文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業理念を以下のとおり定めています。また、企業理念に謳われた使命を果たし、持続的な成長を遂げるために、社員一人ひとりが持つべき考え方、価値観、行動規範をKDDIフィロソフィとして定め、心をひとつにしてこれらを共有し実践していくことに努めております。
■企業理念
KDDIグループは、全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します。
(1)中長期的な会社の経営戦略
新型コロナウイルス感染症の流行により、あらゆる領域で急速なデジタルシフトが進んだことで、通信の果たす役割もますます重要になっています。政府においても、デジタル実装を通じた地域活性化を推進する「デジタル田園都市国家構想」が掲げられ、人々の暮らしやビジネスのデジタル化が加速しています。KDDIは生活者の新たなライフスタイルをサポートし、経済発展と社会課題の解決を両立するレジリエントな未来社会の創造に向けた取り組みを推進します。
このような事業環境の変化に対応しながらありたい未来社会を実現するため、「KDDI VISION 2030:『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を新たに掲げ、長期的な視点で社会課題とKDDIグループの経営の重要度を総合的に網羅した新重要課題(マテリアリティ)を策定いたしました。これらを踏まえ、以下のとおり「中期経営戦略(2022-24年度)」を推進していきます。
<中期経営戦略(2022-24年度)>
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■企業理念 KDDIグループは、全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します。 ■ブランドメッセージ Tomorrow, Together KDDI / おもしろいほうの未来へ。au ■目指す姿 ①お客さまに一番身近に感じてもらえる会社 ②ワクワクを提案し続ける会社 ③社会の持続的な成長に貢献する会社 ■KDDI VISION 2030 「つなぐチカラ」を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。 ■財務目標 |
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持続的な成長に向け、成長投資・株主還元を引き続き強化します。EPS※については、2018年度対比1.5倍を引き続き目指します。株主還元については、安定的な配当を継続し、配当性向40%超、成長投資の状況などを鑑み、機動的な自己株式取得を実施します。
※ 「Earnings Per Share」の略で、1株当たり当期利益。
(2)対処すべき課題(中期経営戦略 ―サステナビリティ経営―)
「中期経営戦略(2022-24年度)」では、パートナーの皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指す-サステナビリティ経営-を根幹としました。5Gの特性を活かすことにより「つなぐチカラ」を進化させ、あらゆるシーンに通信が「溶け込む」ことで、新たな価値が生まれる時代を目指します。5Gによる通信事業の進化と通信を核とした注力領域の拡大、さらにそれを支える経営基盤を強化します。
<事業戦略 ~ サテライトグロース戦略 ~>
5Gによる通信事業の進化と、通信を核とした注力領域の事業拡大を図ります。特に以下の5つの注力領域を中心に、KDDIグループの企業価値の最大化を図ります。
(1)DX(デジタルトランスフォーメーション)
・ 通信をIoTという形であらゆるもの(車、工業設備、各種メーターなど)に溶け込ませ、お客さまが意識することなく5Gを活用できる環境を整備します。そのために、さまざまな業界ごとの個別ニーズに応じたビジネスプラットフォームを提供し、お客さまのビジネス創造をサポートします。新たに生まれた付加価値により、人々の暮らしがトランスフォームされていくDXの好循環を目指します。
(2)金融
・ 金融クロスユースの拡大を推進し、通信と金融によるエンゲージメント向上へ寄与します。また、金融各機能のさらなるスケール化を推進し、KDDIグループの金融各社の成長を実現します。
(3)エネルギー
・ 電力小売事業を引き続き強化するとともに、カーボンニュートラル関連事業の新規参入を図り、カーボンニュートラルへ貢献します。
(4)LX(ライフトランスフォーメーション)
・ KDDIのテクノロジー戦略である「ライフトランスフォーメーション テクノロジー(LXテクノロジー)」により、モビリティ・宇宙・メタバースなど、多様化が進む消費・体験行動に革新を起こす新たなビジネスの創出を実現します。
(5)地域共創 -CATV等-
・ 過疎化・高齢化などによる地域社会が抱える課題に向き合い、デジタルデバイド解消・地域共創を実現します。また、全国の地域CATV局や地域を支える企業に対する経営支援により地域共創の取り組みを推進します。
<経営基盤強化>
KDDIグループは、社会と企業の持続的な成長に貢献するため、特に以下の3つの経営基盤を強化します。
(1)カーボンニュートラルの実現
・ KDDI単体で2030年度、グループ全体で2050年度のカーボンニュートラル達成を目指し、省エネルギーの取り組みと再生可能エネルギーへの切り替えを組み合わせて、CO2排出量実質ゼロを実現します。
(2)人財ファースト企業への変革
・ 「人財ファースト企業」への変革を、「KDDI版ジョブ型人事制度」・「社内DXの推進」・「KDDI 新働き方宣言の実現」の3つの柱で進めるとともに、「KDDI DX University」の活用による全社員のDXスキル向上とプロフェッショナル人財の育成により、注力領域への要員シフトも実行します。
(3)グループ一体経営の推進とガバナンスの強化
・ KDDIグループの持続的な企業経営に向け、事業活動における人権尊重の徹底、リスクマネジメント体制・情報セキュリティ体制を強化し、サテライトグロース戦略推進に伴うグループ会社の増加と事業の多様化を踏まえたガバナンスを強化します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
また、現時点では必ずしもリスクとして認識されない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
当社は、リスクマネジメント活動を一元的に推進する体制を整えています。また、グループ全体の持続的な成長を実現するため、当社のみならず子会社などを含むグループ全体でのリスクマネジメントの推進に取り組んでいます。当社は、会社の危機を未然に防ぐためには、その予兆を把握し、事態が悪化する前に対策を講じることが重要という認識のもと、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを構築しています。また、リスクの発見時には迅速かつ適切な対応がとれる危機管理体制を整備しています。当社は、これらのリスクによる問題発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適時適切な対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありませんのでご留意ください。
(1)他の事業者や他の技術との競争、市場や事業環境の急激な変化
新型コロナウイルス感染症の流行により、あらゆる領域で急速なデジタルシフトが進んだことで、通信の果たす役割もますます重要になっています。政府においても、デジタル実装を通じた地域活性化を推進する「デジタル田園都市国家構想」が掲げられ、人々の暮らしやビジネスのデジタル化が加速しています。当社は生活者の新たなライフスタイルをサポートし、経済発展と社会課題の解決を両立するレジリエントな未来社会の創造に向けた取り組みを推進します。
なお、他の事業者や他の技術との競争、市場や事業環境の急激な変化により、主に以下の事項に不確実性が存在し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループの期待通りの需要が存在するかどうか
・当社グループの期待通りに契約数を維持拡大できるかどうか
・人口減少、高齢化に伴い期待通りの収入をあげられるかどうか
・新規事業への参入等により期待通りの収入をあげられるかどうか
・競争激化に伴う料金値下げによる通信料収入の低下、販売コミッションやお客さま維持コストの増大
・契約者のサービス利用頻度が下がることによる通信料収入の低下
・不測の事態が発生した場合であってもネットワーク及びコンテンツの品質等がお客さまの満足度を維持できるかどうか
・他の事業者と比較して、常により魅力のある端末やコンテンツ等の商品、サービスを提供できるかどうか
・物販事業拡大に伴う商品不具合への対応
・端末の高機能化等に伴う端末価格の上昇販売コミッションの増加
・迷惑メール、主にスマートフォンのセキュリティ脆弱性がもたらす脅威によるお客さま満足度の低下や防止対応コストの増加
・新周波数対応による基地局建設やデータトラフィック急増に伴うネットワークコストの増加
・当社の必要に応じた周波数を獲得できるかどうか
・新たな高速データ無線技術による競争激化
・通信方式、端末、ネットワーク、ソフトウェア等における特定技術への依存による影響
・無料通話アプリ等の拡大に伴う音声通話料収入の縮小
・他の電気通信事業者との接続料金値上げの可能性
・異業種との提携、通信と電力等のその他商品とのセット販売、MNO、MVNO事業者の新規参入、他事業者の事業領域の拡大等の事業環境の変化に伴う競争の激化
・金融事業における競争において期待通りの収入を上げられるかどうか
・金融事業の市況変動及び債務者の信用状況の悪化により、不良債権の増加や担保不動産価値の減少が生じることによる貸倒引当金の追加計上
・エネルギー事業における電力卸市場価格高騰等による調達コストの増加
(2)通信の秘密及び顧客情報の不適切な取り扱いや流出、及び、当社の提供する製品・サービスの不適切な利用等
近年、サイバー攻撃でのウイルス感染により、重要な機密情報が外部流出する事故が世界的に発生しており、大きな社会問題となっています。また、携帯電話等の通信サービスを利用した振り込め詐欺、迷惑メールの送信等の犯罪も問題化しております。
当社は取り扱う情報資産の保護、管理に関して、情報セキュリティ委員会を設置して内部からの情報漏洩防止、及び外部ネットワークからの不正侵入の防止に関わる全社的対応策の策定及びGDPR等グローバル法制度の対応を実施しております。KDDIグループとしてコンプライアンス体制を確立し、顧客情報を管理している顧客情報システムの利用権限の管理、利用監視の強化、アクセスログの保存、社内データの持ち出しや業務パソコンから外部メモリーへのコピーの禁止等、技術的、組織的、人的の観点から各種安全管理措置を強化しております。これらの啓発活動として、当社全社員に対しては継続的に教育を行い、また、業務委託先、特に販売店であるauショップに対しても、店舗業務の改善、監査、並びに教育を徹底し、管理強化を図っております。さらに、適正な顧客情報の取り扱いを行うために、社内組織の整備、第三者による評価の実施、サービス導入前のプライバシー影響評価(PIA)の導入等の対応を実施しております。
また、サイバー攻撃による事業影響の回避や低減に向け、事業を担うシステムが守るべきセキュリティ対策の基準をセキュリティ規程として定め、規程への準拠状況を審査しています。本審査を、システムの企画から開発への移行フェーズにおいて厳格に実施することで、企画・設計段階からセキュリティ対策を考慮した「セキュリティバイデザイン」を実現するだけでなく、最新の研究開発成果を導入することによりシステムのセキュリティを強化し、安心・安全なサービスの提供に努めています。
更に、お客様に安心・安全に製品・サービスをご利用いただくための取り組みとして、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」等に基づき、未成年のご契約時は原則としてフィルタリングサービスの設定を実施するとともに、フィルタリングサービスの利便性向上や認知度向上にも積極的な取り組みを実施しております。また、振り込め詐欺、迷惑メールの送信等の犯罪対策として、支払い方法の制限による本人確認強化、契約回線数の制限による大量不正契約防止、本人確認が行えない回線の契約者情報の携帯・PHS事業者間での共有・審査の強化、振り込め詐欺などの特殊詐欺に利用された固定電話番号の警察庁からの要請に対しての停止措置などを実施しております。
これらの取り組みにもかかわらず、従業員の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃等により、通信の秘密及び顧客情報の漏洩、サービス停止・サービス品質低下した場合、もしくは、当社の提供する製品・サービスが不適切に利用された場合、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜、莫大な補償・課徴金を伴う可能性があります。また、将来的に通信の秘密及び顧客情報保護、サイバー攻撃防護体制の整備のため、更なるコストが増加する可能性があり、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)自然災害・事故等
当社グループは音声通信、データ通信等のサービスを提供するために、国内外の通信ネットワークシステム及び通信機器等に依存しております。当社グループは気候変動等がもたらす大規模自然災害・事故等によるサービスの停止、中断等のリスクを可能な限り低減するため、ネットワークの信頼性向上とサービス停止の防止対策に取り組んでおります。具体的には災害時においても通信サービスを確保できるよう、防災業務実施の方針を定め、災害に備えた対策を図り、国内外の関係機関と密接な連絡調整を行っています。災害が発生した場合には、各社組織の各機能を最大限に発揮して24時間365日、通信の疎通確保と施設の早期復旧に努めております。
なお、ネットワークシステムや通信機器の障害などによるサービスの停止や大規模な誤請求・誤課金、販売代理店の閉鎖や物流の停止に伴う商品・サービスの提供機会損失、SNSなどの媒体を通じた風評被害等が発生した場合、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜、顧客満足度の低下により経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
長期化が想定される新型コロナウイルス感染症の影響に対して、当社グループは「新型コロナウイルス感染症対応基本方針」を定め、各国政府、自治体、公共団体の取り組みに対し積極的に協力などを行い、事業活動を進めておりますが、auショップ/au Styleの営業時間短縮による新規獲得、在宅でのWi-Fi利用増によるモバイルデータ通信、ライフデザイン事業や企業向けのソリューションサービス等への影響が懸念され、今後の事業活動及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社連結子会社であるKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.は、ミャンマー運輸通信省傘下組織であるミャンマー国営郵便・電気通信事業体と共同で電気通信サービスを営んでおりますが、2021年2月に発生した政変によって事業活動が制限されるなどした場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
ウクライナ情勢等について、現時点における当社グループへの影響は軽微と考えておりますが、先行きが不透明な状況にあり、今後の内外経済に与える影響等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのサービスの提供が停止する主な事由として以下のものが考えられます。
・地震及び津波、台風、洪水等の自然災害やそれに伴う有害物質の飛散等の2次災害
・感染症の世界的流行(パンデミック)
・戦争、テロ、事故その他不測の事態
・電力不足、停電
・コンピューターウィルス、サイバーアタック、ハッキング
・オペレーションシステムのハード、ソフトの不具合
・通信機器等の製品やサービスに係る欠陥
(4)電気通信事業等に関する法規制、政策決定等
電気通信事業をはじめ、電気事業や金融事業等に関する法律、規制の改廃または政策決定等が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループのブランドイメージや信頼性に影響を与える社会的問題を含め、こうした法規制や政策決定等に対して当社グループは適切に対応していると考えておりますが、将来において適切な対応ができなかった場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後の競争政策の在り方について、総務省等における様々な審議会や研究会や意見募集等を通じて、他の電気通信事業者等との公正競争を有効に機能させるための措置の必要性を訴えておりますが、この取り組みに関わらず結果として当社の競争優位性が相対的に損なわれた場合にも、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
電気通信事業等に関する法律、規制の改廃または政策決定や当社グループの競争優位性等の観点で、以下の電気通信事業をはじめ、電気事業や金融事業等の政策決定等に限らず、不確実性が存在しています。
・事業者間接続料金の算定方式、会計制度の見直し
・指定電気通信設備制度、禁止行為規制の見直し
・ユニバーサルサービス制度の見直し
・MNO、MVNO等による移送通信事業への新規事業者参入
・周波数割り当て制度の見直し
・電波利用料制度の見直し
・電波の健康への影響に関する規制
・NTT東・西の固定電話網のIP網への移行に関するルール
・NTTグループの事業の在り方に関する規制
・独占禁止法及びそれに関するルール
・消費者保護に関するルール
・有害サイト等の増加等によるインターネットに関するルール
・インターネットのサービス品質計測及び広告表示に関するルール
・電話リレーサービス制度の見直し
・電気小売に関するルール
・金融事業に関するルール
・データの管理・利活用に関するルール
・プラットフォーマーに関する規制
・経済安全保障の確保に関するルール
(5)公的規制
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障、さまざまな政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止法、特許、消費者、租税、為替、環境、労働、金融、電力等の法規制の適用を受けております。当社グループはこれらの法規制に係る情報を早期に収集し、必要な手続・対応を行っております。なお、これらの規制が強化された場合や当社グループ及び業務委託先等において規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限され、コストの増加につながる可能性があります。
(6)訴訟・特許
当社グループは、国内外で事業活動を行っており、その遂行に当たっては、各国の法令その他社会規範を遵守し、公正で健全な企業活動を行っております。また、保有する商品、技術またはサービスに係る知的財産権を保護するとともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めています。なお、予期せぬ知的財産権を含む各種権利等の侵害を理由とする訴訟が提訴され、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)人材の確保・育成・労務管理
当社グループは、技術革新に即応すべく全社をあげて人材育成、キャリア形成の支援に注力しておりますが、期待通りの効果が出るまで一定の期間を要することがあり、将来的に人材投資コストが増加する可能性があります。また、当社グループは法令に基づき適正な労務管理、働き方改革の推進に努めております。なお、将来において適切な対応ができなかった場合には、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜により、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8)退職給付関係
当社グループは、確定給付企業年金制度(基金型)、退職一時金制度(社内積立)ならびに確定拠出年金制度を設けております。定期的に退職給付債務の将来予測に基づく資産運用方針、運用機関の見直しを行っております。なお、今後当社グループの年金資産の運用利回り低下により年金資産の時価が下落した場合、または、退職給付債務を計算する上での前提条件(割引率、人員構成、昇給率等)が大幅に変更になった場合に損失が発生する可能性があります。
(9)減損会計
当社グループは、当連結会計年度において、一部の資産については、収益性の低下に伴い将来の投資額の回収が見込めなくなったため、減損損失を計上しております。IFRSに準拠して減損の兆候の判定や減損テスト等を行い適切な処理を行っております。なお、将来において各種事業収支が悪化した場合、また保有する固定資産等の使用状況等によっては、さらに損失が発生する可能性があります。
(10)電気通信業界の再編及び当社グループの事業再編
当社グループは、市場環境の変化に対して、事業戦略の着実な推進や必要に応じて事業再編を行っておりますが、国内外の電気通信業界の再編が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
■業界動向と当社の状況
新型コロナウイルス感染症の流行により、これまで当たり前だと思っていた日常が一変し、あらゆる領域で急速なデジタルシフトが進んだことで、通信の果たす役割もますます重要になっています。
こうした時代の変化に即応するとともに中長期のビジョンを推進していくため、当社は、「中期経営計画(2019-21年度)」において、「既存事業の持続的成長」と「新たなイノベーションへの挑戦」という両軸での成長を目指してまいりました。
個人のお客さまには、「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」をスローガンに、広い通信エリアと高品質なネットワークをベースとして、「安心の使い放題」の「au」、「シンプルを、みんなに。」の「UQ mobile」、「ゼロから始めるオールトッピング」の「povo(ポヴォ)」を通じて、多様なニーズや生活スタイルに寄り添った料金の提供に努めています。また、パートナーとの連携による、バーチャルとリアルを融合したバーチャルシティなどのメタバース(仮想空間)の提供によって、5Gならではの体験価値を創出するとともに、お客さま接点となる「au PAY」のさらなる普及促進など、「通信とライフデザインの融合」を着実に進め、お客さまに新たな体験価値をお届けしてまいりました。
法人のお客さまにおかれましては、さまざまな業界、利用シーンで企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速し、ビジネスモデルが大きく変化していくなかで、お客さまとともにDXに挑戦し、ともに事業成長することを目指してまいりました。また、新規ビジネスの開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」をはじめ、昨年5月に設立したDXGoGo(ディーエックスゴーゴー)株式会社やさまざまなグループ会社のアセットを最大限活用し、新しい体験価値とビジネスの創造を進め、あらゆる"モノ"に通信が溶け込む時代のデジタルインテグレーターを目指してまいりました。
当社は人財を最も大切なリソースと捉え、その育成・強化を経営の根幹に置く「人財ファースト企業」への変革を、「KDDI版ジョブ型人事制度」・「社内DXの推進」・「KDDI 新働き方宣言の実現」の三位一体改革の取り組みで推し進めています。
また、2030年を見据えたKDDIのSDGs「KDDI Sustainable Action」を策定し、5GやIoTなどを活用しながら、パートナーとともに事業を通じて、「命をつなぐ」、「暮らしをつなぐ」、「心をつなぐ」で、社会の持続的な成長への貢献を目指しています。
地球温暖化による影響は年々深刻化しており、それに伴う気象災害が国内外で増加しています。当社は昨年4月、「気候関連財務情報開示タスクフォース (TCFD)」の提言への賛同を表明し、昨年9月に公開した「サステナビリティレポート2021」では、TCFD提言に沿った情報開示を初めて行いました。また、本年4月には、昨年7月の発表において2050年としていたCO2排出量実質ゼロ実現(当社単体)の目標時期を見直し、2030年度の実現を目指すこととしました。
なおKDDIグループは、CO2排出量削減目標について、国際的な気候変動イニシアチブ「SBTi(Science Based Targets initiative)」によるSBT認定を取得しています(※)。今後も、非財務情報の開示を充実させるとともに、CO2排出量削減に向け、携帯電話基地局や通信設備などでの省電力化や、再生可能エネルギーへのシフトを推進していきます。
また、昨年11月にはSBIインベストメント株式会社と共同で、気候変動に関連する幅広い課題に取り組むスタートアップ企業への出資を行う「KDDI Green Partners Fund」を設立し、本年3月には1号案件として、次世代太陽電池として期待される「ペロブスカイト太陽電池」の開発を行う、株式会社エネコートテクノロジーズへの出資を行いました。
当社は、事業環境の変化に迅速に対応しながら持続的な成長を実現するため、「KDDI VISION 2030:『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を新たに掲げ、さらに、長期的な視点で社会課題と当社の経営の重要度を総合的に網羅した新重要課題(マテリアリティ)を策定いたしました。これらを踏まえ、次の3カ年において「中期経営戦略(2022-24年度)」を推進してまいります。
今回の中期経営戦略では、パートナーとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指す-サステナビリティ経営-を根幹に置き、5Gによる通信事業の進化と通信を核とした注力領域の拡大、さらにそれを支える経営基盤の強化を推進してまいります。
※ 2022年3月9日 サステナビリティニュース「国際的な気候変動イニシアチブのSBT認定を取得」
(https://news.kddi.com/kddi/corporate/csr-topic/2022/03/09/5933.html)
■連結業績
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(単位:百万円) |
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2021年3月期 自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 |
2022年3月期 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
比較増減
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増減率 (%) |
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売上高 |
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5,312,599 |
5,446,708 |
134,108 |
2.5 |
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売上原価 |
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2,928,175 |
2,984,589 |
56,414 |
1.9 |
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売上総利益 |
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2,384,424 |
2,462,119 |
77,695 |
3.3 |
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販売費及び一般管理費 |
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1,364,234 |
1,422,539 |
58,304 |
4.3 |
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その他の損益(△損失) |
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12,322 |
15,221 |
2,899 |
23.5 |
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持分法による投資利益 |
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4,884 |
5,791 |
907 |
18.6 |
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営業利益 |
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1,037,395 |
1,060,592 |
23,197 |
2.2 |
|
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金融損益(△損失) |
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△1,772 |
2,457 |
4,229 |
- |
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その他の営業外損益(△損失) |
|
2,433 |
1,448 |
△985 |
△40.5 |
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税引前当期利益 |
|
1,038,056 |
1,064,497 |
26,441 |
2.5 |
|
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法人所得税費用 |
|
331,451 |
331,957 |
506 |
0.2 |
|
|
当期利益 |
|
706,605 |
732,540 |
25,934 |
3.7 |
|
|
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親会社の所有者 |
|
651,496 |
672,486 |
20,990 |
3.2 |
|
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非支配持分 |
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55,109 |
60,054 |
4,944 |
9.0 |
当期の売上高は、前期と比較し、端末販売収入やエネルギー事業収入の増加等により、5,446,708百万円(2.5%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、売上高の増加等により、1,060,592百万円(2.2%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、672,486百万円(3.2%増)となりました。
当社を取り巻く事業環境において、新型コロナウイルス感染症による影響が生じておりますが、事業戦略の推進及び経営基盤の強化に引き続き取り組んできており、当期における業績においては重要な影響を与えておりません。
b.セグメント別の状況
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パーソナルセグメント |
パーソナルセグメントでは、個人のお客さま向けにサービスを提供しています。
日本国内においては、通信サービス(スマートフォン・携帯電話、FTTH/CATVサービスなど)を中心に、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育・ヘルスケアなどのライフデザインサービスを連携しながら拡充することで、新たな体験価値の提供を目指しています。
モバイル通信サービスでは、5Gにも対応した「au」「UQ mobile」「povo」のマルチブランドを通じて、市場環境やお客さまニーズに即したさまざまなサービスを機動的に提供するとともに、ライフデザイン領域では、au PAYやauスマートパスといったお客さま接点を起点に、金融・エネルギー・コマースといったサービスを提供しており、さらなるお客さま接点の強化とポイント流通によるau経済圏の拡大を目指しています。
また、海外においては、国内で培った事業ノウハウを生かし、ミャンマーやモンゴルをはじめとするアジア地域を中心とした個人のお客さま向けに、通信サービス及びライフデザインサービスの提供に積極的に取り組んでいます。
<当期のトピックス>
●お客さま一人ひとりのニーズに寄り添った料金プランとして、「安心の使い放題」の「au」、「シンプルを、みんなに。」の「UQ mobile」、「ゼロから始めるオールトッピング」の「povo」を、5Gにも対応し提供しています。
auでは、動画・音楽配信などエンタメサービスがセットになったデータ使い放題の料金プラン「使い放題MAX 5G ALL STARパック」(※1)を料金据え置きでサービス拡充するなど、5Gの高速・大容量通信を生かした、auならではの5Gサービスを提供しています。
UQ mobileでは、「くりこしプラン +5G」をご家族全員が月額990円(税込)からお得にご利用いただける「自宅セット割」(※2)を提供するなど、お客さまの声にお応えするとともに、新しい体験価値を提供しています。
加えて、au Styleとauショップの全店舗で、auとUQ mobileの両ブランドを取り扱い、ブランドの垣根を越えて、対面でのサポートサービスのみならず、当社のさまざまなライフデザインサービスの提供を通じて、ご家族一人ひとりのライフスタイルに寄り添い続けられるよう、取り組んでいます。
また、オンライン専用ブランドとして、基本料0円のベースプランに、お客さまのご利用スタイルに合わせて、11種類のトッピング(データ容量・通話かけ放題・動画コンテンツ視聴し放題など)を自由に選択できるオールトッピングの「povo2.0」を提供しています。
「au」「UQ mobile」「povo」のマルチブランドを通じて、お客さま一人ひとりがご自分のライフスタイルに合わせてご利用いただけるよう、取り組みを進めています。
●当社は、「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」をスローガンに、つながり続ける通信サービスの提供を目指し、5Gをご利用いただけるエリアの構築にも全社を挙げて取り組んでいますが、お客さまの生活動線上を重視し、JR・私鉄の駅ホームおよび駅間の5Gエリア化を進めており、これからもお客さまに寄り添った5Gのエリア化を進めていきます。
●ライフデザイン領域においては、昨年9月から、auじぶん銀行でau PAY、au PAY カード及びauカブコム証券の証券口座と連携したお客さまを対象に、円普通預金金利年0.20%(税引後年0.15%)を提供する「auまとめて金利優遇」を開始し、さらに本年3月からは、au PAY カード決済によるauカブコム証券の投資信託の積立を可能にするなど、金融サービスの連携を一層強化しています。
電気サービスの契約件数は昨年8月に300万件を突破し、昨年9月には再生可能エネルギー比率実質100%の「auでんき ecoプラン」の提供を開始しました。
5Gの新たな体験価値創出では、昨年10月に開催した「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2021」で、世界中から約55万人のお客さまにご参加いただきました。また、新たな都市連動型メタバースとして、本年2月にオープンした「バーチャル大阪」と「バーチャル渋谷」をつなぎ、本年2月から3月にかけて「バーチャル渋谷 au 5G シブハル祭 2022」を開催しました。
さらに、新たな体験拡張のためのデバイスとして、「Nreal Ltd.(エンリアル)」のスマートグラス「Nreal Air(エンリアルエアー)」を本年3月に発売しました。
●ミャンマーでは(※3)、昨年2月の政変後も、「KDDIグループ人権方針」に従い、関係者の安全確保を念頭に、ミャンマー国民の生活に不可欠な通信サービスの維持に努めています。
また、モンゴルでは、連結子会社であるMobiCom Corporation LLCが創業25周年を迎え、ブランドの刷新を行いました。同社はモンゴル初のデジタル社債サービス提供などの先進的な取り組みを進めており、同国第1位の通信事業者として、同国の経済発展と国民生活の充実に寄与しています。
※1 動画・音楽配信などエンタメサービスがセットになったデータ使い放題の料金プランです。テザリング・データシェア・国際ローミング通信 (世界データ定額) には、月間合計80GBのデータ容量の上限があります。大量のデータ通信のご利用時、混雑時間帯の通信速度を制限する場合があります。動画などの視聴時には通信速度を制限します。
※2 対象のサービス(インターネット又は電気)とセットでご利用いただくことで、UQ mobileの月額料金を割り引くサービスです。
※3 連結子会社であるKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.が、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)と共同で、ミャンマー国内の通信事業を行っています。
パーソナルセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
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(単位:百万円) |
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2021年3月期 自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 |
2022年3月期 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
比較増減
|
増減率 (%) |
|
|
売上高 |
|
4,585,116 |
4,669,993 |
84,877 |
1.9 |
|
|
営業利益 |
|
862,858 |
865,476 |
2,618 |
0.3 |
当期の売上高は、前期と比較し、端末販売収入やエネルギー事業収入の増加等により、4,669,993百万円(1.9%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、売上高の増加等により、865,476百万円(0.3%増)となりました。
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ビジネスセグメント |
ビジネスセグメントでは、日本国内及び海外において、幅広い法人のお客さま向けに、スマートフォン等のデバ イス、ネットワーク・クラウド等の多様なソリューションに加え、「TELEHOUSE」ブランドでのデータセンターサー ビス等を提供しています。
さらに、5GやIoTなどの技術を活用し、グローバル規模でお客さまのビジネスの発展・拡大に貢献するソリューションを、パートナー企業との連携によってワンストップで提供することで、お客さまのDXを共創しています。
また、日本国内の中小企業のお客さまについては、連結子会社のKDDIまとめてオフィスグループによる地域に密着したサポート体制を全国規模で実現しています。
<当期のトピックス>
●当社と株式会社ラック及び株式会社野村総合研究所は、クラウドやテレワークを活用した多様化する企業活動を支援するため、本年2月より、クラウドネイティブセキュリティ(※1)やゼロトラストセキュリティ(※2)の推進に向けた共創を開始しました。
企業のクラウドサービス導入/活用を安全・安心に実施するには、サイバーセキュリティ対策が必須です。また、テレワークなどITを活用した働き方の多様性を発揮するには、複数の通信デバイスの認証によるゼロトラストセキュリティが鍵となります。このような社会課題の解決に向け、3社は本共創により新たな技術分野に対するセキュリティソリューションの開発、開拓を進め、急速に進化する企業のデジタルトランスフォーメーションをサイバーセキュリティで支援し、日本のデジタル社会の発展に貢献します。
●当社は、2020年から提供しているノンスタンドアローン方式による5Gサービスに加えて、本年2月より、5G専用のコア設備と5G基地局を組み合わせた5G SA(スタンドアローン)を、法人のお客さま向けに提供開始しました。5G SAは、高速・大容量の通信に加え、5G専用の技術のみで設備を構成することにより、ネットワークスライシングなどの新たな機能を提供することができるようになります。
本年2月には、株式会社AbemaTVが運営する新しい未来のテレビ「ABEMA」と共同で、日本で初めて5G SAを活用した映像の生中継を実施しました。当社は、今後も5G SA時代のビジネスユースケースや新たなサービスの創出に向けた取り組みを進めていくとともに、映像中継のDXと新たな映像体験の実現を支援していきます。
●成長分野と位置付けているデータセンター事業では、2021年度にロンドンで接続性の強みに加え、カーボンニュートラル対応の「TELEHOUSE South」を新たに開業しました。加えて、東南アジアでの事業拡大に向け、欧州を中心に30年以上の実績がある「TELEHOUSE」ブランドを冠した「TELEHOUSE Bangkok」を、2023年春に新設します。国内外のコンテンツ事業者、通信事業者、エンドユーザーをつなぎ、今後も快適なデジタルライフの実現を支援していきます。
●株式会社J.D.パワー ジャパンによる「2021年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査(SM)」(※3)において、大企業・中堅企業市場部門総合満足度6年連続第1位に加えて、中小企業市場においても総合満足度第1位を2年連続で受賞しました。さらに、「2021年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査(SM)」(※4)<大企業市場部門>において総合満足度第1位を3年連続、「法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査(SM)」(※5)において総合満足度第1位を9年連続で受賞しました。
今後も、“社会の持続的な成長に貢献する会社”として、法人のお客さまのビジネスに貢献し、新しい体験価値を創造していきます。
当社は、法人のお客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただけることを目指し、事業の変革に取り組んでいきます。
※1 クラウドプラットフォーム上に作成されたアプリケーションに対し、クラウドの備える機能を活用してセキュリティを強化する考え。
※2 社内・社外のすべてのトラフィックを信頼せず、サービスのアクセス時などデバイスごとに検査、ログ取得を行うことで、セキュリティを強化する考え。
※3 出典:J.D. パワー 2021年 法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査(大企業・中堅企業市場(回答数2,482件)及び中小企業市場(回答数1,719件)による。jdpower-japan.com)
※4 出典:J.D. パワー 2021年 法人向けネットワークサービス顧客満足度調査<大企業市場部門>(回答数396件による。jdpower-japan.com)
※5 出典:J.D. パワー 2021年 法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査(回答数1,097件による。jdpower-japan.com)
ビジネスセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
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(単位:百万円) |
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2021年3月期 自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 |
2022年3月期 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
比較増減
|
増減率 (%) |
|
|
売上高 |
|
996,629 |
1,042,644 |
46,014 |
4.6 |
|
|
営業利益 |
|
167,486 |
186,049 |
18,563 |
11.1 |
当期の売上高は、前期と比較し、コーポレートDX・ビジネスDX・事業基盤サービスで構成されるNEXTコア事業の成長によるソリューション収入の増加等により、1,042,644百万円(4.6%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、売上高の増加等により、186,049百万円(11.1%増)となりました。
c. 財政状態の状況
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|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
比較増減 |
|
資産合計(百万円) |
10,535,326 |
11,084,379 |
549,053 |
|
負債合計(百万円) |
5,275,857 |
5,573,715 |
297,858 |
|
資本合計(百万円) |
5,259,469 |
5,510,663 |
251,194 |
|
親会社の所有者に帰属する持分(百万円) |
4,759,720 |
4,982,586 |
222,866 |
|
親会社所有者帰属持分比率(%) |
45.2 |
45.0 |
△0.2 |
|
1株当たり親会社所有者帰属持分(円) |
2,091.82 |
2,249.27 |
157.45 |
|
有利子負債残高(百万円) |
1,645,481 |
1,600,104 |
△45,377 |
(資産)
資産は、現金及び現金同等物等が減少したものの、金融事業の貸出金、有形固定資産等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、549,053百万円増加し、11,084,379百万円となりました。
(負債)
負債は、未払法人所得税等が減少したものの、金融事業の預金、営業債務及びその他の債務等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、297,858百万円増加し、5,573,715百万円となりました。
(資本)
資本は、親会社の所有者に帰属する持分の増加等により、5,510,663百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の45.2%から45.0%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
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(単位:百万円) |
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2021年3月期 |
2022年3月期 |
比較増減 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,682,166 |
1,468,648 |
△213,518 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△658,925 |
△761,593 |
△102,668 |
|
フリー・キャッシュ・フロー ※ |
1,023,241 |
707,056 |
△316,185 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△585,571 |
△727,257 |
△141,686 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
2,930 |
7,012 |
4,082 |
|
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
440,600 |
△13,189 |
△453,789 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
369,202 |
809,802 |
440,600 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
809,802 |
796,613 |
△13,189 |
※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前期と比較し、営業債務及びその他の債務や金融事業の預金の増加幅が小さくなったこと等により、213,518百万円減少し、1,468,648百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前期と比較し、金融事業の有価証券の取得による支出の増加等により、102,668百万円増加し、761,593百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前期と比較し、自己株式の取得による支出の増加等により、141,686百万円増加し、727,257百万円の支出となりました。
また、上記キャッシュ・フローに加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額により7,012百万円増加した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、13,189百万円減少し、796,613百万円となりました。
③ 営業実績
当連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
パーソナル |
4,669,993 |
1.9 |
|
ビジネス |
1,042,644 |
4.6 |
|
その他 |
84,114 |
15.1 |
|
セグメント間の内部売上高 |
△350,043 |
- |
|
合計 |
5,446,708 |
2.5 |
(注)金額は外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、国際会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)見積り及び判断の利用」に記載しております。
前連結会計年度末においては、新型コロナウイルス感染症による影響は、少なくとも2021年度を通して影響を及ぼすとの仮定をおいておりましたが、当社を取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続いていることから、当期の連結財務諸表の作成にあたって、今般の状況を踏まえ現時点で入手可能な情報に基づき、少なくとも2022年度を通して影響を及ぼすとの仮定に変更し、会計上の見積りを行っております。なお、当該変更による当期連結財務諸表への影響は軽微です。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
前期と比較し、端末販売収入やエネルギー事業収入の増加等により、5,446,708百万円(2.5%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 24.売上高」をご参照ください。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
前期と比較し、エネルギー事業原価や端末販売コストの増加等により4,407,127百万円(2.7%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 25.費用の性質別内訳」をご参照ください。
(その他の収益及びその他の費用)
補助金収入等2,902百万円、固定資産売却益1,658百万円の計上等により15,221百万円の利益(23.5%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 26.その他の収益及びその他の費用」をご参照ください。
(持分法による投資利益)
持分法適用関連会社のauカブコム証券株式会社における投資利益の増加等により、5,791百万円(18.6%増)となりました。
(営業利益)
以上の結果、営業利益は1,060,592百万円(2.2%増)となりました。なお、営業利益率は、前連結会計年度と同様の19.5%となりました。
(金融収益及び金融費用)
支払利息6,681百万円、受取配当金5,989百万円の計上等により、2,457百万円の利益となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 27.金融収益及び金融費用」をご参照ください。
(その他の営業外損益)
持分変動損益1,309百万円の計上等により、1,448百万円(40.5%減)の利益となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 28.その他の営業外損益」をご参照ください。
(法人所得税費用)
課税所得の増加等の影響により331,957百万円(0.2%増)となりました。なお、2022年3月期の法人税等負担率は31.2%となりました。法人所得税費用に関する詳細については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.繰延税金及び法人所得税」をご参照ください。
(非支配持分に帰属する当期利益)
主に株式会社エナリスの業績改善等の影響により、60,054百万円(9.0%増)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
上記の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は672,486百万円(3.2%増)となりました。
なお、報告セグメントの売上と営業利益の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループは、運転資金及び設備投資については、自己資金及び借入金等により資金調達することとしております。このうち、借入金等による資金調達に関しては、通常の運転資金については短期借入金で、設備投資などの長期資金は固定金利の長期借入金及び社債で調達することを基本としております。また金融事業については、資金調達やリスクアセットの削減を目標として、債権流動化を行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金等を含む有利子負債の残高は1,600,104百万円、現金及び現金同等物の残高は796,613百万円となっております。
流動性リスクとその管理方法につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記31.金融商品」に記載しております。
c.経営上の財務目標の達成状況について
当社グループは、事業環境の変化に迅速に対応しながら、持続的な成長を実現し、企業理念に掲げる「豊かなコミュニケーション社会の発展」に貢献するため、中期経営計画(2019-21年度)を策定しておりました。財務目標において、営業利益については、持続的な成長を目指し、EPSについては、2024年度1.5倍(2018年度比)の実現、株主還元については、安定的な配当を継続し、連結配当性向は40%超を掲げております。
当連結会計年度においては、通信サービスを中心に、成長事業を拡大していくことで、事業戦略の中核となる「通信とライフデザインの融合」をより一層進めたことにより、利益成長は概ね目標通り遂行し、期初予想の営業利益1兆500億円及び配当性向40%超を達成いたしました。
今後も営業利益の持続的成長と株主還元強化の両立を目指します。
当社は、2022年4月7日開催の取締役会において、2022年7月1日を効力発生日(予定)とし、当社の営むエネルギー事業に係る子会社の管理事業及び事業戦略の企画・立案・推進機能等を吸収分割により当社の連結子会社(完全子会社)であるauエネルギーホールディングス株式会社(2022年4月6日設立。以下「持株準備会社」)に対し承継し、また当社の営む電力小売に係る事業等を吸収分割により当社の連結子会社(完全子会社)であるauエネルギー&ライフ株式会社(2022年4月6日設立。以下「事業準備会社」)に対し承継することを決議し、2022年4月21日付で持株準備会社及び事業準備会社それぞれと吸収分割契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載しております。
当社グループは、2030年頃に開始が予定されている次世代通信システムBeyond 5G/6Gを見据え、先端技術の研究開発を推進してきました。また、2030年頃に向け、ライフスタイルのトランスフォームにつながる研究開発をLife Transformation(LX)テクノロジーと銘打ち、研究開発をあわせて推進してきました。こうした活動を通して、当連結会計年度における研究開発費の総額は、
以下、Beyond 5G/6G時代に向けた先端技術として、ネットワーク、セキュリティ、AI及びxRの各分野の主なトピックスをご紹介します。また、LXテクノロジーに関する主なトピックスをあわせてご紹介します。
1.ネットワーク
お客さま一人ひとりに応じた最適な通信を提供するためのBeyond 5G/6G時代のネットワークに資する技術として、光ファイバ通信技術、無線通信技術等の取り組みを進めております。
例えば、2021年7月には、光ファイバ中で生じる四光波混合現象(注)を利用して、光ファイバに入力した光信号成分を伝送後に9倍向上させる新たな伝送方式を発明し、その実証に成功しました。本方式は従来の伝送方式と比べて約3倍伝送容量を大きくすることができる画期的な発明であり、Beyond 5G/6Gネットワークを支える光ファイバ通信の伝送容量拡大に向けた基礎技術として今後の活用が期待されるものです。
また、2021年9月には、お客さま一人ひとりのニーズに応える無線ネットワーク展開技術の実証に成功しました。多数の基地局を少ない光ファイバで効率よく収容可能な光ファイバ無線技術「Intermediate Frequency over Fiber(IFoF)」と複数の基地局アンテナを連携させ個々のお客さまに対する無線信号の品質を最適化する基地局構成技術「Cell-Free massive MIMO」を組み合わせたもので、実証の成功は世界で初めてとなります。IFoF方式は、無線信号をデジタル化せずアナログ波形のまま伝送する方式であり、デジタル化に伴うモバイルフロントホール区間の大容量化の課題を解消することができるとともに、複数のアンテナ向けの無線信号を1本の光ファイバに集約してアンテナ付近まで伝送することで、必要とする光ファイバの長さや数を大きく削減することが期待されています。また、アナログ波形伝送では無線信号処理を集約局側に集中することで基地局アンテナ処理を軽減できることから、多数のアンテナの分散設置が必要なCell-Free massive MIMOにおけるアンテナ側装置の省電力化に寄与することも期待されています。
また、2021年10月には、株式会社ジャパンディスプレイと共同で、電波の反射方向を任意方向に変えられる28GHz帯液晶メタサーフェス反射板の開発に世界で初めて成功しました。これにより、超高速・大容量なサービスエリアを、周辺の電波環境の変化にあわせて拡張することが可能となり、お客さまの利便性の向上が期待されます。
(注)四光波混合現象:物質に光を入射した際、入射光の周波数とは異なる周波数の光が発生する現象である非線形光学効果の一種であり、2つの光波から周波数の異なる周波数が2つ発生し、計4光波となる現象
2.セキュリティ
Beyond 5G/6G時代及び量子コンピュータ時代の安心・安全を実現するため、新しい暗号アルゴリズムの研究開発を推進するとともに、その安全性に対する国際的なコンセンサスを得るために耐量子暗号を対象とする国際暗号解読コンテストに参加しています。
前者に関しては、2021年11月に、公立大学法人兵庫県立大学と共にBeyond 5G/6G時代に求められる処理性能と安全性を備えた新しい超高速共通鍵暗号アルゴリズム「Rocca」を開発しました。「Rocca」は逐次データの暗号化・復号を行うストリーム暗号であり、Beyond 5G/6Gが目標としている100Gbps超のストリームに対応するとともに、量子コンピュータによる解読への耐性を持たせるために256ビットの鍵長を具備しています。
一方、後者に関しては、仏国立情報学自動制御研究所(INRIA)による暗号解読コンテストにおいて、2021年9月に510次元のシンドローム復号問題を約593時間で解読し、世界記録を更新しました。更に、2022年2月には540次元のシンドローム符号暗号を79日で解読し、世界記録を再度更新しました。
3.AI
Beyond 5G/6G時代にサイバー空間と現実世界(フィジカル空間)の融合が進むことを想定し、現実空間特有の課題解決を行う「フィジカル空間指向AI」の研究開発を行うとともに、そのようなAIを安心して使えるようにするための「信頼できるAI」に関する取り組みを行っています。
前者の一環として、人流データとSNSデータの異なる2つのビッグデータから現実世界で起きたイベントを抽出する技術の研究論文が、モバイル・ユビキタス分野の国際会議Mobiquitous 2021にてBest Paper Awardを受賞しました。全く異なる2種のビッグデータを同時に解析し、人流データで検知された異常密集と、その原因に関連してTwitterに投稿された内容を自動的に紐づける手法を提案し、その有効性を被験者実験により評価したものです。これにより、災害や事故等の突発的に発生する事象について、その発生場所や規模、内容について、容易に把握できるようになるほか、将来的には影響予測への適用も期待されます。
一方、後者の一環として、2021年8月に「KDDIグループAI開発・利活用原則」を公表しました。当社グループの企業活動がAIの開発者および利用者の両方となりうることを踏まえ、開発者・利用者双方の視点の原則を整理し、国内外の各種原則を参考に両面で尊重すべき価値観を網羅的に反映したものとなっています。
4.xR
xRはサイバー空間と現実世界を融合させた結果を人間の知覚にフィードバックする技術の総称です。当社グループは、Beyond 5G/6G時代のコミュニケーションスタイルに変革をもたらす本分野の技術の研究開発を行っています。
例えば、2021年4月には、最新の国際標準映像符号化方式H.266|VVC(Versatile Video Coding)に対応したリアルタイムコーデックシステムを用いた8Kライブ伝送の実証実験に成功しました。また2021年12月、ビットレート12Mビット/秒、フレームレート60フレーム/秒での4K映像伝送の実証実験に成功し、現行放送の半分以下のビットレートに圧縮しても安定した映像品質を維持できることを確認しました。
一方、2021年11月には、五感の再現・表現技術を活用したインタラクションを実現するハプティクス(触覚技術)分野の研究開発の一環として、「身振り手振り」や「あいづち」、「肩や背中をなでる」といった相手と共感や一体感を生み出す身体的コミュニケーションが可能なソファ型コミュニケーションシステム「Sync Sofa(シンクソファ)」を開発しました。「Sync Sofa」は、ソファに搭載した複数の加速度センサーならびにマイクロホンからの信号をもとに、オンライン上の相手の動作や反応を表現する複雑で微細な触感をリアルタイムに合成し、複数の振動アクチュエーターにより音と連動した形で人体の広範囲に提示することができます。さらに、自身の視点位置に応じた相手の見え方をディスプレイ上に忠実に再現します。これらの触覚・聴覚・視覚の再現により、オンライン上の相手と隣り合う感覚を提供します。
5.LXテクノロジー
「メタバース」「モビリティ(含ドローン)」「宇宙・衛星通信」「ヘルスケア」など、様々な分野で、生活者目線に立ちライフスタイルを変革に導く研究開発を推進しています。
● メタバース:
当社グループでは、現実世界における体験価値をxR技術等を活用しバーチャル空間に拡張することを目的とした「都市連動型メタバース」を指向しております。あらゆる場所からのバーチャルの都市への参加やアバターを活用した表現の拡張が可能となるのに加え、バーチャル空間と現実世界との連動を通じた価値の創出が期待されます。
他方で、発展途上であるメタバースでは整理・議論すべき論点が多数あるため、東急株式会社、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社、一般社団法人渋谷未来デザインらと共に「バーチャルシティコンソーシアム」を設立し、メタバースの運用・利用指針を整備したガイドラインを策定しています。
● モビリティ(含ドローン):
地域による移動・物流格差や災害時の緊急物資輸送などの問題を解消するため、ドローンを含むモビリティ技術の検討を進めております。
例えば、愛知県春日井市、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学と共に、愛知県春日井市高蔵寺ニュータウン地区における新モビリティサービスによる地域活性化を目的として、自動運転車による人の送迎と商品の配達を同一車両を用いて行う、貨客混載型の自動運転×MaaSの実証実験を2022年2月~3月に実施しております。人の送迎と商品の配達という配車要件の異なる移動サービスを組み合わせ、きめ細やかな停留所配置により住民の自宅近くまでの送迎・配達をオンデマンド型の自動運転で実現するという新しい試みです。
また、高所や水中における作業の危険性回避等を目的とし、2021年6月、「水空合体ドローン」を世界で初めて開発しました。これまでも水中作業用ドローンは存在していますが、水上にドローンを運ぶために船に搭載するなど多くの手間がかかります。水空合体ドローンは目標の地点まで空中で水中作業用のドローンを運び、そのまま水中で作業させることが可能であるため、気軽に水中作業用ドローンを活用でき、海中の養殖場の確認や洋上設備の点検など幅広い分野での活躍が期待されます。
● 宇宙・衛星通信:
災害時でも問題なくつながる通信インフラを目指し、SpaceX社の衛星ブロードバンド「Starlink」と業務提携を行いました。災害時以外にもあらゆる場所で通信が可能となり、新たな体験の創出に貢献します。
● ヘルスケア:
当社グループでは、スマホを安心・安全に使っていただくために、2021年10月、国立大学法人東京医科歯科大学と共に、同大学のネット依存外来の患者を対象に「スマホ依存」の改善に向けた特定臨床研究を開始しました。本研究に先立ち、「スマホ依存」の実態解明を加速させるため、2020年7月から株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と共同で、脳神経科学・AIを活用した「スマホ依存」の改善・予防と、新型コロナウイルス感染症によるライフスタイルの変化が「スマホ依存」、「ゲーム障害」などに与える影響調査に関する研究を継続して推進しております。