文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
動画配信サービスや静止衛星の技術革新、低軌道衛星による新たなビジネスの台頭など、当社グループを取り巻く競争環境が大きく変わりつつある中、この変化をチャンスととらえ、加速するデジタル社会の進展とあらゆる空間におけるビジネスフィールドの拡張を見据え、当社グループの果たすべき役割を再定義した新たなグループミッションを定めました。
Space for your Smile
不安が「安心」にかわる社会へ
不便が「快適」にかわる生活へ
好きが「大好き」にかわる人生へ
Space for your Smileには、私たちの目指す世界が描かれています。宇宙も、空も、海も、陸も、家族が集うリビングも、ひとりの自由な場所も、これらすべてのSpaceが笑顔で満たされるように。日常のちょっとした幸せから、まだ見ぬ未来の幸せまで、ひとりひとりの明日がよりよい日になっていく、そんな世界を創りつづけます。
このミッションを実現し、企業価値の増大を図ってまいります。
メディア事業においては、既存の有料放送市場が成熟し、定額制または無料のインターネット動画配信サービスとの顧客獲得競争やスポーツを中心としたコンテンツの獲得競争が激化しているなか、4K・8K伝送における優位性を活かした光ファイバーでの番組配信事業の拡大などで4K・8Kに対応した事業基盤を構築してまいります。また、プラットフォーム事業のコスト構造の見直しや、コンテンツ事業の収益性改善を目指すとともに、当社顧客基盤を活用した生活提案型サービスを提供するLIFE事業など新規事業による新たな収益の獲得を図ります。
宇宙事業においては、ハイスループット衛星(以下「HTS」:従来よりも伝送容量を大幅に拡張した衛星)等の新型衛星を投入することで、航空機・船舶・携帯電話基地局向けバックホールなどの需要拡大に対応し、基礎収益力を高めてまいります。また、宇宙基本計画に対応した宇宙事業の拡大や、静止衛星以外の新規通信インフラ事業及びビジネスインテリジェンス事業を立ち上げるなど、新たなサービスや事業展開により中長期的な成長を目指します。
2019年度の連結業績目標は以下のとおりです。
営業収益 1,435億円
営業利益 150億円
経常利益 155億円
親会社株主に帰属する当期純利益 100億円
EBITDA 420億円
国内では少子高齢化による人口減少を受け国内市場が徐々に縮小する一方で、有力な産業政策として訪日観光客の大幅な増加が想定されるなど、国内における市場環境が大きく変化するものとみております。
またこの期間においては2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、通信環境が大きく拡充するとともに、放送及び非放送エリアでも4K・8K利活用が期待されており、衛星放送関連では110度BS/CS左旋のインフラ拡大も実現するものと考えております。更に「宇宙基本計画」や「宇宙活動法」、「衛星リモートセンシング法」等の計画や制度の整備による宇宙産業拡大も期待されます。
当社を取り巻く環境変化のなかで、スマートフォンを核とした巨大ネット系企業による侵食と、IoTの進展、AIなどの技術の進化により、通信・放送・宇宙分野を含む様々な領域で新たなプレーヤー、新たなサービスが誕生し、既存事業領域での競争がより激化すると考えております。
メディア事業及び宇宙事業において、衛星を軸とした国内の既存市場が成熟期を迎えていることを認識し、当社グループの各事業について、収支構造の改善及び事業領域の拡大を図ってまいります。その実現のためにM&Aや事業提携に積極的に取り組んでまいります。
また、当社グループは、放送と通信という公共性の高い事業、かつ消費者向けサービスを展開する企業グループとして、事業及び消費者保護関連の各種法令・ガイドライン等の法令遵守の徹底を図り、一層信頼される企業グループを目指してまいります。
既存の有料放送市場が成熟し、資金力の豊富な国内外のインターネット動画配信サービスが次々と台頭し、コンテンツ獲得及び顧客獲得の両面で競争が激化している中、従来の延長線上にある各種施策だけでは加入者数の減少を免れない状況にあります。このような競争環境下において、有料多チャンネル放送の運営を中心としたプラットフォーム事業のコスト構造の見直しを進めるとともに、コンテンツ事業の収益性においても「選択と集中」を行い、収益確保を図ってまいります。
有料、無料を問わず数多くの放送サービス・動画配信サービスがある中で、当社グループのサービスを選択していただくためには、魅力的かつ差別化されたコンテンツがあることに加え、優れた顧客体験価値(カスタマーエクスペリエンス)を提供できるサービスであることが重要となってまいります。
2018年10月1日よりテレビ1台分の料金で3台まで追加料金なしで50チャンネルが見放題となる「スカパー!基本プラン」を発売し、加入件数の増加に寄与しております。家庭内の複数の部屋で視聴できる環境を増やし、視聴人数・視聴時間の増加及び満足度の向上を図り、解約抑止と加入者数の増加につなげるべく、快適で便利な視聴環境の提供を引き続き検討、実行してまいります。
「スカパー!オンデマンド」では2019年プロ野球公式戦全12球団の配信を実現し、プロ野球セットアプリも提供する等、プロ野球ファンの皆様にご満足いただけるよう、サービスの拡充に取り組んでおります。
ご家庭内のインターネットブロードバンドサービスの中心となっている光ファイバー上においても、地上波やBS・110度CSの同時再放送サービスを提供しており、その世帯数は2019年3月末日において223万世帯に達するまで成長してまいりました。BSの右旋円偏波における4K放送の同時再放送を2018年12月1日の開局当初より提供を開始しておりますが、2019年秋までにはBS・110度CSの左旋円偏波にて提供しているすべての4K及び8Kチャンネルの再放送も提供する予定です。
以上の展開を着実に推進することにより、サービスの拡充及び差別化による加入基盤の維持・拡大を図ってまいります。
既存事業による収益に加え、新たな収益源を育てることも課題と認識しております。
海外での放送及び配信事業に取り組むと共に、自主運営チャンネル内の広告営業、既存のお客様に対する電子雑誌や福利厚生サービスといった「スカパー!」の顧客基盤を生かし、増大する未来の生活時間に向けて、より豊かな時間をお客様に提供する「LIFE事業」を推進してまいります。
2018年4月にSuperbird-B2(軌道位置:東経162度)の後継衛星であるSuperbird-8(軌道上名称:Superbird-B3)の打ち上げに成功し、7月より運用を開始しております。この衛星はKuバンドとKaバンドの高性能トランスポンダを搭載し、主に国内のお客様向けに衛星通信サービスを提供いたします。今後も衛星運用の安定性及び信頼性を確保するために、予備衛星の配置や後継衛星の適切な調達に取り組んでまいります。
持続的な成長のためには、衛星サービスの優位な領域における新規顧客の開拓が必要不可欠と考えております。以下に示す各分野での取り組みを強化することで、既存事業の強化を図ってまいります。
ⅰ)国内衛星ビジネス
移動体通信の既存顧客による長期利用を目的として、JCSAT-17の打ち上げを2019年度下期に予定しております。
ⅱ)宇宙・防衛ビジネス
防衛省より受注したXバンド事業衛星1号機につきましては、2018年4月の打ち上げに成功し、その後も安定的な運用を継続しております。内閣府により2018年12月に策定された「宇宙基本計画工程表(2018年度改訂)」などに基づき、宇宙利用サービスへの参入や、防衛分野を含む、政府主導のプロジェクトへの参画によるビジネスの拡大を目指してまいります。
ⅲ)グローバル・モバイルビジネス
経済環境変化の影響はあるものの、アジア・オセアニア地域や、北米及びロシア地域での営業展開を引き続き進めてまいります。これらの地域における厳しい価格競争に勝ち抜くため、2018年9月にIntelsat社との共同調達HTSであるHorizons 3eの打ち上げに成功いたしました。本衛星は当社グループにおいて初めて導入するHTSであり、アジア・太平洋地域で高まる航空機・船舶等のモバイル需要に対応いたします。また、2019年度下期にはさらにもう1機のHTS(JCSAT-18)を打ち上げ、ビジネスの拡大及び競争力を強化してまいります。
新たな技術の活用や事業領域の拡大に向けて、通信事業の領域を広げ、成層圏通信プラットフォーム事業の検討や衛星通信を利用する小型無人機の運航管理システムの開発、センシング事業等にも進出し、さらに、衛星等のインフラから得られるビッグデータ等をAIの活用等により解析し、高度な情報を提供するスペースインテリジェンスビジネス等も開発してまいります。
当社グループが将来の事業運営や財政状態に影響を及ぼす可能性があると認識している事項は、以下のとおりです。なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
・事業に係わる法的規制について
当社グループの事業は、国内における衛星放送、並びに国内外における通信衛星の打ち上げ、運行及び商業利用に対して適用される現行の制度を変更するような法令等が新たに制定されることにより悪影響を被る可能性があります。当社グループは適用法令等に基づき事業を行っておりますが、現行の法令等が将来においても引き続き適用されるという保証はなく、またこれらに対して当社グループが悪影響を被るか、又は既存の事業の一定分野の停止を要求するような変更がなされないという保証もありません。
・顧客管理システム及び個人情報の保護に関するリスク
当社グループは、当社グループが提供するサービスへの加入者情報をはじめとした顧客情報を専用システムにて管理しており、個人情報の保護については細心の注意を払っております。しかしながら、ハードウェア、ソフトウェアの不具合及び人為的ミスによるシステム障害や第三者による不正アクセス等により当社グループや取引先から顧客情報が流出した場合には、社会的信用の低下や不測のコスト負担等、当社グループの経営成績等が悪影響を受ける可能性があります。
・大規模災害による重大設備障害に関するリスク
当社グループは、通信衛星による有料多チャンネル放送を行う放送設備として、スカパー東京メディアセンターにプレイアウト設備、プラットフォーム設備及びアップリンク設備を有しています。今後、予期せぬ大規模災害等により、社屋やアップリンク設備の倒壊、これらに準ずる状態が発生した場合、当社グループは当該放送設備に関するフルバックアップ設備を有していないことから、当社グループの経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
さらに当社グループは、通信衛星の衛星管制業務を行う設備並びに衛星通信サービスのハブ設備を、横浜衛星管制センター、スーパーバード茨城ネットワーク管制センター、スーパーバード山口ネットワーク管制センターの三つの拠点に保有しています。衛星管制については、このうち一拠点が休止しても業務に重大な支障を生じない設計になっておりますが、衛星通信サービスの一部については必ずしも他の拠点で完全に代替できないものがあることから、被災の状況によっては、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
・サイバーセキュリティーに関するリスク
当社グループは、放送サービスの顧客情報や衛星通信サービスにかかる機密情報を有しており、サイバー攻撃を受けた場合、それらの情報が流出するのみならず、放送サービス及び衛星通信サービスの運用に障害がもたらされる可能性があります。
・通信衛星の機能不全や運用能力低下に関するリスク
当社グループが保有する通信衛星は15年から20年程度と比較的長期にわたって使用されますが、軌道上で運行する通信衛星の修理を行うことが不可能であることから、製造上の瑕疵、欠陥部品、太陽活動に伴う磁気嵐、隕石等との衝突、過度の燃料消費、衛星管制上又は運行上の不具合その他の要因による機能不全又は運用能力低下の可能性があり、利用予定期間にわたる通信衛星の安全運用確保について施せる対応策は限られています。このような事態が生じた場合、当社グループの経営成績等に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは現在、緊急時専用に東経110度上に予備の通信衛星1機、その他の軌道上にも予備の通信衛星2機を保有しておりますが、本予備衛星は問題の発生した通信衛星の能力を完全に代替することはできない場合があります。不具合が生じた場合、対象衛星の軌道位置に予備衛星を再配置するためには1週間以上の期間を要する場合があります。また、再配置による燃料消費に伴い、当該予備衛星の耐用年数が短縮します。さらに、通常当該予備衛星1機が稼動している場合、他の通信衛星の機能を代替することはできないため、問題の生じた通信衛星の代替使用が開始されてから後継衛星が打ち上げられるまでの期間は、他通信衛星の更なる緊急事態への対応の為のバックアップ通信衛星を有しないことになります。
・通信衛星調達に関するリスク
当社グループは、継続的に衛星通信サービスを維持・拡大するため、効率的に通信衛星を調達し打ち上げる必要があります。
通信衛星は、その製造及び打ち上げに際して多大なリスクを負っております。かかるリスクとは、製造遅延、打ち上げの失敗、商業上適切な運営を妨害する破壊、損傷や干渉、不正確な軌道配置等であります。
製造業者への発注から通信衛星の打ち上げ、運用開始までに必要な期間は約2~3年ですが、当社グループは通信衛星の耐久年限であると予測する時期を考慮し、後継衛星の製造を発注しております。衛星通信事業者の中には、打ち上げの失敗その他の遅延に備えてさらに早い時期に通信衛星の発注を行う事業者もありますが、当社グループは予備衛星を保有しているため、通常このような予防策を講じておりません。従って、何らかの事由により通信衛星の運用開始に遅延が生じ、加えて係る通信衛星を予備衛星が全面的にバックアップできない場合、当社グループは利益の喪失及び毀損若しくは潜在的な利用者の流出による競争上又は戦略上の優位性の喪失という形で、その事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、通信衛星の製造及び打ち上げを他の事業者に委託しております。通信衛星の製造事業者及び打ち上げ受注会社の数は世界的にも限定されているため、将来の必要時点までに通信衛星を製造させるように発注できず、あるいは予定している時点において通信衛星を打ち上げることができない場合があります。また、予定されている通信衛星の製造又は打ち上げが、製造業者又は打ち上げ受注会社の技術上その他の問題によって遅延した場合、かかる通信衛星の製造又は打ち上げを他の製造業者又は打ち上げ受注会社に委託することは、技術的な制約や、日程的・経済的に大きなインパクトが生ずることから、困難であります。
通常、当社グループの通信衛星調達においては、金額の上限はあるものの、製造業者より、納期遅延に関する損害賠償を部分的に受けられる条件、また可能な範囲で設計、資材、技量等の瑕疵に係る保証を受けられるような条件で、契約を締結しております。一方、当社グループが打ち上げ業務を委託する打ち上げ受注会社との契約の大半は、打ち上げ受注会社が自らの責めに帰すべき原因による打ち上げ遅延の責任を負わない契約となっております。
当社グループは、通信衛星の製造期間中に設計上その他の要因によって生じた予定外の支出を負担することがあります。
・通信衛星への保険付保に関するリスク
当社グループは、通信衛星について打ち上げ時及び軌道上における運行時の2種類の保険契約を締結しております。
打ち上げ危険担保保険は、軌道上における初期段階の補償をも含んでおり、打ち上げ時点から、通常1年間有効となっております。この打ち上げ危険担保保険は、通信衛星の全部又は一部が損傷を受けた際に、通信衛星の再調達、その他修復に必要な費用を填補するものでありますが、損傷の度合いや原因その他の要因によっては、当社グループが代替衛星を再度発注し、打ち上げに要する費用の全額を補償できないことがあります。
打ち上げ受注会社の契約によっては、通信衛星が打ち上げロケットの不具合によって損壊したり、あるいは機能が低減した場合、打ち上げ受注会社が損失の程度に比例して費用の一部を返還するか、あるいは、通信衛星が全面的に損壊した場合には、無償で代替衛星の打ち上げを行う義務を負う場合があります。但し逸失利益その他の付随的な損失を打ち上げ危険担保保険の保険金及び打ち上げ受注会社の提供する当該保証で賄うことはできないため、当社グループは損失を全面的に填補されるわけではありません。なお、当社グループの保険調達先である宇宙保険市場環境の変動性が大きいことから、今後打ち上げられる通信衛星についても、当社グループの希望どおりの条件の打ち上げ保険を付保できるとは限りません。
また、当社グループは、打ち上げた通信衛星のそれぞれについて軌道上危険担保保険契約を締結しておりま す。この保険は、打ち上げ保険が期間満了となった後に効力を生じます。かかる軌道上危険担保保険は、通信衛星の再調達費用ではなく帳簿価格を基準とした付保となります。さらにこの保険は、通信衛星の技術上の機能不全に起因して当社グループが負う第三者賠償責任や営業上の障害(特に、マーケット・シェアの低下、収益の喪失及び偶発的派生的損害を含む。)については填補しません。軌道上保険は通常1年毎に更新されますが、上述した宇宙保険市場の変動性に伴い、各更新時点で当社グループが希望するとおりの条件で更新・締結できるとは限りません。
当社グループの保険証券は、以下に起因する損失を填補いたしません。
・戦争、暴動、テロ等の行為
・通信衛星を標的とする核兵器、レーザー兵器又は指向性エネルギー光線
・政府による押収等の行為
・宇宙環境で自然発生するもの以外の、核反応や放射線汚染等
・無線周波数の妨害(但し物理的な損害を除く。)
・被保険者又はその下請業者の故意又は計画的不履行
・収入の喪失
・第三者に対する賠償責任
・加入者獲得・維持に関するリスク
加入者の獲得及びその維持は、当社グループの収益拡大にとって重要な要素です。2019年3月末において加入件数は3,248千件に達していますが、将来にわたって当社グループの計画どおりに加入件数が伸びる保証はありません。今後、コンテンツやプロモーションの強化、キャンペーンや代理店インセンティブの投入などの各種マーケティング施策にも関わらず、同様のコンテンツを提供するインターネット経由での動画配信サービス等、競合サービスの普及等により加入件数が増加しない等の事態になった場合、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、有力コンテンツの放映権を継続獲得できなかったこと等により既存加入者の解約が想定以上に多く発生する場合、累計の加入件数の減少につながるため、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・放送事業者に関するリスク
当社グループのサービスにおいて、多数の放送事業者が放送サービスを提供しています。その中には財政状況の厳しい放送事業者も存在し、財政難等の原因による放送サービスの停止若しくは番組内容の質の低下、又は放送事業者の統廃合によるチャンネル数の減少があった場合、当社グループの経営成績等は悪影響を受ける可能性があります。
また、視聴料金の決定権は放送事業者が持っており、値下げによる加入者増の効果がない場合や、値上げにより加入者が減少した場合、当社グループの手数料収入が低下し経営成績等が悪化する可能性があります。
なお、放送事業者との間に締結する運用業務委託契約の有効期間は1年、3年又は5年となっており、契約条件の交渉不成立又は契約条件の悪化等によって、当社グループの経営成績等が悪影響を受ける可能性があります。
・システムに関するリスク
当社グループでは、スカパー!サービスにおける新規加入申込、契約チャンネルの変更、解約処理、請求、課金、など各種お客様情報・契約情報について大規模なシステムを使用して運用管理しております。
これらのシステムの管理にあたっては、情報のバックアップや適切なサーバの管理等により安定稼動の確保に必要な措置を講じておりますが、重大なシステム障害が発生した場合は、加入手続き等サービスの停止、放送事業者への影響、社会的信用の低下や不測のコスト負担等により、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・ICカードのセキュリティー等に関するリスク
当社グループが提供する有料多チャンネル放送「スカパー!」ではB-CASカード/ACASチップというICカード/チップを利用しております。この内B-CASカードを改ざんして有料放送を不正に視聴できるようにした改ざんB-CASカードの販売者が逮捕されております。
改ざんB-CASカードによる不正視聴は、有料多チャンネル放送全体の健全な普及拡大に多大な悪影響を及ぼすとともに当社グループの経営成績等にも悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが提供する有料多チャンネル放送「スカパー!プレミアム」「スカパー!プレミアム光」はB-CASカードとは異なるICカードを利用しておりますが、同様の不正視聴により、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループはこれらの不正視聴に対し、有料放送事業者各社及びB-CASカードの所有者である㈱ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ等と連携し、損害賠償請求等の法的措置を含むあらゆる手段を講じて厳正に対処いたします。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表及び当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表及び財務諸表の作成にあたりまして、当社経営陣は当連結会計年度の財政状態、経営成績に影響を与える重要な会計方針の採用及び見積りを行っております。この見積りは過去の実績や当連結会計年度末の状況に基づいて行っておりますが、実際の結果と異なる場合があります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の持ち直しの動きや、国内の企業収益、雇用環境の改善を背景として、緩やかに回復しております。
当社グループを取り巻く環境としては、メディア事業の分野では既存の有料放送市場が成熟している一方で、定額制又は無料のインターネット動画配信サービスが台頭してきており、コンテンツ獲得及び顧客獲得の両面で国内外の事業者との競争が激化しております。宇宙事業の分野では船舶・航空機向けの移動体衛星通信や携帯電話基地局向けバックホール回線の需要が拡大する一方で、グローバルマーケットにおいて海外衛星オペレーターとの厳しい価格競争に直面しております。また、ベンチャー投資の増加に伴い、世界レベルで新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、安価なロケットの開発や大規模な低軌道衛星通信システムプロジェクトを推進するなど、ビジネスの環境が大きく変化しようとしております。
このような経済状況の下、当連結会計年度の当社グループの連結経営成績は次のとおりとなりました。
視聴料収入が43億円減少いたしましたが、Xバンド衛星通信中継機能等の整備・運営事業(以下「Xバンド事業」)の衛星1号機引渡による売上230億円の計上により営業収益は増加いたしました。一方、メディア事業利益の減少により、営業利益が減少したことに加え、特別損失に投資有価証券評価損12億円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益が減少いたしました。
当社グループのセグメント区分は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、従来「宇宙・衛星事業」としていたセグメントの名称を「宇宙事業」に変更しております。
当社グループのセグメント別の概況は次のとおりであります。(業績については、セグメント間の内部営業収益等を含めて記載しております。)
・コンテンツの差別化
オリジナル番組投入による競合サービスとの差別化として、連続オリジナルアニメ「グラゼニ」及び連続ドラマ「I"s(アイズ)」を放送いたしました。
スポーツコンテンツでは、ドイツ・ブンデスリーガ、ベルギーリーグ、ポルトガルリーグ及びイタリア・セリエAの放送権・配信権を獲得し、2018年8月より放送を開始するとともに、「欧州サッカーセット」を「スカパー!サッカーセット」に統合いたしました。海外のトップリーグに加え、ルヴァンカップや天皇杯といった国内サッカーや様々なオリジナル番組も多数放送し、サッカーファンの期待に応えております。
また、プロ野球2019シーズンでは、2019年3月よりセ・パ12球団の公式戦全試合の生中継に加え、「スカパー!オンデマンド」で同時配信しております。
・サービスの差別化
2017年12月より2018年3月末まで実施し好評を博した「スカパー!新基本パック複数台無料キャンペーン」を2018年9月末まで延長いたしました。10月には、テレビ1台分の料金で3台まで追加料金なしで50チャンネルが見放題となる「スカパー!基本プラン」を発売いたしました。同商品の契約件数は2019年3月末時点で302,746件となり、新規加入件数の増加に寄与しております。引き続き視聴環境を整備することにより、接触人数・接触時間の増加及び満足度の向上を図り、解約抑止と加入者数の増加を目指してまいります。
また、サービスの高画質化に向けた取り組みとして、「スカパー!」において、標準画質チャンネルのHD(ハイビジョン)化を推進しており、2019年3月末時点で56チャンネルがHDとなっております。
さらに、2018年12月より「新4K8K衛星放送」を開始し、新たに9つの4Kチャンネルを放送しております。なお、「スカパー!」の4Kチャンネル「スカチャン 4K」において、2019年3月より開幕した「F1グランプリ2019」全セッションの完全生中継を行っております。
・新たな収益の獲得及び事業領域の拡大
2018年6月に㈱電通、㈱アカツキ、㈱東北新社と共同で㈱THReee entertainment(以下「THReee entertainment社」)を設立いたしました。THReee entertainment社は、音楽ライブコンテンツの海外向け放送権・配信権の販売、スポーツ・音楽におけるファンコミュニケーションアプリの開発・提供など、エンタテインメント領域においてコンテンツホルダーと共にコンテンツの企画・制作・運用を行うことを目的として設立した新会社であり、当社グループは、今後THReee entertainment社との連携により、新規事業領域への取り組み強化を図ってまいります。
また、2018年8月からは、LINE、Amazon、Googleの各社が展開するスマート・スピーカー向けに、「スカパー!番組検索」及び「スカパー!おすすめ番組」の機能提供を開始いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における加入件数は次のとおりとなりました。
当連結会計年度のメディア事業の経営成績は次のとおりとなりました。
視聴料収入の減少43億円や、それに伴う番組供給料の減少27億円があった一方で、コンテンツ費が19億円減少いたしましたが、減価償却費の増加6億円等により、セグメント利益が減少いたしました。
・宇宙・防衛ビジネス
防衛省より受注したXバンド事業衛星1号機につきましては、2018年4月の打ち上げに成功し、その後も安定的な運用を継続しております。
・グローバル・モバイルビジネス
インド洋や太平洋の船舶向けインターネット接続サービスとして、従来の「OceanBB」よりも高速な通信を実現する次世代サービス「OceanBB plus」の提供を2018年4月より開始いたしました。
また、航空機向けインターネット接続サービス事業者に対する衛星回線の提供については、導入機数の増加や機内利用の拡大により、堅調に推移しております。
2018年9月にIntelsat S.A.(以下「Intelsat社」)との4機目の共同調達衛星であるHorizons 3eの打ち上げに成功いたしました。本衛星は当社グループにおいて初めて導入するハイスループット衛星(以下「HTS」:従来よりも伝送容量を大幅に拡張した衛星)であり、アジア・太平洋地域で高まる航空機・船舶等のモバイル需要に対応いたします。
・低軌道衛星関連事業領域の拡大への取り組み
Planet Labs Inc.(以下「Planet社」)の保有する多数の超小型地球観測衛星群により高頻度で撮影された衛星画像販売サービスに関しては、政府系機関や、民間の農業・災害対策・遠隔監視等の分野で需要が拡大しており、順調に契約を獲得しております。
なお、当期において以下の出資及び業務提携等を行っております。
2018年12月に衛星画像とAI技術の融合による新規分野の共同開拓を目的として、Planet社へ出資いたしました。また、㈱アクセルスペースとの間で、低軌道衛星用地上局サービスを同社の超小型地球観測衛星に向けて提供する契約を締結いたしました。なお、同サービスは、当社グループとKongsberg Satellite Services ASと共同で提供するサービスであります。
2019年1月に関係強化や技術・ノウハウ獲得を目指し、当社グループと販売代理店契約を締結しているOrbital Insight Inc.へ出資いたしました。
2019年3月に㈱パスコとの間で、低軌道周回衛星に関するサービスの効率化・市場拡大を図ると共に、付加価値の高いサービス創出を目指すための業務提携に合意いたしました。
・衛星運用の安定性及び信頼性の確保と効率化
2018年4月にSuperbird-B2(軌道位置:東経162度)の後継衛星であるSuperbird-8(軌道上名称:Superbird-B3)の打ち上げに成功し、7月より運用を開始しております。この衛星はKuバンドとKaバンドの高性能トランスポンダを搭載し、主に国内のお客様向けに衛星通信サービスを提供いたします。
当連結会計年度の宇宙事業の経営成績は次のとおりとなりました。
Xバンド事業衛星1号機引渡による売上230億円を計上いたしました。また、減価償却費が16億円減少いたしましたが、Xバンド事業衛星1号機引渡しによる売上原価の計上等により営業費用が227億円増加いたしました。
なお、営業損益以外の主な損益の状況は、次のとおりであります。
有利子負債の増加により支払利息が前期比6億増加の16億円となった一方で、Horizons-3 Satellite LLCへの貸付金及びXバンド事業債権の増加により受取利息が前期比9億円増加の22億円となったことや、受取利息以外の営業外収益を8億円計上したこと等により、営業外損益は純額で13億円の利益となりました。
特別損失に非上場株式の投資有価証券評価損12億円を計上したこと等により、特別損益は純額で11億円の損失となりました。
税金等調整前当期純利益155億円に対し、法人税等合計60億円(税効果会計適用後の法人税等の負担率は38.9%)を計上致しました。
また、EBITDAは前期比23億円減少の407億円となっております。
(注) EBITDAは、親会社株主に帰属する当期純利益、法人税等合計、支払利息、減価償却費、のれん償却額の合計として算定しております。
生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
当社及び連結子会社は、サービスの提供にあたり、製品の生産を行っていないため、生産実績について記載すべき事項はありません。
当社及び連結子会社は、受注生産を行っておりませんので記載すべき事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注1) セグメント間取引については相殺消去しております。
(注2) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
前連結会計年度における防衛省に対する販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(注3) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度末における資産合計は3,761億円となり、前期比168億円増加いたしました。
流動資産は、仕掛品が125億円減少した一方で、売掛金の増加195億円や、現金及び現金同等物の増加18億円等により、前期比84億円増加いたしました。なお、仕掛品は、JCSAT-17の調達による増加の一方で、Xバンド事業衛星1号機打ち上げに伴う売上原価への振替により減少いたしました。また、売掛金は、Xバンド事業衛星1号機打ち上げに伴う債権計上等により増加いたしました。
有形固定資産及び無形固定資産は、設備投資238億円があった一方で、減価償却費225億円、のれん償却額9億円等により、前期比1億円の減少となりました。
投資その他の資産は、投資有価証券が20億円、長期貸付金が71億円増加したこと等により、前期比85億円増加いたしました。なお、投資有価証券は、持分法適用関連会社であったエキサイト社株式の売却や、投資有価証券評価損の計上があった一方で、持分法適用関連会社Horizons-3 Satellite LLCへの投資を行ったこと等により増加いたしました。また、長期貸付金は、Horizons-3 Satellite LLCへの貸付により増加いたしました。
当連結会計年度末における負債合計は1,521億円となり、前期比124億円増加いたしました。
主な増加はXバンド事業やHorizons 3e事業に関する借入れ等による有利子負債の増加153億円であります。
当連結会計年度末における非支配株主持分を含めた純資産は2,240億円となり、前期比44億円増加いたしました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益等による利益剰余金の増加43億円であります。また、自己資本比率は58.9%となり、前期比1.4ポイント減少いたしました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費、のれん償却額の合計389億円に加え、売上債権の増加195億円、たな卸資産の減少127億円、法人税等の支払70億円等により259億円の収入(前期は225億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出225億円、長期貸付けによる支出71億円、関係会社株式の取得による支出46億円等により、335億円の支出(前期は272億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入491億円、長期借入金の返済による支出343億円、配当金支払による支出53億円等により、94億円の収入(前期は49億円の収入)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期比18億円増加し、481億円となりました。
当社グループの設備投資資金は主に営業キャッシュ・フローにより賄っておりますが、一定の流動性を確保するため、必要に応じて社債発行や借入による資金調達を行っております。
また、取引金融機関とコミットメントライン契約及び当座貸越契約(合計153億円)を締結し、資金の流動性リスクに備えるとともに、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ内資金の活用により、資金効率の向上に努めております。
なお、Xバンド事業やHorizons 3e事業の資金調達は、取引金融機関からの借入によって行いました。当連結会計年度末におけるこれらの借入金残高は、Xバンド事業が619億円、Horizons 3e事業が247億円となっておりますが、Xバンド事業に関する借入金は当該事業に係る防衛省に対する債権の回収により、Horizons 3e事業に関する借入金は当該事業に係る営業キャッシュ・フローにより返済する予定としております。
該当事項はありません。
当社グループでは、メディア事業及び宇宙事業の両事業でそれぞれ研究開発活動を行っております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は