当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営の基本方針
当社は、2026年5月に、2030年度を見据えた中長期的な経営方針として「ビジョン2030」を策定しました。当社は、2016年に策定・公表した「新事業戦略」に基づくこの10年間の取組みにより、競争力の源泉となる技術基盤を構築し、長期的・持続的に成長を続けられる企業となる道筋を得ることができました。当社は、この技術基盤をベースとして、通信サービス事業及びデジタルトラスト事業の両方を成長させることで、2030年度において、売上650億円、営業利益150億円の達成を目標としています。
「ビジョン2030」の詳細は、2026年5月7日に当社が公表した資料(「ビジョン2030」の策定に関するお知らせ)をご参照ください。
なお、2027年3月期は、「ビジョン2030」の初年度として、ネオキャリアを実現(11月24日予定)し、商用サービスを開始したFPoSの普及を進めるとともに、競争力の源泉であるデジタル認証基盤をさらに強化していきます。
(2)経営環境及び経営戦略
① モバイル通信サービス(MVNO/MVNE事業)について
日本通信SIM
当社は、2020年6月の総務大臣裁定を受け、2020年7月に大手携帯電話事業者と同等の音声定額プランを提供する「日本通信SIM」を発売して以来、お客様のライフスタイルに合わせた商品ラインナップの充実を図っています。
「日本通信SIM」は、株式会社J.D. パワー ジャパンによる「2025年携帯電話サービス顧客満足度調査」MVNO部門において、2年連続で総合満足度第1位を受賞しました。「日本通信SIM」は、通信品質と合理的な料金体系を高く評価していただき、契約回線数及び売上高ともに堅調な成長を維持しており、2026年3月末時点の契約回線数は94.7万回線となりました。
なお、当連結会計年度の第4四半期においては、2026年4月1日からの携帯電話不正利用防止法施行規則の改正を踏まえ、「日本通信SIM」のお申込みにおける本人確認方法を、マイナンバーカードの署名用電子証明書を用いた「日本通信アプリ」による方法のみとしました。また、2026年6月には「日本通信アプリ」について、当社が特許を取得しており、金融庁から金融取引の安全性確保と利便性向上に資することが認められた技術であるFPoS(FinTech Platform over SIM)に対応させるアップグレードを行いました。これにより、お客様専用ページへのログインにおけるセキュリティを強化したほか、回線を追加する場合も、お客様の利便性を損なわない方法で、有効な本人確認を実施することができるようになりました。
当社は、株式会社NTTドコモ(以下、「ドコモ」という)の音声・SMS網との相互接続を進めており、当該相互接続に基づき、ネオキャリアとしての新サービスを2026年11月から提供する予定ですが、FPoSに対応した「日本通信アプリ」をご利用いただくことで、「日本通信SIM」のお客様がネオキャリアとしての新サービスに円滑に移行していただくことができるようになります。
当社は、引き続き、FPoSの認証を活用し、セキュリティを確保した形で、高品質の通信サービスを合理的な料金体系で提供してまいります。
ネオキャリア
当社は、ネオキャリアとしての新サービスを提供するため、音声・SMS通信サービス用モバイルコアネットワークの構築等を進めています。ネオキャリアのための初期投資には、総額約65億円を想定しており、2025年3月に株式会社三菱UFJ銀行を引受人とする第1回無担保社債(適格機関投資家限定)の発行により20億円を調達しましたが、当連結会計年度の第4四半期において、2026年3月26日までに、株式会社りそな銀行、株式会社横浜銀行及び株式会社三菱UFJ銀行を引受人とする第2回、第3回及び第4回無担保社債(いずれも適格機関投資家限定)の発行により総額40億円を調達しました。これにより、当社は、ネオキャリアのための初期投資資金の調達を完了しましたので、2026年11月のサービス提供開始に向け、ネットワークの構築、接続試験及びオペレーションの整備等を進めてまいります。
② モバイルソリューション(MSP事業)について
ローカル携帯網による通信(ローカル4G/5G)事業
当社は同事業について、先進的な事例の多い米国で実績を作り、その経験を生かして日本で展開することを目指しており、当社米国子会社は、米国市場でローカル携帯網との接続に使用するSIMを提供する事業を進めています。当社は、米国子会社を通じてローカル携帯網による通信(ローカル4G/5G)事業に関する技術及びノウハウを蓄積し、これらを活用することで、日本のパートナー企業や顧客企業が設置するローカル携帯網に接続することのできるSIMを提供しています。なお、ネオキャリアとしての新サービスの提供には、これまで培ってきた米国でのSIM認証技術及び認証基盤を活用してまいります。
その他
閉域SIM間通信の提供、グローバルな決済セキュリティ基準であるPCI DSSに完全準拠した安全な決済ソリューションの提供、IoT機器・防犯カメラ用の上り優先SIMの提供など、無線通信を使った様々なソリューションを提供しています。
③ FPoS事業について
社会・経済の多くの分野でデジタル・トランスフォーメーション(DX)が進む中、デジタルIDの重要性が改めて認識されています。当社は、FPoSを活用し、スマートフォンで利用可能なデジタルIDを構築・提供する事業を推進しています。
FPoSのセキュリティ
FPoSによる認証は、お客様のスマートフォン(iPhone及びAndroid)(以下、「スマートフォン」という)において、以下の仕組みで行います。
(ⅰ)確実な身元確認
スマートフォンにFPoSを搭載する際に、お客様のマイナンバーカードのICチップに搭載されている秘密鍵と電子証明書によってお客様の身元確認を行います(公的個人認証サービス:JPKI)。
(ⅱ)秘密鍵の生成と電子証明書の発行
電子署名法に基づく認定を受けた電子認証局が、スマートフォンに内蔵されている安全な領域内で秘密鍵を生成するとともに電子証明書を発行します。
(ⅲ)本人性と真正性の担保
電子証明書に記録された公開鍵と秘密鍵の組み合わせにより、お客様の本人性(本人に間違いないこと)と真正性(お客様の意思が改ざんされていないこと)を担保します。
FPoSによる認証は、以上のとおり、マイナンバーカードと同等の高度なセキュリティを備えています。そのため、スマートフォンアプリを利用する際に懸念される、なりすまし、または、データの改ざんを防止することができます。
また、FPoSは、お客様が個人情報の提供先を確認し、提供の許諾または許諾の取消しを自ら管理できる機能(「ダイナミック・オプトイン」)を搭載しています。これにより、お客様は、お客様のデータが連携される事業者を容易に管理することができます。
行政手続きで利用されるマイナンバーカードに対し、FPoSは、行政手続きを含む幅広い分野で、自治体や事業者のデジタルID・認証基盤として利用していただくことができます。
FPoSの実績
FPoSは、実証実験から商用サービスに移行し、2026年3月末時点の電子証明書の提供件数は127,646件となりました。
なお、FPoSによるサービスの提供者は当社の連結子会社であるmy FinTech株式会社となります。
2025年7月:ウェルネット株式会社が提供するスマホ決済アプリにFPoSを組み込み、電子証明書を用いた安心安全な決済を提供しています。従来のID・パスワードによる認証ではなく、アカウント作成時にマイナンバーカードで本人確認を行い、スマートフォン内のハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)で管理された秘密鍵と電子証明書を用いて当人認証を行うことで、なりすまし、中間者攻撃による不正ログイン、データ改ざんに対する抜本的な解決策を提供しています。
2026年1月:FPoSを活用した地域決済サービス(めぶくグラウンド株式会社が運営する群馬県前橋市の「めぶくPay」、株式会社十八親和銀行が運営する長崎県大村市の「ゆでぴ」等のサービスを指します)における決済金額が、当該サービスを開始した2023年12月から2026年1月31日までの累計額で50億円を突破しました。
2026年4月:地銀ネットワークサービス株式会社と共同で、地方銀行をはじめとする金融機関に本人確認等のサービスを提供しています。金融機関のウェブサイトとFPoSを連携し、犯罪収益移転防止法に対応した本人確認機能を提供することで、金融機関による本人確認をサポートしています。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、上記を踏まえ、以下の事項を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として認識しています。
① 公正な競争環境の確保のための取組み
当社は、創業以来、お客様のニーズに合った多様なサービスの提供を可能とし電気通信事業を成長・発展させることのできる事業モデルとしてMVNO事業を提唱しており、MVNO事業の成立後は、MNOとMVNOとの間で公正な競争環境を確保するための取組みを進めています。
当社は、2007年の総務大臣裁定により、ドコモのデータ通信網との相互接続を実現しました。一方、音声網との接続は、携帯電話番号(090番号等)の付与対象をMNOのみとする規制等により、実現できず、ドコモから卸提供を受けてお客様に提供しているところ、MNOがMVNOに提供する音声通話サービスに係る卸電気通信役務の料金は10年以上据え置かれていたため、MVNOがMNOと競争することのできる事業環境ではありませんでした。
そのため、当社は、2019年に2度目の総務大臣裁定を申し立て、2020年6月の裁定により、ドコモが当社に提供する音声通話サービスに係る卸電気通信役務の料金について、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えた金額を超えない額で設定するものとされました。
これにより、ようやくMNOと競争することのできる環境が整い、当社は、2022年3月期から5期連続で黒字を継続しております。
なお、2021年12月に、総務省の情報通信審議会において、携帯電話番号(090番号等)をMVNOにも付与する方針が示されたことを受け、当社は2022年6月にドコモに音声・SMS網の相互接続を申し入れ、2024年2月にドコモと相互接続について合意しました。また、当社は、2025年6月に、MVNOとして日本で初めて、総務省から携帯電話番号(090番号等)の割当てを受けることができました。当社は、データ通信網と音声・SMS網の両方を相互接続で調達することで安定した事業基盤を確保し、携帯基地局は保有しないものの、MNOと同等のサービスを提供することのできる「ネオキャリア」を目指します。当社は、2026年11月(予定)に開始予定の、ドコモの音声・SMS網との相互接続に基づく新サービスに向け、引き続き、当社における音声・SMS網の構築、さらに当社独自SIM等の開発等を可能な限り迅速に進めてまいります。
公正な競争環境の確保は、MVNOが本来の目的を果たして成長するための最大の課題であり、当社は、引き続き、MNOとMVNOとの間の公正な競争環境の確保に取り組んでまいります。
② MVNO事業モデルの進化による安定的な収益の確保
当社が今後も安定的に収益を確保するためには、公正な競争環境の確保のための取組みを進めつつ、MVNO事業モデルを進化させることが必要です。
まず、モバイル通信サービス(MVNO事業)の月額課金商品については、2020年7月に「日本通信SIM」のブランドで発売した音声定額プランが多くのお客様の支持を獲得し、2021年3月期下半期以降の収益に大きく貢献しています。MVNO事業は、MNO4社及び多数のMVNOにより今後も激しい価格競争が想定されますが、当社は2020年6月の総務大臣裁定により、ドコモが当社に提供する音声通話サービスに係る卸電気通信役務の料金について、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えた金額を超えない額で設定するものとされているため、当面の間、MNO及び他のMVNOに対抗することのできる競争力を確保しています。
当社は、「日本通信SIM」ブランドの競争力を維持するため、利便性の向上による他のMVNOとの差別化を図っています。2022年4月には、スマートフォン等に内蔵されているeSIMへの対応を開始し、2023年1月からは、携帯電話不正利用防止法に基づく本人確認においてマイナンバーカードに格納された電子証明書による方法を導入したほか、2023年5月には、MNPワンストップ方式にも対応しました。さらに、「日本通信SIM」の各プランは、月額基本料金を据え置いたままデータ容量を増量するなど、商品力も強化しています。前連結会計年度においては、2024年6月から同年8月に当社として初めてのテレビコマーシャルを実施し、インターネットでも同様の広告を展開するなど、「日本通信SIM」ブランドの認知度向上にも努めました。また、当社は、「通信品質」「料金プラン」「手続き・サポート対応」を重視し、お客様の満足度を上げることに注力しており、これらの取組みの結果、「日本通信SIM」は、株式会社J.D. パワー ジャパンが実施した2025年携帯電話サービス顧客満足度調査MVNO部門において、2年連続の総合満足度第1位を受賞しました。
以上の取組みにより、当社は、引き続き、MVNO事業モデルを進化させ、安定的な収益を継続して確保することを目指します。
③ 中長期的な成長のための取組み
当社は、安定的な収益を継続して確保する一方で、中長期的に成長するための取組みとして、FPoS事業及びモバイル・ソリューション(MSP事業)のうちローカル携帯網による通信(ローカル4G/5G)事業に注力しています。
まず、FPoS事業については、2018年11月に設立したmy FinTech株式会社において、スマートフォンに秘密鍵及び電子証明書を搭載する「my電子証明書」サービスについて、2021年11月10日に、電子署名法に基づく特定認証業務の認定を受けました。現在は、FPoS事業を実際のビジネスに落とし込んでいく段階となっていますが、2024年3月期においては、前橋市において、めぶくグラウンド株式会社に協力して、2023年12月に、同市の電子地域通貨である「めぶくPay」のサービス提供を開始しました。さらに、当社は、2024年5月にFPoSの中核機能である身元確認、当人認証、データ連携の機能を部品化した「FPoSライブラリ」をリリースし、2024年10月にはFPoSによる「my電子証明書」において、マイナンバーカードに記載された基本4情報(氏名、住所、生年月日及び性別)に変更があった場合に本人の同意を得て変更後の情報を取得する業務実施方法について、電子署名法に基づく認定を受け、2025年2月にはmy FinTech株式会社及びめぶくグラウンド株式会社等との提携により、スマートフォンアプリの開発用ソフトウェアモジュールである「デジタル認証モジュール」の提供を開始しました。なお、FPoSが備えている高度な安全性は、当初想定していた金融取引に限らず、社会全体で利用されるデジタルIDとしての役割を期待されるようになっています。今後は、FPoSの利用地域及び利用分野の拡大に向けて取り組んでまいります。
また、ローカル4G/5G事業は、当社米国子会社であるJCI US Inc.が、ローカル携帯網との接続に使用するSIMを米国市場で提供しており、2023年12月には、米国ユタ州とCBRS(ローカル4G/5G)の教育及び遠隔医療ネットワークへの導入をユタ州全体で実現するための契約を締結しました。当社は、これらの知見を活用して、ローカル4G/5G事業の導入事例を積み上げてまいります。
④ 優秀な人材の確保及び育成
上記①から③のいずれの取組みにおいても、多種多様な調査や企画、さらに技術開発や事業開発が必要であり、これを担うことができる人材の確保及び育成が極めて重要となります。例えば、FPoS事業においては、金融業界に関する法律、制度、経営課題、技術課題等、顧客の事業領域に対する一定の知見が必要です。そのため、当社グループは、優秀な人材の採用を進めるとともに、採用した人材に会社の優先順位に応じた多様な業務を担当させることによって、様々なノウハウや技術を身に付けさせるとともに、必要な資格を取得させるなど、人材への投資を推進しています。当社が取り組んでいる課題はいずれも前例のないもので、手本となる企業が存在するものではありませんが、当社は、創業時からMVNO事業モデルを定着させる今日までの道のりにおいて、前例のない環境で培った経験及びノウハウがあるため、これらを活用して人材の育成を進めます。
当社は、「安全・安心にビットを運ぶ」という使命(ミッション)を実現するために、上記の課題に取り組みながら、モバイル通信サービス、モバイル・ソリューション及びFPoS事業を成長させる計画です。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) ガバナンス
当社の取締役会は、業務執行取締役からの独立性を確保した社外取締役が過半数を占めており、法令及び定款に定められた事項並びにその他の重要事項を決定するほか、業務執行取締役による職務の執行を監督する機能を果たしています。当社の取締役会は、毎四半期において、業務執行取締役から業務執行の状況の報告を受け、人的資本・知的財産への投資をはじめとする経営資源の配分や事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、当社の持続的な成長に資するものであるのか、実効的に監督しています。当社は新たな領域で事業を展開しているため、人的資本及び知的財産への投資は重要な課題であり、取締役会において活発に議論されています。
当社の業務執行は、取締役会及び業務執行取締役の意思決定に基づき、業務執行取締役及び執行役員が行っておりますが、そもそも当社は、電気通信事業に公正な競争を持ち込み、電気通信事業の健全な発展を実現するために創業したものであり、近年においては、「安全・安心にビットを運ぶ」ことを自らの使命(ミッション)として事業を展開しています。したがって、当社の業務執行はサステナビリティと一体のものであり、下記「
(2) リスク管理
当社グループのリスク管理に関する事項の審議及び方針の決定は、業務執行取締役の意思決定に基づき、業務執行取締役及び執行役員が行っています。当社グループは、代表取締役社長以下の業務執行取締役及び執行役員で構成するエグゼクティブオフィス会議(EO)、コーポレートオフィス会議(CO)及び常勤役員会(MB)をいずれも原則として毎月1回開催しており、代表取締役社長以下の業務執行取締役及び執行役員による会議をほぼ毎週行うことで、事業の進捗状況及び財務状況の報告と併せて、当社グループのリスク管理の観点から、ネットワーク、オペレーション及びその他の業務に関する課題を確認し、人材を含む経営資源の配分や経営戦略に関する議論を行っています。
また、内部監査室は、内部監査の一環として、各担当部門の日常的なリスク管理状況を確認し、代表取締役に報告しており、必要に応じて監査役と連携しています。
(3) 戦略
当社グループは、短期、中期及び長期にわたり当社グループの経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するために、以下の取組を行っています。
<気候変動などの地球環境問題への配慮>
当社は、電気通信事業に公正な競争を持ち込み、電気通信事業の健全な発展を実現するために創業し、「安全・安心にビットを運ぶ」ことを自らの使命(ミッション)として事業を展開しています。また、中長期的な成長ドライバーであるFPoS事業では、信頼性の高いデジタルIDの提供を支援することで、社会全体のデジタル化を推進します。
人間活動が地球環境にもたらす影響が課題となっている中、社会経済活動における人や物の移動に伴う環境への負荷を軽減し、コミュニケーションの手段を提供する通信事業者の役割は非常に大きいものとなっています。当社は、このような観点で、合理的な携帯電話料金の提供、安全な通信の提供、さらに安全・安心なデジタルIDの提供に取り組んでいます。
<人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇>
当社は、経営陣が当社としての優先順位を踏まえ、機動的かつ実効的に管理・監督するため、組織の階層を少なくしたうえで、従業員が自己の主要な業務以外に別の業務を担当することのできる人事制度を採用しています。そのため、社内業務の透明性が高く、各部門が閉鎖的に細分化されることのない組織であり、ハラスメント等の人権問題が発生しにくい就業環境となっています。
また、当社は、従来から、時間外勤務の削減及び休暇取得の推奨に取り組んでいますが、新型コロナウイルス感染症の拡大時においては、テレワークを原則とする勤務体制及び時差出勤を許容する制度を導入するなど、従業員の健康・労働環境に配慮しています。
なお、当社は、上記のとおり組織の階層が少なく、各部門が閉鎖的に細分化されることのない組織であるため、性別、国籍、新卒・中途採用等の区別なく、当該人材の能力及び適性に応じて公正・適切に処遇することは、業務を円滑に遂行するうえでも不可欠な要素となっています。
<取引先との公正・適正な取引>
当社は、取引先との取引にあたっては、総務部門、財務部門及び法務部門が取引先の属性及び取引内容を確認し、必要に応じて外部の専門家に照会する体制をとることで、公正・適正な取引を確保しています。
<自然災害等への危機管理>
当社は、耐震構造または免震構造を有し停電対策を備えた施設にデータセンターを収容しており、複数の拠点(東日本及び西日本)にデータセンターを設置することでリスクの分散化を図っています。当社は、データセンター内のネットワークシステムの稼働状態を終日監視し、継続的に通信状態をテストすることで障害等の発生を可能な限り早く感知することに努めています。また、当社グループ内の障害連絡体制を整え、障害発生時に極力短時間で復旧させるための準備態勢を整えています。
また、当社は、群馬県北群馬郡吉岡町にオペレーションセンターを開設し、本社(東京都港区)及び吉岡オペレーションセンターの2か所で通常業務を行うことのできる体制を確保しています。今後は、当社の事業継続計画(BCP)の一環として、災害時には、同センターでネットワークのオペレーション並びに決算及び開示等を継続することができるよう、同センターに第2本社としての機能を構築していきます。
<人的資本への投資>
当社は、「安全・安心にビットを運ぶ」ことを自らの使命(ミッション)として新たな事業領域を開拓しており、人材育成のための人的資本への投資は、企業価値の向上に直結します。当社は、専門的な知識または技能については、社外の講座等を受講することで習得させていますが、基本的には、以下の人事制度により、従業員が社内の業務を通じて自ら成長することを重視しており、そのための社内的なサポートを人的資本への投資としてとらえています。
当社の人事制度は、組織の階層を少なくしているため、従業員はその意欲及び能力に応じて、より多くの責任を担う業務を担当することができます。また、従業員は自己の主要な業務以外の業務を担当することができるため、社内の業務を横断的に理解することができます。当社の従業員は、このような人事制度により、社内業務において幅広い経験を積み重ねることで、より高度な判断ができる人材に成長することが期待されています。
<人材の多様性の確保>
当社は、企業において人材の多様性を確保することは、長期的な企業価値の向上に資するものと考えています。また、当社の創業者である代表取締役会長三田聖二は、米国及びカナダで教育を受け、米国の代表的なグローバル企業での経営経験を経て当社を創業しました。そのため、当社は、創業時から、グローバルな人材戦略に基づき、採用、配属、管理職または中核人材の登用等において、性別、国籍、新卒・中途採用等の区別なく、当該人材の能力及び適性に応じて行っています。
<知的財産への投資>
当社は、事業を積極的に展開するために必要な特許及び商標について、日本、米国及びその他の地域において、適切な時期に十分な範囲で確保するように努めています。
(4) 指標及び目標
当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する当社グループの実績を長期的に評価、管理及び監視するために用いられる指標及び目標は、特段設定しておりません。
また、当社グループは、上記「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとしては以下のようなものがあります。必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載していますが、当社株式への投資に関連するリスクのすべてを網羅するものではありません。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 市場について
① 技術の進歩及び制度の整備について
当社は創業以来、モバイル通信の市場で事業を展開しています。モバイル通信は、スマートフォンやタブレット端末の普及とともに社会に不可欠なものとなりましたが、同時に、セキュリティやプライバシーに関わる課題が広く認識されるようになっています。モバイル通信の活用範囲を広げて市場規模を拡大するには、セキュリティやプライバシーの課題を技術及び制度の両面で解決し、誰もが安全・安心に通信を利用できるようにする必要があります。
セキュリティの技術は日進月歩の発展を遂げているため、技術的な課題はいずれ克服されていくものと考えますが、技術の進歩が停滞または遅延した場合には、当社グループが事業を展開する市場規模の拡大も停滞または遅延する可能性があります。また、プライバシーの確保等の制度的な課題は行政及び電気通信事業者が共通の問題意識を持って取り組むことで整備されていくものと考えますが、制度の整備が停滞または遅延した場合には、当社グループが事業を展開する市場規模の拡大も停滞または遅延する可能性があります。いずれの場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 訪日旅行者向け商品の市場について
当社は、モバイル通信サービスのプリペイド商品において訪日旅行者向け商品を販売していますが、当該商品の販売は当該旅行者数の増減に左右されるため、国際的な社会経済の状況に大きく影響されます。国内外で大規模な自然災害が発生した場合、世界的な感染症が流行した場合、国際関係が悪化した場合、為替レートが急激に変化した場合、世界経済の後退が深刻化した場合などは、訪日旅行者数が減少し、当社の訪日旅行者向け商品の販売が低迷するため、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当社サービスの仕組みについて
① モバイル通信網等について
当社は、携帯電話事業者から調達したモバイル通信サービスを活用して、音声通話サービス、セキュリティ技術、各種アプリケーションまたは通信端末等を組み合わせることで当社独自の通信サービスを設計し、一般消費者を含む様々な顧客層及びパートナー企業にモバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションを提供しています。
当社サービスの中核となっているのはモバイル通信サービスですが、現時点において、モバイル通信サービスを提供する仕組みは、下図のとおり、ドコモ及びソフトバンクのモバイル通信網等のネットワーク(以下、「モバイル通信網等」という)、専用線接続部分並びに当社グループの複数のデータセンター等から構成されています。なお、当社グループのデータセンターにおける主要なシステムは、株式会社インターネットイニシアティブ等が運営するデータセンター内に収容しています。
図1 モバイル通信サービスを提供する仕組み
モバイル通信サービスを提供する仕組みのうち最も主要な部分は、携帯電話事業者のモバイル通信網等ですが、これは、当社が携帯電話事業者と締結した契約に基づいて調達しています。
従って、当社が携帯電話事業者とモバイル通信網等を調達する契約を締結することができない場合は、当社はモバイル通信サービスを提供することができません。また、当社が携帯電話事業者とモバイル通信網等を調達する契約を締結した場合も、当社が当該契約を同様の条件で継続することができる保証はなく、当該契約が携帯電話事業者によって解除される等により終了した場合は、当社はモバイル通信サービスの提供を継続することができない事態に陥ります。
当社は、携帯電話事業者が積極的に訴求しない分野での潜在需要を喚起する等により、通信市場全体の拡大を図り、携帯電話事業者に対する交渉力の維持・増強に努めています。しかし、当社が将来にわたり携帯電話事業者との契約を更新することができるという保証、または、従前と同様の条件で調達を受けられるという保証はなく、今後、調達条件の改善に成功するという保証もありません。さらに、携帯電話事業者の事業方針の変更等により、当社が従前より不利な条件での調達を余儀なくされる可能性があるほか、携帯電話事業者自身が顧客にとってより魅力的な自社サービスを展開し、それを当社に対する提供条件には反映させないこと等により、当社と携帯電話事業者との契約が維持されたとしても、結果的に当社サービスの競争力が失われる事態となる可能性もあります。当社が携帯電話事業者からの調達条件を維持もしくは改善することができなかった場合、または携帯電話事業者からの調達条件が悪化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、上記のリスクを最小限に留めるため、携帯電話事業者からデータ通信のモバイル通信網等を調達するにあたっては、電気通信事業法上の制度である相互接続に基づく契約を締結し、安定した事業基盤を確保するために最大限の努力をしています。そのため、次世代のモバイル通信網等を調達する契約を締結することができない可能性、または、既存のモバイル通信網等の調達に関する契約を解除される可能性は、いずれも高くないものと認識しています。当社は、携帯電話事業者から音声通話サービスを調達するにあたっては、相互接続より携帯電話事業者の裁量の余地が大きい卸契約によっていますが、ドコモが当社に提供する音声通話サービスに係る卸電気通信役務の料金については、2020年6月の総務大臣裁定により、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えた金額を超えない額で設定するものとされています。また、当社は、2021年12月に総務省の情報通信審議会においてMVNOに携帯電話番号を付与する方針が示されたことを受け、2022年6月にドコモに音声・SMS網との相互接続を申し入れ、2024年2月にドコモと相互接続について合意をしておりますが、2025年6月には総務省から携帯電話番号の割当てを受けるなど、ドコモの音声・SMS網との相互接続の準備を進めており、音声通話サービスの調達においても安定した事業基盤の確保に努めています。
なお、モバイル通信網等の調達にかかわらず、当社グループの今後の事業展開において、携帯電話事業者に依存する側面が大きいことは否定できません。すなわち、当社サービスの利用可能地域の拡大は、携帯電話事業者のモバイル通信網等における通信可能地域の拡大が前提となり、通信速度または通信容量の向上は、携帯電話事業者におけるモバイル通信網等の性能の向上が前提となります。
② モバイル通信網等のネットワーク設備の障害について
携帯電話事業者のモバイル通信網等の維持管理は携帯電話事業者において行われており、当社グループが顧客に当社サービスを確実に提供するためには、携帯電話事業者のモバイル通信網等が適切に機能していることが前提となります。携帯電話事業者のモバイル通信網等が適切に機能していないことにより、当社サービスの全部もしくは一部が停止し、または当社サービスの水準が低下する事態が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、携帯電話事業者においてモバイル通信網等の適切な維持・管理が行われていた場合でも、アクセスの集中等の一時的な過負荷、外部からの不正な手段による侵入、内部者の過誤、または大規模地震や火山の噴火を含む自然災害、停電もしくは事故等の原因により、携帯電話事業者のモバイル通信網等に障害が発生する可能性があります。このような障害により、当社サービスの全部もしくは一部が停止し、または当社サービスの水準が低下する事態が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、耐震構造または免震構造を有し停電対策を備えた施設にデータセンターを収容するとともに、複数の拠点(東日本及び西日本)にデータセンターを設置することでリスクの分散化を図っています。さらに、当社グループは、データセンター内のネットワークシステムの稼働状態を終日監視し、継続的に通信状態をテストすることで障害等の発生を可能な限り早く感知することに努めています。また、携帯電話事業者との障害連絡体制を整え、障害発生時に極力短時間で復旧させるための準備体制を整えています。今後は、当社グループの事業継続計画(BCP)の一環として、災害時には、群馬県北群馬郡吉岡町に開設したオペレーションセンターでネットワークのオペレーションを継続することができるよう、同センターに第2本社としての機能を構築していきます。
しかしながら、大規模地震や火山の噴火を含む自然災害、停電または事故等の原因による障害の発生を完全に防ぐことはできません。また、障害が発生した場合、迅速に対処するためには多大なコスト負担が必要となるため、発生した障害の規模等によっては、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、自社で開発したものを含め、多数のネットワーク機器及びコンピュータ・システム(ソフトウェアを含む)を使用しています。これらの機器及びシステムにおいて、過負荷による損耗、不適切な設定、バグ等の不具合(外部から調達する一般的なソフトウェアの不具合を含む)が顕在化した場合には、サービスの全部もしくは一部の停止、またはサービスの水準の低下が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ ネットワークシステムについて
当社グループが提供するモバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションは、モバイル通信網を使用するため、利用場所、利用時間帯、利用時の電波の状況、及び基地局の混雑度等により、通信速度が異なります。また、インターネット接続を利用する場合には、インターネットの通信速度に依存します。さらに、携帯電話事業者から当社グループのデータセンターまでを接続する専用線の通信速度並びにデータセンター内のネットワーク設備及びコンピュータ・システムの処理速度にも依存します。加えて、当社グループのデータセンターから法人顧客までを専用線で接続している場合には、当該専用線の通信速度にも依存します。
当社グループは、現在の顧客数及びその利用実態を把握し、また今後の顧客数及び利用実態を予測することにより、必要かつ十分なネットワークシステムの容量を確保するよう努めています。しかしながら、当社グループが機動的にネットワークシステムの容量を確保することができず、当社グループが確保したネットワークシステムの容量が需要に対して不足した場合には、通信速度が低下する原因となる可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
一方、このような事態を回避するために、需要に対して必要以上にネットワークシステムの容量を増強した場合にも、過大な費用が発生することで、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 技術革新について
当社グループが提供するモバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションでは、モバイル通信技術(4G・5G)、無線LAN技術、TCP/IPネットワーク技術、マイクロソフトWindowsオペレーティングシステム、認証技術において業界標準となっているRadius認証システム等を使用しています。これらの技術標準等が急激に大きく変化した場合、その変化に対応するための技術開発に多大な費用が生じ、当社グループの収益を圧迫し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、技術標準等の変化への対応が遅れた場合、または、当社サービスに使用している技術もしくはサービスが陳腐化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 事業の内容について
① 通信端末の調達について
当社グループは、モバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションで使用する通信端末を複数の企業から調達していますが、調達条件はその時点の市場環境の影響を受けます。
当社グループは、通信端末の調達条件を改善するよう努めていますが、そのような努力にもかかわらず、調達条件が悪化した場合には、事業原価の上昇や通信端末を適時に顧客に供給できないことによる事業機会の逸失により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、通信端末に品質上の問題があった場合には、サービスを継続できない等の事態が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、経済のグローバル化により、世界的な感染症の拡大や国際情勢の変化も通信端末の調達に影響を及ぼします。2020年1月以降は、新型コロナウイルスの感染拡大により、通信端末が長期にわたり品薄状態となり、2022年2月以降は、ウクライナ情勢により、半導体の供給が不足する事態が発生しましたが、2026年2月以降も、中東情勢の影響により、同様の事態が発生する懸念があります。このような事態が長期間継続する場合は、事業原価の上昇や通信端末を適時に顧客に供給できないことによる事業機会の逸失により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 通信端末の陳腐化リスク等について
モバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションで使用する通信端末は、通信端末メーカーまたは代理店から調達しますが、最低発注量が大きく、需要に対し過大な発注をせざるを得ない場合もあり、このような場合、在庫の陳腐化リスクを負うことになります。当社グループでは、通信端末メーカーと緊密な情報交換を行い、販売状況を見極めながら必要数量の予測を的確に行うよう努めていますが、調達した通信端末が陳腐化した場合、または発注時期の遅延により適時に顧客に供給できず事業機会を逸失した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 通信端末の製造物責任等について
当社は、モバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションで使用する通信端末を通信端末メーカーまたは代理店から調達して販売しています。当社は、通信端末を調達するにあたり、品質等の検査を行っていますが、それにもかかわらず、当該通信端末に検収時に判明しない欠陥があり、事故等の被害が生じた場合には、当社は、製造物責任法に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。また、製品事故に至らなくても、当該通信端末の技術基準等に問題があった場合は、製品の回収義務を負う可能性があります。これらの場合は、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信用を大きく毀損し、売上の低下や収益の悪化など、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ マーケティング力及び技術開発力について
当社グループの業績は、顧客が求め、または顧客に受け入れられるサービスを的確に把握し、新たなサービスを提供していくこと、すなわち激変する業界にあって迅速に動向を把握し、あるいは予測しながら経営を行っていくためのマーケティング力及びそれを実現するための技術開発力に依拠すると考えています。当社グループが、かかる能力を適切に維持し、または向上できない場合には、事業機会を逸し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 人材の確保について
少子高齢化により生産年齢人口の減少が進み、人材不足が社会的な問題となっており、当社グループにおいても、必要な人材を確保することができない可能性があります。また、当社グループの事業は、新たな領域で行っているため、少数の個人の経験、スキル及びノウハウに負うところが大きく、確保した人材を失うことで事業に悪影響が及ぶ可能性は否定できません。当社グループは、従業員の意欲及び能力に応じてより多くの責任を担う業務を担当することができる制度、並びに、性別、国籍、新卒・中途採用の区別なく当該人材の能力及び適正に応じて採用、配属、管理職または中核人材の登用等を行う制度を実施することで、適切な人材の確保、育成及び維持に努める方針です。しかしながら、適切な人材を適時に採用すること、当該人材を短期間で育成すること、当該人材を維持できる労働条件を提供することは容易ではありません。当社グループが、事業の拡大に必要な人材を確保することができなかった場合、採用した従業員が短期間で退職した場合、または、限られた人材に依存している業務において従業員に業務遂行上の支障が生じた場合等には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 事業活動に必要な認定について
当社連結子会社であるmy FinTech株式会社は、FPoS事業を展開するにあたり、スマートフォンに秘密鍵及び電子証明書を搭載する「my電子証明書」サービスについて2021年11月10日に電子署名法に基づく特定認証業務の認定を受けました。これにより、同サービスの信頼性が向上し、前橋市(群馬県)、江別市(北海道)及び大村市(長崎県)のプロジェクトで、めぶくグラウンド株式会社(前橋市並びに当社を含む民間企業及び大学による官民連携会社)が発行する「めぶくID」のプラットフォームとして利用が開始されているほか、「めぶくID」が持つ中核機能である、身元確認、当人認証、データ連携の機能を部品化した「FPoSライブラリ」が前橋市(群馬県)及び門真市(大阪府)のプロジェクトで採用されており、今後、さらに他の地域へ展開していく予定です。また、2024年10月には、「my電子証明書」サービスにおいて、マイナンバーカードに記載された基本4情報(氏名、住所、生年月日及び性別)に変更があった場合に本人の同意を得て変更後の情報を取得する業務実施方法について、電子署名法に基づく認定を受けました。しかしながら、これらの認定は、一定期間ごとに更新を受けなければ失効するものであり、また、業務等が基準に適合しない場合等は認定が取り消される場合があります。当社グループは、「my電子証明書」サービスについてのこれらの認定を維持するため、人材、設備及び監査体制の確保に努めていますが、これらの認定が失効しまたは取り消された場合は、当社グループの信用が毀損され、事業機会を逸することになり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 競合について
当社が提供するモバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションは、市場規模の拡大が見込まれることから、現在の競合他社に加え、今後の更なる新規参入による競争激化が予想されます。モバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションは、通信事業者が提供する通信サービスの側面と、コンピュータ関連業者が提供するシステムサービスの側面を併せ持つことから、以下のとおり、通信事業及びコンピュータ関連事業から、競合するサービスが現れる可能性があると考えています。
① 携帯電話事業者について
通信回線設備を有する携帯電話事業者は当社グループと比較して圧倒的に潤沢な経営資源を有し、それらを活用することで、より低価格・高機能な商品を提供することが可能です。
従来、携帯電話事業者の収益源は音声通話によっていましたが、昨今のスマートフォン等の急速な普及からデータ通信による収益が音声通話を上回るようになっており、現在、データ通信市場では、携帯電話事業者を含めた競争が激化しています。
このような状況において、携帯電話事業者は、自社または自社と資本関係のあるグループ内のMVNOにより、当社グループと競合するサービスを強化しています。また、2020年4月には、既存事業における安定的な顧客基盤及び事業基盤を活用してモバイル通信サービスに参入した事業者が新たな携帯電話事業者となり、従来の携帯電話事業者より低価格なサービスを展開しています。このような携帯電話事業者が、その強大な資本力を背景に、当社グループより商品力に優れたサービスを提供した場合、当社グループの競争力の低下または価格競争の激化による売上高の減少が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、携帯電話事業者は、当社グループにとってモバイル通信網等の調達先でもあります。携帯電話事業者が提供するサービスと当社グループが提供するサービスの競合が激化した場合、携帯電話事業者は、自己のサービスを拡大するため、当社との取引条件を変更する可能性があり、その場合、当社グループの価格設定や提供しうるサービスが制限されることにより、既存顧客を失う事態、または新規顧客の獲得が伸び悩む事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② MVNOについて
当社グループと競合するMVNOの多くは、固定回線系ネットワークサービスを提供する事業者及び大規模小売店を展開する事業者等がモバイル通信サービスに新規参入したものです。これらの事業者は、既存事業において安定的な顧客基盤及び事業基盤を有しており、これらを活用して新規事業であるモバイル通信サービスを拡大することが可能です。これらの事業者が、既存事業の収益に基づいてモバイル通信サービスのシェア拡大を優先する場合、または、既存事業を維持・拡大する手段としてモバイル通信サービスを活用する場合は、モバイル通信サービスにおいて戦略的な価格政策を打ち出す可能性もあり、かかる事態が発生した場合には、既存顧客を失う事態、または新規顧客の獲得が伸び悩む事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ SI(システムインテグレーター)について
SIは、コンピュータ・システム領域において、顧客ごとに最適化したシステムのカスタマイズを事業としているため、システムの企画・立案からプログラムの開発、必要なハードウェア・ソフトウェアの選定・導入、及び完成したシステムの保守・管理までを総合的に行い、システム導入後においても保守業務が継続することから、顧客との結び付きは深いものになります。また、多種多様なシステムを統合するため、高いネットワークスキルを有しています。SIが携帯電話事業者と提携する等により、モバイル通信サービスの提供能力を獲得した場合には、当社グループにとって強力な競合相手となる可能性があり、そのような場合、既存顧客を失う事態、または新規顧客の獲得が伸び悩む事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは、SIを含むパートナー企業にモバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションを提供する戦略を推進しています。当社グループとSIがパートナーシップを構築することは、両者に利益をもたらし、結果的に、競合による上記のリスクの低減につながります。
(5) パートナービジネスへの依存について
当社グループは、パートナー企業にモバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションを提供しており、当社事業の中長期的な成長の成否は、パートナー企業との間で、取引関係・契約関係を含めた信頼関係を構築することができるか、また、構築した信頼関係を維持・拡大することができるか否かにかかっています。当社グループは、パートナー企業との協業を成功させるため、最大限の経営資源を投入して、競争力のあるモバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションの開発に努めるとともに、パートナー企業のオペレーションを支援するためのパートナープラットフォームの開発を強化しています。しかしながら、パートナー企業との間で、取引関係・契約関係を含めた信頼関係を構築することができなかった場合、信頼関係の構築に当社が想定する以上の時間を要した場合、または構築した信頼関係を維持・拡大することができなかった場合は、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 知的財産権及び法的規制等について
① 知的財産権の保護について
当社グループに帰属する知的財産の保護は、関連法規及び契約の規定に依存しています。当社グループは、知的財産を保護するため、他社の技術やノウハウの動向を把握し、必要に応じて特許出願等を行うよう努めていますが、出願した特許等が必ず権利登録されるという保証はありません。
また、当社グループが出願した特許等が権利登録された場合でも、取得した権利が十分なものではない可能性、または、第三者によって侵害される可能性があります。このような場合には、他社により、当社グループと同様の技術が開発され、または当社グループのサービスが模倣されることで、当社グループの事業の継続に支障を来す可能性があります。また、かかる侵害者に対する訴訟その他の防御策を講じるため、限られた経営資源を割くことを余儀なくされる事態が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 第三者からのライセンスについて
当社グループは、モバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションの提供にあたり、複数の第三者から、技術またはブランド(商標)等のライセンスを受けています。将来において、当社グループが現在供与されているライセンスを更新することができない事態、新たなサービスや通信端末を提供するために必要なライセンスの供与を受けることができない事態、または適切な条件でライセンスの更新もしくは供与を受けることができない事態が生じる可能性があり、そのような事態が生じた場合には、当社サービスの優位性が失われ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 法的規制等について
当社グループの事業は、電気通信事業法及び電子署名法をはじめとする各種法令に基づく規制を受けています。これらの規制が変更され、または新たな法令が適用されることにより事業に対する制約が強化された場合、事業活動が制限され、またはコストの増加につながる可能性があります。他方、事業に対する制約が緩和された場合、新規参入の増加により競争が激化し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 個人情報の保護について
当社グループは、電気通信事業、電子署名法に基づく特定認証業務及びその他の企業活動において、お客様の氏名、住所、生年月日、電話番号や当社サービスの利用状況等の個人情報を取得することがあり、個人情報保護法に基づき、個人情報取扱事業者としての義務を負っています(当社及び当社連結子会社であるmy FinTech株式会社は、個人情報の利用目的、及び、個人情報の第三者提供を行う場合の利用目的の範囲等について、個人情報保護方針(プライバシーポリシー)に定め、当社及びmy FinTech株式会社のウェブサイトに掲載しています。)。
当社グループが取得した個人情報は、当社並びに当社連結子会社であるmy FinTech株式会社、クルーシステム株式会社及びJCI US Inc.において業務上取り扱いますが、当社グループでは、取得した個人情報について、業務上必要な範囲内のみで利用し、適正な権限を持った者のみがアクセスできるようにしています。また、当社グループの社員、契約社員及び派遣社員は当社グループでの就業の開始時及び毎年1回、当社に秘密保持誓約書を提出しています。しかしながら、このような個人情報保護のための対策を施しているにもかかわらず、当社グループからの個人情報の漏洩を完全に防止できるという保証はありません。万一、当社グループが保有する個人情報が社外に漏洩した場合には、顧客からの信用を喪失することによる販売不振や、当該個人からの損害賠償請求等が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) その他
① 業績の予測について
当社グループが推進しているモバイル通信サービス、モバイル・ソリューション及びFPoS事業の歴史はまだ浅く、新たな事業領域であることから、当社グループが今後の業績を予測するにあたり、過去の実績や、通信事業の業界一般の統計に必ずしも依拠することができません。また、今後のモバイル通信サービス、モバイル・ソリューション及びFPoS事業の業績に影響を与える可能性のあるこれらのサービスまたは事業の利用者数の推移、市場の反応等を正確に予測することも極めて困難です。従って、現時点において当社グループが想定する収益の見通しに重大な相違が生じる可能性があるほか、今後予想し得ない支出等が発生する可能性もあり、かかる事態が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 資金調達について
当社グループは、ネットワーク設備、ソフトウェア、システム等の開発及び調達等に投資し、当社サービスの更なる差別化を推進して事業拡大を図る計画であり、当社は、ドコモの音声網及びSMS網との相互接続を実現するためのネットワークシステム等の設備投資資金の調達を目的として、2025年3月13日開催の取締役会決議に基づき、2025年3月26日に第1回無担保社債(適格機関投資家限定)を発行し、2,000百万円の資金を調達したほか、2026年2月5日開催の取締役会決議に基づき、2026年3月25日に第2回及び第3回無担保社債(適格機関投資家限定)を、2026年3月26日に第4回無担保社債(適格機関投資家限定)を発行し、総額4,000百万円を調達しました。しかしながら、ドコモの音声網及びSMS網との相互接続を実現するために想定以上の資金を要することが判明した場合、または、当社グループの収益力の低下により想定以上の資金を調達する必要が生じた場合等において、当社が同様の条件で社債を発行することができる保証はありません。当社グループが不利な条件での資金調達を強いられる場合、または、必要な資金の確保を適時に行えない場合は、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは、当連結会計年度末において現金及び預金7,107百万円を保有し、必要な運転資金及び設備投資資金を確保しています。
③ ストックオプションによる株式の希薄化について
当社グループは、当社グループに対する貢献意欲及び経営への参加意識を高めるため、ストックオプションによるインセンティブ・プランを採用しており、2020年3月19日開催の当社取締役会決議に基づき、当社並びに当社連結子会社の取締役、監査役、執行役員及び従業員に対し、2020年4月10日に第20回新株予約権(ストックオプション)33,522個(3,352,200株)を発行しており、当連結会計年度末現在の当該新株予約権の潜在株式数は3,168,200株となっています。当該新株予約権の行使期間は2027年4月10日までであり、当該新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、株価に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当該新株予約権の行使価格は、同新株予約権の発行日前日の当社株式終値の2倍であるため、当該新株予約権が行使されることは、当社の株主価値が増大したことを意味します。そのため、当該新株予約権は、その行使による相応の希釈化を伴ったとしても、結果として中長期的な企業価値・株主価値の向上に寄与し、既存株主の利益にも貢献できるものと判断しています。
④ 譲渡制限付株式による株式の希薄化について
当社グループは、取締役等の報酬と株式価値との連動性をより一層強めることにより、取締役等に当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えるとともに、取締役等と株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的として譲渡制限付株式報酬制度を導入しており、2022年6月28日開催の第26回定時株主総会において、同制度に基づき取締役に対して発行または処分される当社の普通株式の総数は、年間56万株以内、年額1億円以内と承認されています。当社は、同制度の導入以降、2022年7月20日開催の取締役会決議に基づき、2022年8月15日に当社の取締役並びに当社の執行役員及び当社連結子会社の取締役に対し、譲渡制限付株式としての新株751,000株(うち当社の取締役に対して発行した株式数は471,000株)を発行し、2024年6月26日開催の取締役会決議に基づき、2024年7月17日に当社の取締役並びに執行役員及び従業員に対し、譲渡制限付株式としての新株914,500株(うち当社の取締役に対して発行した株式数は523,500株)を発行したほか、2025年6月25日開催の取締役会決議に基づき、2025年7月16日に当社の取締役並びに当社の執行役員及び従業員に対し、譲渡制限付株式としての新株915,000株(うち当社の取締役に対して発行した株式数は560,000株)を発行しています。今後、同制度に基づき、譲渡制限付株式としての新株が発行された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、株価に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 世界的な感染症の拡大による影響について
新型コロナウイルス感染症については、2023年5月に感染症法上の位置づけが変更され、社会経済活動の正常化が進んでいるものの、現在も新規感染者数は一定数確認されています。当社グループは、2021年7月に群馬県北群馬郡吉岡町に吉岡オペレーションセンターを開設し、本社(東京都港区)及び吉岡オペレーションセンターの2か所で通常業務を行うことのできる体制を確保しています。また、今後は、当社グループの事業継続計画(BCP)の一環として、災害時には、同センターでネットワークのオペレーション並びに決算及び開示等を継続することができるよう、同センターに第2本社としての機能を構築していきます。しかしながら、今後、従来の感染症が再び流行する可能性、または新たに別の感染症が拡大する可能性があり、当社グループの役員または従業員が感染し、または隔離措置等によって業務からの離脱を余儀なくされた場合には、業務遂行上の支障が生じるほか、場合によっては当社グループの事業活動の一部が停止し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 首都直下型地震や富士山の噴火等の自然災害による影響について
当社は東京都港区に本社を置き、群馬県北群馬郡吉岡町に吉岡オペレーションセンターを置いています。そのため、首都直下型地震や富士山の噴火等の自然災害が発生した場合、建物の倒壊及び火災による焼失に加えて、停電、断水、通信及び交通の途絶等のインフラ、ライフラインの被害により、業務の継続が困難となる可能性があります。また、これらの自然災害により、当社の役員または従業員に人的被害が生じた場合は、業務の継続が長期にわたり困難となる可能性があります。
当社は、自然災害によるリスクを分散化するため、当社の事業継続計画(BCP)の一環として、本社機能を持つ拠点及びデータセンター等を複数の地域に構築することを進めています。しかしながら、人材不足または資源不足等の外的要因により当社の事業継続計画(BCP)を予定通り構築することができない可能性、当該外的要因により当社の事業継続計画(BCP)の構築費用が想定を超えることで当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性、また、当社の事業継続計画(BCP)の構築により迅速な業務遂行が困難となることで当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社並びに連結子会社及び持分法適用関連会社)の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
①経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は11,633百万円となり、前連結会計年度と比較して2,394百万円の増収(25.9%増)となりました。これは、「日本通信SIM」を主とした音声定額・準定額サービスの成長によるものです。
売上原価は7,219百万円となり、前連結会計年度と比較して1,823百万円の増加(33.8%増)となりました。これは、主に「日本通信SIM」の成長に伴う携帯網の調達コストの増加によるものです。なお、当社がドコモから調達する携帯網のコストは、データ通信および音声通話のいずれも、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えた金額を超えない額で設定するものとされております。
売上総利益は4,414百万円となり、前連結会計年度と比較して571百万円の増加(14.9%増)となりました。販売費及び一般管理費は3,280百万円(前連結会計年度は2,880百万円)となりました。
この結果、営業利益は1,134百万円(前連結会計年度は962百万円)、経常利益は1,117百万円(前連結会計年度は1,000百万円)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は763百万円(前連結会計年度は849百万円)となりました。これは、当社の連結子会社であるmy FinTech株式会社が保有する事業用資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき将来の回収可能性を検討した結果、同社において過年度より営業損失が継続し減損の兆候が認められたことから、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、215百万円を減損損失として特別損失に計上したことによるものです。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は8,453百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,946百万円増加しました。これは主に社債の発行により現金及び預金が2,806百万円増加したことによるものです。固定資産は3,454百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,648百万円増加しました。これは主に有形固定資産が162百万円、無形固定資産が1,428百万円増加したことによるものです。繰延資産は87百万円となり、前連結会計年度末に比べ59百万円増加しました。これは社債発行費が59百万円増加したことによるものです。
この結果、総資産は11,995百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,654百万円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は2,443百万円となり、前連結会計年度末に比べ770百万円増加しました。これは主に1年内償還予定の社債が566百万円、未払金が102百万円増加したことによるものです。固定負債は4,909百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,112百万円増加しました。これは主に社債が3,148百万円増加したことによるものです。
この結果、負債は7,353百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,883百万円増加しました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は4,642百万円となり、前連結会計年度末に比べ771百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益763百万円を計上したことによるものです。
この結果、自己資本比率は37.6%(前連結会計年度末は50.4%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は7,107百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,806百万円増加しました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは1,321百万円の収入(前連結会計年度は930百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益861百万円、減価償却費314百万円及び減損損失215百万円を計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは2,155百万円の支出(前連結会計年度は1,104百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出334百万円、無形固定資産の取得による支出1,698百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは3,636百万円の収入(前連結会計年度は1,957百万円の収入)となりました。これは主に社債の発行による収入3,935百万円によるものです。
④生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当社グループのサービス提供の実績は、販売実績とほぼ一致していますので、生産実績に関しては(d) 販売実績の項をご参照ください。
(b) 仕入実績
当社グループの当連結会計年度の仕入実績は次のとおりで、セグメントはモバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションの単一セグメントです。
なお、セグメントについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)セグメント情報」をご参照ください。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
前年同期比(%) |
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モバイル通信サービス及びモバイル・ソリューション(千円) |
5,618,158 |
134.5 |
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合計(千円) |
5,618,158 |
134.5 |
(注)金額は仕入価額で表示しています。
(c) 受注実績
当社グループは 、受注から販売までの所要日数が短く常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しています。
(d) 販売実績
当社グループの出荷金額に基づく販売実績は次のとおりで、セグメントはモバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションの単一セグメントです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
前年同期比(%) |
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モバイル通信サービス及びモバイル・ソリューション(千円) |
11,608,202 |
126.1 |
|
合計(千円) |
11,608,202 |
126.1 |
(注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上である相手先は次のとおりです。
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前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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H.I.S.Mobile株式会社 |
1,193,373 |
13.0 |
1,152,362 |
9.9 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、「安全・安心にビットを運ぶ」という使命(ミッション)を実現するため、携帯電話事業者のモバイル通信ネットワーク等を活用したモバイル通信サービス及びモバイル・ソリューション、並びに、FPoS事業を展開しています。
モバイル通信サービス、モバイル・ソリューションのうちローカル携帯網による通信(ローカル4G/5G)事業、及び、FPoS事業に関する認識及び分析・検討内容は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び経営戦略」に記載しています。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきまして、事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
運転資金は基本的に内部資金より充当しています。
③重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づいて作成しています。その作成は経営者による会計方針の選択及び適用、並びに資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しています。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
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会社名 |
相手方の名称 (注1) |
国名 |
契約名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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日本通信㈱ |
株式会社インターネットイニシアティブ |
日本 |
広域複合ネットワークサービス契約 |
データセンターの運営・管理 |
2002年2月4日から 2003年2月3日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
株式会社NTTドコモ |
日本 |
相互接続協定書 |
レイヤー2による4G及び5Gネットワークの相互接続に関する協定 (注2) |
契約期間の定めなし (締結日:2009年3月13日) |
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JCI US Inc. (旧 Contour Networks Inc.) |
Verizon Wireless LLC |
米国 |
Telematics Agreement |
無線による音声通話サービス及びデータ通信サービスの仕入れ |
2013年10月29日から 2014年12月31日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
ソフトバンク株式会社 |
日本 |
相互接続協定書 |
レイヤー2による4G及び5Gネットワークの相互接続に関する協定 |
契約期間の定めなし (締結日:2017年1月31日) |
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日本通信㈱ |
ソフトバンク株式会社 |
日本 |
L2接続に係る卸電気通信役務の基本契約 |
卸音声サービス及び卸SMSに関する契約 |
契約期間の定めなし (締結日:2017年8月16日) |
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日本通信㈱ |
H.I.S.Mobile株式会社(注3) |
日本 |
MVNE業務委託基本契約書 |
MVNE業務の受託契約 |
2018年2月15日から 2020年2月14日まで (1年単位の自動更新) |
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日本通信㈱ |
株式会社NTTドコモ |
日本 |
卸携帯電話サービスの提供に関する契約書 (注4) |
卸携帯電話サービスの提供に関する契約 |
2025年4月28日から、株式会社NTTドコモの定める卸携帯電話サービス契約約款(以下、「卸約款」という)に基づく本契約の解除または卸約款に基づく卸携帯電話サービスの廃止がなされるまで (締結日:2025年4月28日) |
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日本通信㈱ |
株式会社NTTドコモ |
日本 |
卸携帯電話サービスの提供に関する契約書 (注5) |
卸携帯電話サービスの提供に関する契約 |
2026年4月1日から、卸約款に基づく本契約の解除または卸約款に基づく卸携帯電話サービスの廃止がなされるまで (締結日:2026年3月31日) |
(注)1.上記契約の相手方名称は、すべて2026年3月31日現在の商号によります。
また、本書提出日現在、上記契約は(注)4.及び(注)5.に記載したものを除き、有効に更新されています。
2.当社は株式会社NTTドコモと2026年3月31日付で「相互接続協定変更書」を締結し、3Gネットワークの相互接続は、同日付で終了しました。
3.H.I.S.Mobile株式会社は、当社の持分法適用関連会社です。
4.本契約の締結に伴い、「第3種卸Xiサービスの提供に関する契約書」及び「第3種卸5Gサービス(卸タイプ5G)の提供に関する契約書」は失効しました。
5.本契約の締結に伴い、2025年4月28日付で締結した「卸携帯電話サービスの提供に関する契約書」は失効しました。
なお、以下の契約については、2026年3月31日をもって株式会社NTTドコモの3Gサービスが終了したことに伴い、3G音声卸サービスが同日をもって終了したため、上記契約から除外しました。
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会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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日本通信㈱ |
株式会社NTTドコモ |
日本 |
卸電気通信役務の提供に関する契約書 |
3G音声卸サービスに関する契約 |
2010年4月15日から 2013年4月30日まで (3年単位の自動更新) |
当社グループは、携帯電話事業者の設備を借用して、他社には技術的に模倣困難なサービスを開発し、提供しています。従って、そうした当社独自のサービスが、携帯電話事業者のサービスに比べて如何に差別化されているかは極めて重要です。
当連結会計年度における研究開発費は
なお、当社グループのセグメントは、モバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションの単一セグメントです。