当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社の経営の基本方針は、社会基盤として重要な役割を担う先進的で高品質なインターネット接続サービスを適切な価格で安定的に提供することにあります。「接続料金」、「回線の安定性」、「回線の速度」、「サポート」といった基本的な価値の向上を図ることが重要であると考えております。また当社は教育支援サービス「manaba」を自社開発し大学などの教育機関へ提供しております。IT技術の活用によって教育の質を高めるインフラとしての価値の向上に努めてまいります。
(2)経営戦略等
インターネット接続サービスは生活インフラ及び事業インフラとしての役割が益々増大しております。当社は、顧客が求める通信品質を維持しながらオペレーションの更なる向上により顧客の利便性を高めていくことが重要課題であると考えております。また、Wi-Fi、VPN、監視カメラソリューション、教育支援サービスなど、インターネット接続の周辺領域の事業も進めております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
先進的で高品質なインターネット接続サービスを適切な価格で継続的に提供していくためには、健全な財務基盤の維持が重要であると考えており、ROE及び1株当たり純利益を収益性の指標としております。当社が運営するISP「ASAHIネット」につきましては、会員制ビジネスであることから、インターネット接続契約数の増加を図ることが将来の収益源を確保することにつながっております。こうした観点から「ASAHIネット」のインターネット接続契約数、平均退会率、第三者による顧客満足度調査などを重要な指標としております。他電気通信事業者へIPv6接続サービスをローミング提供する「v6 コネクト」につきましては、提携する電気通信事業者数を重要な指標としております。教育支援サービス「manaba」につきましては、契約ID数に応じた課金体系となっていることから、契約ID数と全学導入校数を重要な指標としております。
(4)経営環境
① 業界動向
当社が事業を展開する通信業界、教育業界においては、デジタル化(DX)による生産性向上や業務効率化の改善に加え、人手不足を補うために情報通信への先行投資は継続し続けると捉えております。このような状況下において、当社は社会的なインフラであるインターネット接続事業者として安定した通信環境とお客様に満足いただけるサービスの提供を維持し続けるために努めております。
② ISP業界
ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)業界においては、2024年12月末のFTTH(光ファイバー)の利用者数は前年同期比73万契約増(1.8%増)の4,090万契約となり増加しております。また、FTTH契約数のうちNTT東西の卸電気通信役務(サービス卸)を利用して提供される契約数は1,734万契約となっており、FTTH全体契約数に占める割合は前年同期比0.0%増の42.4%となりました。
MVNOサービスの利用者は、前年同期比296万契約増(8.9%増)の3,618万契約となりました。そのうち高速モバイル通信やIoT(Internet of Things)およびM2M(Machine to Machine)に利用されるSIMカード型の契約者数は前年同期比142万契約増(8.8%増)の1,752万契約となりました。eSIM(イー・シム)を含む通信モジュールの契約者数は前年同期比99万契約減(8.2%減)の1,092万契約となりました。なお、総務省から開示されたMVNOサービスの契約数は集計基準の変更により一部非連続となっております。
1契約あたりのダウンロードトラフィックは、総務省が2025年2月に公開した2024年11月分の集計結果では、固定系ブロードバンド契約者1契約あたりのダウンロードトラフィックが前年同月比87.1kbps増(11.7%増)の828.6kbps、1カ月あたりのダウンロードトラフィックは約259.8GBとなりました。インターネットトラフィックのピーク時間帯が19時から21時に集中する傾向に変化はありません。平日と比較して休日は朝から昼にかけてトラフィックの伸びが大きい傾向にあり、オンラインゲームや動画配信サービスなどがトラフィックの伸びを牽引していると捉えております。
トラフィック増加に起因する通信速度および通信品質の低下はISP業界に留まらず通信業界全体での課題となっています。デジタル社会の基盤となる通信インフラの重要性が高まっており、安定したインターネット通信環境が求められています。
③ 教育業界
大学を取り巻く環境は、文部科学省が進める教育のDX化が後押しされたことにより、LMSやポートフォリオは新たな価値を求められております。教育支援サービス「manaba」は教育の質保証や大学IRを実現するために必要なサービスの提供が必要と考えており、2025年3月期は各種システムとの連携強化、学修行動を分析するためのログの抽出、学生の能動的な学修を促すための機能を開発することで、利用大学の拡大ならびに退会抑止に取り組みました。
④ 業績の見通し
ISP「ASAHIネット」は、2025年3月期から継続的に取り組みを進めている「光コラボ」や最大通信速度が概ね10Gbpsの光アクセスサービス「フレッツ 光クロス」などのフレッツサービスを軸としたFTTH接続サービスの契約数増加を目指します。
VNE「v6 コネクト」は毎年増加するトラフィックと通信品質の取り組み、教育支援サービス「manaba」は教育の質保証を実現するためのLMS機能開発に取り組みます。
「ASAHIネット」の売上高は、FTTH接続サービスの契約数に比例して増加し、先行指標として四半期単位でインターネット接続の契約数を開示しております。2025年3月期はNTTチャネル、Webチャネル、大口法人の契約数増加に向けて会員獲得チャネルの強化を進めた結果、2025年3月末の契約数は増加傾向にあります。2026年3月期も契約数を増加させるための具体的な活動を進めます。1点目はNTTチャネルの強化です。光コラボレーションモデルの「AsahiNet 光」やNTT東西と協業して販売している「マンション全戸加入プラン」の拡大、NTT東西のフレッツ光に当社プロバイダサービスのみを提供する「フレッツ 光クロス」などの販売を強化しています。2点目はWebチャネルの強化です。広告宣伝費や販売促進費を投下し当社Webサイト経由での見込顧客の獲得を進めています。3点目は法人会員の強化です。当社は法人会員の契約数が個人会員を超えており、他ISP事業者と比較すると法人会員の構成率が高いことが特徴です。当社が選定される理由として固定IPアドレスを利用したインターネット接続があり、2024年2月にサービス仕様および提供価格を変更しました。これにより、法人会員から要望が多かったIPoE方式のインターネット接続サービスでIPv4固定IPアドレスを利用できるようになりました。今後は提供範囲を広げ、10Gbpsに対応したフレッツ 光クロスの提供を予定しております。固定IPアドレスを活用した多要素認証や、インターネットを経由して遠隔地からアクセスするなどの利用事例は今後も増加する見込みです。
VNE「v6 コネクト」は、引き続き提携事業者との協業関係を維持すること、および新たなVNO事業者(電気通信事業者)との提携を拡大させることに注力して取り組みます。インターネット上で中継されるスポーツイベントの視聴やオンラインゲームのアップデートなどによるダウンロードされたコンテンツ利用は増加することが予想され、増加の一途をたどると予測しています。「v6 コネクト」はVNO事業者が利用した通信量に応じて利用料が発生するサービスです。今後も1回線あたりのトラフィックは増加する傾向であると見込んでいます。VNO事業者の事業展開においては、「v6 コネクト」を用いた通信品質の維持と事業構造におけるコストコントロールは大きな意味を持ちます。当社は提携するVNO事業者の事業拡大や維持に向けて、価格調整やネットワークの維持コストを効率化することで、提携事業者と当社がパートナーとして中期的な関係性を維持することに努めます。
教育支援サービス「manaba」においては、教育の質保証や大学IRを実現するために2025年3月期から2年間の開発計画を策定し3つの取り組みを進めてきました。1点目は変わりつつある学修環境に対応するための各種システムとの連携強化です。教育業界の標準規格であるLTI(Learning Tools Interoperability)に対応するためのサービス開発を進めております。2点目は学修行動を分析するためのログの抽出です。「manaba」に蓄積された様々な学修ログデータを大学IR(Institutional Research)に利活用できるよう、データ抽出を準備しています。3点目は学生の能動的な学修を促すための機能提供です。これら3つの取り組みについて、「manaba」を利用する大学と具体的な利用事例や活用方法を見出すことで2026年3月期は、全学導入校数と契約ID数の増加に向けたサービスの改善に取り組みます。大学をはじめとする教育機関は文部科学省が進める教育のDX化に取り組んでおり、「manaba」をはじめとするLMS(ラーニング・マネジメント・システム)やポートフォリオは新たな事業領域へ挑戦します。
この方針のもと2026年3月期の業績予想については、売上高13,500百万円(前年同期比421百万円増、3.2%増)、営業利益は2,350百万円(同4百万円増、0.2%増)、経常利益は2,370百万円(同5百万円増、0.2%増)、当期純利益は1,659百万円(同93百万円減、5.4%減)を見込みます。配当金は、中間配当12円50銭、期末配当12円50銭の年間1株当たり25円00銭(配当性向40.5%)を予定しております。ISP、VNE、manabaの各事業で増収を計画しており、費用面では売上高に連動する回線仕入の増加や基幹システムの更改による減価償却費の増加を見込んでいます。2026年3月期の設備投資は2,000百万円を予定しております。ネットワーク関連の設備投資、および定期的に更新が必要となるサーバ領域の設備投資は例年どおりの規模を予定しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① お客様に満足いただける品質のサービス維持と通信費の抑制
インターネットにおけるトラフィックは、総務省が2025年2月に公開した集計結果によると、固定系ブロードバンド契約者1契約当たりのダウンロードトラフィックは前年同月比87.1kbps増(11.7%増)の828.6kbps、1ヵ月当たり259.8GBとなり増加傾向にあります。
当社はNTT東西のフレッツ網(NGN)と直接接続し、シンプルにインターネット接続ができるネイティブ方式でのIPv6接続サービスを「ASAHIネット」会員向けに提供することにより、トラフィックが増加する中でも高い品質を維持し続けております。第三者機関による顧客満足度評価においては11年連続第1位の評価をいただいております。売上に対する通信原価においては売上原価率を維持することができております。今後もお客様に対して満足いただけるサービスの提供と利益の増大を図ってまいります。
② ISP「ASAHIネット」会員の獲得
「ASAHIネット」会員数を増加させるためには、当社を利用する新規会員の増加を図ることが課題です。
FTTH接続サービスにおいては、新規回線敷設または他ISPから当社への乗換を希望する会員に対して効率的な販促施策を行ってまいります。引き続き当社への入会チャネルの強化や法人向け施策など顧客満足度の高い「ASAHIネット」の認知度を向上させることで会員数増加を目指します。
特に、NTT東西の光コラボレーションモデルを活用したサービスとしてアクセス回線とISPサービスをセットにした「AsahiNet 光」や「ASAHIネット ドコモ光」、NTT東西と協力して提供している「ASAHIネット マンション全戸加入プラン」、最大通信速度が概ね10Gbps(上り・下り)の光アクセスサービス「フレッツ 光クロス」においては、より一層の品質向上が実現できるサービスとして注力をして施策を行います。
モバイル接続サービスにおいては、コンピュータなどの情報・通信機器だけではなく、世の中に存在する様々なモノに通信機能をもたせるIoTやM2Mの市場規模が引き続き増加しており、当社ではこれらの需要に対して先進的なサービスを提供し、お客様の利便性をさらに高めていくことが重要だと考えております。また、在宅勤務等のテレワーク拡大など今後も需要が増加すると考えております。
当社の収益構造は会員からのインターネット接続料収入を基礎としているため会員獲得の増加が収益基盤の向上につながります。
③ 「v6 コネクト」の拡販
当社はNTT東西のフレッツ網(NGN)と直接接続し、シンプルにインターネット接続が出来るネイティブ方式でのIPv6接続サービスを「v6 コネクト」として他電気通信事業者へローミング提供をしております。2025年3月末の提携事業者数は10社、売上高は2,161百万円となりました。「v6 コネクト」を利用する顧客は集合住宅向け事業者やISP事業者など電気通信事業者を想定しており、今後は新たな事業領域を開拓する取り組みを進めております。通信トラフィックが継続的に増加する状況下において、電気通信事業者は自社事業を継続するためのサービス品質維持と必要な費用の均衡を保ちたいという需要や、IPv6接続サービスを活用して自社サービスや顧客サポートを作り上げることでビジネス領域や規模の拡大を目指したいという需要に対して「v6 コネクト」の付加価値を高めたサービス開発を行ってまいります。
「v6 コネクト」の売上高は主として基本料金及び従量料金をそれぞれ算定してサービス利用料を定めております。このうち従量料金は利用帯域において「95%タイル値」(※)として測定された最大通信量と基準通信量とを比較衡量して算定されます。最大通信量の測定及び最大通信量に基づいた従量料金の算定には複雑性が伴うため、「v6 コネクト」のサービス利用料が正しく行われず請求機会の逸失や遅れが発生する場合があります。
(※)「95%タイル値」とは、月初から月末までの通信量を当社が定めた一定時間間隔で分割して測定し、分割した各通信量を昇順で並べ替え上位から95%に位置する一意の値を算定します。
④ 教育支援サービス「 manaba 」の拡販
主に大学などの教育機関に提供している教育支援サービス「manaba」につきましては、今後も教育現場のニーズを取り込み、教育の質を高めるイノベーションに貢献するためのサービス開発を進めてまいります。
大学の授業が対面とオンラインのハイブリッド型に変化した事に加え、文部科学省が進める教育のDX化が後押しされたこともあり、教育現場は学習環境や教材が紙媒体から電子データへ移行するデジタイゼーションが浸透しております。このような背景を踏まえ、「manaba」と外部サービスとの間でのデータ連携の要望が増えており将来を見据えたサービス開発が求められております。具体的には教育業界の標準規格であるLTI(Learning Tools Interoperability)に対応するためのサービス開発を進め、類似性チェックツールの「Turnitin」やWeb会議の「Zoom」等との連携による事例を増やすことで拡販に努めます。
⑤ ブランドの構築と顧客満足度の維持、向上
2025年3月期のISP「ASAHIネット」の平均退会率は0.66%となりました。退会率は同業他社と比較し低い水準を維持し続けております。
今後も退会を抑止し、更に競合各社からの乗換を促進していくことが重要であると認識しております。そのためには、質の高い会員サービスと安定した接続環境を提供していくことによって、信頼できるブランドを構築し、顧客満足度の維持・向上に努めることを重要な課題としております。
⑥ 情報セキュリティへの取り組み
当社は、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO/IEC27001:2022を取得しております。ISMS関連規則等を遵守し、当社が保有する個人情報及び情報資産を適切に管理・運用すると共に、社内での継続的な取り組みを推進してまいります。
また、一般社団法人日本情報経済社会推進協会より、個人情報の適切な取り扱いを行う事業者に付与されるプライバシーマークを取得しているほか、インターネット接続サービス安全・安心マーク推進協議会が発行する「安全・安心マーク」使用許諾を得ております。今後も継続的に情報セキュリティや個人情報保護の認識を徹底させる教育を行い、適切な情報管理を行う管理体制を維持・強化していきます。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は「交流と創造」という企業理念のもと、情報技術を活用して人と人との交流の価値を高め、社会の発展に貢献することを使命として企業活動を行っています。
当社は人々の生活や事業活動を支えるインフラ事業の担い手として企業が社会的な存在であることを自覚し、常に社会にとっての善とは何かを考えながら事業を展開しています。また健全な企業活動を通じて事業リスクを最小化すると共に事業機会を拡大し、持続可能な企業価値の向上および持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
当社は企業活動を通じてサステナビリティに関する取り組みを推進するために「サステナビリティ推進委員会」を設置しています。サステナビリティ推進委員会は代表取締役の指示のもと、サステナビリティに関わる経営の基本方針、事業活動の方針・戦略に関する企画立案、提言を経営会議へ付議します。経営会議で決議された事項はサステナビリティ推進委員会が主導し、各事業部門・コーポレート部門と連携し全社へ展開、推進しています。
(2)戦略
当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境の整備に関する方針としては、性別、国籍、障がいの有無などに関わらず、すべての従業員の価値観が尊重され、能力を発揮できる職場環境及び従業員一人ひとりが「長く・安心して働き続けられる」、「常に向上心を持って、仕事に取り組める」環境を提供し、ダイバーシティ・ワークライフバランスの推進、労働安全衛生・人権尊重の推進、従業員満足度の向上に取り組んでおります。
(3)リスク管理
当社のリスク管理体制は、各部門においてそれぞれ予見されるリスクの分析と識別を行い、経営会議及び取締役会にてそのリスクの検討と対策を行っております。また、内部監査、監査等委員会監査により定期的にリスク管理の状況を監査しております。
(4)指標及び目標
当社では上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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指標 |
目標 |
実績(当事業年度) |
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当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。
また、必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資判断上あるいは当社の事業活動を理解するうえで重要であると考えられる事項については投資家及び株主に対する情報開示の観点から積極的に記載しております。
なお、文中の記載のうち将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)事業環境の変化について
2024年12月末におけるFTTH契約数は、4,090万人に達しております。
当社は依然として増大が見込まれるFTTH市場でのシェア拡大による成長を目論んでおりますが、FTTH接続サービスの会員獲得が計画通りに遂行できなければ契約数の伸び率が低下する可能性があります。また、FTTH市場の成熟に伴い当社におけるインターネット契約会員数の伸び率が経年的に低下していく可能性があります。
当社では接続事業以外のインターネット関連サービスの充実によって、会員1人当たりの売上高増加を図るとともに、サービス会員数を増大させていくことを計画しております。しかし、インターネット関連サービスについては、事業化までに相応の期間を要したり、事業展開に相当の費用を要するケースも想定されます。また、何かしらの理由によって当社のインターネット関連サービスが十分にユーザーを獲得できないことも想定されます。さらにインターネット関連サービスの事業環境においては、想定外の環境変化が生じる可能性もあります。これらの要因によって、予定通りにインターネット関連サービスの収益拡大を図ることができなくなる可能性があります。
(2)競合について
当社が提供するインターネット接続サービスにおける主な競合相手は、自ら通信回線等の設備を有して電気通信事業を行っている電気通信事業者やインターネット接続事業者です。競合他社においては、主に大手通信キャリアなど当社と比較して大きな資本力、技術力、販売力等の経営資源、幅広い顧客基盤、高い知名度等を有している企業が存在します。競合他社の営業方針や価格設定により、競合他社との競争が更に激化する可能性があり、それにより当社の業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(3)収益構造について
当社において、インターネット接続サービスの売上高全体に占める割合は、2025年3月期において89.8%となっております。インターネット接続サービスの収益構造は、インターネット接続サービス利用料等の売上のほか、新規会員獲得に伴い提携電気通信事業者から支払われる販売報奨金などの売上や、新規会員獲得費用及び通信回線使用料などの経費に影響します。
新規会員獲得費用については、初期費用や月額利用料の一定期間無料化等のキャンペーンを行っているため月額利用料等の収入化に先行して提携電気通信事業者への回線利用料等や販売促進費の費用が発生し、一時的に当社の収益を悪化させる要因となります。
また、通信回線使用料にはバックボーン回線費用が含まれますが、当該バックボーン回線費用はインターネット利用によって発生するトラフィック等に大きく影響されます。従って、FTTH接続サービス契約数の増加、ウイルス、スパムメール、動画配信等による大量のトラフィック消費及びその他予期せぬ原因によるトラフィック増加によって通信回線使用料は大きく増加する可能性があり、結果として当社の収益に影響を及ぼす可能性があります。
(4)技術革新について
インターネット接続サービスやインターネット関連サービスは技術革新が著しく、当社が技術革新への対応に遅れた場合は新規サービスの開発や導入が滞り新規会員の獲得や維持に支障が生じるなど競争力が低下していく可能性があります。また当社が設備投資を行った資産が技術革新によって陳腐化し利用価値または資産価値が著しく下落する可能性があります。
(5)障害や災害などによるサービスの中断や停止について
当社のインターネット接続サービスにおける通信回線は、それぞれの電気通信事業者が管理しています。また、ネットワーク機器、各種サービス提供用サーバー、課金及び顧客管理用サーバーなど、当社のインターネットサービス提供に係るすべての機器については、当社において24時間365日の管理体制で運用しております。
このような管理状況下においても、システム障害や電気通信事業者における回線障害などにより当社が提供するサービスの中断や停止が発生する可能性があります。また、地震、火災、洪水などの自然災害、戦争、暴動、テロなどの破棄行為やウイルス侵入、サイバーテロなど情報セキュリティ侵犯などにより当社が提供するサービスの中断や停止が発生する可能性があります。これらの事情によって当社が提供するサービスの中断や停止が発生した場合、当社の信用が毀損されたり、業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(6)当社のインターネットサービスの品質について
当社は会員の増加や通信トラフィックの増加に対応して通信回線を増強するとともに、ネットワーク機器やサーバーなどの設備投資を継続的かつ適切に実施することによりインターネットサービスの品質維持及び改善を図っております。品質維持および改善のための設備投資の増加が当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7)提携電気通信事業者との契約について
当社は、提携電気通信事業者である東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、KDDI株式会社、UQコミュニケーションズ株式会社及びエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社とFTTH接続サービス、モバイル接続サービス等におけるアクセス回線の提供に関する契約を締結し、当該アクセス回線の提供を受けております。
今後、契約終了や契約内容変更などの事態が発生した場合、当社の営業戦略や価格政策の見直しが必要になる可能性があり、その内容によっては当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)人材の育成及び確保について
当社が安定した成長を続けるには、高い技術力を持つ技術部門において優秀な技術要員を確保しつづけることをはじめ、各部門において多様な能力を持つ優秀な人材を確保していく必要があります。現時点においては、新卒採用及び中途採用などで人材を確保し、人材育成も順調に行っておりますが、必要な人材を十分に採用及び育成出来なかった場合、当社の将来の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(9)法的規制について
① 電気通信事業法
当社はインターネット接続事業に関して電気通信事業法に基づく届出を行っており、同法の規制を受けております。また、当社は同法が規定している内容を社員・役員に徹底し、この法令に則って事業を展開しております。同法には、届出の取消事由等の定めはありませんが、何らかの事由によって監督官庁から行政処分などを受けた場合、当社の事業展開に悪影響を及ぼす可能性や、事業が行えなくなる可能性があります。
② 個人情報保護法
当社は多数の会員の個人情報を保有しており、個人情報の取扱いに関しては個人情報保護に関する法律の規制を受けております。当社では同法に則った個人情報保護方針に基づいて、適切な個人情報保護運営に努めておりますが、万一、当社の持つ個人情報が外部に流出した場合には、その事後処理に相当の費用を要したり、損害賠償請求を受けたり、信用が毀損される可能性があります。
③ 不正アクセス行為の禁止等に関する法律など
近年、国内において、インターネット上の各種不正・迷惑行為を取り締まる法律が整備されつつあります。不正アクセス行為の禁止等に関する法律、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律、特定商取引に関する法律、不正競争防止法、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律、著作権侵害に伴う発信者情報開示請求に関する「著作権法」など、インターネット関連サービスを直接規制するものではありませんが、その対応のため当社グループの費用負担が著しく増加する可能性があります。また、これらの法規制に対する当社の対応が不適切であった場合には、当社の信用が毀損され、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 情報流通プラットフォーム対処法
特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(情報流通プラットフォーム対処法)は、特定電気通信による情報の流通によってプライバシーや著作権などの権利侵害があったときに、プロバイダなどの特定電気通信役務提供者が負う損害賠償責任の範囲や、発信者情報の開示請求権などを定めた法律です。
この法律に基づき、権利侵害を受けた被害者から起こされる発信者情報開示の任意請求や訴訟、非訟手続きについて、件数が増加する場合は、当社の費用負担が増加し、当社の対応が不適切であった場合は、当社の信用が毀損され、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 特定商取引法など
当社はインターネットのウェブサイト上においても会員の募集、申込受付を行っており、これは「通信販売」として特定商取引法の規制を受けることがあり、販売条件等の表示義務、誇大広告等の禁止等の規制を受けるほか、不当景品類及び不当表示防止法における各種表示義務の規制を受けております。これらの法規制に対する当社の対応が不適切であった場合には、当社の信用が毀損され、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ その他の法規制
今後、インターネット上での紛争解決の責任の一部を電気通信事業者に負わせる法制度が増加する可能性があり、その他にも当社の事業に関わる法規制が新設または強化されることもあり得ます。そのような場合には、当社の事業運営の自由度や迅速性が損なわれたり、予期せぬコスト負担が発生して当社の業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)知的財産権について
当社は、インターネット関連サービスなどの事業展開にあたって、他社の知的財産権を侵害することがないよう十分に注意しておりますが、何らかの事情によって他社の知的財産権を侵害する恐れを完全に否定することはできません。他社の知的財産権を侵害するような事態が発生した場合、該当サービス提供の中止、サービス提供手段等の変更、使用許諾料負担などの対処が必要となり、当社の事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
インターネット接続サービスの状況
2025年3月期のインターネット接続サービスの売上高は前期比896百万円増(8.3%増)の11,739百万円となりました。
ISP「ASAHIネット」
ISP「ASAHIネット」においては、FTTH接続サービスの2025年3月末の契約数は前期末比28千ID増(6.0%増)の498千IDとなりました。FTTH接続サービスにおいてはNTT東西が提供する最大通信速度が概ね10Gbpsの光アクセスサービス「フレッツ 光クロス」の提供エリア拡大にともない契約数は増加しました。加えて、NTT東西と協業して販売する「マンション全戸加入プラン」の契約数も増加しました。マンション入居時にインターネットが備え付けられている契約形態が増加しており、今後も契約数の増加が見込めるマーケットと捉えております。2025年3月末は個人会員の引越しや法人会員のインターネット拠点の追加等により契約数が増加しました。
モバイル接続サービスの2025年3月末の契約数は、前期末比1千ID減(1.8%減)の47千IDとなりました。モバイル接続サービスはSIMカード型で従量制のLTEと、モバイルWi-Fiルータ型で定額制のWiMAXの2つの接続サービスを提供しております。LTE接続サービスは、固定IPアドレスオプションと組み合わせることで遠隔に設置している機器にインターネット経由でアクセスするIoT/M2Mの需要が継続的にあります。
ADSL接続サービスの2025年3月末の契約数は前期末比0千ID減(13.4%減)の2千IDとなりました。NTT東西のフレッツADSLの提供エリアが縮小したことにより契約数が減少しております。
以上の結果、2025年3月期の「ASAHIネット」の売上高は前期比714百万円増(8.1%増)の9,578百万円となりました。
第三者機関の調査により、利用者満足度の高いインターネット通信サービスを選出する「RBB TODAY ブロードバンドアワード2024法人版」において、当社の「AsahiNet 光」は、NTT東西のフレッツ回線とプロバイダを組み合わせた光コラボレーションモデルとしては唯一、複数部門で最優秀賞を受賞しました。具体的には、大企業部門の「サポートの部」、「継続意向の部」、小規模事業者部門(個人事業主含む)の「総合満足度」、「通信速度の部」、「継続意向の部」において受賞いたしました。また、2024年には、上記以外にも「RBB TODAY ブロードバンドアワード2024」の「プロバイダ部門」および「キャリア部門(エリア別総合)」の関東エリアにおいて総合1位を獲得したほか、「RBB TODAY 光コラボアワード 2024」の「カスタマーサポートの部」においても最優秀賞を受賞しております。当社は、PPPoE、IPoE両方の設備を自社で運営するインターネット・サービス・プロバイダとして、お客様にとって最適な通信方法を適切な価格で提供できるという強みを活かし、品質維持に不可欠な設備投資を積極的に進めてまいりました。これらの取り組みが、このような高い顧客評価に繋がったものと考えております。
VNE「v6 コネクト」
VNE「v6 コネクト」の2025年3月末の提携事業者数は10社となりました。前年同期末比1社の減少となります。2025年3月期の「v6 コネクト」の売上高は前期比182百万円増(9.2%増)の2,161百万円となりました。「v6 コネクト」はVNO事業者(電気通信事業者)に対してNTT東西が提供するフレッツ光を使ったIPoE方式によるIPv6インターネット接続を卸提供するサービスです。当社は、主として基本料およびVNO事業者が利用したトラフィックに応じた従量課金額を売上として計上します。売上高の増収要因は主に2点から構成されます。1点目は提携事業者が取り扱うフレッツ光の回線数増加です。2点目は1回線あたりのトラフィック増加です。2025年3月期の売上高には1回線あたりのトラフィック増加が大きく影響しております。
インターネット関連サービスの状況
2025年3月期のインターネット関連サービスの売上高は前期比35百万円減(2.6%減)の1,338百万円となりました。
教育支援サービス「manaba」
教育支援サービス「manaba(マナバ)」の2025年3月末の契約ID数は前年同期末比22千ID減(2.8%減)の768千IDとなりました。全学導入校数は前年同期末比5校減(5.4%減)の88大学となりました。2025年3月期の「manaba」の売上高は前期比22百万円減(3.8%減)の577百万円となりました。
大学を取り巻く環境は、文部科学省が進める教育のDX化が後押しされたことにより、LMSやポートフォリオは新たな価値を求められております。教育支援サービス「manaba」は教育の質保証や大学IRを実現するために必要なサービスの提供が必要と考えており、2025年3月期から2年間の開発計画を策定し、下記3点を重点取り組みとして活動しております。1点目は変わりつつある学修環境に対応するための各種システムとの連携強化です。教育業界の標準規格であるLTI(Learning Tools Interoperability)に対応し、2024年7月に1EdTech Consortium Inc.より、国際標準規格「LTI1.3」に関する認証を取得しました。LTI Advantage(LTI1.3の機能を拡張するパッケージ群の総称)についてもサービス開発を進めております。2点目は学修行動を分析するためのログの抽出です。「manaba」に蓄積された様々な学修ログデータを大学IR(Institutional Research)に利活用できるよう、データ抽出の準備をしています。3点目は学生の能動的な学修を促すための機能提供です。アクティブラーニングと呼ばれる学生の能動的な活動を推し進めるための機能開発に取り組みます。これらの取り組みを実施することで利用大学の拡大ならびに退会抑止を実施しました。
その他
「その他」はメールサービスやセキュリティサービス、その他関連サービスの売上高となります。2025年3月期の「その他」の売上高は前期比12百万円減(1.6%減)の761百万円となりました。
収益の状況
売上高、営業利益は、業績予想に対し計画通りに進捗し、2025年2月に上方修正した業績予想の売上高12,900百万円に対する達成率は101.4%、営業利益2,300百万円に対する達成率は102.0%となりました。VNE「v6 コネクト」は、提携事業者との取り扱い通信量が増加したことにより増収となりました。ISP「ASAHIネット」は、NTTチャネルやWebチャネルで会員獲得を強化したことによりFTTH接続サービス数の契約数が増加し増収となりました。また、「固定IPアドレスオプション」を2024年2月にリニューアルしたことも増収に寄与しました。教育支援サービス「manaba」は、全学導入校数の減少により減収となりました。
売上原価は、今後も増加するトラフィックを効率的に処理するために、複数年度の期間をかけてネットワーク設備を更改してきたことにより通信費の増加が抑制されました。一方、基幹システム更改の一部リリースに伴う減価償却費及び基幹システム更改の維持開発等に関する業務委託費が増加しております。
販売費及び一般管理費は、ISP「ASAHIネット」のインターネット接続契約数の増加に向けて、営業活動量の拡大を目的とした業務委託費、新規会員数に連動する施策やイベント出展、代理店手数料等に投下したことにより増加しました。
以上の結果、2025年3月期の売上高は13,078百万円(前期比861百万円増、7.1%増)、営業利益は2,345百万円(同380百万円増、19.3%増)、経常利益は2,364百万円(同378百万円増、19.1%増)、当期純利益は1,752百万円(同463百万円増、35.9%増)となりました。なお、2025年3月期は特別利益として投資有価証券売却益137百万円、また、特別損失として固定資産除却損5百万円を計上しております。
財政の状況
財政状態といたしましては、ソフトウェアの増加などにより、当事業年度末の総資産は14,787百万円(前期末比3.6%増)となりました。
負債は、買掛金の減少などにより1,696百万円(同4.3%減)となりました。
純資産は、利益剰余金の増加などにより13,091百万円(同4.7%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)前期末より652百万円増加し、4,161百万円となりました。
なお、当期における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は2,462百万円(前年同期は2,468百万円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益が2,497百万円、減価償却費が974百万円あったことに対し、法人税等の支払額が567百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は563百万円(前年同期は1,770百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が256百万円、無形固定資産の取得による支出が1,435百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は1,247百万円(前年同期は836百万円の使用)となりました。これは、自己株式の取得による支出が606百万円、配当金の支払額が640百万円あったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績を製品及びサービスごとに示すと、次のとおりであります。
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製品及びサービスの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
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ISP事業 |
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インターネット接続サービス |
11,739 |
8.3 |
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インターネット関連サービス |
1,338 |
△2.6 |
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合計 |
13,078 |
7.1 |
(注)インターネット接続サービスには、新規会員獲得に関わる提携電気通信事業者からの報奨金を含んでおります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の記載のうち将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 当事業年度の財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
a.財政状態の分析
当期末の流動資産合計は8,924百万円(前年同期末比329百万円減)となりました。また、固定資産合計は5,863百万円(同838百万円増)となりました。
以上の結果、当期末の資産合計は14,787百万円(同508百万円増)となりました。
(負債)
当期末の流動負債合計は1,696百万円(同76百万円減)となりました。
以上の結果、当期末の負債合計は1,696百万円(同76百万円減)となりました。
(純資産)
当期末の純資産合計は13,091百万円(同585百万円増)となりました。
以上の結果、自己資本比率は88.5%となりました。
b.経営成績の分析
当事業年度の売上高は、13,078百万円(前年同期比861百万円増)となりました。ISP「ASAHIネット」は「AsahiNet 光」、「ASAHIネット マンション全戸加入プラン」などのFTTH接続サービスやLTEやWiMAXなどのモバイル接続サービスの拡販、VNE「v6 コネクト」は取り扱い通信量の増加、が主な増収要因となります。
営業利益は2,345百万円(同380百万円増)となりました。売上原価は、将来的なトラフィック増加を見据え、複数年度にわたりネットワーク設備の更改を進めた結果、通信費の増加が抑制されました。また、基幹システム更改の一部リリースにより、減価償却費および基幹システム更改の維持開発等に関する業務委託費が増加いたしました。
以上の結果、当期純利益は1,752百万円(同463百万円増)となりました。なお、2025年3月期は特別利益として投資有価証券売却益137百万円、また、特別損失として固定資産除却損5百万円を計上しております。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
② 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、無借金による財務体質を維持しており、高い自己資本により事業運営を行っております。事業活動にかかる運営資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源とし、設備投資及び配当原資としております。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は自己資本当期純利益率(ROE)を全社の目標経営指標として設定し、投資家が期待する利回りである株主資本コスト(5%~6%)を上回るROE10%以上の達成を目標としております。さらに1株当たり純利益の継続的な成長により、株主還元の充実を図る事を重要な経営方針としております。
過去5年間のROE、PBR及び1株当たり純利益の推移は以下のとおりです。
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2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
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ROE |
12.6% |
11.3% |
11.1% |
10.5% |
13.7% |
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PBR |
2.07 |
1.46 |
1.38 |
1.43 |
1.39 |
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1株当たり純利益 |
46.67円 |
44.92円 |
45.92円 |
46.46円 |
64.99円 |
2025年3月期は特別利益として投資有価証券売却益137百万円を計上しているため、ROE及び1株当たり純利益が増加しております。
ISP「ASAHIネット」につきましては、FTTH接続サービス並びに、モバイル接続サービスの契約数、平均退会率、第三者による顧客満足度調査などを重要な指標としております。
過去5年間の推移は以下のとおりです。 (単位:千ID)
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2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
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FTTH(光接続)サービス契約数 |
424 |
448 |
455 |
470 |
498 |
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モバイル接続サービス契約数 |
46 |
47 |
47 |
48 |
47 |
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平均退会率 |
0.79% |
0.71% |
0.75% |
0.66% |
0.66% |
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第三者による顧客満足度調査 |
RBB TODAY ISP部門 総合第1位 |
RBB TODAY ISP部門 総合第1位等 |
RBB TODAY ISP部門 総合第1位等 |
RBB TODAY ISP部門 総合第1位等 |
RBB TODAY ISP部門 総合第1位等 |
「ASAHIネット」契約数は順調に増加しております。トラフィックの増加によりFTTHの需要が増加する中で、接続料金、通信の安定性、通信速度等により当社接続サービスの契約数が増加しております。IoTの進展や働き方改革による法人契約の需要が増加していることに加え、マンション全体での一括契約を前提とした「ASAHIネット マンション全戸加入プラン」も引き続き契約数が増加する要因にあげられます。
平均退会率については、安定して低減傾向にあり、2025年3月期は0.66%という結果となりました。
第三者による顧客満足度調査では、2025年1月に発表されたブロードバンド時代のベストプロバイダを選ぶ「RBB TODAY ブロードバンドアワード」において「プロバイダ部門 総合満足度第1位」を獲得しました。同受賞は11年連続通算14回目となります。
今後も高品質なサービスを提供していくことで、会員数の増大を図り企業価値を高めてまいります。
インターネット関連サービスにおいては、教育支援サービス「manaba」の契約ID数、全学導入校数を重要な指標としております。
過去5年間の推移は以下のとおりです。 (単位:千ID)
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2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
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「manaba」契約ID数 |
793 |
825 |
818 |
790 |
768 |
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全学導入校数(※) |
98校 (110校) |
101校 - |
100校 - |
93校 - |
88校 - |
(※)2021年3月末から全学導入校の集計対象を大学・短期大学のみとしました。
2021年3月期は新型コロナウイルス感染症に対処することを目的として大学がオンライン授業の対応を行ったため「manaba」契約ID数及び全学導入校数が増加しております。2025年3月期は一部大学の解約が発生したことと新規で契約する全学導入校数が少なかったことにより減少しております。
④ 重要な会計方針の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたりまして、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社の経営上の重要な契約は次のとおりであります。
(1)主な提携電気通信事業者との契約
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相手方の名称 |
契約期間等 |
契約内容 |
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KDDI株式会社 |
2006年12月13日から 2007年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
FTTHサービスの提供に関する契約 |
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UQコミュニケーションズ株式会社 |
2011年9月30日から 期限なし |
UQ卸通信サービス利用規約 |
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東日本電信電話株式会社 西日本電信電話株式会社 |
2016年7月1日から 2017年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
NTT取扱商品の注文取次業務に関する契約 |
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エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 |
2015年12月17日から 2016年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
モバイルアクセスサービス契約約款に基づく契約 |
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東日本電信電話株式会社 |
2015年2月5日から 期限なし |
光コラボレーションモデルに関する契約 |
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西日本電信電話株式会社 |
2015年1月30日から 期限なし |
光コラボレーションモデルに関する契約 |
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エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 |
2014年4月1日から 2017年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
イーサネット通信サービス役務提供に関する特約書 |
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東日本電信電話株式会社 西日本電信電話株式会社 |
1999年11月1日から 期限なし |
接続約款に基づく相互接続協定 |
(2)資本業務提携契約
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相手方の名称 |
契約期間等 |
契約内容 |
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株式会社朝日新聞社 |
2013年12月25日から 期限なし |
相互の企業価値向上を目的とした資本業務提携 |
該当事項はありません。