第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社は、放送の公共的使命と社会的責任を常に認識し、広く支持されるコンテンツの制作・提供を目指すとともに、放送を中心に様々な事業を通じて、国民・視聴者の皆様の豊かな生活の実現に貢献することを経営の基本方針としております。

当社グループ事業の中核であり、大きな媒体力を有する地上波テレビメディアの周辺では、技術の革新やブロードバンドの普及、デバイスの高機能化による視聴スタイルの多様化が進むなど、グループの事業を取り巻く環境は急速に変化しています。

こうした経営環境のもと、当社では、中核子会社である㈱フジテレビジョンの業績向上とともに、グループ全体における環境変化への対応と成長分野の拡大、新たな事業領域の開拓が重要な経営課題であると認識しております。

当社では、昨年5月に、2018年度から2020年度を期間とする「“変わる”フジ・メディア・ホールディングス 中期経営計画」を策定しました。中期経営計画では、㈱フジテレビジョンを中心にしてグループのメディアおよびコンテンツ関連ビジネスの収益力強化を進める「メディア・コンテンツ」事業と、戦略投資を拡大し中長期的な成長を図る「都市開発・観光」事業をグループの二つの柱に位置付け、さらに新規分野の開拓を目指しています。初年度の当期は、計画を上回る経営成績となりました。引き続き、株主の皆様の信頼とご期待に応えるべく、グループ一丸となって取り組んでまいります。

 

① メディア・コンテンツ事業

㈱フジテレビジョンの改革

(ⅰ)構造改革の推進

㈱フジテレビジョンは、前期に続き全社的な改革を進めた結果、当期は2期連続となる営業増益となりました。引き続き、全社的な構造改革に取り組み、環境の変化にも対応できるよう経営体質の強化を進めていきます。

(ⅱ)タイムテーブル強化と地上波広告収入の拡大

㈱フジテレビジョンでは、収益の中心である地上波広告収入の拡大に向け、タイムテーブルの強化を最優先課題と位置づけています。当期は、番組改編等を通じレギュラー番組の視聴率が好転し、低下が続いていたゴールデン・プライム帯の年度視聴率が上昇に転じました。番組・コンテンツに経営資源を戦略的に投下していく経営方針のもと、2019年度は番組制作費を当期より増額し、タイムテーブルの一層の強化を進めていきます。

(ⅲ)配信・メディア戦略の推進

配信関連事業の拡大は大きな経営課題と認識しており、技術の進歩・メディア環境の変化を予見し、将来における配信を含めたメディアビジネスの最良の収益体制を追求していきます。また、メディア価値の一層の向上のため、データマーケティングに積極的に取り組み、視聴データの収集・分析および活用の具体的な準備を進めています。

 

メディア・コンテンツ事業の改革および収益の拡大

メディア・コンテンツ事業では、グループのメディアおよびコンテンツ関連事業の連動を促すとともに、セグメント一体としての効率的な運用を進め、収益力・経営基盤の強化を図っていきます。また、総合コンテンツ・ファクトリーとして、強力なコンテンツの制作機能を一層充実させるとともに、外部向けのプロダクション機能の拡大やコンテンツホルダーとしての収益拡大を目指します。

 

② 都市開発・観光事業

都市開発・観光事業をグループの柱の一つと位置づけ、戦略投資を拡大するとともに、観光需要の安定的な拡大を見据え、中長期的に育成していきます。

都市開発分野では、資産開発・回転型事業の強化とともに、高機能オフィスビルの開発等によるビル賃貸事業の安定的な成長、住宅事業における賃貸事業の強化等を進めます。本年3月の「サンケイリアルエステート投資法人」(REIT)の上場を通じ、資産循環型ビジネスを強化し、戦略投資の拡大によりさらなる成長を図っていきます。

観光分野では、既存ホテル・施設の収益向上を図るとともに、全国主要都市を中心に新コンセプトホテル「インターゲートホテルズ」「GRIDS」等の計画的な開業を進めています。また、台場MICE/IRへのコンソーシアムによる参画を検討・準備しています。

 

③ 成長と改革に向けた投資戦略・資本政策

都市開発・観光事業の成長拡大、メディア・コンテンツ事業の強化、さらに新規分野の育成・獲得に向け、財務の健全性を確保しながら、外部資金の活用も含め投資を拡大します。同時に、安定した強固な経営を目指し、グループ構造と事業ポートフォリオの最適化に向けた検討を続けてまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 放送事業における広告収入への依存について

①景気変動による影響について

放送事業は当社グル-プの中核であり、売上高の多くはCM枠の販売による広告収入で構成されています。

今後、様々な要因により国内経済が悪化した場合、国内の総広告費が減少することなどにより、当社グル-プの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

②視聴率について

テレビ放送事業において、番組の視聴率は視聴者からの支持を測る重要な指標の一つであり、CM枠の販売価格を決定する上でも重要な要素となっています。

当社グループのテレビ放送事業における視聴率が低下した場合には、当社グル-プの広告収入が減少し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 放送事業における番組に関する著作権等について

当社グループが放送する番組については、文芸(原作・脚本)、音楽、美術の著作物や出演者、番組で使用されたレコードの著作隣接権が含まれており、放送以外の配信、DVDの発売やマーチャンダイジングなどの二次利用をする場合には、新たに許諾を得る必要があります。

このため、権利者との契約で制限されている場合や、権利者から使用条件などの同意が得られなかった場合には、当社グル-プの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

 

(3) 放送事業におけるスポーツ放送権の取得及び契約更新について

当社グループの放送事業では、各種スポーツ主催団体等と、放送権の新規取得や更新に向けた交渉を行い、期間や条件等に関して様々な契約を締結しております。また、これらのスポーツ放送権の新規取得及び契約更新に際しては、放送権料が上昇する可能性があります。

スポーツ放送権の新規取得及び契約更新ができなかった場合や、契約更新時の契約金負担が増加した場合は、スポーツ番組の放送に影響が生じ、当社グル-プの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 放送事業におけるテレビ放送事業の競合について

①地上テレビ放送事業における競合について

当社グループの地上テレビ放送事業では、他の放送事業者と視聴率の獲得において競合しています。視聴率は広告主との契約の獲得や、CM枠の販売価格を決定する上で重要な要素の一つであり、視聴率の維持・向上が実現できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

②BS放送事業及びCS放送事業における競合について

BS放送事業は、BS広告市場の拡大とともに媒体としての価値を高めてきました。しかし、㈱ビーエスフジが、他のBS放送事業者はじめメディア事業者等との競争の中で、同社の媒体価値の維持・向上を実現できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

CS放送事業では㈱フジテレビジョンが3チャンネルの有料放送を行っております。有料放送の視聴者数はCS放送事業の収入を決定する重要な要素の一つとなっていることから、視聴者数の維持・向上が実現できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

③配信事業者等他メディアとの競合について

各種デバイス端末やスマートTV等の普及が進み、インターネットなど通信の機能を通じた動画配信等のサービスが広く浸透する中、当社グループはこうした配信領域への事業展開も積極的に進め、収益の獲得を図っております。一方でこうしたメディアの多様化により、テレビ放送の視聴時間が減少し媒体価値が低下した場合には、当社グル-プの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

 

(5) フジネットワークシステム(FNS)との提携関係について

放送事業会社は、放送法により一定の放送対象エリアが定められております。従って、当社グループが全国規模で地上放送を提供するためには、全国の各放送エリアの放送局と提携関係を維持する必要があり、㈱フジテレビジョンは同社をキー局として各地の系列局と全国放送ネットワークであるフジネットワークシステム(FNS)を形成しております。何らかの理由により系列局がFNSを離脱した場合、㈱フジテレビジョンは当該地方での放送エリアを失い、全国規模の広告媒体としての価値が低下して当社グル-プの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

 

(6) 放送機材及び放送施設について

当社グループの放送事業において、番組を放送するために使用している放送機材及び放送施設には障害が発生する可能性があります。放送設備に障害が発生した場合でも、バックアップ用放送設備または放送用リース設備の代替システムの利用等により放送を継続してまいりますが、仮に放送が実施できない事態が生じた場合、当社グル-プの経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

 

(7) 映画の製作事業について

当社グループは、映画の製作又は出資を行っております。映画の興行は必ず成功するという保証はなく、観客を十分に動員できなかった場合、またDVD販売などの二次利用収入が十分に得られなかった場合、当社グル-プの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) イベント事業について

当社グループは、音楽コンサート、演劇、美術展、スポーツイベント、社屋周辺イベントなどのイベント事業に取り組んでおります。来場者を十分に確保できなかった場合、また物販などの収入が十分に得られなかった場合には投資に見合う回収ができない可能性があり、当社グル-プの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 映像音楽事業について

㈱ポニーキャニオンは、主に映像・音楽ソフト等パッケージの製造・販売を行うとともに、広く権利の獲得を目指すなど収益源の多様化を図っております。しかし、パッケージ市場がさらに著しく縮小した場合、当社グル-プの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 通信販売事業について

㈱ディノス・セシールは、主にカタログやテレビ、インターネットを利用した通信販売の事業を展開しております。通信販売事業は他の小売業と同様に個人消費の動向や、商品の仕入れ価格、製造原価、配送費、為替の変動等の影響を受けるため、景気の低迷や、コストが上昇するような状況になった場合、当社グル-プの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 広告事業について

㈱クオラスは、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット等の広告に関する事業を展開しております。様々な要因によって国内経済が悪化した場合、国内の総広告費が減少することなどにより、当社グル-プの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 都市開発・観光事業について

㈱サンケイビルはオフィスビルの賃貸等を行うビル事業をはじめ、住宅の開発・販売や商業施設等の運営など、都市生活空間を創造し提供する事業を展開しております。

㈱サンケイビルの中核事業であるビル事業・住宅事業・資産開発事業は、国内経済情勢と連動性が強い不動産市況の動向によっては、空室の発生・賃料水準の低下及び販売価格の下落により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、㈱グランビスタホテル&リゾートを中心とする観光事業では、国内景気の悪化や国際情勢の変化その他の様々な要因により利用客が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、都市開発・観光事業では、不動産等に関する各種関連法制の規制を受けるとともに、各種関連税制の規定に従っております。将来、関連する法制及び税制の変更によっては、業務遂行や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 設備投資及び投資等について

当社グル-プは、持続的な成長を促進していくために、適切な設備投資及び投資を継続し、当社グループ事業の強化を図る方針ですが、投資額に見合う十分な利益を確保することができない可能性もあります。

 

(14) 当社グループ事業に対する法的規制について

①認定放送持株会社に対する法的規制について

当社は、放送法に基づく認定放送持株会社として総務大臣の認定を受けております。

認定放送持株会社の認定には放送法で定める要件に適合する必要があり、当該要件に適合しなくなった場合は、認定を取り消される可能性があります。

仮に認定の取消しを受けた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。

②放送事業に対する法的規制について

当社グループの中核事業である放送事業では、放送法・電波法に基づく放送免許又は認定を受け、事業を行っております。

仮に法令に基づく放送免許若しくは認定の取消し等の処分を受けた場合又は再免許を受けることができなかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 大規模な災害が発生した場合の影響について

当社グループの主要な収入である広告収入は景気動向と連動性があり、大規模な災害が発生し、日本経済へ影響を及ぼす場合には、広告収入が影響を受けることがあります。

また、放送事業者は、放送法で、災害が発生した場合又はそのおそれがある場合に予防又は被害軽減のための放送を義務付けられており、大規模な災害が発生した場合には、予定されていた番組の放送を取りやめ、緊急に報道特別番組等を放送することがあります。このような場合、CM放送やテレビ通販番組を休止することがあり、放送事業や通信販売事業において収入が減少することがあります。

このほか、イベントや映画における興行の中止や減少、通信販売事業、映像音楽事業などにおける商品等の製造、調達や流通への被害、都市開発・観光事業における保有・開発資産の毀損等により、収入が十分に得られないことがあります。これらの結果、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 個人情報の取り扱いに関するリスク

当社及び当社グループは、視聴者情報、番組出演者情報、通信販売事業の顧客情報などのデータベースを管理・運営しております。当該データベースにおける顧客等の個人情報につきましては、社内でのアクセス権限の設定など取扱いには十分な注意を払っております。しかしながら、外部からの不正なアクセスや想定していない事態によって個人情報の外部流出等が発生した場合には、当社グル-プの業績及び企業としての社会的信用に悪影響を与える可能性があります。

 

(17) 外国人等の取得した株式の取り扱い等について

放送法では、①日本国籍を有しない人又は②外国政府若しくはその代表者が業務を執行する役員である場合のほか、①若しくは②に掲げる者又は③外国の法人若しくは団体(以下、「外国人等」)が、法令の定めるところにより直接・間接出資を合わせて議決権の5分の1以上を占める場合は、認定放送持株会社の認定を取り消すこととされております。

このため、放送法では、このような状態に至る場合には、外国人等からの株式の名義書換請求等による株主名簿への記載・記録を拒否し、又は、外国人等の議決権行使を制限することができるとされております。

なお、外国人等の有する議決権の割合が100分の15に達した場合には、放送法の規定により、その割合を6か月ごとに公告いたします。

  

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

①財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の概況)

当連結会計年度の我が国の経済は「先行きについては、当面、一部に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。」と政府の月例経済報告に記されており、企業の業況判断は「おおむね横ばいとなっている。」とされています。

こうした状況の中、当社グループの当連結会計年度の売上高は、メディア・コンテンツ事業、その他事業が減収でしたが、都市開発・観光事業が増収となり、全体では前年同期比3.5%増収の669,230百万円となりました。

営業利益は、その他事業が減益となりましたが、メディア・コンテンツ事業、都市開発・観光事業がともに増益となり、前年同期比37.4%増益の34,709百万円となりました。経常利益は前年同期比19.5%増益の41,975百万円となりましたが、特別損失において減損損失を計上したことから親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比5.3%減益の23,627百万円となりました。

当社は2018年5月10日開催の取締役会において、セグメント区分を変更することを決議いたしました。

前連結会計年度において「放送事業」、「制作事業」、「映像音楽事業」、「生活情報事業」、「広告事業」、「都市開発事業」、「その他事業」としていたものを、当連結会計年度より「メディア・コンテンツ事業」、「都市開発・観光事業」、「その他事業」に変更いたしました。

報告セグメントの業績の状況は以下の通りであります。なお、前連結会計年度の数値については変更後の区分により作成したものを記載しております。

 

 

売 上 高

セグメント利益

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

(百万円)

(百万円)

(%)

(百万円)

(百万円)

(%)

メディア・

コンテンツ事業

532,224

526,568

△1.1

11,839

16,987

43.5

都市開発・観光事業

108,939

137,381

26.1

14,171

18,029

27.2

その他事業

20,105

19,062

△5.2

662

555

△16.1

調整額

△14,732

△13,781

△1,415

△863

合  計

646,536

669,230

3.5

25,258

34,709

37.4

 

 

 

(メディア・コンテンツ事業)

当社グループの中核子会社である㈱フジテレビジョンは、大ヒット作品が続いた映画事業をはじめ、その他事業が売上高および利益面に大きく貢献し、また、全社的な構造改革による費用の効率的な運用が進んだことにより、売上高は7期ぶりの増収、営業利益は2期連続の増益となりました。

主力の放送事業のうち、全国放送を対象とするネットタイムセールスは、改編期のレギュラーセールスが安定的に進んだことに加え、単発セールスで前期の「平昌オリンピック」の反動減を6月の「2018 FIFA ワールドカップロシア」がカバーしたことで、売上高は80,449百万円、前年同期比0.7%増と6期ぶりの増収となりました。

一方、関東地区への放送を対象とするローカルタイムセールスは、セールス区分の変更などもあり、売上高は、13,290百万円で前年同期比1.2%減収となりました。

スポットセールスは、上期を中心に広告市況が低迷し、2期連続で地区投下量が減少しました。業種別では、「交通・レジャー・観光」、「外食・各種サービス」、「金融・保険」などが前年を上回る一方、「化粧品・トイレタリー」、「非アルコール飲料」、「衣料・身回品・雑貨」などが前年を下回りました。その結果、売上高は、92,543百万円で前年同期比5.0%減収となりました。

その他事業では、映画事業において、「劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-」が2018年の邦画第1位の興行収入93億円を獲得したほか、「万引き家族」、「マスカレード・ホテル」など大ヒット作品が重なり、さらに催物事業やMD事業においても、シルク・ドゥ・ソレイユの大型作品「キュリオス」が年間を通して貢献しました。その結果、その他事業全体の売上高は49,473百万円で前年同期比30.6%増収となりました。

以上により、㈱フジテレビジョン全体の売上高は、前年同期比2.8%増収の267,970百万円となりました。営業利益は前年同期比127.8%増益の10,213百万円となりました。

㈱ビーエスフジは、その他事業収入の増収がタイム収入、スポット収入の減収をカバーしたことで売上高全体では増収となりました。利益面では、BS4K放送の放送開始に伴い費用が増加したことで減益となりました。

㈱ニッポン放送は、イベント事業が好調でしたが、放送事業、ラジオ通販事業が伸び悩み減収となったものの、コストコントロールにより増益となりました。

㈱ポニーキャニオンは、配信やイベント収入などが好調で増収増益となりました。

㈱フジパシフィックミュージックは、原盤使用料収入、映像制作収入、マネージメント収入の増収が著作権使用料収入の減収をカバーし、増収増益となりました。

㈱ディノス・セシールのディノス事業は、天候不順によりカタログ通販が伸び悩んだものの美容健康商材を中心に引き続き好調を維持したテレビ通販がカバーし増収、セシール事業は送料改定の影響などにより減収となりました。その結果、㈱ディノス・セシール全体としては減収減益となりました。

㈱クオラスは、イベント制作や広告制作が好調で、増収増益となりました。

以上の結果、メディア・コンテンツ事業全体の売上高は、526,568百万円と前年同期比1.1%減収となりましたが、セグメント利益は、16,987百万円と同43.5%増の大幅増益となりました。

 

(都市開発・観光事業)

㈱サンケイビルは、ビル事業がオフィス需要の堅調な推移により増収となったことに加えて資産開発事業において2019年3月に組成されたサンケイリアルエステート投資法人へ保有物件の一部を売却したことなどにより、増収増益となりました。

㈱グランビスタホテル&リゾートは、一部ホテルの営業終了や北海道での自然災害の影響などにより、減収減益となりました。

以上の結果、都市開発・観光事業全体の売上高は、前年同期比26.1%増収の137,381百万円となり、セグメント利益は同27.2%増益の18,029百万円となりました。

 

(その他事業)

その他事業全体の売上高は前年同期比5.2%減収の19,062百万円、セグメント利益は同16.1%減益の555百万円となりました。

 

持分法適用会社では、フジテレビ系列局12社、㈱WOWOW、伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱が持分法による投資利益に貢献しました。

 

(財政状態の概況)

当期末の総資産は1,290,484百万円となり、前期末比44,258百万円(3.6%)増加しました。

流動資産は407,606百万円で、前期末比10,844百万円(2.7%)増加しました。これは、現金及び預金が9,361百万円減少した一方で、有価証券が23,697百万円増加したこと等によるものであります。

固定資産は882,319百万円で、前期末比33,184百万円(3.9%)増加しました。これは主に、フジテレビ本社ビル底地の購入等により借地権が14,664百万円減少し、建物及び構築物が11,420百万円減少した一方で、土地が25,873百万円、投資有価証券が25,074百万円増加したこと等によります。

負債は547,136百万円で、前期末比22,644百万円(4.3%)の増加となりました。

流動負債は190,782百万円で、前期末比4,514百万円(2.4%)の増加となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が9,714百万円、短期借入金が6,799百万円減少した一方で、電子記録債務が13,908百万円、未払法人税等が4,543百万円増加したこと等によります。

固定負債は356,353百万円で、前期末比18,129百万円(5.4%)の増加となりました。これは主に、長期借入金が13,551百万円、繰延税金負債が3,147百万円増加したことによります。

純資産は743,348百万円で、前期末比21,614百万円(3.0%)の増加となりました。これは、剰余金の配当を9,836百万円行い、非支配株主持分が1,195百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益23,627百万円を計上したこと等によります。なお、当期において自己株式の消却を行い、自己株式と利益剰余金がそれぞれ5,662百万円減少しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

当期における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、103,640百万円の収入となり、前期比56,905百万円(121.8%)の収入増加となりました。これは、たな卸資産の増減額が34,854百万円の収入増加、売上債権の増減額が5,136百万円の収入増加となったこと等によります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、99,386百万円の支出となり、前期比63,388百万円(176.1%)の支出増加となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が29,449百万円増加し、有価証券の取得による支出が27,601百万円増加したこと等によります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、7,310百万円の支出となり、3,110百万円の収入だった前期と比べ、10,421百万円の支出増加となりました。これは、短期借入金の純増減額が14,552百万円の収入増加となり、社債の償還による支出が10,000百万円減少した一方で、長期借入金の返済による支出が21,927百万円増加し、長期借入れによる収入が8,500百万円減少したこと等によります。

以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、89,900百万円となり、前期末に比べ3,255百万円(3.5%)の減少となりました。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2015年3月期

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

自己資本比率(%)

59.4

55.4

56.3

56.7

56.5

時価ベースの自己資本比率(%)

37.0

25.1

29.9

33.7

27.4

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)

3.4

7.4

4.2

4.6

2.1

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

26.0

15.6

31.0

38.4

90.2

 

(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産

2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※  各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※  株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※  キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

※  有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

※ 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を2019年3月期の期首から適用しており、2018年3月期の指標については遡及適用後の数値を記載しております。

 

③生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

該当事項はありません。

 

(b) 受注実績

該当事項はありません。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

メディア・コンテンツ事業

526,568

△1.1

都市開発・観光事業

137,381

26.1

その他事業

19,062

△5.2

調整額

△13,781

669,230

3.5

 

(注) 1  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

㈱電通

99,273

15.4

93,652

14.0

㈱博報堂DYメディアパートナーズ

68,333

10.6

70,270

10.5

 

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。当社では、昨年5月に「“変わる”フジ・メディア・ホールディングス 中期経営計画」を公表しました。計画初年度である当連結会計年度は、以下の通り、中期経営計画における当連結会計年度の目標数値を上回りました。当社グループでは、引き続き中期的な視点をもって、グループの経営基盤を強化し収益力を高めていくことで中期経営計画の実現を目指してまいります。

 

(単位:百万円)

 

 中期経営計画における目標数値
 (2018年5月公表)

 

実績

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

 

2019年3月期

連結売上高

623,000

645,000

655,000

 

669,230

連結営業利益

25,500

28,500

32,500

 

34,709

 

 

営業利益のセグメント別内訳                             (単位:百万円)

 

 中期経営計画における目標数値
 (2018年5月公表)

 

実績

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

 

2019年3月期

メディア・

コンテンツ事業

14,100

17,800

21,800

 

16,987

都市開発・観光事業

11,500

11,500

11,500

 

18,029

その他事業

400

400

500

 

555

 

 

(セグメント区分別の分析)
(メディア・コンテンツ事業)

メディア・コンテンツ事業の経営成績等の状況に関する認識等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。

当連結会計年度は、中核子会社である㈱フジテレビジョンにおいて、全社的な費用構造の改革が進展するとともに、映画事業において大ヒットが続いたこと等から、㈱フジテレビジョン及びメディア・コンテンツ事業の営業利益が中期経営計画における当連結会計年度の目標数値を上回りました。㈱フジテレビジョンの本格的な業績の向上には地上波広告収入の拡大が重要ですが、当連結会計年度は、番組改編等を通じレギュラー番組の視聴率が好転し、ゴールデン・プライム帯の年度視聴率が上昇に転じました。引き続き全社的な構造改革を進めながら、タイムテーブルの一層の強化を図るとともに、将来の成長に向けた配信・メディア戦略の推進と、メディア・コンテンツ事業全体での収益力の強化を進めていきます。

 

(都市開発・観光事業)

都市開発・観光事業の経営成績等の状況に関する認識等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。

当連結会計年度は、㈱サンケイビルにおいて、ビル事業の賃料収入が好調に推移したほか、サンケイリアルエステート投資法人への保有資産の売却等により大きな利益を計上し、都市開発・観光事業の営業利益が中期経営計画における当連結会計年度の目標数値を上回りました。当社グループでは、都市開発・観光事業をグループの柱の一つと位置づけており、引き続き、財務の健全性を確保しながら戦略投資を拡大するとともに、観光需要の安定的な拡大を見据え、中長期的に育成していきます。

 

(その他事業)

その他事業の経営成績等の状況に関する認識等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。

 

③資本の財源及び資金の流動性に関する情報

当社グループの主な資金需要は、放映権の取得費用、番組制作のための人件費、外注費、通信販売商品の仕入れ、著作権等の使用料、新規不動産の取得並びに開発費、既存ビルの設備改修のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。販売費及び一般管理費の主なものは代理店に対する手数料、宣伝広告費、人件費等であります。加えて、コンテンツ制作力の増強を図るための放送用設備・機器等の購入や、メディア戦略強化のための投資資金及びグループの資本政策に伴う株式の取得資金等が必要となります。

当社グループは現在、運転資金、設備投資及び投融資に要する資金につきましては、内部資金、借入れ又は社債により資金を調達しております。

当社グループは、健全な財務状態及び営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金、設備投資及び投融資に要する資金を調達することが可能と考えております。

当社はフジテレビ本社ビルの土地(底地)を2018年4月に取得しておりますが、当該取得は内部資金によっております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

本社建物の賃貸借契約について

当社は当社が所有する本社建物を、連結子会社である㈱フジテレビジョンに賃貸する賃貸借契約を締結しております。契約の概要は以下の通りです。

 

契約会社名:㈱フジ・メディア・ホールディングス

契約相手方:㈱フジテレビジョン(連結子会社)

賃貸借物件:フジテレビ本社ビル

契約期間 :2018年10月1日から2年間、期間満了以降は3年毎に自動更新

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、技術的な研究開発を戦略的事業の一環として捉え、放送・配信や番組制作の技術面での優位性を確保し、魅力的なサービスに発展させるため積極的な研究開発を行うとともに、広くICT分野の発展への貢献を目指した活動を行っています。
(メディア・コンテンツ事業)
 メディア・コンテンツ事業における研究開発活動は主に、テレビ放送事業を行う㈱フジテレビジョンに係るものであります。当連結会計年度における成果は次の通りであります。
 インターネット技術等による技術革新とスマートフォンやタブレット型端末の普及により、動画視聴形態が多様化しています。また、ビッグデータ解析技術、5G無線技術、AI技術等は、放送業界でも重要性が高まっており、これらの技術の研究開発に、以下の2つを柱として取り組んでおります。
 ①放送・配信分野における将来のビジネスモデルを支える技術についての研究開発
 ②番組制作分野における、新たな制作技術手法の創造と働き方改革に向けた研究開発
 放送・配信分野においては、放送通信連携技術ハイブリッドキャストを活用して4Kコンテンツを同時配信するための共通配信基盤の運用検証を実施、㈱フジテレビジョンが開発した共通配信基盤については、『平成30年日本民間放送連盟賞技術部門優秀賞』を受賞し、評価を得ました。又、同時配信技術に関する実証実験では、既存のマスター設備と配信基盤をシステム連携して実施しました。視聴データ活用についても継続的に取り組んでおり、収益拡大の実現を目指しています。
 番組制作分野においては、通信キャリアや放送機器メーカーと連携して、高速・大容量・低遅延・高信頼性を有する5G無線技術の利活用に向けた共同実験を実施しました。また、AI画像認識技術を用いた新たな番組制作技術の研究にも取り組んでおり、働き方改革に寄与するものと考えています。
 放送分野の発展を目指し、標準化活動にも積極的に取り組んでおります。ARIB(電波産業会)やA-PAB(放送サービス高度化推進協会)での4K・8K超高精細度テレビジョン放送の標準化、IPTVフォーラムでのハイブリッドキャストの標準化、ITU-R(国際電気通信連合放送分野所掌)での国際標準化等の活動に参加しています。
 今後も研究開発を事業戦略の一環として捉え、継続的に取り組んで参ります。

なお、当連結会計年度の研究開発費は188百万円であります。