第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、企業理念を以下のとおり定めています。また、企業理念に謳われた使命を果たし、持続的な成長を遂げるために、社員一人ひとりが持つべき考え方、価値観、行動規範をKDDIフィロソフィとして定め、心をひとつにしてこれらを共有し実践していくことに努めております。

 

■企業理念

 KDDIグループは、全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します。

 

 

(1)中長期的な会社の経営戦略

 世の中を取り巻く環境は大きな変革期にあり、5G(第5世代移動通信システム)/IoT、AI・ビッグデータをはじめとした技術の進展により本格的なデジタル化が進み、データにさらなる価値を見出す「データ駆動型社会」へと変容しています。また、政府は、これら先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会課題の解決を両立していくSociety 5.0の実現を目指しています。こうした中、通信業界においては、新規通信事業者の参入や競争の促進によって、サービス・料金プランが多様化するとともに、通信・インターネットの活用で全ての産業が変革するデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」)の進展など事業環境が大きく変化しています。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行により、あらゆる領域で急速なデジタルシフトが進んだことで、通信の果たす役割もますます重要になっています。

 このような事業環境の変化に迅速に対応しながら持続的な成長を実現し、企業理念に掲げる「豊かなコ

ミュニケーション社会の発展」に貢献するため、以下のとおり中期経営計画(2019-21年度)を策定してい

ます。

 

<中期経営計画(2019-21年度)>

■ブランドメッセージ

Tomorrow, Together KDDI / おもしろいほうの未来へ。au

■目指す姿

  ①お客さまに一番身近に感じてもらえる会社

  ②ワクワクを提案し続ける会社

  ③社会の持続的な成長に貢献する会社

■事業戦略

  通信を中心に周辺ビジネスを拡大する「通信とライフデザインの融合」を核として、7つの事業戦略に沿って、持続的な成長を実現していきます。

■財務目標

0102010_001.png

  営業利益については、持続的な成長を目指し、EPS※については、2024年度1.5倍(2018年度比)の実現を目指します。

  株主還元については、安定的な配当を継続し、連結配当性向は従来の35%超から40%超へ、成長投資とのバランスにより機動的な自己株式の取得・活用・消却を行います。

※ 「Earnings Per Share」の略で、1株当たり当期利益。

■経営基盤強化

  財務面における収益性や効率性等の改善に取り組むとともに、人財ファースト企業への変革などを通じて、企業価値最大化を目指します。

 

 

(2)優先的に対処すべき課題

■事業戦略

  7つの事業戦略に沿って、持続的な成長に向けた取り組みを以下のとおり進めてまいります。

 

①5G時代に向けたイノベーションの創出

  次世代の社会基盤インフラとなる5Gを積極的に展開し、さまざまなパートナー企業との共創によるビジネス開発、スタートアップ企業の斬新なアイデアや先進的なテクノロジーを取り入れたオープンイノベーションによって、新たな体験価値を創造するとともに、5Gを地方創生事業でも積極的に活用していきます。

 

②通信とライフデザインの融合

  個人のお客さま向け事業(コンシューマビジネス)では、グループ全体でお客さまとのエンゲージメントを高め、ライフタイムバリュー(グループお客さま数(グループID)×エンゲージメント×総合ARPU)を最大化するとともに、当社の事業基盤である通信を中心に新たなライフデザイン領域に積極的に取り組むことで、事業の持続的成長を図っていきます。法人のお客さま向け事業(法人ビジネス)では、お客さまのDXをサポートし、国内外のお客さま企業の「通信とライフデザインの融合」を実現していくことで、お客さまと共に持続的成長を目指していきます。

 

③グローバル事業のさらなる拡大

  個人のお客さま向け事業では、国内で培った知見・ノウハウを海外のコンシューマビジネスに活用し、アジア域での市場拡大を目指していきます。また、法人のお客さま向け事業では、IoT世界基盤やデータセンター事業を軸に、グローバル・国内一体化でのグローバルICT事業のさらなる拡大を図っていきます。

 

④ビッグデータの活用

  データの活用によって、お客さまを徹底的に理解し、お客さま視点に立った「心地よい提案」を通じた体験価値の最大化を図っていきます。また、今後5G/IoTによって、モノのデジタル化・ネットワーク化が急速に拡大することから、さまざまな産業におけるビッグデータを用いることでお客さま企業のDXを推進していきます。

 

⑤金融事業の拡大

  生活の中心となったスマートフォンを通じ、お客さまの日常生活における決済・金融サービスをより身近に、スマホ・セントリック(中心)な金融体験を提案することで、エンゲージメント強化と利益成長を目指していきます。

 

⑥グループとしての成長

  当社のアセットを最大限活用し、グループ会社の成長を支援することで、相互シナジーの最大化とグループ全体での新たな成長基盤の拡大・強化を目指していきます。

 

⑦サステナビリティ

  当社が、これからも事業を通じてさまざまな社会課題の解決に取り組み続けるという決意をこめて、2030年を見据えたKDDIのSDGs「KDDI Sustainable Action」を策定しています。5GやIoTなどを活用しながら、「命をつなぐ」、「暮らしをつなぐ」、「心をつなぐ」で、パートナーとともに事業を通じて社会課題の解決に貢献し、社会とともに持続的な成長とさらなる企業価値の向上を目指していきます。

 

■経営基盤強化

  <財務面における収益性や効率性等の改善>

・「売上を最大に、経費を最小に」という基本的な考え方を通じて、事業戦略の実行による成長と事業構造改革(収益性改善)への取り組みを強化していきます。

・CCC改善、設備投資コントロール、債権流動化などバランスシートを意識した取り組みを強化しキャッシュ・フロー向上を目指していきます。

<人財ファースト企業への変革>

・社内の変革や他社との新規ビジネス創造に対応するスキルを持つ人財の育成をはじめ、市場価値の高い専門性を磨く制度や、自律的なキャリア形成を支援していきます。

・「真のダイバーシティ経営」を目指し、グループ全体で若手育成強化、女性・エルダー社員活躍推進にも取り組んでいきます。

・社員の心身の「健康」を重要な経営課題と捉え、社員の健康保持・増進の積極的支援など、社員一人ひとりの健康を組織で支える健康経営を推進していきます。

 

    ■新型コロナウイルス感染症への対応

  当社は、会社の目指す姿に「社会の持続的な成長に貢献する」ことを掲げ、2030年へ向けた目標、「KDDI Sustainable Action」を策定しております。この目標に基づき、ライフラインを支える企業として重点的に取り組む、「新型コロナウイルス感染症対応基本方針」を定め、さまざまな取り組みを実施しており、引き続き事業を通じて社会と生活の安定に貢献してまいります。

 

<新型コロナウイルス感染症対応基本方針>

お客さまおよび当社・関係各社の従業員の安全を最優先に確保します。

 

増加する通信トラフィックに対応し、社会の基盤・ライフラインである通信サービスを維持します。

 

政府・自治体・公共団体などの取り組みに積極的に協力します。

 

テレワーク・オンライン教育・遠隔医療など、個人・法人のお客さまのDXを推進し環境変化に強いレジリエントな社会基盤の構築に貢献します。

 

生活の不安・困難を減らし心を満たせるようなお客さま体験を提案します。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

また、現時点では必ずしもリスクとして認識されない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。

当社は、リスクマネジメント活動を一元的に推進する体制を整えています。また、グループ全体の持続的な成長を実現するため、当社のみならず子会社などを含むグループ全体でのリスクマネジメントの推進に取り組んでいます。当社は、会社の危機を未然に防ぐためには、その予兆を把握し、事態が悪化する前に対策を講じることが重要という認識のもと、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを構築しています。また、リスクの発見時には迅速かつ適切な対応がとれる危機管理体制を整備しています。当社は、これらのリスクによる問題発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適時適切な対応に努める所存であります。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありませんのでご留意ください。

 

(1)他の事業者や他の技術との競争、市場や事業環境の急激な変化

近年、5G/IoT、AI・ビッグデータなどの技術の進展により本格的なデジタル化が進み、データにさらなる価値を見出す「データ駆動型社会」へと変容しています。これらの技術の浸透により、あらゆる産業においてデジタルトランスフォーメーション(以下 DX)の動きが加速するとともに、経済発展と社会課題の解決を両立する「Society 5.0 for SDGs」の実現に期待が持たれています。また、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、生活や産業のあらゆる場面に「ニューノーマル(新常態)」が浸透し、感染症拡大防止と経済成長の両立を支えるレジリエントな社会基盤構築に向けたDXの加速が求められています。

このような状況の下、当社グループは、中期経営計画(2019-21年度)に掲げた通信を中心とした周辺ビジネスを拡大する「通信とライフデザインの融合」を核とした7つの事業戦略に沿って、持続的な成長を実現してまいります。

なお、他の事業者や他の技術との競争、市場や事業環境の急激な変化により、主に以下の事項に不確実性が存在し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

・当社グループの期待通りの需要が存在するかどうか

・当社グループの期待通りに契約数を維持拡大できるかどうか

・人口減少、高齢化に伴い期待通りの収入をあげられるかどうか

・新規事業への参入等により期待通りの収入をあげられるかどうか

・競争激化に伴う料金値下げによる通信料収入の低下、販売コミッションやお客さま維持コストの増大

・契約者のサービス利用頻度が下がることによる通信料収入の低下

・不測の事態が発生した場合であってもネットワーク及びコンテンツの品質等がお客さまの満足度を維持できるかどうか

・他の事業者と比較して、常により魅力のある端末やコンテンツ等の商品、サービスを提供できるかどうか

・物販事業拡大に伴う商品不具合への対応

・端末の高機能化等に伴う端末価格の上昇販売コミッションの増加

・迷惑メール、主にスマートフォンのセキュリティ脆弱性がもたらす脅威によるお客さま満足度の低下や防止対応コストの増加

・新周波数対応による基地局建設やデータトラフィック急増に伴うネットワークコストの増加

・当社の必要に応じた周波数を獲得できるかどうか

・新たな高速データ無線技術による競争激化

・通信方式、端末、ネットワーク、ソフトウェア等における特定技術への依存による影響

・無料通話アプリ等の拡大に伴う音声通話料収入の縮小

・他の電気通信事業者との接続料金値上げの可能性

・異業種との提携、通信と電力等のその他商品とのセット販売、MNO、MVNO事業者の新規参入、他事業者の事業領域の拡大等の事業環境の変化に伴う競争の激化

・金融事業における競争において期待通りの収入を上げられるかどうか

・金融事業の市況変動及び債務者の信用状況の悪化により、不良債権の増加や担保不動産価値の減少が生じることによる貸倒引当金の追加計上

・エネルギー事業における電力卸市場価格高騰等による調達コストの増加

(2)通信の秘密及び顧客情報(個人情報・法人情報)の保護

当社は電気通信事業者として通信の秘密の保護を遵守するとともに、取り扱う情報資産の保護、管理に関して、情報セキュリティ委員会を設置して内部からの情報漏洩防止、及び外部ネットワークからの不正侵入の防止に関わる全社的対応策の策定及びGDPR等グローバル法制度の対応を実施しております。

また、「KDDI行動指針」の制定、「KDDIセキュリティポリシー」及び「KDDIプライバシーポリシー」の制定、企業倫理委員会の設置等、KDDIグループとしてコンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。

さらに、顧客情報を管理している顧客情報システムの利用権限の管理、利用監視の強化、アクセスログの保存、社内データの持ち出しや業務パソコンから外部メモリーへのコピーの禁止等、技術的、組織的、人的の観点から各種安全管理措置を強化しております。

これらの啓発活動として、当社全社員に対しては継続的に通信の秘密及び顧客情報の保護に関する教育を行い、また、業務委託先、特に販売店であるauショップに対しても、店舗業務の改善、監査、並びに教育を徹底し、管理強化を図っております。

加えて、昨今は情報漏洩に限らず、顧客情報の取り扱いについて関心が高まっております。適正な顧客情報の取り扱いを行うために、社内組織の整備、第三者による評価の実施、サービス導入前のプライバシー影響評価(PIA)の導入等の対応を実施しております。

なお、情報の漏洩等が発生した場合、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜、莫大な補償・課徴金を伴う可能性があります。また、将来的に通信の秘密及び顧客情報保護体制の整備のため、更なるコストが増加する可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)自然災害・事故等

当社グループは音声通信、データ通信等のサービスを提供するために、国内外の通信ネットワークシステム及び通信機器等に依存しております。当社グループは気候変動等がもたらす大規模自然災害・事故等によるサービスの停止、中断等のリスクを可能な限り低減するため、ネットワークの信頼性向上とサービス停止の防止対策に取り組んでおります。具体的には災害時においても通信サービスを確保できるよう、防災業務実施の方針を定め、災害に備えた対策を図り、国内外の関係機関と密接な連絡調整を行っています。災害が発生した場合には、各社組織の各機能を最大限に発揮して24時間365日、通信の疎通確保と施設の早期復旧に努めております。

なお、ネットワークシステムや通信機器の障害などによるサービスの停止や大規模な誤請求・誤課金、販売代理店の閉鎖や物流の停止に伴う商品・サービスの提供機会損失、SNSなどの媒体を通じた風評被害等が発生した場合、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜、顧客満足度の低下により経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

長期化が想定される新型コロナウイルス感染症の影響に対して、当社グループは「新型コロナウイルス感染症対応基本方針」を定め、各国政府、自治体、公共団体の取り組みに対し積極的に協力などを行い、事業活動を進めておりますが、auショップ/au Styleの営業時間短縮による新規獲得、在宅でのWi-Fi利用増によるモバイルデータ通信、ライフデザイン事業や企業向けのソリューションサービス等への影響が懸念され、今後の事業活動及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社連結子会社であるKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.は、ミャンマー運輸通信省傘下組織であるミャンマー国営郵便・電気通信事業体と共同で電気通信サービスを営んでおりますが、2021年2月に発生した政変によって事業活動が制限されるなどした場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループのサービスの提供が停止する主な事由として以下のものが考えられます。

・地震及び津波、台風、洪水等の自然災害やそれに伴う有害物質の飛散等の2次災害

・感染症の世界的流行(パンデミック)

・戦争、テロ、事故その他不測の事態

・電力不足、停電

・コンピューターウィルス、サイバーアタック、ハッキング

・オペレーションシステムのハード、ソフトの不具合

・通信機器等の製品やサービスに係る欠陥

 

(4)電気通信等に関する法規制、政策決定等

電気通信をはじめ、電気事業や金融事業等に関する法律、規制の改廃または政策決定等が、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループのブランドイメージや信頼性に影響を与える社会的問題を含め、こうした法規制や政策決定等に対して当社グループは適切に対応していると考えておりますが、将来において適切な対応ができなかった場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、今後の競争政策の在り方について、総務省等における様々な審議会や研究会や意見募集等を通じて、他の電気通信事業者等との公正競争を有効に機能させるための措置の必要性を訴えておりますが、この取り組みに関わらず結果として当社の競争優位性が相対的に損なわれた場合にも、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

電気通信等に関する法律、規制の改廃または政策決定や当社グループの競争優位性等の観点で、以下の電気通信をはじめ、電気事業や金融事業等の政策決定等に限らず、不確実性が存在しています。

 

・事業者間接続料金の算定方式、会計制度の見直し

・指定電気通信設備制度、禁止行為規制の見直し

・ユニバーサルサービス制度の見直し

・電話リレーサービス制度の見直し

・MNO、MVNO等による移動通信事業への新規事業者参入

・周波数割当て制度の見直し

・電波利用料制度の見直し

・電波の健康への影響に関する規制

・NTT東・西の固定電話網のIP網への移行に関するルール

・NTT東・西、NTTグループの事業の在り方に関する規制

・独占禁止法及びそれに関するルール

・消費者保護に関するルール

・有害サイト等の増加等によるインターネットに対する規制

・電気通信サービスの利用に対する規制

・電気通信サービスの料金その他の提供条件に関するルール

・インターネットのサービス品質計測及び広告表示に関するルール

・電気小売に関するルール

・金融事業に関するルール

・パーソナルデータの利活用に関するルール

・プラットフォーマーに関する規制

 

(5)公的規制

当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障、さまざまな政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止法、特許、消費者、租税、為替、環境、労働、金融、電力等の法規制の適用を受けております。当社グループはこれらの法規制に係る情報を早期に収集し、必要な手続・対応を行っております。なお、これらの規制が強化された場合や当社グループ及び業務委託先等において規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限され、コストの増加につながる可能性があります。

 

(6)訴訟・特許

当社グループは、国内外で事業活動を行っており、その遂行に当たっては、各国の法令その他社会規範を遵守し、公正で健全な企業活動を行っております。また、保有する商品、技術またはサービスに係る知的財産権を保護するとともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めています。なお、予期せぬ知的財産権を含む各種権利等の侵害を理由とする訴訟が提訴され、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)人材の確保・育成・労務管理

当社グループは、技術革新に即応すべく全社をあげて人材育成、キャリア形成の支援に注力しておりますが、期待通りの効果が出るまで一定の期間を要することがあり、将来的に人材投資コストが増加する可能性があります。また、当社グループは法令に基づき適正な労務管理、働き方改革の推進に努めております。なお、将来において適切な対応ができなかった場合には、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜により、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)退職給付関係

当社グループは、確定給付企業年金制度(基金型)、退職一時金制度(社内積立)ならびに確定拠出年金制度を設けております。定期的に退職給付債務の将来予測に基づく資産運用方針、運用機関の見直しを行っております。なお、今後当社グループの年金資産の運用利回り低下により年金資産の時価が下落した場合、または、退職給付債務を計算する上での前提条件(割引率、人員構成、昇給率等)が大幅に変更になった場合に損失が発生する可能性があります。

 

(9)減損会計

当社グループは、当連結会計年度において、一部の資産については、収益性の低下に伴い将来の投資額の回収が見込めなくなったため、減損損失を計上しております。IFRSに準拠して減損の兆候の判定や減損テスト等を行い適切な処理を行っております。なお、将来において各種事業収支が悪化した場合、また保有する固定資産等の使用状況等によっては、さらに損失が発生する可能性があります。

 

(10)電気通信業界の再編及び当社グループの事業再編

当社グループは、市場環境の変化に対して、事業戦略の着実な推進や必要に応じて事業再編を行っておりますが、国内外の電気通信業界の再編が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

業界動向と当社の状況

近年、5G/IoT、AI・ビッグデータなどの技術の進展により本格的なデジタル化が進み、データにさらなる価値を見出す「データ駆動型社会」へと変容しています。これらの技術の浸透により、あらゆる産業においてデジタルトランスフォーメーション(以下 DX)の動きが加速するとともに、経済発展と社会課題の解決を両立する「Society 5.0(※1)for SDGs(※2)」の実現に期待が持たれています。また、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、生活や産業のあらゆる場面に「ニューノーマル(新常態)」が浸透し、感染症拡大防止と経済成長の両立を支えるレジリエントな社会基盤構築に向けたDXの加速が求められています。

 

こうした中、当社は昨年3月、第5世代移動通信サービス「au 5G」の提供を開始しました。

個人のお客さまには、「みんなの5G」をコンセプトに、より多くのお客さまに5Gをご利用いただけるよう、さまざまな業界のパートナー企業とともに、「ニューノーマル」におけるエンターテインメント、スポーツ、アートなどの新しい楽しみ方をご提案していきます。また、データ通信が使い放題(※3)となるauのスマートフォン向け新料金プラン「使い放題MAX 5G」「使い放題MAX 4G」、シンプルでおトクなUQ mobileの新料金プラン「くりこしプラン」、トッピングで自由に選べる新料金ブランド「povo」など、家族でも一人でも多様なニーズや生活スタイルに寄り添った、「わかりやすく」・「シンプル」・「選べる」、料金プランの提供を本年2月より順次開始しました。

法人のお客さまにおかれましては、さまざまな業界、利用シーンで企業のDXが加速し、ビジネスモデル自体が大きく変化しています。お客さまのDXを支援する5G/IoT時代のビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」及び2030年を見据えた新たなライフスタイルを提案する調査・応用研究拠点「KDDI research atelier (リサーチ アトリエ)」において、さまざまなパートナー企業とともに5G時代ならではの新しい体験価値とビジネスの創造を進めるとともに、環境変化に強いレジリエントな基盤構築に貢献していきます。

昨年8月には、KDDI総合研究所とともに、ニューノーマル時代のレジリエントな未来社会構築を目指した「KDDI Accelerate 5.0」を策定しました。5Gネットワークをはじめとしたネットワークレイヤのみならず、プラットフォームレイヤ・ビジネスレイヤの進化、それを支える7つの分野のテクノロジー(※4)とオーケストレーション技術(※5)を駆使し、政府が推進する「Society 5.0」の実現を加速していきます。

 

当社は、SDGsの達成に向け、全社でサステナビリティ活動を推進しています。これからも事業を通じてさまざまな社会課題の解決に取り組み続ける決意をこめて、昨年5月に2030年を見据えた「KDDI Sustainable Action」を新たに策定しました。2050年までにCO2排出量実質ゼロの実現に向けた取り組みを推進するとともに、5GやIoTなどを活用しながら、「命をつなぐ」、「暮らしをつなぐ」、「心をつなぐ」で、社会の持続的な成長に貢献していきます。

また、「KDDI Sustainable Action」の考え方に基づき、5つの方針を軸とした「新型コロナウイルス感染症対応に関するKDDIの基本方針」を発表しました。社会の基盤・ライフラインである通信サービスを維持するとともに、政府・自治体・公共団体などの取り組みに積極的に協力するなど、今後もグループの力を結集し、皆さまの生活や産業を支え続ける社会的使命に応えていきます。

 

※1 日本の中長期的な成長戦略の一つで、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより目指すべき人間中心の社会のこと。

※2 「Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)」の略で、2015年9月に国連サミットで採択された国際目標。

※3 テザリング・データシェア・国際ローミング通信 (世界データ定額) をご利用の場合、「使い放題MAX 5G」「使い放題MAX 4G」は30GB/月の上限があります。大量のデータ通信のご利用時、混雑時間帯の通信速度を制限する場合があります。動画などの視聴時には通信速度を制限します。

※4 「ネットワーク」、「セキュリティ」、「IoT」、「プラットフォーム」、「AI」、「XR」、「ロボティクス」のこと。

※5 複数のシステム間で情報やデータが自動的に流れ、これらの情報やデータを複数のシステムで使う仕組みのこと。

連結業績

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

2020年3月期

自 2019年4月1日

至 2020年3月31日

2021年3月期

自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

比較増減

 

増減率

(%)

 

 

売上高

 

5,237,221

5,312,599

75,379

1.4

 

 

売上原価

 

2,925,000

2,928,175

3,175

0.1

 

売上総利益

 

2,312,221

2,384,424

72,204

3.1

 

 

販売費及び一般管理費

 

1,299,504

1,364,234

64,730

5.0

 

 

その他の損益(△損失)

 

9,264

12,322

3,058

33.0

 

 

持分法による投資利益

 

3,256

4,884

1,627

50.0

 

営業利益

 

1,025,237

1,037,395

12,158

1.2

 

 

金融損益(△損失)

 

△6,049

△1,772

4,277

 

 

その他の営業外損益(△損失)

 

1,512

2,433

922

61.0

 

税引前当期利益

 

1,020,699

1,038,056

17,357

1.7

 

 

法人所得税費用

 

325,298

331,451

6,152

1.9

 

当期利益

 

695,401

706,605

11,205

1.6

 

 

親会社の所有者

 

639,767

651,496

11,729

1.8

 

 

非支配持分

 

55,634

55,109

△524

△0.9

当期の売上高は、前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、モバイル通信料収入(ローミング収入等含む)やソリューション収入の増加等により、5,312,599百万円1.4%増)となりました。

営業利益は、前期と比較し、売上高の増加等により、1,037,395百万円1.2%増)となりました。

親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増加等により、651,496百万円1.8%増)となりました。

 

当社を取り巻く事業環境において、新型コロナウイルス感染症による影響が生じておりますが、事業戦略の推進及び経営基盤の強化に引き続き取り組んできており、当期における業績においては重要な影響を与えておりません。また、ミャンマー連邦共和国での2021年2月に発生した政変の影響につきましては、当期業績において重要な影響を与えておりませんが、今後の動向を引き続き注視してまいります。

 

b.セグメント別の状況

パーソナルセグメント

パーソナルセグメントでは、個人のお客さま向けにサービスを提供しています。

日本国内においては、従来の通信サービス(主に「au」ブランドによるスマートフォン・携帯電話、FTTH/CATVサービス等)を中心に、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育等のライフデザインサービスを連携しながら拡充することで、新たな体験価値の提供を目指しています。「au」及びシンプルでお手頃価格の「UQ mobile」に加え、本年3月に新料金ブランド「povo」を開始し、マルチブランドで市場環境やお客さまニーズに即した機動的なサービスの提供を進めていきます。

また、海外においては、国内で培った事業ノウハウを生かし、ミャンマーやモンゴルをはじめとするアジア地域を中心とした個人のお客さま向けビジネスにも積極的に取り組んでいます。

 

<当期のトピックス>

●当社は、安心・使い放題の「au」に加え、昨年10月に「UQ mobile」を事業承継し、本年2月にシンプル・お手頃価格の「くりこしプラン」を開始しました。さらに本年3月からは新料金ブランド「povo」の提供を開始しました。「povo」は月額2,480円(税込2,728円)で使えるデータ容量20GBに加えて、お客さまのニーズに合わせて自由に選択可能な、「5分以内通話かけ放題」「データ使い放題24時間」などのさまざまなトッピングをご利用いただけます。当社はお客さまの多種多様なニーズ、生活スタイルにきめ細かくお応えできるよう、マルチブランドでのモバイル通信サービスの提供を進めています。また、5Gの利用拡大にあたっては「みんなの5G」を掲げ、端末からサービスまでより身近な5Gの利用促進を積極的に進めており、5G端末の累計販売台数は本年3月末で240万台を突破しました。

●5G本格稼働に合わせた動画系サービスの充実を図り、昨年10月にSHOWROOM株式会社との協業のもと、プロ仕様の縦型動画サービス「smash.」を開始し、auスマートパスプレミアムではマルチアングル動画や360度VR動画配信などの提供を開始しました。また、渋谷区と連携した「バーチャル渋谷」、横浜DeNAベイスターズや名古屋グランパスと提携したスポーツ観戦の高度化など、5GやIoTをはじめとするさまざまなテクノロジーを活用した新たな体験価値をいち早くお客さまに届ける取り組みを行いました。

●昨年5月のau WALLETポイントとPontaポイントの統合以降、au PAYの新規ご登録及びご利用に対し、Pontaポイントの還元を行うキャンペーンを継続的に行ってきました。また、獲得したPontaポイントを増量してau PAYマーケットで使うことができる「お得なポイント交換所」の提供など、au経済圏のさらなる魅力化と拡大を進めました。なおau PAYは、本年3月に発表された、株式会社J.D. パワー ジャパンによる「2021年 QRコード・バーコード決済サービス顧客満足度調査」(※1) において、総合満足度第1位を受賞しました。

●本年2月以降、au PAYゴールドカードでのau通信料支払い特典の強化、auじぶん銀行住宅ローン金利優遇施策の開始など、当社グループ一体で金融事業の拡大を進めてきました。この結果、2020年度の決済・金融取扱高は期初目標を大きく上回り、2019年度の6.5兆円から9.0兆円に伸長しています。

●昨年8月には店頭での安心感にオンラインの手軽さを加えた新しい体験を提供するショップを導入したほか、昨年12月にはauオンラインショップにオンラインで本人確認手続きが完結するeKYC(electronic Know Your Customer)の仕組みを導入しました。さらに本年3月の「povo」の新規契約手続きではeKYCに加えてeSIM(embedded Subscriber Identity Module)を導入するなど、お客さまの利便性・体験価値向上にも取り組んでいます。

●昨年7月に、ケーブルテレビ局向けに提供しているケーブルプラスSTB-2がNetflix、Amazon Prime VideoのVODサービスに対応しました。本年3月にはTVerにも対応し、更なるご利用者の増加に取り組んでいます。

●ミャンマーについては(※2)、本年2月の政変後、現地の情勢を見守りながら、関係者の安全確保を最優先としつつ、通信サービスの維持に努めています。                               また、モンゴルでは(※3)、収益の一部で110の小学校に浄水器を設置したWater Purifier Distribution Projectが評価され、モンゴルのMongolian Youth Associationから、社会的影響力が大きいGolden Rose賞を受賞しました。

 

※1 出典:J.D. パワー 2021年 QRコード・バーコード決済サービス顧客満足度調査(3,000名からの回答による。jdpower-japan.com) QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

※2 連結子会社であるKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.が、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)と共同で、ミャンマー国内の通信事業を行っています。

※3 連結子会社であるMobiCom Corporation LLCが、モンゴル国内の通信事業を行っています。

 

 

パーソナルセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。

 

業 績

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

2020年3月期

自 2019年4月1日

至 2020年3月31日

2021年3月期

自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

比較増減

 

増減率

(%)

 

売上高

 

4,547,908

4,585,116

37,208

0.8

 

営業利益

 

871,606

862,858

△8,748

△1.0

当期の売上高は、前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、モバイル通信料収入(ローミング収入等含む)の増加等により、4,585,116百万円0.8%増)となりました。

営業利益は、前期と比較し、売上高が増加したものの、減価償却費の増加やエネルギー事業粗利の減少等により、862,858百万円1.0%減)となりました。

 

 

ビジネスセグメント

ビジネスセグメントでは、日本国内及び海外において、幅広い法人のお客さま向けに、スマートフォン等のデバイス、ネットワーク・クラウド等の多様なソリューションに加え、「TELEHOUSE」ブランドでのデータセンターサービス等を提供しています。

さらに、5GやIoT等の技術を活用し、パートナー企業との連携により、グローバル規模でお客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するソリューションをワンストップで提供することで、お客さまのDXを支援しています。

また、日本国内の中小企業のお客さまについては、連結子会社のKDDIまとめてオフィスグループによる地域に密着したサポート体制を全国規模で実現しています。

 

<当期のトピックス>

●株式会社J.D.パワー ジャパンによる「2020年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査」において、大企業・中堅企業市場部門における総合満足度5年連続第1位に加えて、当社として初めて中小企業市場部門において総合満足度第1位を受賞しました。さらに、「2020年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査」<大企業市場部門>において総合満足度第1位を2年連続、「2020年法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査」において総合満足度第1位を8年連続で受賞しました。

●当社は、コネクティッドカーに関するトヨタ自動車株式会社との提携に始まり、昨年秋以降、世界各国で順次発売されているマツダ株式会社の車両にも、高品質で安定した通信を実現する「IoT世界基盤」の「グローバル通信プラットフォーム」に対応した車載通信機を搭載頂きました。また、株式会社SUBARUとは、「つながる安全」におけるパートナーシップを構築しました。2001年より提供している法人向けIoT累計回線数は、電力スマートメーターに続きガススマートメーターも順調に伸長し、国内・海外合わせて、2021年3月末には1,800万回線を突破しました。

●昨年12月、Amazon Web Services, Inc.(以下 AWS)と「AWS Wavelength」の提供を東京で開始し、2月には大阪でも開始しました。au5Gネットワーク内にAWSのエッジコンピューティング環境を配置しデータを処理することで、5Gの特性である超低遅延の実現を可能とし、お客さまが5Gのもたらす新たなビジネスチャンスを探索するのに最適です。国内の5Gキャリアとしては、当社が唯一提供しております(本年3月時点)。また、本年3月には、株式会社デンソーと、交通事故や交通渋滞のない安心・安全なモビリティ社会の実現に向け、高精細車載カメラや路側センサーなどを用いた自動運転への5G活用に関する共同検証を開始しており、「AWS Wavelength」を活用した技術検証を行っていく予定です。

●昨年12月、東日本旅客鉄道株式会社と、交通と通信の融合により、場所や時間に捉われない多様な働き方やくらしを創出する新しい分散型まちづくり「空間自在プロジェクト」の実現に向け、基本合意書を締結しました。今後両社は、本プロジェクトに基づくまちづくりのコアシティとなる品川開発プロジェクトの共同推進、分散拠点としてのサテライトシティ(日本各地)の開発、コアシティとその周辺におけるモビリティサービスの開発を検討し、共同事業化を目指します。これは当社が掲げる「KDDI Accelerate 5.0」の取り組みの一つでもあり、両社が持つインフラを活用・連携して、場所や時間に捉われない多様な働き方や豊かなくらしの創出に取り組んでいきます。

 

今後も、法人のお客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただけることを目指し、事業の変革に取り組んでいきます。

 

ビジネスセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。

 

業 績

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

2020年3月期

自 2019年4月1日

至 2020年3月31日

2021年3月期

自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

比較増減

 

増減率

(%)

 

売上高

 

941,576

991,634

50,058

5.3

 

営業利益

 

149,012

166,675

17,663

11.9

当期の売上高は、前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、モバイル通信料収入やソリューション収入の増加等により、991,634百万円5.3%増)となりました。

営業利益は、前期と比較し、売上高の増加に加えて、通信設備使用料等の減少により、166,675百万円11.9%増)となりました。

 

c. 財政状態の状況

 

2020年3月期

2021年3月期

比較増減

資産合計(百万円)

9,580,149

10,535,326

955,177

負債合計(百万円)

4,721,041

5,275,857

554,816

資本合計(百万円)

4,859,108

5,259,469

400,362

親会社の所有者に帰属する持分(百万円)

4,384,424

4,759,720

375,296

親会社所有者帰属持分比率(%)

45.8

45.2

△0.6

1株当たり親会社所有者帰属持分(円)

1,906.35

2,091.82

185.47

有利子負債残高(百万円)

1,680,367

1,645,481

△34,886

 

(資産)

資産は、コールローン等が減少したものの、現金及び現金同等物、金融事業の貸出金等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、955,177百万円増加し、10,535,326百万円となりました。

 

(負債)

負債は、借入金及び社債等が減少したものの、金融事業の預金、営業債務及びその他の債務等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、554,816百万円増加し、5,275,857百万円となりました。

 

(資本)

資本は、親会社の所有者に帰属する持分の増加等により、5,259,469百万円となりました。

以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の45.8%から45.2%となりました。

② キャッシュ・フローの状況

 

 

 

(単位:百万円)

 

2020年3月期

2021年3月期

比較増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,323,356

1,682,166

358,810

投資活動によるキャッシュ・フロー

△610,950

△658,925

△47,975

フリー・キャッシュ・フロー 

712,406

1,023,241

310,835

財務活動によるキャッシュ・フロー

△546,381

△585,571

△39,190

現金及び現金同等物に係る換算差額

△1,419

2,930

4,349

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

164,605

440,600

275,995

現金及び現金同等物の期首残高

204,597

369,202

164,605

現金及び現金同等物の期末残高

369,202

809,802

440,600

※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前期と比較し、金融事業の貸出金の増加幅や営業債権及びその他の営業債権の増加幅が小さくなったこと等により、358,810百万円増加し、1,682,166百万円の収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前期と比較し、金融事業の有価証券の取得による支出の増加や、子会社の支配獲得による収入の減少等により、47,975百万円増加し、658,925百万円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、社債発行及び長期借入による収入の減少等により39,190百万円増加し、585,571百万円の支出となりました。

また、上記キャッシュ・フローに加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額2,930百万円の増加を加味した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、440,600百万円増加し、809,802百万円となりました。

 

③ 営業実績

 当連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

パーソナル

4,585,116

0.8

ビジネス

991,634

5.3

その他

78,329

△2.7

セグメント間の内部売上高

△342,479

 合計

5,312,599

1.4

(注)1.金額は外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、国際会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)見積り及び判断の利用」に記載しております。

 

第2四半期連結会計期間においては、新型コロナウイルス感染症による影響は、少なくとも2020年度を通して影響を及ぼすとの仮定をおいておりましたが、当社を取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続いていることから、当期の連結財務諸表の作成にあたって、今般の状況を踏まえ現時点で入手可能な情報に基づき、少なくとも2021年度を通して影響を及ぼすとの仮定に変更し、会計上の見積りを行っております。なお、当該変更による当期連結財務諸表への影響は軽微です。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(売上高)

 前期と比較し、端末販売収入が減少したものの、モバイル通信料収入(ローミング収入等含む)やソリューション収入の増加等により、5,312,599百万円(1.4%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 24.売上高」をご参照ください。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

前期と比較し、端末販売コストは減少したものの、エネルギー事業原価、減価償却費の増加等により4,292,410百万円(1.6%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 25.費用の性質別内訳」をご参照ください。

 

(その他の収益及びその他の費用)

 前期と比較し、補助金収入の増加等により12,322百万円の利益(33.0%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 26.その他の収益及びその他の費用」をご参照ください。

 

(持分法による投資利益)

 持分法適用関連会社の京セラコミュニケーションシステム株式会社における投資利益の増加等により、4,884百万円(50.0%増)となりました。

 

(営業利益)

 以上の結果、営業利益は1,037,395百万円(1.2%増)となりました。なお、営業利益率は、19.5%(0.1ポイント減)となりました。

 

(金融収益及び金融費用)

 支払利息6,929百万円、受取配当金3,148百万円の計上等により、1,772百万円の損失となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 27.金融収益及び金融費用」をご参照ください。

 

(その他の営業外損益)

 持分変動損益1,418百万円の計上等により、2,433百万円(61.0%増)の利益となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 28.その他の営業外損益」をご参照ください。

(法人所得税費用)

 課税所得の増加等の影響により331,451百万円(1.9%増)となりました。なお、2021年3月期の法人税等負担率は31.9%となりました。法人所得税費用に関する詳細については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.繰延税金及び法人所得税」をご参照ください。

 

(非支配持分に帰属する当期利益)

 主に株式会社エナリスの利益減少等の影響により、55,109百万円(0.9%減)となりました。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

 上記の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は651,496百万円(1.8%増)となりました。

 

 なお、報告セグメントの売上と営業利益の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

当社グループは、運転資金及び設備投資については、自己資金及び借入金等により資金調達することとしております。このうち、借入金等による資金調達に関しては、通常の運転資金については短期借入金で、設備投資などの長期資金は固定金利の長期借入金及び社債で調達することを基本としております。また金融事業については、資金調達やリスクアセットの削減を目標として、債権流動化を行っております。

なお、当連結会計年度末における借入金等を含む有利子負債の残高は1,645,481百万円、現金及び現金同等物の残高は809,802百万円となっております。

流動性リスクとその管理方法につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記31.金融商品」に記載しております。

 

c.経営上の財務目標の達成状況について

当社グループは、事業環境の変化に迅速に対応しながら、持続的な成長を実現し、企業理念に掲げる「豊かなコミュニケーション社会の発展」に貢献するため、中期経営計画(2019-21年度)を策定しております。財務目標において、営業利益については、持続的な成長を目指し、EPSについては、2024年度1.5倍(2018年度比)の実現、株主還元については、安定的な配当を継続し、連結配当性向は40%超を掲げております。

当連結会計年度においては、中期経営計画の2年目として、通信サービスを中心に、成長事業を拡大していくことで、事業戦略の中核となる「通信とライフデザインの融合」をより一層進めてまいりました。この結果、業績面におきましては期初予想の営業利益1兆300億円及び配当性向40%超を達成いたしました。

今後も環境変化を事業機会と捉え、持続的成長と株主還元強化の両立を目指してまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 

 当社は、2020年10月1日を効力発生日とする会社分割の方法により、UQコミュニケーションズ株式会社の営むUQ mobile事業を承継いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載しております。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、2020年度に「Society 5.0」の実現を5Gで加速する、2030年を見据えた次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」を発表し、「KDDI Accelerate 5.0」の実現を支える7つのテクノロジーの研究開発を推進してきました。また、2030年を見据えた新たなライフスタイルを提案する調査・応用研究拠点として、「KDDI research atelier(リサーチ アトリエ)」を2020年12月17日に東京 虎ノ門に開設しました。こうした活動を通して、当連結会計年度における研究開発費の総額は、24,131百万円となりました。なお、当社グループにおける研究開発活動は各セグメントに共通するものであり、各セグメントに関連づけて記載しておりません。

 「KDDI Accelerate 5.0」の実現を支える7つのテクノロジーごとに、研究開発活動の主なトピックスをご紹介します。

 

0102010_002.png

           <KDDI Accelerate 5.0における7つのテクノロジー>

 

1.Network

 2020年12月、大容量の無線信号を収容局からビル内まで効率よく配信する「光ファイバ無線技術」を開発し、5G最大伝送レートを上回る27Gbit/s無線信号のモバイルフロントホール伝送、およびビル内など屋内電波不感地帯向けの中継伝送技術を組み合わせた統合伝送実験に、世界で初めて成功しました。本実証実験により、大容量無線信号の効率的な配信とアンテナ設置箇所のスペース・消費電力削減が可能となり、ミリ波を用いた5Gサービスや、5Gの次世代技術であるBeyond 5G/6Gに向けた動きが加速され、これまで以上に高速無線通信サービスを快適に利用できるようになると期待されます。

 5Gで利用する28GHz帯や、追加割当候補周波数39GHz帯などの高い周波数は、超高速・大容量な通信サービスを提供できる一方で、電波の直進性が強く、基地局のアンテナが見通せないビルや樹木の影などに電波が届きません。2021年1月、当社はこのようなカバレッジホールへ5Gサービスを提供するため、基地局からの電波を特定方向に反射させることができる「デュアルバンド透明メタサーフェス反射板」を世界で初めて開発しました。これにより、5Gや次世代移動通信の超高速・大容量なサービスエリアを迅速に拡張することが可能となります。

 

2.Security

 安心して利用できる情報通信システムの構築に貢献するため、解読アルゴリズムの高速化と、より高速で安全な次世代公開鍵暗号実現に向けた研究開発を推進しています。次世代公開鍵暗号として符号暗号を利用する際、安全な次元の大きさを決定するために、解読可能な次元の限界を知ることが重要です。

 当社は、2021年1月、暗号解読コンテスト「Challenges for code-based problems」において、1161次元の Syndrome Decoding in the Goppa-McEliece Setting問題を、世界で初めて解読しました。また、解読アルゴリズムの改良ならびに並列マルチスレッド環境に適した最適化を行い、解読処理を約250倍高速化しました。

 

3.IoT

 2021年3月、交通事故や交通渋滞のない安心・安全なモビリティ社会の実現に向け、パートナー企業と自動運転への5G活用に向けた共同検証を開始しました。自動運転のためのテスト路に整備した5G通信環境と、「AWS Wavelength」による低遅延のエッジコンピューティング環境を活用し、刻々と変化する道路状況をリアルタイムに自動運転車両へ配信する仕組みの構築や、無人車両に対する遠隔からの走行支援の有効性を検証します。

 

4.Platform

 2020年10月、国立研究開発法人産業技術総合研究所が経済産業省・国土交通省より受託した、一般路線バスひたちBRT(Bus Rapid Transit)での自動運転バスの走行実証実験に参加しました。当社は、パートナー企業と協力し自動運転車両と通信を行う路側センサーと遠隔監視装置の検証を行いました。今回の検証では、通常の路線バスのダイヤに追加して自動運転バスのダイヤを設定し運行することにより、通常の移動手段としてより多くの利用者に乗車してもらい、2022年以降の本格的な商用運行に向けた課題抽出を進めることを目指します。

 

5.AI

 当社ではディープラーニング等を活用した画像認識、音声認識等にとどまらず、限られたデータから適切な予測を導き出し、人々の行動変容を促すところまでを視野に入れてAIの研究開発を推進しています。

 2020年5月、生活習慣病の通院治療を行っている当社社員とその家族を対象に、生活習慣病の重症化予防事業の実証実験を実施しました。KDDI Open Innovation Fundの出資先であるPREVENT社と協力し、実証実験参加者の許諾を得たスマートフォンのデータを基に、日常の生活習慣の特徴分析や、生活指導の介入効果予測を行うことで、オンラインでの生活指導の高度化・効率化を確認しました。

 2020年7月、スマホ依存の実態調査・解明と、2024年度中の改善・予防スマートフォンアプリの実用化を目指した研究開発を開始しました。本共同研究では、脳情報やスマートフォンの行動情報をAIで解析することによるスマホ依存の検知や、対象とする脳領域に特定の活動パターンを誘導する方法であるDecoded Neurofeedback法を活用したスマホ依存の程度軽減に取り組みます。2020年度末までに、30,000人超を対象としたスマホ依存に関する調査を実施し、スマホ依存の検知に必要な基礎情報の取得を完了しました。

 2021年2月、マスクを着けている人でも、90%以上の精度でポジティブ、ニュートラル、ネガティブの表情を分析できる「顔領域適応型表情認識AI」を開発しました。マスクで顔の70%程度を隠したとしても、顔露出領域とマスク着用領域を別々に分析し総合的に客観評価して表情を認識するため、企業、教育機関、公共施設、イベント会場など、日常的にマスクを着用する場面で、人の表情を高精度に分析する新しいサービスの実現が期待されます。

 

6.XR

 2020年9月、最新の国際標準映像符号化方式H.266|VVC(Versatile Video Coding)に対応した4Kリアルタイムエンコーダを開発しました。これにより、4Kの高精細映像をリアルタイムに、かつ現在広く使用されている映像符号化方式H.265|HEVC(High Efficiency Video Coding)に対応したエンコーダに比べ、約半分のデータ量で配信することが可能となりました。データ量が半減したことにより、これまではブロードバンド回線の利用が一般的であった4Kライブ中継において、モバイル回線を利用することが可能となりました。

 2021年2月、介護施設におけるきめ細かな介護対応を実現するため、入居者の介護関連情報をARメガネに表示する「ハンズフリー介護作業支援システム」を開発し、実証実験を実施しました。この介護作業支援システムは、KDDI総合研究所が開発した顔認識技術、介護施設が開発したスマート介護プラットフォームを組み合わせて実現しています。本実証実験では、新規の入居者など職員がまだ詳細情報を把握しきれていない入居者に対して、声がけなどで適切な対応を取ることが可能となりました。

 

7.Robotics

 2020年7月、KDDI Open Innovation Fundの出資先であるTelexistence社が開発する遠隔操作ロボットを対象に、ロボット側のカメラから操縦者側のディスプレイに表示されるまでのEnd-to-End遅延を業界最高水準の50ミリ秒まで短縮しました。これにより視覚と身体感覚との操作のずれをほぼ感じることがなくなり、動きの速い対象物に対して正確な操作や身体的直感に即した操作が可能になると共に、映像伝送遅延が原因の一つとされる操縦者のVR酔いが軽減され、長時間の遠隔操作が可能となりました。今回、遠隔操作ロボット用映像伝送システムで、KDDI総合研究所の汎用ハードウェアコーデックを用いた映像パラメータや処理フローの最適化技術と、ロボット用映像機器の実装・最適化技術により、小型・安価な機器構成で、業界最高水準の超低遅延映像伝送を実現しました。

 2020年11月、ロボット技術の活用による漁業の効率化を目的として、日本初のモバイル回線に接続したスマートフォンでの遠隔制御と、長時間使用が可能な水素燃料電池を搭載した水上ドローンを、大阪府立大学と共に、日本海工株式会社の協力のもと開発しました。また、実用化に向け、石川県七尾湾で、これらを活用した実証実験を開始しました。今後、水上ドローンの性能向上を図ると共に、水上ドローンを活用した離島への物資配送や災害対策など、新たな応用展開を視野に入れ、実用化に向け全国での海上実験を順次実施します。