当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
(1)経営成績の状況
当社グループは、安全・安心にデータを運ぶ(通信する)ことをミッションとして事業を展開しています。当社は、当連結会計年度においても、引き続き、SIM事業の収益改善を図りながら、中長期的な成長ドライバーである FinTechプラットフォーム、「FPoS」(Fintech Platform over SIM、エフポス)の商用化に向けた取組みを進めています。
① SIM事業
当第3四半期連結累計期間においては、2019年10月1日の改正電気通信事業法の施行という大きな変化がありました。これまでの携帯電話サービス販売においては、大手携帯電話事業者(MNO)が通信サービスとのセット販売で端末代金を大幅に値引きして利用者を獲得し、高額な解約金で拘束(2年縛り)して利用者を囲い込み、販売代理店が高額なキャッシュバックを提供して利用者の乗り換えを促すといういびつな販売戦略が常態化していました。すなわち、利用者が自身のニーズに合った通信サービスや通信端末を自由にかつ十分に比較検討して選択することができる環境が確保されているとはいえない状況でした。改正法は、通信料金と端末代金を完全分離し、解約金に上限を設定することでこの問題を解決し、大手携帯電話事業者による販売代理店を利用した施策を含めた行き過ぎた囲い込みはようやく終息しました。これにより、利用者は、MNOだけでなく、MVNOを含めた事業者から自身のニーズに合った通信サービスを選択することが容易になります。このように、MNOとMVNOとの間のスイッチングバリアが下がり、利用者の流動性が高まることは、MVNO事業者にとって、中長期的にプラスの要因となります。
しかしながら、短期的には、改正法が目指したいびつな商慣習の是正が即時に市場に反映されたことで、MNOのキャッシュバックを目的とする利用者が減少したことにより、SIM事業の売上は約125百万円減少し、当四半期の売上は前四半期から108百万円の減収となりました。ただし、このような超短期の利用者にかかる売上影響を取り除くと、四半期ごとの当社連結売上高は増収を続けています。
なお、改正法により、大手携帯電話事業者によるいびつな販売手法はようやく是正されたものの、MNOとMVNOの競争環境は未だ公正なものとはなっておりません。MNOは5年以上前から音声定額サービスを提供し、利用者数は増加の一途を辿っていますが、MNOがMVNOに卸提供する音声サービスの価格は30秒あたり20円で、2010年から据え置かれたままとなっています。そのため、MVNOはデータ通信サービスで低価格を実現しても、音声サービスでは定額サービスを提供することができず、データ通信と音声を総合的に検討した場合に選ばれない状況が続いています。
当社は、長年にわたり、この問題をドコモに申し入れてきましたが、協議が不調に終わったことから、2019年11月に総務大臣裁定の申請を行いました(詳細は、2019年11月15日付当社開示資料「日本通信、携帯料金4割削減プラン実現のために総務大臣裁定を申請」をご参照ください)。この裁定申請については、2020年2月4日に電気通信紛争処理委員会が開催され、総務大臣の裁定案(音声サービスを原価ベース(能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えた金額を超えない額)で卸提供することをドコモに求めるもの)が諮問されました。今後、電気通信紛争処理委員会の答申を経て、総務大臣裁定が下されることとなりますが、これにより、MNOとMVNOの公正な競争環境の実現に向けて大きく前進することを期待しています。
当社の四半期増収傾向は、電気通信事業法改正の影響で一時的に後戻りしましたが、短期的な影響を除外した場合は引き続き増収傾向を維持しています。また、今後の総務大臣裁定を経て音声サービスの調達環境が改善した段階においては、データ通信と音声を含めた通信サービスにおいて、より競争力のある魅力的なサービスを提供することができ、さらなる増収率を実現する環境が整います。
② FPoSの商用化に向けた取組み
FPoSの商用化に向けた取組みとしては、事例作りに集中しています。FPoSの潜在顧客業種は、金融機関のほか、決済事業者、医療機関、教育機関その他利用者の本人確認が必要な事業者、政府及び地方自治体等、多方面に渡ることが見込まれるため、個々の事例を積み重ね、その後の横展開につなげていくことを想定しています。2019年11月19日には、インドネシア・日本・他国にまたがるデジタル・バンキング及び通信の共同プロジェクトを発足させましたが、これも、その取組みの一つです。
また、2020年1月30日に、FPoSが採用するサブSIMの開発製造元であるTaisys Technologies Co. Ltd.との合弁会社となる「セキュアID株式会社」を設立しました。
③ 海外事業
海外事業においては、米国のCBRS(Citizens Broadband Radio Service、市民ブロードバンド無線サービス)に集中しています。既に、米国コロラド州の大規模商業施設(ショッピングモール)に高出力のローカル基地局を設置し、ショッピンモール運営会社及びテナント店舗と準備を進めていますが、今般、米国の携帯事業者(MNO)ネットワークとの接続に関する契約を締結したことから、米国の携帯事業者が持つ基地局網とCBRS基地局の両方に接続できる「ハイブリッドSIM」を提供することを決定しました。
当社は、ローカル5G戦略において、米国のCBRSサービスを先行させ、そこで得た知見を日本のローカル5G商用化に活用する予定です。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期と比較し144百万円増の2,705百万円(前年同四半期は2,560百万円)、営業損失は529百万円(前年同四半期は462百万円)、経常損失は529百万円(前年同四半期は457百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は558百万円(前年同四半期は460百万円)となりました。
(2)資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は1,412百万円となり、前連結会計年度末に比べ51百万円増加しました。これは主に売掛金が132百万円、未収入金が96百万円減少した一方、現金及び預金が297百万円増加したことによるものです。固定資産は337百万円となり、前連結会計年度末に比べ17百万円増加しました。これは主に無形固定資産が18百万円増加したことによるものです。
この結果、総資産は1,753百万円となり、前連結会計年度末に比べ65百万円増加しました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は883百万円となり、前連結会計年度末に比べ105百万円減少しました。これは主に買掛金が12百万円、預り金が44百万円減少したことによるものです。固定負債は32百万円となり、前連結会計年度末に比べ7百万円減少しました。これは主に長期借入金が14百万円減少したことによるものです。
この結果、負債は916百万円となり、前連結会計年度末に比べ113百万円減少しました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は836百万円となり、前連結会計年度末に比べ178百万円増加しました。
この結果、自己資本比率は46.4%(前連結会計年度末は37.5%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物の期末残高は940百万円となり、前連結会計年度末に比べ297百万円増加しました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは373百万円の支出(前年同四半期は311百万円の支出)となりました。これは主に売上債権が132百万円、未収入金が96百万円減少した一方、税金等調整前四半期純損失を555百万円計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは48百万円の支出(前年同四半期は78百万円の支出)となりました。これは主に固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは720百万円の収入(前年同四半期は176百万円の収入)となりました。これは主に株式の発行による収入によるものです。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は86百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。