当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)経営成績の状況
①モバイル通信サービス(MVNO/MVNE事業)について
日本通信SIM
当社は、2020年6月の総務大臣裁定を受け、2020年7月に大手携帯電話事業者と同等の音声定額プランを提供する「日本通信SIM」を発売して以来、お客様のライフスタイルに合わせた商品ラインナップの充実を図っております。
また、当社は、「日本通信SIM」の認知度向上策として、前連結会計年度に当社として初めてのテレビコマーシャル(「これ以上、引けない。290円」編)を実施し、インターネットでも同様の広告を展開しました。
これらの施策により、「日本通信SIM」は比較サイトやSNS等で取り上げられ、その商品性及び価格競争力が高く評価されています。
なお、「日本通信SIM」の音声通話サービスは、業界最安値でありながら、MVNOの多くが採用しているプレフィックス方式ではなく、大手携帯電話事業者と同等の通話品質のサービスを提供しています。
当社は、「通信品質」「料金プラン」「手続き・サポート対応」を重視し、お客様の満足度を上げることに注力しています。これらの取組みの結果、「日本通信SIM」は、株式会社J.D. パワー ジャパンが実施した2025年携帯電話サービス顧客満足度調査MVNO部門において、2年連続の総合満足度第1位を受賞しました。
「日本通信SIM」の売上は、認知度の向上及び商品性の評価により、個人・法人ともに契約回線数が伸長しており、当社の成長を牽引しています。
ネオキャリア
当社は、株式会社NTTドコモ(以下、「ドコモ」という)の音声・SMS網との相互接続に基づく新サービスを2026年11月(予定)に開始することを目指し、音声・SMS通信サービス用モバイルコアネットワークの構築等を進めています。ドコモの音声・SMS網との相互接続には、携帯電話番号の割当てを受ける必要がありますが、当社は、2025年6月に、MVNO事業者として日本ではじめて、総務省から携帯電話番号(090他から始まる11桁の番号)の割当てを受けることができ、当該相互接続の実現に向けて着実に進捗しています。
②モバイル・ソリューション(MSP事業)について
ローカル携帯網による通信(ローカル4G/5G)事業
当社は同事業について、先進的な事例の多い米国で実績を作り、その経験を生かして日本で展開することを目指しており、当社米国子会社は、米国市場でローカル携帯網との接続に使用するSIMを提供する事業を進めています。当社は、米国子会社を通じてローカル携帯網による通信(ローカル4G/5G)事業に関する技術及びノウハウを蓄積し、これらを活用することで、日本のパートナー企業や顧客企業が設置するローカル携帯網に接続することのできるSIMを提供しています。なお、ドコモの音声・SMS網との相互接続による新サービスの提供には、これまで培ってきた米国でのSIM認証技術及び認証基盤を活用していきます。
その他
閉域SIM間通信の提供、グローバルな決済セキュリティ基準であるPCI DSSに完全準拠した安全な決済ソリューションの提供、IoT機器・防犯カメラ用の上り優先SIMの提供など、無線通信を使った様々なソリューションを提供しています。
③FPoS事業について
社会・経済の多くの分野でデジタル・トランスフォーメーション(DX)が進む中、デジタルIDの重要性が改めて認識されています。当社は、当社が特許を取得しており、金融庁から金融取引の安全性確保と利便性向上に資することが認められた技術であるFPoS(FinTech Platform over SIM)を活用し、スマートフォンで利用可能なデジタルIDを構築・提供する事業を推進しています。
FPoSのセキュリティ
FPoSによる認証は、お客様のスマートフォン(iPhone及びAndroid)(以下、「スマートフォン」という)において、以下の仕組みで行います。
1)確実な身元確認
スマートフォンにFPoSを搭載する際に、お客様のマイナンバーカードのICチップに搭載されている秘密鍵と電子証明書によってお客様の身元確認を行います(公的個人認証サービス:JPKI)。
2)秘密鍵の生成と電子証明書の発行
電子署名法に基づく認定を受けた電子認証局が、スマートフォンに内蔵されている安全な領域内で秘密鍵を生成するとともに電子証明書を発行します。
3)本人性と真正性の担保
電子証明書に記録された公開鍵と秘密鍵の組み合わせにより、お客様の本人性(本人に間違いないこと)と真正性(お客様の意思が改ざんされていないこと)を担保します。
FPoSによる認証は、以上のとおり、マイナンバーカードと同等の高度なセキュリティを備えています。そのため、スマートフォンアプリ利用時に懸念される、なりすまし、または、改ざんが行われるおそれはありません。
また、FPoSは、お客様が個人情報の提供先を確認し、提供の許諾または許諾の取消しを自ら管理できる機能(「ダイナミック・オプトイン」)を搭載しています。これにより、お客様は、お客様のデータが連携される事業者を容易に管理することができます。
行政手続きで利用されるマイナンバーカードに対し、FPoSは、行政手続きを含む幅広い分野で、自治体や事業者のデジタルID・認証基盤として利用していただくことができます。
FPoSが提供する機能
当社は、FPoSの可能性を実証するため、前橋市、民間企業、大学による官民連携会社のめぶくグラウンド株式会社に協力しており、同社は、2022年10月から、FPoSの技術を利用したデジタルID「めぶくID」を発行する「めぶくアプリ」を運営しています。
また、当社は、FPoSの導入事例を拡大するため、以下のとおり、「FPoSライブラリ」(デジタル認証モジュール)の開発を進めてまいりました。
・2024年5月:FPoSの中核機能である、身元確認、当人認証、データ連携の機能を部品化した「FPoSライブラリ」をリリースしました。
・2024年10月:FPoSによる「my電子証明書」において、マイナンバーカードに記載された基本4情報(氏名、住所、生年月日、性別)に変更があった場合に、本人の同意を得て変更後の情報を取得する業務実施方法について、電子署名法に基づく認定を受けました。
・2025年2月:当社子会社my FinTech株式会社並びに前橋市、民間企業及び大学による官民連携会社であるめぶくグラウンド株式会社等との提携により、スマートフォンアプリの開発用ソフトウェアモジュールである「デジタル認証モジュール」の提供を開始しました。
これにより、スマートフォンアプリ提供事業者は、「デジタル認証モジュール」を自社のアプリに組み込むことで、当該アプリに、FPoSで認証された身元確認、当人認証及びデータ連携の機能を搭載することができ、併せて、マイナンバーカードの基本4情報に基づくデジタルIDとして利用することができるようになります。これは、スマートフォン利用時の「安全性」と「データ連携の困難さ」という二つの課題を解決するものです。
FPoSの導入事例
・2025年7月:ウェルネット株式会社が提供するスマホ決済アプリに「FPoSライブラリ」が組み込まれ、電子証明書を用いた安心安全な決済の提供が開始されました。これは、アカウント作成時にマイナンバーカードで本人確認を行い、スマートフォン内のハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)で管理された秘密鍵と電子証明書を用いて当人認証を行うことで、従来のID・パスワード認証を代替するものです。これにより、なりすまし、中間者攻撃による不正ログイン、データ改ざんに対する抜本的な解決策を提供します。
・2025年8月:デジタル庁が公募した「令和7年度GビズIDの民間サービスでの活用事例等の募集及び実証的接続試験の実施」で、当社の子会社であるmy FinTech株式会社が採択されました。my FinTech株式会社は、この実証実験において、GビズID基盤の認証に基づいて属性情報を取得し、当該情報をもとにeシール用証明書を発行し、発行した証明書の有効性の確認を実施します。
以上のことから、当社グループの当中間期の売上高は5,632百万円となり、前年同期と比較して1,375百万円の増収(32.3%増)となりました。これは、「日本通信SIM」を主とした音声定額・準定額サービスの成長によるものです。売上原価は3,428百万円となり、前年同期と比較して1,008百万円の増加(41.7%増)となりました。これは、主に「日本通信SIM」の成長に伴う携帯網の調達コストの増加によるものです。なお、当社がドコモから調達する携帯網は、データ通信及び音声通話のいずれも、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えた金額を超えない額で設定するものとされているため、加入者が増加しても一定の粗利率をあげることができるようになっています。売上総利益は2,203百万円となり、前年同期と比較して366百万円の増加(20.0%増)となりました。
販売費及び一般管理費は1,621百万円(前年同期は1,507百万円)、営業利益は582百万円(前年同期は329百万円)、経常利益は577百万円(前年同期は325百万円)、親会社株主に帰属する中間純利益は444百万円(前年同期は246百万円)となりました。
(2)資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当中間期末における流動資産は4,611百万円となり、前連結会計年度末に比べ896百万円減少しました。これは主に現金及び預金が1,077百万円減少したことによるものです。固定資産は3,255百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,449百万円増加しました。これは主に有形固定資産が188百万円、無形固定資産が1,212百万円増加したことによるものです。繰延資産は25百万円となり、前連結会計年度末に比べ2百万円減少しました。
この結果、総資産は7,892百万円となり、前連結会計年度末に比べ551百万円増加しました。
(負債)
当中間期末における流動負債は1,888百万円となり、前連結会計年度末に比べ215百万円増加しました。これは主に未払金が211百万円増加したことによるものです。固定負債は1,634百万円となり、前連結会計年度末に比べ162百万円減少しました。
この結果、負債は3,523百万円となり、前連結会計年度末に比べ52百万円増加しました。
(純資産)
当中間期末における純資産は4,369百万円となり、前連結会計年度末に比べ498百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する中間純利益444百万円を計上したことによるものです。
この結果、自己資本比率は52.6%(前連結会計年度末は50.4%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間期における現金及び現金同等物の期末残高は3,222百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,077百万円減少しました。
当中間期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは537百万円の収入(前年同期は219百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前中間純利益534百万円を計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1,465百万円の支出(前年同期は553百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出228百万円、無形固定資産の取得による支出1,148百万円、長期前払費用の取得による支出47百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは149百万円の支出(前年同期は7百万円の支出)となりました。これは主に社債の償還による支出143百万円によるものです。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は97百万円です。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりです。
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会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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日本通信㈱ |
株式会社NTTドコモ |
日本 |
卸携帯電話サービスの提供に関する契約書 |
卸携帯電話サービスの 提供に関する契約 |
2025年4月28日から、株式会社NTTドコモの定める卸携帯電話サービス契約約款(以下、「卸約款」という)に基づく本契約の解除または卸約款に基づく卸携帯電話サービスの廃止がなされるまで |
また、当中間連結会計期間において終了した重要な契約は次のとおりです。
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会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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日本通信㈱ |
株式会社NTTドコモ |
日本 |
第3種卸Xiサービスの提供に関する契約書 |
LTE音声卸サービスに 関する契約 |
2013年1月16日から、卸約款に基づく本契約の解除または卸約款に基づく第3種卸Xiサービスの廃止がなされるまで |
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日本通信㈱ |
株式会社NTTドコモ |
日本 |
第3種卸5Gサービス(卸タイプ5G)の提供に関する契約書 |
5G音声卸サービスに 関する契約 |
2022年5月30日から、卸約款に基づく本契約の解除または卸約款に基づく卸タイプ5Gの廃止がなされるまで |
(注)当社は株式会社NTTドコモと2025年4月28日付で「卸携帯電話サービスの提供に関する契約書」を締結しました。これに伴い、「第3種卸Xiサービスの提供に関する契約書」及び「第3種卸5Gサービス(卸タイプ5G)の提供に関する契約書」は、同日付で終了しました。