第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 当社は1996年の創業時から、MVNO事業モデルという新たな通信事業の在り方を提唱し、以来一貫して自ら実践してまいりました。この間、約20年に及ぶ歴史において、2016年3月期は、記念すべき節目を迎えました。即ち、2016年5月に施行された電気通信事業法及び関連法令等の改正において、電気通信事業の公正な競争を促進するための政策として、MVNOの参入を促進し、MVNOの事業展開を迅速化するための接続ルールの充実が図られたのです。

 それまで、MVNOは、電気通信事業法及び電波法等に基づいて存在していましたが、その参入及び事業展開は、総務省が策定した「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」によって促進されるものに留まっていました。今般、法令の改正趣旨としてMVNOの参入促進が明記されたことは、MVNO事業モデルが、電気通信事業の公正な競争を促進するための政策としての評価を得て、我が国の将来を担う戦略の一つとして明確に位置付けられたことを意味しています。

 2015年5月に改正電気通信事業法が公布されてから2016年5月に施行されるまでの間、改正法の実施にあたって重要となる総務省令等の整備が進められましたが、当社は、MVNO事業モデルの提唱者かつMVNO事業のパイオニアとしての知見を提供し、実効性のある制度にするための働きかけを積極的に行いました。その結果、基地局等の設備を持つMNOがMVNOに貸し出すべき機能や貸し出す際の接続ルールが制度化される等のMVNOに対する規制緩和の方針が決定されたのです。

 当社が、2007年11月に総務大臣裁定を得て、ドコモとの相互接続を実現したことは、いわば第1次MVNO規制緩和であったと言えますが、今回の法令改正で接続ルールの充実が図られ、従来のMVNOにはできなかったサービスを提供することができる環境が整ったことは、第2次MVNO規制緩和であると言うことができます。

 第1次MVNO規制緩和は、格安SIMや格安スマホという新たな市場を生み出し、多くのMVNOが新規参入することで、一つの業界を形成するに至りました。しかしながら、今日のMVNOは、格安SIM一辺倒となり、不毛な価格競争に陥っています。そもそも、MVNOの存在意義は、通信サービスの低廉化に貢献するのみならず、多様化に貢献することにありますが、そのためにはMVNOが多様なサービスを提供できるだけの技術基盤が必要です。これまでは、MNOが保有する携帯網機能のMVNOへの貸し出しについて、MNO自身が決定していたため、MVNOが要望しても開放されることはなく、MVNOがサービス面での差別化を実現できない状況が続いていました。

 しかしながら、今回の法令改正で接続ルールの充実が図られ、MNOがMVNOに貸し出すべき機能が総務省令等で定められたことで、従来のMVNOにはできなかったサービスを提供することができる環境が整いました。当社はこの規制緩和によるチャンスをしっかりと受け止め、MVNO業界の次なる飛躍のドライバーとなるべく、新事業戦略を推進してまいります。

 なお、当社の新事業戦略は、様々な差別化したソリューションを実現するイネイブラーとして、これらのソリューションをMVNO、システムインテグレーター、メーカーまたは金融機関等に提供し、通信サービスの低廉化のみならず多様化にも貢献する真のMVNO事業モデルを実現する戦略です。詳細については、2016年1月22日公表の「日本通信、新事業戦略を発表 — 総務省によるMVNO規制緩和方針を受け — 」をご覧ください。

 

(日本事業)

 2016年3月期は、MVNO事業モデルを取り巻く法制度が一気に整備され、当社が新事業戦略へと大きく舵を切った1年になりました。

 2016年3月期初めに改正電気通信事業法が公布されたことを受け、当社のマネジメントチームは、法律の細目にあたる省令等についての要望を関連省庁に訴え、働きかけることを最重要課題として注力しました。2015年9月には、首相から総務相に携帯電話料金引き下げの検討指示が出されたことから、総務省において有識者会議(タスクフォース)が開催されましたが、当社はその場でも強く訴えかけました。第2次MVNO規制緩和は、このような経緯を経て打ち出されたものです。

 日本事業としては、従来からのSIM事業を継続するとともに、新たなソリューションを提案するMSP(モバイル・ソリューション・プラットフォーム)事業の立ち上げを推進しましたが、当第4四半期からは、2016年1月22日に打ち出した通り、SIM事業及びMSP事業をパートナー企業とともに推進するイネイブラー事業を柱とする新事業戦略に切り替え、規制緩和により実現可能となった新たな当社ネットワーク基盤の構築を早期に実現することを最優先課題として取り組みを行っています。

 なお、当社は2015年6月に東京証券取引所市場第一部へ市場変更しましたが、これは、MVNO事業モデルが一つの業界を形成するに至り、当社はそのパイオニアとして各方面に認めていただいた成果であると理解しています。

 

(米国事業)

 米国における統括会社であるJCI US Inc.のもと、MVNO事業を行っているCNI社、サイバーセキュリティ技術を有するArxceo社の2社が営業活動を行っています。

 CNI社は引き続きATM向け無線専用線事業を柱に、セキュアなネットワークを教育向け等の他分野で提供するための市場開拓を進めています。特に米国最大手の携帯事業者であるベライゾンとの協業により進めている教育分野は、多方面から注目されている領域であり、これからの成長が期待できる分野です。

 Arxceo社が保有するサイバーセキュリティ技術は、すでに多くの特許を取得しており、サイバーセキュリティへの関心が高まる時代背景のもと、技術者を増員してさらなる開発に注力しています。

 

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,109百万円(前年は5,139百万円)、営業損失1,997百万円(前年は408百万円の営業利益)、経常損失1,993百万円(前年は463百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失2,158百万円(前年は327百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は1,502百万円となり、前連結会計年度末に比べ、2,804百万円減少しました。

 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは1,206百万円の支出(前連結会計年度末は420百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失2,059百万円を計上したこと、売上債権が563百万円、たな卸資産が412百万円、仕入債務が651百万円減少したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは1,547百万円の支出(前連結会計年度末は488百万円の支出)となりました。これは主に定期預金の預入による支出1,089百万円、固定資産の取得による支出473百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは22百万円の収入(前連結会計年度末は1,671百万円の収入)となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当社グループのサービス提供の実績は、販売実績とほぼ一致していますので、生産実績に関しては(4) 販売実績の項をご参照ください。

(2) 仕入実績

当社グループの当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

なお、セグメントについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)セグメント情報」をご参照ください。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

日本事業(千円)

1,876,647

95.1

米国事業(千円)

191,071

75.6

合計(千円)

2,067,719

92.9

  (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

  2.金額は仕入価額で表示しています。

 

(3) 受注実績

当社グループは 、受注から販売までの所要日数が短く常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しています。

(4) 販売実績

当社グループの販売実績は、出荷金額に基づいており、当連結会計年度販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

日本事業(千円)

3,741,496

78.7

米国事業(千円)

368,274

98.8

合計(千円)

4,109,770

80.1

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上である相手先は次のとおりです。



相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

 

 金額(千円)

   割合(%)

 金額(千円)

   割合(%)

株式会社デジックス

537,600

13.1

3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

3【対処すべき課題】

 当社が創業時から提唱していたMVNO事業モデルは、20年の歳月を経て、ようやく日本市場に定着しました。また、2016年5月に施行された電気通信事業法及び関連法令等の改正においては、電気通信事業の公正な競争を促進するためにMVNOの参入を促進し事業展開の迅速化を図ることが明示され、併せて、基地局等の設備を持つMNOがMVNOに貸し出すべき機能や貸し出す際の接続ルールが制度化されました。当社が総務大臣裁定を得てドコモとの相互接続を実現したことは、第1次MVNO規制緩和であったと言えますが、今回の法令改正で接続ルールの充実が図られ、従来のMVNOにはできなかったサービスを提供することができる環境が整ったことは、第2次MVNO規制緩和であると言えます。

 これによりMVNOは、単なる格安SIM事業者ではなく、IoTを始め、FinTech(ファイナンス領域と技術領域の融合から生まれる市場)、EdTech(教育領域と技術領域の融合から生まれる市場)、MedTech(医療領域と技術領域の融合から生まれる市場)等の分野で、様々なソリューションのプラットフォーム基盤を提供できるようになります。

 このような状況のもと、当社の課題は、規制緩和で新たに実現可能となった技術プラットフォーム基盤を着実かつ早期に実現し、さらに新技術プラットフォーム基盤を活用した魅力あるサービスを作り出し、提供していくことにあります。中でも、セキュアかつ信頼できるネットワークサービスを提供することこそが、当社に最も求められている事業領域であると捉えています。

 しかも、これを国内のみならず、グローバルに提供可能とすることが当社の使命です。当社のパートナー企業及び顧客企業の多くはグローバル企業として事業展開しており、当社のグローバルなネットワークにより、セキュリティを守りつつ、信頼を持って情報を運ぶことが求められているからです。

 上記の課題に対処するうえで最も重要な点は、人材です。当社グループの事業はノウハウや技術等がコアであるため、それらを持つ人材が重要な鍵となります。当社グループは、そのためのヒューマンリソース戦略として、クルーシステムを実践しています。クルーシステムは、当社が考案・構築した事業遂行モデルで、一人一人の人材(クルー)が会社の優先順位に応じた多様な業務を担当することによって、様々なノウハウや技術を身に付けていく仕組みです。また、クルーシステムにより、比較的短期間で専門技術や専門スキルを習得できる環境を作ることが可能となっており、当社グループの対応力を格段に高めることができます。当社グループは、クルーシステムを事業遂行基盤として、対処すべき課題に取り組んでいきます。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの事業展開、経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクとしては以下のようなものがあります。必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載していますが、当社株式への投資に関連するリスクのすべてを網羅するものではありません。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 市場について

 当社は創業以来、モバイル通信の市場で事業を展開しています。モバイル通信を利用目的によって分けると、音声通話とデータ通信の二つに大別できますが、音声通話の市場は、携帯電話の普及が進み、飽和状態にあります。一方、データ通信の市場は、スマートフォンやタブレット端末の普及が急速に進んでいるものの、未だ成長期にあると言えます。データ通信のうち、固定回線によるものは、光ファイバーやケーブルテレビ等により、高速・大容量の有線ブロードバンドが提供され、浸透しています。モバイル通信によるものもまた、急速に普及が進みましたが、その普及の速さゆえに、セキュリティやプライバシーに関わる課題も広く認識され、大きな関心を集めています。モバイル通信の活用範囲及び市場規模の更なる拡大の成否は、これらの課題が技術及び制度の両面において適切に解決され、誰もが安心して利用できる通信手段になりうるか否かにかかっています。

 無線通信やセキュリティ等の技術は日進月歩の発展を遂げているため、技術面の課題はいずれ克服されていくものと考えますが、技術の進歩が停滞または遅延した場合には、当社グループが事業を展開する市場規模の拡大も停滞または遅延する可能性があります。また、無線通信やセキュリティ等の制度面の課題については、行政及び各事業者が高度な問題意識を持って取り組むことで早期に整備されていくものと考えますが、制度の整備が停滞または遅延した場合には、当社グループが事業を展開する市場規模の拡大も停滞または遅延する可能性があります。いずれの場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 当社サービスの仕組みについて

① モバイル通信網等について

 当社は、携帯電話事業者から調達したモバイル通信サービスを活用して、音声通話サービス、セキュリティ技術、IP電話等の各種アプリケーション、または通信端末等を組み合わせることで当社独自の通信サービスを設計し、一般消費者を含む様々な顧客層及びパートナー企業にモバイル通信のソリューションを提供しています。

 当社サービスの基盤となっているのはモバイル通信サービスですが、現時点において、モバイル通信サービスを提供する仕組みは、下図のとおり、ドコモのモバイル通信網等のネットワーク(以下、「モバイル通信網等」という)、専用線接続部分並びに当社グループのデータセンター等から構成されています。なお、当社グループのデータセンターにおける主要なシステムは、株式会社インターネットイニシアティブが運営するデータセンター内に収容しています。

 

図1 モバイル通信サービスを提供する仕組み

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 モバイル通信サービスを提供する仕組みのうち最も主要な部分は、携帯電話事業者のモバイル通信網等ですが、これは、当社が携帯電話事業者と締結した契約に基づいて調達しています。
 従って、携帯電話事業者とモバイル通信網等を調達する契約を締結することができない場合は、当社はモバイル通信サービスを提供することができません。また、携帯電話事業者とモバイル通信網等を調達する契約を締結した場合も、当該契約が携帯電話事業者によって解除される等により終了した場合は、当社は、モバイル通信サービスの提供を継続することができない事態となります。
 当社は、モバイル通信網等の調達にあたっては、電気通信事業法上の制度である相互接続に基づく契約を締結するなど、安定した事業基盤を確保するために最大限の努力をしています。しかしながら、当社が新たなモバイル通信網等を調達するにあたり、携帯電話事業者が相互接続に応じない場合は、携帯電話事業者の裁量の余地がより大きい卸契約によって調達せざるを得なくなる可能性もあります。
 また、当社が携帯電話事業者と締結したモバイル通信網等を調達する契約について、従前と同様の条件で継続することができる保証はありません。当社は、携帯電話事業者が積極的に訴求しない分野での潜在需要を喚起する等により、通信市場全体の拡大を図るとともに、携帯電話事業者に対する交渉力の維持・増強に努めています。しかし、当社が将来にわたり携帯電話事業者との契約を更新することができるという保証、または、従前と同様の条件で調達を受けられるという保証はなく、今後、調達条件の改善に成功するという保証もありません。さらに、携帯電話事業者の事業方針の変更等により、当社が従前より不利な条件での調達を余儀なくされる可能性があるほか、携帯電話事業者自身が顧客にとってより魅力的な自社サービスを展開し、それを当社に対する提供条件には反映させないこと等により、当社と携帯電話事業者との契約が維持されたとしても、結果的に当社サービスの競争力が失われる事態となる可能性もあります。当社が携帯電話事業者からの調達条件を維持もしくは改善することができなかった場合、または携帯電話事業者からの調達条件が悪化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
 さらに、当社グループの今後の事業展開においても、携帯電話事業者に依存する側面があることは否定できません。すなわち、当社サービスの利用可能地域の拡大は、携帯電話事業者のモバイル通信網等における通信可能地域の拡大が前提となり、通信速度または通信容量の向上は、携帯電話事業者におけるモバイル通信網等の性能の向上が前提となります。

 

② モバイル通信網等のネットワーク設備の障害について

 携帯電話事業者のモバイル通信網等の維持管理は携帯電話事業者において行われており、当社グループが顧客に当社サービスを確実に提供するためには、携帯電話事業者のモバイル通信網等が適切に機能していることが前提となります。携帯電話事業者のモバイル通信網等が適切に機能していないことにより、当社サービスの全部もしくは一部が停止し、または当社サービスの水準が低下する事態が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、携帯電話事業者においてモバイル通信網等の適切な維持・管理が行われていた場合でも、アクセスの集中等の一時的な過負荷、外部からの不正な手段による侵入、内部者の過誤、または大規模地震を含む自然災害、停電もしくは事故等の原因により、携帯電話事業者のモバイル通信網等に障害が発生する可能性があります。このような障害により、当社サービスの全部もしくは一部が停止し、または当社サービスの水準が低下する事態が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、耐震構造または免震構造を有し停電対策を備えた施設にデータセンターを収容するとともに、複数の拠点にデータセンターを設置することでリスクの分散化を図っています。さらに、データセンター内のネットワークシステムについては、その通信状態を終日監視する体制を整備し、継続的に通信状態をテストすることにより、障害等の発生を早急に感知することに努めています。また、携帯電話事業者との障害連絡体制を整え、障害発生時にも極力短時間で復旧できる準備体制を整えています。

 しかしながら、このような体制を敷いているにもかかわらず、大規模地震を含む自然災害、停電または事故等の原因による障害の発生を完全に防ぐことはできません。また、障害が発生した場合、迅速に対処するためには多大なコスト負担が必要となるため、発生した障害の規模等によっては、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、自社開発を含め、多数のネットワーク機器及びコンピュータ・システム(ソフトウェアを含む)を使用しています。これらの機器及びシステムにおいて、不適切な設定、バグ等の不具合(外部から調達する一般的なソフトウェアの不具合を含む)が顕在化した場合には、サービスの全部もしくは一部の停止、またはサービスの水準の低下が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ ネットワークシステムについて

 当社グループが提供するモバイル通信サービスは、モバイル通信網を使用するため、利用場所、利用時の電波の状況、及び基地局の混雑度等により、通信速度が異なります。また、インターネット接続を利用する場合には、インターネットの通信速度に依存します。さらに、携帯電話事業者から当社グループのデータセンターまでを接続する専用線の通信速度並びにデータセンター内のネットワーク設備及びコンピュータ・システムの処理速度にも依存します。加えて、当社グループのデータセンターから顧客法人までを専用線で接続している場合には、当該専用線の通信速度にも依存します。

 当社グループは、現在の顧客数及びその利用実態を把握し、また今後の顧客数及び利用実態を予測することにより、必要かつ十分なネットワークシステムの容量を確保するよう努めています。しかしながら、当社グループが確保したネットワークシステムの容量が需要に対して不足した場合には、通信速度が低下する原因となる可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 一方、このような事態を回避するために、需要に対して必要以上にネットワークシステムの容量を増強した場合にも、過大な費用が発生することで、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 技術革新について

 当社グループが提供するモバイル通信サービスでは、LTE・3Gのモバイル通信技術、無線LAN技術、TCP/IPネットワーク技術、マイクロソフトWindowsオペレーティングシステム、認証技術において業界標準となっているRadius認証システム等を使用しています。これらの技術標準等が急激に大きく変化した場合、その変化に対応するための技術開発に多大な費用が生じ、当社グループの収益を圧迫し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、技術標準等の変化への対応が遅れた場合、または、当社サービスに使用している技術もしくはサービスが陳腐化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 事業の内容について

① 通信端末の調達について

 モバイル通信サービスで使用する通信端末は複数の特定企業からODM(注)等の方法により、発注し、調達していますが、携帯電話事業者の政策や市場環境により、調達条件は都度異なります。

 当社グループは、これらの通信端末の調達条件を改善するよう努めていますが、そのような努力にもかかわらず、調達条件が悪化した場合には、事業原価の上昇や通信端末を適時に顧客に供給できないことによる事業機会の逸失により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、通信端末に品質上の問題があった場合には、サービスを継続できない等の事態が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(注)ODM(Original Design Manufacturing)とは、受託者が製品の設計をした上で、委託者のブランドで製品を生産し、委託者に供給することをいいます。

 

② 通信端末の陳腐化リスク等について

 モバイル通信サービスで使用する通信端末は、通信端末メーカー及び代理店から調達しますが、最低発注量が大きく、需要に対し過大な発注をせざるを得ない場合もあり、このような場合、在庫の陳腐化リスクを負うことになります。当社グループでは、通信端末メーカーと緊密な情報交換を行い、販売状況を見極めながら必要数量の予測を的確に行うよう努めていますが、調達した通信端末が陳腐化した場合、または発注時期の遅延により適時に顧客に供給できず事業機会を逸失した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 通信端末の製造物責任等について

当社は、モバイル通信サービスで使用する通信端末を通信端末メーカーまたは代理店から調達して販売しています。当社は、通信端末を調達するにあたり、品質等の検査を行っていますが、それにもかかわらず、当該通信端末に検収時に判明しない欠陥があり、事故等の被害が生じた場合には、当社は、製造物責任法に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。また、製品事故に至らなくても、当該通信端末の技術基準等に問題があった場合は、製品の回収義務を負う可能性があります。これらの場合は、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信用を大きく毀損し、売上の低下や収益の悪化など、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ マーケティング力及び技術開発力について

 当社グループの業績は、顧客が求め、または顧客に受け入れられるサービスを的確に把握し、新たなサービスを提供していくこと、すなわち激変する業界にあって迅速に動向を把握し、あるいは予測しながら経営を行っていくためのマーケティング力及び技術開発力に依拠すると考えています。当社グループが、かかる能力を適切に維持し、または向上できない場合には、事業機会を逸し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 人材の確保について

 当社グループは、新たな領域で事業を行っているため、少数の個人の経験、スキル及びノウハウに負うところが大きく、そのような人材を失うことによる事業への影響の可能性は否定できません。当社グループは、事業の拡大に伴い、適切な人材を確保し、体制の充実に努める方針ですが、優秀な人材を適時に採用することは容易ではありません。当社グループが、事業の拡大に必要な適切な人材を確保することができなかった場合、採用した従業員が短期間で退職した場合、または、限られた人材に依存している状態で従業員に業務遂行上の支障が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 競合について

 当社が提供するモバイル通信サービスは、その市場が成長期にあることから、現在の競合に加え、今後の更なる新規参入による競争激化が予想されます。特に、当該サービス分野は、通信事業者が提供する通信サービスの側面と、コンピュータ関連業者が提供するシステムサービスの側面とを併せ持つことから、以下のとおり、通信事業及びコンピュータ関連事業から、競合するサービスが現れる可能性があると考えています。

 

① 携帯電話事業者について

 通信回線設備を有する携帯電話事業者は当社グループと比較して圧倒的に潤沢な経営資源を有し、それらを活用することで、より低価格・高機能な商品を単独で提供することが可能です。

 従来、携帯電話事業者の収益源は音声通話によっていましたが、昨今のスマートフォン等の急速な普及からデータ通信による収益が音声通話を上回るようになっており、現在、データ通信市場では、携帯電話事業者を含めた競争が激化しています。

 このような状況において、巨大な事業規模を誇る携帯電話事業者が当社グループと競合するサービスに進出した場合には、当社グループの競争力の低下または価格競争の激化による売上高の減少が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、音声通話の市場が成熟期に入っていることから、携帯電話事業者はMNP(携帯電話番号ポータビリティ)転入超過数を重要な経営指標として位置づけています。こうした携帯電話事業者がMNP転入超過数の極大化を意図して、大々的な販売促進を展開した場合、既存顧客を失う事態、または当社グループのオペレーションが過大な負荷を被る事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 一方、携帯電話事業者は、当社グループにとってモバイル通信網等の調達先でもあります。したがって、携帯電話事業者が当社グループと競合するサービスに進出した場合、自己のサービスを拡大するため、当社との取引条件を変更する可能性があり、その場合、当社グループの価格設定や提供しうるサービスが制限されることにより、既存顧客を失う事態、または新規顧客の獲得が伸び悩む事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② MVNOについて

 当社と競合する他のMVNOの多くは固定回線系ネットワークサービスから進出した事業者であることから、すでに顧客に固定回線サービスを提供している実績があります。したがって、固定回線サービスの既存顧客に対し、モバイル通信サービスを販売していくことにより、モバイル通信サービスの販売を拡大する機会に恵まれています。また、固定回線サービスの顧客を維持・拡大するため、モバイル通信サービスにおいて戦略的な価格政策を打ち出す可能性もあり、かかる事態が発生した場合には、既存顧客を失う事態、または新規顧客の獲得が伸び悩む事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ SI(システムインテグレーター)について

 SIは、コンピュータ・システム領域において、顧客ごとに最適化したシステムのカスタマイズを事業としているため、システムの企画・立案からプログラムの開発、必要なハードウェア・ソフトウェアの選定・導入、及び完成したシステムの保守・管理までを総合的に行い、システム導入後においても保守業務が継続することから、顧客との結び付きは深いものになります。また、多種多様なシステムを統合するため、高いネットワークスキルを有しています。SIが携帯電話事業者と提携する等により、通信サービスの提供能力を獲得した場合には、当社グループにとって強力な競合相手となる可能性があり、そのような場合、既存顧客を失う事態、または新規顧客の獲得が伸び悩む事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) パートナービジネスへの依存について

 当社は、MSEnabler(モバイル・ソリューション・イネイブラー)として、パートナー企業を通じて幅広い顧客ニーズに対応するためのモバイル・ソリューションを提供することを事業の中核に据えています。そのため、当社事業の中長期的な成長の成否は、パートナー企業との間で、取引関係・契約関係を含めた信頼関係を構築することができるか、また、構築した信頼関係を維持・拡大することができるか否かにかかっています。当社は、パートナー企業との協業を成功させるため、最大限の経営資源を投入して、その強化を図っていますが、パートナー企業との間で、取引関係・契約関係を含めた信頼関係を構築することができなかった場合、信頼関係の構築に当社が想定する以上の時間を要した場合、または構築した信頼関係を維持・拡大することができなかった場合は、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 知的財産権及び法的規制等について

① 知的財産権の保護について

 当社グループに帰属する知的財産の保護は、関連法規及び契約の規定に依存しています。また、知的財産の保護のため、必要に応じて特許出願等を行うとともに、他社の技術やノウハウの動向を把握していくよう努めています。しかしながら、出願した特許等が必ず権利登録されるという保証はありません。

 また、当社グループが知的財産保護のために行ってきた出願もしくは登録、または今後行う出願もしくは登録が十分なものではない可能性があり、他社により、当社グループと同様の技術が開発され、または当社グループのサービスが模倣される可能性があります。

 さらに、当社グループの知的財産について仮に権利が取得できていたとしても、第三者によって侵害される可能性もあります。このような場合には、当社グループの事業の継続に支障を来す可能性があるのみならず、かかる侵害者に対する訴訟その他の防御策を講じるため、限られた経営資源を割くことを余儀なくされる事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 第三者からのライセンスについて

 当社グループは、モバイル通信サービスの提供にあたり、複数の第三者から、技術またはブランド(商標)等のライセンスを受けています。将来において、当社グループが現在供与されているライセンスを更新することができない事態、新たなサービスや通信端末を提供するために必要なライセンスの供与を受けることができない事態、または適切な条件でライセンスの更新もしくは供与を受けることができない事態が生じる可能性があり、そのような事態が生じた場合には、当社サービスの優位性が失われ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法的規制等について

 当社グループの事業は、電気通信事業法をはじめとする各種法令に基づく規制を受けています。これらの規制が変更され、または新たな法令が適用されることにより事業に対する制約が強化された場合、事業活動が制限され、またはコストの増加につながる可能性があります。他方、事業に対する制約が緩和された場合、新規参入の増加により競争が激化し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの事業が属する業界において、例えばプリペイド・サービスにおける事業活動が制約される自主規制が設けられた場合、同サービスの継続に支障を来す可能性、または同サービスのコストが増加する可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 個人情報の保護について

 当社は、当社サービスを提供するにあたり、顧客の氏名、住所、生年月日、電話番号等の個人情報を取得することがあり、個人情報保護法に基づき、個人情報取扱事業者としての義務を負っています。

 当社が取得した個人情報は、当社並びに当社連結子会社であるクルーシステム株式会社及びCCT社において業務上取扱いますが、当社グループでは、取得した個人情報について、業務上必要な範囲内のみで利用し、適正な権限を持った者のみがアクセスできるようにしています。また、社員、契約社員及び派遣社員の全員が入社時及び毎年、秘密保持誓約書を提出するものとし、個人情報に接する機会の多いコールセンターの構成員は原則として正社員のみとしています。しかしながら、このような個人情報保護のための対策を施しているにもかかわらず、当社グループからの個人情報の漏洩を完全に防止できるという保証はありません。万一、当社グループが保有する個人情報が社外に漏洩した場合には、顧客からの信用を喪失することによる販売不振や、当該個人からの損害賠償請求等が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) その他

① 業績の予測について

 MVNO事業の歴史はまだ浅く、特に、当社グループが展開するデータ通信MVNOは新たな事業領域であることから、当社グループが今後の業績を予測するにあたり、過去の実績や、通信事業の業界一般の統計に必ずしも依拠することができません。また、今後のMVNO事業の業績に影響を与える可能性のある同事業の利用者数の推移、市場の反応等を正確に予測することも極めて困難です。従って、現時点において当社グループが想定する収益の見通しに重大な相違が生じる可能性があるほか、今後予想し得ない支出等が発生する可能性もあり、かかる事態が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 資金調達について

 当社グループは、ネットワーク設備、ソフトウェア、システム等の開発及び調達等に投資し、当社サービスの更なる差別化を推進して事業拡大を図る計画ですが、計画を実行する上で必要な投資資金の確保が困難な場合、事業機会を逸し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ ストックオプションによる株式の希薄化について

 当社グループは、当社グループに対する貢献意欲及び経営への参加意識を高めるため、ストックオプションによるインセンティブ・プランを採用しており、会社法第238条に基づき発行された新株予約権を、当社並びに当社連結子会社の取締役、監査役、執行役員及び従業員に付与しています。これらのストックオプションが行使されれば、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、役員及び従業員等の士気を高め、あるいは、有能な人材を獲得するためのインセンティブとして、今後も新株予約権の付与を行う可能性があり、さらに株式価値の希薄化を招く可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

会社名

相手方の名称

国名

契約名称

契約内容

契約期間

 日本通信㈱

株式会社インターネットイニシアティブ

日本

広域複合ネットワークサービス契約

データセンターの運営・管理

平成14年2月4日から

平成15年2月3日まで

(1年単位の自動更新)

 日本通信㈱

株式会社NTTドコモ

日本

相互接続協定書

3Gネットワークに関する、レイヤー2による相互接続

契約期間の定めなし

(締結日:平成21年3月13日)

 Contour

 Networks

 Inc.

 (旧

 Communications

 Security and

 Compliance

 Technologies

 Inc.)

Sprint Spectrum L.P.

米国

Private Label PCS Services Agreement

レイヤー2接続に関する契約

開始日:平成22年3月17日
終了日:商用化実施日から起算して5年間が経過する日

(その後は1年単位の自動更新)

 日本通信㈱

株式会社NTTドコモ

日本

卸電気通信役務の提供に関する契約書

3G音声卸サービスに関する契約

平成22年4月15日から

平成25年4月30日まで

(3年単位の自動更新)

 日本通信㈱

イオンリテール株式会社

日本

販売代理店契約書

モバイル通信サービスの販売委託

平成22年12月24日から

平成23年12月23日まで

(1年単位の自動更新)

 日本通信㈱

シネックスインフォテック株式会社

日本

販売代理店契約書(対面販売・ECサイト販売)

モバイル通信サービスの販売委託

平成23年7月29日から

平成24年7月28日まで

(1年単位の自動更新)

 日本通信㈱

イオン北海道株式会社

日本

販売代理店契約書(対面販売)

モバイル通信サービスの販売委託

平成23年7月31日から

平成24年7月30日まで

(1年単位の自動更新)

 日本通信㈱

イオン九州株式会社

日本

販売代理店契約書(対面販売)

モバイル通信サービスの販売委託

平成23年9月21日から

平成24年9月20日まで

(1年単位の自動更新)

 日本通信㈱

丸紅無線通信株式会社

日本

MVNE業務委託基本契約書

MVNE業務の受託契約

平成24年2月1日から

平成27年1月31日まで

(1年単位の自動更新)

 日本通信㈱

株式会社べステック

日本

売買基本契約書

通信端末の仕入れ

平成24年1月31日から

平成25年1月30日まで

(1年単位の自動更新)

 

 

会社名

相手方の名称

国名

契約名称

契約内容

契約期間

 日本通信㈱

株式会社NTTドコモ

日本

第3種Xiサービスの提供に関する契約書

LTE音声卸サービスに関する契約

平成25年1月16日から

第3種Xiサービスの
廃止がなされるまで

 Contour

 Networks

 Inc.

Verizon

Wireless

LLC

米国

Telematics

Agreement

無線による音声通話サービス及びデータ通信サービスの仕入れ

平成25年10月29日から

平成26年12月31日まで

(1年単位の自動更新)

 日本通信㈱

VAIO株式会社

日本

VAIO商標ライセンス契約書

商標のライセンス

平成26年12月24日から

平成27年12月23日まで

(1年単位の自動更新)

 日本通信㈱

Quanta Computer Inc.

台湾

ORIGINAL DESIGN MANUFACTURER

AGREEMENT

通信端末の生産委託契約

平成27年3月17日から

平成32年3月16日まで

(2年単位の自動更新)

 日本通信㈱

ディーリンクジャパン株式会社

日本

基本取引契約書

通信端末の仕入れ

平成28年2月5日から

平成29年2月4日まで

(1年単位の自動更新)

 (注)上記契約の相手方名称は、すべて平成28年3月31日現在の商号によります。

        また、本書提出日現在、上記契約は有効に更新されています。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、携帯電話事業者の設備を借用して、他社には技術的に模倣困難なサービスを開発し、提供しています。従って、そうした当社独自のサービスが、携帯電話事業者のサービスに比べて如何に差別化されているかは極めて重要です。

当連結会計年度における研究開発費は81,631千円で、通信サービスの新たな認証方式、課金方式、制御方式他、当社グループが長期に渡って差別化を実現するための基本的な研究開発を行っています。

なお、このような研究開発活動で得られた技術及び知見は、日本事業、米国事業のセグメントを超えて共用されていますので、セグメントの内訳金額はありません。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づいて作成しています。その作成は経営者による会計方針の選択及び適用、並びに資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の会計方針に関する事項が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えます。

 

収益の認識

 当社グループは、次のサービスラインごとに売上の計上基準を分けています。

① プリペイド・サービス(bモバイル)及び機器向けサービス(通信電池)

当該期間の通信サービスを提供するもの(例:12ヶ月間使い放題のSIM)は当該期間にわたって売上高を按分して計上。

 

② テレコム・サービス

 移動体通信端末の売上は出荷基準

 通話料及びその他付加価値サービスの売上は役務提供基準

 

繰延税金資産

 当社グループは、企業会計上の収益または費用と、課税所得計算上の益金または損金の認識時点が異なることから、会計上の資産・負債と課税所得計算上の資産・負債の額に一時的な差異が生じる場合において、一定期間内における回収可能性に基づき貸借対照表上に繰延税金資産を計上しています。当社グループの将来的な業績予想を検討して十分回収可能性があると考えていますが、状況によっては繰延税金資産の全額または一部を取崩す必要が生じる可能性があります。

 

(2) 経営成績の分析

経営成績の分析については、「1 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。

 

(3) 財政状態の分析

当連結会計年度末における流動資産は4,302百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,952百万円減少しました。これは主に現金及び預金が1,515百万円、売掛金が567百万円、有価証券が200百万円、商品が415百万円減少したことによるものです。固定資産は1,461百万円となり、前連結会計年度末に比べ32百万円増加しました。

この結果、総資産は5,763百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,920百万円減少しました。

当連結会計年度末における流動負債は2,307百万円となり、前連結会計年度末に比べ29百万円増加しました。これは主に短期借入金が901百万円増加した一方、買掛金が652百万円、一年内返済予定の長期借入金が226百万円、未払金が106百万円減少したことによるものです。固定負債は752百万円となり、前連結会計年度末に比べ810百万円減少しました。これは主に長期借入金が764百万円減少したことによるものです。

この結果、負債は3,060百万円となり、前連結会計年度末に比べ781百万円減少しました。

当連結会計年度末における純資産は2,703百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,138百万円減少しました。

この結果、自己資本比率は46.0%(前連結会計年度末は55.2%)となりました。

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況については、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

② 資金需要及び財政政策

今後の主たる資金需要は、運転資金と設備投資に分けられます。運転資金については、データ通信サービスの売上回収期間が極めて短いため、事業規模が拡大しても、営業活動で生じるキャッシュ・フローで仕入債務を十分にまかなうことができます。また、設備投資については、これまでに構築してきたハードウエア及びソフトウエアの通信サービス基盤に対して追加的な投資を行い、他社にはまねのできない差別化されたサービスの提供や通信処理能力の向上を進めていきます。設備投資はおおよそ売上の5%程度を目安に実行することで、このような目的を達成できると考えています。

一方、①で述べたとおり、当社の事業は収益性が強化され、キャッシュを通期で順調に生み出す段階にまで成長してきており、今後の一定の資金需要については自己資金で賄うことができると考えています。

しかし、事業基盤を更に安定させるとともに、機動的な事業展開を行うために手元資金を充実させることは、引き続き重要な課題として認識しています。このため、自己資金に加えて、銀行借入金やリース等によって一時的な資金ニーズなどに対応し、財政の健全性を強化する方針です。