第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

 また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

 

2【経営上の重要な契約等】

 当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績の状況

 日本通信株式会社(以下、「当社」という)がパイオニアとして開拓してきたMVNO市場は、当社の創業から20年の歳月を経てようやく市民権を得ることができ、今後は政府が推進するIoT戦略の重要な一翼を担うことが期待されています。

 総務省によれば、2016年3月末時点において561社のMVNO事業者により604万回線が提供されており、移動系通信契約に占めるMVNO比率は4.0%となっています。このことは、MVNO事業者数の増加に比べ、回線数及び市場シェアの伸びが低調に留まり、今後の開拓の余地が大きいことを示しています。

 一方、今日の移動系通信契約にあまり含まれていない事業領域として、IoT事業があります。従来、いわゆる通信業界は、自動車業界、家電業界、金融業界、医療分野等の様々な業界の一つとして並列の関係として位置付けられていました。昨年は自動車を買った、今年はエアコンを買った、今度はスマホを買うという感覚で、横並びの一つとしての存在です。ところがIoTが進展すると、通信はあらゆる業界の基礎として位置付けられるように変化します。つまり各業界を縦割に捉えれば、通信は横串の存在になるということです。IoT時代の企業間競争は、如何に通信を上手く活用し、他社にない、あるいは他社に先行して新たな製品・サービスを生み出し、提供するかにかかっています。

 平成27年版情報通信白書では、2020年に530億個のデバイスがネットワークに繋がっていると予測されていますが、この分野において、大手携帯電話事業者が提供する無線通信インフラを各業界向けに再構築し、橋渡しをする存在として、MVNOの役割は極めて大きいと考えられています。

 全産業分野において競争軸が変化していく中で、当社は、日本において、そしてグローバルにおいて最大のエリアカバレッジを持つ専用線網を構築し、提供することを目指しています。

 

(日本事業)

 当社の日本事業におけるミッションの一つは、MVNO市場を生み出し、拡大することにあります。当社は、MVNO市場の更なる拡大に向けた課題として、既存事業の立て直し(格安SIM事業の収益性改善)、新規事業の開拓(MVNOサービスの多様化)および、MVNO事業の基盤強化(競争環境の更なる整備)の3点であると考えており、それぞれに対して以下の取組みを行っています。

 

① 格安SIM事業の収益性改善

 当社がイオンとともに格安SIM第1弾を発売して以来、多くの事業者が格安SIM事業に参入しましたが、現時点では、回線数の増加を収益に結び付けることができない事業者が多くなっています。これは、MVNO事業者が自力でサービスの差別化を図ることが難しかったため、価格競争に陥ってしまったことによります。しかしながら、MVNO事業には、他の事業から参入する事業者が多く、通信サービスとは異なる事業の顧客基盤を有する事業者、販売に強みを持つ事業者、コンテンツを保有し通信と一体で提供することを目指す事業者、技術面で強みを持つ事業者等、それぞれの事業者が強い特色を持っています。そのため、当社は、MSEnabler(モバイル・ソリューション・イネイブラー)として、MVNO事業者同士の連携を積極的に推進し、各事業者の強みを生かした事業モデルを構築することで、格安SIM事業の収益性改善に取り組んでまいります。

 

② MVNOサービスの多様化

 一般消費者が毎月負担している携帯料金を引き下げることは重要ですが、従来にはない通信サービスを提供して新たな市場を開拓することも、同じように重要です。当社は、PHSによるMVNOサービスを開始した2001年、つまり15年前からM2M向けの通信サービスを提供しており、これまでに培ったノウハウをもとにIoT向けサービスを提供しています。特に、2015年12月に発表したデュアル・ネットワーク戦略に基づく2つの携帯網を使った冗長化した通信サービスは、従来の(有線の)専用線、または2020年に廃止されるISDN回線に代わるものとして、多方面での導入が期待されています。また、多くのIoT分野では、セキュリティの確保が重要な課題であり、当社の特許技術である無線専用線が高く評価されています。当社の無線専用線が、日立ハイテクソリューションズ株式会社や都道府県警察に採用されたのはその一例です(2016年5月11日及び2016年7月29日公表の開示資料をご覧ください)。

 

③ 競争環境の更なる整備

 総務省は、2016年5月21日に施行された改正電気通信事業法及び関連法規等により、MVNO推進策、即ちMNOとMVNOとの競争環境を更に整備する方針を打ち出しました。具体的には、MVNOの対象を広げること、及び、MVNOができることを広げることです。

 MVNOの対象を広げることは、au網またはソフトバンク網によるMVNOを意味しています。現在のMVNOはほぼ全てがドコモ網によるもので、au網またはソフトバンク網によるMVNOは極めて限定的ですが、今回の法改正により、au網およびソフトバンク網も、ドコモ網と同様にレイヤー2接続が明示的に義務付けられました。当社は、2015年8月7日にソフトバンク株式会社(以下、「SB」という)にレイヤー2接続の申入れを行っており、既に1年以上が経過しています。SBとの接続交渉の状況を開示することはできませんが、当社はSBが公表している接続約款に基づいて接続を申入れていますので、通常の接続日程または接続条件から大きく乖離するようなことがあれば、当社が選択できる手段を取りつつ、実現を目指してまいります。現在、格安SIMを利用することのできるスマートフォンの台数において、ドコモとSBに大差はなく、一方、SBのスマートフォン(多くはiPhone)向けの格安SIMは存在しておりません。そのため、SBとのレイヤー2接続が実現すれば、格安SIM市場は比較的短期間で倍増することになります。

 MVNOができることを広げることは、携帯事業者が有する機能の主要部分をMVNOに開放することを意味しています。現在、携帯網におけるコア交換機であるHLR/HSSは、携帯事業者が保有していますが、MVNOが保有することができれば、MVNOが多様なサービスを提供することが可能となり、かつ、MVNOの業務コストを大幅に引き下げることができます。既に、欧米のMVNOの一部は、自らが保有するHLR/HSSでサービスを提供しており、日本企業がIoT分野で国際競争力を備えるには、一刻も早い実現が必要です。当社は、既にドコモに対しHLR/HSSの接続を申入れており、同社との接続交渉を継続しています。

 

 以上のとおり、当社は、MVNO市場の更なる拡大に向けた3つの課題に積極的に取組み、前進させています。当社の取組みを定性的に捉えれば、既に反転、すなわち当社が攻勢をかける方向に向かっていますが、経営数値として定量的に捉えた場合、まだ反転前の状況です。したがって、当社の喫緊の課題は、これらの取組みを如何に早く売上及び利益に結びつけるかという一点にあります。

 

(海外事業)

 当社は、2016年4月15日にJCIヨーロッパを設立しました。政府及び総務省によるMVNO規制緩和により、日本通信SIM及び当社のHLR/HSS使用を実現できる道筋ができたことから、グローバルな無線専用線を提供するために、欧州の携帯事業者からの携帯網調達を急ぐ必要が生じたため、そのための現地法人として、アイルランドの首都であるダブリンに設立したものです。

 また、当社は、セキュリティ関連技術の開発を強化するため、当社子会社であるArxceo社の拠点を拡大する形で米国フロリダ州に第2開発拠点を設置しました。当社は今後も、当社の使命であるセキュアかつ信頼できるネットワーク提供を拡大するための開発投資を強化してまいります。

 

 以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は683百万円(前年同四半期は957百万円)となりました。営業損失は327百万円(前年同四半期は189百万円)、経常損失は298百万円(前年同四半期は206百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は340百万円(前年同四半期は197百万円)となりました。

 

(2)資産、負債及び純資産の状況

 (資産)

当第1四半期連結会計期間末における流動資産は3,694百万円となり、前連結会計年度末に比べ608百万円減少しました。これは主に現金及び預金が298百万円、商品が35百万円、売掛金が82百万円、未収入金が48百万円減少したことによるものです。固定資産は1,443百万円となり、前連結会計年度末に比べ17百万円減少しました。

この結果、総資産は5,137百万円となり、前連結会計年度末に比べ626百万円減少しました。

 

 (負債)

当第1四半期連結会計期間末における流動負債は2,238百万円となり、前連結会計年度末に比べ68百万円減少しました。これは主に訴訟損失引当金が42百万円増加した一方、買掛金が38百万円、短期借入金が78百万円、一年内返済予定の長期借入金が16百万円減少したことなどによるものです。固定負債は563百万円となり、前連結会計年度末に比べ189百万円減少しました。これは主に長期借入金が177百万円減少したことなどによるものです。

この結果、負債は2,802百万円となり、前連結会計年度末に比べ258百万円減少しました。

 

 (純資産)

当第1四半期連結会計期間末における純資産は2,335百万円となり、前連結会計年度末に比べ368百万円減少しました。

この結果、自己資本比率は44.5%(前連結会計年度末は46.0%)となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物の四半期末残高は1,203百万円となり、前連結会計年度末に比べ、298百万円減少しました。

当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは31百万円の収入(前年同四半期は427百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前四半期純損失341百万円を計上した一方、減価償却費75百万円、売上債権の減少77百万円、たな卸資産の減少31百万円、未収入金の減少48百万円、未収消費税等の減少149百万円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは73百万円の支出(前年同四半期は214百万円の支出)となりました。これは主に固定資産の取得によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは205百万円の支出(前年同四半期は225百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出などによるものです。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は18百万円です。

なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。