文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは放送の公共性・公益性を常に自覚し、展開する事業を通じて魅力的かつ社会から求められる情報やコンテンツを提供し、夢や希望を持ち続けられる社会の実現に貢献することを経営の基本方針としております。
現在、当社グループを取り巻く経営環境は、急激なスピードで変化しています。スマートフォンやタブレット端末などデバイスの高機能化による視聴スタイルやコンテンツ流通路の多様化、少子高齢化などによる人々のライフスタイルの急速な変化に直面しています。
こうした状況に適切に対応するため、「新しい時代のテレビ局」へと進化していくことが重要な経営課題と認識しています。その基本方針として経営計画「テレビ朝日360°2020-2025」を推進してきましたが、2023年度からの計画後半の取組みを盤石なものとするため、この期間に特化した経営計画「BREAKOUT STATION!新しい時代のテレビ朝日 経営計画2023-2025」を新たに策定しました。
テレビ朝日グループの価値の源泉は“コンテンツ”にあるというこれまでの基本理念は維持した上で、視聴者やアドバタイザー等の要請に応えるコンテンツを制作し、当社グループのあらゆるメディアで展開して収益最大化を目指す360°戦略を推進していきます。経営計画では具体的に、以下5つの戦略目標を掲げて注力していきます。
・〔地上波戦略〕 最強コンテンツの編成テーブルを完成させ、2025年度までに年間・年度での個人全体視聴率3冠
達成を目指します。
・〔インターネット戦略〕 ABEMA・TELASA・TVerなどでコンテンツのインターネット展開を拡大しマネタイズ・増
収を図ります。あわせてデータの利活用を推進します。
・〔ショッピング戦略〕 「販路拡大」と「ヒット商品創出」を両輪に事業規模の拡大に努め、収益性向上を図りま
す。
・〔メディアシティ戦略〕 東京ドリームパーク等拠点に、自社IPを活用したリアルイベント等で増収を図りま
す。
・〔新領域開拓〕 コンテンツを活用した新たなビジネス領域(アニメ・ゲーム事業、メタバース事業、アクティブ
シニア事業、国際展開、新規ビジネス開発など)に挑戦していきます。
これら戦略目標を着実に達成するため、グループをあげて取り組んでいくことに加え、成長戦略の具体策の展開に際しては役職員で議論する場等も設け、様々なコミュニケーションを深める機会としても活用してまいります。
また、テレビ朝日グループの「サステナビリティ宣言」や「マテリアリティ(未来に向けた5つの重点テーマ)」に基づき、自ら持続可能な社会の実現に取り組むために、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく気候変動対応に関する情報ならびに人的資本に関する情報の開示を進めております。さらに、公共性や社会的責任を持つメディア企業として、メディアが持つコンテンツパワーを活かしながら持続可能な未来の実現に貢献していきます。
こうした取組みなどにより、2025年度までに連結売上高3,300億円、営業利益200億円、経常利益250億円、親会社株主に帰属する当期純利益200億円とする定量目標の達成を目指します。定量目標の実現に向けては、毎期業績を積み上げていくことに加え、戦略投資も行っていく方針です。戦略投資枠500億円と設定し、東京ドリームパークへの投資やIP開発に資する領域のM&Aなどを実施することで成長の好循環を生み出し、資本効率の継続的な改善にもつなげてまいります。
今後もテレビ放送事業社を傘下に持つ認定放送持株会社としての公共性や社会的責任を全うできるよう良質なコンテンツの提供に努めるとともに、さらなる企業価値の向上を目指して、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えしてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、サステナビリティについての重要事項は取締役会で審議・決定が行われます。企業の持続的成長や永続性に大きな影響を与えるリスクや機会について継続的かつ集中して特定・評価を行い、迅速に事業戦略へ反映することを目的とする専門組織は、以下の2つとなります。
サステナビリティ委員会
代表取締役社長を委員長とし、サステナビリティ全般のリスクや機会について監視や監督を行います。
SDGs推進室
当社および株式会社テレビ朝日の各局室の局室長を中心に構成され、サステナビリティに関するリスクや機会に関する評価と進捗状況の確認を行います。
SDGs推進室で検討した事項は年に1回サステナビリティ委員会へ報告後、常務会へ報告されます。さらに、常務会にて重要事項と判断された事案については取締役会へ付議されます。
当社グループでは、取締役会や常務会、サステナビリティ委員会、SDGs推進室が中心となり、サステナビリティに関するリスク管理を行います。
SDGs推進室は、関係局室より定期的に以下の報告を受けて、モニタリングを行います。
・気候変動が企業に及ぼすリスクに関する再評価と対策の進捗管理
・人的資本への投資状況、目標の達成状況、修正事項
・経費の必要性、収益への顕著な影響
この結果は、社内の主管部門でも共有し、現時点で認識しているサステナビリティに関するリスクの変容や追加対策の要否を検証し、必要な事項をサステナビリティ委員会に報告します。報告を受けた、同委員会は、必要な場合は外部の専門家の知見も得て対応の要否を判断し、重要なリスクと判断された場合、対応方針などと共に常務会へ報告されます。常務会では、サステナビリティ全般リスクとその他全社的なリスクとの統合と再評価を行い、その中で重要と判断されたリスクについては取締役会へ付議され対応や対応時期の最終決定が行われます。
当社グループは、2023年5月にTCFD提言への賛同を表明するとともに、このフレームワークに沿った分析結果を開示いたしました。気候変動関連のリスクに関する『戦略』『指標及び目標』は当社ウェブサイトをご参照ください。
https://www.tv-asahihd.co.jp/sustainability/tcfd/
(注) 上記URLに記載された内容は、2023年5月12日現在の情報であり、今後、更新される可能性があります。
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
①人的資本に関する方針
当社グループは、「より魅力的かつ社会から求められる情報やコンテンツを提供し夢や希望を持ち続けられる社会の実現に貢献する」という企業使命を掲げております。また、3月に発表した経営計画「BREAKOUT STATION!新しい時代のテレビ朝日 経営計画2023-2025」では、引き続き“すべての価値の源泉はコンテンツにある”という基本理念のもと、コンテンツをあらゆるメディアに360°に展開し、コンテンツ価値を最大化する「360°戦略」を推進しています。
多様化する社会において、視聴者・消費者ニーズを捉え、企業使命である、より魅力的かつ社会から求められる情報やコンテンツを提供するためには、 異なる価値観や背景を持った多様性に富んだ人材(ダイバーシティの確保)が必要だと考えています。
そして、「BREAKOUT STATION!新しい時代のテレビ朝日 経営計画2023-2025」の価値観・行動指針である、すべての従業員がクリエイター&イノベーターとなり、コンテンツの価値最大化を図るためには、個々の能力や個性を最大限発揮できるようにするための育成・人材配置(人材育成)と、すべての社員が心身健康に、働きがいや成長を実感できる職場づくり(エンゲージメントの向上)が重要と考え、これら3つを当社グループの人的資本に関する方針の柱として推進してまいります。
②具体的な施策と指標及び目標
(注) 具体的な施策と指標及び目標については、中核事業会社である㈱テレビ朝日について記載しております。
1.ダイバーシティの確保
・多様性に富んだ人材構成を実現するため、性別やキャリアを踏まえた戦略的な採用を行うとともに、計画的に実務リーダーや管理職への登用を進め、活躍・貢献の場を拡大していきます。
・価値観の多様性を図るためには、他社就業経験のある人材を増やしていくことも必要であると考え、若手層のグループ会社・外部企業への出向等の経験者を増やしていきます。
(注) 1 女性採用比率は、キャリア採用も含みます。
2 一般社員の他社就業経験者比率は、入社3年目以降の一般社員を対象としております(現職出向を含む、当社兼務を除く)。
2.人材育成
・「360°戦略」を推進するため、各部門において必要な人材・能力の特定を行います。その上で、個々の能力や個性を最大限活かし、社員が自律的にキャリアパスを選択できる人事制度を2025年度に確立することを目指します。
・管理職や経営層に必要なノウハウ・スキルを習得するための研修を実施し、今後を担うマネジメント人材の強化を図ります。
・イノベーション創出のために必要な、新しいジャンルへの挑戦を後押しするため、社内業務では得られない知識や経験を得る機会(リスキリング等)を提供します。
3.エンゲージメントの向上
・従業員の心身の健康を守り、意欲的に働き続けられる職場を維持するため、多様なライフスタイルに合わせた働き方の実現と従業員のWell-beingの向上を目指します。
・休暇取得、残業時間削減、テレワーク・DX推進等の働き方改革を一層推進していきます。
・育児と仕事を両立できる職場づくりと男性育休促進を図るとともに、復職後のサポートも強化していきます。
・2023年度より全社員に対し、定期的なエンゲージメントサーベイを実施し、将来的な課題も抽出します。
(注) 1 「働きがい」は、毎年全社員を対象に実施しているストレスチェックの項目を使用しております。
2 年平均休暇取得日数は、年次有給休暇だけでなく、特別休暇・子育て休暇等の全ての有給休暇を対象としております。
3 月平均残業時間は、一般社員のみを対象とし、実働時間から法定労働時間を差し引いた平均値で算出しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性もあるため、当社グループでは、経営及び事業のリスク判断等に必要な情報の共有化に努め、リスクの最小化に取り組んでおります。
(1) テレビ放送事業を取り巻く環境変化のリスク
当社グループの売上高の多くの部分を占めるテレビ放送事業収入は、日本経済の動向に大きな影響を受けると考えられる企業の広告費に拠っています。さらに、当社グループを取り巻く環境は急激なスピードで変化しており、スマートフォンやタブレット端末の普及により、テレビの視聴形態が変わりつつあります。また、コンテンツの流通路も多様化しており、他のメディアとの競争も激化しております。テレビ受像機における地上波放送の位置付けが相対化するリスクも考えられます。
また、テレビ放送事業において、視聴率はCMの時間枠販売にあたり、価格を決定する重要な要素の一つとなっており、消費経済活動の低迷は当社グループの業務に大きな影響を与えます。
以上のような複合的な要因の進行により、当社グループの売上高が減少し、コンテンツの多面的な展開に必要な費用を吸収できない場合は、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社では、すべての企業価値の源泉はコンテンツにあるとの基本理念に基づき、当社グループが保有するメディアで360°に展開することで「収益の最大化」につなげてまいります。こうした方針を実現するため、当社グループの中核子会社である株式会社テレビ朝日の「コンテンツ編成部門」「営業部門」「ビジネス部門」「インターネット部門」をビジネスソリューション本部として一体で運用し、ステークホルダーの要請に適うコンテンツの制作、提供、データ・テクノロジーの活用、情報発信の強化を進めてまいります。
また、こうした施策を推進するための戦略的な投資を実施してまいります。
(2) 未知の感染症の影響に関するリスク
新型コロナウイルス感染症拡大下においては、アドバタイザーからの広告出稿量の減少や開催を予定していたイベント・出資映画の延期・中止などテレビ放送事業やその他の事業収入の減収につながる状況が発生し、感染リスクを避けるためのドラマの撮影中断など、コンテンツの提供継続に影響を与える事態も生じました。
このようなパンデミックに際し、株式会社テレビ朝日では、緊急の対策会議とチームを編成し、予防の徹底はもとより、構内全域での消毒の実施や入館の規制ルールの徹底、時差出勤・テレワークの活用、社員の体調管理・把握の強化などとともに、感染者が発生した場合に備え、放送継続・事業継続に向けた交代制の勤務シフトも実施しました。また、コンテンツの制作現場では、本番及び打ち合わせで、密閉、密集、密接の、3つの密を避けるとともに、各部署・番組ごとに、作業エリア分けや取材先での感染防止策の徹底、番組制作の観客入れの制限などの措置に加え、収録に際し、検温、消毒の徹底、マイクを共有しない、スタッフのマスク着用などの対策を行い、事業を継続いたしました。
新型コロナウイルス感染症拡大下での対応・対策・ノウハウは当社グループ内で継承するとともに、当社グループを取り巻く事業環境のあらゆる変化に対応して、ステークホルダーの要請に適うコンテンツの制作、提供、データ・テクノロジーの活用、情報発信の強化の役割を担うことを目的とするビジネスソリューション本部を設置し、様々な環境下でコンテンツを提供し事業継続するための対応力強化にも注力しております。しかし、今後、感染力や致死率がさらに高い未知の感染症が発生した場合、新型コロナウイルス感染症の影響を上回る事業への影響を受ける可能性があります。
(3) 設備・投融資に関するリスク
当社グループは、適切な設備投資及び投融資を継続し、技術水準を維持するとともに、企業競争力の強化に向けた戦略的投資を推進し、コンテンツ制作力の増強並びに魅力的なコンテンツの獲得、メディア戦略の強化などを図っております。
こうした設備・投融資が、安定的かつ更なる利益貢献をするよう投融資の規模、性質、態様などに応じてリスクを判断する社内体制を構築しておりますが、かかる投資が期待されるリターンをもたらすという保証はなく、リターンが想定を下回る場合は、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 個人情報の取り扱いに関するリスク
当社グループは、番組出演者、番組観覧者、視聴者のほか、インターネット事業の会員やショッピング事業の顧客などに関する個人情報を保有しております。また、当社は既存の放送という概念のみに固執せず、インターネット技術を取り込み、視聴者・消費者とアドバタイザーのニーズに応えるため、いわゆるビッグデータの活用にも取り組んでおります。
当該個人情報の取り扱いにつきましては、社内ルールに基づいた管理を徹底し、十分な注意を払っておりますが、不正アクセス、不正利用などにより情報の外部流出が発生した場合には、当社の情報・データ管理に対する信用性が低下し、これらを利用・活用する業務の停滞や当社グループへの信頼性が失われることにより、当該事業や取引から得られる当社の収益、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自然災害等によるリスク
当社グループの主たる事業であるテレビ放送事業では、大規模な災害が発生し、放送の継続が困難な状況となる場合や、CMを入れない災害情報番組を放送する場合があります。また、電力不足への対応から、放送時間を短縮する可能性もあります。さらに、地震、大雨、洪水などの自然災害や疫病の発生などにより、事業に必要な設備に被害が発生した場合や社員が被災・罹患した場合、通常の事業継続に影響が出る可能性があります。当社では、災害対策マニュアルや事業継続に向けたシミュレーション、社員安否確認システムの構築、防災訓練などの対策を講じておりますが、自然災害等による影響・被害を完全に排除できるものではなく、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) コンプライアンスに関するリスク
当社グループの主たる事業であるテレビ放送事業は、放送法及び関連法令の法的規制を受けています。当社は、放送法により、認定放送持株会社の認定を受けることで、複数の地上放送局とBS放送局及びCS放送局を子会社として保有することが認められています。今後、認定放送持株会社の資産に関する基準等、放送法で定める基準を満たさなくなった場合には、認定の取り消しを受ける可能性があります。仮に認定の取り消しを受けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
また、当社グループの主たる事業はテレビ放送事業であり、株式会社テレビ朝日、株式会社BS朝日、株式会社シーエス・ワンテンは、当該事業を行うにあたっては「電波法」・「放送法」などの法令による規制を受けております。
これらの事業に関して、法令違反により放送免許が取り消される場合や、免許を受けることができない場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、上記以外にも、事業活動を継続するうえで、様々な法的規制を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起、社会的制裁を受ける可能性があり、この結果、当社グループへの信頼性が失われ、情報発信の信頼性を基礎に放送局・報道機関として活動する、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループでは、内部統制の基本は、「経営トップから従業員に至る法令等ルール順守のための多面的な連携」にあるとの考えに基づき、内部統制の仕組みを構築し、組織・規程などにより権限・責任を明示するとともに、必要に応じて、法務部・コンプライアンス統括室など社内の複数の部門におけるチェックを受け、活動状況を常務会ほかに報告する体制としております。
また、経営トップを統括責任者とし、その指示のもと、コンプライアンスに基礎を置く内部統制に必要な研修・啓蒙活動を推進しております。
以上のような対応を通じて、当社グループ及びその従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めております。
(7) 外国人等が取得した株式の取扱等に関するリスク
当社は、放送法で定める外国人等((ⅰ)日本の国籍を有しない人、(ⅱ)外国政府又はその代表者、(ⅲ)外国の法人又は団体、(ⅳ)前記(ⅰ)から(ⅲ)に掲げる者により直接に占められる議決権の割合が総務省令で定める割合以上である法人又は団体)(以下「外国人等」という)の有する当社の議決権について、(ⅰ)から(ⅲ)に掲げる者により直接に占められる議決権の割合とこれらの者により上記(ⅳ)に掲げる者を通じて間接に占められる議決権の割合として総務省で定める割合とを合計した割合が20%以上となる場合には、放送法によって認定放送持株会社の認定が取り消されることとなります。
このため、そうした状態に至るときには、放送法の規定により、外国人等の氏名及び住所を株主名簿に記載し、又は記録することを拒むことができ、また、その議決権行使は制限されることとなります。
(8) 気候変動をはじめとする環境・サステナビリティ課題に関するリスク
気候変動をはじめとする地球環境問題は、世界的な規模で深刻化しております。日本国内でも異常気象による大規模な自然災害が多発し、気候変動リスクに関連する規制や開示強化に向けた動きもあり、あらゆる企業にとって看過できない問題となっています。
このため、当社では企業としても気候変動課題の解決に向けて行動するため、TCFD提言への賛同を表明するとともに、このフレームワークに沿った分析を行い、気候変動に対するレジリエンスの強化を図っており、この問題へのガバナンスの強化やリスク管理に注力しておりますが、想定以上の規模とスピードで、気候変動リスクが進行した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の日本経済は、ウィズコロナの下で、緩やかに持ち直しの動きが見られました。一方で、テレビ広告市況におきましては、東京地区のスポット広告の出稿量が前期を下回るなど、厳しい状況が続きました。
このような経済状況のなか、当連結会計年度の売上高は3,045億6千6百万円(前期比+2.1%)、売上原価、販売費及び一般管理費の合計が2,900億6千3百万円(同+4.8%)となりました結果、営業利益は145億3百万円(同△32.3%)となりました。
経常利益は持分法による投資利益が増加したことなどにより、231億5千7百万円(同△12.4%)となりました。また、特別利益において投資有価証券売却益を計上したことや、特別損失においてのれんを含めた固定資産の減損損失を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、166億3百万円(同△20.9%)となりました。
当社は2022年5月11日開催の取締役会において、セグメント区分を変更することを決議いたしました。
前連結会計年度において「テレビ放送事業」、「音楽出版事業」、「その他事業」としていたものを、当連結会計年度より「テレビ放送事業」、「インターネット事業」、「ショッピング事業」、「その他事業」に変更いたしました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、前連結会計年度の数値については、変更後の区分により作成したものを記載しております。
テレビ放送事業
当連結会計年度は、全日視聴率(6時~24時)個人全体が3.6%、世帯が6.6%でともに1位、ゴールデンタイム(19時~22時)個人全体が5.6%で2位、世帯が9.5%で1位、プライムタイム(19時~23時)個人全体が5.6%、世帯が9.6%でともに1位、プライム2(23時~25時)個人全体が2.0%、世帯が3.7%でともに2位で終了し、個人全体では、開局以来初の全日・プライムの2冠、世帯では、開局以来初の3冠となりました。
ゴールデン・プライム帯では、「報道ステーション」をはじめ、「サタデーステーション」「サンデーステーション」とプライム帯のニュースベルトがそれぞれ同時間帯トップを獲得しました。連続ドラマでは、「相棒season21」(平均:個人全体7.7%、世帯13.5%)、「ザ・トラベルナース」(平均:個人全体6.7%、世帯12.1%)、「未来への10カウント」(平均:個人全体6.3%、世帯11.0%)などトップ10に6作品が入りました。また、「星降る夜に」では、初回放送の見逃し配信再生数が初動1週間でテレビ朝日歴代最高となる301万回再生を記録しました。バラエティー番組では、金曜の「ザワつく!金曜日」、土曜の「池上彰のニュースそうだったのか!!」「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」など週末の番組が高い数字となりました。
スポーツでは、「FIFAワールドカップ カタール 2022」の10試合を地上波独占生中継、「日本×コスタリカ」(個人全体30.6%、世帯42.9%)の中継は2022年の全局のすべての番組のなかで最高視聴率となりました。また、「2023ワールドベースボールクラシック」では、放送を担当した4試合すべてで個人全体20%・世帯40%を上回る視聴率を記録、特に「準々決勝 日本×イタリア」(個人全体31.2%、世帯48.0%)は、テレビ朝日歴代2位の高視聴率となりました。
全日帯では、「羽鳥慎一モーニングショー」が、3年連続の同時間帯トップ、「大下容子ワイド!スクランブル」は、1部が9年連続の同時間帯トップ、2部が初の同時間帯トップを獲得し、午前帯から良い流れを作り、全日帯トップに貢献しました。
以上のような状況のなか、収益の拡大を図るため、積極的な営業活動を展開しました。
タイム収入は、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢等による不透明感が見られるなか、アドバタイザーの宣伝活動において固定費削減傾向が強まり、レギュラー番組のセールスでは苦戦を強いられました。また、単発番組につきましては、「FIFAワールドカップ カタール 2022」「2023ワールドベースボールクラシック」などがあったものの、前期の「東京オリンピック」「世界体操・世界新体操 北九州」の反動減により減収となりました。以上の結果、タイム収入合計は815億5千8百万円(前期比△4.7%)となりました。
スポット収入は、東京地区の広告出稿量が前期を下回ったことなどから減収となりました。業種別では、「交通・レジャー」「外食・各種サービス」などが好調な一方で、「情報・通信」「化粧品・トイレタリー」「飲料・嗜好品」などは減収となりました。以上の結果、スポット収入は904億1千4百万円(同△3.3%)となりました。
また、BS・CS収入は260億7千万円(同+2.8%)、番組販売収入は130億3千9百万円(同△3.1%)、その他収入は215億8千5百万円(同+3.8%)となりました。
以上により、テレビ放送事業の売上高は2,326億6千9百万円(同△2.5%)、営業費用は2,230億8千2百万円 (同+0.4%)となりました結果、営業利益は95億8千6百万円(同△42.4%)となりました。
株式会社サイバーエージェントとの共同事業「ABEMA」は、「FIFAワールドカップ カタール 2022」での全64試合生中継のサービスなどを経て、1,600万WAU(ウイークリーアクティブユーザー)前後で推移、有料の「プレミアム」会員も増えており、無料・有料ともに堅調に推移しました。「ABEMA NEWS」は注目度の高いニュース・記者会見等や災害情報をリアルタイムで配信。報道特番などもタイムリーに編成し、緊急時の「生活インフラ」としても定着しつつあります。KDDI株式会社との共同事業としてSVOD(定額制動画配信)サービスを提供している「TELASA」は、テレビ朝日の番組との連動コンテンツやTELASAオリジナルの泰流コンテンツなどを積極的に展開し会員数を順調に伸ばしており、事業も拡大しております。2023年度中に会員数200万人を達成するという目標を掲げ、コンテンツの充実に邁進してまいります。無料見逃し動画配信サービスを提供している「TVer」は、2022年7月に累計アプリダウンロード数が5,000万を突破し、月間ユニークブラウザ数も好調に推移しております。また2022年4月からプライムタイムを中心としたリアルタイム配信を開始、2023年4月からは本格セールスとなり新たなビジネスとして成長させていく予定であります。また、動画広告配信プラットフォームを構築・運用する連結子会社の株式会社UltraImpressionは、精度の高いデータに基づく多彩なターゲティングができることが好評で、見逃し動画配信での広告を中心に順調に業績を伸ばしております。また、2023年3月からはJ SPORTSオンデマンドへアドサーバの提供を開始するなど、他社プラットフォームへのアドサーバ提供も拡大しております。そのほか個別のコンテンツでは、ニュース配信事業が、公式YouTubeチャンネルの登録者数、TikTokのフォロワー数ともに300万人を突破するなど大きく成長しました。「新日本プロレスワールド」は、団体の旗揚げ50周年に合わせて番組連動PRや販路拡大に努め、有料会員数が過去最大となりました。人気番組イベントやスポーツ競技のペイ・パー・ビューにも積極的にトライし、成果を上げております。
以上により、インターネット事業の売上高は254億5千5百万円(前期比+10.6%)、営業費用は240億5千2百万円(同+11.2%)となりました結果、営業利益は14億3百万円(同+0.7%)となりました。
下期より毎週金曜に新番組「午後もじゅん散歩」を開始し、好調な売上となりました。一方、当期においては新型コロナウイルス感染症による巣ごもり需要に落ち着きが見られてきたことなどにより、減収となりました。また、棚卸資産評価損や広告宣伝費など営業費用が増加となりました。
以上により、ショッピング事業の売上高は194億9千万円(前期比△0.1%)、営業費用は186億2千3百万円(同+5.6%)となりました結果、営業利益は8億6千7百万円(同△53.5%)となりました。
イベント事業では、新型コロナウイルス感染症対策が次第に緩和されるなか、毎年恒例の音楽フェスである「テレビ朝日ドリームフェスティバル」「東京・大阪メトロポリタンロックフェスティバル」を、従来のキャパシティに戻して開催し、増収の大きな要因となりました。さらに新しい試みとして、羽生結弦さんのプロ転向後初となるアイスショー「プロローグ」を横浜と八戸で開催。深夜の人気バラエティー番組「キョコロヒー」「ハマスカ放送部」のイベントや、人気ドラマ「家政夫のミタゾノ」の舞台化も好評を博しました。また、2017年に六本木ヒルズでスタートし、国内9市を巡回した「THEドラえもん展」を初めて海外に展開。シンガポール国立博物館で3か月にわたって開催しました。そして、3年ぶりとなった「テレビ朝日・六本木ヒルズ SUMMER STATION」では、番組と連動したアトラクション・グルメ企画や音楽ライブを37日間にわたって開催。夏の六本木にファミリーや若者の笑顔が戻りました。
音楽出版事業は、所属アーティストの「ケツメイシ」「平井大」がコンサートツアーを実施したことなどにより増収となりました。
出資映画事業は、2022年4月に公開した「映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」が、20億4千万円の興行収入となり、2023年3月公開の「映画ドラえもん のび太と空の理想郷」も3月31日時点で30億6千万円を超える興行収入となっています。その他、ドラマ連動作品「七人の秘書 THE MOVIE」「シャイロックの子供たち」などを公開しました。一方で、年度後半には「レジェンド&バタフライ」「シン・仮面ライダー」と大型の出資が続きました。
DVD販売は、人気シリーズ「相棒」や話題作「六本木クラス」「裸の少年2021」やオシドラサタデー「消えた初恋」など、様々なタイトルをリリースしました。
以上により、その他事業の売上高は404億4千2百万円(前期比+37.4%)、営業費用は378億3千4百万円(同+35.8%)となりました結果、営業利益は26億7百万円(同+64.9%)となりました。
報告セグメントごとの経営成績の推移は、次のとおりであります。
(単位:百万円、%表示は対前期増減率)
(単位:百万円、%表示は対前期増減率)
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。
流動資産は1,817億9千7百万円で、前連結会計年度末に比べ32億7千2百万円の増加となりました。これは、有価証券が36億9百万円増加したことなどによります。
固定資産は3,133億2千6百万円で、前連結会計年度末に比べ69億5千6百万円の減少となりました。これは、投資有価証券が84億7千4百万円減少したことなどによります。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ36億8千4百万円減少し、4,951億2千3百万円となりました。
流動負債は689億8千2百万円で、前連結会計年度末に比べ5億2千2百万円の減少となりました。これは、支払手形及び買掛金が44億9千5百万円増加したものの、未払法人税等などの減少により「その他」が48億7千5百万円減少したことなどによります。
固定負債は313億7千7百万円で、前連結会計年度末に比べ47億1千万円の減少となりました。これは、繰延税金負債が43億7千2百万円減少したことなどによります。
以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ52億3千3百万円減少し、1,003億5千9百万円となりました。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ15億4千8百万円増加し、3,947億6千3百万円となりました。この結果、自己資本比率は79.4%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ162億2百万円減少し、611億1千4百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、153億円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入額が148億2千6百万円減少しました。これは、税金等調整前当期純利益が68億4千8百万円、棚卸資産の増減額が44億1千5百万円減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、250億9百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が326億3千5百万円増加しました。これは、有価証券の償還による収入が466億円減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、66億円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が20億3千6百万円増加しました。これは、配当金の支払額が10億5千7百万円増加したことなどによるものです。
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の売上実績及びそれぞれの総売上高に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(単位:百万円、%表示は対前期増減率)
(売上高及び営業利益)
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
(経常利益)
営業外収益は89億8千6百万円で、前連結会計年度に比べ37億6千6百万円の増加となりました。これは、持分法による投資利益が増加したことなどによります。営業外費用は3億3千2百万円で、前連結会計年度に比べ1億2千3百万円の増加となりました。
以上の結果、経常利益は231億5千7百万円(前期比△12.4%)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は33億3千6百万円で、前連結会計年度に比べ13億1千9百万円の減少となりました。投資有価証券売却益を32億1百万円、関係会社株式売却益を1億3千5百万円計上しております。特別損失は28億7千4百万円で、前連結会計年度に比べ22億4千2百万円の増加となりました。減損損失を25億7千4百万円、投資有価証券評価損を3億円計上しております。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は166億3百万円(前期比△20.9%)となりました。
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
資本の財源として当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高が、総資産の12.3%を占める611億1千4百万円となりました。当社グループでは、主に営業活動から得た資金及び内部留保による自己資金を財源とし、コンテンツ力強化に向けた投資や設備投資、さらなる成長のための戦略投資などを行っております。なお、当社はグループ会社の資金調達及び資金運用を効率的に行うため、キャッシュ・マネジメント・システムを活用し、一括した管理を行っております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性の見込めない部分を評価性引当額として繰延税金資産から控除しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、市場の動向や経済環境の変化などにより見積りの前提条件や仮定に変更が生じた場合、課税所得の見積りが大きく変動し、繰延税金資産の取崩しなど税金費用の計上額に影響を及ぼす可能性があります。
(退職給付に係る負債及び退職給付費用)
当社グループは、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。経済環境や金融市場の変化等により実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される退職給付費用や計上される退職給付に係る負債に影響を及ぼします。
該当事項はありません。
当社グループは、公共の電波を活用して視聴者に有用な放送サービスを着実に提供するとともに、益々多様化する視聴者ニーズにお応えするため、放送と通信の融合に関わる幅広い技術の開発に取り組んでおります。当社グループにおいて、研究開発活動は、子会社である㈱テレビ朝日が行っており、テレビ放送事業及びインターネット事業における主な研究開発活動は、下記のとおりであります。
(1)ビッグデータを解析・利活用するための技術の開発
(2)AR/VR・ロボットなど新たなエンタテインメントに関わる技術の開発
・新たな芸術形態である「デジタルアート」や「メタバースアート」、廃材を再活用する「SDGsアート」などをエンタテインメント関連の事業に向けて展開するための調査研究
・ハイクオリティゲームエンジンである「Unity」「UnrealEngine」を映像コンテンツ制作に展開するため、F/K出力の検証やカメラ連動技術等についての調査研究 等
(3)インターネット向け映像配信やクラウドを利用した番組制作に関わる技術の開発
・インターネット回線を利用した映像音声の伝送技術検証
・クラウド上で番組映像制作全般を行うための技術検証(スイッチング、CG・テロップ、音声ミキシング等)
・VideoOverIPに関する基礎研究と検証 等
(4)AIやRPA、映像・音声認識技術の活用など業務改善に資する技術の開発
・AIを利用した自動撮影システムや映像認識技術による自動文字変換システムなど番組制作業務改善に向けた研究開発
・AIや音声合成技術を利用した深い対話が可能なバーチャルヒューマン研究開発
・番組テロップの文字詰め業務省力化に関するカーニング自動アルゴリズム研究開発 等
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は