(1) 業績
当社は1996年の創業時に、MVNO事業モデルという新たな通信事業の在り方を考案し、以来一貫して自ら実践してまいりました。この間、約21年に及ぶ歴史においては、2度大きな転換点があり、現在は2度目の転換点の真只中にあります。
一つ目の転換点は、2007年の総務大臣裁定です。それまでのMVNO事業は、当社を含む数社がPHS網で試行していましたが、この大臣裁定によって携帯網との相互接続が正式に認められ、本来の意味でのMVNO事業が世界で初めて実現しました。これにより、MVNO事業は、一過性の事業形態ではなく長期的に継続しうる新たな事業として認知され、参入事業者が急増し、2016年12月末のMVNO事業者数は668に達しました。このような背景において、当社は、2015年6月に東京証券取引所市場第一部への市場変更を果たしました。
二つ目の転換点は、2016年5月に施行された改正電気通信事業法及び関連法令によるMVNO規制緩和です。
2007年の総務大臣裁定では、携帯網との相互接続が認められたものの、MVNO事業者が提供することのできる通信サービスには制約があり、極めて限定的なものとなっていました。
そのような環境では価格以外に差別化の要素がなく、MVNO事業は、携帯事業者より低価格で同様の通信サービスを提供するものとなってしまいました。確かに、携帯事業者の寡占化により携帯料金が高止まりしている現状において、MVNOが低価格の料金プランを提供することは、政府及び総務省が推進する政策とも合致し、重要な役割を果たしています。
しかしながら、当社が創業時から提唱しているMVNOの在り方は、携帯事業者ではできない通信サービス、または、携帯事業者ができるとしてもやりたくない通信サービスを提供することで、通信サービスに新たな可能性を切り拓くことです。そのためには、MVNO自身が企画・開発した新たな通信サービスを提供することのできる仕組みが必要です。当社は2007年以降、長期にわたってこの考え方を主張してきましたが、それがようやく実を結んだのが2016年5月の規制緩和なのです。
当社は、この第2の転換点を迎えることが明らかとなった2016年1月22日に、新事業戦略を策定し、公表しました。当社は、規制緩和によって実現可能となる新たな通信サービスの開発・提供能力を強化するとともに、当社が直接顧客に販売するのではなく、パートナー企業に通信サービスを提供する、黒子としての役割に徹する方針です。当社は、イネイブラー事業者として、格安SIM事業を展開するパートナー企業には格安SIMを、企業向けソリューション事業を展開するパートナー企業にはソリューション・プラットフォームを提供しますが、いずれにおいても競争力を維持し、自ら主導した規制緩和を最大限に活用して成長していく戦略です。
当社は、新事業戦略の初年度である当期において、新たな通信サービスの開発・提供能力の強化及びパートナー開拓に集中し、その進捗状況は以下のとおりです。
(日本事業)
当社は新事業戦略に基づき、2つの課題にチャレンジしました。一つはパートナー企業が格安SIMを拡販するために不可欠であるソフトバンク網との相互接続、もう一つはパートナー企業の開拓です。
2007年の総務大臣裁定は、NTTドコモと当社との相互接続にかかるもので、その結果、NTTドコモのネットワークが開放され、多くのMVNO事業者が参入しました。
これを契機に、NTTドコモのお客様の中ではMVNO普及率が拡大していきますが、ソフトバンクのお客様には選択肢となるMVNOが存在しない状況が続いていました。そこで当社は、特に日本で普及しているiPhoneユーザが最も多いと推定されるソフトバンクとの相互接続を申し入れました。
当初は、2016年6月末までにソフトバンク網によるMVNOサービスを提供する予定でしたが、ソフトバンクのSIMロックがかかったiPhone等では利用できないという制約が判明したため、同サービスの提供開始は、この問題が解決するまで延期せざるを得ない状況となりました。当社が2016年9月29日に総務省に接続協定に関する命令を申立てたところ、同年12月8日、総務省はソフトバンクによる制約は電気通信事業法上の理由がないとの判断を示し、2017年1月27日、電気通信事業紛争処理委員会も同様の判断を示しました。これを受け、2017年1月31日、ソフトバンクと当社との間で相互接続協定を締結し、同年3月22日にソフトバンク網によるMVNOサービスの提供を開始することができました。
もう一つの課題であるパートナー企業の開拓では、現在及び近い将来において当社の売上の過半を占める格安SIM事業のパートナー企業開拓を最優先で進めました。その結果、格安SIM事業者の大手である株式会社U-NEXTと2016年8月10日に基本合意し、同年11月7日に協業の合意を行いました。これにより、当社はイネイブラー事業者としてU-NEXTに格安SIMを提供し、U-NEXTが販売及びサポートを担当する体制を構築しました。U-NEXTは、2017年1月17日に、家電量販店トップのヤマダ電機とMVNO事業を行う合弁会社の設立を発表するなど、格安SIMの販売を積極的に推進しており、当社は、U-NEXTのイネイブラーとしての役割を果たすことで、格安SIM市場におけるシェア獲得に取り組んでまいります。
また、公共機関や企業向けのソリューション事業を手掛ける企業とのパートナーシップの構築についても、並行して進めています。2016年11月には、60年を超える歴史と20,000社の顧客基盤を有するシステムインテグレーターである大興電子通信株式会社と協業を開始し、企業向けの無線専用線を中心に販売を推進しています。当社は、ソフトバンクとの相互接続により、デュアル・ネットワークという、他事業者との比較において最大のエリアカバレッジを持つ無線ネットワークを提供することができるため、従来、有線回線で提供されていた拠点間ネットワークを無線に置き換える提案を積極的に進めています。
以上のとおり、新事業戦略における2つの課題は当期において大きく進展しましたが、ソフトバンクとの相互接続の実現が期初計画より大幅に遅れたことから、前年度対比で大幅な減収となりました。
(海外事業)
米国におけるMVNO事業は、専らATM向けの無線専用線サービスを中心に展開していますが、これをさらに周辺分野に広げるため、店舗内金庫のキャッシュ管理分野において、パートナー企業の開拓を進めています。当期においては顕著な成果には至らなかったものの、ATM分野で築いた実績を元に、大手パートナー企業との提携を進めており、今後の進展が期待できる領域です。
また、当社が2006年に買収したセキュリティ技術会社であるArxceo社が持つセキュリティの特許技術は、そのソフトウェアサイズが非常に小さいことから、IoT分野での活用が期待されています。
さらに、当社が2016年4月に設立した欧州子会社は、2017年1月16日に欧州の通信事業者であるBICS S.A.との間で、当社が独自のSIMとHLR/HSS交換機等のコアネットワークを有する、いわゆるフルMVNOになる形で相互接続することで基本合意を締結しました。
当社は、日本で規制緩和が実現した場合に提供する技術及びサービスを予め海外で実施することで多くのノウハウを蓄積し、技術面及び事業面で引き続きMVNO業界のリーダーシップを発揮していくことを目指しています。
以上により、当期は、新事業戦略における取組みに大きな成果が認められたものの、未だ業績には反映されていない状況であり、売上高は2,659百万円(前年比35.3%減)、営業損失は1,701百万円(前年から295百万円の改善)、経常損失は1,650百万円(前年から343百万円の改善)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,198百万円(前年は2,158百万円の損失)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は1,058百万円となり、前連結会計年度末に比べ444百万円減少しました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは425百万円の支出(前連結会計年度末は1,206百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失2,028百万円を計上した一方、減価償却費298百万円、訴訟和解金346百万円、売上債権の減少609百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは427百万円の支出(前連結会計年度末は1,547百万円の支出)となりました。これは主に固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは426百万円の収入(前連結会計年度末は22百万円の収入)となりました。これは主に株式の発行による収入によるものです。
(1) 生産実績
当社グループのサービス提供の実績は、販売実績とほぼ一致していますので、生産実績に関しては(4) 販売実績の項をご参照ください。
(2) 仕入実績
当社グループの当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、セグメントについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)セグメント情報」をご参照ください。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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日本事業(千円) |
1,351,657 |
72.0 |
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海外事業(千円) |
127,948 |
67.0 |
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合計(千円) |
1,479,605 |
71.6 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2.金額は仕入価額で表示しています。
(3) 受注実績
当社グループは 、受注から販売までの所要日数が短く常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しています。
(4) 販売実績
当社グループの販売実績は、出荷金額に基づいており、当連結会計年度販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
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日本事業(千円) |
2,405,661 |
64.3 |
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海外事業(千円) |
286,769 |
77.9 |
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合計(千円) |
2,692,431 |
65.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上である相手先は次のとおりです。
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前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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株式会社U-NEXT |
- |
- |
573,667 |
21.3 |
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ダイワボウ情報システム株式会社 |
278,439 |
6.8 |
296,317 |
11.0 |
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株式会社デジックス |
537,600 |
13.1 |
- |
- |
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(1) 経営方針・経営戦略等
今日、私たちの周囲には当然のようにデジタル情報があふれていますが、デジタル情報が私たちに届くまでには、様々な過程があります。例えば、ビデオカメラやボイスレコーダなどで情報をデジタル化して取り込む過程(入力)、有機ELディスプレイなどにデジタル情報を映し出す過程(出力)、パソコンなどでデジタル情報を加工及び計算する過程(演算)、加工及び計算されたデジタル情報をハードディスクや光学ディスクなどに蓄積する過程(記録)、そして、携帯網や光ファイバーなど無線及び有線で情報を伝送する過程(通信)が挙げられます。
当社が創業した1996年は、第3世代移動通信システム(以下、「3G方式」という)の国際標準化が本格化しようとしている時期でした。3G方式は、従来より高速なデジタル情報通信が可能となるばかりでなく、世界中どこでも使用することができ、また、一つの無線ネットワークを複数のネットワーク事業者が共用して使用することもできる方式です。当社は、3G方式により、無線ネットワークを借りてデジタル情報を伝送することの応用分野の広さとその事業機会の大きさに着目し、デジタル情報をグローバルにマネージして伝送することに大きな可能性と役割を見出したのです。
今や、レコードはデジタル化によってCDになり、音楽のストリーミング配信としてデジタル化されたコンテンツに変容を遂げました。通信機器の進化と通信技術の発展は、多くの分野で同様の変容を促し、現在では、ラジオ、テレビ、フィルム、レコード、書籍などの媒体ごとに分かれていた情報はすべてデジタル化されたコンテンツとなり、さらには、クレジットカードや預金残高等の機密性の高い金融情報もデジタル化され、重要なコンテンツのひとつとなっています。デジタル化によってあらゆる情報が0(ゼロ)と1(イチ)、即ちビットに置き換えられると、コンテンツの配信に媒体による制約はなくなります。こうして各分野の垣根は消滅し、異業種参入による市場競争の活性化も相俟って、社会のデジタル化はさらに急速に進展していきます。
当社は、安全で信頼性の高い情報通信を提供することを会社の使命として、今後も、デジタル情報を伝送する役割でデジタル化した社会の一翼を担っていく方針です。
当社は、この経営方針に基づいて、①どのような形でネットワークを調達し、②どのような形でビジネスを展開するかについて、以下の経営戦略を策定しています。
①ネットワークの調達
安全で信頼性の高い情報通信を提供するには、なるべく広いカバレッジを確保し、また、信頼性の高い通信を提供するために複数のネットワークを用意する必要があります。これらを実現するには、多額の設備投資と長期の準備期間を要しますが、携帯事業者から設備を借り受けて運用する事業モデル(以下、「MVNO事業モデル」という)では、自らは基地局等の大規模設備を持たず、大規模設備を有する携帯事業者からネットワークを借り受ける業態であるため、設備投資にかかるコスト及び時間を大幅に低減させることができます。また、複数の携帯事業者と接続することで、冗長性を確保することもできます。
一般的に、設備を借り受けて運用する場合のデメリットとして、長期的な視点ではコストメリットを欠くこと、また、カスタマイズする余地が限られることで差別化が図れないこと等が挙げられますが、当社が推進するMVNO事業モデルでは、電気通信事業法に基づく相互接続の制度を活用することで、調達コストの経済合理性とサービスの自由度を確保し、これらのデメリットの最小化を図っています。
②ビジネスの展開
当社は、MVNO事業を推進しますが、当社が直接顧客に販売するのではなく、パートナー企業に通信サービスを提供する、黒子(イネイブラー)としての役割に徹する方針です。あらゆる業界にまたがるデジタル情報通信を提供するには、各業界に精通したパートナーの顧客基盤を活用することが不可欠であるためです。
当社では、イネイブラー事業者として、コンシューマ向けに格安SIMを販売しようとするMVNOに対しては格安SIMを、高度なセキュリティを必要とするATM向けのソリューションを要求する金融機関に対しては無線による閉域ネットワークを提供するなど、パートナー企業の要望に合わせた商品及びサービスの提案に取り組んでいます。
近年は、半導体が非常に安価になった結果、センサーとして大量に供給される環境が整い、IoTの発展に大きく寄与しています。IoTにおいては、センサーからクラウドに情報を伝送する需要を背景に通信の商機は拡大しており、当社は、イネイブラーとしてIoT分野においても積極的にビジネスを展開する方針です。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
客観的な指標を設定するには、過去の実績や統計が蓄積され、将来における事業環境をある程度予測できる必要がありますが、当社が転換したイネイブラー事業は新しい事業領域であり、十分な前提情報が存在しないため、現時点では客観的な指標は設定しておりません。
なお、当社は現在、上記(1)の経営戦略に基づき、当社が調達したネットワークのメリットを活用し、あらゆる事業分野で競争力を発揮することのできる商品及びサービスの企画、開発に注力しています。
具体的には、複数の携帯事業者からのネットワークの調達と、そのメリットを十分に享受するための機器(ルータ)の開発、およびMVNO本来のサービスを具現化するための自社SIMの開発ですが、このうち前二者はすでに実現しています。2017年3月にソフトバンク網によるサービス提供を開始し、同時期にデュアル・ネットワーク・ルータの提供を開始しましたので、エリアカバレッジと冗長性を備えたネットワークを実現しました。また、安全かつ信頼性の高い通信を実現する上で土台となるのは認証基盤です。当社は、SIMのICチップに書き込まれている認証情報を使用して通信サービスを提供していますが、この基盤を更に強化するとともに、併せて、自社SIMの開発に取り組んでまいります。
(3) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
①経営環境
当社が創業時から提唱していたMVNO事業モデルは、20年の歳月を経て、ようやく日本市場に定着しました。また、このことと密接に関連して、2016年5月に施行された改正電気通信事業法及び関連法令では、電気通信事業の公正な競争を促進するためにMVNOの参入を促進し事業展開の迅速化を図ることが明示され、基地局等の設備を持つ携帯事業者がMVNOに貸し出すべき機能や貸し出す際の接続ルールの制度化が実現しました。
現在の当社を取り巻くこのような事業環境は、従前の、MVNO事業モデル自体が認知されていなかった時期や相互接続を求めて総務大臣裁定を申し立てていた時期、さらにはごく最近までの、携帯網との相互接続は認められたもののMVNOが提供できる通信サービスに制約があり、価格以外に差別化要素を講じる余地がなかった時期には考えられなかったもので、かつての課題を一つずつ解決・解消した結果として得られたものです。
他方で、2016年の割賦販売法改正や2016年及び2017年の銀行法改正などにより、FinTech企業が決済代行業や銀行業に参入する環境が整備されるなど、業種・業態を問わず、デジタル情報を伝える役割は益々重要になっています。
当社は現在、自ら提唱してきたMVNO事業モデルの真価を問われる時期を迎えています。
②事業上及び財務上の対処すべき課題
上記の経営環境のもと、当社は2016年1月に新事業戦略を策定し、従来のMVNO事業者としての役割から、他のMVNO事業者やメーカー、金融機関等のパートナーにモバイル・ソリューションを提供するイネイブラー事業者に転換する方針を決定しました。当社にとって当面の対処すべき課題は、MVNO事業者からイネイブラー事業者への転換を確実に実行するとともに、その移行をスムーズに実現することです。
そのための事業上の課題として、1)携帯事業者との接続等の交渉、2)他のMVNOや法人パートナーとのパートナーシップの構築、3)当社自身の技術基盤の整備の3つがあります。
一つ目は、イネイブラー事業者として、パートナー企業が求める通信サービスを提供するための携帯網を調達するという課題です。イネイブラー事業を展開するには、格安SIM事業を提供するパートナーに対しては格安SIMを、企業向けソリューション事業を展開するパートナー企業にはソリューション・プラットフォームを提供することが求められます。当社は、このような需要に対応するため、格安SIMの販売において強力な商材であるソフトバンク網の調達を実現しましたが、ソフトバンクとの交渉が難航し、サービスの提供開始は、当初予定していた2016年6月から2017年3月まで遅れる結果となりました。現在は、従前と比べてMVNO事業が法制度上認められるようになったとはいえ、携帯事業者にとって競合相手として認識されていることに変わりはなく、携帯事業者との交渉は容易なものではありません。当社は、高度なソリューション・プラットフォームを整備するために、携帯事業者の加入者情報管理装置(HLR/HSS)を接続する交渉を進めており、引き続き、注力してまいります。
二つ目は、イネイブラー事業者として、他のMVNOや法人パートナーとパートナーシップを構築するという課題です。イネイブラー事業として業容を拡大することができるか否かは、これらのパートナーシップの成否にかかっています。当社は、イネイブラー事業者への転換を確実に実行するため、公共機関や企業向けのソリューション事業を手掛ける企業とのパートナーシップの構築にあたっています。併せて、イネイブラー事業者への移行をスムーズに実現するため、現時点において当社の売上の過半を占める格安SIM事業のパートナー企業の開拓も優先して進めています。
三つ目は、イネイブラー事業者として、他のMVNOや法人パートナーから選んでいただける、競争力のあるソリューション・プラットフォームを提供するための技術基盤を備えるという課題です。これには、セキュアかつ信頼できるネットワークサービスを提供するという通信事業者としての基本技術が最も重要ですが、同時に、他のMVNOや法人パートナーの需要に対応する応用力も必要となります。
上記の課題に対処するうえで最も重要な点は、人材です。当社グループの事業はノウハウや技術等がコアであるため、それらを持つ人材が重要な鍵となります。当社グループは、そのためのヒューマンリソース戦略として、クルーシステムを実践しています。クルーシステムは、当社が考案・構築した事業遂行モデルで、一人一人の人材(クルー)が会社の優先順位に応じた多様な業務を担当することによって、様々なノウハウや技術を身に付けていく仕組みです。当社が直面している上記の課題は、一様に、変化する環境への対応が求められるものですが、クルーシステムは硬直的な分業システムではなく、それ自体、変化に対応する仕組みを備えており、比較的短期間で多様な職務のスキルや経験を幅広く積むことも、一定の職務に専念してより深くスキルや経験を積むことのいずれも可能なものとなっています。当社が直面する課題は前例のないもので、既に知識や経験のある企業がどこかに存在するわけではありません。一方、当社には、MVNO事業モデルを定着させるに至るまでに、法制度の活用、携帯事業者との交渉やネットワーク構築などを通じて培った経験とノウハウがあり、これは、当社のみが持ちうるものです。
また、財務上の課題としては、安定的な通期黒字化を実現するまでの設備投資資金の確保が挙げられますが、当社は、新事業戦略の策定後、同戦略を実現するための資金を確保する手段として、2016年7月にクレディ・スイス証券株式会社を引受人として日本通信株式会社第3回新株予約権(第三者割当て)を発行しています。当社は、割当先が同新株予約権を行使する時期及び数量についてコントロールすることができるため、当社の資金ニーズに合わせて、かつ株式価値の希薄化に配慮して柔軟な資金調達を実現することが可能です。
当社は、人材面においては、引き続きクルーシステムを事業遂行基盤として、経験やノウハウを一層高めてまいります。また、財務面においては、必要に応じて上記新株予約権を活用して、当社が直面する課題に取り組んでいく方針です。
当社グループの事業展開、経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクとしては以下のようなものがあります。必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載していますが、当社株式への投資に関連するリスクのすべてを網羅するものではありません。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 市場について
当社は創業以来、モバイル通信の市場で事業を展開しています。モバイル通信を利用目的によって分けると、音声通話とデータ通信の二つに大別できますが、音声通話の市場は、携帯電話の普及が進み、飽和状態にあります。一方、データ通信の市場は、スマートフォンやタブレット端末の普及が急速に進んでいるものの、未だ成長期にあると言えます。データ通信のうち、固定回線によるものは、光ファイバーやケーブルテレビ等により、高速・大容量の有線ブロードバンドが提供され、浸透しています。モバイル通信によるものもまた、急速に普及が進みましたが、その普及の速さゆえに、セキュリティやプライバシーに関わる課題も広く認識され、大きな関心を集めています。モバイル通信の活用範囲及び市場規模の更なる拡大の成否は、これらの課題が技術及び制度の両面において適切に解決され、誰もが安心して利用できる通信手段になりうるか否かにかかっています。
無線通信やセキュリティ等の技術は日進月歩の発展を遂げているため、技術面の課題はいずれ克服されていくものと考えますが、技術の進歩が停滞または遅延した場合には、当社グループが事業を展開する市場規模の拡大も停滞または遅延する可能性があります。また、無線通信やセキュリティ等の制度面の課題については、行政及び各事業者が高度な問題意識を持って取り組むことで早期に整備されていくものと考えますが、制度の整備が停滞または遅延した場合には、当社グループが事業を展開する市場規模の拡大も停滞または遅延する可能性があります。いずれの場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当社サービスの仕組みについて
① モバイル通信網等について
当社は、携帯電話事業者から調達したモバイル通信サービスを活用して、音声通話サービス、セキュリティ技術、IP電話等の各種アプリケーション、または通信端末等を組み合わせることで当社独自の通信サービスを設計し、一般消費者を含む様々な顧客層及びパートナー企業にモバイル通信のソリューションを提供しています。
当社サービスの基盤となっているのはモバイル通信サービスですが、現時点において、モバイル通信サービスを提供する仕組みは、下図のとおり、ドコモ及びソフトバンクのモバイル通信網等のネットワーク(以下、「モバイル通信網等」という)、専用線接続部分並びに当社グループのデータセンター等から構成されています。なお、当社グループのデータセンターにおける主要なシステムは、株式会社インターネットイニシアティブが運営するデータセンター内に収容しています。
図1 モバイル通信サービスを提供する仕組み
モバイル通信サービスを提供する仕組みのうち最も主要な部分は、携帯電話事業者のモバイル通信網等ですが、これは、当社が携帯電話事業者と締結した契約に基づいて調達しています。
従って、携帯電話事業者とモバイル通信網等を調達する契約を締結することができない場合は、当社はモバイル通信サービスを提供することができません。また、携帯電話事業者とモバイル通信網等を調達する契約を締結した場合も、当該契約が携帯電話事業者によって解除される等により終了した場合は、当社は、モバイル通信サービスの提供を継続することができない事態となります。
当社は、モバイル通信網等の調達にあたっては、電気通信事業法上の制度である相互接続に基づく契約を締結するなど、安定した事業基盤を確保するために最大限の努力をしています。しかしながら、当社が新たなモバイル通信網等を調達するにあたり、携帯電話事業者が相互接続に応じない場合は、携帯電話事業者の裁量の余地がより大きい卸契約によって調達せざるを得なくなる可能性もあります。
また、当社が携帯電話事業者と締結したモバイル通信網等を調達する契約について、従前と同様の条件で継続することができる保証はありません。当社は、携帯電話事業者が積極的に訴求しない分野での潜在需要を喚起する等により、通信市場全体の拡大を図るとともに、携帯電話事業者に対する交渉力の維持・増強に努めています。しかし、当社が将来にわたり携帯電話事業者との契約を更新することができるという保証、または、従前と同様の条件で調達を受けられるという保証はなく、今後、調達条件の改善に成功するという保証もありません。さらに、携帯電話事業者の事業方針の変更等により、当社が従前より不利な条件での調達を余儀なくされる可能性があるほか、携帯電話事業者自身が顧客にとってより魅力的な自社サービスを展開し、それを当社に対する提供条件には反映させないこと等により、当社と携帯電話事業者との契約が維持されたとしても、結果的に当社サービスの競争力が失われる事態となる可能性もあります。当社が携帯電話事業者からの調達条件を維持もしくは改善することができなかった場合、または携帯電話事業者からの調達条件が悪化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループの今後の事業展開においても、携帯電話事業者に依存する側面があることは否定できません。すなわち、当社サービスの利用可能地域の拡大は、携帯電話事業者のモバイル通信網等における通信可能地域の拡大が前提となり、通信速度または通信容量の向上は、携帯電話事業者におけるモバイル通信網等の性能の向上が前提となります。
② モバイル通信網等のネットワーク設備の障害について
携帯電話事業者のモバイル通信網等の維持管理は携帯電話事業者において行われており、当社グループが顧客に当社サービスを確実に提供するためには、携帯電話事業者のモバイル通信網等が適切に機能していることが前提となります。携帯電話事業者のモバイル通信網等が適切に機能していないことにより、当社サービスの全部もしくは一部が停止し、または当社サービスの水準が低下する事態が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、携帯電話事業者においてモバイル通信網等の適切な維持・管理が行われていた場合でも、アクセスの集中等の一時的な過負荷、外部からの不正な手段による侵入、内部者の過誤、または大規模地震を含む自然災害、停電もしくは事故等の原因により、携帯電話事業者のモバイル通信網等に障害が発生する可能性があります。このような障害により、当社サービスの全部もしくは一部が停止し、または当社サービスの水準が低下する事態が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、耐震構造または免震構造を有し停電対策を備えた施設にデータセンターを収容しています。さらに、データセンター内のネットワークシステムについては、その通信状態を終日監視する体制を整備し、継続的に通信状態をテストすることにより、障害等の発生を早急に感知することに努めています。また、携帯電話事業者との障害連絡体制を整え、障害発生時にも極力短時間で復旧できる準備体制を整えています。
しかしながら、このような体制を敷いているにもかかわらず、大規模地震を含む自然災害、停電または事故等の原因による障害の発生を完全に防ぐことはできません。また、障害が発生した場合、迅速に対処するためには多大なコスト負担が必要となるため、発生した障害の規模等によっては、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、自社開発を含め、多数のネットワーク機器及びコンピュータ・システム(ソフトウェアを含む)を使用しています。これらの機器及びシステムにおいて、不適切な設定、バグ等の不具合(外部から調達する一般的なソフトウェアの不具合を含む)が顕在化した場合には、サービスの全部もしくは一部の停止、またはサービスの水準の低下が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ ネットワークシステムについて
当社グループが提供するモバイル通信サービスは、モバイル通信網を使用するため、利用場所、利用時の電波の状況、及び基地局の混雑度等により、通信速度が異なります。また、インターネット接続を利用する場合には、インターネットの通信速度に依存します。さらに、携帯電話事業者から当社グループのデータセンターまでを接続する専用線の通信速度並びにデータセンター内のネットワーク設備及びコンピュータ・システムの処理速度にも依存します。加えて、当社グループのデータセンターから法人顧客までを専用線で接続している場合には、当該専用線の通信速度にも依存します。
当社グループは、現在の顧客数及びその利用実態を把握し、また今後の顧客数及び利用実態を予測することにより、必要かつ十分なネットワークシステムの容量を確保するよう努めています。しかしながら、当社グループが確保したネットワークシステムの容量が需要に対して不足した場合には、通信速度が低下する原因となる可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、このような事態を回避するために、需要に対して必要以上にネットワークシステムの容量を増強した場合にも、過大な費用が発生することで、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 技術革新について
当社グループが提供するモバイル通信サービスでは、LTE・3Gのモバイル通信技術、無線LAN技術、TCP/IPネットワーク技術、マイクロソフトWindowsオペレーティングシステム、認証技術において業界標準となっているRadius認証システム等を使用しています。これらの技術標準等が急激に大きく変化した場合、その変化に対応するための技術開発に多大な費用が生じ、当社グループの収益を圧迫し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、技術標準等の変化への対応が遅れた場合、または、当社サービスに使用している技術もしくはサービスが陳腐化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 事業の内容について
① 通信端末の調達について
モバイル通信サービスで使用する通信端末は複数の特定企業からODM(注)等の方法により、発注し、調達していますが、携帯電話事業者の政策や市場環境により、調達条件は都度異なります。
当社グループは、これらの通信端末の調達条件を改善するよう努めていますが、そのような努力にもかかわらず、調達条件が悪化した場合には、事業原価の上昇や通信端末を適時に顧客に供給できないことによる事業機会の逸失により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、通信端末に品質上の問題があった場合には、サービスを継続できない等の事態が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注)ODM(Original Design Manufacturing)とは、受託者が製品の設計をした上で、委託者のブランドで製品を生産し、委託者に供給することをいいます。
② 通信端末の陳腐化リスク等について
モバイル通信サービスで使用する通信端末は、通信端末メーカー及び代理店から調達しますが、最低発注量が大きく、需要に対し過大な発注をせざるを得ない場合もあり、このような場合、在庫の陳腐化リスクを負うことになります。当社グループでは、通信端末メーカーと緊密な情報交換を行い、販売状況を見極めながら必要数量の予測を的確に行うよう努めていますが、調達した通信端末が陳腐化した場合、または発注時期の遅延により適時に顧客に供給できず事業機会を逸失した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 通信端末の製造物責任等について
当社は、モバイル通信サービスで使用する通信端末を通信端末メーカーまたは代理店から調達して販売しています。当社は、通信端末を調達するにあたり、品質等の検査を行っていますが、それにもかかわらず、当該通信端末に検収時に判明しない欠陥があり、事故等の被害が生じた場合には、当社は、製造物責任法に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。また、製品事故に至らなくても、当該通信端末の技術基準等に問題があった場合は、製品の回収義務を負う可能性があります。これらの場合は、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信用を大きく毀損し、売上の低下や収益の悪化など、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ マーケティング力及び技術開発力について
当社グループの業績は、顧客が求め、または顧客に受け入れられるサービスを的確に把握し、新たなサービスを提供していくこと、すなわち激変する業界にあって迅速に動向を把握し、あるいは予測しながら経営を行っていくためのマーケティング力及び技術開発力に依拠すると考えています。当社グループが、かかる能力を適切に維持し、または向上できない場合には、事業機会を逸し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 人材の確保について
当社グループは、新たな領域で事業を行っているため、少数の個人の経験、スキル及びノウハウに負うところが大きく、そのような人材を失うことによる事業への影響の可能性は否定できません。当社グループは、事業の拡大に伴い、適切な人材を確保し、体制の充実に努める方針ですが、優秀な人材を適時に採用することは容易ではありません。当社グループが、事業の拡大に必要な適切な人材を確保することができなかった場合、採用した従業員が短期間で退職した場合、または、限られた人材に依存している状態で従業員に業務遂行上の支障が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 競合について
当社が提供するモバイル通信サービスは、その市場が成長期にあることから、現在の競合に加え、今後の更なる新規参入による競争激化が予想されます。特に、当該サービス分野は、通信事業者が提供する通信サービスの側面と、コンピュータ関連業者が提供するシステムサービスの側面とを併せ持つことから、以下のとおり、通信事業及びコンピュータ関連事業から、競合するサービスが現れる可能性があると考えています。
① 携帯電話事業者について
通信回線設備を有する携帯電話事業者は当社グループと比較して圧倒的に潤沢な経営資源を有し、それらを活用することで、より低価格・高機能な商品を単独で提供することが可能です。
従来、携帯電話事業者の収益源は音声通話によっていましたが、昨今のスマートフォン等の急速な普及からデータ通信による収益が音声通話を上回るようになっており、現在、データ通信市場では、携帯電話事業者を含めた競争が激化しています。
このような状況において、携帯電話事業者は、自社または自社と資本関係のあるグループ内のMVNOにより、当社グループと競合するサービスの展開を強化しています。携帯電話事業者が、その強大な資本力を背景に、当社グループより商品力に優れたサービスを提供した場合、当社グループの競争力の低下または価格競争の激化による売上高の減少が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、音声通話の市場が成熟期に入っていることから、携帯電話事業者はMNP(携帯電話番号ポータビリティ)転入超過数を重要な経営指標として位置づけています。こうした携帯電話事業者がMNP転入超過数の極大化を意図して、大々的な販売促進を展開した場合、既存顧客を失う事態、または当社グループのオペレーションが過大な負荷を被る事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、携帯電話事業者は、当社グループにとってモバイル通信網等の調達先でもあります。携帯電話事業者が提供するサービスと当社グループが提供するサービスの競合が激化した場合、携帯電話事業者は、自己のサービスを拡大するため、当社との取引条件を変更する可能性があり、その場合、当社グループの価格設定や提供しうるサービスが制限されることにより、既存顧客を失う事態、または新規顧客の獲得が伸び悩む事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② MVNOについて
当社グループと競合するMVNOの多くは、固定回線系ネットワークサービスを提供する事業者、日本を代表するECサイトを運営する事業者、大規模小売店を展開する事業者がモバイル通信サービスに新規参入したものです。これらの事業者は、既存事業において安定的な顧客基盤及び事業基盤を有しており、これらを活用してモバイル通信サービスを販売することができるため、新規事業であるモバイル通信サービスを拡大する機会に恵まれています。また、既存事業の収益を源泉にモバイル通信サービスのシェア拡大を優先する場合、または、モバイル通信サービスを既存事業の維持・拡大の手段として位置づける場合には、モバイル通信サービスにおいて戦略的な価格政策を打ち出す可能性もあり、かかる事態が発生した場合には、既存顧客を失う事態、または新規顧客の獲得が伸び悩む事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ SI(システムインテグレーター)について
SIは、コンピュータ・システム領域において、顧客ごとに最適化したシステムのカスタマイズを事業としているため、システムの企画・立案からプログラムの開発、必要なハードウェア・ソフトウェアの選定・導入、及び完成したシステムの保守・管理までを総合的に行い、システム導入後においても保守業務が継続することから、顧客との結び付きは深いものになります。また、多種多様なシステムを統合するため、高いネットワークスキルを有しています。SIが携帯電話事業者と提携する等により、通信サービスの提供能力を獲得した場合には、当社グループにとって強力な競合相手となる可能性があり、そのような場合、既存顧客を失う事態、または新規顧客の獲得が伸び悩む事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) パートナービジネスへの依存について
当社グループは、イネイブラー事業者として、パートナー企業にモバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションを提供することを事業の中核に据えています。そのため、当社事業の中長期的な成長の成否は、パートナー企業との間で、取引関係・契約関係を含めた信頼関係を構築することができるか、また、構築した信頼関係を維持・拡大することができるか否かにかかっています。当社は、パートナー企業との協業を成功させるため、最大限の経営資源を投入して、競争力のあるモバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションの開発に努めるとともに、パートナー企業のオペレーションを支援するためのパートナープラットフォームの開発を強化しています。しかしながら、パートナー企業との間で、取引関係・契約関係を含めた信頼関係を構築することができなかった場合、信頼関係の構築に当社が想定する以上の時間を要した場合、または構築した信頼関係を維持・拡大することができなかった場合は、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 知的財産権及び法的規制等について
① 知的財産権の保護について
当社グループに帰属する知的財産の保護は、関連法規及び契約の規定に依存しています。また、知的財産の保護のため、必要に応じて特許出願等を行うとともに、他社の技術やノウハウの動向を把握していくよう努めています。しかしながら、出願した特許等が必ず権利登録されるという保証はありません。
また、当社グループが知的財産保護のために行ってきた出願もしくは登録、または今後行う出願もしくは登録が十分なものではない可能性があり、他社により、当社グループと同様の技術が開発され、または当社グループのサービスが模倣される可能性があります。
さらに、当社グループの知的財産について仮に権利が取得できていたとしても、第三者によって侵害される可能性もあります。このような場合には、当社グループの事業の継続に支障を来す可能性があるのみならず、かかる侵害者に対する訴訟その他の防御策を講じるため、限られた経営資源を割くことを余儀なくされる事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 第三者からのライセンスについて
当社グループは、モバイル通信サービスの提供にあたり、複数の第三者から、技術またはブランド(商標)等のライセンスを受けています。将来において、当社グループが現在供与されているライセンスを更新することができない事態、新たなサービスや通信端末を提供するために必要なライセンスの供与を受けることができない事態、または適切な条件でライセンスの更新もしくは供与を受けることができない事態が生じる可能性があり、そのような事態が生じた場合には、当社サービスの優位性が失われ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 法的規制等について
当社グループの事業は、電気通信事業法をはじめとする各種法令に基づく規制を受けています。これらの規制が変更され、または新たな法令が適用されることにより事業に対する制約が強化された場合、事業活動が制限され、またはコストの増加につながる可能性があります。他方、事業に対する制約が緩和された場合、新規参入の増加により競争が激化し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業が属する業界において、例えばプリペイド・サービスにおける事業活動が制約される自主規制が設けられた場合、同サービスの継続に支障を来す可能性、または同サービスのコストが増加する可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 個人情報の保護について
当社は、当社サービスを提供するにあたり、顧客の氏名、住所、生年月日、電話番号等の個人情報を取得することがあり、個人情報保護法に基づき、個人情報取扱事業者としての義務を負っています。
当社が取得した個人情報は、当社並びに当社連結子会社であるクルーシステム株式会社及びCCT社において業務上取扱いますが、当社グループでは、取得した個人情報について、業務上必要な範囲内のみで利用し、適正な権限を持った者のみがアクセスできるようにしています。また、社員、契約社員及び派遣社員の全員が入社時及び毎年、秘密保持誓約書を提出するものとし、個人情報に接する機会の多いコールセンターの構成員は原則として正社員のみとしています。しかしながら、このような個人情報保護のための対策を施しているにもかかわらず、当社グループからの個人情報の漏洩を完全に防止できるという保証はありません。万一、当社グループが保有する個人情報が社外に漏洩した場合には、顧客からの信用を喪失することによる販売不振や、当該個人からの損害賠償請求等が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) その他
① 業績の予測について
MVNO事業の歴史はまだ浅く、特に、当社グループが展開するデータ通信MVNOは新たな事業領域であることから、当社グループが今後の業績を予測するにあたり、過去の実績や、通信事業の業界一般の統計に必ずしも依拠することができません。また、今後のMVNO事業の業績に影響を与える可能性のある同事業の利用者数の推移、市場の反応等を正確に予測することも極めて困難です。従って、現時点において当社グループが想定する収益の見通しに重大な相違が生じる可能性があるほか、今後予想し得ない支出等が発生する可能性もあり、かかる事態が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 資金調達について
当社グループは、ネットワーク設備、ソフトウェア、システム等の開発及び調達等に投資し、当社サービスの更なる差別化を推進して事業拡大を図る計画ですが、計画を実行する上で必要な投資資金の確保が困難な場合、事業機会を逸し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ ストックオプションによる株式の希薄化について
当社グループは、当社グループに対する貢献意欲及び経営への参加意識を高めるため、ストックオプションによるインセンティブ・プランを採用しており、会社法第238条に基づき発行された新株予約権を、当社並びに当社連結子会社の取締役、監査役、執行役員及び従業員に付与しています。これらのストックオプションが行使されれば、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、役員及び従業員等の士気を高め、あるいは、有能な人材を獲得するためのインセンティブとして、今後も新株予約権の付与を行う可能性があり、さらに株式価値の希薄化を招く可能性があります。
④ 新株予約権(第三者割当て)による株式の希薄化について
当社は、平成28年7月12日開催の取締役会決議に基づき、平成28年7月28日に第3回新株予約権(第三者割当て)210,000個(21,000,000株)を発行しました。当該新株予約権の行使期間は平成30年7月28日までであり、当連結会計年度末現在の当該新株予約権の潜在株式数は14,070,000株となっています。当該新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、株価に影響を及ぼす可能性があります。
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会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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日本通信㈱ |
株式会社インターネットイニシアティブ |
日本 |
広域複合ネットワークサービス契約 |
データセンターの運営・管理 |
平成14年2月4日から 平成15年2月3日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
株式会社NTTドコモ |
日本 |
相互接続協定書 |
レイヤー2による3Gネットワークの相互接続に関する協定 |
契約期間の定めなし (締結日:平成21年3月13日) |
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日本通信㈱ |
モバイルクリエイト株式会社 |
日本 |
MVNE業務委託基本契約書 |
MVNE業務の受託契約 |
平成21年5月25日から 平成22年5月24日まで (1年単位の自動更新) |
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Contour Networks Inc. (旧 Communications Security and Compliance Technologies Inc.) |
Sprint Spectrum L.P. |
米国 |
Private Label PCS Services Agreement |
レイヤー2接続に関する契約 |
開始日:平成22年3月17日 (その後は1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
株式会社NTTドコモ |
日本 |
卸電気通信役務の提供に関する契約書 |
3G音声卸サービスに関する契約 |
平成22年4月15日から 平成25年4月30日まで (3年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
シネックスインフォテック株式会社 |
日本 |
販売代理店契約書(対面販売・ECサイト販売) |
モバイル通信サービスの販売委託 |
平成23年7月29日から 平成24年7月28日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
丸紅無線通信株式会社 |
日本 |
MVNE業務委託基本契約書 |
MVNE業務の受託契約 |
平成24年2月1日から 平成29年1月31日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
株式会社ベステック |
日本 |
売買基本契約書 |
通信端末の仕入れ |
平成24年1月31日から 平成25年1月30日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
株式会社NTTドコモ |
日本 |
第3種Xiサービスの提供に関する契約書 |
LTE音声卸サービスに関する契約 |
平成25年1月16日から 第3種Xiサービスの 廃止がなされるまで |
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Contour Networks Inc. |
Verizon Wireless LLC |
米国 |
Telematics Agreement |
無線による音声通話サービス及びデータ通信サービスの仕入れ |
平成25年10月29日から 平成26年12月31日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
ダイワボウ情報システム株式会社 |
日本 |
MVNE業務委託基本契約書 |
MVNE業務の受託契約 |
平成26年11月21日から 平成27年11月20日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
VAIO株式会社 |
日本 |
VAIO商標ライセンス契約書 |
商標のライセンス |
平成26年12月24日から 平成27年12月23日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
Quanta Computer Inc. |
台湾 |
ORIGINAL DESIGN MANUFACTURER AGREEMENT |
通信端末の生産委託契約 |
平成27年3月17日から 平成32年3月16日まで (2年単位の自動更新) |
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会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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日本通信㈱ |
ディーリンクジャパン株式会社 |
日本 |
基本取引契約書 |
通信端末の仕入れ |
平成28年2月5日から 平成29年2月4日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
エックスモバイル株式会社 |
日本 |
MVNE業務委託基本契約書 |
MVNE業務の受託契約 |
平成28年4月1日から 平成32年3月31日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
株式会社U-NEXT |
日本 |
MVNE業務委託基本契約書 |
MVNE業務の受託契約 |
平成28年7月18日から 平成29年7月17日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
株式会社U-NEXT |
日本 |
共同事業契約書 |
MVNOサービスにおける共同事業に関する契約(「b-mobile」のブランドで提供される個人向けサービスの一部の賃貸を含む) |
平成28年10月1日から 平成33年9月30日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
ソフトバンク株式会社 |
日本 |
相互接続協定書 |
レイヤー2による3G及びLTEネットワークの相互接続に関する協定 |
契約期間の定めなし (締結日:平成29年1月31日) |
(注)上記契約の相手方名称は、すべて平成29年3月31日現在の商号によります。
また、本書提出日現在、上記契約は有効に更新されています。
当社グループは、携帯電話事業者の設備を借用して、他社には技術的に模倣困難なサービスを開発し、提供しています。従って、そうした当社独自のサービスが、携帯電話事業者のサービスに比べて如何に差別化されているかは極めて重要です。
当連結会計年度における研究開発費は55,805千円で、通信サービスの新たな認証方式、課金方式、制御方式他、当社グループが長期に渡って差別化を実現するための基本的な研究開発を行っています。
なお、このような研究開発活動で得られた技術及び知見は、日本事業、海外事業のセグメントを超えて共用されていますので、セグメントの内訳金額はありません。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づいて作成しています。その作成は経営者による会計方針の選択及び適用、並びに資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の会計方針に関する事項が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えます。
①収益の認識
当社グループは、次のサービスラインごとに売上の計上基準を分けています。
(ⅰ)プリペイド・サービス(bモバイル)及び機器向けサービス(通信電池)
当該期間の通信サービスを提供するもの(例:12ヶ月間使い放題のSIM)は当該期間にわたって売上高を按分して計上。
(ⅱ)月額課金サービス
移動体通信端末の売上は出荷基準
通話料及びその他付加価値サービスの売上は役務提供基準
②貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案して、回収不能見込額を計上しています。販売先の財務状況及び支払能力に重要な変動が生じた場合、これらの貸倒引当金の見積に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③たな卸資産の評価
当社グループは、総平均法に基づく原価法(貸借対照表価額については、収益性の低下による簿価切下げの方法)により評価しています。将来の市場環境に重要な変動が生じた場合、これらのたな卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④固定資産の減損
当社グループは、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産の帳簿価額を、回収可能価額まで減損する会計処理を適用しています。経済環境の著しい悪化等により営業収益が大幅に低下する場合等には、減損損失が発生する可能性があります。
⑤繰延税金資産
当社グループは、企業会計上の収益または費用と、課税所得計算上の益金または損金の認識時点が異なることから、会計上の資産・負債と課税所得計算上の資産・負債の額に一時的な差異が生じる場合において、一定期間内における回収可能性に基づき貸借対照表上に繰延税金資産を計上しています。当社グループの将来的な業績予想を検討して十分回収可能性があると考えていますが、状況によっては繰延税金資産の全額または一部を取崩す必要が生じる可能性があります。
(2)経営成績の分析
経営成績の分析については、「1 業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。
(3)財政状態の分析
当連結会計年度末における流動資産は3,316百万円となり、前連結会計年度末に比べ985百万円減少しました。これは主に現金及び預金が284百万円、売掛金が608百万円、繰延税金資産が166百万円減少したことによるものです。固定資産は1,465百万円となり、前連結会計年度末に比べ4百万円増加しました。
この結果、総資産は4,792百万円となり、前連結会計年度末に比べ971百万円減少しました。
当連結会計年度末における流動負債は2,894百万円となり、前連結会計年度末に比べ587百万円増加しました。これは主に未払金が448百万円、預り金が209百万円増加したことによるものです。固定負債は141百万円となり、前連結会計年度末に比べ611百万円減少しました。これは主に長期借入金が569百万円減少したことによるものです。
この結果、負債は3,036百万円となり、前連結会計年度末に比べ23百万円減少しました。
当連結会計年度末における純資産は1,755百万円となり、前連結会計年度末に比べ948百万円減少しました。
この結果、自己資本比率は35.0%(前連結会計年度末は46.0%)となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況については、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
②資金需要及び財政政策
今後の主たる資金需要は、運転資金と設備投資に分けられます。運転資金については、データ通信サービスの売上回収期間が極めて短いため、事業規模が拡大しても、営業活動で生じるキャッシュ・フローで仕入債務を十分にまかなうことができます。また、設備投資については、これまでに構築してきたハードウエア及びソフトウエアの通信サービス基盤に対して追加的な投資を行い、他社にはまねのできない差別化されたサービスの提供や通信処理能力の向上を進めていきます。設備投資はおおよそ売上の5%程度を目安に実行することで、このような目的を達成できると考えています。
一方、①で述べたとおり、当社の事業は収益性が強化され、キャッシュを通期で順調に生み出す段階にまで成長してきており、今後の一定の資金需要については自己資金で賄うことができると考えています。
しかし、事業基盤を更に安定させるとともに、機動的な事業展開を行うために手元資金を充実させることは、引き続き重要な課題として認識しています。このため、自己資金に加えて、銀行借入金やリース等によって一時的な資金ニーズなどに対応し、財政の健全性を強化する方針です。