第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)当社の経営に対する考え方

当社は、放送の公共的使命と社会的責任を常に認識し、放送メディアを中心とした様々な事業を通じて国民の皆様の豊かな生活に貢献することを経営の基本方針としています。コンテンツの制作やエンタテインメントの提供者として、信頼される報道機関として、また都市開発・観光の担い手として、将来にわたり社会から求められる企業グループであるために、環境の変化に的確に対応し永続的な事業運営に努めてまいります。

 

(2)経営環境に対する認識と当社の課題

当社グループは、景気変動や経営環境の変化による業績への影響を最小限にとどめ、安定して収益を獲得しながら持続的な成長を図ることを目的に、バランスの取れた事業ポートフォリオの形成を目指しています。コロナ禍からの回復時期が見通せず不透明な経営環境が続く中、当社は、経営の効率化を進めるとともに新規の収益機会の創出に取り組み、経営基盤の一層の強化を図ってまいります。

メディアへの接触のあり方は生活様式の変化とともに変わりつつあり、広告主によるマーケティングや広告の手法も広がりを見せています。今後は動画配信の拡大やインターネット広告の伸長が放送メディアに影響を及ぼすことが予想されますが、こうしたメディア環境の変化はコンテンツの表現方法や伝達手段の多様化につながり、当社グループの強みを生かした成長の機会にもなると捉えています。

一方、都市開発・観光事業においては、大型台風や集中豪雨等の自然災害、あるいは今般のコロナ禍など感染症による個人や企業の活動の制限が、今後も業績に大きく影響する事態が想定されます。当社としては、財務の健全性を確保しながら、新たな生活様式における企業活動や生活者の動向を踏まえた開発投資を進めてまいります。また観光事業は昨年来、需要の消失により業績が大幅に低下していますが、長期的な視点でコロナ収束後の成長に向けて投資を継続していく方針です。

 

(3)各事業における取り組み

① メディア・コンテンツ事業

当連結会計年度は第2四半期までコロナの影響を強く受け、テレビやラジオの広告収入が減少したほか、グループの多くの事業会社でイベントやライブエンタテインメント関連の売上が大幅に落ち込みました。しかし下期にはスポット広告収入が前年同時期を上回るまで回復したのに加え、主要子会社でコンテンツを活かした配信や配分収入、通信販売事業などが好調に推移し、通期ではメディア・コンテンツ事業全体でほぼ前期並みの営業利益を確保することができました。引き続きコンテンツのプロダクション機能とコンテンツホルダーとしての機能を活かして収益機会を広げてまいります。

一方、生活様式の変化に伴い動画配信への需要が伸びており、リアルタイムでのテレビ視聴が今後徐々に減少していく可能性も踏まえ、㈱フジテレビジョンでは、放送や配信など様々なメディアを通じて番組コンテンツを視聴者・利用者に送り届け、データマーケティングなど広告主のニーズに応えていくことにより、テレビとインターネットの広告市場においてシェアの拡大を目指します。また、映画、イベント、アニメ、ライツビジネスなど多様なコンテンツとIP(知的財産)の開発・活用により収益を獲得していきたいと考えています。

㈱ポニーキャニオンは、CDやDVDなどパッケージ販売の縮小を受けた事業構造の改革が実を結び、音楽配信やアニメ作品の製作、アーティスト関連のグッズの開発販売などノンパッケージセールスで高い収益を獲得できるようになりました。コロナによりライブエンタテインメント事業は影響を受けましたが、配信収入や自社コンテンツの配分収入、グッズの通信販売が大いに貢献し、前期を上回る業績をあげています。

㈱DINOS CORPORATIONは、通信販売のマーケット全体が拡大する機会を捉え、生活関連商品や美容健康商品の販売が好調に推移して業績を大きく伸ばしました。2021年3月には旧セシール事業を分割譲渡し、今後は従来のカタログ通販に加え強みであるテレビ通販と成長が期待できるインターネット通販に経営資源を集中して一層の効率化と高収益化を図る方針です。

 

 

② 都市開発・観光事業

一定の財務規律を堅持しながら長期的な視点で将来の収益拡大を目指した投資を継続してまいります。都心部のオフィスビルの賃貸事業は堅調ですが、リモートワークの更なる普及・定着によるオフィス需要の動向には注視が必要で、長期的な予想をもとに必要に応じて保有資産のポートフォリオを最適化していく方針です。同時に、安定した需要がある都市部の賃貸住宅の開発や、成長が見込まれる物流施設ビジネスなど新たなニーズの発掘、また2024年に開業を目指す須磨海浜水族園の再整備事業など魅力ある空間への集客機会の創出等の取り組みを進めます。

我が国の豊かな観光資源への潜在的なインバウンド需要は大きく、観光分野は中長期的に高い成長を期待できる分野と考えています。引き続きリスクをコントロールしながら開発投資を行ってまいります。

 

(4)ESG、サステナビリティへの取り組み

公共性の高いメディア企業として、積極的にSDGsを推進しています。2018年4月に当社が国連グローバル・コンパクトに署名したのに続き、㈱フジテレビジョン、㈱ビーエスフジ、㈱ニッポン放送は「SDGメディア・コンパクト」に署名して番組を通じた活動に努めています。2021年3月には、地上波テレビ、BSテレビ、ラジオの3つのメディアが連動した音楽・バラエティ・ドキュメンタリーなどの番組企画を展開しました。

当社は、永続的な企業活動と安定した経営の維持に向け、ガバナンスと法令遵守の強化に努めてまいります。視聴者の皆様やお客様、取引先、そして株主の皆様などすべてのステークホルダーとの信頼関係を堅持しながら、SDGsへの取り組みに向けて、メディアグループとしての役割を果たしてまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要リスクは、以下の通りであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

当社では、「グループのコンプライアンス及びリスクの管理等に関する規程」(以下「グループコンプライアンス等規程」という)等に基づき、当社グループの代表取締役社長を構成メンバーとする「グループのコンプライアンス及びリスクの管理に関する委員会」を組織化すること等により、グループ経営に重要な影響を与えるリスクに対して適切な管理を行っております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) メディア・コンテンツ事業に関するリスク

①景気変動等による影響

当社グループのメディア・コンテンツ事業の中核である放送事業の売上高の多くはCM枠の販売による広告収入で構成されています。今後、景気変動のほか大規模災害や新型コロナウイルス等感染症の拡大その他の様々な要因に基づき国内景気が悪化するなどして国内の総広告費が減少した場合、CM枠の販売価格を決定する上で重要な要素である視聴率が低下した場合、そのほか当社グループの他のメディア及びコンテンツ関連事業において景気悪化等の影響が波及した場合には、当社グル-プの業績等に負の影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに関して、当社グループでは、㈱フジテレビジョンを中心に収益力を強化するメディア・コンテンツ事業と、投資を拡大し中長期的に一層の成長を目指す都市開発・観光事業をグループの二つの柱と位置付け、さらに新規分野の開拓を目指す方針としております。

当方針に基づき、当社グループは一つの事業に頼ることなく、多種多様な事業を展開し、強固な事業ポートフォリオを構築することで、安定的に互いのビジネスを補完しあい、バランスのよい成長を目指しております。

②メディア・コンテンツ事業を取り巻く競争環境

昨今、インターネットでの動画配信や音楽配信、動画広告が飛躍的に拡大し、視聴者のコンテンツへの接触方法も多様化が進んでいます。こうしたメディアの多様化により、視聴者による既存のメディアへの視聴時間が減少し、媒体価値が低下した場合には、当社グル-プの業績等に負の影響が生じる可能性があります。

当該リスクに関して、当社グループでは、配信関連事業の拡大について大きな経営課題と認識しており、将来のメディア戦略や配信等の新たなビジネスモデルを検討の上、推進していく方針としております。放送と配信がシームレスにつながる新たな視聴スタイルの提案や、データマーケティング、広告配信技術の活用など、利用者の目線に立ったサービスと、広告主のニーズに応えるビジネスモデルの構築によって、新たな収益の柱に成長させていくことを目指し、投資の拡大も含め検討を進めていきます。

 

(2) 都市開発・観光事業に関するリスク

都市開発・観光事業は、景気変動のほか大規模災害や新型コロナウイルス等の感染症の拡大その他の様々な要因に基づく景気動向の影響を受けやすく、中でも中核事業であるビル事業・資産開発事業・住宅事業は、国内経済情勢と連動した不動産市況の動向によっては、空室の発生・賃料水準の下落及び販売価格の下落により当社グループの業績等に負の影響が生じる可能性があります。

また、観光事業においても、景気の悪化等によるインバウンドを含む旅行・観光需要の減少、国際情勢の変化等により利用客が減少し、当社グループの業績等に負の影響が生じる可能性があります。

当該リスクに関して、当社グループでは、本事業に加えて、㈱フジテレビジョンを中心に収益力を強化するメディア・コンテンツ事業をグループの二つの柱と位置付け、さらに新規分野の開拓を目指す方針としており、事業ポートフォリオとしてのバランスのよい成長を目指していきます。また、本事業の中核であるビル事業・資産開発事業・住宅事業では、一定の財務規律のもとで、資産の開発や売却、さらにはREITを活用した保有資産リスクの分散化など経営環境に応じた保有資産の見直し等によりリスクを適切にコントロールしております。観光事業は、我が国の豊かな観光資源への潜在的なインバウンド需要は大きく、中長期的に高い成長を期待できる分野と考えています。引き続きリスクをコントロールしながら長期的な視点で投資を継続していく方針です。

 

(3) 設備投資及び投資等について

当社グル-プは、持続的な成長を促進していくために、適切な設備投資及び投資を継続し、当社グループ事業の強化を図る方針ですが、投資額に見合う十分な利益を確保することができない可能性もあります。

当該リスクに関して、当社グループでは、設備投資及び投資について専門部局をメンバーとする会議体や専門部署等を配するなどして、専門的見地から検討を進めることとしております。なお、大型の出資・投資案件については、経営会議にも付議し、取締役会でも決議を行う等、複数のチェック体制を確保し、慎重かつ多角的に検討する仕組みとしております。

 

 (4) 当社グループ事業に対する法的規制に関するリスク

当社は、放送法に基づく認定放送持株会社として総務大臣の認定を受けております。認定放送持株会社の認定には放送法で定める要件に適合する必要があり、当該要件に適合しなくなった場合は、認定を取り消される可能性があります。また、当社グループの中核事業である放送事業では、放送法・電波法に基づく放送免許又は認定を受け、事業を行っております。

仮に法令に基づく認定若しくは放送免許の取消し等の処分を受けた場合又は再免許を受けることができなかった場合は、当社グループの業績等に負の影響を及ぼす可能性があります。当社では、要件や認定条件への適合状況についてモニタリングとチェック体制を強化し適切な運用を図るよう努めております。

当社グループでは、グループ経営に重要な影響を与える法的な問題及びリスクに対しては、グループコンプライアンス等規程に基づき、取締役及び使用人等の法令順守について適切な体制を構築しております。また、当社では内部監査規程に基づき、当社の内部監査部門が、当社グループのコンプライアンスの状況を定期的に監査しております。

 

(5) 大規模災害等による事業継続に関するリスク

大規模災害等により、当社グループの中核である放送事業において、番組を放送するために使用している放送機材及び放送施設に障害が発生した場合や、その他イベントや映画における興行の中止や減少、通信販売事業、映像音楽事業などにおける商品等の製造、調達や流通への被害、都市開発・観光事業における保有・開発資産の毀損等が発生した場合には、当社グループの業績等に負の影響が生じる可能性があります。

当該リスクに関して、当社グループでは、放送設備等に障害が発生した場合でも、バックアップ用放送設備または放送用リース設備の代替システムの利用等により放送を継続する仕組みを備えております。ただし、既存対応では対処しきれない自然災害が発生した場合等は、放送を長期間停止するリスクが想定されます。

なお、当社グループでは、年に数回、安否回答確認訓練やBCP訓練を定期的に開催し、平常時から防災意識の向上と連絡体制の確認に努めております。

 

(6) 個人情報の取扱いに関するリスク

当社グループは、視聴者情報、番組出演情報、通信販売事業ほか各事業における顧客情報などのデータベースを管理・運営しておりますが、当該情報が外部から不正にアクセスされた場合や、個人情報の外部流出等が発生した場合には、当社グループの業績及び企業としての社会的信用に悪影響を与える可能性があります。

当該リスクに関して、当社グループでは、データベースにおける顧客等の個人情報について社内でのアクセス権限を設定するなどその取扱いには十分な注意を払い、セキュリティの強化に努めております。

 

(7) 新型コロナウイルス感染症の影響継続に関するリスク

新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞により、当社グループの各セグメントの事業活動に影響が生じています。メディア・コンテンツ事業では、広告市況の悪化により広告収入が減少しているほか、主催イベントの延期・中止、劇場映画の公開延期などの影響を受けています。都市開発・観光事業では、インバウンドを含む観光需要の減少、国内の移動自粛等によりホテルやレジャー施設等の利用者が減少するなどの影響を受けています。当社グループでは、当該感染症の影響について事業遂行上の主要なリスクとして認識しており、徹底した感染防止策を図りつつ営業活動を行うなど、今後の感染状況を注視しながら、最小限の影響にとどめるよう努めてまいります。

また、その他にも当社グループの従業員に新型コロナウイルスの感染が拡大した場合、一時的に当社グループ事業の活動に支障が生じ、当社グループの業績等に負の影響が生じる可能性があります。当社グループではこれらのリスクに対応するため、予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。

特に当社グループの中核である放送事業において、㈱フジテレビジョンでは、社長を本部長とする新型コロナウイルス感染対策本部を設置し、在宅勤務、出張制限、毎日の検温のほか職場環境ガイドラインの策定・実践など、従業員の安全と健康を最優先にした対応の徹底や、感染者が発生した場合のBCP対策を整備し、新型コロナウイルスの影響の極小化を図っております。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

①財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の概況)

政府の月例経済報告によると、当連結会計年度の日本経済は「先行きについては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直していくことが期待される。ただし、感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある。」と記されており、企業の業況判断は「厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる」とされております。

当社グループにおいても、当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、広告収入の減少や観光需要の低下、イベントの中止・延期など少なからず影響を受けましたが、一方では、在宅機会の増加に伴う需要もありました。

こうした状況の中、当社グループの当連結会計年度の売上高は、メディア・コンテンツ事業、都市開発・観光事業がともに減収となり、全体では前年同期比17.7%減収519,941百万円となりました。

営業利益も、メディア・コンテンツ事業、都市開発・観光事業がともに減益となり、前年同期比38.2%減益16,274百万円となりました。経常利益は前年同期比36.0%減益22,295百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に計上した投資有価証券売却益が増加した一方で、前連結会計年度に計上した厚生年金基金代行返上益の反動減や特別損失に計上した減損損失の増加などにより、前年同期比75.5%減益10,112百万円となりました。

 

報告セグメントの業績の状況は以下の通りであります。

 

 

売 上 高

セグメント利益

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

(百万円)

(百万円)

(%)

(百万円)

(百万円)

(%)

メディア・

コンテンツ事業

515,334

439,466

△14.7

13,924

13,723

△1.4

都市開発・観光事業

110,749

76,048

△31.3

13,706

3,728

△72.8

その他事業

19,335

17,510

△9.4

595

444

△25.3

調整額

△13,936

△13,083

△1,885

△1,622

合  計

631,482

519,941

△17.7

26,341

16,274

△38.2

 

 

(メディア・コンテンツ事業)

当社グループの中核子会社である㈱フジテレビジョンの放送収入は、新型コロナウイルス感染症による影響を受け、186,666百万円で前年同期比12.4%の減収となりました。

主力の放送事業のうち、全国放送を対象とするネットタイムセールスは「全日本フィギュアスケート選手権2020」、「世界フィギュアスケート選手権2021」が貢献したものの、大型単発番組の中止、延期が相次ぎ、レギュラー番組の減収を補うことはできませんでした。その結果、ネットタイムセールスの売上高は67,955百万円で前年同期比13.8%の減収となりました。

関東地区への放送を対象とするローカルタイムセールスは、セールス区分の変更などもあり、売上高は11,579百万円で前年同期比6.0%の減収となりました。

スポットセールスは、企業の業績悪化の影響を受けて広告市況が低迷した影響から落ち込み、下期は回復傾向を見せたものの、通期では前年を下回りました。業種別では19業種のうち前年を上回ったのは「アルコール飲料」、「電話サービス」など4業種にとどまり、「交通・レジャー・観光」、「金融・保険」、「出版・エンタテインメント」などが前年を下回りました。その結果、スポットセールスの売上高は76,175百万円で前年同期比14.9%の減収となりました。

その他事業では、「FOD(フジテレビオンデマンド)」が好調なデジタル事業とビデオ事業が前年を上回ることができました。映画事業において「コンフィデンスマンJPプリンセス編」の配給収入や二次利用収入が貢献したものの前期に届かず減収となりました。イベント事業においては中止や延期の影響を受けたことから減収となりました。その結果、その他事業の売上高は30,910百万円で前年同期比27.3%の減収となりました。

以上により、㈱フジテレビジョン全体の売上高は、前年同期比14.9%減収217,577百万円となりました。営業利益は前年同期比29.2%減益5,071百万円となりました。

㈱ビーエスフジは、スポットは好調でしたがタイムの落ち込みやイベントの中止・延期などで減収となりましたが、利益面では番組原価など営業費用がおさえられたことから増益となりました。

㈱ニッポン放送は、ラジオ通販事業が好調でしたが、主力の放送事業が減収となり、減収増益となりました。

㈱ポニーキャニオンは、音楽配信や旧譜販売は堅調でしたが、新作のリリースが少なかったためパッケージ販売全体では減収となった他、イベント収入も新型コロナウイルス感染症による影響を受け、売上高全体で減収となりました。利益面では原価率が改善し販管費も低減したことから増益となりました。

㈱フジパシフィックミュージックは、著作権使用料収入が配信を中心に伸びたことに加え、原盤使用料収入も堅調でしたが、前期開催したライブツアーの反動減でマネージメント収入が減収となり、減収増益となりました。

㈱ディノス・セシールは、2021年3月にセシール事業を売却し、商号を㈱DINOS CORPORATIONへ変更しました。

ディノス事業は、テレビ通販で美容健康商材を中心に引き続き好調を維持した他、在宅需要等を背景に家庭用品や家具などが好調で増収となりましたが、㈱DINOS CORPORATION全体としてはセシール事業を期中で売却したことにより減収となりました。利益面では販管費抑制にも努め、大幅増益となりました。

㈱クオラスは、広告収入が低調だったことで、減収減益となりました。

㈱フジゲームスは、スマートフォンゲームが苦戦し営業損失を計上しましたが、赤字幅は縮小しました。

以上の結果、メディア・コンテンツ事業全体の売上高は、前年同期比14.7%減収439,466百万円となり、セグメント利益は同1.4%減益13,723百万円となりました。

 

(都市開発・観光事業)

㈱サンケイビルは、ビル事業が増収となりましたが、住宅事業において分譲マンション販売が減少し、資産開発事業における不動産販売収入も減少し、全体で減収減益となりました。

㈱グランビスタホテル&リゾートは、新型コロナウイルス感染症による影響で、インバウンド含む旅行・観光需要の減少を受けて減収となり、営業損失を計上しました。

以上の結果、都市開発・観光事業全体の売上高は、前年同期比31.3%減収76,048百万円となり、セグメント利益は同72.8%減益3,728百万円となりました。

 

(その他事業)

その他事業全体の売上高は前年同期比9.4%減収17,510百万円、セグメント利益は同25.3%減益444百万円となりました。

 

持分法適用会社では、伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱、フジテレビ系列局、日本映画放送㈱、㈱WOWOW、㈱産業経済新聞社などは持分法による投資利益に貢献しました。

 

(財政状態の概況)

当期末の総資産は1,336,042百万円となり、前期末比81,429百万円6.5%)増加しました。

流動資産は412,709百万円で、前期末比11,323百万円2.7%)減少しました。これは主に、現金及び預金が28,724百万円増加した一方で、受取手形及び売掛金が19,195百万円、たな卸資産が11,322百万円、有価証券が8,730百万円減少したこと等によるものであります。

固定資産は923,333百万円で、前期末比92,986百万円(11.2%)増加しました。これは主に、投資有価証券が上場株式の含み益の増加等により74,960百万円、建物及び構築物が14,947百万円増加したこと等によります。

負債は551,612百万円で、前期末比42,574百万円8.4%)増加しました。

流動負債は140,013百万円で、前期末比26,071百万円(15.7%)減少しました。これは主に、短期借入金が23,891百万円減少したこと等によります。

固定負債は411,599百万円で、前期末比68,646百万円(20.0%)増加しました。これは主に、流動負債への振替により社債が10,000百万円減少した一方で、長期借入金が64,700百万円増加したことや、上場株式の含み益の増加等により繰延税金負債が18,068百万円増加したこと等によります。

純資産は784,429百万円で、前期末比38,855百万円(5.2%)増加しました。これは、自己株式を9,999百万円取得し、剰余金の配当を9,325百万円行った一方で、上場株式の含み益の増加等によりその他有価証券評価差額金が45,594百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益10,112百万円を計上したこと等によります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当期における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、45,844百万円の収入となり、前期比28,990百万円172.0%)の収入増加となりました。これは、税金等調整前当期純利益が35,564百万円減少した一方で、退職給付に係る負債の増減額が18,314百万円の支出減少、売上債権の増減額が16,344百万円の収入増加、たな卸資産の増減額が15,915百万円の収入増加となったこと等によります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、26,613百万円の支出となり、前期比7,293百万円21.5%)の支出減少となりました。これは、投資有価証券の売却及び償還による収入が10,214百万円減少、有価証券の売却及び償還による収入が8,704百万円減少、有形固定資産の取得による支出が5,612百万円増加した一方で、有価証券の取得による支出が34,374百万円減少したこと等によります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、20,395百万円の収入となり、前期比12,007百万円の収入増加となりました。これは、長期借入金の返済による支出が12,642百万円増加した一方で、長期借入れによる収入が31,137百万円増加したこと等によります。

以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、118,591百万円となり、前期末に比べ38,621百万円48.3%)の増加となりました。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

自己資本比率(%)

56.3

56.7

56.5

58.6

57.9

時価ベースの自己資本比率(%)

29.9

33.7

27.4

19.9

22.6

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)

4.2

4.6

2.1

14.7

6.3

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

31.0

38.4

90.2

14.4

33.5

 

(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産

2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※  各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※  株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※  キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

※  有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

※ 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を2019年3月期の期首から適用しており、2018年3月期の指標については遡及適用後の数値を記載しております。

 

③生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

該当事項はありません。

 

(b) 受注実績

該当事項はありません。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

メディア・コンテンツ事業

439,466

△14.7

都市開発・観光事業

76,048

△31.3

その他事業

17,510

△9.4

調整額

△13,083

519,941

△17.7

 

(注) 1  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

㈱電通

92,725

14.7

79,399

15.3

㈱博報堂DYメディアパートナーズ

66,504

10.5

53,574

10.3

 

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通り、新型コロナウイルス感染症による広告収入の減少や観光需要の低下、イベントの中止・延期などから大きな影響を受けました。一方では、在宅機会の増加に伴う需要も取り込むことができましたが、連結業績全体では減収減益となりました。

当連結会計年度は、2018年5月15日に公表した中期経営計画の最終年度にあたりましたが、その定量目標については、2020年11月12日付四半期報告書に記載の通り、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う大きな経営環境の変化と当社グループの状況から取り下げることといたしました。同中期経営計画で掲げた各施策については、㈱フジテレビジョンにおける固定的な費用の見直しや番組制作費の効率的運用、放送事業収支の拡大に向けた取り組みなどの構造改革また、事業ポートフォリオの強化の一環としての㈱DINOS CORPORATIONにおけるセシール事業の譲渡など、その取り組みを継続してまいりました。

当社グループでは、引き続き、グループの収益力・経営基盤の強化の取り組みを継続するとともにメディア環境の変化に対応し構造改革を実施してまいります。

 

(セグメント区分別の分析)
(メディア・コンテンツ事業)

メディア・コンテンツ事業の経営成績等の状況に関する認識については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。

在宅需要を取り込み家庭用品や家具などが好調だった㈱DINOS CORPORATIONや、旧作パッケージや配信が好調に推移した㈱ポニーキャニオンなど、これまでの取り組みの成果やコロナ禍での消費者動向の変化により営業増益を果たしたグループ会社がある一方で、中核子会社である㈱フジテレビジョンをはじめ複数のグループ会社では、広告収入の減少、主催イベントの中止・規模縮小、劇場映画の公開延期等により減収減益となりました。メディア・コンテンツ事業では、今後も新型コロナウイルス感染症の感染状況を注視しながら、引き続き事業環境に応じた改革を中期的に進めるとともに、㈱フジテレビジョンを中心にグループ各社の事業の連動を促し、セグメントが一体となった効率的な運用によって、収益力・経営基盤の強化を図っていきます。また、強力なコンテンツ制作力をもとに、外部向けのプロダクション機能とコンテンツホルダーとしての収益拡大を推進していきます。

 

(都市開発・観光事業)

都市開発・観光事業の経営成績等の状況に関する認識については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。

特に、㈱グランビスタホテル&リゾートにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響による観光需要の激減を受け売上高は大幅な減収となり、人件費圧縮など費用削減に努めましたが営業赤字が前連結会計年度を大幅に上回る結果となりました。また、㈱サンケイビルにおいては、ビル事業は増収になったものの、前連結会計年度のREITへの大型物件の売却の反動や、販売戸数の減少による住宅事業の減収などを賄うことが出来ず、全体では減収減益となりました。

このように都市開発・観光事業は、新型コロナウイルス感染症の影響を特に強く受けており、当面はこの影響が継続し、事業を取り巻く環境は不安定な状況が継続すると認識しておりますが、我が国の豊かな観光資源への潜在的なインバウンド需要は大きく、中長期的には高い成長を期待することが出来る事業領域であると認識しています。新型コロナウイルス感染症等が及ぼす今後の観光需要やオフィス需要への影響を見極めつつ、財務の健全性を確保した上で長期的な視点で投資を継続していきます。

 

(その他事業)

その他事業の経営成績等の状況に関する認識等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。

 

 

② 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループは、グループ各社の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すため、健全な財務体質と資本効率の向上を両立させながら、成長分野への投資を推進し、株主還元の充実を図っていくことを財務戦略の基本方針としています。

メディア・コンテンツ事業の中核をなす㈱フジテレビジョンは、大規模災害や疾病等の事業上のリスクにより大幅な収入減が長期間生じた際にも、社会的なインフラとして放送を継続する役割を担っており、それを可能とする強固な財務体質と十分な手元流動性を確保しております。併せて都市開発・観光事業では、2020年初頭に発生した新型コロナウィルス感染症の終息後を見据えて、REITを通じた戦略投資や観光需要回復に向けた成長投資への資金確保が必要になると考えております。

自己資本比率、有利子負債残高、ROE等の指標を注視して、一定の財務健全性を確保しながら資本効率を高め、グループ全体の企業価値向上に努めてまいります。

(資金需要の内容)

当社グループの資金需要は、営業活動に関わる支出として、放映権の取得費用、番組制作のための人件費、外注費、著作権等の使用料、通信販売商品の仕入、新規不動産の取得ならびに開発費、既存ビルの設備改修ほか、販売費及び一般管理費(代理店手数料、宣伝広告費、人件費等)があります。

また投資活動に関わる支出として、コンテンツ制作力の増強を図るための放送用設備・機器等の設備投資、メディア戦略強化のための投資資金、グループの資本政策に伴う株式の取得資金等があります。

(資金調達)

当社グループの事業活動を維持し拡大していくためには資金の安定的な確保が求められますが、そのために内部資金を中心に外部資金も有効に活用しております。効率的な投資を可能にするために現在20,000百万円の社債を発行しておりますが、更に機動的な資金調達をすべく50,000百万円の社債発行登録枠を確保しております。また都市開発・観光事業では建物及び土地の調達にあたり、一定の財務規律の下、金融機関からの借入を活用しています。併せて安定的な外部資金調達を図るために、格付投資情報センターより格付を取得しており、本報告書提出時点でシングルAプラス(安定的)となっております。当社グループは強固な財務体質を有しており、さらに営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力が高いことから、当社グループの成長を維持するための運転資金、設備投資及び投融資に要する資金を調達することは可能と認識しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループにおいて、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えている会計上の見積りに係る項目は、以下の通りであります。

なお、会計上の見積りに係る項目のうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響に重要性があると判断している都市開発・観光事業におけるたな卸資産評価損と固定資産の減損損失につきましては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に算出方法や主要な仮定等の詳細を記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響についての考え方についても当該箇所に記載しております。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の検討にあたり、各課税主体ごとに将来の課税所得を合理的に見積もり、回収可能性がないと判断した部分については評価性引当額を計上しております。将来の課税所得の見積りは、当連結会計年度末時点で予測可能な合理的な将来課税所得見込額とタックスプランニングに基づいておりますが、今後の業績の変動により見積りと実績が乖離する可能性があります。この場合、繰延税金資産の取崩等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。

 

(退職給付に係る資産及び負債)

当社及び一部の連結子会社では確定給付型の退職金制度を採用しており、退職給付債務算定において原則法を採用しています。退職給付債務算定における数理計算は、割引率、退職率、死亡率、予想昇給率などの計算基礎に基づいており、割引率は安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しております。また、年金資産の長期期待運用収益率は、年金資産が退職給付の支払に充てられるまでの時期、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して決定しております。これらの前提条件の見積りと実績の差異は、数理計算上の差異として計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。

 

4 【経営上の重要な契約等】

1.本社建物の賃貸借契約について

当社は当社が所有する本社建物を、連結子会社である㈱フジテレビジョンに賃貸する賃貸借契約を締結しております。契約の概要は以下の通りです。

 

契約会社名:㈱フジ・メディア・ホールディングス

契約相手方:㈱フジテレビジョン(連結子会社)

賃貸借物件:フジテレビ本社ビル

契約期間 :2018年10月1日から2年間、期間満了以降は2年毎に自動更新

 

2.㈱DINOS CORPORATION(旧㈱ディノス・セシール)によるセシール事業の譲渡について

当社の連結子会社である㈱DINOS CORPORATION(旧㈱ディノス・セシール)は、2020年11月26日付で同社及びその子会社が行っている「セシール」ブランドの通信販売に関する事業をニフティ㈱に譲渡する契約を締結し、2021年3月1日付で譲渡を実行いたしました。取引の詳細につきましては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載しております。

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、研究開発を戦略的事業の一環として捉え、放送・配信や番組制作の各分野において、技術的優位性を確保し、魅力的なサービスに発展させるため、先進技術の導入に積極的に取り組んでおります。また、これらの活動を通じ、広くICT分野の発展に貢献しています。

(メディア・コンテンツ事業)
 メディア・コンテンツ事業における研究開発活動は主に、テレビ放送事業を行う㈱フジテレビジョンに係るものであります。当連結会計年度における成果は次の通りであります。
 インターネット技術等の技術革新とスマートフォンやタブレット型端末の普及により、動画視聴形態やコンテンツへのニーズが多様化しました。また、データ解析技術、クラウド、AI、5G技術の活用等は、放送業界でも重要性が高まっており、これらの技術の研究開発に、以下の2つを柱として取り組んでおります。
 ①放送・配信分野におけるビジネスモデルを支える技術についての研究開発
 ②番組制作分野における付加価値向上と制作効率化を実現する技術についての研究開発

 放送・配信分野では、テレビ上での見逃し配信動画視聴の利便性向上を目的とした、放送通信連携技術や、ライブ配信での広告挿入技術や低遅延配信技術の研究開発に取り組んでいます。また、大規模なテレビ視聴データを安全に収集できるシステムを構築し、視聴者ニーズを捉えた番組制作や、マーケティング戦略への活用方法を研究しています。

 番組制作分野においては、コロナ禍において必要不可欠な遠隔制御での番組制作システム構築を目的に、クラウドと5Gを活用した番組制作方法「CNG(クラウド・ニュース・ギャザリング)」の共同実験を、放送機器メーカーや通信キャリアと連携して実施しました。また、AI画像認識技術を用いて映像内の人物名を推定するアプリケーション「メタロウ」を開発し、ニュース収録素材へのメタデータ付与業務での活用を開始し、コンテンツの付加価値向上と制作効率化に寄与するものと考えています。

 社外からの評価としては、当連結会計年度において、「総合コンテンツ管理システム」が、2020年民放連盟賞技術部門、第46回放送文化基金賞 個人・グループ部門 放送技術、日本映画テレビ技術協会・第73回技術開発賞、映像情報メディア学会・第47回技術振興賞進歩開発賞(現場運用部門)の4つの賞を受賞しました。本システムは、放送用番組素材とインターネット動画配信用番組素材等をデータファイルとしてクラウド上で一括管理し、運用の自動化と省力化を実現、番組送出技術の発展に貢献したことが評価されました。

 放送分野の発展を目指し、標準化活動にも積極的に取り組んでおります。総務省情報通信審議会やARIB(電波産業会)、A-PAB(放送サービス高度化推進協会)での4K・8K超高精細度テレビジョン放送の標準化や地上デジタル放送の高度化技術の検討、IPTVフォーラムでの放送通信連携技術の標準化、ITU-R(国際電気通信連合 無線通信委員会)での国際標準化等の活動に積極的に参加しています。

今後も研究開発を事業戦略の一環として捉え、継続的に取り組んで参ります。

なお、当連結会計年度の研究開発費は148百万円であります。