第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

当社グループは放送の公共性・公益性を常に自覚し、展開する事業を通じて魅力的かつ社会から求められる情報やコンテンツを提供し、夢や希望を持ち続けられる社会の実現に貢献することを経営の基本方針としております。

現在、当社グループを取り巻く経営環境は、急激なスピードで変化しています。スマートフォンやタブレット端末などデバイスの高機能化による視聴スタイルやコンテンツ流通路の多様化、少子高齢化などによる人々のライフスタイルの急速な変化に直面しています。

こうした状況に適切に対応するため、「新しい時代のテレビ局」へと着実に進化していくことが必須の経営課題であると認識しています。そのために2023年度より、経営計画「BREAKOUT STATION!新しい時代のテレビ朝日 経営計画2023-2025」を推進しています。テレビ朝日グループの価値の源泉は“コンテンツ”にあるという基本理念のもと、視聴者・アドバタイザー等の要請に応える多様なコンテンツを制作し、当社グループのあらゆるメディアで展開するなど、収益の最大化を目指す「360°戦略」を進めます。その中では具体的に、以下5つの戦略目標を掲げております。

 

・〔地上波戦略〕 最強コンテンツの編成テーブルを完成させ、2025年度までに年間・年度での個人全体視聴率3冠

 達成を目指します。

・〔インターネット戦略〕 ABEMA・TELASA・TVerなどでコンテンツのインターネット展開を拡大しマネタイズ・増

 収を図ります。あわせてデータの利活用を推進します。

・〔ショッピング戦略〕 「販路拡大」と「ヒット商品創出」を両輪に事業規模の拡大に努め、収益性向上を図りま

 す。

・〔メディアシティ戦略〕 東京ドリームパーク等の拠点において、自社IPを活用したリアルイベント等で増収を

 図ります。

・〔新領域開拓〕 コンテンツを活用した新たなビジネス領域(アニメ・ゲーム事業、メタバース事業、アクティブ

 シニア事業、国際展開、新規ビジネス開発など)に挑戦し、IPビジネスの開発に努めます。

 

これら戦略目標を着実に達成するためグループ全体で取り組むことに加え、成長戦略の展開に際しては、役職員間でのコミュニケーション等を深める機会としても活用してまいります。

また、テレビ朝日グループの「サステナビリティ宣言」や「未来に向けた5つの重点テーマ(マテリアリティ)」に基づき、自ら持続可能な社会の実現に取り組むために、気候変動対応や人的資本に関する情報開示を継続的に行っています。さらに、公共性や社会的責任を持つメディア企業として、メディアが持つコンテンツパワーを活かしながら持続可能な未来の実現に貢献していきます。

こうした取組みなどにより、2025年度までに連結売上高3,300億円、営業利益200億円、経常利益250億円、親会社株主に帰属する当期純利益200億円とする定量目標の達成を目指します。定量目標の実現に向けては、毎期業績を積み上げていくことに加え、戦略投資も行っていく方針です。戦略投資枠を500億円と設定し、東京ドリームパークへの投資やIP開発に資する領域のM&Aなどを実施することで成長の好循環を生み出し、資本効率の継続的な改善にもつなげてまいります。

今後もテレビ放送事業者を傘下に持つ認定放送持株会社としての公共性や社会的責任を全うできるよう良質なコンテンツの提供に努めるとともに、さらなる企業価値の向上を目指して、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えしてまいります。 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関するガバナンス・リスク管理の体制

 ①ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティについての重要事項は取締役会で審議・決定が行われます。企業の持続的成長や永続性に大きな影響を与えるリスクや機会について継続的かつ集中して特定・評価を行い、迅速に事業戦略へ反映することを目的とする専門組織は、以下の2つとなります。

サステナビリティ委員会

代表取締役社長を委員長とし、サステナビリティ全般のリスクや機会について監視や監督を行います。

SDGs推進室

当社および株式会社テレビ朝日の各局室の局室長を中心に構成され、サステナビリティに関するリスクや機会に関する評価と進捗状況の確認を行います。

 

SDGs推進室で検討した事項は年に1回サステナビリティ委員会へ報告後、常務会へ報告されます。さらに、常務会にて重要事項と判断された事案については取締役会へ付議されます。

 

 ②リスク管理

当社グループでは、取締役会や常務会、サステナビリティ委員会、SDGs推進室などが中心となり、サステナビリティに関するリスク管理を行います。

主要なモニタリング項目は以下の通りです。

・気候変動が企業に及ぼすリスクに関する再評価と対策の進捗管理

・人的資本への投資状況、目標の達成状況、修正事項

・人権デュー・デリジェンスの進捗状況

・経費の必要性、収益への顕著な影響

 

この結果は、社内の主管部門でも共有し、現時点で認識しているサステナビリティに関するリスクの変容や追加対策の要否を検証し、必要な事項をサステナビリティ委員会に報告します。報告を受けた、同委員会は、必要な場合は外部の専門家の知見も得て対応の要否を判断し、重要なリスクと判断された場合、対応方針などと共に常務会へ報告されます。常務会では、サステナビリティ全般リスクとその他全社的なリスクとの統合と再評価を行い、その中で重要と判断されたリスクについては取締役会へ付議され対応や対応時期の最終決定が行われます。

 

(2) 気候変動への対応

当社グループは、2023年5月にTCFD提言への賛同を表明するとともに、このフレームワークに沿った分析結果を開示いたしました。気候変動関連のリスクに関する『戦略』『指標及び目標』は当社ウェブサイトをご参照ください。

 https://www.tv-asahihd.co.jp/sustainability/tcfd/

   (注)  上記URLに記載された内容は、2024年4月24日現在の情報であり、今後、更新される可能性があります。

なお、2023年6月29日提出の有価証券報告書が記す参照データについては、https://www.tv-asahihd.co.jp/sustainability/tcfd/20230512.htmlをご参照ください。

 

(3) 人的資本への対応

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

①人的資本に関する方針

当社グループは、「より魅力的かつ社会から求められる情報やコンテンツを提供し夢や希望を持ち続けられる社会の実現に貢献する」という企業使命を掲げております。また、2023年3月に発表した経営計画「BREAKOUT STATION!新しい時代のテレビ朝日 経営計画2023-2025」では、引き続き“すべての価値の源泉はコンテンツにある”という基本理念のもと、コンテンツをあらゆるメディアに360°に展開し、コンテンツ価値を最大化する「360°戦略」を推進しています。

多様化する社会において、視聴者・消費者ニーズを捉え、企業使命である、より魅力的かつ社会から求められる情報やコンテンツを提供するためには、 異なる価値観や背景を持った多様性に富んだ人材(ダイバーシティの確保)が必要だと考えています。

そして、「BREAKOUT STATION!新しい時代のテレビ朝日 経営計画2023-2025」の価値観・行動指針である、すべての従業員がクリエイター&イノベーターとなり、コンテンツの価値最大化を図るためには、個々の能力や個性を最大限発揮できるようにするための育成・人材配置(人材育成)と、すべての社員が心身健康に、働きがいや成長を実感できる職場づくり(エンゲージメントの向上)が重要と考え、これら3つを当社グループの人的資本に関する方針の柱として推進してまいります。

 

②具体的な施策と指標及び目標

(注) 具体的な施策と指標及び目標については、中核事業会社である㈱テレビ朝日について記載しております。

 

1.ダイバーシティの確保

 ・多様性に富んだ人材構成を実現するため、性別やキャリアを踏まえた戦略的な採用を行うとともに、計画的に実務リーダーや管理職への登用を進め、活躍・貢献の場を拡大していきます。

 ・価値観の多様性を図るためには、他社就業経験のある人材を増やしていくことも必要であると考え、若手層のグループ会社・外部企業への出向等の経験者を増やしていきます。

 

区分

指標

2023年度

目標値

多様性の確保

女性採用比率

42.4

2023年度以降50.0

女性社員比率

24.0

2030年度30.0

女性管理職比率

18.0

役員をはじめすべての階層において
2030年度30.0

他社就業機会提供

一般社員の他社就業経験者比率

15.8

2030年度25.0

 

(注) 1 女性採用比率は、キャリア採用も含みます。

 2 一般社員の他社就業経験者比率は、入社3年目以降の一般社員を対象としております(現職出向を含む、当社兼務を除く)。

 

2.人材育成

 ・「360°戦略」を推進するため、各部門において必要な人材・能力の特定を行います。その上で、個々の能力や個性を最大限活かし、社員が自律的にキャリアパスを選択できる人事制度を2025年度に確立することを目指します。

 ・管理職や経営層に必要なノウハウ・スキルを習得するための研修を実施し、今後を担うマネジメント人材の強化を図ります。

 ・イノベーション創出のために必要な、新しいジャンルへの挑戦を後押しするため、社内業務では得られない知識や経験を得る機会(リスキリング等)を提供します。

 

3.エンゲージメントの向上

 ・従業員の心身の健康を守り、意欲的に働き続けられる職場を維持するため、多様なライフスタイルに合わせた働き方の実現と従業員のWell-beingの向上を目指します。

 ・休暇取得、残業時間削減、テレワーク・DX推進等の働き方改革を一層推進していきます。

 ・育児と仕事を両立できる職場づくりと男性育休促進を図るとともに、復職後のサポートも強化していきます。

 ・2023年度より全社員に対し、定期的なエンゲージメントサーベイを実施し、将来的な課題も抽出します。

 

区分

指標

2023年度

目標値

多様な働き方の実現とWell-beingの向上

「働きがい」

69.0

2025年度80.0

働き方改革の推進

夏期休暇取得率

97.5

2023年度以降100.0

年平均休暇取得日数

17.8

未設定

月平均残業時間

22.4時間

未設定

育休促進

男性育休取得率

71.4

2025年度100.0

育休復職率

100.0

100.0%を維持

 

(注) 1 「働きがい」は、毎年全社員を対象に実施しているストレスチェックの項目を使用しております。

 2 年平均休暇取得日数は、年次有給休暇だけでなく、特別休暇・子育て休暇等の全ての有給休暇を対象としております。

 3 月平均残業時間は、一般社員のみを対象とし、実働時間から法定労働時間を差し引いた平均値で算出しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ないは重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性もあるため、当社グループでは、経営及び事業のリスク判断等に必要な情報の共有化に努め、リスクの最小化に取り組んでおります。

 

(1) テレビ放送事業を取り巻く環境変化のリスク

当社グループの売上高の多くの部分を占めるテレビ放送事業収入は、日本経済の動向に大きな影響を受けると考えられる企業の広告費に拠っています。さらに、当社グループを取り巻く環境は急激なスピードで変化しており、スマートフォンやタブレット端末の普及により、テレビの視聴形態が変わりつつあります。また、コンテンツの流通路も多様化しており、他のメディアとの競争も激化しております。テレビ受像機における地上波放送の位置付けが相対化するリスクも考えられます。

また、テレビ放送事業において、視聴率はCMの時間枠販売にあたり、価格を決定する重要な要素の一つとなっており、消費経済活動の低迷は当社グループの業務に大きな影響を与えます。

以上のような複合的な要因の進行により、当社グループの売上高が減少し、コンテンツの多面的な展開に必要な費用を吸収できない場合は、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社では、すべての企業価値の源泉はコンテンツにあるとの基本理念に基づき、当社グループが保有するメディアで360°に展開することで「収益の最大化」につなげてまいります。こうした方針を実現するため、当社グループの中核子会社である株式会社テレビ朝日の「コンテンツ編成部門」「営業部門」「ビジネス部門」「インターネット部門」をビジネスソリューション本部として一体で運用し、ステークホルダーの要請に適うコンテンツの制作、提供、データ・テクノロジーの活用、情報発信の強化を進めてまいります。

また、こうした施策を推進するための戦略的な投資を実施してまいります。

 

(2) 未知の感染症の影響に関するリスク

新型コロナウイルス感染症拡大下においては、アドバタイザーからの広告出稿量の減少や開催を予定していたイベント・出資映画の延期・中止などテレビ放送事業やその他の事業収入の減収につながる状況が発生し、感染リスクを避けるためのドラマの撮影中断など、コンテンツの提供継続に影響を与える事態も生じました。

このようなパンデミックに際し、株式会社テレビ朝日では、緊急の対策会議とチームを編成し、予防の徹底はもとより、構内全域での消毒の実施や入館の規制ルールの徹底、時差出勤・テレワークの活用、社員の体調管理・把握の強化などとともに、感染者が発生した場合に備え、放送継続・事業継続に向けた交代制の勤務シフトも実施しました。また、コンテンツの制作現場では、本番及び打ち合わせで、密閉、密集、密接の、3つの密を避けるとともに、各部署・番組ごとに、作業エリア分けや取材先での感染防止策の徹底、番組制作の観客入れの制限などの措置に加え、収録に際し、検温、消毒の徹底、マイクを共有しない、スタッフのマスク着用などの対策を行い、事業を継続いたしました。

新型コロナウイルス感染症拡大下での対応・対策・ノウハウは当社グループ内で継承するとともに、当社グループを取り巻く事業環境のあらゆる変化に対応して、ステークホルダーの要請に適うコンテンツの制作、提供、データ・テクノロジーの活用、情報発信の強化の役割を担うことを目的とするビジネスソリューション本部を設置し、様々な環境下でコンテンツを提供し事業継続するための対応力強化にも注力しております。しかし、今後、感染力や致死率がさらに高い未知の感染症が発生した場合、新型コロナウイルス感染症の影響を上回る事業への影響を受ける可能性があります。

 

(3) 設備・投融資に関するリスク

当社グループは、適切な設備投資及び投融資を継続し、技術水準を維持するとともに、企業競争力の強化に向けた戦略的投資を推進し、コンテンツ制作力の増強並びに魅力的なコンテンツの獲得、メディア戦略の強化などを図っております。

こうした設備・投融資が、安定的かつ更なる利益貢献をするよう投融資の規模、性質、態様などに応じてリスクを判断する社内体制を構築しておりますが、かかる投資が期待されるリターンをもたらすという保証はなく、リターンが想定を下回る場合は、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 個人情報の取り扱いに関するリスク

当社グループは、番組出演者、番組観覧者、視聴者のほか、インターネット事業の会員やショッピング事業の顧客などに関する個人情報を保有しております。また、当社は既存の放送という概念のみに固執せず、インターネット技術を取り込み、視聴者・消費者とアドバタイザーのニーズに応えるため、いわゆるビッグデータの活用にも取り組んでおります。

当該個人情報の取り扱いやセキュリティ確保については様々な技術的な対策に加え、コンプライアンス統括室デジタルガバナンス推進事務局を中心に社内ルールの整備やスタッフ教育の実施などを行い情報管理に十分な注意を払っております。

しかし万が一、不正アクセス、不正利用などにより情報の外部流出が発生した場合には、当社の情報・データ管理に対する信用性が低下し、これらを利用・活用する業務の停滞や当社グループへの信頼性が失われることにより、当該事業や取引から得られる当社の収益、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 自然災害等によるリスク

当社グループの主たる事業であるテレビ放送事業では、大規模な災害が発生し、放送の継続が困難な状況となる場合や、CMを入れない災害情報番組を放送する場合があります。また、電力不足への対応から、放送時間を短縮する可能性もあります。さらに、地震、大雨、洪水などの自然災害や疫病の発生などにより、事業に必要な設備に被害が発生した場合や社員が被災・罹患した場合、通常の事業継続に影響が出る可能性があります。当社では、災害対策マニュアルや事業継続に向けたシミュレーション、社員安否確認システムの構築、防災訓練などの対策を講じておりますが、自然災害等による影響・被害を完全に排除できるものではなく、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) コンプライアンスに関するリスク

当社グループの主たる事業であるテレビ放送事業は、放送法及び関連法令の法的規制を受けています。当社は、放送法により、認定放送持株会社の認定を受けることで、複数の地上放送局とBS放送局及びCS放送局を子会社として保有することが認められています。今後、認定放送持株会社の資産に関する基準等、放送法で定める基準を満たさなくなった場合には、認定の取り消しを受ける可能性があります。仮に認定の取り消しを受けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

また、当社グループの主たる事業はテレビ放送事業であり、株式会社テレビ朝日、株式会社BS朝日、株式会社シーエス・ワンテンは、当該事業を行うにあたっては「電波法」・「放送法」などの法令による規制を受けております。

これらの事業に関して、法令違反により放送免許が取り消される場合や、免許を受けることができない場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、上記以外にも、事業活動を継続するうえで、様々な法的規制を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起、社会的制裁を受ける可能性があり、この結果、当社グループへの信頼性が失われ、情報発信の信頼性を基礎に放送局・報道機関として活動する、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループでは、内部統制の基本は、「経営トップから従業員に至る法令等ルール順守のための多面的な連携」にあるとの考えに基づき、内部統制の仕組みを構築し、組織・規程などにより権限・責任を明示するとともに、必要に応じて、法務部・コンプライアンス統括室など社内の複数の部門におけるチェックを受け、活動状況を常務会ほかに報告する体制としております。

 

また、経営トップを統括責任者とし、その指示のもと、コンプライアンスに基礎を置く内部統制に必要な研修・啓蒙活動を推進しております。

以上のような対応を通じて、当社グループ及びその従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めております。

 

(7) 外国人等が取得した株式の取扱等に関するリスク

当社は、放送法で定める外国人等((ⅰ)日本の国籍を有しない人、(ⅱ)外国政府又はその代表者、(ⅲ)外国の法人又は団体、(ⅳ)前記(ⅰ)から(ⅲ)に掲げる者により直接に占められる議決権の割合が総務省令で定める割合以上である法人又は団体)(以下「外国人等」という)の有する当社の議決権について、(ⅰ)から(ⅲ)に掲げる者により直接に占められる議決権の割合とこれらの者により上記(ⅳ)に掲げる者を通じて間接に占められる議決権の割合として総務省で定める割合とを合計した割合が20%以上となる場合には、放送法によって認定放送持株会社の認定が取り消されることとなります。

このため、そうした状態に至るときには、放送法の規定により、外国人等の氏名及び住所を株主名簿に記載し、又は記録することを拒むことができ、また、その議決権行使は制限されることとなります。

 

(8) 気候変動や人的資本をはじめとする環境・サステナビリティ課題に関するリスク

気候変動をはじめとする地球環境問題は、世界的な規模で深刻化しております。日本国内でも異常気象による大規模な自然災害が多発し、気候変動リスクに関連する規制や開示強化に向けた動きもあり、あらゆる企業にとって看過できない問題となっています。

このため、当社では企業としても気候変動課題の解決に向けて行動するため、TCFD提言への賛同を表明するとともに、このフレームワークに沿った分析を行い、気候変動に対するレジリエンスの強化を図っており、この問題へのガバナンスの強化やリスク管理に注力しておりますが、想定以上の規模とスピードで、気候変動リスクが進行した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、人的資本に関しては、前述の「サステナビリティに関する考え方及び取組」の「人的資本への対応」に記載されている通り、ライフスタイルや価値観が多様化する社会において、当社グループの企業使命を果たすために、「ダイバーシティの確保」「人材育成」「エンゲージメントの向上」の3つを柱として、具体的な施策と指標及び目標を策定・実施しております。

しかし、少子高齢化に伴う労働人口の減少等により、人材獲得競争は激化しており、適切な人材の確保や育成が計画通りに進まない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、昨今の社会全体における人権意識の高まりを踏まえ、当社グループとして、すべての役職員が人権尊重の重要性を改めて認識するとともに、今後も公共的使命を果たし、社会から信頼される企業であり続けるために、2024年2月に「テレビ朝日グループ 人権方針」を策定し公表いたしました。

人権デュー・デリジェンスの仕組みを構築し、是正・救済の体制を整備しておりますが、こうした取組みが不十分である場合には、ステークホルダーの信用失墜等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の日本経済は、雇用・所得環境の改善に伴い、一部に足踏みがみられるものの、緩やかな回復が続きました。一方、テレビ広告市況におきましては、東京地区のスポット広告の出稿量が前期を下回るなど、厳しい状況となりました。
 このような経済状況のなか、当連結会計年度の売上高は3,078億9千8百万円(前期比+1.1%)、売上原価、販売費及び一般管理費の合計が2,955億6千1百万円(同+1.9%)となりました結果、営業利益は123億3千7百万円(同△14.9%)、経常利益は199億1千9百万円(同△14.0%)となりました。また、特別利益において投資有価証券売却益を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、171億3千8百万円(同+3.2%)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

テレビ放送事業

当連結会計年度は、全日視聴率(6時~24時)個人全体が3.5%、世帯が6.3%でともに1位、ゴールデンタイム(19時~22時)個人全体が5.3%で2位、世帯が8.9%で1位、プライムタイム(19時~23時)個人全体が5.3%、世帯が9.0%でともに1位、プライム2(23時~25時)個人全体が1.8%、世帯が3.5%でともに2位で終了し、個人全体では、2年連続の全日・プライムの2冠、世帯では、2年連続の3冠となりました。

ゴールデン・プライム帯では、「報道ステーション」が5年連続、「サタデーステーション」が3年連続で同時間帯トップを獲得しました。連続ドラマでは、「相棒season22」(平均:個人全体6.4%、世帯11.2%)、「特捜9」(平均:個人全体5.6%、世帯9.9%)などトップ10に5作品が入りました。また、「離婚しない男-サレ夫と悪嫁の騙し愛-」が、初回放送の見逃し配信再生数が初動1週間でテレビ朝日歴代最高となる424万回再生を記録しました。バラエティー番組では、金曜の「ザワつく!金曜日」「マツコ&有吉かりそめ天国」、土曜の「池上彰のニュースそうだったのか!!」など週末の番組が高い数字となりました。

スポーツでは、各シーズンで大型スポーツイベントの中継を実施しました。夏に開催された「FIBA バスケットボールワールドカップ2023」は3試合を中継、順位決定戦となった「日本×カーボベルデ」の1戦は個人全体15.3%、世帯22.9%の高視聴率となりました。「サッカーAFCアジアカップ」では、3大会ぶりの王座奪還を目指す日本代表の戦いを中継し、特に「準々決勝 日本×イラン」(個人全体15.6%、世帯23.6%)は、23年度のプライム帯民放最高視聴率となりました。大谷翔平選手・山本由伸選手が移籍したドジャースの開幕シリーズ「MLBソウルシリーズ」は、開幕第2戦の「ドジャース×パドレス」(個人全体10.6%、世帯17.7%)を含む3試合の中継を実施しました。

全日帯では、「グッド!モーニング」が、初の同時間帯民放トップを獲得したほか、「羽鳥慎一モーニングショー」が、4年連続の同時間帯トップ、「大下容子ワイド!スクランブル」は、1部が10年連続、2部が2年連続の同時間帯トップを獲得し、全日帯トップに貢献しました。

以上のような状況のなか、収益の拡大を図るため、積極的な営業活動を展開しました。
 タイム収入は、海外経済の下振れリスクが指摘されるなど、依然、不透明感がみられるなか、アドバタイザーの宣伝活動において固定費削減傾向が強まり、レギュラー番組のセールスでは苦戦を強いられました。また、単発番組につきましては、「世界水泳福岡2023」「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」などがあったものの、前期の「FIFA ワールドカップ カタール 2022」「2023ワールドベースボールクラシック」の反動減により減収となりました。以上の結果、タイム収入合計は787億4千4百万円(前期比△3.5%)となりました。
 スポット収入は、東京地区の広告出稿量が前期を下回ったことなどから減収となりました。業種別では、「飲料・嗜好品」「食品」「交通・レジャー」などが好調な一方で、「情報・通信」「官公庁・団体」「出版」などは減収となりました。以上の結果、スポット収入は881億4千9百万円(同△2.5%)となりました。
 また、BS・CS収入は263億4百万円(同+0.9%)、番組販売収入は136億6千2百万円(同+4.8%)、その他収入は227億6千5百万円(同+5.5%)となりました。
 以上により、テレビ放送事業の売上高は2,296億2千6百万円(同△1.3%)、営業費用は2,236億5千5百万円 (同+0.3%)となりました結果、営業利益は59億7千1百万円(同△37.7%)となりました。

 

インターネット事業

株式会社サイバーエージェントとの共同事業「ABEMA」は、MLBやサッカープレミアリーグなどスポーツコンテンツがさらに充実し、2,000万WAU(ウイークリーアクティブユーザー)前後で推移、有料の「プレミアム」会員も増えており、無料・有料ともに堅調に推移しました。「ABEMA NEWS」は注目度の高いニュース・記者会見等や災害情報をリアルタイムで配信しており、2024年1月に発生した能登半島地震などでも報道特番をタイムリーに編成するなど、緊急時の「生活インフラ」として定着しつつあります。KDDI株式会社との共同事業としてSVOD(定額制動画配信)サービスを提供している「TELASA」は、テレビ朝日の番組との連動コンテンツやTELASAオリジナルコンテンツなどを積極的に展開しております。大手動画配信プラットフォームとの連携も強化しており、他社動画配信プラットフォーム上にTELASAチャンネルを開設することで、さらなる会員獲得、事業拡大を目指しております。無料見逃し動画配信サービスを提供している「TVer」は、2024年1月に月間ユーザ数が3,500万、月間再生数が4億回を記録、累計アプリダウンロード数は7,000万を突破しました。コネクテッドTVによる視聴も大きく増加しており、再生数、視聴時間の増加に伴い、業績も順調に伸ばしております。また、連結子会社の株式会社UltraImpressionは、インストリーム広告の配信、分析、収益を最適化するためのソリューションを提供しており、VODだけでなくライブ配信にも対応することで、順調に業績を伸ばしました。2023年9月には中京エリアの動画配信サービス「Locipo」へアドサーバの提供を開始するなど、他社プラットフォームへのアドサーバ提供も拡大しております。そのほか個別のコンテンツでは、当社が運営するYouTube公式アカウント「ANNニュースチャンネル」がチャンネル登録者数400万人を突破しました。報道情報番組をはじめとするコンテンツの充実を図ったほか、災害等のライブ配信の取組みも強化しております。またコアファン向けのサービスでは「新日本プロレスワールド」「アメトーークCLUB」がシステムをリニューアルしており、さらなる事業拡大を目指します。「東映特撮ファンクラブ」も会員数を着実に伸ばしております。

以上により、インターネット事業の売上高は287億6千1百万円(前期比+13.0%)、営業費用は264億8千8百万円(同+10.1%)となりました結果、営業利益は22億7千2百万円(同+62.0%)となりました。

 

ショッピング事業

レギュラーで放送している「じゅん散歩」が好調に推移し、増収となりました。通販特番「今田耕司の買うならイマダ『おかんと通販してみた!』」「通販をスクープしてみた!!」も定期的に放送し売上を伸ばしました。商品面では「TABEGURU(たべぐる)」ブランドで食品の販売を拡大したほか、著名スポーツ選手のサイン入り記念商品(メモラビリア)を販売し好評でした。また、サービス面ではテレビ朝日グループ共通のポイントサービス「テレ朝ポイント」と通販サイト「ロッピング」との連携もスタートさせました。

以上により、ショッピング事業の売上高は200億3百万円(前期比+2.6%)、営業費用は185億6千9百万円(同△0.3%)となりました結果、営業利益は14億3千4百万円(同+65.4%)となりました。

 

その他事業

音楽出版事業は、所属アーティストの「平井大」「ケツメイシ」及び「湘南乃風」がコンサートツアーを実施したことなどにより増収となりました。

イベント事業では、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」に引き下げられ、対策が大幅に緩和されました。それにより「テレビ朝日ドリームフェスティバル」や「東京・大阪メトロポリタンロックフェスティバル」等の大型音楽フェスが盛況を取り戻し、大きな増収となりました。さらに新しい試みとして、地上波「バラバラ大作戦」の番組と連動した音楽イベント「The MusiQuest」も新たに立ち上げました。その他、羽生結弦さんのアイスショーや「ザワつく音楽会」「キョコロヒー」等の恒例イベントの開催規模を拡大し、収益の拡大にもつなげました。また、多くのアーティストや来場者の皆様に支えられ、EXシアター六本木も開業10周年を迎えることが出来ました。そして、「テレビ朝日・六本木ヒルズ SUMMER STATION」では、番組と連動したアトラクションやグルメ企画、音楽ライブを37日間にわたって開催し、記録的な猛暑中でも多数の来場客でにぎわいました。

機器販売・リース事業は、映像機器レンタルなどが好調に推移しました。

出資映画事業は、2023年8月に公開した「しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦」が、シリーズ最高興行収入となる24億7千万円を記録し、2024年3月公開の「映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)」も3月31日時点で31億円を超える興行収入となっております。その他、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞した映画「窓ぎわのトットちゃん」をはじめとし、実写作品「リボルバー・リリー」「こんにちは、母さん」「アントニオ猪木をさがして」など、バラエティに富んだ出資作品を公開しました。

DVD販売は、人気シリーズ「相棒」や「星降る夜に」「unknown」「ハヤブサ消防団」など、様々なタイトルをリリースしました。

以上により、その他事業の売上高は446億8千3百万円(前期比+10.5%)、営業費用は419億1千1百万円(同+10.8%)となりました結果、営業利益は27億7千1百万円(同+6.3%)となりました。

 

  報告セグメントごとの経営成績の状況は、次のとおりであります。

                (単位:百万円、%表示は対前期増減率)

 

売上高

前連結会計年度

当連結会計年度

テレビ放送事業

232,669

229,626

△1.3

インターネット事業

25,455

28,761

13.0

ショッピング事業

19,490

20,003

2.6

その他事業

40,442

44,683

10.5

調整額

△13,490

△15,175

合計

304,566

307,898

1.1

 

 

                (単位:百万円、%表示は対前期増減率)

 

セグメント利益

前連結会計年度

当連結会計年度

テレビ放送事業

9,586

5,971

△37.7

インターネット事業

1,403

2,272

62.0

ショッピング事業

867

1,434

65.4

その他事業

2,607

2,771

6.3

調整額

38

△112

合計

14,503

12,337

△14.9

 

 

 

当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。

資産の部

流動資産は1,753億円で、前連結会計年度末に比べ64億9千6百万円の減少となりました。これは、有価証券が78億9千万円増加したものの、現金及び預金が133億4千9百万円減少したことなどによります。

固定資産は3,451億3千1百万円で、前連結会計年度末に比べ318億5百万円の増加となりました。これは、投資有価証券が260億6千6百万円、建設仮勘定が99億3百万円増加したことなどによります。

以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ253億8百万円増加し、5,204億3千2百万円となりました。

 

 

負債の部

流動負債は682億8百万円で、前連結会計年度末に比べ7億7千4百万円の減少となりました。これは、未払費用が15億9千1百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が32億1千2百万円減少したことなどによります。

固定負債は286億4千6百万円で、前連結会計年度末に比べ27億3千万円の減少となりました。これは、繰延税金負債が37億1千3百万円増加したものの、退職給付に係る負債が65億9千万円減少したことなどによります。

以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ35億4百万円減少し、968億5千5百万円となりました。

 

純資産の部

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ288億1千3百万円増加し、4,235億7千7百万円となりました。これは、利益剰余金が118億2千4百万円、その他有価証券評価差額金が102億1千5百万円、退職給付に係る調整累計額が56億6千万円増加したことなどによります。この結果、自己資本比率は81.0%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ83億6千1百万円減少し、527億5千3百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、191億6百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入額が38億6百万円増加しました。これは、法人税等の支払額が38億6千5百万円減少したことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、217億8百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が33億1百万円減少しました。これは、有価証券の取得による支出が90億9千3百万円、投資有価証券の取得による支出が72億2千7百万円増加したものの、有価証券の償還による収入が186億円増加したことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、58億1千8百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が7億8千1百万円減少しました。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

テレビ放送事業

 

 

 タイム収入

78,744

△3.5

 スポット収入

88,149

△2.5

 番組販売収入

13,662

4.8

 BS・CS収入

26,304

0.9

 その他収入

22,765

5.5

小計

229,626

△1.3

インターネット事業

28,761

13.0

ショッピング事業

20,003

2.6

その他事業

44,683

10.5

323,074

1.6

セグメント間取引消去

△15,175

合計

307,898

1.1

 

(注) 主な相手先別の売上実績及びそれぞれの総売上高に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱電通

89,497

29.39

85,667

27.82

㈱博報堂DY

メディアパートナーズ

53,459

17.55

54,020

17.54

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(単位:百万円、%表示は対前期増減率)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比増減

増減率

売上高

304,566

307,898

3,332

1.1

営業利益

14,503

12,337

△2,165

△14.9

経常利益

23,157

19,919

△3,237

△14.0

親会社株主に帰属する当期純利益

16,603

17,138

534

3.2

 

 

(売上高及び営業利益)

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

 

(経常利益)

営業外収益は79億円で、前連結会計年度に比べ10億8千5百万円の減少となりました。これは、持分法による投資利益が減少したことなどによります。営業外費用は3億1千8百万円で、前連結会計年度に比べ1千3百万円の減少となりました。

以上の結果、経常利益は199億1千9百万円(前期比△14.0%)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益は49億5千6百万円で、前連結会計年度に比べ16億1千9百万円の増加となりました。投資有価証券売却益を49億5千6百万円計上しております。特別損失は4億9千2百万円で、前連結会計年度に比べ23億8千2百万円の減少となりました。投資有価証券評価損を4億9千2百万円計上しております。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は171億3千8百万円(前期比+3.2%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

資本の財源として当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高が、総資産の10.1%を占める527億5千3百万円となりました。当社グループでは、主に営業活動から得た資金及び内部留保による自己資金を財源とし、コンテンツ力強化に向けた投資や設備投資、さらなる成長のための戦略投資などを行っております。なお、当社はグループ会社の資金調達及び資金運用を効率的に行うため、キャッシュ・マネジメント・システムを活用し、一括した管理を行っております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性の見込めない部分を評価性引当額として繰延税金資産から控除しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、市場の動向や経済環境の変化などにより見積りの前提条件や仮定に変更が生じた場合、課税所得の見積りが大きく変動し、繰延税金資産の取崩しなど税金費用の計上額に影響を及ぼす可能性があります。

 

(退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用)

当社グループは、退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。経済環境や金融市場の変化等により実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される退職給付費用や計上される退職給付に係る資産、退職給付に係る負債に影響を及ぼします。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、公共の電波を活用して視聴者に有用な放送サービスを着実に提供するとともに、益々多様化する視聴者ニーズにお応えするため、放送と通信の融合に関わる幅広い技術の開発に取り組んでおります。当社グループにおいて、研究開発活動は、子会社である㈱テレビ朝日が行っており、テレビ放送事業及びインターネット事業における主な研究開発活動は、下記のとおりであります。

 

(1)ビッグデータを解析・利活用するための技術の開発

(2)AR/VRなど新たなエンタテインメントやアートに関わる技術の開発

・デジタルとアートを融合させた「インスタレーションアート」に関する開発

・メタバース空間と現実世界の融合による体験価値向上に向けた研究

・イベント体験価値向上に向けたARコンテンツ開発

(3)インターネット配信やクラウドを利用した放送技術(番組制作など)に関する研究

・インターネット回線を利用した映像音声の伝送技術検証

・クラウド上での放送制作を行うための技術検証

・MediaOverIPに関する基礎研究と検証 等

(4)AIや映像・音声認識技術を活用した業務改善に資する技術の開発

・AIを用いた編集作業の省力化に関する開発

・生成AIを用いて、番組テロップ送出を省力化する開発

・映像の切り替えをより自然な形で自動化する研究開発

 

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は147百万円であります。