領域、メタバース領域をはじめとする成長テクノロジー投資

・HR事業の拡大

生活・健康関連事業領域

・CDP構築のためのデータ保有企業との連携

・ウェルネス経済圏構想の具体化

サステナブル投資

・社会に貢献する事業への積極的な投資の実行

 

(当連結会計年度の取り組み)

▶当連結会計年度においては、複数の事業領域において投資を実行いたしました。具体的には、HR事業領域において、目標達成を支援する人材教育コンサルティング会社アチーブメント㈱を中核としたアチーブメントグループの株式を取得し、持分法適用関連会社化した他、生活・健康関連事業領域においては、スポーツメディア事業、スポーツイベントの企画・運営事業などを展開する㈱アールビーズの株式を取得し、持分法適用関連会社化いたしました。

▶また、サステナブル投資として、絵本の情報・通販サイト、デジタル絵本コンテンツのサブスクリプション事業などを運営する㈱絵本ナビへの出資を実施した他、先進的な有機栽培によって、安全で地球環境に優しく、おいしい野菜づくりに取り組む農業法人㈱いかすへの出資を実施いたしました。今後も引き続き積極的に投資を実行し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

④財務方針

A    重要な経営指標

事業の規模と成長の尺度である「売上高」と、事業の収益性の尺度である「営業利益」とします。また、事業資産の効率的な利用と金融資産を活用した積極的な投資により「ROE(自己資本利益率)」の向上にも努めてまいります。なお、政策保有株については保有の合理性について随時見直しており、2022年度は純資産に対する比率が20%未満となりました。

 

B    株主還元政策

事業環境の変化への対応や収益基盤の強化、成長領域への投資の調和を図りながら、持続的な収益の拡大・成長に努め、業績動向など諸要素を勘案しながら継続的で安定的な株主還元を行うことを基本方針とします。

 

(※1)Good For the Planet グップラ …2020年からスタートした日本テレビ系SDGsキャンペーン。「地球のため、未来のため、

    より良い暮らしのために今できること」を情報・バラエティ・スポーツ・報道番組が「オール日テレ系」で一丸となって取り組み

    ます。

(※2)HR事業…Human Resources(人的資源)。育成・研修等を含む人事支援サービス。

(※3)XR事業…Extended Reality。VR(仮想現実)・AR(現実拡張)・MR(複合現実)などの先端技術を活用した事業。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

日本テレビホールディングス㈱は、「地球環境への貢献」を重要課題の1つとして掲げる「サステナビリティポリシー」を表明しています。グループ一丸となって脱炭素化を目指す中で、2023年3月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同し、気候変動が事業活動に与える影響について、TCFD提言に沿って開示を行いました。

 

(1) ガバナンス及びリスク管理

① ガバナンス

  サステナビリティ関連の課題への対応を推進するため、「サステナビリティ推進委員会」(委員長:石澤 顕 代表取締役社長執行役員)を設置し、執行役員が委員として参加します。

 「サステナビリティ推進委員会」(年2回開催)は、グループ各社の事業部門の責任者を招集してワーキングチームを立ち上げ、気候変動への対応策などを検討させます。委員会はワーキングチームの提言をもとに、グループ全体の目標や計画を立てて実行に移します。また、重要事項や活動状況について、取締役会に随時報告を行い、取締役会は対応方針や実行計画などを監督します。

 


 

② リスク管理

  当社は、気候変動とそれに対する対応が経営に重大な影響を及ぼすリスクであると位置づけており、グループを挙げてこの問題に取り組みます。グループ各社の事業部門の責任者で構成されるワーキングチームで想定されるリスクを洗い出し、年2回開催する「サステナビリティ推進委員会」の会議において、これを識別・評価します。また、経営への影響の重大性や発生する可能性・時期などから総合的にリスクの優先順位をつけて、対策を立案・実行するなど適切に対応します。また、「サステナビリティ推進委員会」が重大なリスクと評価した事項については、取締役会へ報告を行ってまいります。

 

(2) 重要な戦略並びに指標及び目標

① 戦略

気候変動や温暖化対策などの政策動向による事業環境の変化を想定し、当社の事業や経営に与える影響を検討しました。TCFD提言が推奨する複数の気候シナリオでの分析として、主要事業の放送事業を行う日本テレビ放送網㈱を対象に1.5℃シナリオと4℃シナリオで影響を評価しました。

 

■1.5℃シナリオ(低炭素社会が急速に進展)

温室効果ガス排出量の削減に向けた厳しい規制措置が取られ、今世紀末の時点で、世界の平均気温の上昇が産業革命前と比べて1.5℃以内に収まる想定。低炭素社会が急速に進展し、法規制や社会的要請への対応を迫られるシナリオ。

※IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のSSP1-1.9シナリオ、IEA(国際エネルギー機関)の NZE2050シナリオを参照

 

 ◎:影響が大きい ○:影響あり △:やや影響

項目

想定されるシナリオ

リスク

機会

発生時期

温室効果ガス規制強化

・再生可能エネルギー価格の上昇

・炭素税や排出権取引などによる事業コスト増加

・日本テレビ放送網㈱の3拠点(汐留・番町・生田)の

  使用電力の30%について非化石証書などを購入して再

  生可能エネルギーを調達した場合、電気料金約7%増加

 

短・中期

番組制作コストの増加

・規制強化や炭素税などコスト増加による価格転嫁

 

短・中期

設備投資の増加

・規制強化による設備の省電力化でコスト増加

 

短・中期

評判

・CO2削減に向けた取り組みが遅れ、視聴者・スポンサー

  等のイメージが悪化

 

短・中期

・災害報道、温暖化対策キャンペーンの展開によるブラ

  ンドイメージの向上

 

中期

視聴者の嗜好

スポンサーのニーズが

変化

・「24時間テレビ」「Good For the Planet」キャンペー

  ンなど地球温暖化やサステナビリティ関連コンテンツ

  の需要が一層高まる

・スポンサー企業とコラボした環境啓発番組・イベント

  の増加

 

短・中期

ライフスタイルの変化

・環境分野での新規事業の可能性

 

中・長期

 

 

1.5℃シナリオでは、温室効果ガスの削減に向けて企業はより厳格な対応を迫られ、炭素税導入や再生可能エネルギーの需要増加によるコストの上昇が見込まれます。一方、気候変動に関する社会の関心が高まり、正確な情報を発信するというメディアの役割はますます重要になります。役割が不十分だと判断されれば、視聴者やスポンサーからの信頼が低下することは避けられません。また、番組制作においては、サステナビリティ、カーボンニュートラル実現に向けたコンテンツの需要が高まることが予想されます。

 

■4℃シナリオ(地球温暖化が深刻に)

温暖化対策が徹底されず、今世紀末の時点で、世界の平均気温が産業革命前と比べて4℃程度上昇する想定。異常気象の増加や自然災害の激甚化など気候変動の物理的影響が顕著となるシナリオ。

※IPCCのSSP5-8.5シナリオ、IEAのSTEPSシナリオを参照

 

  ◎:影響が大きい ○:影響あり △:やや影響

項目

想定されるシナリオ

リスク

機会

発生時期

平均気温上昇

異常気象の増加

・放送機材の強靱化に向けた設備投資のコストが増大

・屋外での取材・撮影の制限

 

中・長期

・気象情報や生活情報に視聴者の関心が高まる

 

中・長期

気象災害の増加・激甚化(台風・洪水・干ばつなど)

・防災情報・災害報道のニーズが高まる

 

中・長期

・従業員の被災リスク上昇、災害報道の困難化

 

中・長期

海水面の上昇

・高潮による汐留本社の浸水リスクが高まる

 

中・長期

夏の外出時間が減少(在宅時間の増加)

・映像コンテンツの需要が高まる

・テレビ通販部門の収益拡大

 

中・長期

健康リスクが増大(熱中症・新たな感染症など)

・空調コストなど従業員の健康維持コストが増加

 

中・長期

・健康番組・キャンペーンへの関心が高まる

 

中・長期

 

 

4℃シナリオでは、異常気象が慢性化し、台風や豪雨による水害の激甚化、干ばつ被害の増加などが予想されます。また、夏場の気温上昇は熱中症患者の増加をもたらします。日本テレビ放送網㈱は公共性を有する放送を担っており、防災や災害に関する報道機関の役割が一層求められることになります。一方で、高温下での屋外撮影によって、番組制作が制約を受ける恐れが生じるほか、放送機材に不具合が発生するリスクが高まります。放送を継続して報道機関としての責務を果たすためには、従業員の被災リスクを低減しつつ放送機材の強靱化を進めていく必要があります。

 

② 指標及び目標
・指標

■日本テレビ放送網㈱の3拠点(汐留・番町・生田)のCO2排出量(2022年度実績)

Scope1(事業による直接排出):2,212 t-CO2

Scope2(電力・熱・蒸気の購入による間接排出):22,140 t-CO2

 


※2021年度は、CGS(ガスコージェネレーションシステム/自家発電システム)が更新作業で稼働停止したため、Scope1が減少しました。自家発電量の減少分は電気を購入して補ったため、Scope2が増えています。CGSは2022年10月から稼働を再開しています。

 

・目標 

 当社は「サステナビリティポリシー」(2021年11月策定)において、日本テレビ放送網㈱におけるすべての電力の再生可能エネルギー比率を2030年度までに100%とすることを表明しました。

 番町スタジオにおいては、2019年の竣工時にLED化100%を達成しています。汐留本社においても、2031年にLED化100%を計画しています。照明のLED化とあわせて、高効率機器への設備更新を進めて消費電力を削減します。

 開局70年を機に、2023年3月に「日本列島ブルーカーボンプロジェクト」を立ち上げました。海水に溶け込んだCO2を吸収する働きがある『アマモ』の育成活動を推進します。

 将来的には、グループ全体でカーボンニュートラルの実現を目指します。今後も年度ごとにCO2排出量を算出し、当社のHPにて開示します。

 

(3) 人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標

① 戦略

「感動×信頼のNo.1企業」を目指す当社グループでは、人的資本は、最も重要な価値創造の源泉であると考えております。多様なバックグラウンドを持つ人材が、心身ともに健康かつクリエイティブに活動できる職場環境を整備することは、当社グループの持続的な成長に必要不可欠であるといえます。
 当社「サステナビリティポリシー」においては、6つの重要課題のうち、「健康でクリエイティブな職場作り」と「多様な人材の活躍と共生」の2つが人的資本に関連するものです。例えば、グループを挙げての取り組みとして、同性間のパートナーに、異性間の結婚と同様の祝金や特別休暇を認める「同性パートナー制度」のグループ全体での導入を促進するなど、社員一人ひとりが自分らしく働くことのできる制度作りを進めております。
 また、各社においても、それぞれの事業の環境やフェーズに合わせ、多彩な取り組みを行っております。

 

日本テレビ放送網(株)では、「感動体験を創造する人財の獲得・育成」、「健康経営の推進」、「多様な人材の活躍・共生」を人的資本に関する戦略の三本柱に据え、中期経営計画2022‐2024を推進しており、人材の多様性の確保を含む人材の採用・育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。
 
■多様性の確保を含む人材の採用・育成方針
 IP創出やコンテンツ開発に必要なクリエイター人材をはじめ、DX推進に寄与するITエンジニア、経営戦略・事業戦略の推進を担う管理人材等、多種多様な人材の採用を、新卒採用・キャリア(経験者)採用を問わず、積極的かつ継続的に行っております。また、今後のコンテンツビジネスを牽引するビジネスプロデューサーの獲得・育成も急務であると考えております。個人の成長が組織の成長の原動力となるよう、個人のキャリアパスを支援し、定着と成長を促す育成・研修制度を実施しております。
 
<採用>
 新卒を対象とした定期採用では、毎年30名前後を採用しています。クリエイター、ジャーナリスト、アナウンサーなど、従来の番組制作の核となる人材に加えて、次世代のメディアビジネスを担う人材やエンジニアを志す「理系人材」の採用にも注力しております。
 キャリア(経験者)採用では、ITエンジニアやデータサイエンティストをはじめとする「デジタル系人材」やコーポレート機能強化に必要な「コーポレート人材」など、今後の当社グループの事業成長に必要な専門性の高い人材を中心に積極的な採用活動を進めております。キャリア採用比率は増加傾向で、2022年度は44%にのぼっております。高度な知見と多様な経験・価値観がイノベーションの創出につながるよう、トップクリエイターと社歴の浅いキャリア採用社員が交流する機会を設けるなど、オンボーディング施策も随時、検討・実施しております。
 
<育成>
 加速する環境変化に対応しながら、組織として成長し続けるためには、組織力の強化と個々の成長との両輪が重要であると考えております。マネジメント能力やリーダーシップ開発および新たなスキル・知識の習得を促進するため、従前のOJT(On-the-Job Training)を軸とした育成に加え、Off-JT(Off-the-Job Training)の機会増加・強化に取り組んでおります。

 



a)階層別研修およびマネジメント力強化
 職位や役職ごとに求められる能力や知識の習得およびリーダーシップ開発を目的に、任用・登用時などの節目で階層別研修を実施しております。また、人事評価における公正な評価と適切なコミュニケーションは、育成の観点でも極めて重要であることから、評価者のスキルアップを図る研修を年数回にわたって行っております。そして、管理職を対象にした研修等を通して、ガバナンス強化にも取り組んでおります。


b)スキルアップ・リスキル支援
 社員個人の自律的な学びと成長を支援する制度整備も進めております。
 従来の資格取得支援の制度を見直し、重要性が増しているビジネスおよびデジタルのスキル・知識の底上げを図るため、希望者を対象に、eラーニングの受講費用を補助する制度を2023年度より導入いたします。他業界の企業の社員と共に学ぶ「異業種交流研修」も継続して実施しております。
 また、現在の業務に関連する学びのために学校に通う社員の学費等を補助する「修学サポート制度」を2022年度に新設しております。国内のみならず、海外での学びも支援しており、今後、利用可能者数の拡大など制度をより充実させる方針です。
 さらに、これまでの制度を見直し、資格取得や留学、配偶者・パートナーの転勤への同行などに伴う休職を可能とする「キャリアサポート休職制度」や、起業・転職など社外での挑戦やライフイベントのために退職した社員が再び日本テレビ放送網㈱で活躍しやすくするための「カムバック採用制度」を整備し、優秀な社員が会社との関係性を継続しながら多様な経験を積めるよう努めております。


c)ミドルシニア研修の充実化および副業の推進
 「人生100年時代」と言われる中、ミドルシニア世代のキャリア自律も重要な課題の一つととらえております。45歳・50歳・55歳・58歳の各年齢でキャリアやライフプランに関する研修を実施し、リスキル・学び直しやキャリア自律を推進しております。また、55歳以上の社員を対象にした副業制度は、利用者が徐々に増えており、セカンドキャリアをみすえながら、これまで培った能力・スキルを社外で活かしております。


d)女性社員の活躍推進
 女性管理職比率は、近年、16%前後で推移しており、グループ内や出資先企業との人事交流で、出向先企業の役員や管理職として活躍の場を広げている女性社員も増えております。また、新卒社員の女性比率は2020年から50%前後で推移しており、全社員における女性比率は年々上昇しております。当面の目標である20%(2025年度末)達成に向け、成長機会の創出などに積極的に取り組んでまいります。
 

■社内環境整備方針
<健康経営の推進>
 社員の健康を最重要と考え、社員の健康増進・健康意識の向上に努めております。2022年6月に設置した健康経営推進委員会を中心に、健康保険組合とも連携しながら、全社的に健康経営の推進に取り組んでおり、具体的には以下の環境を整備しております。

 



a)HRM(Human Resource Manager)の設置
 社員ひとりひとりと向き合いサポートする管理職「HRM」を各局・室に1名ずつ配置しております。健康保持・増進や職場環境の改善に向けて、直属の上司とは違う立場で面談を行うことで、早期の対応につなげる役割を担っております。2022年度は対象となる社員の約9割が、自局・室のHRMとの面談を1回以上行っております。


b)健康経営に関する研修・イベントの実施
 2022年度は「自分を知ろう」をテーマに掲げ、㈱ティップネスによる「体組成測定会」や㈱アールビーズのシステムを使った「ウォーキングバトル企画」などを行いました。また、睡眠や喫煙、メンタルヘルスなど様々なテーマに関するオンライン研修を実施し、社員一人ひとりの健康に対する意識の向上に努めております。
 2023年度も「生活リズムを整えよう」をテーマに掲げ、心と体の健康のための取り組みをより一層推進してまいります。


c)有給休暇取得キャンペーンの実施
 ワーク・ライフ・バランス向上のため、休日取得奨励日の設定など年次有給休暇取得を促進する「ホリデー
24」キャンペーンを実施しております。こうした取り組みを通じて休日を取りやすい環境を整備するとともに、コミュニケーションツールの適切な活用方法を周知するなど、ワーク・ライフ・バランスと業務の円滑化の両立も図っております。


d)エンゲージメント・サーベイの導入
 組織と社員の状態を可視化・分析するため、2023年2月より毎月、全社員の協力のもと「エンゲージメント・サーベイ」を実施しております。組織力の向上につなげていくため、管理職向けの説明会などを通して、サーベイ結果から算出されるエンゲージメントスコアのマネジメントへの活用も進めております。
 
<誰もが働きやすい環境の整備>
 現在も日本企業の平均より長い平均勤続年数と低い離職率でありますが、高い意欲と能力を持つ多様な人材が、その力を最大限発揮しながら、より安心して働き続けられる環境の整備にも努めております。具体的には以下を整備しております。
 
a)男性社員の育児目的休暇取得の促進を含む子育て支援の強化
 充実した育児休業制度・勤務時間短縮制度などを整備しており、産休・育休復帰率は100%を維持しております。さらに、全管理職に出産・育児関連制度をまとめたマニュアルを配布するなどの取り組みを通じて、男女問わず、それぞれの価値観やライフスタイルが尊重されながら、育児と仕事が両立しやすい職場環境が実現できるよう努めております。
 また、これらの制度は、自身または配偶者(パートナー)が出産した社員はもちろん、特別養子縁組等で養子を迎えた社員も利用することができます。出産祝金も「ニューファミリー祝金」に改称し、養子を迎えた社員を対象に加えるなど、ライフスタイルや家族の在り方の多様化に対応できるよう取り組んでおります。


b)従業員持株会を通したインセンティブ強化
 従業員持株会制度は、日本テレビホールディングス㈱の株式を毎月定額で買い続ける制度で、拠出金に対して会社からの奨励金を上乗せして株式を購入する仕組みです。
 開局70年を記念して、これまで日本テレビ放送網㈱で行われていた本制度の対象を、日本テレビホールディングス㈱および連結子会社全社の従業員へ拡大し、このきっかけとして、希望する対象従業員に70株を配布する取組も行いました。奨励金率は国内上場会社でも上位で、従業員の資産形成に寄与すると共に、株価への意識を高めることで業績拡大へのモチベーションおよび働く意欲の向上につながることも期待しております。


c)ハラスメント防止研修やDE&I研修の実施
 多様な人材がお互いに尊重しながら働きやすい環境を作るため、ハラスメント防止研修やLGBTQ研修などを継続的に行っております。2022年度は、アンコンシャス・バイアスやDE&I、外国人差別などをテーマに研修を実施し、職場における多様性の尊重と、メディア企業として情報発信を通した多様性のある社会の実現への寄与に取り組んでおります。


d)テレワークの活用など柔軟で多様な働き方の推進
 ワーク・ライフ・バランスの推進、特に、意欲ある社員の育児や介護と仕事との両立を支援するため、テレワークなど働き方の多様化を実現する制度を整備しております。今後も、生産性向上に向け、ICT活用・DXによる業務効率化やオフィス環境の改善をさらに促進してまいります。

 

② 指標及び目標

 日本テレビ放送網㈱においては、「①戦略」にて記載した、人材の多様性の確保を含む人材の採用・育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

■女性管理職比率
 女性の活躍推進のための重要な指標と考え、2025年度末までに女性管理職比率を20%とすることを目標としております。さらに、女性社員比率が現在27%であることなども踏まえ、2030年度末までには25%に到達することを目指しております。

■産休・育休復帰率
 女性活躍推進および多様性の確保において、産休・育休復帰率は重要な指標といえます。現在、100%を達成しており、今後も、100%を維持することを目標としております。

■有給休暇取得率
 健康でクリエイティブな職場環境の実現に向け、重要な指標の一つととらえ、各局・室のHRMや労働組合とも連携しながら、上昇に努めております。

■定期健診受診率
 定期健診は病気の早期発見・予防や生活習慣の見直しの基礎となります。健康経営の各施策により、従業員の健康に対する意識は高まり、定期健診受診率は100%を維持しております。今後も100%を継続することを目標としております。

 

指標

2022年度実績値

2025年度目標値

女性管理職比率

15.9%

20%

産休・育休復帰率

100%

100%の維持

有給休暇取得率

 

 

総合職社員(管理職資格者含む)

43.4%

44.0%

職種別社員

53.4%

44.8%

定期健診受診率

100%

100%の維持

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。当社グループは、これらのリスクの存在を認識した上で、その回避及び顕在化した場合の対応に努める方針です。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクを網羅するものではありませんのでご留意下さい。

 

(1) メディア・コンテンツ事業

① メディア

(地上波テレビ放送の媒体価値と収益性)

当社グループの主たる事業であるメディア・コンテンツ事業は、地上波テレビ広告枠の販売による地上波テレビ広告収入に依存しており、当連結会計年度における地上波テレビ広告収入は総売上高の56.0%を占めています。一般に、広告市況は経済のマクロ動向と連動する傾向があり、日本国内においては、少子高齢化と人口減少により大きな市場の伸びが期待できない状況です。また、長引くロシアによるウクライナ侵攻や海外景気の下振れ等の外的環境の変化により広告市況が影響を受ける可能性があります。これらに加え、メディアの多様化やインターネット広告市場拡大等の変化により、地上波テレビ放送事業は厳しい状況に晒されています。2022年の日本の総広告費(暦年、㈱電通調べ)は過去最高の7兆1,021億円(前年比104.4%)となったものの、地上波テレビ広告は「東京2020オリンピック・パラリンピック」などによる反動減を打ち消す需要増には至りませんでした(前年比97.6%)インターネット広告費はこのような状況下においてさらなる成長(前年比114.3%)を見せており、広告価値における地上波テレビ放送が有してきた絶対的優位性の維持・確保が課題であると認識しております。

当社グループとしましては、視聴者から支持される番組を作り続けることにより、視聴率・視聴質の維持・向上に努め、今後厳しさが増すと予想される市場環境の中でも、地上波テレビ広告市場におけるシェアを圧倒的に拡大することで地上波テレビ広告収入の確保に努めております。これに加え、開発したSAS(スマート・アド・セールス)の活用や、新たなクライアントニーズを取り込むことで、地上波テレビ広告の高度化と価値の維持、広告体験の向上に努めております。近年高まっている、広告の効果分析に対するニーズに対しては、DMP(顧客情報システム)構築や獲得した大量のデータの有効な処理・活用のためのデータサイエンティストの確保などを推進し、視聴データの整備を進めると同時に、さらに広告価値を高める方法についても引き続き研究を行っております。これに加え、AIを活用した新セールス方法の開発を目指す(株)松尾研究所との共同研究や、放送/配信を統合しあらゆる動画広告を在庫化する研究など、広告商品の高度化を推進しています。

また、2022年5月に策定した中期経営計画において「テレビを超えろ、ボーダーを超えろ。」をスローガンに掲げており、コンテンツ戦略本部の設立、知的財産(IP)コンテンツの開発、新たな共創体制の構築などを実行し、コンテンツの価値最大化を目指してまいります。

しかしながら、今後の日本経済のマクロ動向や広告市場の動向により、地上波テレビ広告収入が大幅に縮小し、かつ、地上波テレビ広告収入の落ち込みを補う非放送広告収入を創出できなかった場合は、当社グループの存続に関わる、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(メディアの多様化)

通信環境の進化とともにスマートフォンやタブレット等の端末が広く普及する中、インターネットメディアをはじめ、視聴スタイルが多様化しております。当社グループは、地上波・BS・CSの3波協業を皮切りに、2014年4月にアメリカの動画配信会社 Hulu,LLC の日本市場向け事業(定額制動画配信サービス「Hulu」の運営)を承継し、SVOD(Subscription Video On Demand:定額動画配信)事業に参入し、現在ではTVOD(Transactional Video On Demand:都度課金型動画配信)事業も開始しております。また、「日テレ無料!(TADA)by日テレオンデマンド」において、2014年度より放送事業者として初めて、一部放送コンテンツで広告付き無料見逃し配信(キャッチアップ)のサービスを開始し、インターネット環境下での放送コンテンツ視聴のBtoB事業化に着手、2015年には民放公式テレビポータル「TVer」をスタートし、AVOD(Advertising Video On Demand:広告付き無料動画配信)事業も順調に成長しております。

SVOD事業及びTVOD事業は、今後の動画配信市場の拡大と、それに伴う会員数の拡大という目標に向け、連続ドラマからHuluオリジナルストーリーへの展開や、スポーツコンテンツについてテレビ放送との工夫のあるライブ配信を行うなど、当社グループが展開しているコンテンツ・サービスとの連携を強め、注目を集めています。AVOD事業はドラマの見逃し配信を中心に着実に利用者を拡大しております。さらに2021年10月より「日テレ系ライブ配信」として一部番組の無料ライブ配信を民放で初めて実施いたしました。2022年4月からは在京民放キー局全てが一部番組のリアルタイム配信を開始しております。当社グループといたしましては、今後も地上波テレビ放送にとどまらず多様化するメディアに積極的に参入してまいります

しかしながら、これらの事業は成長分野であるとともに、豊富な資金力を有する外資系企業が参入するほか、国内配信事業の統合など競争環境は年々厳しくなっております。事業が想定通りに伸長しない場合や、ネットワークインフラと端末の高機能化等により、市場を取り巻く環境が大きく変容する可能性もあります。このような場合には、投下資本の回収が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

映画・イベント等への展開に関しては、慎重にシミュレーションを行った上で、投資判断を行っております。しかしながら、実際の映画の興行収入や劇場公開後の二次利用収入・イベントチケット販売収入や関連グッズなどの物品販売収入等がシミュレーション通りの収益を確保する保証はなく、当初計画した収益を確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

② コンテンツ

(地上波テレビ放送の視聴動向)

テレビ広告収入に大きな影響を及ぼすのが視聴率動向です。当社グループは、国民の皆さまの視聴ニーズを的確に捉え、最も視聴され共感されるコンテンツの制作を目指しており、地上波での2022年の年間個人平均視聴率は、全日帯、ゴールデン帯、プライム帯の3部門全てでトップとなり、年間「個人視聴率三冠王」を継続することができました。

コンテンツ制作においては、新たなデジタルテクノロジーの導入を進めるなどして制作体制を強化するとともに効率化を進めております。当社グループが有するコンテンツ制作力を結集し、引き続き、視聴者の皆さまから支持される良質なコンテンツを開発してまいります

しかしながら、日本国内の人口減少やコンテンツの視聴環境の多種多様化により、地上波のタイムテーブル全般で視聴率の大幅な低下があった場合には、地上波テレビ広告収入の大幅な減少等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

(放送権・配信許諾等ライセンスの高騰)

メディア・コンテンツ事業を主たる事業とする当社グループは、オリンピックやFIFAワールドカップ等、全国民が注目するスポーツイベントの放送をテレビ放送事業者の使命として行ってまいりました。しかしながら、近年これらのスポーツイベントの放映権料が高騰する一方で、高額なテレビ放映権料に見合う広告収入の確保は年々困難になっており、その採算性は悪化する傾向にあります。当社グループといたしましては、今後も、国民の皆さまに娯楽を提供するという放送事業者としての使命を全うすべく、スポーツイベントのテレビ放送に携わっていく所存ですが、テレビ放映権料のさらなる高騰は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

動画配信事業においては豊富なコンテンツを安価で提供することが、サービスが顧客から選ばれる要因となっていることから、近年、コンテンツホルダーの交渉力が高まっており、配信許諾等ライセンスが高騰する傾向にあります。当社グループといたしましては、コンテンツの選別を精緻に行い、慎重に収支のシミュレーションを行った上で、ライセンスを購入しております。また、購入したライセンスは効果的に利用すべく、マルチプラットフォーム戦略の下、当社グループが有する地上波テレビ放送をはじめとする各メディアとの連携を図り、収益の最大化を進めております。しかしながら、配信許諾ライセンスのさらなる高騰により、投下資本の回収が困難なケースが増えた場合は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

 

(コンテンツ制作の取り組み)

当社グループでは、今後、多様化するメディアの中で、制作したコンテンツのテレビ放送での利用は、ゲーム・商品化・映画・舞台等様々な利用方法と並列と捉えてマネタイズを組み立てる必要があり、IP(知的財産)の構築及び確保が重要であると考えております。当初より様々な利用を前提とし、権利処理関係においてより上流に位置することになるIPの構築には、これまでのテレビ放送を前提としたコンテンツ制作とは異なるケースも多々発生し、構築までに時間と費用がかかる場合があります。今後、当社グループの収入源の多様化を図るためにもIPを構築し確保することは重要でありますが、想定した通りのIPの構築が進まない場合、あるいはIPの構築に想定以上のコストが必要となった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

番組制作においては、働き方改革の促進に伴い、クラウド上での編集システムの検討など効率化に取り組んでおります。しかしながら、現状の番組クオリティを維持するためには、スタッフの人員増や編集システムへの投資など、費用が増加する傾向にあります

また近年、SNS等のインターネットメディアの拡大に伴い、テレビ番組以外の制作物も増加しております。その対応のための人材確保や外部リソースの活用などを推進しておりますが、業種を問わずニーズが高い分野のため、優秀な人材を確保できない場合や確保できたとしても高コストになってしまうことも想定されます。計画的な設備投資、人材の採用を行い、コスト抑制に努めてまいりますが、想定を超える技術革新、人件費の高騰が進んだ場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

(著作権等の知的所有権)

当社グループの制作するテレビ番組は、原作者、脚本家、音楽の作詞・作曲者、レコード製作者、実演家等多くの人々(以下、「著作者等」という。)の知的・文化的な創作活動の成果としての著作権や著作隣接権(以下、「著作権等」という。)が密接に組み合わされた創作物です。著作権法は、その第1条においてこれらの創作活動を行う著作者等の権利を定め、その公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、文化の発展に寄与することを目的としています

当社グループは制作したテレビ番組を、地上波テレビ放送や動画配信、BS・CS等の衛星放送、ケーブルテレビへの配信、DVD / Blu-ray Disc等によるパッケージメディア化、海外への番組販売等によるグローバル展開、番組キャラクター等のマーチャンダイジングや出版化等によりマルチユース利用することで収益を獲得しております。この際、様々な著作者等が保有する著作権等に十分配慮しつつ展開することが求められます

しかしながら、当社グループの制作するテレビ番組は、原則として日本国内における地上波放送や衛星放送を前提として著作者等から著作権等の利用を許諾されており、これら以外への利用を目的とした権利取得が十分に行われていないテレビ番組が存在します。このため、テレビ番組をインターネット等の新たなメディアでマルチユース利用する場合や、海外展開をしていく上で、予め著作者等の許諾を得るか、放送と並行して、あるいは放送後に著作者等の許諾を再度取得することが必要不可欠となります。これらの権利処理には多くの時間と費用が必要となる可能性があります。当社グループでは、新たに番組を制作する際には予めマルチユース利用を前提とした著作権等の許諾を得て制作を進めていくほか、これまでに制作した番組については、必要に応じて適切に著作者等から著作権等の許諾を取得する作業を行い、コンテンツのマルチユースがスムーズに進められるよう心掛けております

万が一、当社グループが著作者等に対し、不適切な対応を行った場合には、放送等の差し止め要請や損害賠償請求を受ける可能性があります。このような場合には、収益の大幅な減少・訴訟等に伴う費用の大幅な増加等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

(2) 生活・健康関連事業

当社グループは、2014年12月に総合スポーツクラブ事業を営む㈱ティップネスを連結子会社化し、生活・健康関連事業を展開しています。生活・健康関連の市場規模は拡大傾向にあるものの、新規事業者の参入などにより事業の競争環境は厳しさを増しております。㈱ティップネスは従来の総合型スポーツクラブ「ティップネス」や24時間営業のトレーニングジム「FASTGYM24」を展開し、顧客層の獲得へ取り組んでおります。また、2020年3月には水泳スクールを営む㈱ジェイエスエスを関連会社とし、㈱ティップネスとのシナジーも含め、本セグメントにおけるスクール事業の強化に努めております

しかしながら、スポーツ施設の運営において、同業他社や他のスポーツ関連サービス等との競合により会員を計画通りに確保できない場合や、価格競争により平均単価が低下した場合、あるいは賃貸契約を更新できずに店舗を閉鎖せざるを得ない場合には、安定的な収益が得られない可能性があります。また、新規出店やリニューアルなどには、規模に応じた投資を要するため、会員の確保が計画通り進まない場合には投下資本の回収が困難になる可能性があります。特に昨今では、コロナ禍において減少した会員数の回復に時間を要しております。当社グループといたしましては、不採算店舗の閉鎖も実施しつつ、コスト構造の見直しを通じて収益性の回復を図るほか、デジタル化を通じた新規事業の創出やデータの活用を通じ、健康ニーズに迅速・的確に応えるコンテンツ・サービスの開発に取り組んでまいります。しかし、引き続き会員数の回復が見込めない場合や想定外の多額の費用投下が必要になった場合などには、収益の大幅な減少やさらなる不採算店舗の閉鎖コストの発生、固定資産のさらなる減損リスクが発生するなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

(3) 不動産関連事業

① 番町再開発事業

当社グループは、汐留及び番町地区等において不動産賃貸事業を計画、実施しており、保有地の活用検討を進めております

当社グループといたしましては、建設費の高騰等を想定し、できる限りコストコントロールに努めた上で事業を進めてまいりますが、予期せぬ事情により今後の計画に何らかの影響が及んだ場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

② 太陽光発電事業

当社グループは、2014年に岩手県九戸発電所と胆沢発電所を稼働させ、2018年5月には、大規模営農型の熊本県小国発電所を稼働させました。当社グループではクリーンエネルギーの創生は、環境に配慮した発電事業として社会的に意義のあるものと考えており、電力会社と固定価格買取保証の契約を締結することなどにより、長期安定的に収益を計上できるよう取り組んでおります

しかしながら、合理的な理由を前提とした電力会社から事業者への出力抑制の要請等で、計画通りに買い取りが行われないような状況が発生した場合や、設備トラブルや天候不順・天変地異等により発電量が大幅に低下した場合、営農型発電所において営農の継続性に疑義が生じた場合、稼働済みの発電所から撤退する場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

(4) M&A

当社グループは、2022年度から2024年度を計画期間とする日本テレビグループの中期経営計画「日本テレビグループ 中期経営計画2022-2024」において投資枠を1,000億円とし、M&A等による事業セグメントの拡大をグループ全体で進めております。しかしながら、M&Aについては、適切な候補先が見つからない場合や、条件に合致しないなどの理由により、当社グループの想定通りに取引が進まない可能性があります

M&Aを行うにあたっては、事前に対象企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行い、十分にリスクを回避するように努めていますが、対象企業に偶発債務の発生や未認識債務の判明など事前の調査で把握できない問題が生じる可能性も否定できません

また、M&Aにおいては、対象企業とのシナジー効果を含んだ金額での合併・買収価額となることが通常であるため、事前段階から綿密な統合計画を作成し、合併・買収後において、速やかに統合計画を実行することにより、早期のシナジー発現を目指しております。しかしながら、合併・買収後に重要な役員・従業員の退職や取引先との関係悪化といった躓きが生じた場合や、事業環境の変化その他の理由により統合後の事業展開が計画通りに進まず、シナジー効果が発現できない場合には、のれん等の減損リスクが発生するなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

(5) 人材・組織・制度

① 人材の確保及び人材の育成

当社グループが事業活動を行う上で、人材の確保は重要な課題と捉えています。現在遂行中の事業をさらに拡大させていく場合や新たなサービスを開発し対応する場合、特に放送・配信等に対応したコンテンツを制作するにはそれぞれ必要なスキルを有した人材が新たに必要となります。しかしながら、昨今、労働需要がひっ迫し、労働力及び人材の確保が難しくなってきております。また、今後、AI化がますます重要となる社会が予想されることから、獲得した大量のデータを適切に処理・活用することができるデータサイエンティストに対するニーズが一段と高まってきております。当社グループにおきましても、このような人材を獲得することが非常に重要と考えておりますが、様々な業界・企業から必要とされている人材であるため、優秀な人材の確保は容易ではありません

当社グループでは、テレワークの活用などをはじめとして働き方改革に全社を挙げて取り組み、社員や協力スタッフにとって働きやすい労働環境の整備に努め、人材の確保に注力しております。さらに、キャリア採用の強化等で多彩な人材を迎え入れ、当社グループの一番の強みであるコンテンツ制作力を強化するとともに新規事業へも積極的にチャレンジしております。このほか、経理部門等の重要な管理部門においても専門スキルを有する人材を継続して採用するなどし、ガバナンス機能の強化に努めております

これらに加え、人材の永続的な確保という観点から、入社した人材の流出を防ぐことも重要であると考えております。働きやすい環境を作り上げるために、絶えず制度を改善することを続けており、離職率は1%程度と極めて低い水準を維持しております。特に女性が働きやすい環境作りに注力しており、出産後の女性の復職率も非常に高く、出産を経た女性もキャリアを積み上げていくことが可能な環境を整えております

また、人材の確保のみならず、人材の育成も重要な要素であると考えております。当社グループでは部署の横断プロジェクトの立上げや社内あるいはグループ内外の人事交流を深めること等を通じて優秀な人材の育成に努めております。報酬については、人材評価制度を充実させ、成果・業績に基づく賃金体系を導入しており、優秀な人材のモチベーション及びパフォーマンス向上に取組んでおります

しかしながら、労働力・人材を十分に確保できなかった場合、また労働関係の法令や制度の改正等により人材にかかわる費用が増加する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

② 組織及び人材の活用

当社グループでは、人的資本を活かすには適切な組織の存在と適材適所の人材の配置が重要であると考えております。組織においては、当社グループが創り出すコンテンツの価値最大化を実現するための組織改編の実施や生活・健康関連事業をさらに強力に推進するための統括となる部署の創設、あるいはさらなる発展を目指し、社内ベンチャーで育ったVTuber事業の分社化など、中期経営計画の達成に向けて、適切な組織の構築に努めております。また、会計システムにおける伝票の申請・承認・保管及び受取請求書の電子化、クラウドサービスの導入等ITテクノロジーの活用や、社内横断プロジェクトを発足し、ボトルネックとなっている業務改善の実施等、業務の効率化を図り、余裕が生じた労働力を新規事業に充当することにより、事業の拡大に努めております

しかしながら、人的資本が有機的に機能しない事態に陥った場合、企業活動が停滞する等、当社グループの存続に関わる状況となり、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 なお、2[サステナビリティに関する考え方及び取組]において「(3) 人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標」に関する記載がありますので併せてご覧ください。

 

(6) 保有資産

① 保有不動産の価値低下

当社グループは、事業の用に供する様々な不動産を保有しております。このうち、汐留地区にある本社ビル「日本テレビタワー」及び番町地区に保有する不動産は、メディア・コンテンツ事業及び不動産関連事業に供している資産で、当連結会計年度末における汐留地区の「日本テレビタワー」及び番町地区の保有不動産の帳簿価額は合わせて、2,135億4千2百万円(建物及び構築物と土地の合計額)であり、当社グループの総資産の20.6%を占めております

当連結会計年度末現在、汐留地区の「日本テレビタワー」及び番町地区の保有不動産に関して減損の兆候は認識しておらず、将来における回収可能性はあるものと認識しており、当面、減損の兆候を認識するような事態にはならないと考えております。しかしながら、将来において、経営環境の著しい悪化等により当社グループの収益性や営業キャッシュ・フローの大幅な悪化が見込まれた場合や、地価が著しく下落した場合、保有する不動産に対して減損損失を計上する必要があるため、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります

 

 

② システムの開発・投資

当社グループは、放送事業における基幹システムの更新・改修に加え、動画配信事業におけるシステムの開発、さらにはクラウドを利用する番組制作システムやインカメラVFXといった新技術への対応を行うなど、次世代技術を含めた開発・新規投資を行っております。加えて、新規に事業を開始する際には新たに対応するシステムの構築が必要となる場合もあります。事業の効率性を高め、競争力のあるサービスを提供するためには、これら様々なシステムの重要性はますます高まっています

必要と認められるシステムは、初期費用、ランニング費用、その後の必要な改修費用等を慎重にシミュレーションし、外部ベンダーへの依頼やグループでの内製及びクラウドサービス等の利用により、システム開発及び改修の必要性を精査することでコストコントロールに努めて構築しております

しかしながら、近年の技術革新のスピードや消費者ニーズの変化はとても速く、当初の予想を超えて開発・投資した技術やシステムが陳腐化する等、当初計画値以上の再投資が必要になる場合、さらに投資額に見合った収入の確保あるいは業務の効率化が見込めない場合には、固定資産の減損及び減価償却費の増加等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

また、近年ではサイバー攻撃の手口が高度化・巧妙化していることから、各種システムのセキュリティリスクは年々高まっています。当社グループとしても様々な高度なセキュリティ対策を講じていますが、これらを超える新たなセキュリティ上の脅威が発覚し、その対策として多額の投資が発生した場合、あるいは個人情報や営業上の機密の漏洩をはじめとするリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

③ 保有有価証券

当社グループは、事業上の結びつきまたは資金運用を目的とし、複数の会社・組合等に投資を行っています。一方で、当社グループは、保有有価証券等の評価に当たり、会計基準に則した社内ルールを設定し、減損処理等の必要な措置を適宜施し、投資先企業の業績や市場での取引価額が当社グループの業績に適切に反映されるよう厳格に運用しています

新規の投資案件に関しては、リスク及びリターンを充分に考慮し、投資判断を行っています。また、保有している有価証券等につきましても、投資先との関係、取引状況、協業機会、シナジー効果及び市場の動向や投資先企業の業績を定期的にチェックし、最大限の収益獲得に努めています。しかしながら、これらの投資先企業の業績や市場動向を確実に予想することは困難であり、将来的に当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

(7) 法的規制等

① 認定放送持株会社に対する法的規制

認定放送持株会社は、放送法による認定を受けることで、複数の地上波放送局とBS放送局及びCS放送局を子会社として保有することが認められています。当社は日本テレビ放送網㈱、㈱BS日本、㈱CS日本を子会社とする認定放送持株会社として認定を受けています。今後、認定放送持株会社の資産に関する基準等、放送法で定める基準を満たさなくなった場合には、認定の取り消し(放送法第166条)を受ける可能性があります。仮に認定の取り消しを受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります

また、放送法で定める外国人等が直接及び間接に占める議決権の割合が、当社の議決権の20%以上となる場合には、認定放送持株会社としての認定が取り消されることになります。このため、このような事態に至る場合は、放送法に基づき、外国人等が取得した当社株式につき、株主名簿への記載または記録を拒むことができ、その議決権は制限されることとなります

 

② テレビ放送事業者に対する法的規制

当社グループの主たる事業であるメディア・コンテンツ事業におけるテレビ放送は、「放送法」及び「電波法」等の法令による規制を受けています

このうち、放送法は放送の健全な発展を図ることを目的とし、番組編集の自由や放送番組審議機関の設置、BS・CS放送等の衛星基幹放送の業務の認定に関する基準等を定めています。また、電波法は電波の公平且つ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的としています。電波法第4条は電波を送信する「無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。」、電波法第13条では「免許の有効期間は、免許の日から起算して五年を超えない範囲内において総務省令で定める。」など、地上基幹放送の免許を定めています。当社グループのテレビ放送事業については、当社が1952年7月31日に我が国初のテレビ放送免許を取得し、それ以来、放送局の再免許を受けてきました。2012年10月1日には認定放送持株会社化した当社に代わって、子会社の日本テレビ放送網㈱が同日免許を承継し、現在に至っております。また、㈱BS日本、㈱CS日本につきましてはそれぞれ衛星基幹放送の業務の認定を受けており、放送法等の法令による規制を受けています

所定の事態が生じた場合における総務大臣の権限として、衛星基幹放送に関しては放送法の「業務の停止」(第174条)や「認定の取り消し等」(第103条、第104条)、地上基幹放送に関しては電波法の「電波の発射の停止」(第72条)や「無線局の免許の取り消し等」(第75条、第76条)を定めております。将来にわたるテレビ放送事業の継続は、当社グループの存立をも左右する問題であり、当社グループといたしましては、そのような事態が生じることのないよう常に公平・公正さを保ち、信頼される番組作りを心掛け、放送の社会的使命を果たしていく所存です。具体的には視聴者センターを設け、視聴者の皆様の声を伺い番組作りに役立てるほか、考査部や番組審議会を組織し、定期的に放送番組をチェックすることで放送倫理を保つことを心掛けます。しかしながら、仮に放送法や電波法に反するような状態が生じ、放送事業の免許や認定の取り消し等を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります

 

③ 個人情報の取り扱い

当社グループは、動画配信サービスや通信販売事業、スポーツクラブ事業等のサービスを展開するにあたり、会員及びユーザーの氏名、住所、電話番号、口座情報などのほか、番組の観覧者や出演者などの個人情報も取り扱っております。当社グループは、これらの個人情報は当社グループの事業の運営に際し必要不可欠な資産であると認識しております。従って、当社グループは、全ての会員及びユーザー並びに番組関係者等が安心して当社グループのサービスの利用若しくは番組等と関係を築くことができることが重要であると捉え、個人情報保護の観点から、従業員等に対する研修を行い、社内ルールの徹底を図ることで情報セキュリティの確立に注力しております

しかしながら、昨今のサイバー攻撃の手口は高度化・巧妙化していると同時に個人情報の保護に関する法令等もますます複雑化しております。不正アクセス・不正利用などにより、当社グループの有する個人情報が漏洩した場合、あるいは複雑化する個人情報の保護に関する法令等に適切に対応できなかった場合、当社グループのデータ管理への信頼性の低下による各事業への影響並びに損害賠償等の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります

 

(8) 災害及び感染症等

① 自然災害・気候変動等

我が国は元来、地殻変動や火山活動が発生しやすい地理特性にあり、地震・津波や噴火及びそれに伴う事故といった大きな被害が度々発生しております。これに加え、近年、地球温暖化に伴う異常気象の影響もあり、大型台風や局所的な集中豪雨といった風水害の危険性も高まってきております

日本テレビ放送網㈱等は放送法により「暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、その発生を予防し、又はその被害を軽減するために役立つ放送をするようにしなければならない」と災害時の放送を義務付けられております。当社グループは、報道機関としてこのような有事の際に、携わる社員・スタッフの安全を確保しつつ、国民の皆さまにいち早く正確な情報を伝達する使命を有しております。大規模災害が発生し、報道特別番組等を放送する場合には、事前に予定されていたCM放送を休止することがあるほか、被害状況によっては、当社グループの放送設備が被災し、テレビ放送自体に支障が生じる可能性があります

当社グループではこのような大規模災害時でもテレビ放送を続けられるよう、番町地区に耐震性が高くBCPに対応したスタジオ棟を建設する等の対策を講じております。また、首都圏が甚大な被害に見舞われ、東京地区からのテレビ放送が困難な事態に陥った場合には関西地区からの放送が実施できる仕組みを整えることで放送の継続を可能とする体制を築いております

このほか、テレビ放送以外の事業におきましても、保有または利用する設備等が被災した場合、あるいは携わる社員・スタッフが何らかの被害にあった場合でも事業への影響を最小限に抑えられるよう、様々なケースを想定してシミュレーションを行ない、対策を講じております

しかしながら、想定以上の事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります

なお、気候変動に関しましては、2〔サステナビリティに関する考え方及び取組〕「(1) ガバナンス及びリスク管理 ②リスク管理」及び「(2)重要な戦略並びに指標及び目標 ①戦略」に記載しております。

 

② 新型コロナウイルス感染症

2023年5月8日より新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更され、感染対策が、現在の「法律に基づき行政が様々な要請・関与をしていく仕組み」から、「個人の選択を尊重し、国民の皆様の自主的な取組をベースとしたもの」に変更されました

こうした状況下で、当社グループにおきましても各対策を原則新型コロナウイルス感染症の感染前に戻し、各自の判断を尊重することとしています。一方で、コロナ禍において、社会の急激なデジタル化が進み、この社会の変革を好機とすべく動画配信サービス「Hulu」をはじめとしたデジタル領域での更なる事業の拡大に引き続き努めております

しかしながら、新型コロナウイルスは今後も変異を繰り返し、収束までにはさらに大規模な感染拡大が生じることも懸念されます。この結果、テレビ広告収入への影響や公開映画・イベント等の延期・中止、スポーツクラブの時短営業やテーマパークの入場制限など広範囲に影響が及ぶことが想定されます。これらにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、予想される将来のキャッシュ・フローや経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告されている数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」にて記載しておりますが、経営者による見積りを要する主な会計方針及びそれらに内在する見積り要素は下記のとおりです。

なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは第5「経理の状況」の連結財務諸表の「重要な会計上の見積り」に記載しております。会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響についても同記載をご参照ください。

① 貸倒引当金の計上

売上債権等の貸倒損失に備えるため回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。将来、債務者の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 

② 棚卸資産、番組勘定の評価

棚卸資産、番組勘定は、評価基準として原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しております。市場の需給動向や回収可能額を超える番組制作費の発生等により、棚卸資産、番組勘定の収益性が低下した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

③ 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

④ 退職給付に係る負債及び退職給付費用の算定

退職給付に係る負債及び退職給付費用は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算定されております。これらの前提条件には、長期的な金利水準、将来の給付水準、退職率等が含まれますが、実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 固定資産の減損処理

固定資産については、資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失として計上しております。回収可能価額は、正味売却価額と使用価値のいずれか大きい方としていることから、不動産取引相場や賃料相場が変動した場合や固定資産の収益性が低下した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

⑥ 投資の減損処理

所有する有価証券、投資有価証券及び出資金の投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。将来の市況悪化や投資先の業績不振など、現在の投資簿価に反映されていない損失が発生するなどにより投資簿価の回収が困難となった場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

 

(2) 経営成績の概要・分析

当連結会計年度の我が国の経済は、一部に弱さが見られるものの、景気は緩やかに持ち直しました。先行きとしては、ウィズコロナの下で各種政策の効果もあって、さらに持ち直していくことが期待されています。一方、ウクライナ情勢等による不透明感が見られる中で、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクもあります。物価上昇や供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響にも十分注意する必要がある状況です。
 こうした経済環境の中、2022年の日本の総広告費(暦年、㈱電通調べ)は、過去最高の7兆1,021億円(前年比104.4%)と伸長しました。このうち地上波テレビの広告費は1兆6,768億円(同97.6%)となりました。インターネット広告費は引き続き高い成長率を維持し、3兆912億円(同114.3%)となったほか、テレビ番組の見逃し配信やリアルタイム配信サービスなど、テレビメディア放送事業者が主体となったインターネット動画配信の広告費である「テレビメディア関連動画広告費」も、350億円(同140.6%)と高い伸びを見せています。

 

テレビメディア広告費(関連動画広告費含む)とインターネット広告費(暦年)

(単位:億円)

 

2019年

2020年

2021年

2022年

テレビメディア広告費

18,612

16,559

18,393

18,019

(うち地上波テレビ関連)

17,345

15,386

17,184

16,768

インターネット広告費

21,048

22,290

27,052

30,912

テレビメディア関連動画広告費

150

170

249

350

 

                                                      (㈱電通調べ「2021年/2022年 日本の広告費」)

 

このような状況の下、当社グループは、在京キー局間の2022年度平均個人視聴率において、全日帯(6~24時)、ゴールデン帯(19~22時)でトップとなりました。また、2022年の年間平均個人視聴率では、プライム帯(19~23時)を含む「個人視聴率三冠王」を12年連続で獲得しています。当社グループは、地上波視聴率No.1という確固たる経営基盤の下、日本テレビ系地上波連続ドラマの初の世界配信を行った(2022年4月期「金田一少年の事件簿」)ほか、VTuber事業では仮想空間「メタバース」を活用したコンテンツ制作やVTuberを活用した動画タイアップ展開、またイギリスの名門演劇カンパニーと共同制作した舞台「となりのトトロ」が、英国演劇界で最も権威のある「ローレンス・オリビエ賞」を最多6部門で受賞するなど、テレビの枠を超えた“国民の生活を豊かにする”コンテンツ・サービスの提供に取り組んでおります。

 

日本テレビの年度平均個人視聴率と在京キー局間の順位(関東地区個人視聴率)

 

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

全日帯

4.4%

(1位)

4.6%

(1位)

4.0%

(1位)

3.6%

(1位)

プライム帯

6.8%

(1位)

6.6%

(1位)

5.8%

(1位)

5.4%

(2位)

ゴールデン帯

7.2%

(1位)

7.0%

(1位)

6.2%

(1位)

5.8%

(1位)

 

(㈱ビデオリサーチ調べ)

 

当連結会計年度における当社グループの売上高は、主たる事業であるメディア・コンテンツ事業においてはスポット広告費の地区投下量が前連結会計年度を下回るなど、地上波テレビ広告収入が落ち込んだものの、㈱ムラヤマの連結子会社化等により、セグメント全体としては増収になったことに加え、生活・健康関連事業において、前連結会計年度の緊急事態宣言下におけるスポーツクラブ休館影響の反動等により、前連結会計年度に比べ75億8千3百万円(+1.9%)増収4,139億7千9百万円となりました。

売上原価と販売費及び一般管理費を合わせた営業費用は、前連結会計年度に開催された「東京2020オリンピック・パラリンピック」による番組制作費負担が無くなったものの、緊急事態宣言下における番組制作やイベントへの制約が緩和されたことによる費用増や、㈱ムラヤマの連結子会社化による費用増等により、前連結会計年度に比べ196億7千1百万円(+5.7%)増加3,673億8千5百万円となりました。

この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ120億8千8百万円(△20.6%)減益465億9千3百万円、経常利益は130億6千3百万円(△20.1%)減益517億7千5百万円となりました。また、特別利益における投資有価証券売却益の減少等により、親会社株主に帰属する当期純利益は133億5千万円(△28.1%)減益340億8千1百万円となりました。

 


 


 

 


 


 

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりです。

なお、当連結会計年度の期首から、報告セグメントに含まれない事業セグメントである「その他」の区分を廃止し、従来「その他」区分に含まれていたITサービス及び店舗運営等の事業を「メディア・コンテンツ事業」に移管しております。この変更は、IT関連子会社を中心とするグループ会社再編に伴うものであります。

前連結会計年度の記載については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で記載しております。

また、当連結会計年度の期首から、「その他広告収入」としていた収益の名称を「デジタル広告収入」に変更しております。これはデジタル広告収入の重要性が高まってきたことに伴う名称変更であります。

 

(メディア・コンテンツ事業)

地上波テレビ広告収入のうちタイム収入は、前連結会計年度に開催された「東京2020オリンピック・パラリンピック」等大型スポーツ中継番組がなくなったことにより、96億7千4百万円(△8.0%)減収1,113億9千2百万円となりました。スポット収入は、在京キー局の中で高いシェアを維持できたものの、地区投下量が前連結会計年度を下回ったことから、41億9千1百万円(△3.4%)減収1,203億4千3百万円となりました。この結果、地上波テレビ広告収入は前連結会計年度に比べ138億6千5百万円(△5.6%)減収の2,317億3千5百万円となりました。

BS・CS広告収入は、前連結会計年度に比べ2億8百万円(△1.4%)減収151億8千4百万円となりました。

デジタル広告収入は、民放公式テレビポータル「TVer」等による動画広告の伸長により、前連結会計年度に比べ5億8千万円(+12.7%)増収51億5千5百万円となりました。

コンテンツ販売収入は、新型コロナウイルス感染症の影響が沈静化したことにより、国内及び海外販売が好調に推移したことに加え、動画配信サービス「Hulu」のTVOD収入が好調に推移したこと等により、前連結会計年度に比べ25億8千3百万円(+3.6%)増収737億1千6百万円となりました。

物品販売収入は、通信販売の減収等により、前連結会計年度に比べ13億4千8百万円(△6.9%)減収180億9千5百万円となりました。

興行収入は、緊急事態宣言発出による制限が緩和され、テーマパーク入場者数が大幅に回復したことや、展覧会・音楽公演・舞台公演の開催が増えたこと等により、前連結会計年度に比べ40億9千9百万円(+70.9%)増収98億7千9百万円となりました。

その他の収入は、㈱ムラヤマの連結子会社化による影響、動画ソリューション事業における受託収入の増収等により、前連結会計年度に比べ126億2千万円(+72.7%)増収299億8千2百万円となりました。

この結果、メディア・コンテンツ事業の売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含め、前連結会計年度に比べ51億1百万円(+1.3%)増収3,849億7千6百万円、営業利益は前連結会計年度に比べ146億4千3百万円(△24.9%)減益441億5千2百万円となりました。

 


 


 

 

メディア・コンテンツ事業の外部顧客への売上高の内訳は次ページの表のとおりです。新型コロナウイルス感染症の影響は少なくなったものの、地上波テレビ広告収入は漸減傾向にあります。そのため地上波テレビ広告収入の在京キー局間トップを継続しながら、媒体力を明確に示す為のデータ活用や、クライアントのニーズに即したセールス改革を通じて、テレビ広告の価値向上に努めております。また、インターネット広告へのシフト、動画配信事業の拡大が進む中、当社グループでは動画配信サービス「Hulu」によるコンテンツ販売収入と、広告付き無料動画配信を営む民放公式テレビポータル「TVer」によるデジタル広告収入の伸長を継続しております。加えて、豊富なコンテンツと映画・イベントなどの事業を有機的に連動させることによって、収入の拡大に努めております。

 

 

外部顧客への売上高(メディア・コンテンツ事業)

(単位:百万円)

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

地上波

テレビ広告収入

タイム

125,704

121,006

121,066

111,392

スポット

121,846

105,233

124,534

120,343

247,551

226,239

245,601

231,735

BS・CS広告収入

14,456

14,183

15,393

15,184

デジタル広告収入

2,481

2,843

4,575

5,155

コンテンツ販売収入

68,064

73,478

71,132

73,716

物品販売収入

25,626

26,113

19,444

18,095

興行収入

10,438

8,205

5,780

9,879

不動産賃貸収入

519

314

445

608

その他の収入

14,748

12,749

17,361

29,982

合計

383,886

364,127

379,733

384,358

 

 

(生活・健康関連事業)

スポーツクラブ運営による施設利用料収入を主とする生活・健康関連事業の売上高は、前連結会計年度の緊急事態宣言発出によるスポーツクラブ休館(東京都及び関西圏の一部の店舗)からの回復により、セグメント間の内部売上高又は振替高を含め、前連結会計年度に比べ28億5千7百万円(+12.3%)増収260億5千2百万円となり、4億3千8百万円の営業損失となりました(前連結会計年度は30億6千6百万円の営業損失のため、26億2千7百万円の損失縮小)。

当社グループは、デジタル化を通じた新規事業の創出やデータ活用を通じ、健康ニーズに迅速・的確に応えるコンテンツ・サービスの開発に取り組み、減少した会員数の回復を図ると共に、CDP(顧客情報システム)によるウェルネス経済圏の構築に向けて取り組んでおります。

 


 


 

 

(不動産関連事業)

汐留及び番町地区を主とする不動産関連事業の売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含め、前連結会計年度に比べ2億2千2百万円(+2.2%)増収105億7千1百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ9千6百万円(△2.5%)減益37億4千4百万円となりました。

当社グループは、不動産賃貸事業を実施しており、保有地の活用検討を進めております。

 


 


 

 

(3) 財政状態の概要・分析

(資産)

流動資産は、1年内償還予定の公社債が償還となったことによる有価証券の減少などにより、前連結会計年度末に比べ385億2千7百万円減少し、2,372億8千5百万円となりました。

固定資産は、投資有価証券の時価下落があったものの、公社債を購入したことなどにより、前連結会計年度末に比べ124億5千7百万円増加し、7,982億1千5百万円となりました。

この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ260億6千9百万円減少し、1兆355億1百万円となりました。

(負債)

流動負債は、支払手形及び買掛金や未払費用の増加があったものの、未払法人税等やその他の流動負債が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ23億1百万円減少し、1,055億1千4百万円となりました。

固定負債は、投資有価証券の時価下落に伴う繰延税金負債の減少などにより、前連結会計年度末に比べ165億2千7百万円減少し、864億2百万円となりました。

この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ188億2千9百万円減少し、1,919億1千6百万円となりました。

(純資産)

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加があったものの、投資有価証券の時価下落に伴いその他有価証券評価差額金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ72億4千万円減少し、8,435億8千5百万円となりました。

なお、主要な自己資本比率の推移は下記のとおりです。

 

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

自己資本比率(%)

80.0

79.0

79.6

80.8

時価ベースの自己資本比率(%)

33.0

35.9

30.6

28.1

 

2023年3月期において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、2022年3月期の関連する比率について、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。

 

(4) キャッシュ・フローの状況の概要・分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は下記の通りです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、454億6千1百万円となりました(前連結会計年度は585億3百万円の資金の増加)。これは主に、税金等調整前当期純利益490億8千2百万円や減価償却費の計上140億9千3百万円による増加、法人税等の支払い206億7千8百万円による減少があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、237億2千4百万円となりました(前連結会計年度は705億3千4百万円の資金の減少)。これは主に、有価証券の取得による支出180億円や、有形固定資産の取得による支出81億8千8百万円、投資有価証券の取得による支出656億7百万円があった一方で、有価証券の償還による収入215億円や投資有価証券の償還による収入469億8千7百万円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、配当金の支払い等により94億5千2百万円となりました(前連結会計年度は93億8千4百万円の資金の減少)。

 

以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より125億2百万円増加し、749億1千5百万円となりました。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性に係る情報は下記の通りです。

(基本的な考え方)

当社グループは2022年5月、経営方針を新しく定めるとともに、2022年度から2024年度を計画期間とする中期経営計画を策定いたしました。中期経営計画2022-2024は、「総合コンテンツ企業」への進化を目指した前中期経営計画をさらに深化・拡張させ、あらゆる感動を創造し、生活者に信頼されるNo.1企業となるための取り組みと目標を示すものです。

メディア・コンテンツ事業領域においては「コンテンツ中心主義」を改めて掲げ、あらゆるプラットフォーム、デバイスに向けて生活者に最適なコンテンツを制作します。また、外部パートナーとの協業・共創を推進し、国内外に向けて発信していきます。

さらに、VTuber事業を始めとした社内インキュベーション事業の強化・拡充を図るとともに、新たな領域への投資機会を追求し、新規ビジネスの創出を加速させます。また、㈱ティップネスを始めとしたウェルネス経済圏を構築し、国民の健康寿命の伸長に貢献します。

当社グループは、あらゆるボーダーを超えた「感動×信頼のNo.1企業」として、生活者に新たな価値を提供し、企業価値のさらなる向上に取り組んでまいります。

・中期経営計画における戦略的投資方針

 当社グループは、メディア・コンテンツ事業と生活・健康関連事業の強化と領域の拡張、さらに新規領域への挑戦に向けて投資を実行し、企業価値の持続的な向上を目指し、戦略的投資枠1,000億円を継続します。

・重要な経営指標として「売上高」、「営業利益」及び「ROE(自己資本利益率)」を設定

 当社グループは、事業の規模と成長の尺度である「売上高」と、事業の収益性の尺度である「営業利益」を重要な経営指標とします。また、事業資産の効率的な利用と金融資産を活用した積極的な投資により「ROE(自己資本利益率)」の向上にも努めてまいります。

・安定的・継続的な株主還元政策

 当社グループは、事業環境の変化への対応や収益基盤の強化、成長領域への投資の調和を図りながら、持続的な収益の拡大・成長に努め、業績動向など諸要素を勘案しながら継続的で安定的な株主還元を行うことを基本方針とします。 株主還元の詳細につきましては、「第4[提出会社の状況]3[配当政策]」をご参照ください。

 

(経営資源の配分に関する考え方)

当社グループは、上記財務方針に従い企業価値向上に資する経営資源の配分に努めてまいります。また、安定的な経営及び事業展開に伴う資金需要等に対して機動的に対応するため、十分な現金及び現金同等物を保有しております。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標水準は定めておりませんが、事業活動等の資金需要を越える余剰資金に関しましては金融情勢等を勘案しつつ、安全性並びに流動性の高い金融商品で運用しております。

 

(資金需要の主な内容と資金調達)

当社グループにおける主な資金需要は、当社及び子会社が事業活動を行っていく上で必要な運転資金、設備投資、戦略的なM&A及び有利子負債の返済等です。

また、予定される主な投資実行は以下のとおりです。

・メディア・コンテンツ事業:知的財産(IP)開発、コンテンツ制作体制の強化

・新規事業:XR領域、メタバース領域をはじめとする成長テクノロジー投資、HR事業の拡大

・生活・健康関連事業:CDP構築のためのデータ保有企業との連携、ウェルネス経済圏構想の具体化

・サステナブル投資:社会に貢献する事業への積極的な投資の実行

これらの資金需要につきましては、主に自己資金によって賄う予定ですが、それを超える資金需要が発生する場合には当社グループ及びメディア・コンテンツビジネス業界を取り巻く諸環境や金融情勢等を総合的に勘案し、それぞれの時点において最も有利で最適と考えられる資金調達を行う方針です。

また、当社グループは、CMS(キャッシュマネージメントサービス)を導入し、グループ内資金を一元的に管理しております。

なお、2023年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりです。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

3,084

3,084

リース債務

11,439

1,831

3,337

2,614

3,656

 

このほか、オペレーティング・リース取引を行っており、解約不能のものに係る未経過リース料は116億6千6百万円(1年内:29億8百万円、1年超:87億5千8百万円)です。

また、当社グループの第三者に対する保証は、関係会社の建物賃貸借契約における連帯保証債務と従業員の住宅資金銀行借入に関する債務保証です。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2023年3月31日現在の債務保証額は、9億2千6百万円です。

 

(5) 生産、受注及び販売の実績

① 制作(生産)実績

当社グループの主たる事業であるメディア・コンテンツ事業の大きな柱は地上波テレビ放送事業であり、下記に記載のプライム帯(19~23時)などの番組を中心にタイムテーブルを編成し、広告枠の販売を行いました。

当連結会計年度における番組制作費は、「東京2020オリンピック・パラリンピック」等による番組制作費の負担がなくなったものの、緊急事態宣言下における番組制作やイベントへの制約が緩和されたことにより、前期比29億8千2百万円(+3.5%)の増加875億2千6百万円(日本テレビ放送網㈱の数値)となりました。

 

(主な地上波レギュラー番組)

[プライム帯(19~23時)]

(バラエティ他)

 

(ドラマ)

番組名

 

番組名

有吉ゼミ

 

4月期

悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~

 

世界まる見え!テレビ特捜部 

 

 

7月期

家庭教師のトラコ

 

しゃべくり007(注)

 

 

10月期

ファーストペンギン!

 

月曜から夜ふかし(注)

 

 

1月期

リバーサルオーケストラ

ヒューマングルメンタリーオモウマい店

 

4月期

パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~

 

踊る!さんま御殿!!

 

 

7月期

初恋の悪魔

 

ザ!世界仰天ニュース

 

 

10月期

祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録

 

カズレーザーと学ぶ。(注)

 

 

1月期

大病院占拠

有吉の壁

 

4月期

金田一少年の事件簿

 

1億人の大質問!?笑ってコラえて!

 

 

7月期

新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~

 

上田と女が吠える夜(注)

 

 

10月期

霊媒探偵・城塚翡翠

THE突破ファイル

 

 

月期

ブラッシュアップライフ

 

ぐるぐるナインティナイン

 

 

 

 

 

秘密のケンミンSHOW極

 

 

 

 

 

ダウンタウンDX

 

[情報・報道番組]

クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?

 

番組名

 

沸騰ワード10

 

月~金

ZIP!

 

金曜ロードショー

 

 

 

スッキリ

嗚呼!!みんなのどうぶつ園

 

 

 

ヒルナンデス!

 

世界一受けたい授業

 

 

 

news every.

 

1億3000万人のSHOWチャンネル

 

 

 

news zero

ザ!鉄腕!DASH!!

 

ズームイン!!サタデー

 

世界の果てまでイッテQ!

 

シューイチ

 

行列のできる相談所

 

 

 

真相報道バンキシャ!

 

(注) 当連結会計年度内に改編を行っております。

 

(主な地上波単発番組)

[当連結会計年度]

 

[(参考)前連結会計年度]

番組名

 

 

番組名

 

5月

ワールドレディスチャンピオンシップ

                  サロンパスカップ2022

 

5月

ワールドレディスチャンピオンシップ

        サロンパスカップ2021

7月

THE MUSIC DAY 2022 世代をつなぐ名曲

 

7月

THE MUSIC DAY 2021 音楽は止まらない

 

NNN参院選 zero選挙2022

 

7~9月

2020東京オリンピック・パラリンピック

8月

24時間テレビ45「愛は地球を救う」

会いたい!

 

8月

24時間テレビ44「愛は地球を救う」

想い~世界は、きっと変わる。

 

 

 

10月

NNN衆院選 zero選挙2021

12月

笑って年越し!世代対決 昭和芸人vs平成・令和芸人

 

12月

笑って年越したい!笑う大晦日

1月

第99回東京箱根間往復大学駅伝競走

 

1月

第98回東京箱根間往復大学駅伝競走

2月

FIFAクラブワールドカップ モロッコ 2022

 

2月

2022北京オリンピック

 

 

 

 

FIFAクラブワールドカップ UAE 2021

 

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円) 

前年同期比(%)

メディア・コンテンツ事業

2,386

2,996

140.5

生活・健康関連事業

不動産関連事業

合計

2,386

2,996

140.5

 

(注) 1. 前連結会計年度より、㈱ムラヤマを連結子会社化したこと等に伴い受注実績を記載しておりますが、前連結会計年度は㈱ムラヤマを連結子会社化した時期の都合上、受注残高のみの記載となりました。従って、受注高の前年同期比は当連結会計年度には記載しておりません。なお、当初に予想される契約期間が1年以内の契約については受注実績に含めておりません。

2. 当連結会計年度から、報告セグメントに含まれない事業セグメントである「その他」の区分を廃止し、従来「その他」区分に含まれていたITサービス及び店舗運営等の事業を「メディア・コンテンツ事業」に移管しております。なお、前連結会計年度との比較については、変更後の報告セグメントの区分に基づき組替えた数値で比較しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

メディア・コンテンツ事業

384,358

101.2

生活・健康関連事業

26,040

112.3

不動産関連事業

3,580

103.1

合計

413,979

101.9

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2. 当連結会計年度から、報告セグメントに含まれない事業セグメントである「その他」の区分を廃止し、従来「その他」区分に含まれていたITサービス及び店舗運営等の事業を「メディア・コンテンツ事業」に移管しております。なお、前連結会計年度との比較については、変更後の報告セグメントの区分に基づき組替えた数値で比較しております。

3.当社グループは、主要な顧客である広告主に対し、広告代理店を通じてテレビ広告枠の販売などを行っております。最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合を広告代理店別に示すと次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱電通

132,948

32.7

120,101

29.0

㈱博報堂DYメディアパートナーズ

72,001

17.7

70,776

17.1

 

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」に記載のとおりです。

 

(7) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (3) 中期経営計画 2022-2024 ④財務方針」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、公共の資源である電波を預かる放送事業者として、多様化する視聴者ニーズと放送局を取り巻く技術面での課題に応えるため、AI(人工知能)を応用した新たな番組演出の創出や番組制作の効率化に関する研究開発、最新技術動向を踏まえた将来の番組制作設備に関する研究開発に取り組んでおります。当社グループの研究開発は、主に日本テレビ放送網㈱技術統括局において推進しております。

 

メディア・コンテンツ事業における研究開発項目は、以下の2つを主要テーマとしております。

  ① 番組制作支援、業務効率化に関する研究開発

AIによる画像・音声認識技術を応用した番組演出や番組制作の支援に関する研究など

  ② 将来の番組制作に関する研究開発

放送設備へのIP技術やクラウド技術の導入検証、IPネットワークを用いた映像・音声の伝送実験に関する研究など

 

また、上記研究開発をより効率・効果的に推進することを目的に、2022年10月にネクステックラボという研究開発の枠組みを技術統括局内に立ち上げました。番組制作の支援に加え新規ビジネスへの提案の実施など、今まで以上に研究開発を推進していく予定です。

 

当連結会計年度におけるメディア・コンテンツ事業の研究開発費は199百万円であり、主な研究開発の成果は以下のとおりです。

 

① AI画像認識技術を応用した業務支援システム「AiD(エイディ)」を開発運用しております。本年度は、XGAMES(スケートボードやBMXなどのアーバンスポーツ)での英語スーパーの日本語自動変換機能及びスコアデータの自動表示機能の開発、取材映像を元にしたマスク装着率の自動検知機能の開発、野球中継における投球軌跡の自動作画機能の開発などを行っております。また東京ドームのプロ野球開催時、館内モニターにチーム名やイニング・得点などの情報を自動表示させるシステムの開発などを行い、番組制作支援の枠を超えたサービスの開発・実用化も行っています。

② 番組表現上放送に不適切な単語等がないかを自動判別して制作者に注意喚起する「番組制作者向け考査補助ツール」を開発しております。

③ 番組収録後の速やかな編集を可能とするために、収録時に複数の編集ソフト用ファイルフォーマットへの変換を行う「収録同時デジタイズ機器」を開発しております。当機器は共同開発を行っている加賀ソルネット㈱より放送機器展(Inter BEE)にて参考出展されました。

 

当連結会計年度は、研究開発に関する特許出願を3件行い、出願済みの特許含む8件が特許登録されました。

 

また、下記の案件についても各方面から高い評価を得ております。

 

① AI業務支援システム「AiD(エイディ)」の社内開発と運用
 ・経済産業大臣賞(第25回 日本映画テレビ技術大賞)
 ・日本民間放送連盟賞 技術部門 最優秀
 ・第75回 日本映画テレビ技術協会 技術開発賞
 ・第48回 放送文化基金賞 個人・グループ部門 放送技術
 ・第49回 映像情報メディア学会技術振興賞 現場運用部門 進歩開発賞

② WEBブラウザ上で動作する素材アップロードツール「クラポ」
 ・日本民間放送連盟賞 技術部門 優秀
 ・第49回 映像情報メディア学会技術振興賞 現場運用部門 進歩開発賞

 

なお、生活・健康関連事業及び不動産関連事業に係る研究開発活動は行っておりません。