第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

当社グループは放送の公共性・公益性を常に自覚し、展開する事業を通じて魅力的かつ社会から求められる情報やコンテンツを提供し、夢や希望を持ち続けられる社会の実現に貢献することを経営の基本方針としております。

現在、当社グループを取り巻く経営環境は、急激なスピードで変化しています。スマートフォンやタブレット端末などデバイスの高機能化による視聴スタイルやコンテンツ流通路の多様化、少子高齢化などによる人々のライフスタイルの急速な変化に直面しています。

こうした状況に適切に対応するため、「新しい時代のテレビ局」へと着実に進化していくことが必須の経営課題であると認識しています。そのために2023年度より、経営計画「BREAKOUT STATION!新しい時代のテレビ朝日 経営計画2023-2025」を推進しています。テレビ朝日グループの価値の源泉は“コンテンツ”にあるという基本理念のもと、視聴者・アドバタイザー等の要請に応える多様なコンテンツを制作し、当社グループのあらゆるメディアで展開するなど、収益の最大化を目指す「360°戦略」を進めます。その中では具体的に、以下5つの戦略目標を掲げております。

 

・〔地上波戦略〕 最強コンテンツの編成テーブルを完成させ、2025年度までに年間・年度での個人全体視聴率3冠

 達成を目指します。

・〔インターネット戦略〕 ABEMA・TELASA・TVerなどでコンテンツのインターネット展開を拡大しマネタイズ・増

 収を図ります。あわせてデータの利活用を推進します。

・〔ショッピング戦略〕 「販路拡大」と「ヒット商品創出」を両輪に事業規模の拡大に努め、収益性向上を図りま

 す。

・〔メディアシティ戦略〕 東京ドリームパーク等の拠点において、自社IPを活用したリアルイベント等で増収を

 図ります。

・〔新領域開拓〕 コンテンツを活用した新たなビジネス領域(アニメ・ゲーム事業、メタバース事業、アクティブ

 シニア事業、国際展開、新規ビジネス開発など)に挑戦し、IPビジネスの開発に努めます。

 

これら戦略目標のうち、地上波戦略については、継続的なコンテンツ強化の結果、2024年度に1年前倒しで年間・年度の個人全体視聴率3冠を達成することができました。

また、テレビ朝日グループの「サステナビリティ宣言」や「未来に向けた5つの重点テーマ(マテリアリティ)」に基づき、自ら持続可能な社会の実現に取り組むために、気候変動対応や人的資本に関する情報開示を継続的に行っています。さらに、公共性や社会的責任を持つメディア企業として、人権尊重の意識を高め、メディアが持つコンテンツパワーを活かしながら持続可能な未来の実現に貢献していきます。

戦略の実現に向けては、戦略投資枠を500億円と設定し、東京ドリームパークへの投資やIP開発に資する領域のM&Aなどにより成長の好循環を生み出すべく努めております。

経営計画では定量目標として、2025年度までに連結売上高3,300億円、営業利益200億円、経常利益250億円、親会社株主に帰属する当期純利益200億円とする業績目標を掲げております。各戦略に基づく積極的な取組みの結果、2025年度は、連結売上高3,330億円、営業利益200億円、経常利益290億円、親会社株主に帰属する当期純利益260億円となる計画で、いずれも定量目標を達成する見込みです。

今後もテレビ放送事業者を傘下に持つ認定放送持株会社としての公共性や社会的責任を全うできるよう良質なコンテンツの提供に努めるとともに、さらなる企業価値の向上を目指して、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えしてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

また、記載の内容には、2025年6月27日開催予定の定時株主総会の直後に開催が予定される取締役会の付議事項が含まれております。

 

(1) サステナビリティに関するガバナンス・リスク管理の体制

 ①ガバナンス

当社グループのサステナビリティ方針は、先述の経営方針と同様に、「より魅力的かつ社会から求められる情報やコンテンツを提供し夢や希望を持ち続けられる社会の実現に貢献する」という企業使命に基づくものであります。当社は、自ら持続可能な社会の実現に取り組むため、また、経営にサステナビリティの取り組みを統合していくために、2022年に「サステナビリティ宣言」を公表し、「未来に向けた5つの重点テーマ(マテリアリティ)」を策定しました。2023年には、気候変動対応や人的資本投資など、当社グループの持続的成長や永続性に大きな影響を与えるサステナビリティ課題について、経営サイドで監視・監督する組織としてサステナビリティ委員会(委員長:代表取締役社長、委員:常勤執行取締役など)を設置しました。

当社グループでは、当社および株式会社テレビ朝日の各局室の局室長を中心に構成されるSDGs推進室において、サステナビリティ課題に関するリスクや機会に関する評価と進捗状況の確認を行い、検討した事項を年に1回サステナビリティ委員会へ報告します。同委員会は、重要課題とその対応方針を常務会に報告し、さらに重要事項と判断された事案については取締役会へ付議されます。

 


 

 ②リスク管理

2022年5月、当社グループとして優先して取り組むべき5つの重点課題(マテリアリティ)を特定し、「未来に向けた5つの重点テーマ」として公表しました。「地球の未来への貢献」「すべての人が活躍する未来の創造」「テクノロジーで新しい未来へ」「人に優しく共に生きる」「いつまでも信頼される会社に」という5つのテーマのそれぞれに具体的な目標を設定してグループ全体で共有しております。サステナビリティ課題のリスク・機会については、この5つの重点テーマに基づき判断しております。

当社グループでは、サステナビリティ課題に関するリスク・機会について、取締役会や常務会、サステナビリティ委員会、SDGs推進室などが中心となり、リスク管理を行っております。

 

SDGs推進室は、構成メンバーであるサステナビリティ課題に深く関わる局室から、当該局室において識別されたリスク・機会や対策の進捗状況、経費の必要性や収益への影響などに関する報告を受けて、モニタリングを行います。

主要なモニタリング項目は以下のとおりであります。

・気候変動が当社および当社グループに及ぼすリスクおよび機会に関する評価と進捗状況の検証

・人的資本への投資状況、目標の達成状況の検証および修正事項の検討

・人権デュー・デリジェンスの計画策定、実施に関すること

・サステナビリティに関する経費の必要性、収益への顕著な影響についての検証およびそれらへの対応についての検討

 

この結果は、社内の主管部門でも共有し、現時点で認識しているサステナビリティ課題に関するリスク・機会の変容や追加対策の要否を検証し、必要な事項をサステナビリティ委員会に報告します。報告を受けた、同委員会は、必要な場合は外部の専門家の知見も得て対応の要否を判断し、重要なリスクまたは機会と判断された場合、対応方針などと共に常務会へ報告されます。常務会では、サステナビリティ全般リスクとその他全社的なリスク・機会との統合と再評価を行い、その中で重要と判断されたリスク・機会については取締役会へ付議され対応や対応時期の最終決定が行われます。

 

当社グループの「サステナビリティ宣言」、「未来に向けた5つの重点テーマ」及び「5つの重点テーマ」の特定プロセスについては、当社ウェブサイトにも掲載しております。

https://www.tv-asahihd.co.jp/sustainability/agenda/

 

(2) 気候変動への対応

当社グループは、「未来に向けた5つの重点テーマ(マテリアリティ)」の一つに「地球の未来への貢献」を掲げており、豊かで美しい地球を次世代へ継承していくため、環境問題の解決に取り組んでおります。気候変動への対応は重要な経営課題であるとの認識から、2023年5月にTCFD提言への賛同を表明するとともに、このフレームワークに沿った分析結果を開示いたしました。気候変動関連の『戦略』『指標及び目標』は以下のとおりであります。

 

①戦略

当社グループでは、TCFD提言によって推奨されているシナリオ分析の手法を活用し、2030年の将来世界におけるリスクと機会を特定し定性・定量の両面から評価しました。また、影響が大きいと考えられるリスクと機会に対して、対応策を検討、実施しています。シナリオ分析では、低炭素社会への移行による影響がより大きい2℃未満シナリオと、気候変動に伴う物理面での影響が大きい4℃シナリオの2つのシナリオを用いて分析しました。

 

1.2℃未満シナリオの分析

 ・分析結果

 温室効果ガスの排出量削減に向けた炭素税の導入により、当社グループの事業活動に伴うCO2排出量に対する課税や、再生可能エネルギーの比率の高まりに伴う電力価格高騰により、操業コストの増加が想定されます。また、気候変動に関する意識の高まりにより、当社グループの脱炭素へ向けた取組みなどが不十分と判断された場合、顧客の広告出稿減少や視聴者離れが起こると想定されます。その一方で脱炭素への移行に対し影響を受けやすい業界の企業様でも上記の影響を等しく受けることが想定されます。

 ・対応策

 当社グループでは、炭素税や電力価格高騰への対応として、照明のLED化をはじめとした消費電力の削減に努めており、本社スタジオ設備(照明)の消費電力を2020年度比で2030年度に50%削減することを目標としています。さらに、2030年度までに本社の再生エネルギー比率を100%にすることを目標としグリーン電力導入などの取組みを進めています。

 情報発信の面では、株式会社BS朝日と株式会社テレビ朝日がそれぞれ2020年2月と2020年7月に「SDGメディア・コンパクト」に加盟し、気候・環境問題を含む課題解決に向けた情報発信に尽力しています。2022年6月にスタートした国連と日本の「SDGメディア・コンパクト」の加盟有志による「1.5℃の約束」キャンペーンには毎年参加し、幅広い気候変動対応に関する情報を発信していることに加え、独自の取組みとして「未来をここからプロジェクト×SDGsウィーク」も定期的に展開しています。今後もメディアの特性を活かした情報発信に努め、より一層社会に向けた働きかけを強化してまいります。

また、脱炭素への移行に対し影響を受けやすい業界の企業様との連携を強化するべく、市場動向のモニタリングやより多くの対話機会を創出するなど、協働強化を行ってまいります。

 

2.4℃シナリオの分析

 ・分析結果

国内では主に風水害を代表とした異常気象災害が頻発化、激甚化することが予想され、当社グループの事業拠点の被災や取材活動の制限、イベント延期など財務面での影響が懸念されます。また、お取引のある異常気象災害などに影響を受けやすい事業体では、被害による損失の発生や自粛活動などにより、広告出稿減少など収益面での影響も想定しています。

 ・対応策

当社グループでは、このようなリスクへの対応として、異常気象災害に関し迅速かつ正確な情報発信をする報道体制の構築・確保に努めています。具体的には、信頼できるメディアとして随時「災害・気象」情報を発信する他、災害情報のアーカイブ化や当社グループのBCP対策の強化、災害時の地域拠点として保有施設の提供を積極的に行っています。

 

<リスク・機会の一覧>

(定量)              大:影響額が1億円以上、中:影響額が5千万円~1億円未満、小:影響額が5千万円未満

項目

時間軸

影響

評価

対応策

2℃未満

シナリオ

4℃

シナリオ

移行

リスク

政策・規制

中期~長期

炭素税の導入に伴う操業コスト増加

照明のLED化や再生可能エネルギーの導入によるCO2排出量の削減

市場

中期~長期

再生可能エネルギー比率の高まりによる電力コスト増加

消費電力の削減

物理

リスク

急性

短期~長期

気象災害による自社拠点の被災対応コストの増加

本社の建物入口に止水板を設置するなどBCP対策の強化

慢性

短期~長期

平均気温の上昇による冷房空調コストの増加

消費電力の削減および再生可能エネルギーの導入拡大

 

[時間軸]短期:0~3年、中期:~10年(2030年頃)、長期:中期以降

 

(定性)                  〇:影響があると想定されたもの、-:影響はほとんどないと想定されたもの

項目

時間軸

影響

評価

対応策

2℃未満

シナリオ

4℃

シナリオ

移行

リスク

市場

中期~長期

気候変動テーマに対する視聴者ニーズの吸い上げ及びコンテンツへの反映の巧拙による視聴率低下や広告出稿機会の減少

気候変動に関して積極的な情報の発信
脱炭素社会の移行に向けた市場動向のモニタリング・対話を通し協働を強化

評判

短期~長期

気候変動への対応状況による顧客や視聴者からの評判低下や視聴率低下、広告出稿機会の減少

CO2排出量削減をはじめとした気候変動対応の強化

物理

リスク

急性

短期~長期

お取引先企業の被災や激甚災害の拡大による広告機会の減少

猛暑・台風等の気象災害による屋外イベントの内容・日程変更等に伴う対応コストの発生

異常気象への影響に対する顧客動向のモニタリング・ヒアリングを通し協働を強化
災害情報のアーカイブ化など情報発信体制の強化

 

 

項目

時間軸

影響

評価

対応策

2℃未満

シナリオ

4℃

シナリオ

移行

機会

市場

中期~長期

脱炭素に関わる活動の活発化や技術の進展による広告機会拡大

脱炭素社会の移行に向けた顧客動向のモニタリング・ヒアリングを通し協働を強化

中期~長期

気候変動啓蒙のニーズの拡大に伴い対応コンテンツの需要増加

物理

機会

レジリエンス

短期~長期

気象災害に関する番組・情報ニーズの拡大に伴う収益増加

災害情報のアーカイブ化をはじめとした情報発信体制の多様化

 

[時間軸]短期:0~3年、中期:~10年(2030年頃)、長期:中期以降

 

②指標及び目標

当社グループでは、気候変動による影響を評価しモニタリングするため、温室効果ガス(GHG)の排出量と使用電力量、再生可能エネルギー導入率を指標としています。GHG排出量の削減目標について現在検討中のため確定次第改めて開示予定です。

二酸化炭素の排出量を削減するため、コージェネレーションシステムサービスの利用や屋上緑化、ガラス外壁による昼光利用などの排出量削減活動に取り組んでいます。

使用電力量については、本社スタジオ設備(照明)の消費電力を2020年度比で2030年度に50%削減することを目標としています。目標の達成に向け、スタジオ照明のLED化も進めています。

再生可能エネルギー導入率については、2030年度までに本社における電力の再生可能エネルギー比率を100%にすることを目標にし、2025年度に40%達成を目指します。目標の達成に向け、100%再生可能エネルギー由来のグリーン電力へ切り替えるなど再生可能エネルギーを積極的に導入しています。

 

<GHG排出量>

 

2021年度実績値

2022年度実績値

2023年度実績値

Scope1

(事業による直接排出)

167.8(tCO2)

323.6(tCO2)

360.0(tCO2)

Scope2

(電力消費による間接排出)

23,333.3(tCO2)

22,744.3(tCO2)

22,298.2(tCO2)

 

算定範囲:株式会社テレビ朝日、株式会社BS朝日、株式会社シーエス・ワンテン

Scope1は直接排出(ガス、軽油、重油)、Scope2は間接排出(電気、熱)であり、それぞれの使用量に対して、最も適切と思われる排出係数を乗じて算定しています。排出係数は、環境省が公表している「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」ならびに「電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)」を利用しています。

なお、2024年度の実績値については、現在集計中であり、2026年3月期の有価証券報告書において開示する予定です。また、Scope3(Scope1、Scope2以外の間接排出)の実績値については、当社グループの算出体制の整備など検討中でありますので、整い次第、算出いたします。

GHG排出量の目標については、2026年春に開業する東京ドリームパークにおける排出量の増加も念頭におき、今後の推移を見つつ設定をいたします。

 

   当社グループのTCFD提言への対応については、当社ウェブサイトにも掲載しております。

  https://www.tv-asahihd.co.jp/sustainability/tcfd/

(注)  上記URLに記載された内容は、提出日現在の情報であり、2025年6月27日開催予定の定時株主総会の直後に開催が予定される取締役会において承認された後、更新される予定であります。

また、2026年以降、Scope1及びScope2に関する2024年度の実績値が確定しましたら、更新される予定であります。

なお、2024年6月27日提出の有価証券報告書が記す参照データ、及び2023年6月29日提出の有価証券報告書が記す参照データについては、それぞれ以下URLをご参照ください。

https://www.tv-asahihd.co.jp/sustainability/tcfd/20240424.html

https://www.tv-asahihd.co.jp/sustainability/tcfd/20230512.html

 

(3) 人的資本への対応

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

①人的資本に関する方針

当社グループは、「より魅力的かつ社会から求められる情報やコンテンツを提供し夢や希望を持ち続けられる社会の実現に貢献する」という企業使命を掲げております。また、2023年3月に発表した経営計画「BREAKOUT STATION!新しい時代のテレビ朝日 経営計画2023-2025」では、引き続き“すべての価値の源泉はコンテンツにある”という基本理念のもと、コンテンツをあらゆるメディアに360°に展開し、コンテンツ価値を最大化する「360°戦略」を推進しています。

多様化する社会において、視聴者・消費者ニーズを捉え、企業使命である、より魅力的かつ社会から求められる情報やコンテンツを提供するためには、 異なる価値観や背景を持った多様性に富んだ人材(ダイバーシティの確保)が必要だと考えています。

そして、「BREAKOUT STATION!新しい時代のテレビ朝日 経営計画2023-2025」の価値観・行動指針である、すべての従業員がクリエイター&イノベーターとなり、コンテンツの価値最大化を図るためには、個々の能力や個性を最大限発揮できるようにするための育成・人材配置(人材育成)と、すべての社員が心身健康に、働きがいや成長を実感できる職場づくり(エンゲージメントの向上)が重要と考え、これら3つを当社グループの人的資本に関する方針の柱として推進してまいります。

 

②具体的な施策と指標及び目標

(注) 当社グループでは、各社がそれぞれの事業環境や人材要件等にあわせて多彩な取り組みを行っており、具体的な施策と指標及び目標については、連結グループ全体としての記載が困難であるため、中核事業会社である㈱テレビ朝日について記載しております。

 

1.ダイバーシティの確保

 ・多様性に富んだ人材構成を実現するため、性別やキャリアを踏まえた戦略的な採用を行うとともに、計画的に実務リーダーや管理職への登用を進め、活躍・貢献の場を拡大していきます。

 ・価値観の多様性を図るためには、他社就業経験のある人材を増やしていくことも必要であると考え、若手層のグループ会社・外部企業への出向等の経験者を増やしていきます。

区分

指標

2024年度

目標値

多様性の確保

女性採用比率

42.0

2023年度以降50.0

女性社員比率

24.7

2030年度30.0

女性管理職比率

21.2

役員をはじめすべての階層において
2030年度30.0

他社就業機会提供

一般社員の他社就業経験者比率

15.8

2030年度25.0

 

(注) 1 女性採用比率は、キャリア採用も含みます。

 2 一般社員の他社就業経験者比率は、入社3年目以降の一般社員を対象としております(現職出向を含む、当社兼務を除く)。

 

2.人材育成

 ・「360°戦略」を推進するため、各部門において必要な人材・能力の特定を行います。その上で、個々の能力や個性を最大限活かし、社員が自律的にキャリアパスを選択できる人事制度を2025年度に確立することを目指します。

 ・管理職や経営層に必要なノウハウ・スキルを習得するための研修を実施し、今後を担うマネジメント人材の強化を図ります。

 ・イノベーション創出のために必要な、新しいジャンルへの挑戦を後押しするため、社内業務では得られない知識や経験を得る機会(リスキリング等)を提供します。

(注)具体的な指標については検討中のため、次期での開示予定で進めております。

 

3.エンゲージメントの向上

 ・従業員の心身の健康を守り、意欲的に働き続けられる職場を維持するため、多様なライフスタイルに合わせた働き方の実現と従業員のWell-beingの向上を目指します。

 ・休暇取得、残業時間削減、テレワーク・DX推進等の働き方改革を一層推進していきます。

 ・育児と仕事を両立できる職場づくりと男性育休促進を図るとともに、復職後のサポートも強化していきます。

 ・2023年度より全社員に対し、定期的なエンゲージメントサーベイを実施し、将来的な課題も抽出します。

区分

指標

2024年度

目標値

多様な働き方の実現とWell-beingの向上

「働きがい」

71.0

2025年度80.0

働き方改革の推進

夏期休暇取得率

96.8

2023年度以降100.0

年平均休暇取得日数

17.5

未設定

月平均残業時間

20.0時間

未設定

育休促進

男性育休取得率

84.6

2025年度100.0

育休復職率

100.0

100.0%を維持

 

(注) 1 「働きがい」は、毎年全社員を対象に実施しているストレスチェックの項目を使用しております。

 2 年平均休暇取得日数は、年次有給休暇だけでなく、特別休暇・子育て休暇等の全ての有給休暇を対象としております。

 3 月平均残業時間は、一般社員のみを対象とし、実働時間から法定労働時間を差し引いた平均値で算出しております。

 

(4) 人権に関する取組み

当社グループは、すべての役職員が人権尊重の重要性をあらためて認識するとともに、今後も公共的使命を果たし、社会から信頼される企業であり続けるために、2024年2月、取締役会の承認を得て「テレビ朝日グループ 人権方針」を策定しました。

この方針に基づき、人権デュー・デリジェンスチームを設置し、人権尊重に関する取組みに注力するとともに、一人ひとりの人権や多様な価値観を尊重し、情報の発信や、コンテンツ、サービスの提供を行ってまいります。

  これまでの主な取組みは以下の通りです。

  ・「ビジネスと人権」勉強会の開催

  ・人権デュー・デリジェンスの実施

  ・人権相談窓口の設置

  ・「人権」をテーマにコンプライアンスハンドブックを作成し、部署ごとの研修を行う

 

 ①人権デュー・デリジェンス

2024年9月、人権デュー・デリジェンスチームが中心となり、当社グループの企業活動における人権リスクを検討するため、株式会社テレビ朝日の全役職員を対象とするアンケートと管理職を中心に部署別ヒアリングを実施し、重要人権リスク領域を特定しました。

  重要な人権リスクは以下の通りです。

  ・構内スタッフ間のパワハラ・セクハラ・マタ/パタハラ、性差別的な扱いや発言

  ・社外スタッフ(派遣・委託社員等)への差別的な発言や対応

  ・社内での長時間/過重労働

  ・コンテンツ内での差別的/非倫理的表現

  ・社外の個人のプライバシーや知的財産権の侵害

  ・委託先(特に制作会社)内部での労働・賃金問題

  ・サプライヤーや出資・提携先の内部での労働問題(強制・過重労働などを含む)

  ・芸能事務所内部での人権侵害(性加害などを含む)

  ・社外(取引先・出演者)や視聴者から自社スタッフへのハラスメント

  ・出演者などへの誹謗中傷

 

 ②対応策

  人権侵害の防止・軽減・救済に向けて以下の対応策の実施を進めています。

  ・グループ会社共通の社外相談窓口の新設

  ・相談窓口の周知徹底

  ・人権に関する研修の実施

 

2025年度も外部のコンサルタント会社に委託した上で、グループ会社を対象として重要な人権リスクの特定を行うとともに、2024年9月に実施した株式会社テレビ朝日の全役職員を対象とするアンケートを改めて行い、特定された重要人権リスクについてモニタリングを行うなど、継続した人権デュー・デリジェンスを実施いたします。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ないは重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性もあるため、当社グループでは、経営及び事業のリスク判断等に必要な情報の共有化に努め、リスクの最小化に取り組んでおります。

 

(1) 事業環境および経営管理体制に関するリスク

当社グループの売上高の多くを占めるテレビ放送事業収入は、日本経済の動向に大きく左右される企業の広告宣伝費に依存しています。景気後退や消費マインドの冷え込みは、広告出稿の抑制を通じて当社の経営成績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。

さらに、当社グループを取り巻く事業環境は急速に変化しており、スマートフォンやタブレット端末の普及、動画配信プラットフォームの台頭などにより、テレビの視聴形態は多様化の一途を辿っています。コンテンツの消費行動の変化や、インターネット広告をはじめとする多様なメディアとの競争激化は、従来のテレビ広告収入の減少圧力となる可能性があります。地上波放送が多様なコンテンツ流通経路の一つとなる中で、テレビ受像機における地上波放送の相対的な地位が低下することも懸念されます。

加えて、テレビ放送事業においては、視聴率が広告枠の販売価格を決定する重要な指標の一つです。そのため、視聴率の低迷は広告収入の減少に直結し、当社の経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、コンテンツ制作費や番組配信にかかるコストが増加する一方で、広告収入が減少した場合、収益性が悪化するリスクがあります。

また、公正・公平な情報、良質なコンテンツの提供により広告収入を得る当社グループの業態は、視聴者、アドバタイザーをはじめステークホルダーからの信用・信頼に大きく依拠しております。このため、コンプライアンス違反や内部統制の不備による、社会的な信用失墜とそれに伴うアドバタイザーの広告出稿控えが急速に進行するというリスクを内在しております。当社グループにおいても、不適切な会計処理、情報漏洩、ハラスメントといったコンプライアンス上の問題や、業務プロセスの脆弱性、情報システムにおけるセキュリティ上の欠陥など内部統制の不備が万が一にも発生した場合、企業イメージの著しい毀損、アドバタイザーからの契約の解除、訴訟や規制当局からの処分等につながり、経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

このような複合的な事業環境の変化と、コンプライアンス及び内部統制に関するリスクの顕在化は、当社グループの売上高の減少、収益性の悪化、ひいては財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対応するため、当社グループは、コンテンツをあらゆるメディアで多角的に展開する「360°戦略」を推進し、収益機会の最大化を図ります。その中核として、株式会社テレビ朝日のビジネスソリューション本部が中心となり、「コンテンツ編成部門」「営業部門」「ビジネス部門」「インターネット部門」が一体となって、ステークホルダーのニーズに応えるコンテンツの制作・提供、データ・テクノロジーの活用、情報発信の強化に取り組んでまいります。

また、これらの施策を推進するための戦略的な投資を継続的に実施するとともに、コンプライアンス体制の強化と内部統制システムの高度化を経営の重要課題と位置づけ、全社的な取り組みを強化してまいります。具体的には、役職員に対するコンプライアンスの周知徹底、内部監査機能の強化、リスク管理体制の整備などを継続し、健全な企業運営に努めてまいります。

 

(2) 設備・投融資に関するリスク

当社グループは、適切な設備投資及び投融資を継続し、技術水準を維持するとともに、企業競争力の強化に向けた戦略的投資を推進し、コンテンツ制作力の増強並びに魅力的なコンテンツの獲得、メディア戦略の強化などを図っております。

こうした設備・投融資が、安定的かつ更なる利益貢献をするよう投融資の規模、性質、態様などに応じてリスクを判断する社内体制を構築しておりますが、かかる投資が期待されるリターンをもたらすという保証はなく、リターンが想定を下回る場合は、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 個人情報の取り扱いに関するリスク

当社グループは、番組出演者、番組観覧者、視聴者のほか、インターネット事業の会員やショッピング事業の顧客などに関する個人情報を保有しております。また、当社は既存の放送という概念のみに固執せず、インターネット技術を取り込み、視聴者・消費者とアドバタイザーのニーズに応えるため、多種多様なデータの活用にも取り組んでおります。

当該個人情報の取り扱いやセキュリティ確保については様々な技術的な対策に加え、コンプライアンス統括室デジタルガバナンス推進事務局を中心に社内ルールの整備やスタッフ教育の実施などを行い情報管理に十分な注意を払っております。

しかし万が一、不正アクセス、不正利用などにより情報の外部流出が発生した場合には、当社の情報・データ管理に対する信用性が低下し、これらを利用・活用する業務の停滞や当社グループへの信頼性が失われることにより、当該事業や取引から得られる当社の収益、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 自然災害等によるリスク

当社グループの主たる事業であるテレビ放送事業では、大規模な災害が発生し、放送の継続が困難な状況となる場合や、CMを入れない災害情報番組を放送する場合があります。また、電力不足への対応から、放送時間を短縮する可能性もあります。さらに、地震、大雨、洪水などの自然災害などにより、事業に必要な設備に被害が発生した場合や社員が被災した場合、予見困難な事象により放送機器に障害が発生した場合、通常の事業継続に影響が出る可能性があります。当社では、災害対策マニュアルや事業継続に向けたシミュレーション、社員安否確認システムの構築、防災訓練、バックアップ体制の強化などの対策を講じておりますが、自然災害等による影響・被害を完全に排除できるものではなく、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 未知の感染症の影響に関するリスク

2020年から2023年にかけての新型コロナウイルス感染症拡大下においては、アドバタイザーからの広告出稿量の減少や開催を予定していたイベント・出資映画の延期・中止などテレビ放送事業やその他の事業収入の減収につながる状況が発生し、感染リスクを避けるためのドラマの撮影中断など、コンテンツの提供継続に影響を与える事態も生じました。

株式会社テレビ朝日では、緊急の対策会議とチームを編成し、予防の徹底はもとより、感染者が発生した場合の拡大防止策などを詳細に策定のうえ、徹底することにより、事業を継続いたしました。

3年余りにわたる新型コロナウイルス感染症拡大下での対応・対策・ノウハウについては、その詳細を記録にまとめ、今後、未知の感染症が発生した場合の対策構築の参考となるよう、当社グループ内で共有・継承しております。また、前述のビジネスソリューション本部を中心に、様々な環境下でコンテンツを提供し事業継続するための対応力強化にも注力しております。

しかし、今後、感染力や致死率がさらに高い未知の感染症が発生した場合、新型コロナウイルス感染症の影響を上回る事業への影響を受ける可能性があります。

 

(6) コンプライアンスに関するリスク

当社グループの主たる事業であるテレビ放送事業は、放送法及び関連法令の法的規制を受けています。当社は、放送法により、認定放送持株会社の認定を受けることで、複数の地上放送局とBS放送局及びCS放送局を子会社として保有することが認められています。今後、認定放送持株会社の資産に関する基準等、放送法で定める基準を満たさなくなった場合には、認定の取り消しを受ける可能性があります。仮に認定の取り消しを受けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

また、当社グループの主たる事業はテレビ放送事業であり、株式会社テレビ朝日、株式会社BS朝日、株式会社シーエス・ワンテンは、当該事業を行うにあたっては「電波法」・「放送法」などの法令による規制を受けております。

これらの事業に関して、法令違反により放送免許が取り消される場合や、免許を受けることができない場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、上記以外にも、事業活動を継続するうえで、様々な法的規制を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起、社会的制裁を受ける可能性があり、この結果、当社グループへの信頼性が失われ、情報発信の信頼性を基礎に放送局・報道機関として活動する、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループでは、内部統制の基本は、「経営トップから従業員に至る法令等ルール順守のための多面的な連携」にあるとの考えに基づき、内部統制の仕組みを構築し、組織・規程などにより権限・責任を明示するとともに、必要に応じて、法務部・コンプライアンス統括室など社内の複数の部門におけるチェックを受け、活動状況を常務会ほかに報告する体制としております。

また、経営トップを統括責任者とし、その指示のもと、コンプライアンスに基礎を置く内部統制に必要な研修・啓蒙活動を推進しております。

以上のような対応を通じて、当社グループ及びその従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めております。

 

(7) 外国人等が取得した株式の取扱等に関するリスク

当社は、放送法で定める外国人等((ⅰ)日本の国籍を有しない人、(ⅱ)外国政府又はその代表者、(ⅲ)外国の法人又は団体、(ⅳ)前記(ⅰ)から(ⅲ)に掲げる者により直接に占められる議決権の割合が総務省令で定める割合以上である法人又は団体)(以下「外国人等」という)の有する当社の議決権について、(ⅰ)から(ⅲ)に掲げる者により直接に占められる議決権の割合とこれらの者により上記(ⅳ)に掲げる者を通じて間接に占められる議決権の割合として総務省で定める割合とを合計した割合が20%以上となる場合には、放送法によって認定放送持株会社の認定が取り消されることとなります。

このため、そうした状態に至るときには、放送法の規定により、外国人等の氏名及び住所を株主名簿に記載し、又は記録することを拒むことができ、また、その議決権行使は制限されることとなります。

 

(8) 気候変動や人的資本をはじめとする環境・サステナビリティ課題に関するリスク

気候変動をはじめとする地球環境問題は、世界的な規模で深刻化しております。日本国内でも異常気象による大規模な自然災害が多発し、気候変動リスクに関連する規制や開示強化に向けた動きもあり、あらゆる企業にとって看過できない問題となっています。

このため、当社では企業としても気候変動課題の解決に向けて行動するため、TCFD提言への賛同を表明するとともに、このフレームワークに沿った分析を行い、気候変動に対するレジリエンスの強化を図っており、この問題へのガバナンスの強化やリスク管理に注力しておりますが、想定以上の規模とスピードで、気候変動リスクが進行した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、人的資本に関しては、前述の「サステナビリティに関する考え方及び取組」の「人的資本への対応」に記載されている通り、ライフスタイルや価値観が多様化する社会において、当社グループの企業使命を果たすために、「ダイバーシティの確保」「人材育成」「エンゲージメントの向上」の3つを柱として、具体的な施策と指標及び目標を策定・実施しております。

しかし、少子高齢化に伴う労働人口の減少等により、人材獲得競争は激化しており、適切な人材の確保や育成が計画通りに進まない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、昨今の社会全体における人権意識の高まりを踏まえ、当社グループとして、すべての役職員が人権尊重の重要性を改めて認識するとともに、今後も公共的使命を果たし、社会から信頼される企業であり続けるために、2024年2月に「テレビ朝日グループ 人権方針」を策定し公表いたしました。2024年4月に人権デュー・デリジェンスチームを発足させ、7月には社内向けと社外向けの人権相談窓口を設置しました。2024年9月に株式会社テレビ朝日の全役職員を対象とするアンケートと部署別のヒアリングを実施しました。これにより重要人権リスク領域を特定し、人権侵害の防止・軽減・救済に向けた対応策を進めております。こうした取組みが不十分である場合には、ステークホルダーの信用失墜等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の日本経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続きました。
 このような経済状況のなか、当連結会計年度の売上高は、スポット収入が好調なテレビ放送事業セグメントや音楽出版事業、イベント事業が好調なその他事業セグメント及びインターネット事業セグメントの増収などにより、3,240億5千6百万円(前期比+5.2%)となり、売上原価、販売費及び一般管理費の合計が3,043億5千2百万円(同+3.0%)となりました結果、営業利益は197億4百万円(同+59.7%)、経常利益は285億3千3百万円(同+43.2%)となりました。また、特別利益において投資有価証券売却益を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、258億1千6百万円(同+50.6%)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

テレビ放送事業

当連結会計年度は、全日視聴率(6時~24時)個人全体が3.5%、世帯が6.4%でともに1位、ゴールデンタイム(19時~22時)個人全体が5.3%、世帯が9.0%でともに1位、プライムタイム(19時~23時)個人全体が5.3%、世帯が9.1%でともに1位、プライム2(23時~25時)個人全体が1.8%、世帯が3.4%でともに2位で終了し、個人全体では、開局以来初の3冠、世帯では、3年連続の3冠となりました。

ゴールデン・プライム帯では、「報道ステーション」が6年連続、「サタデーステーション」が4年連続で同時間帯トップ、10月クールから新たにスタートした「有働Times」でも同時間帯トップを獲得しました。連続ドラマでは、「相棒season23」(平均:個人全体6.0%、世帯10.6%)、「ザ・トラベルナース」(平均:個人全体6.3%、世帯11.2%)などトップ10に4作品が入りました。バラエティー番組では、金曜の「ザワつく!金曜日」、土曜の「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」「池上彰のニュースそうだったのか!!」など週末の番組が高い数字となりました。

スポーツでは、各シーズンで大型スポーツイベントの中継を実施しました。夏に開催された「パリオリンピック」では、「柔道予選・準々決勝(個人全体8.0%、世帯12.8%)」や「サッカー女子準々決勝(個人全体7.3%、世帯12.3%)」などの注目試合を中継し、五輪のプライム帯の中継枠平均で民放トップとなりました。「世界野球プレミア12」では、決勝を含む5試合を放送、全試合平均は個人全体で8.4%を記録し、前回大会を上回る結果となりました。「FIFAワールドカップ2026アジア最終予選」ホーム戦4試合の中継を実施し、W杯出場が決定した「日本×バーレーン」(個人全体14.3%、世帯21.7%)をはじめ、すべての試合で個人全体10%を超える高視聴率となりました。

全日帯では、「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」「大下容子ワイド!スクランブル」の平日午前帯のベルト番組が高視聴率を獲得したほか、24年度に新たにスタートした土曜・日曜の「グッド!モーニング」でも改編前から視聴率を伸ばし、全日帯トップに貢献しました。

以上のような状況のなか、収益の拡大を図るため、積極的な営業活動を展開しました。
 タイム収入は、企業業績の改善や経済環境の緩やかな回復が下支えとなり、レギュラー番組のセールスは増収となりました。また、単発番組につきましても、「パリオリンピック」「世界野球プレミア12」「FIFAワールドカップ2026アジア最終予選」などの大型スポーツ番組のセールスが堅調に推移し、タイム収入合計は797億2千万円(前期比+1.2%)となりました。
 スポット収入は、視聴率が好調に推移したことや市況回復を背景として増収となりました。業種別では、「趣味・スポーツ用品」などが減収となりましたが、「情報・通信」「自動車・関連品」「不動産・住宅設備」「食品」など多くの業種で増収となり、スポット収入は946億2千6百万円(同+7.3%)となりました。
 また、BS・CS収入は262億1千2百万円(同△0.3%)、番組販売収入は海外向けアニメ販売が好調であったことから146億1千5百万円(同+7.0%)、その他収入は216億2千2百万円(同△5.0%)となりました。
 以上により、テレビ放送事業の売上高は2,367億9千8百万円(同+3.1%)、営業費用は2,255億8百万円 (同+0.8%)となりました結果、営業利益は112億8千9百万円(同+89.1%)となりました。

 

インターネット事業

株式会社サイバーエージェントとの共同事業「ABEMA」は、MLBなどのスポーツコンテンツ拡充に加え、5本のオリジナルドラマを制作するなど2,400万WAU(ウイークリーアクティブユーザー)前後で推移、有料の「プレミアム」会員も増えており、無料・有料ともに堅調に推移しました。「ABEMA NEWS」では注目度の高いニュースや記者会見、災害情報などをリアルタイムに配信し、緊急時の重要な「生活インフラ」としても定着してきています。KDDI株式会社との共同事業としてSVOD(定額制動画配信)サービスを提供する「TELASA」は、サービス開始から5周年を迎えました。テレビ朝日の番組との連動コンテンツやオリジナルコンテンツなど積極的に展開しています。大手動画配信プラットフォームとの連携強化や、2025年3月のサービスリニューアルなどにより事業拡大を図り、目標とする200万会員を突破しました。

無料見逃し動画配信サービスを提供する「TVer」は、2024年12月に月間動画再生数が4.9億回、2025年1月に月間ユーザー数が4,120万を記録するなど着実に成長しています。コネクテッドTVでの再生数も大きく増加しており、再生数、視聴時間の増加に伴って業績も順調に伸ばしています。また、連結子会社の株式会社UltraImpressionは、インストリーム広告の配信・分析・収益を最適化するソリューションを提供しており、動画広告市場の成長に伴って順調に業績を伸ばしています。

そのほか個別のコンテンツでは、当社が運営するYouTube公式アカウント「ANNニュースチャンネル」がチャンネル登録者数450万人を突破しました。ニュース配信については、コンテンツの充実を図るとともに、ライブ配信の強化や様々なプラットフォームへの配信など多角的な展開も行っています。また、コアファン事業(特定のファンを囲うWEBサブスクリプション事業)においては、「新日本プロレスワールド」の会員数が引き続き堅調に推移、「アメトーークCLUB」「東映特撮ファンクラブ」は過去最高の会員数を記録し、3事業ともコアファン事業の中核となっています。また「ドラえもんTV」「クレヨンしんちゃんぶりぶりCLUB」など、人気IPの月額見放題動画配信サービスも順調に伸びています。さらに、KDDI株式会社と連携したバラエティー「まいにち大喜利」「まいにち賞レース」をテレ朝公式YouTubeチャンネル「動画、はじめてみました」で展開し、人気コンテンツとして多く視聴されました。縦型ショートドラマの配信など、新しいジャンルのコンテンツ制作・配信も進めています。

以上により、インターネット事業の売上高は318億4千万円(前期比+10.7%)、営業費用は281億4千1百万円(同+6.2%)となりました結果、営業利益は36億9千8百万円(同+62.7%)となりました。

 

ショッピング事業

レギュラー番組の「じゅん散歩」ならびに「午後もじゅん散歩」が好調に推移し増収となりました。商品面では「防災関連商品」や「宝飾品」の販売が好調だったほか、前期に引き続き著名スポーツ選手のサイン入り記念商品(メモラビリア)が好評でした。

以上により、ショッピング事業の売上高は202億2千3百万円(前期比+1.1%)、営業費用は187億1千7百万円(同+0.8%)となりました結果、営業利益は15億5百万円(同+5.0%)となりました。

 

その他事業

音楽出版事業は所属アーティストの「ケツメイシ」がコンサートツアーを実施したことなどにより好調に推移しました。

イベント事業では、テレビ朝日開局65周年イベントとして、初開催となる「MUCA展」「The Performance」「EIGHT-JAM FES」「反田恭平日本ツアー2024」に加え、恒例の「徹子の部屋クラシック」や武道館で行った「徹子の部屋コンサート」、さらに過去最大となる5日間で開催した「テレビ朝日ドリームフェスティバル2024」といった、開局65周年を飾るに相応しい7つの大型イベントを企画・実施し、約25万人を動員するなど、ビジネス面でも大きく寄与しました。また、今回で3回目の開催となった羽生結弦さんの単独公演「Yuzuru Hanyu ICE STORY 3rd 『Echoes of Life』」や番組連動として人気を博している「高嶋ちさ子のザワつく!音楽会 2024全国ツアー」「高嶋ちさ子のザワつく!昭和歌謡祭 2024」も好調でした。そして「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION」では、番組と連動したアトラクションやグルメ企画、音楽ライブを37日間にわたって開催し、記録的な猛暑中でも多数の来場客でにぎわいました。

機器販売・リース事業では、映像機器レンタルなどがイベント、コンサート関連の回復傾向を受けて好調に推移しました。

DVD販売は、人気シリーズ「相棒」や話題作「おっさんずラブ-リターンズ-」「Believe-君にかける橋-」など、様々なタイトルをリリースしました。

出資映画事業では、アニメ作品は2024年4月に公開した「ブルーロック-EPISODE凪-」が興行収入18億1千万円、8月公開の「映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記」がシリーズ最高となる興行収入26億9千万円を記録し、2025年3月公開の「映画ドラえもん のび太の絵世界物語」も3月31日時点で30億円を超える興行収入となっております。実写作品は、2024年12月に公開したドラマ連動作品「劇場版ドクターX」が、32億6千万円を超える興行収入となりました。

以上により、その他事業の売上高は508億5千7百万円(前期比+13.8%)、営業費用は476億1千4百万円(同+13.6%)となりました結果、営業利益は32億4千2百万円(同+17.0%)となりました。

 

  報告セグメントごとの経営成績の状況は、次のとおりであります。

                (単位:百万円、%表示は対前期増減率)

 

売上高

前連結会計年度

当連結会計年度

テレビ放送事業

229,626

236,798

3.1

インターネット事業

28,761

31,840

10.7

ショッピング事業

20,003

20,223

1.1

その他事業

44,683

50,857

13.8

調整額

△15,175

△15,662

合計

307,898

324,056

5.2

 

 

                (単位:百万円、%表示は対前期増減率)

 

セグメント利益

前連結会計年度

当連結会計年度

テレビ放送事業

5,971

11,289

89.1

インターネット事業

2,272

3,698

62.7

ショッピング事業

1,434

1,505

5.0

その他事業

2,771

3,242

17.0

調整額

△112

△31

合計

12,337

19,704

59.7

 

 

 

当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。

資産の部

流動資産は1,769億4千1百万円で、前連結会計年度末に比べ16億4千1百万円の増加となりました。これは、現金及び預金が93億6千万円減少したものの、受取手形及び売掛金が66億2百万円、未収金などの増加により「その他」が25億7百万円、有価証券が20億8千3百万円増加したことなどによります。

固定資産は3,826億1千6百万円で、前連結会計年度末に比べ374億8千4百万円の増加となりました。これは、建設仮勘定が273億5千7百万円、投資有価証券が70億2千1百万円増加したことなどによります。

以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ391億2千5百万円増加し、5,595億5千8百万円となりました。

 

 

負債の部

流動負債は828億5千8百万円で、前連結会計年度末に比べ146億4千9百万円の増加となりました。これは、未払法人税等が55億3千1百万円、未払消費税等などの増加により「その他」が31億4千8百万円増加したことなどによります。

固定負債は288億5千7百万円で、前連結会計年度末に比べ2億1千1百万円の増加となりました。

以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ148億6千万円増加し、1,117億1千5百万円となりました。

 

純資産の部

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ242億6千4百万円増加し、4,478億4千2百万円となりました。これは、利益剰余金が194億5千1百万円、退職給付に係る調整累計額が19億8千万円、その他有価証券評価差額金が19億7千8百万円増加したことなどによります。この結果、自己資本比率は79.6%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ129億8千9百万円減少し、397億6千3百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、265億2千万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入額が74億1千3百万円増加しました。これは、売上債権の増減額が43億6千9百万円減少したものの、税金等調整前当期純利益が118億3千6百万円増加したことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、325億4百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が107億9千6百万円増加しました。これは、有価証券の償還による収入が439億円増加、投資有価証券の取得による支出が71億7千2百万円減少したものの、有価証券の取得による支出が479億6千6百万円、有形固定資産の取得による支出が171億5千万円増加したことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、71億1千9百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出額が13億円増加しました。これは、配当金の支払額が10億5千8百万円増加したことなどによるものです。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

テレビ放送事業

 

 

 タイム収入

79,720

1.2

 スポット収入

94,626

7.3

 番組販売収入

14,615

7.0

 BS・CS収入

26,212

△0.3

 その他収入

21,622

△5.0

小計

236,798

3.1

インターネット事業

31,840

10.7

ショッピング事業

20,223

1.1

その他事業

50,857

13.8

339,718

5.2

セグメント間取引消去

△15,662

合計

324,056

5.2

 

(注) 主な相手先別の売上実績及びそれぞれの総売上高に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱電通

85,667

27.82

89,058

27.48

㈱博報堂DY

メディアパートナーズ

54,020

17.54

56,385

17.40

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(単位:百万円、%表示は対前期増減率)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比増減

増減率

売上高

307,898

324,056

16,157

5.2

営業利益

12,337

19,704

7,366

59.7

経常利益

19,919

28,533

8,613

43.2

親会社株主に帰属する当期純利益

17,138

25,816

8,678

50.6

 

 

(売上高及び営業利益)

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

 

(経常利益)

営業外収益は91億5千5百万円で、前連結会計年度に比べ12億5千4百万円の増加となりました。これは、持分法による投資利益が増加したことなどによります。営業外費用は3億2千6百万円で、前連結会計年度に比べ7百万円の増加となりました。

以上の結果、経常利益は285億3千3百万円(前期比+43.2%)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益は81億7千4百万円で、前連結会計年度に比べ32億1千7百万円の増加となりました。投資有価証券売却益を81億7千4百万円計上しております。特別損失は4億8千7百万円で、前連結会計年度に比べ4百万円の減少となりました。投資有価証券評価損を4億8千7百万円計上しております。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は258億1千6百万円(前期比+50.6%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

資本の財源として当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高が、総資産の7.1%を占める397億6千3百万円となりました。当社グループでは、主に営業活動から得た資金及び内部留保による自己資金を財源とし、コンテンツ力強化に向けた投資や設備投資、さらなる成長のための戦略投資などを行っております。なお、当社はグループ会社の資金調達及び資金運用を効率的に行うため、キャッシュ・マネジメント・システムを活用し、一括した管理を行っております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性の見込めない部分を評価性引当額として繰延税金資産から控除しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、市場の動向や経済環境の変化などにより見積りの前提条件や仮定に変更が生じた場合、課税所得の見積りが大きく変動し、繰延税金資産の取崩しなど税金費用の計上額に影響を及ぼす可能性があります。

 

(退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用)

当社グループは、退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。経済環境や金融市場の変化等により実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される退職給付費用や計上される退職給付に係る資産、退職給付に係る負債に影響を及ぼします。

 

5 【重要な契約等】

(相互保有株式の取扱いに関する契約)

1.契約の概要

当社は、2013年12月3日、株式会社朝日新聞社(以下、同社)(東京都中央区築地五丁目3番2号)との間で「相互保有株式の取り扱いに関する協定書」を締結いたしました。

同協定書においては、①同社及びその子会社は、当社株式を、当社との事業提携期間中は、当社の事前の承諾なく譲渡その他の処分をしないこと、②同社及びその子会社は、当社との事業提携期間中は、当社の事前の承諾なく当社株式を取得しないこと、及び③同社及びその子会社が保有する当社株式にかかる議決権個数が当社の総株主の議決権の4分の1(以下、支配可能議決権数)以上となるおそれが生じる場合には、同社と当社は、同社及びその子会社が保有する当社株式にかかる議決権個数が支配可能議決権数未満となるような措置をとることができるよう相互に協力することなどについて合意しております。

2.当該合意の目的

当社と同社は、2008年6月6日、厳しさを増すメディア間競争を勝ち抜くため、朝日グループとしての連携を強力に推し進める新しい提携の枠組みに合意し、事業提携のための覚書を締結いたしました。この事業提携の基礎として、両社で株式を持ち合う体制とすることにも合意し、当社は、同社の株式380,000株を取得いたしました。

このように、当社と同社が株式を相互に保有し合うことになったことに伴い、当社と同社は、2008年6月6日、「相互保有株式の取り扱いに関する協定書」(以下、旧協定書)を締結し、事業提携期間中は、同社が当社株式を処分するには、当社の事前の承諾を要するものとすることにより、この事業提携の基盤を維持すると共に、同社及びその子会社が保有する当社株式にかかる議決権個数を支配可能議決権数未満に維持することで、当社が同社株式について議決権を行使することができるようにいたしました。現在有効な協定書は、当社が認定放送持株会社に移行する際に旧協定書を締結し直したものです。

なお、事業提携の枠組み、株式の相互保有、及び相互保有の株式の取り扱いに関する協定の概要は、2008年6月に東京証券取引所を通じて適時開示の形で対外公表しております。

3.取締役会における検討状況その他の当該提出会社における合意に係る意思決定に至る過程

当社取締役会では、同社との事業提携により生じたシナジーを踏まえ、その基礎として株式の相互保有を継続すること、及び相互保有の株式の取扱いについて合意することを決定いたしました。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、公共の電波を活用して視聴者に有用な放送サービスを着実に提供するとともに、益々多様化する視聴者ニーズにお応えするため、放送と通信の融合に関わる幅広い技術の開発に取り組んでおります。当社グループにおいて、研究開発活動は、子会社である㈱テレビ朝日が行っており、テレビ放送事業及びインターネット事業における主な研究開発活動は、下記のとおりであります。

 

(1)ビッグデータを解析・利活用するための技術の開発

(2)AR/VRなど新たなエンタテインメントやアートに関わる技術の開発

・デジタルとアートを融合させた「インスタレーションアート」に関する開発

・メタバース空間と現実世界の融合による体験価値向上に向けた研究

・イベント体験価値向上に向けたARコンテンツ開発

(3)インターネット配信やクラウドを利用したコンテンツ制作に関する研究

・インターネット回線を利用した映像音声の伝送技術検証

・クラウド上での放送制作を行うための技術検証

・MediaOverIPに関する基礎研究と検証 等

(4)AIや映像・音声認識技術を活用したコンテンツ制作技術の開発

・AIによる自律会話を搭載したデジタルヒューマンやロボットの開発

・AIと画像認識技術を組み合わせたCG合成技術の検証

・生成AIを用いて番組テロップ送出を省力化する開発

・社内データと連携して業務を効率化するAIエージェントの開発

 

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は245百万円であります。