第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営環境及び経営方針等

 当社グループを取り巻く経営環境は、省エネルギーの進展等による国内エネルギー需要の減少傾向が継続するとともに、小売事業において厳しい競争環境にあるなか、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞の影響などにより、一層厳しくなっている。

 当社グループは新々・総合特別事業計画(以下「総特」)に基づき、グループ一丸となって非連続の経営改革をやり遂げ、福島への責任を貫徹していく。さらに、社会的なご要請やお客さまからのご期待にお応えするための「カーボンニュートラル」や「防災」を軸とする諸施策を通じて、企業価値の向上を実現していく。

(https://www.meti.go.jp/press/2021/04/20210421004/20210421004-1.pdf)

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 総特のとおり、賠償・廃炉に必要な資金を確保しつつ、2026年度以内に連結経常利益で3,000億円/年超、2027年度以降には4,500億円規模の利益水準を達成することを目指す。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題等

 小売事業の競争激化や原子力発電所の長期停止に加え、自然災害の激甚化・広域化に伴う防災・電力レジリエンスの強化、再生可能エネルギーの大量導入等による電源の分散化、さらには世界的なカーボンニュートラルへの意識の高まり、ESG投資の拡大に伴う地球温暖化対策への要請など、事業環境や社会的要請は大きく変化している。

 当社グループは一丸となって、福島第一原子力発電所の事故を決して風化させることなく、福島への責任を全うするため、「復興と廃炉の両立」を推進していく。

 また、厳しい事業環境にあっても、社会的なご要請やお客さまからのご期待にお応えするための「カーボンニュートラル」や「防災」を軸とする諸施策を通じて、収益力と企業価値の向上を実現していく。

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、社員の出社前検温の徹底や地域をまたぐ往来の制限など、徹底した感染予防策を講じた。また、そうした経験を踏まえ、在宅勤務下でも社員が自律性を発揮し、多様な働き方を実現できるよう、危機管理の強化と社員の幸福度・仕事の生産性・お客さまの満足度の向上を同時に達成する新しいワークスタイルの確立に向けた取り組みをすすめていく。

 2021年4月に国から示された「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」を踏まえ、安全を最優先として海洋放出に向けた準備をすすめるとともに、風評影響を最大限抑制する取り組みを主体的に行っていく。

 加えて、柏崎刈羽原子力発電所と福島第一原子力発電所で発生した一連の不適切な事案により、事業をすすめるうえで最も大切な社会の皆さまからの信頼を大きく損なうことになった。当社としては、「福島第一原子力発電所事故の反省と教訓」という原点に今一度立ち返り、発電所の安全性や業務品質の向上に向け、全力をあげて取り組んでいく。

 

当年度の施策

[ホールディングス]

<福島事業>

イ.福島復興に向けた取り組み

 当社は、被害者の方々の個別のご事情を丁寧にお伺いしながら、迅速かつきめ細やかに賠償をすすめ、当年度末までに累計10兆46億円をお支払いした。

 また、昨年10月には、福島復興本社を発電所立地地域である双葉町に移転し、より地域に根差した活動をすすめ、当年度末までに、放射線量測定等の国や自治体による除染・中間貯蔵などへの協力人数は累計44.7万人、除草や清掃・片付けなどの復興推進活動への派遣人数は累計53.2万人となった。

 風評被害の払拭に向けた福島県産品の流通促進活動については、小売店や飲食店と連携したイベントの開催やSNS等による情報発信に加え、新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ、インターネットを活用した販売・キャンペーン企画やデリバリー・テイクアウトのイベントの開催などの新たな施策にも取り組んできた。

ロ.福島第一原子力発電所の廃炉

 汚染水対策については、陸側遮水壁やサブドレン、建屋屋根の補修、敷地舗装等の重層的な対策により、昨年12月には計画目標を上回る1日あたり約140m3まで汚染水の発生量を抑制するとともに、1号機から4号機のタービン建屋等の内部に滞留する汚染水の処理を完了した。

 使用済燃料プールからの燃料取り出しについては、3号機において安全に作業をすすめ、目標より約1か月早い本年2月末に全ての燃料の取り出しを完了したほか、1号機、2号機における取り出しに向けた調査等を着実にすすめてきた。

 また、「復興と廃炉の両立」を推進し、廃炉事業への地元企業の参画拡大をはかるため、地元企業に対する中長期の発注見通しの説明会や地元企業と元請企業との商談会を開催した。さらには地元における廃炉関連産業の形成や事業スキーム等の検討体制を強化するため、社長直轄のプロジェクト組織を設置した。

 

<経済事業>

ハ.柏崎刈羽原子力発電所の安全確保

 柏崎刈羽原子力発電所においては、新規制基準に基づく安全対策工事をすすめるとともに、厳しい条件を想定した訓練の実施や新潟県との原子力防災に関する協力協定の締結などにより緊急時対応力の強化や広域避難計画の実効性の向上に努めてきた。

 こうしたなか、IDカードの不正使用や核物質防護設備の機能の一部喪失などの事案を発生させ、地域のみなさまをはじめ広く社会のみなさまからの信頼を大きく損なうこととなった。

 当社は、これらの事案を大変重く受け止め、原子力・立地本部長及び新潟本社代表を発電所に駐在させ、現場・現物の視点に基づく組織の立て直しや情報公開・社会の目線に対する発電所所員の意識向上などに取り組むとともに、経営層と発電所所員の直接対話を通じた組織の課題の抽出をすすめてきた。

 引き続き、現場に経営資源を最大限投入し、組織全体として体制の強化をはかっていく。

 

ニ.持続的な成長の実現に向けた取り組み

 カーボンニュートラルへの社会的要請の高まりや自然災害の激甚化を踏まえ、電気に対するお客さまや社会からのご期待に応えながら、喜んでいただける価値を提供できるよう取り組んできた。

 具体的には、グループ全体のDX戦略の策定やグループ各社との協働によるマーケティング体制の整備をすすめるとともに、脱炭素社会の実現に貢献する電化の推進や社会全体のレジリエンス強化に寄与する防災の産業化に向けた諸施策について検討・実施をした。

 特に、需給変動調整や災害時のバックアップ電源としての役割も期待される電動車両に関しては、業務用車両の電動化を推進するコンソーシアムを設立するとともに、急速充電器の共同利用に関する実証実験を開始した。

 また、子会社の株式会社e-Mobility Powerにおいては、公共充電サービス事業などを本格的に推進するための基盤構築をすすめてきた。

 

[フュエル&パワー

イ.経営基盤とガバナンス体制の整備

 既存火力発電事業等の統合完了により確立した燃料上流・調達から発電、電力・ガスの卸販売にいたる一貫したバリューチェーンのもと、株式会社JERAの自律的な事業運営と迅速な意思決定が可能な経営体制を整えてきた。加えて、統合シナジー効果の早期発現に向けた基盤を構築するため、中部電力株式会社とともに、燃料・火力発電部門の人財を中心に、株式会社JERAへの転籍をすすめてきた。

 東京電力フュエル&パワー株式会社においては、株式会社JERAへの人財の転籍に伴い、社内組織の廃止による会社組織のスリム化をはかるとともに、東京電力ホールディングス株式会社との一体的な事業運営体制とすることとした。これにより、株式会社JERAに対するガバナンスを、より効果的かつ効率的に実施していく。

 

ロ.株式会社JERAの取り組み

 昨年10月、2050年時点において国内外の事業から排出されるCO2を実質的にゼロにすることに挑戦する「JERAゼロエミッション2050」を策定し、洋上風力発電を中心とした再生可能エネルギー発電の導入と、アンモニアや水素を活用して発電時にCO2を排出しないゼロエミッション火力発電の技術開発に向けた検討をすすめている。

 洋上風力発電事業については、昨年6月にフランスのIDEOL社及びADEME INVESTISSEMENT社と浮体式洋上風力発電事業会社の設立に関する基本合意を締結するとともに、国内の複数地点における建設計画を公表した。

 また、燃料トレーディング事業を担う子会社が2019年度から取り組んでいるLNG取引の最適化は着実な実績を上げ、企業価値の向上に貢献した。

[パワーグリッド

イ.安定供給と託送原価低減の両立

 電力供給の信頼度を確保したうえで、国際的にも遜色のない低廉な託送原価水準の実現をめざし、効率的でサステナブルな事業運営に取り組んできた。具体的には、カイゼン活動にデジタル技術を取り入れることにより設備保全の省力化・自動化の深掘りをすすめるとともに、他の一般送配電事業者と連携し、資機材の共同調達や地域間連系設備の建設の推進、共同のコンタクトセンターによる非常災害時を中心とした応援体制の構築などにより、グローバルレベルの効率的な事業運営基盤の構築とレジリエンスの強化をはかってきた。

 また、激甚化・広域化する自然災害への対応については、令和元年房総半島台風の経験を踏まえた中期的な対策として、自治体との連携強化に向けた基本協定の締結や停電に関する情報把握の精度向上と迅速化、復旧活動支援ツールの機能拡充・システム化などに取り組んできた。

 

ロ.事業領域の拡大に向けた取り組み

 地域や社会のみなさまの事業活動や課題解決などを支えるための新たな価値の提供をめざし、事業領域の拡大に取り組んできた。具体的には、国内において、市街地再開発事業における特定送配電サービス事業や携帯基地局サービス事業、電力使用データをもとにした宅内IoT事業を中心に事業展開をはかるとともに、海外での事業機会の発掘やグローバル人財の育成、技術やノウハウを活用した実証事業などにグループ会社も含め継続的に取り組んできた。

 また、カーボンニュートラルや地域のレジリエンスの強化といった社会的な課題に対し、産官学の枠を超えて協力し合う社会共創の基盤として、2020年8月、スマートレジリエンスネットワークを設立し、エネルギーにとどまらない多様な分野の企業・団体に参加いただいた。この枠組みを通じて、地域の分散電源の活用や新たな事業機会の創出に向けた検討などをすすめてきた。

 

[エナジーパートナー]

イ.サービスの拡充・拡大の取り組み

 電力小売市場における競争が激化するなか、単なる価格競争ではなく、エネルギーに対するお客さまの多様なニーズをとらえた新たな価値をサービスとして提供する取り組みを積極的にすすめてきた。

 具体的には、停電や水漏れ、鍵の紛失など、ご家庭におけるトラブルの応急措置に24時間365日対応する「生活かけつけサービス」をご家庭向けの主な電気・ガス料金プランに標準で付加した。さらに、お客さまのご要望にお応えして、ハウスクリーニングやフロアコーティング等のサービスの提供も開始するなど、お客さまへくらしの安心と快適をお届けする取り組みを拡充してきた。

 また、電気の販売に続き、ガス販売においても供給エリアを拡大し、関西・中部エリアでのご家庭向けの販売を開始したことにより、電気とガスをセットで選んでいただける機会を増やしてきた。

 

ロ.「カーボンニュートラル」価値の提供

 お客さまが抱えるESG等に関する課題を解決するビジネスパートナーとして、「カーボンニュートラル」の価値を提供する新たな取り組みを推進してきた。

 具体的には、株式会社ルネサンスと提携し、蓄電池や太陽光発電と電動バスを組み合わせることにより、平常時におけるエネルギーマネジメントの最適化と、災害時における電動バスの非常用電源としての活用を可能とする「V2Xシステム」の運用を開始した。

 また、固定価格買取制度の買取期間が満了した住宅用太陽光発電等に由来する環境価値を利用して、埼玉県内の事業者さまへ実質CO2フリーの電力を提供する地産地消型の電力メニューとして「彩の国ふるさとでんき」を創設したほか、三井不動産株式会社とともに、オフィスビル等のテナント企業さまに環境価値が付加された電力をご利用いただけるサービスを構築した。

 

[リニューアブルパワー]

イ.国内水力発電事業の基盤強化

 国内水力発電事業の維持・拡大の観点から、経年水力発電所の発電電力量の増加と設備信頼度の向上の両立をはかるため計画的なリパワリングをすすめている。加えて、既存の水力発電所の効率的な運用をめざして、点検ロボットの導入などによる作業停止期間の短縮や、同一水系発電所の一貫制御による発電電力量増加の実現とともに、水力発電所の運転制御の一拠点化等による効率化を推進している。

 また、揚水式水力発電については、再生可能エネルギーの導入拡大に伴って重要性が増している調整電源としての強みを活かし、一般送配電事業者の調整力として活用している。さらに、その蓄電機能を活用し、新電力等のお客さまのオフピーク時間帯に余剰電力で揚水し、ピーク時間帯に発電してお客さまに送電する「電力預かりサービス」の提供をすすめている。

 

ロ.事業領域拡大に向けた取り組み

 国内洋上風力発電事業については、千葉県銚子市沖の着床式洋上風力発電の実証試験及び実証機の商用化から得られた知見を活かし、千葉県銚子市沖ではオーステッド社と設立した共同開発会社を通じて、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律に基づく洋上風力発電事業者の公募に係る公募占用計画を作成し、2021年5月に主務大臣に提出した。あわせて、秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖でも住友商事株式会社ほか7社とともに組成したコンソーシアムを通じて事業に参画している。

 また、今後、国内外で普及が見込まれる浮体式洋上風力発電の技術を獲得し、事業開発の可能性を高めるため、昨年8月に新エネルギー・産業技術総合開発機構の公募する委託研究に参加するとともに、本年2月にはノルウェー沿岸におけるRWE Renewables社やShell Ventures社、Stiesdal Offshore Technologies社との共同実証プロジェクトに参画し、5月には陸上組み立て、浮体部分とキール(重り)の進水、及び風車取付けが完了し、夏頃の試運転を目指し、現在準備をすすめている。

 海外水力発電事業については、昨年4月、ジョージアの既設発電所に出資参画し、国内で培った技術をO&Mの最適化に活用するなどの取り組みをすすめている。

 

(参考)

・当年度の新型コロナウイルス感染症への対策と働き方改革の取り組み

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、社員の出社前検温の徹底や地域をまたぐ往来の制限など、徹底した感染予防策を講じた。また、そうした経験を踏まえ、With/Afterコロナ時代における本格的な仕事と働き方の変革に向けた取り組みとして「TEPCO Work Innovation」を全社的に推進し、リモートワークやサテライトオフィスの更なる拡充や、リモートワークにおけるコミュニケーションツールの充実化、ペーパーレス・ハンコレス化等の業務プロセス見直しを行った。在宅勤務下でも社員が自律性を発揮し、多様な働き方を実現できるよう、危機管理の強化と社員の幸福度・仕事の生産性・お客さまの満足度の向上を同時に達成する新しいワークスタイルの確立に向け、「TEPCO Work Innovation」の取り組みを引き続きすすめていく。

 

②優先的に対処すべき課題

[ホールディングス]

<福島事業>

イ.「3つの誓い」に基づく賠償と復興に向けた取り組み

 福島第一原子力発電所の事故からの10年を区切りとせず、「3つの誓い」に基づき、被害者の方々に寄り添い、時効を理由に一律に賠償請求をお断りすることなく、最後のお一人まで賠償を貫徹していく。

 また、来年春以降に計画されている特定復興再生拠点区域の避難指示解除も控えるなか、ご帰還に向けた最大限のご協力を行うなど、今後も復興の最前線に身を置きながら、地域の状況に応じた活動をすすめていく。

 加えて、「風評被害に対する行動計画」に基づき、引き続き、小売店や飲食店と連携したイベントの開催やインターネットを活用した企画等による販売促進、SNS等による情報発信を通じて、福島県産品の流通促進活動に取り組んでいく。

 

ロ.地域と共生した福島第一原子力発電所の廃炉の貫徹

 長期にわたる廃炉の貫徹に向け、プロジェクト管理と現場・現物を踏まえた安全・品質管理の機能強化をはかるとともに、「廃炉中長期実行プラン2021」に基づき安全・着実かつ計画的に廃炉作業をすすめていく。

 汚染水への対応については、敷地舗装や建屋屋根破損部の補修等による重層的な対策を実施し、汚染水発生量のさらなる低減をはかるとともに、原子炉建屋等の内部に滞留する汚染水の低減に向けた対策などを講じていく。

 多核種除去設備等処理水の処分に関しては、地域のみなさまをはじめとした関係者の方々のご理解を深めていただくための対話を継続しながら、国の基本方針を踏まえ、安全を最優先に海洋放出に向けた準備をすすめていく。あわせて、風評影響を最大限抑制するため、海域モニタリングの拡充・強化や正確かつ迅速な情報発信に向けたコミュニケーションの充実をはかり、国際原子力機関の専門家等によるレビューを受けるほか、生産・加工・流通・消費の各段階での対策などにも主体的に取り組んでいく。

 また、使用済燃料プールからの燃料取り出しに向け、1号機への大型カバーの設置や2号機での工法の検討などを着実にすすめていくほか、燃料デブリの取り出しに向けた2号機における試験的な取り出し装置の開発や1号機、3号機の格納容器内部の調査などにも取り組んでいく。

 加えて、「復興と廃炉の両立」の方針のもと、オープンで透明なプロセスによる地元企業の参画拡大や域外企業の誘致をはかることで浜通り地域への廃炉産業の集積をすすめ、地元の雇用創出や人材育成、産業・経済基盤の創造等に貢献していく。

 

<経済事業>

ハ.原子力発電事業の取り組み

 このたびの柏崎刈羽原子力発電所における一連の事案により、事業をすすめるうえで最も大切な社会のみなさまからの信頼を大きく損なうこととなった。当社としては、国内外の知見・経験を積極的に活用するとともに、当社の取締役会の諮問機関であり外部専門家で構成される原子力改革監視委員会から評価やご指導をいただきながら、組織的な課題の抽出や原因分析を行い、本社と発電所が一体となって発電所の安全性や業務品質を向上するための抜本的な改善策を講じていく。

 さらに、一連の事案の原因分析・対策立案にあたっては、安全文化・核セキュリティ文化に精通した社外委員のみで構成される「核物質防護に関する独立検証委員会」に評価いただくことで客観性を確保する。

 当社は、「福島第一原子力発電所事故の反省と教訓」という原点に立ち返り、発電所を生まれ変わらせるつもりで、発電所の安全性や業務品質の向上に向け、全力をあげて取り組み、立地地域のみなさまからの信頼を得られるよう、コミュニケーションの充実をはかり、地元本位の姿勢で事業に取り組んでいく。

 

ニ.当社グループの事業戦略と収益力向上への取り組み

 当社グループは、電気事業で培った人財や知見、設備などの強みを活用し、多様化する社会的要請やお客さまのニーズのなかでも「カーボンニュートラル」と「防災」を軸に、電化や地域経営などの観点から新たな価値を提供することで社会的課題を解決しながら新たな収益を生み出していく。

 また、中長期的な収益力と企業価値の向上のため、再生可能エネルギー事業、モビリティ等電化事業、データ・通信事業、海外事業を中心に、新たな事業を開発・展開していく。加えて、外部からの人財登用により、投資を通じた収益の創出をはかるとともに、投資活動に関する組織能力の向上を実現していく。

 こうした事業展開に向け、社員一人ひとりがお客さまのために変革を恐れず挑戦する新たな企業文化を確立するとともに、非連続の経営改革を牽引する人財の確保・育成やグループ全体の経営資源を戦略的に管理・配分する組織体制の整備などに取り組んでいく。

 加えて、当社がこれまで培ってきたカイゼン活動をベースにDXを推進することでさらなる生産性向上を実現し、業務プロセスの革新にとどまらないビジネスモデルや企業文化の変革をすすめ、お客さまのご期待に応える商品・サービスの提供につなげていく。

 

[フュエル&パワー

 株式会社JERAは、燃料上流・調達から発電、電力・ガスの卸販売にいたる一連のバリューチェーンにおいて、各事業領域の成長をはかるとともに、電源ポートフォリオの最適化や一体的かつ適切な経営管理などを行うことにより、競争力が高いエネルギー調達を実現し、お客さまに付加価値の高いエネルギーを安定的にお届けしていく。加えて、海外を中心として、再生可能エネルギーを含むIPP事業などを活用した戦略的な事業を実施することにより企業価値を高めるとともに、再生可能エネルギーとアンモニアや水素等のグリーンな燃料の導入をすすめ、発電時にCO2を排出しない火力発電を追求し、2050年時点で国内外の事業から排出されるCO2を実質的にゼロとするゼロエミッションに挑戦していく。

 東京電力フュエル&パワー株式会社は、気候変動の緩和に向けた取り組みに対する社会的要請の高まりや、世界的な経済成長の鈍化など、株式会社JERAを取り巻く事業環境が急激に変化していることを踏まえ、株式会社JERAにおける事業計画の策定への関与と事業計画の進捗に対するモニタリングなどによる株主としての株式会社JERAとの質の高いコミュニケーションを通じて適切なガバナンスを実施していく。特に事業計画の策定にあたっては、計画の進捗管理や長期トレンドの把握を通じて抽出した課題を共有するとともに、その課題への対策が株式会社JERAの経営に随時、柔軟に反映されるよう、支援・監督していく。

 

 

[パワーグリッド

 国内の電力需要の減少により託送事業の規模・収入が伸び悩む可能性があるなか、自然災害への対応が電気を安定的かつ低廉にお客さまへお届けし続けるうえでの大きな課題となりつつあり、これらに同時に対応していく必要がある。

 激甚化・広域化する自然災害に対して、デジタル技術の活用による効率的な情報収集や電力供給手段の多様化、電力業界内での技術・技能の共通化や設備仕様の統一等の取り組みに加えて、他の一般送配電事業者との相互応援や国・自治体を含めた関係者との連携・協働の強化等の対策を推進するとともに、既存設備の計画的・効率的な更新・革新をすすめていくことで、送配電ネットワークの健全性を維持しつつ強靭性を高めていく。

 また、再生可能エネルギーのさらなる普及等に向け、蓄電池などのお客さま設備の活用や既存系統を最大限に活用した効率的な系統連系等によるカーボンニュートラルの促進をはかるとともに、データセンターの普及など電力を利用して社会の利便性を高める活動を地域とともにすすめ、社会の電化を推進していく。さらに、自然災害発生時等にはドローンやスマートメーターから得られるデータを活かして正確な情報発信を行うとともに、早期の停電復旧に向けて分散電源を活用するなどの地域のレジリエンスの強化にも取り組むことで、安定供給を完遂しながら社会の変化に積極的に対応し、送配電ネットワークの新たな価値の創造に挑戦していく。

 加えて、人財、設備、データという面的に広がる経営資源を活用し、地域・社会における自治体や事業者等の活動を支える基盤となるプラットフォームを構築する取り組みを通じて事業領域を拡大するほか、海外の送配電事業の推進などによりさらなる成長をはかっていく。

 

[エナジーパートナー]

 国内の電力小売市場において、他社との価格競争がますます厳しいものとなっている。また、自然災害の激甚化や世界的なカーボンニュートラルの潮流、少子高齢化に伴う労働者不足に加え、新型コロナウイルスの影響等により、企業経営や働き方、生活スタイルが激変していくなか、お客さまがエネルギーに対して期待する価値は急激に変化しつつある。

 このような競争と変化のなかで、お客さまから選ばれ続けていくため、これまで培ってきた事業基盤に基づく強みと実績を活かしながら、DXの推進等によるお客さまとの接点の品質を高めることを通じてお一人おひとりのニーズをとらえ、「安心」、「カーボンニュートラル」、「省エネ」、「省力化」を中心に、お客さまの期待を超える価値を創造していく。

 法人分野においては、当社グループの再生可能エネルギーやグリーン電力証書などを組み合わせた「カーボンニュートラル」や、高効率機器に関する提案やエネルギーマネジメントを通じた「省エネ」・「省力化」、防災に資する備蓄・電源等を通じた「安心」などの価値を提供するサービスを拡充させていく。

 ご家庭分野においては、「生活かけつけサービス」の拡充をはかるとともに、太陽光パネル、電動車両、蓄電池、エコキュート等の電化設備の導入と新しい電気料金プランを組み合わせたサービスを提供することにより、災害時にも電気や水のある生活を続けられるという「安心」に加え、太陽光発電により電気を作り、貯めることによる「カーボンニュートラル」の価値についても一体的に提供していく。

 なお、電気・ガスのご契約に関する電話営業において、不適切な営業行為があったことを重く受け止め、再発防止策に徹底して取り組んでいる。今後も、法令遵守の徹底にとどまらず、お客さまに寄り添った業務品質の向上に取り組み、より多くのお客さまに信頼いただけるよう努めていく。

 

リニューアブルパワー

 国内水力発電事業については、経年水力発電所のリパワリングによる発電電力量の増加と設備信頼度の向上の両立やカイゼン活動を通じた作業停止期間の短縮、デジタル技術を活用したトラブル未然防止などの取り組みをすすめるとともに、揚水発電設備の強みである蓄電・調整力を活用した電力取引・ソリューションビジネスをさらに拡大していく。海外水力発電事業については、長年の国内水力発電事業で培った技術力・ノウハウに加え、ベトナムやジョージアでの事業開発実績なども活用し、開発ポテンシャルが高い国や地域において事業開発を推進していく。また、洋上風力発電事業において、国内公募案件での事業者選定をめざすとともに、国内での新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託研究やノルウェー沿岸での実証事業から得られる知見を踏まえ、将来的に国内外で普及が見込まれる浮体式洋上風力発電技術の開発にも取り組み、海外を含めた地点開発や事業展開をすすめていく。

 さらに、自立的かつ柔軟な資金調達を可能とするため、グリーンボンド発行等のグリーンファイナンスの活用等も検討し、成長を支える投資を着実に実現していく。

 

 

(参考)

・気候関連におけるレジリエンス戦略

 当社グループは、パリ協定における2℃目標を踏まえ、販売電力由来のCO2排出量を2030年度に2013年度比で50%削減する目標を掲げている。2050年までに脱炭素社会の実現をめざすという我が国の目標を踏まえ、当社グループにおいても、S+3Eの観点や革新的な技術の開発状況を見据え、2050年に向けたCO2削減目標について引き続き検討していく。

0102010_001.png

 

 

(注) 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載している。また、必ずしもこれに該当しない事項についても、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示している。

 当社グループにおいて、取締役及び執行役は、当社及びグループ会社の事業活動に関するリスクを定期的に、また必要に応じて把握・評価し、毎年度の経営計画に適切に反映している。また、グループ全体のリスク管理が適切になされるよう社内規程を整備している。

 当該リスクは、社内規程に従い、業務所管箇所が、職務執行の中で管理することを基本とし、複数の所管に関わる場合は、組織横断的な委員会などで審議の上、適切に管理している。

 経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについては、執行役社長を委員長とする「リスク管理委員会」において、リスクの現実化を予防するとともに、万一現実化した場合には迅速かつ的確に対応することにより、経営に及ぼす影響を最小限に抑制する。加えて、従業員に対して、関係法令教育や社内規程・マニュアルの教育を定期的に実施している。

 しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況にあり、以下のリスクが現実化した場合、事業に大きな影響を与える可能性がある。なお、各リスク項目の記載順序については、事業への影響度や発生可能性などを踏まえて判断した重要度に基づいている。

 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。

 

①福島第一原子力発電所の廃炉

 福島第一原子力発電所では、プロジェクト管理と現場・現物を踏まえた安全・品質管理の機能強化をはかるとともに、「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」並びに、当社が策定した「廃炉中長期実行プラン2021」に基づき安全・着実かつ計画的に廃炉作業を進めている。しかしながら、汚染水の処理・保管や地下水の流入抑制などの汚染水対策、多核種除去設備等処理水の処分及びこれまで経験のない技術的困難性を伴う燃料デブリの取り出しなど、廃止措置等の完了に至るまでには技術的に不透明で未解明な課題がある。こうしたリスクに対応し、同プランを適宜見直すことで、計画的かつ戦略的に対応していくものの、取り組みが円滑に進まない場合には、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 また、原子力事故の発生による格付の低下等により、資金調達力が低下していることから、当社グループの業績、財政状態及び事業運営は影響を受ける可能性がある。

 

②電気の安定供給

 東北地方太平洋沖地震の影響等による柏崎刈羽原子力発電所の全号機停止により、当社グループは電気の供給力が低下していることから、供給力の確保と需要面の対策を進めている。しかしながら、大規模自然災害、設備事故、テロ等の妨害行為、燃料調達支障、感染症の発生などにより、長時間・大規模停電等が発生し、安定供給を確保できなくなる可能性がある。これらの場合、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があるとともに、社会的信用を低下させ、事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

③原子力発電・原子燃料サイクル

 原子力事故を踏まえた、国による原子力政策の見直しや原子力規制委員会による安全規制の見直し等により、持株会社である当社及びその関係会社の原子力発電事業や原子燃料サイクル事業の運営は影響を受ける可能性があるとともに、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 原子力発電所については、どのような事態が起きても過酷事故には至らないようにするという決意のもと、安全対策の強化や組織の改革に取り組んでいる。

 また、2020年度に発生したIDカードの不正使用や核物質防護設備の機能の一部喪失などの一連の事案に関しては、原子力・立地本部長及び新潟本社代表を発電所に駐在させ、現場・現物の視点に基づく組織の立て直しや情報公開・社会の目線に対する所員の意識向上、経営層と所員の直接対話を通じた組織の課題抽出などに取り組むなど、現場に経営資源を最大限投入し、組織全体として体制の強化をはかっていく。

 なお、柏崎刈羽原子力発電所については、現段階では再稼働の時期は見通せない状況にあるが、これらの取り組みが十分でなく、地域のみなさまをはじめ広く社会のみなさまからの信頼回復が進まずにこの状況が続いた場合、火力燃料費の増加や不要となる核燃料資産の発生、発電設備の資産性の評価等により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 原子力発電・原子燃料サイクルは、使用済燃料の再処理、放射性廃棄物の処分、原子力発電施設等の解体等に、多額の資金と長期にわたる事業期間が必要になるなど不確実性を伴う。バックエンド事業における国による制度措置等によりこの不確実性は低減されているが、制度措置等の見直しや制度外の将来費用の見積額の増加、六ケ所再処理施設等の稼働状況、同ウラン濃縮施設に係る廃止措置のあり方などにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

④安全確保、品質管理、環境汚染防止

 当社グループは、安全確保、品質管理、環境汚染防止、透明性・信頼性の高い情報公開の徹底に努めているが、作業ミス、法令・社内ルール違反等による、事故や人身災害、大規模な環境汚染の発生や、不適切な広報・情報公開により、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。 また、原子力事業においては、発電所業務全般において、管理者が現場における設備・人の状況を定期的に確認・改善できるよう、現場観察の強化などに取り組んでいる。しかしながら、これらの取り組みが不十分な場合には、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑤企業倫理遵守

 当社グループは、企業倫理を遵守した業務運営を定着させるための取り組みに努めているが、法令違反等の企業倫理に反した行為が発生した場合、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。また、原子力事業においては、従事者に対し安全文化醸成の方針のもと、具体的に求められる行動を明確化し、一人ひとりが実践できるよう教育や対話活動などに取り組んでいる。しかしながら、これらの取り組みが不十分な場合には、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑥販売電力量・販売価格

 販売電力量は、経済活動や生産活動を直接的に反映することに加え、夏季・冬季を中心とした天候の影響、節電や省エネルギーの進展等による影響を受けることがある。また、販売価格は、電力小売全面自由化や卸電力取引所における取引量の拡大等に伴う競合他社との競争激化による影響を受ける可能性がある。これらにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

お客さまサービス

 当社グループは、お客さまサービスの向上に努めているが、不適切なお客さま応対等により、お客さまの当社グループのサービスへの満足度や社会的信用等が低下し、当社グループの業績、財政状態及び円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

火力発電用燃料価格

 火力発電用燃料であるLNG、原油、石炭等の価格は、燃料国際市況や外国為替相場の動向等により変動し、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。ただし、一定の範囲内の燃料価格の変動については、燃料価格や外国為替相場の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」により、業績への影響は緩和される。

 

⑨電気事業制度・エネルギー政策変更

 電気事業における制度変更を含めたエネルギー政策の見直し、地球温暖化に関する環境規制の強化やESGに関連した投資者の行動変化など、当社グループを取り巻く環境の変化により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

⑩情報管理

 当社グループは、大量のお客さま情報をはじめ、業務上の重要な情報を保有している。社内規程の整備や、従業員教育等を通じ情報の厳正な管理に留意しているが、これらの情報の流出等が発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑪金融市場の動向

 企業年金資産等において保有している国内外の株式や債券は、株式市況や債券市況等により時価が変動することから、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 また、支払利息に関しては、今後の金利動向等により影響を受けることがある。

 

⑫電気事業以外の事業

 当社グループは、海外事業を含む電気事業以外の事業を実施している。これらの事業は、当社グループの経営状況の変化、他事業者との競合の進展、規制の強化、外国為替相場や燃料国際市況その他の経済状況の変動、政情不安、自然災害などにより、投融資時点で想定した結果をもたらさない可能性がある。この場合、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

⑬機構による当社株式の引受け

 当社は、2012年7月31日に機構を割当先とする優先株式(A種優先株式及びB種優先株式。以下A種優先株式及びB種優先株式をあわせて「本優先株式」という。)を発行した。

 A種優先株式には、株主総会における議決権のほか、B種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。また、B種優先株式には、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会における議決権は付されていないが、A種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。

 機構は、本優先株式の引受けにより総議決権の2分の1超を保有しており、株主総会における議決権行使等により、当社グループの事業運営に影響が生じる可能性がある。

 今後、機構によりB種優先株式のA種優先株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合、又は本優先株式について、普通株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合には、既存株式の希釈化が進む可能性がある。特に、普通株式を対価とする取得請求権が行使された場合には、既存株式の希釈化が進む結果として、持株会社である当社の株価が下落する可能性があるほか、当該普通株式を機構が市場売却した場合には、売却時の市場環境等によっては、さらに持株会社である当社の株価に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑭総特に基づく経営改革

 総特の下、当社グループは、福島への責任を果たしていくため、賠償・廃炉の資金確保や企業価値の向上を目指して、生産性改革や再編・統合を含む事業基盤の強化などの非連続の経営改革に取り組んでいるが、これらの経営改革が計画通りに進まない場合には、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 

⑮新型コロナウイルス感染症の拡大

 今般の新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、経済活動や生産活動が低迷した場合、電力需要は影響を受ける可能性がある。また、感染症の流行が長期に亘ることとなった場合、資機材の納入が滞り工事が予定通り進まないなどの影響が生じる可能性がある。その場合、当社グループの業績、財政状態及び事業運営は影響を受ける可能性がある。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

イ.財政状態

[資産・負債・純資産]

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ1,353億円増加し、12兆931億円となった。これは、売掛金が増加したことなどによるものである。

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ906億円減少し、8兆9,503億円となった。これは、買掛金、未払費用が減少したことなどによるものである。

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ2,259億円増加し、3兆1,428億円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどによるものである。この結果、自己資本比率は25.8%と前連結会計年度末に比べ1.5ポイント上昇した。

 

ロ.経営成績

[概要]

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比6.0%減の5兆8,668億円、経常利益は同28.1%減の1,898億円、親会社株主に帰属する当期純利益は256.8%増の1,808億円となった。

[売上高]

 当連結会計年度における各セグメントの売上高(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが6,242億円(前連結会計年度比15.8%減)、フュエル&パワーが87億円(前連結会計年度比9.6%減)、パワーグリッドが2兆38億円(前連結会計年度比13.9%増)、エナジーパートナーが5兆343億円(前連結会計年度比10.8%減)、リニューアブルパワーが1,434億円(前連結会計年度比18.3%増)となった。

 総販売電力量は、前連結会計年度比5.7%減の2,315億kWhとなった。

[経常利益]

 当連結会計年度における各セグメントの経常損益(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが△79億円(前連結会計年度1,228億円)、フュエル&パワーが698億円(前連結会計年度比7.9%増)、パワーグリッドが1,690億円(前連結会計年度比44.9%増)、エナジーパートナーが64億円(前連結会計年度比89.2%減)、リニューアブルパワーが481億円(前連結会計年度比59.8%増)となった。

[親会社株主に帰属する当期純利益]

 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、特別利益に原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金1,421億円を計上した一方、特別損失に原子力損害賠償費1,407億円を計上したことなどから、1,903億円となった。ここに、法人税、住民税及び事業税89億円、法人税等調整額△3億円、非支配株主に帰属する当期純利益8億円を計上し、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、1,808億円となった。なお、1株当たり当期純利益は112円90銭となった。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,578億円(44.1%)減少し、4,543億円となった。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、前連結会計年度比25.9%減の2,398億円となった。これは、電気料収入が減少したことなどによるものである。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度比13.6%増の5,772億円となった。これは、固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものである。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、203億円(前連結会計年度は135億円の収入)となった。これは、短期借入金の返済による支出が増加したことなどによるものである。

 

③ 生産及び販売の実績

 当社グループは、原子力発電等を行う「ホールディングス」、火力発電等を行う「フュエル&パワー」、送電・変電・配電による電力の供給等を行う「パワーグリッド」、電気の販売等を行う「エナジーパートナー」及び再生可能エネルギー発電等を行う「リニューアブルパワー」の5つのセグメントがコスト意識を高めるとともに自発的に収益拡大に取り組みつつ、一体となって電気事業を運営している。加えて、電気事業が連結会社の事業の大半を占めており、また、電気事業以外の製品・サービスは多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくないため、生産及び販売の実績については、電気事業のみを記載している。

 

イ.発電実績

種別

2020年度

(百万kWh)

前年同期比

(%)

水力発電電力量

12,499

108.0

火力発電電力量

159

99.0

原子力発電電力量

新エネルギー等発電電力量

56

89.7

発電電力量合計

12,713

107.8

 (注)1.上記発電実績には、連結子会社の一部を含んでいる。

2.2019年4月1日付けで㈱JERAが承継会社となり、東京電力フュエル&パワー㈱の燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により承継させた。これにより、火力発電電力量は東京電力パワーグリッド㈱の離島における発電電力量である。

 

ロ.販売実績

(a) 販売電力量

種別

2020年度

(百万kWh)

前年同期比

(%)

販売電力量

204,484

92.0

(注)上記販売電力量には、連結子会社の一部を含んでいる。

 

(b) 電気料収入

種別

2020年度

(百万円)

前年同期比

(%)

電気料収入

3,820,970

84.7

(注)1.上記電気料収入には、消費税等は含まれていない。

   2.連結子会社の一部を含んでいる。

 

   (c) 託送収入

種別

2020年度

(百万円)

前年同期比

(%)

託送収益

1,617,985

108.3

(注)1.上記料金収入には、消費税等は含まれていない。

   2.セグメント間取引消去前

 

 

 

 

 

 

④ 託送供給料金

 東京電力パワーグリッド株式会社は、2020年7月28日、電気事業法第18条第1項に規定された「託送供給等約款」の変更に係る認可申請(電気事業法施行規則第45条の21の2及び第45条の21の5の規定による経済産業大臣からの通知並びに原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律附則第3条第3項の規定による積立ての終了に基づく新たな料金を設定)を経済産業大臣に行い、2020年9月4日に経済産業大臣の認可を受け、2020年10月1日から実施している。なお、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた経済・社会情勢に配慮し、現行託送料金からの引上げ相当分の適用期間の始期及び終期を1年間延期することとし、現行の料金は2020年10月1日から1年間据え置き、2021年10月1日から現行に比べ1kWhあたり+0.03円の見直しをする。

 約款実施の日から2021年9月30日までの期間における主要託送供給料金は下記のとおりである。

 

託送供給料金表

(消費税等相当額を含む料金単価)

 

 

単位

料金単価(円)

接続送電サービス

低圧

電灯定額接続送電サービス

電灯

料金

10Wまで

1灯    1か月につき

35.54

10W超過 20Wまで

71.09

20W 〃 40W 〃

142.19

40W 〃 60W 〃

213.28

60W 〃 100W 〃

355.47

100W 〃 100Wまでごとに

355.47

小型

機器

料金

50VAまで

1機器   1か月につき

106.17

50VA超過 100VAまで

212.34

100VA 〃 100VAまでごとに

212.34

電灯標準接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

214.50

SB・主開閉器契約

1kVA  1か月につき

143.00

SB契約;5Aの場合

1契約   1か月につき

71.50

SB契約;15Aの場合

214.50

電力量料金

1kWhにつき

7.45

電灯

時間帯別接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

214.50

SB・主開閉器契約

1kVA  1か月につき

143.00

SB契約;5Aの場合

1契約   1か月につき

71.50

SB契約;15Aの場合

214.50

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

8.20

夜間時間

  〃

6.55

電灯従量接続送電サービス

  〃

10.97

動力標準接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

704.00

主開閉器契約

445.50

電力量料金

1kWhにつき

5.17

 

 

 

 

単位

料金単価(円)

接続送電

サービス

低圧

動力

時間帯別接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

704.00

主開閉器契約

445.50

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

5.69

夜間時間

4.57

動力従量接続送電サービス

16.71

高圧

高圧標準

接続送電サービス

基本料金

1kW   1か月につき

555.50

電力量料金

1kWhにつき

2.34

高圧

時間帯別接続送電サービス

基本料金

1kW   1か月につき

555.50

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

2.57

夜間時間

2.04

高圧従量接続送電サービス

  〃

11.45

ピークシフト割引

1kW   1か月につき

471.90

特別

高圧

特別

高圧標準接続送電サービス

基本料金

379.50

電力量料金

1kWhにつき

1.30

特別高圧時間帯別接続送電サービス

基本料金

1kW   1か月につき

379.50

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

1.39

夜間時間

1.17

特別高圧従量接続送電サービス

7.52

ピークシフト割引

1kW   1か月につき

322.30

予備送電サービス

高圧

予備送電サービスA

71.50

予備送電サービスB

88.00

特別

高圧

予備送電サービスA

66.00

予備送電サービスB

77.00

近接性

評価割引

受電電圧が標準電圧6,000V以下の場合

1kWhにつき

0.69

受電電圧が標準電圧6,000Vをこえ140,000V以下の場合

0.41

受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合

0.21

 

(注)1.上記契約種別のほか、臨時接続送電サービス、発電量調整受電計画差対応電力、接続対象計画差対応電力、

需要抑制量調整受電計画差対応電力、給電指令時補給電力がある。

2.SBとは、電流制限器又はその他適当な電流を制限する装置。

3.時間帯別接続送電サービスにおける「昼間時間」とは、毎日午前8時から午後10時までの時間をいい、「夜間時間」とは、「昼間時間」以外の時間をいう。ただし、日曜日、祝日(「国民の祝日に関する法律」に規定する休日)及び1月2日・3日、4月30日、5月1日・2日、12月30日・31日は、全日「夜間時間」扱いとする。

4.近接性評価割引とは、近接性評価地域に立地する発電場所における発電設備を維持し、及び運用する発電契約者から当該発電設備に係る電気を受電し、接続供給を利用する場合に行う割引をいう。

5.これまで近接性評価割引対象とされていた地域において、現に割引の適用を受けている電源についても、暫定的に、引き続き割引くこととし、受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合の単価を適用する。

 

 

     なお、2021年10月1日以降における主要託送供給料金は下記のとおりである。(2021年4月1日実施の託送供給等約款にて、一部メニュー単価を変更)

 

託送供給料金表

(消費税等相当額を含む料金単価)

 

 

単位

料金単価(円)

接続送電サービス

低圧

電灯定額接続送電サービス

電灯

料金

10Wまで

1灯    1か月につき

35.66

10W超過 20Wまで

71.32

20W 〃 40W 〃

142.66

40W 〃 60W 〃

213.98

60W 〃 100W 〃

356.64

100W 〃 100Wまでごとに

356.64

小型

機器

料金

50VAまで

1機器   1か月につき

106.52

50VA超過 100VAまで

213.04

100VA 〃 100VAまでごとに

213.04

電灯標準接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

214.50

SB・主開閉器契約

1kVA  1か月につき

143.00

SB契約;5Aの場合

1契約   1か月につき

71.50

SB契約;15Aの場合

214.50

電力量料金

1kWhにつき

7.48

電灯

時間帯別接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

214.50

SB・主開閉器契約

1kVA  1か月につき

143.00

SB契約;5Aの場合

1契約   1か月につき

71.50

SB契約;15Aの場合

214.50

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

8.23

夜間時間

  〃

6.58

電灯従量接続送電サービス

  〃

11.00

動力標準接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

704.00

主開閉器契約

445.50

電力量料金

1kWhにつき

5.20

動力

時間帯別接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

704.00

主開閉器契約

445.50

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

5.72

夜間時間

4.60

動力従量接続送電サービス

16.74

 

 

 

単位

料金単価(円)

接続送電

サービス

高圧

高圧標準

接続送電サービス

基本料金

1kW   1か月につき

555.50

電力量料金

1kWhにつき

2.37

高圧

時間帯別接続送電サービス

基本料金

1kW   1か月につき

555.50

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

2.60

夜間時間

2.07

高圧従量接続送電サービス

  〃

11.48

ピークシフト割引

1kW   1か月につき

471.90

特別

高圧

 

特別

高圧標準接続送電サービス

基本料金

379.50

電力量料金

1kWhにつき

1.33

特別高圧時間帯別接続送電サービス

基本料金

1kW   1か月につき

379.50

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

1.42

夜間時間

1.20

特別高圧従量接続送電サービス

7.55

ピークシフト割引

1kW   1か月につき

322.30

予備送電サービス

高圧

予備送電サービスA

71.50

予備送電サービスB

88.00

特別

高圧

予備送電サービスA

66.00

予備送電サービスB

77.00

近接性

評価割引

受電電圧が標準電圧6,000V以下の場合

1kWhにつき

0.69

受電電圧が標準電圧6,000Vをこえ140,000V以下の場合

0.41

受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合

0.21

(注)1.上記契約種別のほか、臨時接続送電サービス、発電量調整受電計画差対応電力、接続対象計画差対応電力、

需要抑制量調整受電計画差対応電力、給電指令時補給電力がある。

2.SBとは、電流制限器又はその他適当な電流を制限する装置。

3.時間帯別接続送電サービスにおける「昼間時間」とは、毎日午前8時から午後10時までの時間をいい、「夜間時間」とは、「昼間時間」以外の時間をいう。ただし、日曜日、祝日(「国民の祝日に関する法律」に規定する休日)及び1月2日・3日、4月30日、5月1日・2日、12月30日・31日は、全日「夜間時間」扱いとする。

4.近接性評価割引とは、近接性評価地域に立地する発電場所における発電設備を維持し、及び運用する発電契約者から当該発電設備に係る電気を受電し、接続供給を利用する場合に行う割引をいう。

5.これまで近接性評価割引対象とされていた地域において、現に割引の適用を受けている電源についても、暫定的に、引き続き割引くこととし、受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合の単価を適用する。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものである。

 

① 経営成績等

 当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、省エネルギーの進展等による国内エネルギー需要の減少傾向が継続するとともに、小売事業において厳しい競争環境にあるなか、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞の影響などにより、一層厳しい状況にある。

 こうした状況のなか、当社グループは、福島への責任を貫徹するため、カイゼン活動をはじめとした生産性改革に加え、事業統合を完了した株式会社JERAの経営への適切な支援・監督、再生可能エネルギー発電事業の分社化等のカーボンニュートラルの潮流に対応した事業展開、送配電資機材の調達や非常災害対応における他社との協働など、収益力と企業価値の向上に向けた取り組みをすすめてきた。

 当社グループの当連結会計年度の総販売電力量は、競争激化や新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、前連結会計年度比5.7%減の2,315億kWhとなった。

 当連結会計年度の連結収支については、収益面では、燃料費調整制度の影響などにより電気料収入単価が低下したことや総販売電力量が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比6.0%減の5兆8,668億円となり、その他の収益を加えた経常収益合計は5.9%減の5兆9,750億円となった。

 一方、費用面では、原子力発電が引き続き全機停止するなか、グループをあげたコスト削減の徹底などにより、経常費用合計は前連結会計年度比4.9%減の5兆7,851億円となった。

 この結果、経常利益は前連結会計年度比28.1%減の1,898億円となった。

 また、原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金1,421億円を特別利益として計上する一方、原子力損害賠償費1,407億円を特別損失として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は1,808億円となった。

 当連結会計年度の自己資本比率については前連結会計年度の24.3%から25.8%に、デット・エクイティ・レシオについては前連結会計年度の1.69から1.56に、また、ROE/ROAはそれぞれ6.0%/1.2%となるなど、引き続き財務体質の改善と資本効率の向上をすすめてきた。

当連結会計年度における各セグメントの業績(セグメント間取引消去前)は次のとおりである。
[ホールディングス]

 販売電力料収入が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比15.8%減の6,242億円となった。加えて、基幹事業会社からの受取配当金が減少したことなどから、経常損益は前連結会計年度比1,307億円減の79億円の損失となった。

[フュエルパワー]

 持分法適用関連会社である株式会社JERAが、燃料費調整制度の期ずれによる悪化影響を受けながらも需給収支の好転等により増益となったことなどから、経常利益は前連結会計年度比7.9%増の698億円となった。

[パワーグリッド]

 託送収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比13.9%増の2兆38億円となった。

 加えて、減価償却費が減少したことなどから、経常利益は前連結会計年度比44.9%増の1,690億円となった。

[エナジーパートナー]

 燃料費調整制度の影響による電気料収入単価の低下や小売販売電力量の減少などにより、売上高(営業収益)は前連結会計年度比10.8%減の5兆343億円となった。この結果、経常利益は前連結会計年度比89.2%減の64億円となった。

[リニューアブルパワー]

 販売電力料収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比18.3%増の1,434億円となった。この結果、経常利益は前連結会計年度比59.8%増の481億円となった。

 

 

 コロナ禍による電力需要への影響は、2020年4月に発令された緊急事態宣言が解除されて以降、緩やかな回復傾向はみられたものの、感染拡大前の水準までは戻らず、需要水準の減少として現れた。

 当連結会計年度の当社エリア需要は、前年同期比で1.3%程度の減少となった。当社小売販売電力量についても前年同期比で8.0%程度の減少となった。

 新型コロナウイルスの影響分を正確に算定することは難しいが、一定の仮定をおいた試算を行うと、エリア電力需要の減少は63億kWh程度、小売販売電力量の減少は61億kWh程度と考えられる。

 長期的な構造変化も含めた、全体的な電力需要への影響を注視しつつ、引き続き電力の安定供給維持に努める。

 

 また、2020年12月末以降の寒波による低気温に伴い暖房需要が増加したことや、供給側ではLNG火力発電の計画を上回る稼働の継続により、燃料在庫が減少し発電事業者の持続的な供給力が低下したことから、年明けから厳しい電力需給状況が発生した。

 こうした需給ひっ迫による収支影響は、個々の収支項目毎の影響は大きかったものの、当社グループ全体で見た場合は影響が相殺し合い、結果的に、当社連結収支に与えた影響は50億円程度の減少にとどまった。

 なお、2021年4月に電力広域的運営推進機関が公表した全国各エリアの「2021年度電力需給見通し」の結果を踏まえ、2021年5月、経済産業省総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会の下に設置された「電力・ガス基本政策小委員会」において、「2021年度夏季及び冬季の電力需給見通しと対策」が取りまとめられた。

 特に2021年度冬季の電力需給については、現時点で当社サービスエリア内において厳しい見通しが示されているが、国や電力広域的運営推進機関等、関係各所と連携して安定供給確保に向けた取り組みを進めていくとともに、収支影響についても注意深く見極めていく。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況

イ.キャッシュ・フロー等

(a) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。

 

(b) 有利子負債

 2021年3月31日現在の社債、長期借入金、短期借入金については、以下のとおりである。

 

当連結会計年度(2021年3月31日)

 

1年以内

(百万円)

1年超

2年以内

(百万円)

2年超

3年以内

(百万円)

3年超

4年以内

(百万円)

4年超

5年以内

(百万円)

5年超

(百万円)

社債

346,836

221,999

260,000

200,806

210,000

1,465,769

長期借入金

46,497

23,765

57,102

28,084

10,657

49,818

短期借入金

1,967,761

合計

2,361,095

245,765

317,102

228,890

220,657

1,515,588

 上記については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)2.金融商品の時価等に関する事項(注4)社債、長期借入金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額」にも記載。

 

ロ.財務政策

 当社グループとして、総特等において機構から1兆円の出資を受けるとともに、取引金融機関に対し追加与信及び借換え等による与信を維持することなどをお願いしており、ご協力をいただいている。これらの機構や金融機関の支援・協力のもとで、自己資本比率の改善、公募社債市場への復帰を2017年3月に実現しており、 2020年度はパワーグリッドにおいて7,000億円の公募社債を発行した。引き続き社債の発行を継続するなど、当社グループの自律的な資金調達力の回復もはかっていく。

 金融機関からの借入金や社債の発行により調達した資金は、電気事業等に必要な設備資金、借入金返済及び社債償還等に充当している。設備投資計画については、「第3 設備の状況」のとおりであり、借入金返済及び社債償還の予定については、「② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況 イ.キャッシュ・フロー等 (b) 有利子負債」のとおりである。

 また、当社グループでは、グループ全体でより効率的な資金の運用を図る観点からグループ金融制度を採用している。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

 総特のとおり、賠償・廃炉に必要な資金を確保しつつ、2026年度以内に連結経常利益で3,000億円/年超、2027年度以降には4,500億円規模の利益水準を達成することを目指す。

 当連結会計年度における経常利益は1,898億円となった。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項なし。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの技術開発については、「東京電力ホールディングス㈱福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」並びに「総特」に基づき、「中長期ロードマップに基づいた廃炉の推進に向けた技術開発」及び「原子力安全の確保と電気の安定供給の達成に資する技術開発」を中心として取り組んでいる。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、17,613百万円である。なお、セグメント毎の研究開発費の内訳は、ホールディングスが8,180百万円、パワーグリッドが7,511百万円、エナジーパートナーが1,463百万円、リニューアブルパワーが457百万円である。