第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 経営理念

動画配信サービス各社の急速な顧客獲得や静止衛星の技術革新、低軌道衛星による新たなビジネスの台頭など、当社グループを取り巻く競争環境が大きく変わりつつある中、この変化をチャンスととらえ、加速するデジタル社会の進展とあらゆる空間におけるビジネスフィールドの拡張を見据え、当社グループの果たすべき役割を定めたグループミッションを掲げています。

Space for your Smile
不安が「安心」にかわる社会へ
不便が「快適」にかわる生活へ
 好きが「大好き」にかわる人生へ

 

Space for your Smileには、私たちの目指す世界が描かれています。宇宙も、空も、海も、陸も、家族が集うリビングも、ひとりの自由な場所も、これらすべてのSpaceが笑顔で満たされるように。日常のちょっとした幸せから、まだ見ぬ未来の幸せまで、ひとりひとりの明日がよりよい日になっていく、そんな世界を創りつづけます。
  このミッションの実現のためにサステナビリティ経営を推進し、社会的課題を解決すると共に企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2) 経営環境

メディア事業の分野では、既存の有料放送市場が成熟している一方で、定額制又は無料のインターネット動画配信サービス市場の拡大により、コンテンツ獲得及び顧客獲得の両面で国内外の事業者との激しい競争が続いております。

宇宙事業の分野では、国内衛星ビジネスにおいて携帯電話基地局向けバックホール回線の需要が拡大しております。グローバル・モバイルビジネスにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響による航空機向け衛星通信需要の一時的な減少があるものの、中期的には船舶・航空機向け移動体衛星通信の需要の拡大を見込んでおります。一方で、グローバルマーケットでは海外衛星オペレーターとの厳しい価格競争が続いております。また、世界レベルで新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、新規技術による安価で高性能なロケットの開発や大規模な低軌道衛星通信システムプロジェクトを推進するなど、ビジネス環境が大きく変化しております。 

 

(3) 経営方針・経営戦略

経営環境の変化が激しい中において、当社グループは経営方針として「スカパーJSATグループプラン2020+」を掲げ、人・事業・企業ブランドの全方位で抜本的改革を推進してまいります。 

メディア事業では、既存事業の収支構造改革を継続するとともに、新たな収益創造に向けて、「スカパーオンデマンド」を発展させた新しい配信事業の立ち上げ、放送・配信を複合したプラットフォーム事業展開を推進してまいります。また、BtoB事業における東京メディアセンターを活用したソリューションの創出等、新たな価値創造に向けた取り組みを行ってまいります。 

宇宙事業では、当社が保有する2機のハイスループット衛星(従来よりも伝送容量を大幅に拡張した衛星。以下「HTS」という。)により、成長が期待されるアジア・オセアニア市場を重点的に開拓するとともに、新たな技術と宇宙を活用した新事業領域の開拓により、スペースインテリジェンス分野等で様々な事業を創出することで、中長期での収益拡大を目指してまいります。 

そして、経営理念とSDGsを連動させ、従業員エンゲージメントを高めると共に、企業ブランドの再創生を図り、中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2021年度の連結業績目標は以下のとおりです。
 営業収益             1,220億円
 営業利益               180億円
 経常利益              188億円
 親会社株主に帰属する当期純利益   130億円
 EBITDA                       430億円

(注)EBITDAは、親会社株主に帰属する当期純利益、法人税等合計、支払利息、減価償却費、のれん償却額の合計として算定しております。

 

(5) 対処すべき課題

メディア事業及び宇宙事業において、衛星を軸とした国内の既存市場が成熟期を迎えていることを認識しておりますが、各事業における既存サービスの顧客維持や成長市場の需要の取り込みのための各種施策のほか、M&Aや事業提携にも積極的に取り組み、収支構造の改善及び事業領域の拡大を図ってまいります。

 

<メディア事業>

①  収益性の改善

ⅰ)事業構造改革

 既存の有料放送市場が成熟し、資金力の豊富な国内外のインターネット動画配信サービスが次々と台頭し、コンテンツ獲得及び顧客獲得の両面で競争が激化している中、従来の延長線上にある各種施策だけでは加入者数の減少を免れない状況にあります。このような競争環境下において、有料多チャンネル放送にかかる事業構造の見直しを進めるとともに、収益確保を図ってまいります。

ⅱ)サービスの拡充と差別化

 以下の展開を着実に推進することにより、サービスの拡充及び差別化を図り、加入基盤を維持するとともに収益の確保に努めてまいります。
 有料、無料を問わず数多くの放送サービス・動画配信サービスがある中で、当社グループのサービスを選択していただくためには、魅力的かつ差別化されたコンテンツがあることに加え、様々なコンテンツジャンル毎にファンの嗜好に合わせた「ファン・マーケティング」を実践し、放送コンテンツに拘らない商品・サービスで新たな顧客体験を継続して提供することが重要となってまいります。コンテンツの大小に関わらず、様々な企画を実施し、お客様にスカパーに触れていただく機会を増やし、長期契約につながるよう取り組んでまいります。
 テレビ1台分の料金で3台まで追加料金なしで50チャンネルが見放題となる「スカパー基本プラン」は、新型コロナウイルス感染症の影響で在宅時間が増えている状況において、家庭内の複数の部屋で視聴人数・視聴時間の増加につながっております。「ファン・マーケティング」によって興味を持たれたお客様にも「スカパー基本プラン」をお勧めすることでスカパーライフをもっとお得に楽しんでいただけるよう、引き続き各種施策を検討・実行してまいります。
 プロ野球においては2021年シーズンも全12球団全試合の公式戦の放送・配信を実現し、プロ野球セットアプリを強化しスマホでもより快適にお楽しみいただけるようお客様にとっての価値向上に努めております。その他のスポーツジャンルにおいても、引き続きファンの皆様の期待に応えられるよう、サービスの拡充に取り組んでまいります。
 ご家庭内のインターネットブロードバンドサービスの中心となっている光回線において提供している地上波デジタル・BSデジタル等の再送信サービスは、提供エリア拡大に伴い順調に契約件数を増やし、2021年3月末時点で244万世帯に達しております。様々な既存のケーブルテレビ事業者との協業も含め、中長期的に提供エリアの更なる拡大と収益の拡大を図ってまいります。

 

②  新たな収益の獲得

 新たな収益源の確立のため、従来の放送サービスに加えて、「スカパーオンデマンド」を発展させた新しい配信事業を立ち上げ、中長期的に放送・配信を複合したプラットフォーム事業展開を推進してまいります。また、並行して、BtoB事業での収益拡大に向け、国内外の配信サービスを展開する事業者を支援する「メディアHUBクラウドサービス」の取り組みを開始しております。これらにより、BtoC・BtoBの両面において相互に連携した事業の確立を目指してまいります。

 

<宇宙事業>

③  既存事業の拡大

 持続的な成長のためには、既存顧客への安定したサービス提供の継続とともに、衛星サービスが優位となる領域における新規顧客の開拓が必要不可欠と考えております。以下に示す各分野での取り組みを強化することで、事業の拡大を図ってまいります。

ⅰ)国内衛星ビジネス

 既存顧客に対する長期契約更新の提案に加え、衛星機器や当社の地上局設備を活用したサービスなどを合わせて提供していくことで、国内衛星通信市場の基盤を強化してまいります。後継衛星についても、ビームや帯域に可変性を持たせたデジタルペイロードを採用するなど、新しい技術を積極的に活用し、お客様の多様なニーズに柔軟に対応できるサービスの提供に努めてまいります。
 また、内閣府により策定された「宇宙基本計画工程表」などに基づく宇宙利用サービス事業への参入や、防衛分野を含む政府主導のプロジェクトへの参画などにより、ビジネスの拡大を目指してまいります。既存の衛星通信分野に限らず、政府系衛星の運用や観測・監視など新たなサービス提供も検討することで、積極的に活動領域を拡げてまいります。

ⅱ)グローバル・モバイルビジネス

 アジア・オセアニア地域や、北米及びロシア地域での営業展開を引き続き進めてまいります。また、これらの地域における厳しい価格競争に勝ち抜くため、2020年1月より当社グループ2機目のHTSとなるJCSAT-1Cの運用を開始し、新規顧客向けのサービス提供を進めており、更なる収益の拡大を実現すべく、同じくHTSであるHorizons 3eとあわせて、船舶・航空機でのインターネット利用や携帯バックホールなどの需要獲得に向けて活動してまいります。また、衛星カバレッジの拡大や、通信容量の増強に向けた海外事業者との連携やM&Aについても検討し、ビジネスの拡大を目指してまいります。

 

④  新たな技術の活用や事業領域拡大への取り組み

 2020年度に提供を開始した「Spatio-i」などを中心に、ビジネスインテリジェンス分野におけるサービスの開発や販売活動を強化してまいります。衛星から得られる画像や位置情報などの様々なデータは、金融、保険、農林水産、物流など、多岐にわたる分野での活用が期待されており、他業種のパートナー企業とも連携しながら新たな市場の開拓に取り組んでまいります。また、他にも光中継衛星や衛星量子鍵配送、スペースデブリ対策、高高度疑似衛星による通信など新たな技術の利活用検討を進めることで、事業領域の拡大に努めてまいります。

 

<その他>

⑤  コーポレート・ガバナンスの強化

  当社グループは、放送と通信という公共性の高い事業、かつ消費者向けサービスを展開する企業グループとして、事業及び消費者保護関連の各種法令・ガイドライン等の法令遵守の徹底を図り、一層信頼される企業グループを目指してまいります。
 当社グループにおいて、前事業年度に不適切な公的資金の受給が判明したことを契機として公的資金の受給案件における調査を継続していたところ、当社の連結子会社である株式会社エンルート及び株式会社衛星ネットワークが、過年度において公的資金である委託研究費等の一部を不適切に受給していたことが当事業年度において新たに判明したため、株式会社エンルート及び株式会社衛星ネットワークは、受給した委託研究費等の一部返還等を行いました。当社グループは、前事業年度以降に判明した一連の公的資金の不適切受給案件を厳粛に受け止め、前事業年度から進めていた「6 業務の適正を確保するための体制及び当該体制の運用状況」の「2.体制の運用状況の概要」の「(6) 企業集団内部統制」に記載の各種再発防止策を当事業年度においても引き続き実施いたしました。今後も引き続き再発防止に向けてグループ一丸となって取り組んでまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

(1) リスクマネジメント体制について

当社は純粋持株会社であり、当社グループ全体のリスクマネジメントの推進と必要な情報の共有化を図るため、中核の事業会社であるスカパーJSAT株式会社(SJC)と共同で当社グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を定めています。その基本方針及び管理体制に基づき、リスクマネジメント担当取締役を委員長とするリスクマネジメント委員会で、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止・リスクの低減に取り組んでいます。

具体的には、年度ごとに部署単位でリスクを洗い出し、洗い出された全てのリスクを「損害規模」「発生頻度」「対策緊急度」といった同一基準で評価し、各リスクへの対策を策定しています。その中で当社グループ経営に大きな影響を与えうるリスクを重大リスクとして定め、重大リスクに対しては当該リスクの所管部署において重点施策を策定し、SJC経営会議及びSJH取締役会等に報告され、定期的に進捗がモニタリングされるシステムを構築しています。

リスクマネジメント委員会の構成は、委員長以下、各部門の統括部署、管理系部署で構成され、事務局は内部統制推進部が担っております。

SJCでは内部統制に係る様々な委員会を設けて、日々活動を行っておりますので、その内容についてもリスクマネジメント委員会で把握し、管理を行っております。

また、実際にリスクが顕在化した場合は、リスクマネジメント委員会を適宜招集する等、迅速に対応を行います。この取り組みを実施することにより適切にグループ全体のリスクをコントロールしております。

 


 

 

  以下に記載のリスクは、当社グループが当連結会計年度において、重大リスクと認識しているリスク項目につき、その対策と併せて記載するものです。ここで取り上げたリスクは当社グループのすべてのリスクを網羅しているわけではありません。また、当社グループが認識していない未知のリスク、あるいは今後重要性が増して当社グループの事業、財政状態、経営成績等に重大な影響を及ぼすリスクが生じる可能性があります。なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(2) 当社グループが認識する重大リスクについて

<メディア事業>

① 有料多チャンネル事業の事業性低下に関するリスク

加入者の獲得及びその維持は、当社グループの収益拡大にとって重要な要素です。2021年3月末において加入件数は3,102千件を有していますが、将来にわたって当社グループの計画どおりに加入件数が推移する保証はありません。また、今後、コンテンツの差別化やプロモーションの強化、キャンペーンなどの各種マーケティング施策の実施にも関わらず、同様のコンテンツを提供するインターネット経由での動画配信サービスの浸透等、競合サービスとの競争激化やユーザーの視聴習慣の変化により加入件数の減少が継続または急激に発生した場合、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼします。

また、競争の激化によって有力コンテンツを獲得できなかったこと等により当社グループのサービスの魅力が低下し、既存加入者の解約が想定以上に多く発生する場合には、累計の加入件数の減少につながり、また、放送権料が高騰することにより有料多チャンネル事業の収益性が低下し、これにより当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクへの対策として、有料多チャンネル事業、特にプレミアムサービスの加入者数が減少する状況においても一定の利益を確保するべく、事業収支をベースとした中期的な事業構造改革の方針を作成し、実行しております。また、放映権料の高騰を受け、加入者の獲得・維持に資するコンテンツの優先順位を明確にしたコンテンツの取得方針を定め、かつ、その費用対効果の事後レビューを実施しています。さらに、有料コンテンツを提供している同業他社との適切な協業や提携を通じて、マーケティング力の強化や事業全体の効率化を進めていきます。一方で、FTTH事業の収益拡大のため提供エリアの拡大やサービスの充実、営業体制の強化を行うほか、東京メディアセンターの設備の有効活用などを実施し、有料多チャンネル事業以外の収益の増加に向けた施策を実行しています。

しかしながら、インターネット経由の動画配信サービスの台頭が一層進んでいることなどから、従前よりリスクレベルが上がっていると認識しており、現在想定している対策を行ってもなお、競争激化による加入者の減少や放映権料の高騰が想定以上当となる場合、更なる収益性悪化のリスクが想定されます。

さらに、新型コロナウイルス感染症拡大によって、当事業年度は野球やサッカーを含め多くのスポーツやコンサート等のイベントが延期又は中止等の影響を受けております。感染症の拡大が長期化することにより、これらを扱うチャンネルの加入者数及び視聴料収入の減少が生じるなど、収益性がさらに悪化するリスクがあります。

 

② 不正視聴に関するリスク

当社グループが提供する有料多チャンネル放送「スカパー」ではB-CASカード/ACASチップというICカード/チップを利用しています。B-CASカードについては、有料放送を不正に視聴できるようにした改ざんB-CASカードの販売者が逮捕されております。また、大手ECサイトでのネット配信専用違法デバイスの販売についても、公衆送信権・送信可能化権侵害を幇助する行為に当たるとして、販売差し止め事案が発生しております。このような改ざんB-CASカードやネット配信専用違法デバイスによる不正視聴は、有料多チャンネル放送全体の健全な普及拡大に多大な悪影響を及ぼすとともに、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが提供する有料多チャンネル放送「スカパープレミアム」「スカパープレミアム光」はB-CASカードとは異なるICカードを利用しておりますが、同様の不正視聴により、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクへの対策として、これまで弊社では4K8K放送開始に伴うACASチップの開発に積極的に参画してまいりました。ACASチップはセキュリティ機能が強化されていることに加え2K放送にも対応しており、ACASチップを搭載した4Kテレビ等でも「スカパーサービス」の視聴がこれまでと同様に可能となっております。今後4Kテレビ等の普及により、B‐CASカードがACASチップに置き換わっていくことで、一定のリスク低減が見込まれます。さらに、当社グループはB-CASカードによる不正視聴が発覚した場合、有料放送事業者各社及びB-CASカードの所有者である株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ等と連携し、損害賠償請求等の法的措置を含むあらゆる手段を講じて厳正に対処する方針であり、刑事・民事での訴訟の提起や広報における違法性の周知などの現在の取組みをより効率的、効果的に実施する方法を検討していくとともに、不正視聴機器の利用による不正視聴者の法的対処が実現出来るよう関係省庁との連携を強化してまいります。ネット配信専用違法デバイスの流通については、これまで大手ECサイトへの販売差し止めの実績を上げている一般社団法人衛星放送協会が中心となり、放送事業者、関連団体等が参画して設立された不正ストリーミングデバイス対策協議会の活動に積極的に協力してまいります。

しかしながら、ACASチップが想定通りに普及しない場合、改ざんB-CASカードによる不正視聴が長期間にわたり継続的に発生するリスクが想定されます。

 

③ 顧客管理システムに関するリスク

当社グループでは、有料多チャンネルサービスに関する新規加入申し込み、契約チャンネルの変更、解約処理、課金、請求など、各種お客様情報・契約情報の管理に大規模な顧客管理システムを使用しており、メディア事業の運営や収益管理において重要な役割を担っています。

このシステムにおいて重大なシステム障害が生じた場合、またはシステム設定や仕様変更に伴うプログラム変更等に不備があった場合、加入手続き等のサービスの停止、放送事業者との各種取引や手続きへの不具合による事業運営への支障、社会的信用の低下や不具合の解消や顧客対応に要する不測のコスト負担等により、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、不適切なデータ入力や改ざんが行われると経営成績の基礎となる営業収益の信頼性が損なわれ、事業運営や経営成績に悪影響が生じます。

上記リスクへの対策として、重大なシステム障害を予防するため、顧客管理システムを免震構造の施設に設置し、各機器・装置は冗長構成を取っております。

また、アプリケーションやデータ等の情報は遠隔地のサーバへ定期的にバックアップしております。また、システム設定等の不備に対しては、設定手順書の整備等により運用管理を徹底する他、プログラム変更時の社内手続きの整備やシステムへのアクセス権限の定期的な棚卸し等の対策を取っております。

しかしながら、上記のような対策を講じても、人為ミスによる障害が発生するリスク及びシステム更改時の要件定義等の不備により予期せぬ障害が発生するリスクが想定されます。

 

<宇宙事業>

④ 衛星通信市場における競争力低下のリスク

昨今の地上回線の発達・低廉化、5G時代の新しい通信ネットワークにより、通信衛星の優位性が低下傾向にある一方、世界的にはトランスポンダ供給量は年々増加傾向にあります。また、他衛星オペレータにおいても複数のHTS衛星の投入が引き続き計画されていることから、帯域単価やサービス単価の下落傾向が続いた場合には、いかに収益を維持するかが課題となっております。

今後は更に超小型衛星や低軌道衛星等を利用した次世代衛星通信の急速な進展の可能性もあり、当社も従来のビジネスモデルのままでは当社グループの宇宙事業における営業収益が減少するリスクがあります。

上記リスクへの対策として、HTS衛星等先進技術を取り入れた衛星の調達・打ち上げを継続して行い、競争激化する市場でも需要の取り込みに注力しております。特に近年はアジア太平洋地域における航空機、船舶向け移動体衛星通信等の需要拡大に対応し、2019年1月にIntelsatとの共同所有衛星Horizons 3eを、2020年1月にはKacific社との区分所有衛星であるJCSAT-1Cの2機のHTS衛星のサービスを開始いたしました。上記のHTS衛星のように他の衛星オペレータとの提携や共同衛星調達等を行うことで、コスト効率を重視した調達・運用の実現も図っています。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、航空機向けブロードバンド等、移動体通信の需要は急激な減少傾向にありましたが、市場動向分析に基づいた営業活動等、対策を講じております。

従来のビジネスモデルに加え、5G時代の新しい通信ネットワーク等につきましても、低軌道衛星導入の検討等、静止軌道衛星以外の事業展開の検討を続けております。

しかしながら、現在想定している対策を講じても、低軌道衛星等を利用した次世代衛星通信サービスを提供する新たな衛星事業者の台頭による市場環境の急速な変化や、感染症の拡大が長期化することにより需要が低下する可能性があります。

 

⑤ 通信衛星調達に関するリスク

通信衛星調達の際には、製造の遅延や打ち上げの遅延または失敗等のリスクがありますが、これらの事由により予定されていた通信衛星の運用開始が遅延し、継続的なサービス提供が不可能な期間が生じた場合、当該期間における収益の低下や利用者流出の可能性があります。

また、通信衛星の製造期間中に設計上その他の要因によって予定外の支出を負担することがあります。

上記リスクへの対策として、調達スケジュールを設定する際には、打ち上げ失敗の場合を想定し予備衛星や既存衛星によるフリートバックアップ対策、もしくは代替衛星の早期納入をより確実にするための代替衛星用の長納期品の先行発注等の対応策を講じております。

支払いに関しては、進捗度に応じたマイルストーン支払いとし、納期遅延時には一定額の賠償金請求ができる権利を確保することでリスク低減を図っています。保険契約については、打ち上げ時及び軌道上における運行時それぞれの保険契約を締結しております。

打ち上げ危険担保保険は、初期段階において通信衛星の全部又は一部が損傷を受けた際に、通信衛星の再調達、その他修復に必要な費用を填補するもので、打ち上げ時点から、通常1年間有効となっております。

しかしながら、現在想定している対策を講じていても、後継衛星の製造・打ち上げが予期せぬ事故により遅延するリスク、衛星の損傷の度合いや原因その他の要因により、打ち上げ危険担保保険では打ち上げに要する費用の全額を補償できないリスク、宇宙保険市場環境の変動による保険料高騰のリスク及び戦争危険等の絶対免責に該当する場合に損害保険の対象にならないリスクが想定されます。

 

⑥ 通信衛星の運用に関するリスク

当社グループが保有する通信衛星は15年から20年程度と比較的長期にわたって使用されますが、運用期間中に製造上の瑕疵、欠陥部品、太陽活動に伴う磁気嵐、デブリや隕石等との衝突、過度の燃料消費、衛星管制上又は運用上の不具合その他の要因による衛星の機能不全又は運用能力低下の可能性があります。このような事態が生じた場合、サービスの提供ができないことによる収益の低下や顧客の流出、あるいは当社所有の別衛星への顧客移行にかかわるコスト負担などで、当社グループの収益の低下等の悪影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクへの対策として、打ち上げ保険が期間満了となった後に効力を生じる軌道上危険担保保険契約を、打ち上げた通信衛星ごとに締結しています。ただし、この保険は通信衛星の技術上の機能不全に起因して当社グループが負う第三者賠償責任や収益の喪失などの営業上の損害を補填するものではありません。

当社グループは現在、軌道上に予備の通信衛星2機を保有しており、運用中の衛星に不具合が生じた場合に可能な限り短期間でバックアップができる体制をとっています。

しかしながら、現在想定している対策を講じていても、不測の事態により、予備衛星による代替機能が提供できないことによる収益低下リスク、通信衛星の機能不全の要因によっては免責条項が適用され軌道上危険担保保険が補償できないリスク、宇宙保険市場環境の変動による保険料高騰のリスク及び戦争危険等の絶対免責に該当する場合に損害保険の対象にならないリスクが想定されます。

 

<全般>

⑦ 事業投資等に関するリスク

当社グループは、事業の拡大のために、他企業のM&Aや出資、他企業との提携及び協力体制構築等の検討を行い、その結果、将来の当社グループの事業戦略や経営成績に貢献すると判断した場合には、これらを実行することがあります。

しかしながら、買収等の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って統合することができない場合や当社グループの期待する相乗効果が得られなかった場合、買収等の対象事業に当社グループの内部統制体制を適用することができなかった場合、当社グループに必ずしも経験や知見の無い技術分野における問題点を含む想定しなかった重大な問題点が買収等の後に発見された場合には、当社グループの財政状況及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、買収等により多額ののれん及び無形資産を計上する可能性があり、対象事業の収益性が低下した場合にはのれん及び無形資産の減損が発生するほか、事業再編等に伴う事業売却損、事業清算損その他これに伴う損失の発生等により、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクへの対策として、投資に係る規程を整備し、出資・投資に際しては、事業計画、内部収益率、撤退基準、その他リスク等を検討して審議・判断しております。加えて、大型出資案件については、各部門の会議を経て、代表取締役社長の諮問機関である経営会議にも付議し、取締役会でも決議を行う等、複数のチェック体制を取っており、慎重に多角的な検討を行っております。

また、適切な内部統制構築・運用のため、出資先への人員派遣や当社で定めている規程等の順守を求め、適正に管理を行っております。投資判断時には、マイルストーンを設定し、適切なタイミングでレビューを行っており、出資後においても、各出資先の財務状況、取組方針、収益性、資本コスト、保有意義、出資の適正性等についてレビューを行い、その結果を取締役会に報告しております。

しかしながら、現在想定している対策を講じても、市場・競争環境の変化や出資・買収後の事業管理の不徹底等により、買収等をした事業における損失の発生、投資有価証券やのれんの減損等を完全に防止することは不可能であり、投資に見合う利益を確保できる保証はありません。

また、出資先でコンプライアンスに関する問題等が発生した場合には当社グループの社会的信用を損なう可能性があります。

 

⑧ 事業上の法的規制に関するリスク

当社グループの事業の遂行にあたって、国内においては、放送法、電気通信事業法、電波法、独占禁止法、個人情報保護法、環境諸法令、補助金適正化法等の法的規制の適用を受けています。また、事業を展開する各国においては、当該国の法的規制の適用を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁・事業停止命令等を受けたり、お客様をはじめとする関係者からの信頼を失う可能性があり、これにより当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、国内における衛星放送、並びに国内外における通信衛星の打ち上げ、運行及び商業利用に対して適用される現行の制度を変更するような法令等が新たに制定されたり、当社グループの事業に不利益な改正が行われた場合には、事業運営上の制約が生じる可能性があり、これにより当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

上記リスクへの対策として、当社グループは、「スカパーJSATグループミッション」及び「スカパーJSATグループ行動指針」を基に、スカパーJSATグループコンプライアンス基本規程及びグループ役職員行動規範を定め、取締役及び使用人に対し、法令等を遵守するよう求めております。

また、当社グループは、コンプライアンス統括責任者を任命し、コンプライアンス統括責任者を委員長とするコンプライアンス委員会を設置して定期的に開催しております。

さらに、当社グループは、コンプライアンスを社内に定着させていくため、取締役及び使用人への教育・研修等を行うと共に、新たな法令等の制定や改正に関する情報が随時配信されるサービスを利用する等、当該法令への対応を行っております。

当社グループの事業活動又は取締役及び使用人に法令違反の疑義のある行為等を発見した場合、速やかに社内及び社外に設置する窓口に通報・相談するシステムとして、「コンプライアンスヘルプライン」を整備し、適切に運用しております。上記対応状況も含め、当社の内部監査部門は、当社グループのコンプライアンスの状況を定期的に監査しております。

そのほかにも、国内外において現行制度を変更するような法令の制定や改訂については、関係省庁等の動向を常に注視し、必要な意見表明や制度変更等への事前の準備をすることで、リスクを軽減する対応をしております。

しかしながらこのような法令遵守の体制やモニタリングを強化しても法令違反の可能性を完全に排除できないリスクや、国内外における新たな法令等の制定や改正に関する情報の入手が遅れる等、適切な対応が行えず、事業運営に悪影響を被るリスクが想定されます。

 

⑨ 個人情報及び重要情報の流出や取扱い及びサイバーセキュリティに関するリスク

当社は、メディア事業においては当社グループが提供するサービスへの加入者情報をはじめとした顧客情報を、宇宙事業においては技術情報を含む重要な情報をそれぞれ保有しております。当該情報がハードウェア、ソフトウェアの不具合及び人為的ミスによるシステム障害や第三者による不正アクセス等により流出した場合や、個人情報の不適切な取扱いが発生した場合は、社会的信用の低下や損害賠償その他の対応に係るコスト負担等により、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、大規模なサイバー攻撃を受けた場合、当該情報が流出するのみならず、放送サービス及び衛星通信サービスの運用に障害が生じる可能性があります。

上記リスクへの対策として、当社は、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証及びプライバシーマークを取得し、情報セキュリティ・個人情報保護マネジメントシステムを構築し、厳格な情報管理を行っております。当該活動の一環で、当社グループを対象とした個人情報管理委員会・情報セキュリティ管理委員会を設置し、情報セキュリティ管理の状況をモニタリングしております。

また、セキュリティインシデント発生時の対応を行う組織としてCSIRT(シーサート、Computer Security Incident Response Team)を設置し、訓練も実施しております。一方、システム対応として、個人情報及び事業上の重要情報保管時の暗号化サーバの利用、不正侵入防止システムやウィルス対策ソフトによる感染防止、各システムによるログの取得、セキュリティ診断による脆弱性の発見等を実施しております。

さらに、サイバー攻撃の多様化、DX推進等によるサイバーセキュリティリスクの増加等を受け、中核会社スカパーJSAT株式会社にサイバーセキュリティ統括部を新設し、サイバーセキュリティへの対策を実施・強化するための体制を整備しております。

そのほか、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策としてテレワークによる勤務体制を整備しており、リモートアクセスシステム・ツール等のセキュリティアセスメントを実施しています。

しかしながら、現在想定している対策を講じても新技術を用いた高度なサイバー攻撃など、現在想定している対策を超える事態の発生により、情報流出やサービスに障害が発生する可能性があります。

 

⑩ 大規模災害等による事業継続に関するリスク

当社グループは、放送サービスと通信サービスという公共性の高いサービスを提供する企業グループとして、衛星管制・通信設備や放送設備を国内に所有しております。大規模災害や事故、新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症の大流行等が発生した場合、施設の設備損傷や施設の閉鎖または活動自粛等により事業継続が困難となるリスクがあります。

その他にも従業員の被災状況や公共交通機関等の不通等により、継続業務従事者の確保ができなくなるといったリスクがあります。

上記リスクへの対策として、事業ごとに継続業務を定め、人員計画含め非常時の体制を事業継続計画として構築・運用しています。また、新型コロナウイルス感染症に代表されるような感染症の拡大に対する事業継続体制も同様に事業継続計画としてあらかじめ定めています。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対する事業継続体制に関しては、テレワークの確立とともに、国や都の要請に基づき、感染拡大状況に応じた勤務体制を設定し、従業員の安全を確保した業務遂行が可能となるよう、制度を整備しております。
 継続業務を担う拠点は制震または免震構造を採用しており、非常用発電機能や、食料品の備蓄を有しております。特に災害発生時に通常以上の利用が見込まれる衛星通信の管制施設に関しては、無停電電源設備を有し、一拠点が休止しても他の拠点からサービスを提供できるようにして業務に重大な支障を生じない設計にする等、サービス不断を目指した設備構築を行っております。また、気候変動などにより昨今頻発する可能性のある台風等の強風・豪雨被害等の脅威に関しては継続的に対策を検討・策定し、対応を進めております。

しかしながら、放送設備に関してはフルバックアップ設備を有していないため、現在想定している対策では対処しきれない大規模災害等が発生した場合には、放送・通信を長期間停止するリスク及び交通機関等の断絶の長期化による拠点の燃料・人員確保のリスクが想定され、当社グループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

なお、本文中の記載金額は、億円単位の表示は億円未満四捨五入とし、百万円単位の表示は百万円未満切捨てとし
ております。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、個人消費等一部に弱さがみられます。
 当社グループを取り巻く環境としては、メディア事業の分野では既存の有料放送市場が成熟している一方で、定額制又は無料のインターネット動画配信サービス市場は拡大を続けており、コンテンツ獲得及び顧客獲得の両面で国内外の事業者との激しい競争が続いております。宇宙事業の分野では船舶・航空機向けの移動体衛星通信や携帯電話基地局向けバックホール回線の需要が拡大する一方で、グローバルマーケットにおいて海外衛星オペレーターとの厳しい価格競争が続いております。また、世界レベルで新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、新規技術による安価で高性能なロケットの開発や大規模な低軌道衛星通信システムプロジェクトを推進するなど、ビジネス環境が大きく変化しております。

 

このような経済状況の下、当連結会計年度の当社グループの連結経営成績は次のとおりとなりました。

区分

前期

(百万円)

当期

(百万円)

前期比

(百万円)

増減率

(%)

営業収益

139,541

139,572

30

0.0

営業利益

15,263

19,151

3,888

25.5

経常利益

16,088

20,349

4,261

26.5

税金等調整前当期純利益

15,492

19,887

4,395

28.4

親会社株主に帰属する当期純利益

12,027

13,345

1,317

11.0

 

なお、EBITDAは前期比37億円増加し、453億円となっております。

 

当社グループのセグメント区分は次のとおりであります。

区分

主要な事業内容

メディア事業

メディア事業及びFTTH事業

宇宙事業

衛星通信事業、放送事業者向け衛星回線提供及び宇宙関連事業

 

 

当社グループのセグメント別の概況は次のとおりであります。(業績については、セグメント間の内部営業収益等を含めて記載しております。)

 

<メディア事業>

・サービスの拡充及び差別化
(サービスの拡充)
  テレビ1台分の料金で3台まで追加料金なしで50チャンネルが見放題となる「スカパー基本プラン」は、「スカパーイエナカ応援キャンペーン」が奏功するなど契約件数は順調に増加し、2021年3月末時点で628千件(前期末比124%)に達しました。家庭内の複数の部屋で視聴できる環境を増やすことで、お客様の満足度向上を図っております。

 光ファイバーによる地上デジタル・BSデジタル等の再送信サービスは、新4K8K衛星放送全チャンネルが視聴可能となっており、4Kテレビの普及や再送信サービスの提供エリア拡大に合わせ、契約件数の拡大に努めております。2020年11月には、東北エリアにおいてケーブルテレビ事業者と放送設備を共有して事業効率化を図る協業モデルによるサービス提供を開始するなど、提供可能世帯数は2021年3月末時点で33都道府県・約3,200万世帯となっております。

 

(コンテンツの差別化)
 2020年シーズンのプロ野球は3ヶ月遅れて6月19日に開幕し、2019年シーズンに引き続き「プロ野球セット」でセ・パ12球団の公式戦全試合を生放送・配信いたしました。
 18/19シーズンから放送・配信を行なっている海外サッカー「ドイツ ブンデスリーガ」は、20/21シーズンから5シーズンにわたる独占放送権・配信権を獲得し、9月18日に開幕した20/21シーズンは全試合生放送・配信しております。日本国内における共同マーケティング活動を含むパートナーシップ契約により、従来の放送・配信にとどまらず、クラブを招聘したプレシーズンマッチ開催など日本のファンを増やすための様々な施策を進めてまいります。
 また、総合スポーツチャンネル「スポーツライブ+(プラス)」においては、2020年シーズンの放送権を獲得したプロ野球福岡ソフトバンクホークスの主催試合を中心に、海外サッカーや国内サッカー、B.LEAGUE等のスポーツ中継を行い、スポーツコンテンツをより多くのお客様にお楽しみいただいております。
 
・新たな収益の獲得
 当社グループは国内最大級のオンラインビデオプラットフォームを提供する株式会社PLAYと、国内外の配信サービスを支援するための事業である「メディアHUBクラウド」の実現に向けた取り組みを開始いたしました。
 これは、放送用などの多くの素材が集約されているスカパー東京メディアセンターと同社が連携することにより、コンテンツプロバイダ、OTTサービス事業者双方に対して素材の集積地“HUB”としての役割を実現し、短期間かつ低コストで信頼性の高い配信手段の提供を目指すものであります。

 

当連結会計年度における加入件数は次のとおりとなりました。

 

新規

解約

純増減

累計

当期

633千件

702千件

△68千件

3,102千件

前期比

18千件

9千件

9千件

△68千件

 

 

以上の結果、当連結会計年度のメディア事業の経営成績は次のとおりとなりました。


 

前期
(百万円)

当期
(百万円)

前期比
(百万円)

増減率
(%)

営業収益

 

 

 

 

 

外部顧客への営業収益

94,382

88,403

△5,978

△6.3

セグメント間の内部営業収益等

3,263

3,195

△67

△2.1

97,645

91,599

△6,046

△6.2

営業利益

3,076

5,995

2,919

94.9

セグメント利益(親会社株主に帰属する当期純利益)

4,546

4,396

△150

△3.3

 

視聴料収入の減少39億円等により営業収益が減少いたしましたが、これにより番組供給料も21億円減少いたしました。これに加え、コンテンツ費の減少26億円、減価償却費の減少11億円、販促関連費用の減少6億円、衛星回線料等の減少8億円等により、営業利益は増加いたしました。一方で、前期における連結子会社の繰越欠損金の使用による法人税等の減少の影響により、セグメント利益は減少しております。

 

 

<宇宙事業>

・既存事業の強化
  2020年2月に打ち上げたJCSAT-17(軌道位置:東経136度)は、2020年4月に移動体通信の既存顧客との長期利用契約に基づくサービス提供を開始しております。また、2021年3月に新規衛星「Superbird-9」の調達契約を締結いたしました。本衛星は東経144度にて運用中のSuperbird-C2の後継機であり、打ち上げは2024年上期を予定しております。
 グローバル・モバイルビジネスの拡大及び競争力の強化のため打ち上げたHTSであるJCSAT-1Cについては、インドネシアエリアを中心に2021年度以降のサービス提供に向けた新規の契約を獲得しております。同じくHTSであるHorizons 3eも着実に収益を拡大しており、さらなるサービス提供の拡大に向けて営業活動を強化してまいります。
 
・新たな技術の活用や事業領域拡大への取り組み
 Planet Labs Inc.の保有する多数の超小型地球観測衛星群により高頻度で撮影された衛星画像販売サービスに関しては、政府系機関や民間の農業・災害対策・遠隔監視等の分野で順調に契約を獲得しております。
 ビジネスインテリジェンス分野に関しては、衛星から取得した画像や位置情報などの様々な地理空間情報と、各分野にカスタマイズしたAI分析を組み合わせた情報サービス「Spatio-i」の提供を開始したほか、衛星データと地図データなどを組み合わせた「衛星防災情報サービス」の開発に向け、株式会社ゼンリン及び日本工営株式会社と業務提携いたしました。また、一般財団法人電力中央研究所と衛星画像や地上センサー画像及びAI等を用いた「ハイブリッド型太陽光発電出力予測システム」の共同開発に合意しました。引き続き、当社はパートナーとの協力のもと、新たなビジネスの開発に取り組んでまいります。
 政府系プロジェクトへの取り組みに関しては、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」という。)と技術試験衛星9号機(ETS-9)の実証後期間の定常運用業務の受託及び相乗りペイロードによる衛星バスの利用に関する協定書を締結いたしました。相乗りペイロードとして当社が搭載する光学望遠鏡は、近年需要の高まっているスペースデブリ対策を目的としており、宇宙環境の把握など新たな分野での活動に役立ててまいります。

 

以上の結果、当連結会計年度の宇宙事業の経営成績は次のとおりとなりました。


 

前期
(百万円)

当期
(百万円)

前期比
(百万円)

増減率
(%)

営業収益

 

 

 

 

 

外部顧客への営業収益

45,159

51,169

6,009

13.3

セグメント間の内部営業収益等

8,373

7,760

△613

△7.3

53,533

58,929

5,396

10.1

営業利益

12,901

13,829

928

7.2

セグメント利益(親会社株主に帰属する当期純利益)

8,029

9,448

1,418

17.7

 

新型コロナウイルス感染症の影響により航空機内インターネット接続用衛星回線の収益が11億円減少いたしましたが、JCSAT-17及びHorizons 3eの収益が69億円増加したこと等により、営業収益及びセグメント利益は増加いたしました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。

a. 生産実績

当社及び連結子会社は、サービスの提供にあたり、製品の生産を行っていないため、生産実績について記載すべき事項はありません。

b. 受注実績

当社及び連結子会社は、受注生産を行っておりませんので記載すべき事項はありません。

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前期比(%)

メディア事業(百万円)

88,403

△6.3

宇宙事業(百万円)

51,169

13.3

合計(百万円)

139,572

0.0

 

(注1) セグメント間取引については相殺消去しております。

(注2) 主な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。

(注3) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末における資産合計は3,856億円となり、前連結会計年度末比(以下「前期比」)72億円増加いたしました

流動資産は、Xバンド事業に関する債権回収等により売掛金が62億円減少いたしましたが、現金及び現金同等物の増加296億円等により前期比236億円増加いたしました。

有形固定資産及び無形固定資産は、設備投資により130億円増加いたしましたが、減価償却費233億円、のれん償却額9億円等により前期比112億円減少いたしました。

投資その他の資産は、長期貸付金の減少31億円等により前期比52億円減少いたしました。

 

当連結会計年度末における負債合計は1,503億円となり、前期比8億円増加いたしました
 主な増加は未払法人税等35億円及び前受収益52億円であり、主な減少は社債の償還及びXバンド事業に関する借入金の返済等による有利子負債の減少115億円であります。

 

当連結会計年度末における非支配株主持分を含めた純資産は2,353億円となり、前期比64億円増加いたしました

主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加80億円であります。また、自己資本比率は60.8%となり、前期比0.5ポイント増加いたしました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費、のれん償却額の合計441億円に加え、売上債権の減少61億円及び前受収益の増加52億円により、579億円の収入(前期は289億円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出122億円等により114億円の支出(前期は208億円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出64億円、社債の償還による支出50億円、配当金支払による支出53億円等により169億円の支出(前期は125億円の支出)となりました。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前期比296億円増加し、732億円となりました。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループは、グループミッション「Space for your Smile」の実現のため、サステナビリティ経営を推進し、社会的課題を解決すると共に、企業価値を向上させることを目指しております。そのため、健全な財務体質と資本効率の向上を両立させながら、基礎収益力の向上に向けた成長分野への投資を推進することを財務戦略の基本方針としています。

 

(資金需要の主な内容及び資金調達)
  当社グループにおける主な資金需要は、事業活動上の必要な運転資金、放送設備や通信衛星設備の調達等の設備投資資金、戦略的なM&A資金等です。これらの資金需要は、主に営業キャッシュ・フローにより賄っておりますが、必要に応じて社債発行や借入による資金調達を行っております。また、機動的な資金調達を可能とすべく400億円の社債発行登録枠を確保しております。
  なお当社グループでは、一定の手元流動性を維持する資金計画を作成・実行するとともに、取引金融機関とコミットメントライン契約及び当座貸越契約(合計153億円)を締結して資金の流動性リスクに備えております。また、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ内資金の活用により、資金効率の向上に努めております。
 
(借入金の状況と返済方針)
  当連結会計年度末における借入金残高は760億円となっておりますが、このうちXバンド事業に関する金融機関からの借入金520億円については当該事業に係る防衛省に対する債権の回収により、Horizons 3e事業に関する金融機関からの借入金225億円については当該事業に係る営業キャッシュ・フローにより返済する予定としております。
 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって当社グループが用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は、今後の感染症の広がり方や収束時期等を予測することが困難であるため、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき見積りを行っております。

詳細につきましては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)をご参照ください。

 

① 貸倒引当金

売上債権や貸付金等の貸倒損失に備えるため、過去の債権回収実績や債務者の財政状態より算出した回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。このため、将来債務者の財政状態悪化により支払能力が低下した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

 

② 固定資産の減損

管理会計上の区分に基づいた各事業用資産グループの営業活動から生じる損益が継続してマイナス又はマイナスの見込みの場合、当該資産グループの回収可能価額を見積り、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合、その差額を減損損失として計上しております。このため、将来事業用資産グループの収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなる場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

③ 投資の減損

所有する有価証券、投資有価証券及び出資金の投資価値が著しく下落した場合、回復する見込があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。このため、将来の市況悪化や投資先の業績悪化により、現在の投資簿価に反映されていない損失が発生した場合や投資簿価の回収が困難となった場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

④ 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産は、将来回収が見込まれる一時差異等に係る税金の額を計上しておりますが、その回収可能性は将来の合理的な課税所得の見積りにより判断しております。このため、業績悪化による課税所得の見積りの変更等により回収可能性の見直しが必要となる場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、メディア事業及び宇宙事業の両事業でそれぞれ研究開発活動を行っております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は236百万円であり、主な内容は宇宙用レーザーを利用した不用衛星等の移動(除去)サービス開発等であります。