第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営環境及び経営方針等

 当社グループを取り巻く経営環境は、省エネルギーの進展等により国内エネルギー需要の減少傾向が続くなか、電力・ガスの小売全面自由化による競争が一層激化するなど、引き続き厳しい状況にある。当社グループは、2017年5月に公表した「新々・総合特別事業計画(第三次計画)」(新々・総特)に基づき、福島への責任を貫徹するとともに、非連続の経営改革をやり遂げ、企業価値の向上を実現していく。(http://www.meti.go.jp/press/2017/05/20170518004/20170518004-1.pdf)

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 新々・総特のとおり、賠償・廃炉に必要な資金を確保しつつ、2026年度以内に連結経常利益で3,000億円/年超、2027年度以降には4,500億円規模の利益水準を達成することを目指す。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題等

 当社グループは、福島への責任を貫徹するため、新々・総特において高い利益水準の目標を掲げている。

 これを実現するため、福島事業を着実にすすめながら、経済事業においては、非連続の経営改革により既存事業の一層の生産性向上をはかるとともに、エネルギー利用における新たな付加価値の提供や電化の推進に取り組んでいく。加えて、再生可能エネルギー事業をはじめとした成長事業を着実に推進するなど、事業環境の変化に応じた最適な事業ポートフォリオを構築していく。グループの総力をあげて厳しい競争環境を勝ち抜き、低廉で安定的な電気をお届けする使命を果たし続けるとともに、新たな価値の創造に挑戦していく。

 

[ホールディングス]

<福島事業>

①福島復興に向けた取り組み

 被害者の方々への賠償については、個別のご事情をお伺いしながら、引き続ききめ細やかな対応を徹底し、最後のお一人まで賠償を貫徹する。

 地域の復興に向け、さまざまな事業者や自治体にもご協力をいただきつつ,環境回復につながる活動や新たな事業の創出などを通じて、産業・農業の活性化やまち機能の回復に貢献していく。また、大熊町の一部における避難指示解除などにあわせ、地域のみなさまのご要望をしっかりとお伺いしながら、地域行事のお手伝いなど、地域の活性化やコミュニティの再生に向けた活動をすすめていく。

 加えて、福島県産品を取り扱う小売店や飲食店等の店舗数の拡大や、フェアの開催による福島県産品の認知度向上などの取り組みを生産者とも連携しながら推進していくことにより、風評被害払拭に尽力していく。

 これらの取り組みをグループ一丸となってすすめ、福島復興の一層の加速化をはかっていく。

 

②福島第一原子力発電所の廃炉

 汚染水対策については、建屋に滞留する汚染水の浄化をすすめるとともに、汚染水発生量のさらなる抑制のため、雨水侵入防止などの対策を実施していく。多核種除去設備等処理水の扱いについては、今後国から示される方向性も踏まえ、地元をはじめ関係者のみなさまからのご意見を伺うなど丁寧なプロセスを踏みながら、適切に対応していく。

 使用済燃料プールからの燃料取り出しについては、3号機の燃料取扱装置の不具合対策が完了し、本年4月より燃料取り出しを開始するとともに、1号機、2号機についても、ガレキ撤去や線量低減などの準備作業を、引き続き安全を最優先に慎重に実施していく。

 また、2021年内を目標とする燃料デブリの取り出し開始に向け、格納容器内の状況やデブリの性状を確認する調査を継続し、工法や必要な装置の検討などを着実にすすめていく。さらに,リスクの一層の低減に向け、1・2号機の排気筒の解体作業に着手するほか、体制面においても、廃炉作業全体において、品質管理能力・エンジニアリング能力の強化や人財の確保・育成をはかっていく。

 長期間にわたる廃炉作業においては、地域や社会のみなさまのご理解のもとで実施していくことが不可欠であることから、廃炉資料館での展示や発電所構内の視察に加え、情報誌やポータルサイトを活用した情報発信など、コミュニケーション活動についても、引き続き重点的に取り組んでいく。

 

<経済事業>

原子力発電事業の取り組み

 原子力安全改革プランのもと、世界最高水準の安全の確立に向け、発電所の運営に関わる業務のすすめ方をとりまとめた「マネジメントモデル」を用いて、安全意識・技術力・対話力の向上に取り組むとともに、さまざまな課題に一元的に対応できる安全最優先・地元本位の事業運営体制を構築していく。

 柏崎刈羽原子力発電所の再稼働にむけた取り組みについては、引き続き、耐震補強などの安全対策工事や、7号機の工事計画認可の取得に向けた対応、6号機の審査に向けた準備を着実にすすめていく。また、地域のみなさまの「声」をしっかりと伺いながら、理解活動や地域貢献活動を実施するとともに、支援拠点の整備などの避難支援策の検討等にも取り組んでいく。

 東通原子力発電所については、他事業者との共同事業化に係る枠組みのなかで検討をすすめ、本格的な地質調査と並行して、パートナー候補と丁寧に協議していく。また、地域の一員として地域の未来に貢献していくため、本年3月に公表した青森行動計画を具体化していく組織として青森事業本部を2019年度上期中に設置する。これにより地域とさらなる信頼関係を構築するとともに、より主体的かつ責任を持って事業を推進していく。

 なお、福島第二原子力発電所の扱いについては、引き続き、全号機を廃炉する方向で検討をすすめていく。

 

④当社グループの事業運営と「稼ぐ力」向上のための取り組み

 今後も厳しい経営環境が継続するなか、再生可能エネルギーをはじめとした分散型電源の増加などの事業環境の変化に加え、ESGに代表される企業の環境・社会への責任に対する関心が一層高まることが見込まれる。当社グループとしては、これらの環境変化を踏まえた最適な事業ポートフォリオを構築し、重点施策へ集中的に経営資源を投入していく。

 特に、成長事業の柱の一つである再生可能エネルギー事業については、国内外の水力発電事業や洋上風力発電事業を中心に、パートナーと連携してサプライチェーンの構築や知見の獲得をはかるとともに、事業を強力に推進するための事業体等のあり方についても検討していく。また、電気自動車の普及拡大を促進するなどの電化の推進や、データセンター等の産業誘致に積極的に取り組むことにより、電力需要の底上げをはかると同時に、脱炭素化や災害時におけるインフラの維持などの社会的課題の解決に貢献し、それによりさらなる事業機会を創出するという投資の好循環をめざしていく。

 さらに、人財面においても、ダイバーシティや働き方改革の推進による社員活力の向上に加えて、生産性向上を通じて得られた人財資源の成長領域への優先的・機動的な配置や、「稼ぐ力」を有する人財の育成と戦略的な確保に取り組んでいく。

 

[フュエル&パワー

 中部電力株式会社との包括的アライアンスについては、本年4月1日、株式会社JERAにおける事業統合が完了し、これにより燃料上流・調達から発電、電力・ガスの卸販売にいたる一貫したバリューチェーンを確立した。今後、国内最大の発電事業者となった株式会社JERAを通じて、お客さまに対して競争力のあるエネルギーを安定的にお届けするという重要な責務を果たし続けるとともに、企業価値の向上を実現していく。

 具体的には、カイゼン活動などによるO&Mモデルの効率化や、電源ポートフォリオの最適化などの統合効果の早期発揮、LNGバリューチェーン等を活用した海外事業の拡大や再生可能エネルギー事業への取り組みなどにより、2025年度に2,000億円の連結純利益達成を目標として事業を展開していく。

 株式会社JERAの事業活動に対しては、自律的かつ迅速な事業運営を尊重しながら、中部電力株式会社と協調して事業計画策定に関与するとともに、定期的なミーティングや四半期ごとの事業計画のモニタリングなどを通じて、企業価値の持続的向上に向けた事業運営を実現する適切なガバナンスを行っていく。

 

パワーグリッド

 電力供給の信頼度を確保したうえで、世界最高水準の品質と低コストを実現することにより、お客さまの利便性の向上や社会的な価値を創造し続け、国内はもとより、成長する世界エネルギー市場への展開につなげていく。

 当面の施策としては、最新のICT技術の導入による設備保全の高度化、生産性倍造に向けたカイゼン活動の全社的な展開、グローバルな調達手段の導入などに取り組むとともに、スマートメーターシステムの構築を推進していく。また、広域送電ネットワークの統合的運用に向けた検討や再生可能エネルギーの連系拡大に向けた系統増強をはかっていく。こうした取り組みを推しすすめることで、財務基盤や技術力をさらに強化し、プラットフォームサービスや海外送配電事業など、国内外での事業展開を加速していく。

 また、近年の自然災害の多発により電力レジリエンスの向上が求められるなか、災害への対応力のさらなる強化策を検討していくとともに、2020年度より導入される第3段階の電力システム改革に向けて、送配電部門における一層の中立性の確保に配慮した事業運営体制の構築をすすめていく。

 

[エナジーパートナー]

 国内エネルギー需要の減少や競争の激化がすすむなか、単なる価格競争ではなくお客さまが真に求める価値を提供していくことにより、「稼ぐ」総合エネルギーサービス企業に進化していく。

 法人分野のお客さま向けには、電気事業で長年培ったノウハウを最大限活用し、エネルギー供給だけでなく、高効率なエネルギーマネジメントシステムの導入などの幅広い付加価値をワンストップかつオーダーメイドで提供していくことを通じて、競合他社との差別化をはかっていく。

 ご家庭分野のお客さま向けには、2019年度中にアライアンス・パートナーによる販売分も含めたガス契約軒数200万軒という目標の達成をめざし、電気とのセット販売を行う体制をさらに強化していく。また、本年2月に業務提携したKDDI株式会社などの異業種パートナーとのアライアンスを一層深化・拡大させるなど、さらなる顧客獲得に向けた基盤の拡充をはかっていく。

 加えて、新たな収益機会の獲得に向け、中部・関西地域における都市ガス事業を加速させるとともに、再生可能エネルギーによる電気の販売拡大、省エネルギーやくらしの安心に関連するサービスの充実などに積極的に取り組んでいく。

 

(注) 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載している。また、必ずしもこれに該当しない事項についても、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示している。

 2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震及び津波に伴う福島第一原子力発電所事故により、放射性物質の放出や電気の安定供給の支障等、広く社会のみなさまにご迷惑をおかけするとともに、当社グループの経営状況は大幅に悪化した。

 これに対し当社は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下「機構」)とともに策定し、2017年5月に国の認定を受けた「新々・総合特別事業計画(第三次計画)」(以下「新々・総特」)のもと、株主や投資家のみなさまをはじめ多くの関係者の方々からのご協力をいただきながら、適切な賠償の実施や着実な廃炉の実施を最優先課題として、様々な経営改革に全力で取り組んでいる。

 また、「責任と競争」の両立を目的としたホールディングカンパニー制のもと、賠償、福島復興、廃炉の責務を全うすべく、東京電力フュエル&パワー株式会社(燃料・火力発電事業)、東京電力パワーグリッド株式会社(送配電事業)及び東京電力エナジーパートナー株式会社(小売電気事業)の各基幹事業会社の自律的経営による競争力の発揮や持株会社である当社の適切なガバナンスに基づくグループの経営資源の最適配分により、厳しい競争を勝ち抜きグループ全体の企業価値の向上に取り組んでいる。

 しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況にあり、以下のリスクが顕在化した場合、事業に大きな影響を与える可能性がある。

 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。

 

①福島第一原子力発電所事故

 福島第一原子力発電所では、安全確保を最優先に、「東京電力ホールディングス㈱福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(以下「中長期ロードマップ」)に沿って、国や関係機関の協力を得ながら廃止措置等に向けた取り組みを進めている。しかしながら、汚染水の処理・保管や地下水の流入抑制などの汚染水対策や、これまで経験のない技術的困難性を伴う燃料デブリの取り出しなど、廃止措置等には多くの課題があること等から、中長期ロードマップ通りに取り組みが進まない可能性がある。その場合、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 また、原子力事故の発生による格付の低下等により、資金調達力が低下していることから、当社グループの業績、財政状態及び事業運営は影響を受ける可能性がある。

 

②電気の安定供給

 東北地方太平洋沖地震の影響等による福島第二及び柏崎刈羽原子力発電所の全号機停止により、当社グループは電気の供給力が低下していることから、供給力の確保と需要面の対策を進めている。しかしながら、大規模自然災害、設備事故、テロ等の妨害行為、燃料調達支障などにより、長時間・大規模停電等が発生し、安定供給を確保できなくなる可能性がある。これらの場合、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があるとともに、社会的信用を低下させ、事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

③原子力発電・原子燃料サイクル

 原子力事故を踏まえた、国による原子力政策の見直しや原子力規制委員会による安全規制の見直し等により、持株会社である当社及びその関係会社の原子力発電事業や原子燃料サイクル事業の運営は影響を受ける可能性があるとともに、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 原子力発電所については、どのような事態が起きても過酷事故には至らないようにするという決意のもと、安全対策の強化や組織の改革に取り組んでいる。なお、柏崎刈羽原子力発電所については、現段階では再稼働の時期は見通せない状況にあり、この状況が続いた場合、火力燃料費の増加や不要となる核燃料資産の発生等により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 また、原子力発電・原子燃料サイクルは、使用済燃料の再処理、放射性廃棄物の処分、原子力発電施設等の解体等に、多額の資金と長期にわたる事業期間が必要になるなど不確実性を伴う。バックエンド事業における国による制度措置等によりこの不確実性は低減されているが、制度措置等の見直しや制度外の将来費用の見積額の増加、六ケ所再処理施設等の稼働状況、同ウラン濃縮施設に係る廃止措置のあり方などにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

④事業規制・環境規制

 電気事業における制度変更を含めたエネルギー政策の見直し、地球温暖化に関する環境規制の強化など、当社グループを取り巻く規制環境の変化により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。また、環境規制の強化等による再生可能エネルギーの大幅な増加により電力品質が低下するなど、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑤販売電力量

 販売電力量は、経済活動や生産活動を直接的に反映することから、景気の影響を受けることがある。また、冷暖房需要は夏季・冬季を中心として天候に影響されることがある。加えて、2016年4月から始まった小売の全面自由化による競争の激化、節電や省エネルギーの進展等により影響を受ける可能性がある。これらにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

⑥お客さまサービス

 当社グループは、お客さまサービスの向上に努めているが、不適切なお客さま応対等により、お客さまの当社グループのサービスへの満足度や社会的信用等が低下し、当社グループの業績、財政状態及び円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑦金融市場の動向

 企業年金資産等において保有している国内外の株式や債券は、株式市況や債券市況等により時価が変動することから、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 また、支払利息に関しては、今後の金利動向等により影響を受けることがある。

 

⑧火力発電用燃料価格

 火力発電用燃料であるLNG、原油、石炭等の価格は、燃料国際市況や外国為替相場の動向等により変動し、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。ただし、一定の範囲内の燃料価格の変動については、燃料価格や外国為替相場の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」により、業績への影響は緩和される。

 

⑨安全確保、品質管理、環境汚染防止

 当社グループは、安全確保、品質管理、環境汚染防止、透明性・信頼性の高い情報公開の徹底に努めているが、作業ミス、法令・社内ルール違反等による、事故や人身災害、大規模な環境汚染の発生や、不適切な広報・情報公開により、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑩企業倫理遵守

 当社グループは、企業倫理を遵守した業務運営を定着させるための取り組みに努めているが、法令違反等の企業倫理に反した行為が発生した場合、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑪情報管理

 当社グループは、大量のお客さま情報をはじめ、業務上の重要な情報を保有している。社内規程の整備や、従業員教育等を通じ情報の厳正な管理に留意しているが、これらの情報の流出等が発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑫電気事業以外の事業

 当社グループは、海外事業を含む電気事業以外の事業を実施している。これらの事業は、当社グループの経営状況の変化、他事業者との競合の進展、規制の強化、外国為替相場や燃料国際市況その他の経済状況の変動、政情不安、自然災害などにより、投融資時点で想定した結果をもたらさない可能性がある。この場合、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

⑬機構による当社株式の引受け

 当社は、2012年7月31日に機構を割当先とする優先株式(A種優先株式及びB種優先株式。以下A種優先株式及びB種優先株式をあわせて「本優先株式」という。)を発行した。

 A種優先株式には、株主総会における議決権のほか、B種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。また、B種優先株式には、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会における議決権は付されていないが、A種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。

 機構は、本優先株式の引受けにより総議決権の2分の1超を保有しており、株主総会における議決権行使等により、当社グループの事業運営に影響が生じる可能性がある。

 今後、機構によりB種優先株式のA種優先株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合、又は本優先株式について、普通株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合には、既存株式の希釈化が進む可能性がある。特に、普通株式を対価とする取得請求権が行使された場合には、既存株式の希釈化が進む結果として、持株会社である当社の株価が下落する可能性があるほか、当該普通株式を機構が市場売却した場合には、売却時の市場環境等によっては、さらに持株会社である当社の株価に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑭新々・総特に基づく経営改革

 新々・総特の下、当社グループは、福島への責任を果たしていくため、賠償・廃炉の資金確保や企業価値の向上を目指して経営改革に取り組んでいるが、新々・総特に記載の生産性改革、共同事業体の設立を通じた再編・統合及びその他の経営改革が計画通りに進まない場合には、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

イ.財政状態

[資産・負債・純資産]

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ1,656億円増加し、12兆7,574億円となった。これは、廃炉等積立金を計上したことなどによるものである。

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ807億円減少し、9兆8,537億円となった。これは、有利子負債が減少したことなどによるものである。

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ2,464億円増加し、2兆9,036億円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどによるものである。この結果、自己資本比率は22.6%と前連結会計年度末に比べ1.5ポイント上昇した。

 

ロ.経営成績

[概要]

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比8.3%増の6兆3,384億円、経常利益は同8.5%増の2,765億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同26.9%減の2,324億円となった。

[売上高]

 当連結会計年度における各セグメントの売上高(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが9,501億円(前連結会計年度比0.8%減)、フュエル&パワーが2兆336億円(前連結会計年度比11.2%増)、パワーグリッドが1兆7,889億円(前連結会計年度比2.7%増)、エナジーパートナーが5兆8,593億円(前連結会計年度比5.9%増)となった。

 販売電力量は、前連結会計年度比4.2%減の2,303億kWhとなった。

[経常利益]

 当連結会計年度における各セグメントの経常利益(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが2,327億円(前連結会計年度比63.6%増)、フュエル&パワーが35億円(前連結会計年度比93.3%減)、パワーグリッドが1,139億円(前連結会計年度比44.2%増)、エナジーパートナーが727億円(前連結会計年度比37.3%減)となった。

[親会社株主に帰属する当期純利益]

 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、特別利益に原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金1,598億円を計上した一方、特別損失に災害特別損失269億円や原子力損害賠償費1,510億円を計上したことなどから、2,586億円となった。ここに、法人税、住民税及び事業税258億円、法人税等調整額1億円、非支配株主に帰属する当期純利益1億円を計上し、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、2,324億円となった。なお、1株当たり当期純利益は145円06銭となった。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,850億円(15.6%)減少し、9,993億円となった。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、前連結会計年度比33.0%減の5,037億円となった。これは、火力燃料購入に関する支出が増加したことなどによるものである。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度比9.7%増の5,708億円となった。これは、固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものである。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、1,176億円(前連結会計年度は125億円の収入)となった。これは、借入金の返済による支出が増加したことなどによるものである。

 

③ 生産及び販売の実績

 当社グループは、水力・原子力発電等を行う「ホールディングス」、火力発電等を行う「フュエル&パワー」、送電・変電・配電による電力の供給等を行う「パワーグリッド」及び電気の販売等を行う「エナジーパートナー」の4つのセグメントがコスト意識を高めるとともに自発的に収益拡大に取り組みつつ、一体となって電気事業を運営している。加えて、電気事業が連結会社の事業の大半を占めており、また、電気事業以外の製品・サービスは多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくないため、生産及び販売の実績については、電気事業のみを記載している。

 

イ.発電実績

種別

2018年度

(百万kWh)

前年同期比

(%)

水力発電電力量

11,071

90.7

火力発電電力量

179,610

97.4

原子力発電電力量

新エネルギー等発電電力量

71

99.3

発電電力量合計

190,752

97.0

 

ロ.販売実績

(a) 販売電力量

種別

2018年度

(百万kWh)

前年同期比

(%)

販売電力量

230,306

95.8

(注)上記販売電力量には、連結子会社の一部を含んでいる。

 

(b) 電気料収入

種別

2018年度

(百万円)

前年同期比

(%)

電気料収入

4,794,647

102.2

(注)1.上記電気料収入には、消費税等は含まれていない。

   2.連結子会社の一部を含んでいる。

 

   (c) 託送収入

種別

2018年度

(百万円)

前年同期比

(%)

託送収益

1,556,070

100.2

(注)1.上記料金収入には、消費税等は含まれていない。

   2.セグメント間取引消去前

 

ハ.資材の状況

重油及び原油等の受払状況

種別

2018年度

期首残高

受入量

前年同期比

(%)

払出量

前年同期比

(%)

期末残高

石炭

(t)

649,910

8,350,483

96.7

8,345,366

99.6

655,027

重油

(kl)

182,567

497,725

72.1

446,650

57.3

233,642

原油

(kl)

63,621

13,051

10.5

45,322

35.9

31,350

LNG

(t)

672,342

20,297,617

96.7

20,327,452

97.7

642,507

LPG

(t)

97,157

155,352

73.4

139,380

88.7

113,129

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものである。

 

① 経営成績等

 当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、省エネルギーの進展等により国内エネルギー需要の減少傾向が続くなか、電力・ガスの小売全面自由化による競争が一層激化するなど、引き続き厳しい状況にある。
 こうしたなか、当社グループは、新々・総合特別事業計画(第三次計画)のもと、企業価値向上を果たし、福島への責任を貫徹するため、カイゼン活動の深掘りなど既存事業の磨き込みに加え、新たな成長事業への投資など、持続的な成長に向けた取り組みを着実にすすめてきた。
 当社グループの当連結会計年度の販売電力量(連結)は、電力小売全面自由化の影響などにより、前連結会計年度比4.2%減の2,303億kWhとなった。
 当連結会計年度の連結収支については、収益面では、燃料費調整制度の影響などにより電気料収入単価が上昇したことや、当社グループ外からの託送収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比8.3%増の6兆3,384億円となり、その他の収益を加えた経常収益合計は8.1%増の6兆3,766億円となった。
 一方、費用面では、原子力発電が引き続き全機停止するなか、グループをあげてさらなるコスト削減に努めたものの、燃料価格の上昇などにより燃料費や購入電力料が増加したことなどから、経常費用合計は前連結会計年度比8.1%増の6兆1,000億円となった。
 この結果、経常利益は前連結会計年度比8.5%増の2,765億円となった。また、原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金1,598億円を特別利益として計上する一方、災害特別損失と原子力損害賠償費を合わせ1,780億円を特別損失として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は2,324億円となった。
 当連結会計年度の自己資本比率については前連結会計年度の21.1%から22.6%に、デット・エクイティ・レシオについては前連結会計年度の2.27から2.04に、また、ROE/ROAはそれぞれ8.4%/2.5%となるなど、引き続き財務体質の改善と資本効率の向上をはかってきた。
 当連結会計年度における各セグメントの業績(セグメント間取引消去前)は次のとおりである。
[ホールディングス]
 収益面では、各基幹事業会社への共通サービス提供に係る対価が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比0.8%減の9,501億円となり、経常収益合計は0.8%減の1兆1,336億円となった。一方、費用面では、引き続きコスト削減の徹底に努めたことなどから、経常費用合計は前連結会計年度比10.0%減の9,009億円となった。
 この結果、経常利益は前連結会計年度比63.6%増の2,327億円となった。
[フュエル&パワー]
 収益面では、燃料価格の上昇により火力電力料収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比11.2%増の2兆336億円となり、経常収益合計は10.8%増の2兆475億円となった。
 一方、費用面では、最適化運用に努めたものの、燃料費が増加したことなどから、経常費用合計は前連結会計年度比13.8%増の2兆440億円となった。
 この結果、経常利益は前連結会計年度比93.3%減の35億円となった。
[パワーグリッド]
 収益面では、広域融通による他社販売電力料が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比2.7%増の1兆7,889億円となり、経常収益合計は2.7%増の1兆8,064億円となった。
 一方、費用面では、委託費等が減少したものの、購入電力料が増加したことなどから、経常費用合計は前連結会計年度比0.8%増の1兆6,925億円となった。
 この結果、経常利益は前連結会計年度比44.2%増の1,139億円となった。
[エナジーパートナー]
 収益面では、燃料費調整制度の影響により電気料収入単価が上昇したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比5.9%増の5兆8,593億円となり、経常収益合計は5.9%増の5兆8,654億円となった。
 一方、費用面では、購入電力料が増加したことなどから、経常費用合計は前連結会計年度比6.8%増の5兆7,927億円となった。
 この結果、経常利益は前連結会計年度比37.3%減の727億円となった。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

イ.キャッシュ・フロー等

(a) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。

 

(b) 有利子負債

 2019年3月31日現在の社債、長期借入金、短期借入金については、以下のとおりである。

 

当連結会計年度(2019年3月31日)

 

1年以内

(百万円)

1年超

2年以内

(百万円)

2年超

3年以内

(百万円)

3年超

4年以内

(百万円)

4年超

5年以内

(百万円)

5年超

(百万円)

社債

557,925

221,430

99,631

221,999

160,000

695,806

長期借入金(※1)

433,961

511,814

46,368

23,775

57,113

88,568

短期借入金(※1)

2,772,395

合計

3,764,283

733,245

146,000

245,775

217,113

784,375

(※1)2019年4月1日に㈱JERAへ承継した長期借入金62百万円、短期借入金995,541百万円を含む。

 上記については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)2.金融商品の時価等に関する事項(注4)社債、長期借入金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額」にも記載。

 

ロ.財務政策

 東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に伴う多額の損失の発生や原子力発電所の停止等による燃料費の増加等により財務基盤と収益構造が大幅に悪化するとともに、自律的な資金調達力が低下したことを受け、総合特別事業計画(2012年5月に主務大臣より認定。)に基づき、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下、「機構」)から1兆円の出資を受けるとともに、取引金融機関に対しては、その後の新・総合特別事業計画等(2014年1月に主務大臣より認定。)においてもあわせて、追加与信及び借換え等による与信の維持等をお願いし、ご協力をいただいてきた。

 新々・総合特別事業計画(2017年5月に主務大臣より認定。)等においても、取引金融機関に対し、前回総特での協力要請の通り引き続き与信を維持することなどをお願いし、ご協力をいただいている。これらの機構や金融機関の支援・協力のもとで、自己資本比率の改善、公募社債市場への復帰などの取組は進んでおり、2018年度はパワーグリッドにおいて4,500億円の公募社債を発行した。引き続き社債の発行を継続するなど、当社グループの自律的な資金調達力の回復もはかっていく。

 また、当社グループでは、グループ全体でより効率的な資金の運用を図る観点からグループ金融制度を採用している。

 

③ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

 「新々・総合特別事業計画(第三次計画)」に記載のとおり、賠償・廃炉に必要な資金を確保しつつ、2026年度以内に連結経常利益で3,000億円/年超、2027年度以降には4,500億円規模の利益水準を達成することを目標に掲げている。

 当連結会計年度における経常利益は2,765億円となった。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)吸収分割契約の締結

 当社の100%連結子会社である東京電力フュエル&パワー株式会社(以下、「東京電力フュエル&パワー」という)は、2018年5月9日開催の取締役会において、東京電力フュエル&パワーが営む燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等(以下、「本件事業」という)を会社分割の方法によって、株式会社JERA(以下、「JERA」という)に承継させること(以下、この会社分割を「本件吸収分割」という)を決議し、同日、JERAと吸収分割契約を締結した。

 なお、JERAは本件吸収分割契約の締結と同時に、中部電力株式会社(以下、「中部電力」という)との間にも別途吸収分割契約を締結し、中部電力の燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等(以下、「中部電力本件事業」という)を同時に承継した(以下、この吸収分割を「中部電力吸収分割」といい、本件吸収分割と併せて「本件共同吸収分割」という)。

 

① 本件吸収分割の目的

 東京電力フュエル&パワーは、2015年4月のJERA設立以降、中部電力との燃料・火力発電分野における包括的アライアンス(以下、「本件アライアンス」という)に関し、燃料上流・調達から発電までのサプライチェーン全体に係るJERAへの事業統合を順次進めてきた。

 これまで、スケールメリットを活かした事業展開により、各事業領域において着実に統合効果が生まれている。今後、国内のエネルギー市場環境は大きく変化することが予想され、このような事業環境変化に柔軟に対応するとともに、本件アライアンスの効果を最大化するために、東京電力フュエル&パワーと中部電力は、2017年6月8日、燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等の統合に係る合弁契約書を締結しており、これに基づき、JERAに本件事業を統合させることとした。

 

② 本件吸収分割の要旨

イ.本件吸収分割の日程

本事業統合に係る基本合意書締結

2017年3月28日

本事業統合に係る合弁契約書締結

2017年6月8日

本事業統合に係る対象資産・負債等の合意

2018年2月27日

吸収分割契約締結

2018年5月9日

吸収分割契約承認株主総会(JERA)

2018年6月18日

吸収分割契約承認株主総会(東京電力フュエル&パワー)

2018年6月27日

吸収分割の効力発生日

2019年4月1日

 

ロ.本件吸収分割の方法

 東京電力フュエル&パワーを分割会社とし、JERAを承継会社とする吸収分割である。

 

ハ.本件吸収分割に係る割当ての内容

 JERAは、本件吸収分割に際して普通株式5,000,000株を新たに発行し、その全部を東京電力フュエル&パワーに割当てる。また、中部電力吸収分割に際しても、東京電力フュエル&パワーへの割当てと同数の普通株式5,000,000株を新たに発行し、その全部を中部電力に割当てる。この結果、JERAは、本件共同吸収分割に際して普通株式10,000,000株を新たに発行することになり、本件吸収分割及び中部電力吸収分割に際して東京電力フュエル&パワー及び中部電力に対して割当交付される普通株式の比率は1:1(以下、「本合意株式割当比率」という)となり、JERAにおける東京電力フュエル&パワー及び中部電力の持株比率に変更はない。

 

ニ.本件吸収分割に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い

 東京電力フュエル&パワーは、新株予約権及び新株予約権付社債を発行していない。

 

ホ.本件吸収分割により増減する資本金

 東京電力フュエル&パワーの資本金に変更はない。

 

ヘ.承継会社が承継する権利義務

 本件吸収分割により、JERAは、東京電力フュエル&パワーが営む本件事業に関して有する権利義務を効力発生日に承継する。なお、本件吸収分割による承継会社への債務の承継については、免責的債務引受の方法によるものとする。

 

ト.債務履行の見込み

 東京電力フュエル&パワー及びJERAともに、本件吸収分割後も資産の額が負債の額を上回ることが見込まれること、現在のところ、本件吸収分割後に負担する債務の履行に支障を及ぼす事態の発生は想定されていないことから、本件吸収分割後における東京電力フュエル&パワー及びJERAの債務の履行の見込みについては、問題ないと判断している。

 

チ.本件共同吸収分割に係る割当ての内容の算定根拠等

 東京電力フュエル&パワーは、JERAへ承継させる本件事業および中部電力がJERAへ承継させる中部電力本件事業についての各々の事業計画の確認および精査を踏まえ、本合意株式割当比率の決定にあたり、東京電力フュエル&パワーのファイナンシャル・アドバイザー2社(メリルリンチ日本証券株式会社、及び、GCA株式会社)(以下、「FA」という)に対して、本件事業および中部電力本件事業の価値評価に関する財務分析を依頼し、それぞれから、後記(注)に記載の前提条件その他一定の条件の下で、かかる分析について算定書を受領した。FAは、主要な評価手法として、ディスカウント・キャッシュ・フロー法(以下、「DCF法」という)および類似企業比較分析を採用し、かかる分析を行っている。なお、FAがDCF法の前提とした東京電力フュエル&パワーより提供された本件事業および中部電力本件事業に関する財務予測においては、大幅な増減益が見込まれている事業年度があるが、これらは、本件共同吸収分割に伴う変動等によるものではない。当社は、上記事業計画の確認および精査、東京電力フュエル&パワーにおけるかかる分析の検討結果、中部電力との交渉結果ならびに本件共同吸収分割の戦略的意義等を総合的に勘案し、取締役会において本合意株式割当比率を決定した。なお、東京電力フュエル&パワーの取締役会は、上記の各FAより、それぞれ、後記(注)に記載の前提条件その他一定の条件の下で、本合意株式割当比率は、東京電力フュエル&パワーにとって財務的見地から公正である旨の意見書を受領している。なお、東京電力フュエル&パワーの選定した上記の各FAは、東京電力フュエル&パワー、JERAおよび中部電力の関連当事者には該当せず、本件共同吸収分割に関して記載すべき重要な利害関係を有しない。

(注) 上記のFAの分析および意見書は、東京電力フュエル&パワーの取締役会が(当該立場において)本件共同吸収分割の検討において使用するためにその便宜のために作成されたものであり、他のいかなる者に対しても、その便宜のために作成されたものではなく、かつ、いかなる権利又は救済手段を付与するものでもない。当該意見書は、本合意株式割当比率に係る東京電力フュエル&パワーにとっての財務的見地からの公正性に限定され、本件共同吸収分割の形態、ストラクチャー等のその他の側面についても、また、東京電力フュエル&パワーが実行する可能性のある他の戦略若しくは取引と比較した場合における本件共同吸収分割の相対的な利点又は本件共同吸収分割を実施する東京電力フュエル&パワーの業務上の意思決定についても、何ら意見又は見解を表明するものではない。また、FAは、本件共同吸収分割又はそれに関連する事項について、株主がどのように議決権を行使し又は行動すべきかについて何ら意見を述べ又は推奨するものでもない。かかる分析の実施および意見書の作成にあたり、FAは、公開されている又はFAに対して提供され若しくはFAが別途検討し若しくは協議した財務その他の情報およびデータについて、独自の検証を行うことなく、それらが正確かつ完全であることを前提とし、かつその正確性および完全性に依拠している。また、FAは、東京電力フュエル&パワーより提供された本件事業および中部電力本件事業に関する各財務予測について、それらが本件事業および中部電力本件事業の将来の業績に関する東京電力フュエル&パワーの経営陣による上記の分析および意見書の日付時点で入手可能な最善の予測と誠実な判断を反映し、合理的に作成されたものであることを前提としており、東京電力フュエル&パワーの指示に従い、それらの財務予測に依拠している。FAは、東京電力フュエル&パワー又は中部電力の資産又は負債(偶発的なものか否かを問わない。)について独自の鑑定又は評価を行っておらず、また、かかる鑑定又は評価を提供されていない。

 FAは、本件共同吸収分割に関して東京電力フュエル&パワーのファイナンシャル・アドバイザーを務め、かかるサービスに対し手数料(その相当部分が上記「本事業統合に係る対象資産・負債等の合意」を条件とする。)を受領する。上記の分析および意見書は,2018年2月22日付で作成されており、必然的に、それらの日付現在の金融、経済、為替、市場その他の条件および情勢を前提としており、かつ、同日現在においてFAが入手可能な情報に基づいている。同日付以降に発生する事象がかかる分析および意見書の内容に影響を与える可能性があるが、FAは、これらを更新、改訂又は再確認する義務を負うものでないことが了解されている。

 

③ 東京電力フュエル&パワーが分割する事業部門の概要

イ.分割する部門の事業内容

 東京電力フュエル&パワーが営む燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等

 

ロ.分割する部門の経営成績(2019年3月期)

項目

金額

売上高

68,929百万円

(注)売上高は外部顧客への売上高を記載している。

 

ハ.分割する資産・負債の状況(2019年4月1日現在)

資産

負債

項目

金額

項目

金額

固定資産

1,145,588百万円

有利子負債

995,541百万円

流動資産

94,891百万円

その他負債

23,849百万円

合計

1,240,479百万円

合計

1,019,390百万円

 

④ 本件吸収分割後の分割会社の状況(2019年4月1日現在)

 

 

分割会社

(1)商号

東京電力フュエル&パワー株式会社

(2)所在地

東京都千代田区内幸町一丁目1番3号

(3)代表者の役職・氏名

代表取締役社長  守谷 誠二

(4)事業内容

電気事業、ガス事業等を営むグループ会社の事業管理、並びにこれらに付帯する業務

(5)資本金

30,000百万円

(6)決算期

3月31日

 

⑤ 本件吸収分割後の承継会社の状況(2019年4月1日現在)

 

承継会社

(1)商号

株式会社JERA

(2)所在地

東京都中央区日本橋二丁目5番1号

(3)代表者の役職・氏名

代表取締役社長  小野田 聡

(4)事業内容

電気事業、ガス事業、熱供給事業、エネルギー資源の開発、採掘、加工、売買および輸送 等

(5)資本金

5,000百万円

(6)決算期

3月31日

 

(2)電力受給契約およびガス供給契約

 当社の100%子会社である東京電力エナジーパートナー株式会社は、主要な仕入先であるJERAとの間で、電力受給契約・ガス供給契約を締結している。契約開始は2019年4月1日となっている。

 なお、東京電力フュエル&パワーがJERAとの間で締結した、LNG燃料供給契約・石油系燃料供給契約・石炭燃料供給契約は、本件吸収分割の効力発生をもって終了している。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの技術開発については、「東京電力㈱福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」ならびに「新々・総合特別事業計画」に基づき、「中長期ロードマップに基づいた廃炉の推進に向けた技術開発」及び「原子力安全の確保と電気の安定供給の達成に資する技術開発」を中心として取り組んでいる。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、18,670百万円である。なお、セグメント毎の研究開発費の内訳は、ホールディングスが8,881百万円、フュエル&パワーが1,653百万円、パワーグリッドが6,897百万円、エナジーパートナーが1,237百万円である。