第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営環境及び経営方針等

 当社グループを取り巻く経営環境は、省エネルギーの進展等により国内エネルギー需要の減少傾向が続くなか、電力・ガスの小売全面自由化による競争が一層激化するなど、引き続き厳しい状況にある。当社グループは、2017年5月に公表した「新々・総合特別事業計画(第三次計画)」(新々・総特)に基づき、福島への責任を貫徹するとともに、非連続の経営改革をやり遂げ、企業価値の向上を実現していく。(http://www.meti.go.jp/press/2017/05/20170518004/20170518004-1.pdf)

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 新々・総特のとおり、賠償・廃炉に必要な資金を確保しつつ、2026年度以内に連結経常利益で3,000億円/年超、2027年度以降には4,500億円規模の利益水準を達成することを目指す。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題等

 小売事業の競争激化や原子力発電所の長期停止に加え、自然災害の激甚化・広域化に伴う防災・電力レジリエンスの強化、再生可能エネルギーの大量導入等による電源の分散化、さらには世界的な脱炭素・SDGsへの意識の高まり、ESG投資の拡大に伴う地球温暖化対策への要請など、事業環境や社会的要請は大きく変化している。

 当社グループは一丸となって、これらの経営課題に対し柔軟かつ迅速に対処し、福島への責任の貫徹と収益力・企業価値の向上を実現していく。新型コロナウイルス感染症対策については、社会機能の維持に関わる事業者として、電力の供給や発電所の運営等に影響が及ばないよう、事業継続計画等に基づき適切に対応していく。

 

当年度の施策

[ホールディングス]

<福島事業>

イ.福島復興に向けた取り組み

 当社は、被害者の方々に寄り添い、個別のご事情をお伺いしながら賠償をすすめ、当年度末までに累計9兆4,836億円をお支払いした。

 本年3月の双葉町、大熊町及び富岡町の一部における避難指示の解除やJR常磐線の全線運転再開など、地域の復興が着実にすすむなか、線量測定のほか、除草、清掃・片付け、地域イベントの運営への協力などを行い、当年度末までに国や自治体による除染等への協力人数は累計39.6万人、復興推進活動への派遣人数は累計51.5万人となった。

 また、引き続き、風評被害の払拭に向け、「発見!ふくしま」キャンペーンを展開し、首都圏の小売店や飲食店におけるフェアの開催、LINEやグルメ情報誌による情報発信などを通じて首都圏の消費者の方々に福島県産品の品質の良さをお伝えするとともに、小売店や飲食店における福島県産品のお取り扱いの拡大などに取り組んできた。

 

ロ.福島第一原子力発電所の廃炉

 陸側遮水壁やサブドレン等の対策に加え、建屋屋根の補修や敷地舗装等の重層的な対策を実施し、汚染水の発生量を着実に低減したほか、建屋内に滞留する汚染水の浄化や作業環境の改善などをすすめてきた。

 使用済燃料プールからの燃料取り出しについては、3号機において取り出し作業を開始した。また、地元企業のご協力のもと1・2号機の排気筒の解体をすすめたほか、燃料デブリの取り出しに向けた装置の開発など、廃炉プロジェクトを着実に推進してきた。

 加えて、2018年に富岡町に開館した廃炉資料館の展示や発電所構内への視察受け入れ、情報誌の配布などを通じた廃炉の現状等に関する情報発信に引き続き取り組み、昨年12月に廃炉資料館への来館者は累計5万人を超えた。

 また、昨年12月に改訂された中長期ロードマップの工程目標等を達成するため、本年3月、作業プロセスを具体化した「廃炉中長期実行プラン2020」を策定した。

 

<経済事業>

ハ.柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向けた取り組み

 柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向け、引き続き新規制基準適合性審査に真摯に対応するとともに、安全を最優先に耐震補強や内部溢水対策などの安全対策工事を着実にすすめてきた。

 また、社外への情報発信をより正確かつ迅速に行うため、IT技術を活用した業務プロセスの抜本的な見直しや当番体制の強化、継続的な訓練を実施した。さらに、地域の声を傾聴し、社会の目線で考える意識を高めることを目的として、柏崎市及び刈羽村の各戸訪問に発電所員全員で取り組んだ。

 このほか、緊急時の対応については、多様なシナリオを用いた訓練を重ねることにより対応能力の強化をはかるとともに、昨年11月に行われた新潟県の原子力防災訓練においては、県への情報連絡や参加された住民の方々の避難支援、スクリーニング等の実施など、関係機関との相互連携の確認や防災技術の習熟に努めた。

 

ニ.持続的な成長の実現に向けた取り組み

 脱炭素への意識の高まりなどにより事業環境が大きく変化するなか、当社グループの持続的な成長の実現に向け、「みらい経営委員会」での議論を踏まえて重点的に経営資源を配分する事業領域を定めるなど、グループ全体の事業ポートフォリオの再構築に取り組んできた。

 また、電力会社とメーカーの垣根を越えた原子力発電事業の共同事業化の検討に関して、昨年8月に基本合意書を締結したほか、昨年10月には、中部電力株式会社と共同で、電動車両の充電インフラの整備等をすすめる会社を設立するなど、他社との協業・連携を推進してきた。

 加えて、本年3月、世界最大の洋上風力発電事業者であるオーステッド社とともに、銚子沖洋上風力プロジェクトの推進に向けた会社を設立したほか、本年4月には、再生可能エネルギー発電事業を分社化するなど、再生可能エネルギーの主力電源化をめざした取り組みを加速してきた。

 

[フュエル&パワー

イ.包括的アライアンスの完成

 昨年4月、株式会社JERAへの既存火力発電事業等の統合が完了し、燃料上流・調達から発電、電力・ガスの販売にいたる一貫したバリューチェーンを確立した。

 統合後の株式会社JERAは、国内LNG基地の一体運用などによる国内火力発電事業のコスト競争力の強化や、同社の強みを最大限に活かした新たな収益源の創出など、統合シナジーの早期発現に向けた取り組みをすすめている。

 東京電力フュエル&パワー株式会社は、株式会社JERAの自律的かつ迅速な事業運営を尊重しながら、中部電力株式会社とともに、株主として事業計画策定への関与や事業計画の進捗に対するモニタリング、経営層との意見交換・助言を実施するなど、適切なガバナンスを行ってきた。

 

ロ.株式会社JERAの取り組み

 株式会社JERAにおいては、事業統合の完了にあわせて、国内外の環境変化に的確に対応するため、組織体制を事業開発、最適化、O&Mの機能別に再編し、各機能の強化をはかるとともに、全体最適の実現に向けた取り組みをすすめてきた。

 具体的には、保有する国内火力発電所のすべてにJERA式O&Mを導入し、さらなるコスト削減をはかったほか、スポットや短期のLNG取引に関する事業をEDFトレーディング社との共同出資会社に統合し、LNG取引やLNGポートフォリオの最適化を実施するなど、LNGバリューチェーンの高度化・効率化をすすめた。

 加えて、台湾において出資参画している洋上風力発電プロジェクトの一つが昨年12月に商業運転を開始するなど、国・地域別のニーズにあった事業開発に取り組んできた。

 

[パワーグリッド

イ.安定供給と託送原価低減の両立

 電力供給の信頼度を確保したうえで、国際的にも遜色のない低廉な託送原価水準の実現をめざし、効率的でサステナブルな事業運営に取り組んできた。具体的には、カイゼン活動で磨き込んだ技術・技能やデジタル技術の活用により設備保全の省力化・自動化をはかるとともに、取引先との協働による調達改革に取り組むなど、バリューチェーンの最適化をすすめてきた。

 昨年9月に襲来した令和元年房総半島台風への対応については、関係者の方々のご協力のもと、東京電力グループの総力をあげて停電の復旧に取り組んだ。また、東京電力ホールディングスが設置した社外有識者をアドバイザーとした検証委員会において、被害の発生原因や広報を含む復旧対応の検証、課題の抽出などを行い、今後の自然災害に備え、短期的・中期的に対応すべき事項を取りまとめた。

 

ロ.事業領域の拡大に向けた取り組み

 地域や社会のみなさまの課題の解決につながる新たな価値の提供をめざして、送配電事業を支える電力設備や事業運営で培った技術・知見等を活用するとともに、他社や自治体等との連携をはかることにより、事業領域の拡大に取り組んできた。

 具体的には、スマートメーター等を通じて得られるデータと他社や自治体等が保有するデータを組み合わせることによる新たなサービスの提供について検討をすすめたほか、本年3月には、電力設備の上空などを活用した全国共通のドローン航路プラットフォームを構築するための事業体を他社と共同で設立した。

 また、グループ会社を通じて東南アジアのマイクログリッド事業へ出資参画し、国内で培った技術力をもとに事業開発をすすめるとともに、新事業の創出や人財育成にも取り組んできた。

 

[エナジーパートナー]

イ.成長領域の拡大に向けた取り組み

 成長領域(ガス販売、新サービス、従来のサービスエリア外での電力販売)について、売上高4,500億円という目標達成に向け、全力で取り組みをすすめてきた。

 ガス販売については、ご家庭のお客さま向けに電気・ガスのセット販売を推進するとともに、日本瓦斯株式会社などのアライアンス・パートナーを通じた販売拡大に努め、本年3月、ガス契約軒数が200万軒を突破した。

 また、新サービスについては、エネルギー関連設備の設計・施工・保守などをワンストップで行うサービスの受注拡大などに取り組んできた。

 従来のサービスエリア外での電力販売については、子会社であるテプコカスタマーサービス株式会社を通じた営業活動の強化をはかったことなどから、販売電力量(連結)は前年度に比べ13.2%増の126億kWhとなった。

 これらの取り組みの結果、成長領域における当年度の売上高は、目標を上回る4,758億円となった。

 

ロ.多様なニーズにお応えするサービスの拡充

 お客さまの多様なニーズにお応えしていくため、ご家庭向け電気料金メニューの提供エリアを順次拡大し、昨年11月には沖縄県を除く全国のお客さまに当社グループの電気をご利用いただけるようになった。

 また、単に電気を販売することにとどまらず、新しい価値を提供するサービスの拡充にも取り組んできた。

 具体的には、森ビル株式会社と共同で設立した会社を通じて虎ノ門地区の再開発エリアにおけるエネルギー供給事業を開始し、独自の配電網や最新鋭の自家発電システムなどを活用した防災性の高いエネルギーネットワークの構築等を実現した。さらに、再生可能エネルギーの利用に関するサービスとして、COを排出しない水力発電を活用した電気料金メニューの販売拡大をはかったほか、お客さまの工場と離れた場所に設置した太陽光発電の電気を融通し自家消費する新しいエネルギーサービス事業などを実施してきた。

 

 

(ご参考)

・再生可能エネルギーの主力電源化に向けて

 本年4月1日、東京電力リニューアブルパワー株式会社が東京電力ホールディングス株式会社の再生可能エネルギー発電事業を承継し、再生可能エネルギー専業会社として第一歩を踏み出した。

 世界的な脱炭素の流れを大きなビジネスチャンスととらえ、国内外における再生可能エネルギー発電の新規開発をすすめることにより、再生可能エネルギーの主力電源化をめざしていく。また、再生可能エネルギーの普及を通じて、クリーンでサステナブルな脱炭素社会の実現と地域に根差した産業の発展に貢献していく。

 

②優先的に対処すべき課題

[ホールディングス]

<福島事業>

イ.「3つの誓い」に基づく賠償と復興に向けた取り組み

 避難指示の解除等に伴い、被害者の方々の状況にさまざまな変化が生じていることを踏まえ、個別のご事情をより丁寧にお伺いするとともに真摯に対応し、引き続き「3つの誓い」に基づく迅速かつ適切な賠償を実施していく。

 また、国や自治体などによる事業・生業の再建、まち機能の回復・活性化に貢献していくほか、帰還環境や生活環境の整備、帰還困難区域の復興に向けた取り組みにも人的・技術的協力を行っていく。

 加えて、「風評被害に対する行動計画」に基づき、引き続き、イベントの開催やSNS等による情報発信を通じて福島県産品の品質の良さをお伝えするほか、小売店、飲食店等における福島県産品のお取り扱いの維持・拡大をはかるなど、福島県産品の流通のさらなる促進に取り組んでいく。

 

ロ.地域と共生した福島第一原子力発電所の廃炉の貫徹

 長期にわたる廃炉の貫徹に向け、「廃炉中長期実行プラン2020」のもと、プロジェクト管理と現場・現物を踏まえた安全・品質管理の一層の機能強化をはかり、安全・着実かつ計画的に廃炉作業をすすめていく。

 汚染水対策については、引き続き、重層的な対策を実施し、汚染水発生量のさらなる低減をめざすとともに、建屋内に滞留する汚染水の処理をすすめていく。多核種除去設備等処理水の扱いについては、引き続き、放射性物質の低減策や風評被害対策等について具体的にわかりやすくご説明するなど、地元をはじめとした関係者のみなさまの理解醸成に努めるとともに、今後、国から示される方向性を踏まえ、適切に対応していく。

 使用済燃料プールからの燃料取り出しについては、2020年度内の3号機の取り出し完了に加え、2031年までに全号機の取り出し完了をめざしていく。また、2021年からの2号機の燃料デブリの試験的取り出し開始に向け、格納容器内部の調査や作業工程の具体化、取り出し装置の詳細設計等を行うとともに、1号機、3号機の燃料デブリ取り出しの準備をすすめていく。

 加えて、「復興と廃炉の両立」を推進するため、本年3月に公表した「復興と廃炉の両立に向けた福島の皆さまとのお約束」のもと、オープンで透明なプロセスによる地元企業の廃炉事業への参画拡大や地元の人財育成、雇用の創出等に取り組み、地域と共生した廃炉の貫徹をめざしていく。

 

<経済事業>

ハ.原子力発電事業の取り組み

 脱炭素社会への対応や電力供給のレジリエンス強化などの観点から原子力発電の重要性が増すなか、当社は、福島第一原子力発電所の事故の反省と教訓を踏まえた「原子力安全改革プラン」に基づく安全改革を強力にすすめていく。また、厳しい自己評価のもと、本社と発電所が一体となり現場・現物を重視した安全・品質の向上や、情報の受け手の視点に立った「伝える」から「伝わる」への情報伝達の改善などをはかっていく。

 柏崎刈羽原子力発電所については、再稼働に向け、安全対策工事を着実にすすめ、早期の工事完了をめざすとともに、新たな検査制度の開始を踏まえ、世界的なリスク管理手法の導入など自主的な安全性向上の取り組みをさらに活性化させていく。また、新潟県が策定した広域避難計画の実効性を高めるため、県との調整のもと、要員や資機材の提供など最大限の協力を行うほか、地域のみなさまの信頼やご理解が得られるよう、対話活動の充実をはかり、透明性をもって地域との共生・共創をすすめていく。

 東通原子力発電所については、建設工事再開に向け、本格的な地質調査等を実施するとともに、他社との共同事業化の枠組みのなかで実現をめざしていく。また、地域に根差した積極的な情報発信や対話活動に努めることに加え、事業の環境や基盤の整備等を通じて、地域への貢献や協働等に取り組んでいく。

 福島第二原子力発電所については、安全を最優先に全号機の廃止措置をすすめるとともに、福島第一原子力発電所の廃炉作業とあわせ、技術要員を確保・育成するほか、地元企業の参画等をはかっていく。

 

ニ.当社グループの事業戦略と収益力向上への取り組み

 お客さまや社会からの要請やニーズが多様化するなか、地域に根差した事業活動を通じて、地域の特性を踏まえたお客さまのニーズをくみ取り、「脱炭素」や「防災」を軸とした新たな提供価値を見いだすとともに、事業の選択・集中等を大胆かつ迅速に実行することにより、ビジネスモデルの転換をはかっていく。

 また、中長期的に利益を拡大し企業価値を向上させるため、再生可能エネルギー事業領域、モビリティ電化事業領域、データ・通信事業領域、海外事業領域などの領域において、オープンイノベーションをすすめながら、新たな事業を開発・展開していく。

 こうした企業活動の転換を実現するため、社員一人ひとりがお客さまのために変革を恐れず挑戦する新たな企業文化を確立するとともに、非連続の経営改革を牽引する人財の確保・育成や組織・経営基盤の整備などを行っていく。さらに、デジタル技術の活用により、質の高いサービスの提供や業務プロセスの刷新に加え、ビジネスモデルや企業文化の変革にも取り組むなど、デジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に推進していく。

 

リニューアブルパワー

 当面の主力事業である国内水力発電事業については、リパワリング工事による発電所の近代化・効率化、カイゼン活動を通じた作業停止期間の短縮、デジタル技術とデータの活用によるトラブルの未然防止などにより発電電力量をさらに増加させるとともに、揚水発電設備の強みである蓄電・調整力を活用し、収益性を向上していく。また、海外水力発電事業については、長年の国内水力発電事業で培った設計・建設、O&Mなどに関する技術力・ノウハウに加え、ベトナムやジョージアにおける事業開発実績なども活用し、開発ポテンシャルが高い国や地域において事業開発を推進していく。

 洋上風力発電事業については、これまでの銚子沖での実証試験と実証機の商用化を通じて得た建設やO&Mの知見に加え、オーステッド社との共同開発を通じて得られるノウハウを活用して、海外を含めた地点開発や事業展開をすすめていく。

 また、さらなる再生可能エネルギー発電事業の拡大に向けて、グリーンボンドの発行等による資金調達をはかるとともに、地熱、浮体式洋上風力発電等による再生可能エネルギー電源の多様化を検討していく。

 これらの取り組みを通じて国内外に再生可能エネルギーを普及させ、クリーンでサステナブルな脱炭素社会の実現と地域に根差した産業の発展に貢献していく。

 

[フュエル&パワー

 株式会社JERAは、燃料上流・調達から発電、電力・ガスの卸販売にいたる一連のバリューチェーンにおいて、各事業領域の成長をはかるとともに、電源ポートフォリオの最適化や一体的かつ適切な経営管理などを行うことにより、競争力が高いエネルギー調達を実現し、お客さまに付加価値の高いエネルギーを安定的にお届けしていく。加えて、海外を中心として、LNGの調達から発電までを一体的に開発する事業(Gas to Power事業)や、再生可能エネルギーを含むIPP事業など、同社の強みを活かした戦略的な事業を実施することにより、企業価値を高めるとともに、環境に優しい社会の実現に貢献していく。

 東京電力フュエル&パワー株式会社は、気候変動の緩和に向けた取り組みに対する要請の高まりや世界的な経済成長の鈍化に加え、新型コロナウイルスの影響による資源価格の変動など、株式会社JERAを取り巻く事業環境が急激に変化していることを踏まえ、同社の事業計画の策定への関与と事業計画の進捗へのモニタリングを一層強化していく。また、取締役会やトップ会談などにおける質の高いコミュニケーションを通じた適切なガバナンスを実施することにより、統合によるシナジーの早期発現を促すとともに、株式会社JERAの継続的な企業価値の向上をはかっていく。

 

[パワーグリッド

 自然災害が激甚化・広域化するなか、安定的かつ低廉な電力供給を支え続けるという使命を果たすため、デジタル技術の積極的活用や電力供給手段の多様化、電力業界内での技術・技能の共通化や設備仕様の統一、さらには国・自治体を含めた関係者との連携・協働の強化などをはかるとともに、計画的・効率的な設備の更新・革新を推進することにより、送配電ネットワークの健全性を維持しつつ強靭性を高めていく。

 また、蓄電池などお客さまが有するエネルギーリソースの有効利用や、既存系統を最大限に活用した効率的な系統連系へのさらなる取り組みなどにより、再生可能エネルギー等の多様な電源を早期・多量に接続するための環境を整備し、脱炭素社会に向けた動きをリードしていく。加えて、電動車両やデータセンターの普及などの電化の促進により設備効率の向上をはかるほか、ドローンやスマートメーター等を活用した災害復旧の取り組みを地域とともにすすめるなど、新たな価値の創造に挑戦していく。さらには、人財、設備、データという面的に広がる経営資源を活用して地域社会の方々と密にコミュニケーションをはかり、ニーズにお応えするプラットフォームの構築やサービスの拡充に取り組むことにより事業領域を拡大していく。

 これらの取り組みにより経験やノウハウ、実績を蓄積し、グローバルトップレベルの送配電ネットワーク事業者としての地位を確立するとともに、それをもとに海外の送配電事業に参画するなど、さらなる成長を追求していく。

 

[エナジーパートナー]

 国内のエネルギー需要が減少傾向にあるなか、価格競争の激化により、依然として厳しい経営環境が続いている。こうした状況を打開するため、変化し続けるお客さまのニーズをとらえた新たな価値をサービスとして提供していく取り組みを一層加速させ、お客さまに選んでいただける企業となることをめざしていく。具体的には、近年における自然災害の激甚化・広域化や世界的な脱炭素の潮流、働き方改革の推進等の社会変化などを背景としたお客さまのエネルギーに対する多様なニーズを丁寧にお伺いし、「安心」や「再エネ」、「省エネ」、「省力化」を提供価値の中心に据えた質の高いサービスを提供していく。

 法人分野においては、「省エネ」、「省力化」等の価値の提供として、空調・熱源設備に加え、受変電設備や非常用発電設備、蓄電池などを含めたユーティリティ設備全体のエネルギーサービスなどを展開していく。また、環境へ配慮されるお客さまに対しては、「再エネ」の価値の提供として、当社グループの再生可能エネルギーやグリーン電力証書を組み合わせた提案などを幅広く行っていく。

 ご家庭分野においては、電気・ガス・水回りの不具合に対して24時間対応するサービスを広く提供するとともに、災害時の備えとしても有効な太陽光発電や蓄電池、電動車両等を含めた電化を積極的に提案することなどにより、「安心」で快適なくらしの実現に貢献していく。

 

(注) 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載している。また、必ずしもこれに該当しない事項についても、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示している。

 当社グループにおいて、取締役及び執行役は、当社及びグループ会社の事業活動に関するリスクを定期的に、また必要に応じて把握・評価し、毎年度の経営計画に適切に反映している。また、グループ全体のリスク管理が適切になされるよう社内規程を整備している。

 当該リスクは、社内規程に従い、業務所管箇所が、職務執行の中で管理することを基本とし、複数の所管に関わる場合は、組織横断的な委員会などで審議の上、適切に管理している。

 経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについては、執行役社長を委員長とする「リスク管理委員会」において、リスクの現実化を予防するとともに、万一現実化した場合には迅速かつ的確に対応することにより、経営に及ぼす影響を最小限に抑制する。加えて、従業員に対して、関係法令教育や社内規程・マニュアルの教育を定期的に実施している。

 しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況にあり、以下のリスクが現実化した場合、事業に大きな影響を与える可能性がある。なお、各リスク項目の記載順序については、事業への影響度や発生可能性などを踏まえて判断した重要度に基づいている。

 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。

 

①福島第一原子力発電所事故

 福島第一原子力発電所では、安全確保を最優先に、「東京電力ホールディングス㈱福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(以下「中長期ロードマップ」)に沿って、国や関係機関の協力を得ながら廃止措置等に向けた取り組みを進めている。しかしながら、汚染水の処理・保管や地下水の流入抑制などの汚染水対策や、これまで経験のない技術的困難性を伴う燃料デブリの取り出しなど、廃止措置等には多くの課題があること等から、中長期ロードマップ通りに取り組みが進まない可能性がある。その場合、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 また、原子力事故の発生による格付の低下等により、資金調達力が低下していることから、当社グループの業績、財政状態及び事業運営は影響を受ける可能性がある。

 

②電気の安定供給

 東北地方太平洋沖地震の影響等による柏崎刈羽原子力発電所の全号機停止により、当社グループは電気の供給力が低下していることから、供給力の確保と需要面の対策を進めている。しかしながら、大規模自然災害、設備事故、テロ等の妨害行為、燃料調達支障、感染症の発生などにより、長時間・大規模停電等が発生し、安定供給を確保できなくなる可能性がある。これらの場合、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があるとともに、社会的信用を低下させ、事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

③原子力発電・原子燃料サイクル

 原子力事故を踏まえた、国による原子力政策の見直しや原子力規制委員会による安全規制の見直し等により、持株会社である当社及びその関係会社の原子力発電事業や原子燃料サイクル事業の運営は影響を受ける可能性があるとともに、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 原子力発電所については、どのような事態が起きても過酷事故には至らないようにするという決意のもと、安全対策の強化や組織の改革に取り組んでいる。なお、柏崎刈羽原子力発電所については、現段階では再稼働の時期は見通せない状況にあり、この状況が続いた場合、火力燃料費の増加や不要となる核燃料資産の発生、発電設備の資産性の評価等により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 また、原子力発電・原子燃料サイクルは、使用済燃料の再処理、放射性廃棄物の処分、原子力発電施設等の解体等に、多額の資金と長期にわたる事業期間が必要になるなど不確実性を伴う。バックエンド事業における国による制度措置等によりこの不確実性は低減されているが、制度措置等の見直しや制度外の将来費用の見積額の増加、六ケ所再処理施設等の稼働状況、同ウラン濃縮施設に係る廃止措置のあり方などにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

④販売電力量・販売価格

 販売電力量は、経済活動や生産活動を直接的に反映することに加え、夏季・冬季を中心とした天候の影響、節電や省エネルギーの進展等による影響を受けることがある。また、販売価格は、電力小売全面自由化や卸電力取引所における取引量の拡大等に伴う競合他社との競争激化による影響を受ける可能性がある。これらにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

⑤お客さまサービス

 当社グループは、お客さまサービスの向上に努めているが、不適切なお客さま応対等により、お客さまの当社グループのサービスへの満足度や社会的信用等が低下し、当社グループの業績、財政状態及び円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑥火力発電用燃料価格

 火力発電用燃料であるLNG、原油、石炭等の価格は、燃料国際市況や外国為替相場の動向等により変動し、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。ただし、一定の範囲内の燃料価格の変動については、燃料価格や外国為替相場の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」により、業績への影響は緩和される。

 

⑦電気事業制度・エネルギー政策変更

 電気事業における制度変更を含めたエネルギー政策の見直し、地球温暖化に関する環境規制の強化やESGに関連した投資者の行動変化など、当社グループを取り巻く環境の変化により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

⑧安全確保、品質管理、環境汚染防止

 当社グループは、安全確保、品質管理、環境汚染防止、透明性・信頼性の高い情報公開の徹底に努めているが、作業ミス、法令・社内ルール違反等による、事故や人身災害、大規模な環境汚染の発生や、不適切な広報・情報公開により、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑨企業倫理遵守

 当社グループは、企業倫理を遵守した業務運営を定着させるための取り組みに努めているが、法令違反等の企業倫理に反した行為が発生した場合、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑩情報管理

 当社グループは、大量のお客さま情報をはじめ、業務上の重要な情報を保有している。社内規程の整備や、従業員教育等を通じ情報の厳正な管理に留意しているが、これらの情報の流出等が発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑪金融市場の動向

 企業年金資産等において保有している国内外の株式や債券は、株式市況や債券市況等により時価が変動することから、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 また、支払利息に関しては、今後の金利動向等により影響を受けることがある。

 

⑫電気事業以外の事業

 当社グループは、海外事業を含む電気事業以外の事業を実施している。これらの事業は、当社グループの経営状況の変化、他事業者との競合の進展、規制の強化、外国為替相場や燃料国際市況その他の経済状況の変動、政情不安、自然災害などにより、投融資時点で想定した結果をもたらさない可能性がある。この場合、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

⑬機構による当社株式の引受け

 当社は、2012年7月31日に機構を割当先とする優先株式(A種優先株式及びB種優先株式。以下A種優先株式及びB種優先株式をあわせて「本優先株式」という。)を発行した。

 A種優先株式には、株主総会における議決権のほか、B種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。また、B種優先株式には、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会における議決権は付されていないが、A種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。

 機構は、本優先株式の引受けにより総議決権の2分の1超を保有しており、株主総会における議決権行使等により、当社グループの事業運営に影響が生じる可能性がある。

 今後、機構によりB種優先株式のA種優先株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合、又は本優先株式について、普通株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合には、既存株式の希釈化が進む可能性がある。特に、普通株式を対価とする取得請求権が行使された場合には、既存株式の希釈化が進む結果として、持株会社である当社の株価が下落する可能性があるほか、当該普通株式を機構が市場売却した場合には、売却時の市場環境等によっては、さらに持株会社である当社の株価に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑭新々・総合特別事業計画(第三次計画)に基づく経営改革

 新々・総合特別事業計画(第三次計画)(以下「新々・総特」)の下、当社グループは、福島への責任を果たしていくため、賠償・廃炉の資金確保や企業価値の向上を目指して経営改革に取り組んでいるが、新々・総特に記載の生産性改革、共同事業体の設立を通じた再編・統合及びその他の経営改革が計画通りに進まない場合には、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑮新型コロナウイルス感染症の拡大

 今般の新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、経済活動や生産活動が低迷した場合、電力需要は影響を受ける可能性がある。また、感染症の流行が長期に亘ることとなった場合、資機材の納入が滞り工事が予定通り進まないなどの影響が生じる可能性がある。その場合、当社グループの業績、財政状態及び事業運営は影響を受ける可能性がある。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

イ.財政状態

[資産・負債・純資産]

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ7,996億円減少し、11兆9,578億円となった。これは、電気事業固定資産が減少したことなどによるものである。

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ8,128億円減少し、9兆409億円となった。これは、有利子負債が減少したことなどによるものである。

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ131億円増加し、2兆9,168億円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどによるものである。この結果、自己資本比率は24.3%と前連結会計年度末に比べ1.7ポイント上昇した。

 

ロ.経営成績

[概要]

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比1.5%減の6兆2,414億円、経常利益は同4.5%減の2,640億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同78.2%減の507億円となった。

[売上高]

 当連結会計年度における各セグメントの売上高(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが8,469億円(前連結会計年度比10.9%減)、フュエル&パワーが97億円(前連結会計年度比99.5%減)、パワーグリッドが1兆7,598億円(前連結会計年度比1.6%減)、エナジーパートナーが5兆6,428億円(前連結会計年度比3.7%減)となった。

 販売電力量は、前連結会計年度比3.5%減の2,223億kWhとなった。

[経常利益]

 当連結会計年度における各セグメントの経常利益(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが1,529億円(前連結会計年度比34.3%減)、フュエル&パワーが647億円(前連結会計年度は35億円)、パワーグリッドが1,166億円(前連結会計年度比2.4%増)、エナジーパートナーが600億円(前連結会計年度比17.5%減)となった。

[親会社株主に帰属する当期純利益]

 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、特別利益に原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金1,016億円、持分変動利益1,997億円、災害損失引当金戻入額1,135億円を計上した一方、特別損失に災害特別損失3,949億円、原子力損害賠償費1,079億円、福島第二廃止損失956億円、減損損失105億円を計上したことなどから、692億円となった。ここに、法人税、住民税及び事業税188億円、法人税等調整額△12億円、非支配株主に帰属する当期純利益8億円を計上し、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、507億円となった。なお、1株当たり当期純利益は31円65銭となった。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,872億円(18.7%)減少し、8,121億円となった。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、前連結会計年度比35.8%減の3,234億円となった。これは、購入電力料の支出が増加したことなどによるものである。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度比11.0%減の5,082億円となった。これは、固定資産の取得による支出が減少したことなどによるものである。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の収入は、135億円(前連結会計年度は1,176億円の支出)となった。これは、社債の償還による支出が減少したことなどによるものである。

 

③ 生産及び販売の実績

 当社グループは、水力・原子力発電等を行う「ホールディングス」、火力発電等を行う「フュエル&パワー」、送電・変電・配電による電力の供給等を行う「パワーグリッド」及び電気の販売等を行う「エナジーパートナー」の4つのセグメントがコスト意識を高めるとともに自発的に収益拡大に取り組みつつ、一体となって電気事業を運営している。加えて、電気事業が連結会社の事業の大半を占めており、また、電気事業以外の製品・サービスは多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくないため、生産及び販売の実績については、電気事業のみを記載している。

 

イ.発電実績

種別

2019年度

(百万kWh)

前年同期比

(%)

水力発電電力量

10,743

97.0

火力発電電力量

160

0.1

原子力発電電力量

新エネルギー等発電電力量

62

87.2

発電電力量合計

10,966

5.7

 (注)2019年4月1日付けで㈱JERAが承継会社となり、既存火力発電事業等を吸収分割により承継させた。これに伴い、前年同期比で火力発電電力量が減少している。

 

ロ.販売実績

(a) 販売電力量

種別

2019年度

(百万kWh)

前年同期比

(%)

販売電力量

222,277

96.5

(注)上記販売電力量には、連結子会社の一部を含んでいる。

 

(b) 電気料収入

種別

2019年度

(百万円)

前年同期比

(%)

電気料収入

4,509,693

94.1

(注)1.上記電気料収入には、消費税等は含まれていない。

   2.連結子会社の一部を含んでいる。

 

   (c) 託送収入

種別

2019年度

(百万円)

前年同期比

(%)

託送収益

1,494,220

96.0

(注)1.上記料金収入には、消費税等は含まれていない。

   2.セグメント間取引消去前

 

④ 電気料金

 東京電力エナジーパートナー株式会社は、2019年10月1日より消費税率(地方消費税率を含む)が8%から10%へ変更になることを踏まえ、2019年8月28日に経済産業大臣に特定小売供給約款の変更を届出し、2019年10月1日から実施している。

 主要契約種別の新税率が適用される場合の電気料金は下記のとおりである。

 

電気料金表

(消費税等相当額を含む料金単価)

 

 

単位

料金単価(円)

需要家料金

1契約   1か月につき

55.00

10Wまで

1灯    1か月につき

99.56

10W超過 20Wまで

149.62

20W 〃 40W 〃

249.74

40W 〃 60W 〃

349.87

60W 〃 100W 〃

550.12

100W 〃 100Wまでごとに

550.12

50VAまで

1機器   1か月につき

239.17

50VA超過 100VAまで

387.05

100VA 〃 100VAまでごとに

387.05

最低料金

1か月8kWhまで

235.84

電力量料金

上記超過1kWhにつき

19.88

10A

1契約   1か月につき

286.00

15A

429.00

20A

572.00

30A

858.00

40A

1,144.00

50A

1,430.00

60A

1,716.00

最初の120kWhまで

1kWhにつき

19.88

120kWh超過 300kWhまで

26.48

300kWh超過

30.57

最低月額料金

1契約   1か月につき

235.84

基本料金

1kVA  1か月につき

286.00

最初の120kWhまで

1kWhにつき

19.88

120kWh超過 300kWhまで

26.48

300kWh超過

30.57

 

 

 

単位

料金単価(円)

需要家料金

1契約   1か月につき

49.50

10Wまで

1灯    1か月につき

90.10

10W超過 20Wまで

136.20

20W 〃 40W 〃

228.40

40W 〃 60W 〃

320.61

60W 〃 100W 〃

505.02

100W 〃 100Wまでごとに

505.02

50VAまで

1機器   1か月につき

218.27

50VA超過 100VAまで

349.65

100VA 〃 100VAまでごとに

349.65

基本料金

1kVA  1か月につき

258.50

電力量料金

1kWhにつき

20.05

最低月額料金

1契約   1か月につき

224.84

基本料金

1kW   1か月につき

1,122.00

電力量料金

1kWhにつき

夏季

17.37

その他季

15.80

(注)1.上記契約種別のほか、臨時電灯、臨時電力、農事用電力がある。

2.料金単価欄の「夏季」とは毎年7月1日から9月30日までの期間をいい、「その他季」とは毎年10月1日から翌年の6月30日までの期間をいう。

3.原油・LNG(液化天然ガス)・石炭などの燃料価格の変動に応じ毎月自動的に料金を調整する燃料費調整制度が導入されている。なお、燃料費調整制度の算定方法は、「(参考)燃料費調整」に記載している。

 

(参考)燃料費調整

特定小売供給約款における燃料費調整

a.燃料費調整単価の算定方法

平均燃料価格の範囲

燃料費調整単価の算定方法

44,200円/klを下回る場合

(44,200円-平均燃料価格)×基準単価/1,000

44,200円/klを上回り,かつ,66,300円/kl以下の場合

(平均燃料価格-44,200円)×基準単価/1,000

66,300円/klを上回る場合

(66,300円-44,200円)×基準単価/1,000

 

b.基準単価

 

単位

基準単価

従量制

1kWhにつき

23銭2厘

(注) 定額制供給についても,同様に基準単価がある。

 

⑤ 託送供給料金

 東京電力パワーグリッド株式会社は、2019年10月1日より消費税率(地方消費税率を含む)が8%から10%へ変更になることを踏まえ、2019年8月21日に経済産業大臣に「託送供給等約款」の変更を届出し、2019年10月1日から実施している。

 主要託送供給料金は下記のとおりである。

 

託送供給料金表

(消費税等相当額を含む料金単価)

 

 

単位

料金単価(円)

接続送電サービス

低圧

電灯定額接続送電サービス

電灯

料金

10Wまで

1灯    1か月につき

35.54

10W超過 20Wまで

71.09

20W 〃 40W 〃

142.19

40W 〃 60W 〃

213.28

60W 〃 100W 〃

355.47

100W 〃 100Wまでごとに

355.47

小型

機器

料金

50VAまで

1機器   1か月につき

106.17

50VA超過 100VAまで

212.34

100VA 〃 100VAまでごとに

212.34

電灯標準接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

214.50

SB・主開閉器契約

1kVA  1か月につき

143.00

SB契約;5Aの場合

1契約   1か月につき

71.50

SB契約;15Aの場合

214.50

電力量料金

1kWhにつき

7.45

電灯

時間帯別接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

214.50

SB・主開閉器契約

1kVA  1か月につき

143.00

SB契約;5Aの場合

1契約   1か月につき

71.50

SB契約;15Aの場合

214.50

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

8.20

夜間時間

1kWhにつき

6.55

電灯従量接続送電サービス

1kWhにつき

10.97

動力標準接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

704.00

主開閉器契約

445.50

電力量料金

1kWhにつき

5.17

動力

時間帯別接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

704.00

主開閉器契約

445.50

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

5.69

夜間時間

4.57

動力従量接続送電サービス

16.71

 

 

 

単位

料金単価(円)

接続送電

サービス

高圧

高圧標準

接続送電

サービス

基本料金

1kW   1か月につき

555.50

電力量料金

1kWhにつき

2.34

高圧

時間帯別

接続送電

サービス

基本料金

1kW   1か月につき

555.50

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

2.57

夜間時間

2.04

高圧従量接続送電サービス

1kWhにつき

11.45

ピークシフト割引

1kW   1か月につき

471.90

特別

高圧

 

特別

高圧標準

接続送電

サービス

基本料金

379.50

電力量料金

1kWhにつき

1.30

特別高圧

時間帯別

接続送電

サービス

基本料金

1kW   1か月につき

379.50

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

1.39

夜間時間

1.17

特別高圧従量接続送電サービス

7.52

ピークシフト割引

1kW   1か月につき

322.30

予備送電サービス

高圧

予備送電サービスA

71.50

予備送電サービスB

88.00

特別

高圧

予備送電サービスA

66.00

予備送電サービスB

77.00

近接性

評価割引

受電電圧が標準電圧6,000V以下の場合

1kWhにつき

0.69

受電電圧が標準電圧6,000Vをこえ140,000V以下の場合

0.41

受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合

0.21

(注)1.上記契約種別のほか、臨時接続送電サービス、発電量調整受電計画差対応電力、接続対象計画差対応電力、

需要抑制量調整受電計画差対応電力、給電指令時補給電力がある。

2.SBとは、電流制限器またはその他適当な電流を制限する装置。

3.時間帯別接続送電サービスにおける「昼間時間」とは、毎日午前8時から午後10時までの時間をいい、「夜間時間」とは、「昼間時間」以外の時間をいう。ただし、日曜日、祝日(「国民の祝日に関する法律」に規定する休日)および1月2日・3日、4月30日、5月1日・2日、12月30日・31日は、全日「夜間時間」扱いとする。

4.近接性評価割引とは、近接性評価地域に立地する発電場所における発電設備を維持し、および運用する発電契約者から当該発電設備に係る電気を受電し、接続供給を利用する場合に行う割引をいう。

5.これまで近接性評価割引対象とされていた地域において、現に割引の適用を受けている電源についても、暫定的に、引き続き割引くこととし、受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合の単価を適用する。

 

 

ハ.資材の状況

重油及び原油等の受払状況

 2019年4月1日付けで㈱JERAが承継会社となり、既存火力発電事業等を吸収分割により承継させた。これに伴い、2018年度末在庫量については、すべて㈱JERAへ承継されている。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものである。

 

① 経営成績等

 当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、省エネルギーの進展等により国内エネルギー需要の減少傾向が続くなか、小売事業におけるさらなる競争の激化などにより、一層厳しい状況にある。
 こうしたなか、当社グループは、福島への責任を貫徹するため、カイゼン活動をはじめとした生産性改革、株式会社JERAを象徴とする他社との提携、成長領域への事業展開などの取り組みをグループ一丸となってすすめ、収益力と企業価値の向上に努めてきた。
 当社グループの当連結会計年度の販売電力量(連結)は、電力小売全面自由化や気温の影響などにより、前連結会計年度比3.5%減の2,223億kWhとなった。
 当連結会計年度の連結収支については、収益面では、販売電力量(連結)が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比1.5%減の6兆2,414億円となり、その他の収益を加えた経常収益合計は0.4%減の6兆3,488億円となった。
 一方、費用面では、原子力発電が引き続き全機停止するなか、グループをあげたコスト削減の徹底などにより、経常費用合計は前連結会計年度比0.2%減の6兆848億円となった。
 この結果、経常利益は前連結会計年度比4.5%減の2,640億円となった。また、株式会社JERAへの既存火力発電事業等の承継に伴う持分変動利益、福島第二原子力発電所の廃止決定に伴う災害損失引当金の戻入額、原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金を合わせ4,149億円を特別利益として計上する一方、燃料デブリの取り出しに係る支出の一部などの災害特別損失、原子力損害賠償費、福島第二原子力発電所の廃止決定に伴う損失などを合わせ6,093億円を特別損失として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は507億円となった。
 当連結会計年度の自己資本比率については前連結会計年度の22.6%から24.3%に、デット・エクイティ・レシオについては前連結会計年度の2.04から1.69になるなど、引き続き財務体質の改善をすすめた一方、資本効率の指標であるROE/ROAは、親会社株主に帰属する当期純利益の減少などにより、ROEは前連結会計年度の8.4%から1.8%に、ROAは前連結会計年度の2.5%から1.7%となった。

 当連結会計年度における各セグメントの業績(セグメント間取引消去前)は次のとおりである。
[ホールディングス]
 収益面では、販売電力料収入が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比10.9%減の8,469億円となり、経常収益合計は10.9%減の1兆104億円となった。一方、費用面では、システム維持費用を各基幹事業会社による負担に変更したことなどから、経常費用合計は前連結会計年度比4.8%減の8,574億円となった。
 この結果、経常利益は前連結会計年度比34.3%減の1,529億円となった。
[フュエル&パワー]
 2019年4月1日、東京電力フュエル&パワー株式会社の既存火力発電事業等を株式会社JERAに承継させたことに伴い、収益面、費用面とも前連結会計年度に比べ大幅に減少となった。
 経常利益は、持分法適用会社である株式会社JERAが燃料費調整における期ずれの影響などにより増益となったことなどから、前連結会計年度に比べ612億円増の647億円となった。
[パワーグリッド]
 収益面では、気温の影響などによりエリア需要が前連結会計年度比1.8%減の2,698億kWhとなり、託送収入が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比1.6%減の1兆7,598億円となり、経常収益合計は1.6%減の1兆7,778億円となった。
 一方、費用面では、購入電力料や修繕費が減少したことなどから、経常費用合計は前連結会計年度比1.9%減の1兆6,611億円となった。
 この結果、経常利益は前連結会計年度比2.4%増の1,166億円となった。
[エナジーパートナー]
 収益面では、販売電力量(連結)が前連結会計年度比3.5%減の2,223億kWhとなったことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比3.7%減の5兆6,428億円となり、経常収益合計は3.7%減の5兆6,492億円となった。
 一方、費用面では、購入電力料が減少したことなどから、経常費用合計は前連結会計年度比3.5%減の5兆5,892億円となった。
 この結果、経常利益は前連結会計年度比17.5%減の600億円となった。

 

 2019年度末より世界的に流行している新型コロナウイルス感染症が経済や暮らしに影響を与える中、2019年度当社エリア電力需要への影響は軽微であった。全て新型コロナウイルス感染症の影響と断定することはできないが、2020年度4・5月累計の当社エリア電力需要は前年同月比で7%程度減少している。今後、電力需要の減少が継続する可能性があるため、引き続き動向を注視していく。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況

イ.キャッシュ・フロー等

(a) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。

 

(b) 有利子負債

 2020年3月31日現在の社債、長期借入金、短期借入金については、以下のとおりである。

 

当連結会計年度(2020年3月31日)

 

1年以内

(百万円)

1年超

2年以内

(百万円)

2年超

3年以内

(百万円)

3年超

4年以内

(百万円)

4年超

5年以内

(百万円)

5年超

(百万円)

社債

457,204

99,631

221,999

160,000

200,806

1,075,000

長期借入金

511,664

46,497

23,765

57,102

28,084

60,475

短期借入金

1,972,699

合計

2,941,568

146,129

245,765

217,102

228,890

1,135,475

 上記については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)2.金融商品の時価等に関する事項(注4)社債、長期借入金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額」にも記載。

 

ロ.財務政策

 東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に伴う多額の損失の発生や原子力発電所の停止等による燃料費の増加等により財務基盤と収益構造が大幅に悪化するとともに、自律的な資金調達力が低下したことを受け、総合特別事業計画(2012年5月に主務大臣より認定。)に基づき、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下、「機構」)から1兆円の出資を受けるとともに、取引金融機関に対しては、その後の新・総合特別事業計画等(2014年1月に主務大臣より認定。)においてもあわせて、追加与信及び借換え等による与信の維持等をお願いし、ご協力をいただいてきた。

 新々・総合特別事業計画(2017年5月に主務大臣より認定。)等においても、取引金融機関に対し、前回総特での協力要請の通り引き続き与信を維持することなどをお願いし、ご協力をいただいている。これらの機構や金融機関の支援・協力のもとで、自己資本比率の改善、公募社債市場への復帰を2017年3月に実現しており、2019年度はパワーグリッドにおいて5,800億円の公募社債を発行した。引き続き社債の発行を継続するなど、当社グループの自律的な資金調達力の回復もはかっていく。

 金融機関からの借入金や社債の発行により調達した資金は、電気事業等に必要な設備資金、借入金返済及び社債償還等に充当している。設備投資計画については、「第3 設備の状況」のとおりであり、借入金返済及び社債償還の予定については、「② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況 イ.キャッシュ・フロー等 (b) 有利子負債」のとおりである。

 また、当社グループでは、グループ全体でより効率的な資金の運用を図る観点からグループ金融制度を採用している。

 なお、新型コロナウイルス感染症による景気後退を起因とした資金繰りへの影響については、今後注意深く見極めていく。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

イ.福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失に係る引当金

(a) 廃炉に関連した見積りの前提

 東京電力ホールディングス株式会社(以下、「東電HD」という)では、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下、「機構」という)により指定された額について、廃炉等に充てる資金の積立てを行い(廃炉等積立金)、機構と共同で、廃炉作業を想定したうえで必要となる資金について取戻し計画を策定する。当該計画について、経済産業大臣の承認を受けたのちに、廃炉等積立金の取戻しを行い、実際の廃炉作業への支出を行っている。

 廃炉作業に関連して発生する費用又は損失に係る引当金は、災害損失引当金、特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金の3つの科目で貸借対照表上に計上している。

 

 

0102010_001.png

 

※災害損失引当金、特定原子力施設炉心等除去引当金及び特定原子力施設炉心等除去準備引当金の関係

 

引当の対象

取戻し計画の状況

引当金の名称

取戻し計画に定める金額のうち炉心等除去に要する費用

大臣の承認後

特定原子力施設炉心等除去引当金

大臣の承認前

特定原子力施設炉心等除去準備引当金

その他

災害損失引当金

 

(b) 会計上の見積方法

ⅰ) 災害損失引当金

 災害損失引当金に含まれる主な費用又は損失の計上方法等については以下のとおりである。

福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失

 政府の原子力災害対策本部が設置する政府・東京電力統合対策室により策定された「東京電力福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋 ステップ2完了報告書」(平成23年12月16日)を受け、政府の原子力災害対策本部が設置する政府・東京電力中長期対策会議により「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(平成23年12月21日。以下、「中長期ロードマップ」という)が策定された(令和元年12月27日最終改訂)。

 当社は中長期ロードマップの主要な目標工程等や原子力規制委員会により策定された「東京電力福島第一原子力発電所の中期的リスクの低減目標マップ(2020年3月版)」(令和2年3月4日)に掲げる目標を達成するための具体的な計画として「廃炉中長期実行プラン2020」(2020年3月27日)を策定した。

 これを踏まえ、通常の見積りが可能な費用又は損失については、具体的な目標期間と個々の対策内容に基づく見積額(「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」(平成23年8月10日 法律第94号)第55条の9第2項の承認の申請をした廃炉等積立金の取戻しに関する計画における炉心等除去に要する費用を除く)を計上している。一方、将来の工事等の具体的な内容を当事業年度末では想定できず、通常の見積りが困難である費用又は損失については、海外原子力発電所事故における実績額に基づく概算額を計上している。

福島第一原子力発電所1~4号機の廃止に関する費用又は損失のうち加工中等核燃料の処理費用

 今後の使用が見込めない加工中等核燃料に係る処理費用について、当該費用の現価相当額(割引率4.0%)を計上している。

 

ⅱ) 特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金

 東北地方太平洋沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用又は損失に備えるため、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」(平成23年8月10日 法律第94号)第55条の9第2項の承認の申請をした廃炉等積立金の取戻しに関する計画に定める金額のうち炉心等除去に要する費用を計上している。なお、申請額のうち、既承認額については特定原子力施設炉心等除去引当金に、それ以外の申請額については特定原子力施設炉心等除去準備引当金に計上している。

 なお、事故炉である福島第一原子力発電所の解体費用の見積りについては、通常炉と同様の状況にまで復旧させるための費用は、災害損失引当金、特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金として計上し、通常炉としての解体費用については、原子力発電施設解体費として計上している。前者については、以下の不確実性が存在する一方、後者については、通常炉と同様の省令に準じた見積りとなる。

 

(c) 不確実性

 災害損失引当金、特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金においては、主に以下の不確実性を含んでいる。

ⅰ) 通常の見積りが可能なもの

 2020年3月27日に公表した廃炉中長期実行プランでは、廃炉の主要な作業プロセスを提示した。当連結会計年度末においては、これに基づき関連する費用の見積りを行っている。

 福島第一原子力発電所の廃炉は過去に前例のない取り組みであり、それ自体に不確実性を内包しているが、それでも至近3年程度は概念検討などが進んでいることから具体的な工事や作業を計画しやすい一方で、それ以降はこれから具体的な検討をするものが多く、中でもデブリ取出しに関しては本格的に取り出すための装置は構想に近い段階にあるなど、長期にわたる工事や作業の金額を見積るにあたっては、多くの仮定を置かざるを得ない。今回の見積りでは、それぞれの作業プロセスにおいて、現在進められている国等の研究の状況や実施内容が類似する過去の作業内容に基づいた仮定を置いているが、今後の研究の進展や現場状況のより詳細な把握、ステップ・バイ・ステップのアプローチに基づく新たな技術的知見の獲得などにより、見積りの前提として置いた仮定は見直しが必要となることも考えられる。このような場合、新たな作業や想定していた作業方法の変更、作業の範囲の見直し、作業単価の変動等が生じ、廃炉費用の見積りは変動する可能性がある。

 

ⅱ) 通常の見積りが困難なもの

 工事等の具体的な内容を現時点では想定できず、通常の見積りが困難な費用又は損失については、類似事例である米スリーマイル島原子力発電所(以下、「TMI」という)の事故における費用実績額に基づく概算額を計上している。当見積りにおいては、TMIでの費用処理実績額に、TMIの事故発生時から福島第一原子力発電所の事故発生時までの間における物価上昇率、為替レートなどに、取出し対象基数などを加味して算定を行っている。これには、廃炉に必要となる作業の種類、範囲及び量は、発電機の基数に比例する等の仮定に基づいているが、TMIと福島第一原子力発電所では、燃料デブリの量や、原子炉内の存在箇所の違いによる難易度の違い等、状況の差異があることから、想定した見積りと実際の作業の種類・範囲及び量が変動する可能性がある。また、事故炉の廃炉という極めて限定的かつ長期にわたって発生する作業について、作業の種類・範囲及び量が一定であったとした場合においても、物価水準の変動、技術革新の状況等が生じ、廃炉費用の見積りは変動する可能性がある。

 

(d) 変動により生じる影響

 上記により、今後の状況の変化によって、将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。

 

ロ.退職給付に係る負債

(a) 会計上の見積方法

 従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上している。

 退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当連結会計年度末までの期間に帰属させる方法については、期間定額基準によっており、過去勤務費用は、主としてその発生時に全額を費用処理している。数理計算上の差異は、主として各連結会計年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(3年)による定額法により按分した額を、それぞれ発生の当連結会計年度から費用処理している。

 未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用については、税効果を調整の上、純資産の部におけるその他の包括利益累計額の退職給付に係る調整累計額に計上している。

 退職給付債務の計算において使用する割引率は、期末の国債及びダブルA格社債の利回り(指標利率)を基に決定しており(2019年度は1.0%を採用)、年金資産の長期期待運用収益率は、運用方針や保有している年金資産のポートフォリオ及び過去の運用実績等を基に決定している(2019年度は2.5%を採用)。

 

(b) 不確実性

 上記による従業員の退職給付に係る債務及び費用は、割引率、退職率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率、年金数理計算上の基礎率などについて合理的な仮定に基づき見積っているが、実績との差異や仮定の変動は、将来の退職給付に係る債務・費用に影響を及ぼす可能性がある。指標利率の変動により割引率を変更することとなった場合は、退職給付債務が変動するが、退職給付債務が10%以上変動しないと見込まれる場合は、重要性基準により変更しない。また、年金資産として保有している株式や債券は、金融市場の動向により時価が変動する。

 

(c) 変動により生じる影響

 上記により、将来の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

 会計方針に基づき、数理計算上の差異は発生年度より3年間で定額償却しており、変動影響は以下のとおりである。

 

 

退職給付債務への影響

退職給付費用への影響(年)

割引率変更0.1%あたり

110億円程度

40億円程度

年金資産運用収益率の差異1.0%あたり

 50億円程度

20億円程度

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

 「新々・総合特別事業計画(第三次計画)」に記載のとおり、賠償・廃炉に必要な資金を確保しつつ、2026年度以内に連結経常利益で3,000億円/年超、2027年度以降には4,500億円規模の利益水準を達成することを目標に掲げている。

 当連結会計年度における経常利益は2,640億円となった。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、2019年11月11日開催の取締役会において、当社と「東京電力リニューアブルパワー株式会社(以下、新会社という)」との間で2020年4月1日を効力発生日とする吸収分割契約を締結することを決定し、同日、新会社と吸収分割契約を締結した。

 これに基づき、2020年4月1日に本件吸収分割の効力が発生し、当社の再生可能エネルギー発電事業は新会社へ承継された。

 

(1)当該吸収分割の目的

 当社は、今後、国内外で600~700万kWの総開発規模を目指して、再生可能エネルギーの主力電源化を推し進めていくこととしている。

 そのため、当社グループの再生可能エネルギーの認知度向上を志向した再生可能エネルギー電源への特化、国内外のパートナーとの連携や大規模な投資等に対する迅速な意思決定のための責任と権限の明確化、さらには、それを支える資金調達の柔軟化を目的として、2020年4月1日を目途に、当社の再生可能エネルギー発電事業を分社化することとした。

 分社化の準備を円滑に進めることを目的として、新会社を設立し、当社と新会社との間で2020年4月1日を効力発生日とする吸収分割契約を締結した。

 これに基づき、2020年4月1日に本件吸収分割の効力が発生し、当社の再生可能エネルギー発電事業は新会社へ承継された。

 

(2)当該吸収分割の要旨

① 吸収分割の日程

2019年8月7日

分社化方針の決定(取締役会決議)

2019年10月1日

新会社の設立

2019年11月11日

吸収分割契約の承認(取締役会決議)及び吸収分割契約の締結

2020年4月1日

吸収分割の効力発生

(注)当該吸収分割は、当社において会社法第784条第2項の規定に基づく簡易吸収分割の要件を充たすため、株主総会の承認は省略している。

 

② 吸収分割の方法

 当社を分割会社とし、新会社を承継会社とする簡易吸収分割である。

 

③ 吸収分割に係る株式の割当ての内容

 当該吸収分割に際し、承継会社である新会社は、普通株式316万7,000株を発行し、それらをすべて当社に対して割当て交付した。

 

④ 吸収分割に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い

 当社は新株予約権及び新株予約権付社債を発行していない。

 

⑤ 吸収分割により増減する資本金

 当社の資本金に変更はない。

 

⑥ 新会社が承継する権利義務

 新会社は、当社との間で締結した吸収分割契約の定めに従い、当社が営む再生可能エネルギー発電事業に関して有する権利義務を効力発生日に承継した。

 

⑦ 債務履行の見込み

当社及び新会社ともに、当該吸収分割後も資産の額が負債の額を上回ることが見込まれること、現在のところ、当該吸収分割後に負担する債務の履行に支障を及ぼす事態の発生は想定されていないことから、当該吸収分割後における当社及び新会社の債務履行の見込みについては、問題ないと判断している。

 

(3)当該吸収分割に係る割当ての内容の算定根拠

 新会社は、当社の100%連結子会社であり、当該吸収分割により新会社が発行する全株式を当社に割当て交付するため、当社と新会社間で協議し、割り当てる株式数を決定している。

 

(4)分割する資産、負債の項目及び金額(2020年4月1日現在)

資産

負債

項目

金額

(百万円)

項目

金額

(百万円)

固定資産

420,321

固定負債

53,089

流動資産

83,773

流動負債

144,184

合計

504,095

合計

197,273

 

(5)当該吸収分割後の新会社の状況(2020年4月1日現在)

 

新会社

(1)商号

東京電力リニューアブルパワー株式会社

(2)本店の所在地

東京都千代田区内幸町一丁目1番3号

(3)代表者の役職・氏名

代表取締役社長  文挾 誠一

(4)事業の内容

再生可能エネルギー発電事業 等

(5)資本金の額

1,000百万円

(6)決算期

3月31日

 

5【研究開発活動】

 当社グループの技術開発については、「東京電力ホールディングス㈱福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」ならびに「新々・総合特別事業計画」に基づき、「中長期ロードマップに基づいた廃炉の推進に向けた技術開発」及び「原子力安全の確保と電気の安定供給の達成に資する技術開発」を中心として取り組んでいる。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、17,905百万円である。なお、セグメント毎の研究開発費の内訳は、ホールディングスが9,511百万円、パワーグリッドが7,353百万円、エナジーパートナーが1,040百万円である。