第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営環境及び経営方針等

 当社グループを取り巻く経営環境は、カーボンニュートラルの実現をめざす世界的な潮流、激甚化・広域化する自然災害に対応したレジリエンス強化の要請、ウクライナ情勢を受けた全世界的な燃料価格の高騰など、大きく変化している。

 このような事業環境の変化に対応していくため、第四次総合特別事業計画(以下、「四次総特」という。)のもと、原子力事業における一連の不適切事案等により毀損した地域や社会の皆さまからの信頼回復に最優先で取り組むほか、ALPS処理水の海洋放出については、2021年4月に国から示された基本方針を踏まえ、安全性の確保と風評影響を最大限抑制するための取り組みを主体的に行っていく。

 加えて、カーボンニュートラルや防災を軸とした新たな価値を提供するビジネスモデルへと転換をはかり、更なる収益力拡大と企業価値向上を実現していく。

(https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210804004/20210804004-1.pdf)

 

 [東京電力ホールディングスグループ経理理念]

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(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 四次総特のとおり、賠償・廃炉に関して、当社グループ全体で年間約5,000億円程度の資金を確保する。加えて、年間約4,500億円規模の利益創出も可能な収益基盤を目指す。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題等

 小売事業の競争激化や原子力発電所の長期停止、ESG・SDGsに代表される社会的課題に対する意識の高まり、自然災害の激甚化・広域化に伴う防災・電力レジリエンスの強化に向けた社会的要請に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済・社会活動の変容など、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化している。

 このような事業環境変化のなかでも、当社グループは一丸となって、福島第一原子力発電所の事故を決して風化させることなく、福島への責任を全うするため、「復興と廃炉の両立」を推進していく。

 2021年4月に国から示された「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」を踏まえ、安全を最優先として海洋放出に向けた準備を進めるとともに、関係者の皆さまの理解醸成に向けた丁寧な説明を積み重ねていく。

 また、柏崎刈羽原子力発電所で発生した一連の不適切な事案により、事業を進めるうえで最も大切な社会の皆さまからの信頼を大きく損なうことになった。発電所の喫緊の課題である一連の不適切事案に対する改善措置計画を着実に進めるとともに、改革の実績を一つひとつ積み上げ、地域の皆さまから信頼され、原子力事業者として受け入れていただけるよう全力で取り組んでいく。

 昨今、電力業界では、公正な競争や事業者への信頼を揺るがす事案が発生している。このような状況を踏まえ、当社グループとしては、社内体制の強化や社員教育などを通じて、関係法令の遵守を徹底するとともに、不適切な行為の防止に努めていく。

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき策定した業務計画・行動計画等に則り、電力を安定的に供給するための対応を行うとともに、引き続き、With/Afterコロナ時代を見据えた働き方改革を進めていく。

 2022年3月には、福島県沖地震等により複数の発電所の停止が継続したことに加え、気温の低下が重なったことで、一時、電力需給は大変厳しいものとなったが、皆さまの節電へのご協力により大規模停電を回避できた。

 2023年度夏季は、7月の東京エリアの予備率が厳しい見通しとなったことから、安定供給に万全を期すために追加供給力公募により追加の供給力を確保している。しかしながら、その後に一部電源の補修時期の延長が生じたことにより、最低限必要な予備率(3.0%)を確保しているものの、3.1%と厳しい見通しである。このような状況を踏まえ、国からは、さらに追加供給力公募の非落札電源及びデマンドレスポンスの調達や無理のない範囲での節電の呼びかけ等の需給対策が示されており、当社としても、引き続き最大限対応していく。

 加えて、多様化する社会的な要請にお応えするために、当社グループは安定供給の継続に最大限尽力しながら、「カーボンニュートラル」と「防災」を軸とした、新たな価値を提供するビジネスモデルへと事業構造の変革を図り、収益力向上につなげていく。

 

①当年度の施策

[ホールディングス]

<福島事業>

イ.福島復興に向けた取り組み

 当社は、「3つの誓い」として掲げた「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「和解仲介案の尊重」に基づき、被害者の方々の個別のご事情を丁寧にお伺いしながら賠償を進め、当年度末までに累計約10兆7,163億円をお支払いした。

 また、特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されるなど、復興の進展がみられるなか、帰還に向けた環境整備や地域イベントの手伝い等の活動を実施してきた。

 加えて、風評被害の抑制や払拭に向けた流通促進活動については、小売店や飲食店と連携したイベントを、国内各地にとどまらず、アメリカ、ベトナム、タイ、シンガポールにおいても開催するなど、水産物をはじめとする福島県産品等の取り扱いの拡大に取り組んできた。

 

ロ.福島第一・第二原子力発電所の廃炉

 福島第一原子力発電所については、原子炉建屋に滞留する汚染水の浄化を進め、滞留水量を2020年末時点からほぼ半減させるなど、漏えいリスクの低減をはかってきたほか、燃料デブリ取り出しに向け、1号機においてロボットによる格納容器の内部調査を実施するなど、廃炉作業を進めてきた。

 また、政府が示した「2023年春から夏頃」のALPS処理水の海洋放出開始に向け、希釈放出設備の設置工事を安全最優先で着実に進めるとともに、地域や社会の皆さまの理解醸成に向けて丁寧な説明を積み重ねてきた。

 福島第二原子力発電所については、廃止措置計画に定めた廃止措置工程のうち、第1段階となる解体工事準備期間の主要な作業プロセスを具体化する「福島第二原子力発電所廃止措置実行計画2022」を策定した。

 

<経済事業>

ハ.原子力発電事業の取り組み

 柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向け、原子力改革における取り組みを一過性のものとしないよう、さらなる安全と核セキュリティの向上を追求してきた。具体的には、核物質防護事案に関する36項目に及ぶ改善措置計画について、着実な実施とその有効性評価を行うことなどにより、核物質防護の強化に取り組んできたほか、安全対策工事の完遂に向けた総点検の実施や主要設備の健全性の確認を進めてきた。

 また、さまざまな自然現象や原子力災害を想定した多様なシナリオを用いた訓練に加え、自治体の消防と合同の消火訓練を行うなど、緊急時の対応力の強化や関係機関との連携をはかってきた。

 地域の皆さまのご理解につながる取り組みとして、定期的な訪問やコミュニケーションブースの開催等を通じて、発電所の取り組みや原子力改革の進捗状況等についてご説明するとともに、広く地域の皆さまのご意見をお伺いしている。

 

ニ.持続的な成長の実現に向けた取り組み

 カーボンニュートラルへの社会的要請の高まりなどの事業環境の変化に対応するため、当社グループは、2022年4月に既存電気事業のCO排出削減と地産地消型の設備サービスの拡大に取り組む事業方針を公表した。

 その取り組みの一環として、カーボンニュートラルと防災を軸とした次世代のまちづくりをめざし、交通事業者との間で電気バス向けエネルギーマネジメントシステムの開発・検証を行うとともに、カーボンニュートラルの実現に先行的に取り組む自治体との連携を積極的に進めてきた。

 加えて、次世代まちづくりの早期実現に向け、学校法人早稲田大学との間でエネルギー利用の高度化や共同研究等についての包括連携に関する協定を締結するなど、新たなサービスを生み出す技術開発に向けた取り組みを、産学連携を通じて加速してきた。

 

[フュエル&パワー]

・株式会社JERAの取り組み

 東京電力フュエル&パワー株式会社は、ウクライナ情勢を背景とした燃料価格の高騰・燃料調達リスクの高まりを踏まえた供給力の確保や、カーボンニュートラル達成に向けた再生可能エネルギーと低炭素火力を組み合わせたクリーンエネルギー供給基盤の構築を株式会社JERAに求めるとともに、その課題解決に向けて、同社と協働してきた。

 株式会社JERAの具体的な取り組みとして、JERA Global Markets社を通じたLNGのスポット調達を安定的かつ機動的に実施したほか、長期計画停止中の発電所の運転再開、リプレース工事が完了した武豊火力発電所5号機・姉崎火力発電所新1号機の運転を開始するなど、供給力の確保に努めてきた。また、2035年度までに2013年度比でCO排出量60%以上の削減を目指す「JERA環境コミット2035」を策定し、水素・アンモニア混焼導入による低炭素火力発電の開発や、ベルギーの洋上風力発電事業者であるParkwind社の買収等、再生可能エネルギー事業を進めている。

 

[パワーグリッド]

・安定的かつ低廉な電力供給と事業領域の拡大

 電力供給の信頼度確保と低廉な託送原価水準の実現をめざし、効率的でサステナブルな事業運営に取り組むとともに、送配電ネットワークの新たな価値の創造や事業領域の拡大を進めてきた。具体的には、厳しい状況が続く電力需給に対し、広く社会の皆さまにご協力をいただきながら、関係機関との連携をはかること等により安定的な電力供給に努めつつ、設備保全の省力化・自動化や取引先との協働による調達改革等にも取り組んできた。また、ガス・通信のインフラ事業者との間で災害対応や設備点検等の相互連携をはかる取り組みを推進したほか、地方公共団体等とともに環境省の「脱炭素先行地域」に申請し、6地点が選定されるなど、地域のレジリエンス強化や脱炭素化等の取り組みを進めてきた。さらに、他社とのアライアンスを通じて電力使用データを活用した新たなサービスの事業化を実現するとともに、海外でのコンサルティング活動や事業機会の発掘にも積極的に取り組み、2022年8月にはイギリスとドイツを結ぶ国際連系線プロジェクトへ参画するなど、事業領域の拡大を加速してきた。

 

[エナジーパートナー]

・お客さまの期待を超える付加価値の提供

 世界的な資源価格の高騰に伴う燃料・卸電力市場価格の高騰により、費用が収入を上回る状態となるなど、財務体質が年々悪化してきたなか、東京電力エナジーパートナー株式会社は、コスト削減など経営合理化の徹底や増資による資本増強に加え、苦渋の決断ではあるが、料金見直しを実施し、財務基盤の確保に努めてきた。

 また、変化し続けるお客さまの期待に応え、信頼され選ばれ続けるパートナーであるため、「カ―ボンニュートラル」や「省エネ」などの付加価値の提供に取り組んできた。

 具体的には、那須塩原市、株式会社ヨークベニマルとの間で、東京電力エナジーパートナー株式会社が那須塩原市内のヨークベニマルの店舗に設置した太陽光発電設備や蓄電池等を活用し、カーボンニュートラル推進に加え災害に伴う大規模停電発生時等に電力の提供を通じた住民支援を行う協定を締結した。また、お客さまのご負担軽減に向けた節電キャンペーンとして、「節電チャレンジ2022」の実施や、節電促進プラン「エナジーダイエットプラン」の新設など、省エネ施策を進めてきた。

 

[リニューアブルパワー]

・事業の基盤強化と領域拡大に向けた取り組み

 国内水力発電事業において、経年水力発電所の計画的なリパワリングのほか、発電所データの収集・活用の仕組みの構築などのDX推進の取り組みを通じて、発電電力量のさらなる増加などの事業基盤の強化に着実に取り組むとともに、小売電気事業者のニーズをとらえ、揚水式水力発電の特性を活かした「電力預かりサービス」の提供を拡大してきた。

 また、再生可能エネルギーの開発ポテンシャルの大きいアジア地域での事業拡大に向け、ベトナムで水力発電事業を行うベトナム・パワー・デベロップメント社に出資参画している。さらに、国内外における洋上風力発電事業の展開を加速していくため、洋上風力発電事業の豊富なノウハウを有するイギリスのフローテーション・エナジー社を完全子会社化するなど、クリーンでサステナブルなカーボンニュートラル社会の実現に貢献する取り組みを展開してきた。加えて、地熱発電事業の事業化に向けた地点開発を進めるなど、さらなる電源の多様化に向けた取り組みを推進してきた。

 

(参考)

・当年度の新型コロナウイルス感染症への対策と働き方改革の取り組み

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき策定した業務計画・行動計画等に則り、社員の出社前検温の徹底や地域をまたぐ往来の制限等、徹底した感染予防策を講じてきた。また、そうした経験を踏まえ、With/Afterコロナ時代における在宅勤務下でも社員が自律性を発揮し、多様な働き方を実現できるよう、危機管理の強化と社員の幸福度・仕事の生産性・お客さまの満足度の向上を同時に達成する新しいワークスタイル「TEPCO Work Innovation」の確立に向けた取り組みを進めてきた。具体的には、リモートワークやサテライトオフィスの拡充、コミュニケーションツールの充実化、ペーパーレス・ハンコレス化等の業務プロセスの見直しを行っており、今後はこれらの取り組みをさらに推進し、時間・場所・組織にとらわれない働き方を実現し、お客さま起点の新しい価値を創造していく。

 

②優先的に対処すべき課題

[ホールディングス]

<福島事業>

イ.「3つの誓い」に基づく賠償と復興に向けた取り組み

 2022年12月に決定された中間指針第五次追補等を踏まえ、精神的損害等に対する追加賠償の請求の受付を開始している。引き続き、国や自治体の協力をいただきながらご請求の促進をはかるとともに、迅速かつ適切な賠償を実施するために、業務の運用を随時見直すなど、きめ細やかな対応を徹底していく。

 また、特定復興再生拠点区域の避難指示解除などの復興のステージに合わせ、地域のニーズを的確にとらえ、環境整備や地域イベントのお手伝いなど、復興がより一層進むよう地域に根差した取り組みを進めていく。

 加えて、風評被害の抑制や払拭に向け、「発見!ふくしま」キャンペーンの開催などを通じて、福島県産品等の流通促進活動を強化・拡充していく。

 

ロ.地域と共生した福島第一原子力発電所の廃炉の貫徹

 長期にわたる廃炉の貫徹に向け「廃炉中長期実行プラン2023」のもと、現場・現物を踏まえたプロジェクト管理と安全・品質管理の機能の強化をはかり、安全・着実かつ計画的に廃炉作業を進めていく。1号機については、使用済燃料プールからの燃料取り出しに向け、大型カバー設置などを着実に進めるほか、2号機については、国際廃炉研究開発機構と連携して燃料デブリの試験的取り出しに向けた作業を進めていく。

 また、「復興と廃炉の両立」の方針のもと、地元企業の参画拡大や域外企業の誘致を通じて、浜通り地域における廃炉関連産業の形成を推進し、地域の雇用創出や人財育成、産業・経済基盤の創造に貢献していく。

 

ハ.ALPS処理水の扱い

 ALPS処理水の海洋放出の開始に向けて、実施計画に基づく安全・品質の確保や科学的根拠に基づく情報の国内外への発信、海域モニタリングの強化など、政府の基本方針を踏まえた取り組みを着実に進めていく。

 また、希釈放出設備の設置工事等の進捗に応じて原子力規制委員会による使用前検査や国際原子力機関によるレビューを受け、客観性・透明性の確保に努めていく。さらに、ALPS処理水の放出に伴う風評影響を最大限抑制すべく、国内外の理解醸成に向けた科学的根拠に基づく情報発信に加えて、風評影響を受けうる産業への対策をさらに強化していく。

 それらの対策を講じてもなお放出により風評被害が生じた場合には、迅速かつ適切に賠償していく。

 

<経済事業>

ニ.原子力発電事業の取り組み

 原子力発電所の安全と核セキュリティを継続的に追求し、地域や社会から信頼される企業となるために、現場重視の姿勢で原子力改革を推進していく。具体的には、各分野の専門家などの知見を積極的に取り入れるほか、柏崎刈羽原子力発電所の運営に関わる本社機能を新潟県に移転するなどして、本社と発電所が一体となる現場重視・地域共生の事業体制の構築をめざしていく。

 安定供給の継続とカーボンニュートラルの実現のためには原子力発電は必要不可欠であり、安全最優先のもと地域や社会の皆さまから信頼していただけるよう、一つひとつ取り組みを積み上げていく。

 

ホ.当社グループの事業戦略と収益力向上への取り組み

 エネルギーの市場価格の変動が激しい事業環境のなか、最適な電源ポートフォリオ等を構築することで、確実に利益を確保できる体質に転換していく。

 また、太陽光発電設備や蓄電池等の導入から長期運用まで含めたエネルギーサービスを提供することにより、自家発電・自家消費や地産地消といった分散・自律型の設備形成の動きを加速化させ、お客さまのエネルギーコストの安定化をはかっていく。あわせてレジリエンス向上に資する防災サービスなどの提供を通じ、災害に強く、カーボンニュートラルに資する“まちづくり”を実現し、安全・安心で快適なくらしの価値を提供していく。こうした施策により、事業環境の大きな変化にも対応できる柔軟な事業構造に変革していく。

 これらの施策を推進していくために、電気を柔軟に賢く「つかう」ための技術開発等に注力するほか、グループ再編も視野に入れたアライアンスを組成することなどにより、四次総特において掲げた「2030年度までに最大3兆円」の3倍以上の投資規模をめざしていく。

 

[フュエル&パワー]

 東京電力フュエル&パワー株式会社は、カーボンニュートラルの潮流の加速やウクライナ情勢を背景にした燃料価格の不安定化・高騰リスク、国内の電力需給ひっ迫リスクなど、株式会社JERAを取り巻く事業環境が急激に変化していることを踏まえ、同社における事業計画の策定への関与とその進捗に対するモニタリングなどによる質の高いコミュニケーションを通じて、株主として適切なガバナンスを実施していく。供給力の確保やJERAゼロエミッション2050の着実な実施にあたっては、機動的な燃料調達や再生可能エネルギーの開発・導入など各案件の進捗管理等を通じて課題を共有するとともに、その課題への対策が株式会社JERAの施策に随時、柔軟に反映されるよう、支援・監督していく。

 

[パワーグリッド]

 省エネルギーの進展等により託送事業の規模・収入が伸び悩む可能性がある一方、経年化が進んだ送配電ネットワーク設備の修繕・更新・革新を効率的に進める必要がある。こうしたなか、新しい託送料金制度であるレベニューキャップ制のもと、安定的かつ低廉な電力供給を支え続けるため、送配電ネットワークを健全な状態で効率的に維持し続け、その強靭性を高めていく。また、カーボンニュートラル等の課題解決に向け、他業種を含めた事業者との協業・連携により新たな価値の創造に挑戦するとともに、事業領域をさらに拡大させることで、地域や社会のニーズや期待に的確に応え、持続的な成長を追求していく。加えて、情報漏えい等により広く一般送配電事業者の信頼が損なわれた事態を重く受け止め、内部統制システムの一層の強化を図ることで、一般送配電事業の中立性を確実に担保していく。

 

[エナジーパートナー]

イ.販売戦略全体

 最適な電気の調達ポートフォリオを構築するとともに、デマンドレスポンス等を活用して電力需要パターンを柔軟に変化させることで、需給ひっ迫の不安がなく価格変動の少ない安定的なサービスを提供するほか、お客さまの利用形態に応じた電気料金プランの策定などにより、強い収益基盤の構築に取り組んでまいる。

 加えて、設備サービスを活用したエネルギーの地産地消を推進するとともに、省エネ設備の導入サポートを中心とする「TEPCO省エネプログラム2023」を実施するなど、カーボンニュートラル社会の実現とお客さまのご負担軽減に向けた取り組みを展開してまいる。

 

ロ.燃料価格高騰を受けた対応

 当社グループは、お客さまに電力を安定的にお届けするよう取り組んでいるが、昨今の世界的な資源価格の高

騰を背景とした事業環境下において、東京電力エナジーパートナー株式会社は、経営合理化では追いつかないほどの燃料・卸電力市場価格の高騰によって、費用が収入を上回っている状態となっており、財務体質が年々悪化している。

 こうした状況を踏まえ、東京電力エナジーパートナー株式会社の財務基盤を立て直すことを目的として、当社を引受先とする増資を決議し、東京電力エナジーパートナー株式会社に対し2022年10月に2,000億円、2023年1月に3,000億円の払込を行った。また、東京電力エナジーパートナー株式会社において、特に卸電力市場価格の影響が大きい「特別高圧・高圧」のお客さまを対象とした電気料金を2023年4月より順次見直しさせていただくこととした。

 しかしながら、上記対応を施しても収支基盤としては十分ではなく、今後、安定供給に支障をきたすことになりかねないこと及び経営合理化などの経営努力だけでは克服が困難なことから、東京電力エナジーパートナー株式会社は、「低圧」のお客さまを対象とした規制料金について値上げをお願いすることとし、2023年5月19日に経済産業大臣の認可を受け、2023年6月1日より値上げを実施させていただいた。低圧自由料金についても、2023年7月1日から見直しをさせていただく。

 電気料金の見直しに伴い、お客さまにはご負担をおかけするが、ご理解いただけるように丁寧な説明を行ってまいる。また、電力・ガス取引監視等委員会による規制料金認可後のフォローアップに対しても、適切に対応してまいる。

 一方、東京電力エナジーパートナー株式会社は2022年10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づき、お客さまのご負担軽減を直接的に実現すべく、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」(以下、「本事業」という。)に参加申請するとともに、特定小売供給約款における電気料金の特別措置の設定を経済産業大臣に申請した。東京電力エナジーパートナー株式会社は、本事業における電気・ガスの事業者として、2022年12月15日までに採択され、12月16日には経済産業大臣より、特定小売供給約款における電気料金の特別措置の認可を受けた。これに伴い、国からの補助金を受けながら、2023年1月使用(2月検針)分以降の電気・ガス料金において、国が定める値引き単価により、電気・ガスのご使用量に応じた値引きを行っている。

 加えて、お客さまの電気料金のご負担を軽減する節電における取り組みとして、省エネ設備の導入サポートを中心とする「TEPCO省エネプログラム2023」を実施する。

 以上の取り組み等により、お客さまに電力を安定的にお届けできるよう最大限努力してまいる。

 

[リニューアブルパワー]

 国内の水力発電所のリパワリングを通じて設備強化に取り組むとともに、AI等を活用して発電所設備の制御・運用を最適化するなど、水資源のさらなる有効活用をはかっていく。また、出資参画した海外の事業会社が保有する水力発電所について、国内水力発電事業で培った技術力を活用して、調整池運用方法のカイゼンや機器取替周期の最適化等のバリューアップを進めるとともに、開発ポテンシャルが高い国・地域における開発も継続し、収益力の拡大をはかっていく。

 洋上風力発電事業については、国内公募案件での事業者選定をめざすとともに、子会社のフローテーション・エナジー社とグローバルに案件開発を進め、実案件の設計・建設・O&Mを通じて洋上風力発電事業の技術・運営に関するノウハウ・技術を獲得することにより、国内外における事業拡大を加速していく。

 

(注)本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりである。

 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。

 

(1)カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み

 ①ガバナンス・リスク管理

 当社グループは、気候変動のリスクおよび機会を含むESG対応を重要な経営課題と認識し、当社の取締役会は責任者(ESG担当役員)を選任している。責任者は四半期ごとに業務執行状況を当社の取締役会に報告しており、当社の取締役会は、戦略、行動計画および業績目標の進捗等を確認するなど気候変動のリスクおよび機会について監督している。

 また、当社の社長を委員長とするESG委員会にて定期的にESG課題について審議しており、みらい経営委員会やリスク管理委員会と連携している。重要なテーマについては、当社の取締役会等で活発な議論を行っている。

 

 [東京電力ホールディングス株式会社の体制]

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 ②戦略

 当社グループは、ビジョン達成に向けた価値創造を実現するための戦略として、2022年4月にカーボンニュートラルに関する事業方針を公表した。

 2019年に日本のエネルギー企業として初めてTCFD提言に賛同して以降、再生可能エネルギー発電事業会社を分社化するなど先行的な取り組みを進めており、安定供給とカーボンニュートラルの両立に向けて事業構造を変革し、社会とともに持続可能な成長を実現していく。

 今後は、現在の大規模電源・大量送電から、自家発電・自家消費といった地産地消型の社会に移行していくと

想定されるが、当社グループの強みである「電力を中心としたエネルギーに関する幅広く、また深い技術や知見」は、どのようなシナリオとなっても必要不可欠である。

 このような状況を踏まえ、当社グループは、ベースロード電源として水力・原子力・地熱を活用していくととも

に、洋上風力をはじめとした再生可能エネルギーの開発に取り組んでいく。また、「貯めて使う」地産地消型システムを推進するため、これまでの電気(kWh)の販売事業から、お客さまに密着した設備サービス事業にビジネスモデルの軸を大胆にシフトし、お客さま設備から生み出されるエネルギー資源を集めて、需給調整・環境価値取引等のニーズに応えられるようアグリゲーション事業を展開する。

 これらの新たな事業は社会・コミュニティ等の「まち」単位で、面的に拡大していく。ビジネスモデルの変革にあたっては、設備サービス・アグリゲーション事業の全国展開を最重点分野とし、アライアンスを進めながら現在の事業体制の組み換えも含めたグループ再編も視野に入れた事業構造変革を検討していく。

 

 [ビジネスモデルの変革]

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 ③指標及び目標

 当社グループはカーボンニュートラルの実現に向けて、当社及び基幹事業会社を対象に「2030年度に販売電力由来のCO排出量を基準年度比で50%削減(※)」、さらには「2050年におけるエネルギー供給由来のCO排出実質ゼロ」という目標を掲げ取り組んでいく。

 (※)Scope1、2、3の販売電力由来。Scope1、2は2019年度比、Scope3は2013年度比。

 

 [カーボンニュートラルロードマップ]

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 2021年度の当社及び基幹事業会社を対象とした販売電力由来のCO排出量の実績は7,990万tであった。

また、温室効果ガス排出量はScope1が192千t-CO2、Scope2(※)が6,108千t-CO2の合計6,300千t-CO2であ

った。

 (※)電力購入先ごとの排出係数に基づき算定する基準(マーケット基準)にて算出している。

 

(2)人的資本

 当社及び基幹事業会社は、気候変動問題や燃料価格の高騰等の外部環境が大きく変化するなか、経営理念と四次総特の達成に向け、カーボンニュートラルの実現のための事業構造変革と経営基盤の強化に総力をあげて挑戦していく。この挑戦への原動力であり、持続的な成長の源である「人」をかけがえのない財産と捉え、企業価値向上に向けた人的資本への投資を積極的に進めている。

 

 [人財戦略]

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    ※上記は当社及び基幹事業会社を対象としている。

 

①ガバナンス・リスク管理

 当社及び基幹事業会社は、人財の確保への対応を重要な経営課題と認識し、当社の取締役会は最高労務人事責任者(CHRO)を選任している。人財戦略や要員・採用計画に関し、当社の執行役会ならびに執行役を中心とした経営会議等で全社的な課題の抽出や対応方針について審議し、CHROが四半期ごとに業務執行状況を当社の取締役会に報告しており、取締役会は、戦略、行動計画および業績目標の進捗等を確認するなど人財の確保について監督している。

 

②戦略

 当社及び基幹事業会社は、経営戦略と連動した人財戦略として、4つの優先課題を設定し、ISO30414といったグローバルな基準も考慮しながら、企業価値向上に向けた各種重点施策に取り組んでいる。これらの重点施策の実行を通じて、社員一人ひとりが「自律心」「情熱」「多様性」を抱き、経営理念のValuesを体現する世界に通用するプロフェッショナル人財へと成長することを後押しする。こうして仕事への誇りや働きがいを持った社員とともに、風通しの良い一体感のあるプロフェッショナル集団を築きあげ、共創によるシナジーを発揮しながら、お客さま一人ひとりの期待を超える価値創造と当社グループの大切な使命である「電力の安定供給」を不断なく実行し続ける。

 

 <優先課題1: 「両利きの経営」を加速する人事戦略>

 「既存事業の選択・深化」と「新規事業の拡大」といった「両利きの経営」を加速するために、各事業戦略の実現に向けて必要な人財の質と量を中長期的に計画し、採用や育成・配置等の人事的な取り組みを通じた戦略的な人財の確保を進めている。中長期的な想定に基づく採用計画を毎年策定し、広報も強化しつつ新卒採用を着実に進めるとともに、新規事業領域を中心とした即戦力人財の中途採用や電気事業を支える第二新卒採用を行っている。経営リーダー、電力プロフェッショナル、事業創造人財、DX人財、グローバル人財等、既存・新規の事業運営を支える人財を定義し、研修・配置を通じた育成プログラムを強化したり、また、社員の能力や経験等の人財情報をデータベースとして一元管理し、仕事と適財とをマッチングする適所適財の取り組み(タレントマネジメント基盤の整備)も進めている。あわせて、自己啓発や人財公募等の挑戦・選択機会を提供することで、社員の自律的な成長やパフォーマンス向上につながる環境づくりを進めている。

 

 <優先課題2: ダイバーシティ&インクルージョン>

 一人ひとりが自分らしく持っている能力を最大限に発揮し、自分と異なる視点・能力・経験を有する仲間との協働を通じて、お客さまの期待を超える柔軟で新しい価値を提供できる職場環境は、「カーボンニュートラル」や「防災」を軸とした価値創造による、安全で持続可能な社会の担い手として信頼され選ばれ続ける企業グループの礎になると考え、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを進めている。

 

 <優先課題3: TEPCO Work Innovation>

 心身の健康が確保され、社員の自律性の発揮と共創が推進される新しい働き方の実現に向けて、「いつでも どこでも 誰とでも」快適に働くことができる環境づくりを進めている。リモートワークの推進やそれを支える社内制度の導入等の働き方の改革と、カイゼン・DXを用いた業務改革に一体的に取り組んでいる。また、柔軟な働き方が進むほどコミュニケーションがより大切になってくることから、上司が率先して、1on1ミーティング等を通したきめ細かな対話を実践することを促すなど、マネジメント改革にも取り組んでいる。

 

 <優先課題4: 基盤強化>

 人財の質・量の充足とともに、社員のエンゲージメントを向上させることがきわめて重要と考え、社員一人ひとりの「働きがい」、「成長実感」、「ワークライフバランス」をエンゲージメント指標として設定し、全社員対象の社員意識調査で測定している。調査の結果は、企業倫理委員会等を通じて経営層にインプットすると同時に、社外有識者からもご意見をいただき、全社的な施策の検討・実施につなげている。また、速やかに各組織にフィードバックし、自らの強みや弱みを踏まえ、エンゲージメント向上につながる施策を自律的に展開している。

 

③指標及び目標

 当社及び基幹事業会社は、上記の[人財戦略]に記載している指標・目標に加え、人的資本に関わるデータの収集・活用を実施し、人的資本の可視化を推進している。今後も企業価値向上に寄与する効果的・効率的な人的資本投資の実行に向けて、KPIの整備、取り組みのモニタリングや改善を進める。

 

[管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業等取得率及び労働者の男女の賃金の差異]

 <管理職に占める女性労働者の割合>

 2022年度末の管理職に占める女性労働者の割合は5.9%(2021年度末5.8%、2020年度末5.5%)であり、女性の採用・育成強化等により、次世代女性リーダーの拡大を進めている。

 

 <男性労働者の育児休業等取得率>

 2022年度の男性労働者の育児休業等取得率は80%である。セミナー開催やメッセージ配信により性別役割分業意識を払拭し、性別等の属性に関わらず誰もが活躍できる職場環境を整えるとともに、男女ともに家庭と仕事の両立を実現できる働き方の変革に取り組んでいる。

 

 <労働者の男女の賃金の差異>

 2022年度の労働者の男女の賃金の差異は82.1%である。当社及び基幹事業会社では、同じ役割であれば男女で賃金の差は設けていないが、主に以下の要因により女性より男性の賃金が高くなっていると考えている。

  イ.女性の出産・育児期のキャリアの断絶

 性別役割分業意識による出産・育児期のキャリア断絶により、一時的に仕事をペースダウンする女性が多く、結果として賃金が高い傾向にある管理職層の比率が女性に比べ男性の方が高くなっている。

  ロ.若年層女性従業員の増加

 女性活躍推進の観点から女性の採用を強化しており、結果として賃金の低い傾向にある若年層の比率が男性に比べ女性の方が高くなっている。

ハ.扶養手当など諸手当の支給有無の差

 女性よりも男性の方が家族を扶養している割合が高い等、諸手当が支給されている比率が女性に比べ男性の方が高くなっている。

 

 <今後の取り組み>

  イ.キャリア継続への支援

    2023年4月より、育児休業を取得した社員の復職支援施策として、関東近郊35か所の企業主導型保育所の  利用を可能とする制度を導入している。

    また、育児休業の取得等により不足しがちな経験を補完するため、キャリア実現の意識を高めるキャリア形成支援を行うとともに、リーダー育成等の様々な研修を提供している。

   加えて、リモートワーク制度やフレックスタイム制度の活用により、通勤時間の削減や柔軟な勤務が可能となり、社員の働き方の選択肢が拡大している。引き続きTEPCO Work Innovationを推進し、場所や時間に囚らわれず働き、キャリアを継続できる環境を整えていく。

  ロ.若年層女性従業員の確実な育成

 当社及び基幹事業会社では、長期的な視点で人財を育成している。若年層に対しては、階層別研修をはじめ、自律的な学びの機会を付与し、個人が持つ能力を発揮できるよう成長を後押ししている。

 

その他詳細は、当社のホームページ及び「TEPCO統合報告書2022」を参照。

   (https://www.tepco.co.jp/about/ir/library/annual_report/index-j.html)

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載している。また、必ずしもこれに該当しない事項についても、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示している。

 当社では、社長を統括責任者、最高リスク管理責任者をリスク運用・管理責任者とするリスク管理体制を整えており、各基幹事業会社の社長、リスク管理担当役員等と連携することにより、平時・リスク顕在化時における当社グループのリスク管理を統括している。取締役及び執行役は、当社及びグループ会社の事業活動に関するリスクを定期的に、また必要に応じて把握・評価し、毎年度の経営計画に適切に反映している。また、グループ全体のリスク管理が適切になされるよう社内規程を整備している。

 当該リスクは、社内規程に従い、業務所管箇所が、職務執行の中で管理することを基本とし、複数の所管に関わる場合は、組織横断的な委員会などで審議の上、適切に管理している。

 経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについては、執行役社長を委員長とする「リスク管理委員会」において、リスクの顕在化を予防するとともに、万一顕在化した場合には迅速かつ的確に対応することにより、経営に及ぼす影響を最小限に抑制している。加えて、従業員に対して、関係法令教育や社内規程・マニュアルの教育を定期的に実施している。

 しかしながら、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況にあり、以下のリスクが顕在化した場合、事業に大きな影響を与える可能性がある。なお、各リスク項目の記載順序については、事業への影響度や発現可能性などを踏まえて判断した重要度に基づいている。

 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。

 

①福島第一原子力発電所の廃炉

 

影響度

特大

発現可能性

想定されるリスク内容

 当社では、「東京電力HD(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」に基づき安全に最大限留意しつつ、着実に廃炉作業を進めているが、これまでに経験のない燃料デブリの取り出しなど、技術的に不透明かつ未解明な課題があり、30~40年後の廃止措置が計画通りに進捗しない可能性がある。

 また、廃炉作業を進める上で、地域や社会の皆さまのご理解が必要だが、情報発信の不十分さやヒューマンエラー、トラブルの発生により、当社に対する地域や社会の皆さまからの信頼が得られず、着実な実施が困難となる可能性がある。

 多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)は、政府の基本方針を踏まえ処分する予定だが、準備工事の遅延のほか、地域や社会の皆さまからのご理解が得られず、これを着実に実施できない可能性がある。

 これらの廃炉の取り組みが円滑に進まず、工程がさらに長期に及ぶ場合には、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

対応策

廃炉作業は世界でも前例のない取り組みであり、今後の進むべき大きな目標である中長期ロードマップなどをベースに、徐々に得られる新たな情報や知見を踏まえ「廃炉中長期実行プラン」を策定している。

「復興と廃炉の両立」を通した「福島への責任を貫徹」を目指し、地域や社会の皆さまのご理解をいただきながら進めるべく、廃炉作業の進捗と今後の見通しについて、より丁寧にわかりやすくお伝えしていく。

今後も1号機原子炉格納容器内部調査や2号機燃料デブリ試験的取り出しなどを通し、新たな情報や知見を一つひとつ集め、「廃炉中長期実行プラン」を進捗や課題に応じて定期的に見直しながら、30~40年後の廃止措置終了に向け、安全に最大限留意しつつ、計画に基づき着実に対応を進めていく。

ALPS処理水希釈放出設備などの工事については、安全を最優先に進め、その状況を関係者や社会の皆さまに適時お伝えすることに加えて、自治体の安全確認、国際原子力機関のレビューなどに真摯に対応し、客観性・透明性を確保することで、国内外から信頼いただけるよう取り組んでいく。

また、風評影響を最大限抑制するための取り組みを強化・拡充するとともに、地域の皆さま、関係する皆さまのご意見などを丁寧に伺い、適宜対策を講じていく。

さらに、建屋屋根の補修や陸側遮水壁内側におけるフェーシングなど重層的な対策を講じ、また、局所的な建屋止水を進めるなどさらなる抑制対策により、汚染水の発生量の抑制を図っていく。

 

 

 

②電気の安定供給

 

影響度

特大

発現可能性

想定される

リスク内容

 設備事故、燃料調達支障のほか、大規模自然災害、テロ・暴動などの妨害行為、感染症の発生などにより、安定供給を確保できなくなる可能性がある。また、その影響が長期、大規模に及ぶ可能性がある。

 このような場合、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があるとともに、社会的信用を低下させ、事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

対応策

 計画段階における需給の評価ならびに対応策については、国や電力広域的運営推進機関の議論を経て決定された内容を確認し、供給側の対策(kW公募など)ならびに需要側の対策(デマンドレスポンスなど)の需給両面で取り組んでいく。

 日々の運用においては、週次で短期的な需給見通しの確認を行い需給ひっ迫の予兆把握に努める。

 また、需給ひっ迫時に需給非常時対策を円滑かつ的確に実施するため、グループ大の需給非常時要項を適宜改定していく。

 なお、需給ひっ迫時は、東京電力パワーグリッド株式会社の需給非常時対策の実施状況の確認を行うとともに需給ひっ迫状況に応じた体制の構築ならびに適切なタイミングでの情報発信により、広域的な停電を回避する。

 自然災害の激甚化・広域化への対策としては、電力レジリエンスの強化を軸に据え、内閣府中央防災会議などの被害想定をベースとした設備の補強を促進している。設備事故の未然防止の観点からは、計画的かつ効率的に経年設備の更新を進めることで安定供給の維持に取り組んでいる。テロ・暴動などの妨害行為に対しては、関係機関との平時からの緊密な連携により備えている。被害軽減の観点からは、複数の送電系統を連携する設備の多重化により、設備の故障時に停電範囲や停電時間を極小化する取り組みを進めるとともに、被災設備の早期復旧に向けては、デジタル技術の積極的活用や、分散型電源として蓄電池・電動車両なども活用した電力供給手段の多様化、復旧資機材の確保や当社グループ一体での災害対応体制の整備、各種ハザードを想定した社内訓練や海上・陸上自衛隊、さらには国・自治体・一般送配電事業者などの関係者との連携・協働の強化などを図っている。

 燃料調達リスクに対しても、引き続き、株式会社JERAにおいて燃料ポートフォリオの柔軟性やJERA Global Marketsによる燃料トレーディングを活用し、可能な限り安定的かつ柔軟な燃料調達に努めていくとともに、当社として株式会社JERAのモニタリングに努めていく。

 また、感染症対策については、基本的な感染対策の徹底やテレワーク・時差出勤の活用により社員の健康と安全を確保するとともに、感染症拡大に伴う社会動向についても注視しながら必要な対応を適切に実施していく。

 

 

③原子力発電・原子燃料サイクル

 

影響度

特大

発現可能性

想定される

リスク内容

 国による原子力政策の見直しや原子力規制委員会による安全規制の見直しなどにより、当社グループの原子力発電事業や原子燃料サイクル事業の運営は影響を受ける可能性があるとともに、当社グループの業績及び財政状態も影響を受ける可能性がある。

 原子力発電は、カーボンニュートラル実現に加え、低廉で安定的な電力の供給、レジリエンス強化の観点からも重要な電源であり、二度と過酷事故を起こさないという決意のもと、安全対策の強化や組織の改革に取り組んでいる。しかしながら、2020年度に発生した核物質防護に関する事案や安全対策工事未完了問題などにより、現場での工事や検査といった技術的な対応が長期化したり、立地地域をはじめ広く社会の皆さまからの信頼回復が進まなかった場合、原子力発電の再稼働の見通しが立たず、火力燃料費の増加や不要となる核燃料資産の発生、発電設備の資産性の評価などにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 使用済燃料の再処理、放射性廃棄物の処分、原子力発電施設などの解体のバックエンド事業については、多額の資金と長期にわたる事業期間が必要になるが、その処理が滞ることなく適切に実施されるよう制度措置がされている。具体的には、使用済燃料の再処理や放射性廃棄物の処分については、それに要する費用を拠出する制度が、また、原子力発電施設などの解体については、それに要する費用を引当金として積み立てる制度が措置されている。こうした国による制度措置などによりバックエンド事業に関する不確実性は低減されているが、制度措置などの見直しや制度外の将来費用の見積額の増加、日本原燃株式会社の六ケ所再処理施設などの稼働状況、同ウラン濃縮施設に係る廃止措置のあり方などにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

対応策

 原子力発電に関しては、発電所の喫緊の課題である核物質防護機能の強化のため、2021年9月に原子力規制委員会へ提出した改善措置計画を着実に遂行している。具体的には、不正侵入・誤許可防止のため複数の生体認証装置の導入や、経営層のリーダーシップのもと核物質防護業務の改善を推進する体制の構築などを実施しており、外部人材の登用を含む人的リソースの拡充や、設備対策へのさらなるリソースの投入により、持続的な核セキュリティ向上を図っていく。

 さらに、本社機能の一部を発電所の立地する新潟県柏崎市へと移転し、本社と発電所の一体的な運営により、現場重視・地域共生の事業運営を進めている。

 バックエンド事業に関しては、国の政策や関連する制度措置に則って適切に対応していくことで不確実性の低減を図るとともに、今後の政策、制度の動向を注視していく。また、六ケ所再処理事業やウラン濃縮事業などの原子燃料サイクル事業の推進に協力していく。

 高レベル廃棄物の最終処分については、当社は、廃棄物の発生者として基本的な責任を有する立場から、お問い合わせ窓口を設置するなど、国や原子力発電環境整備機構(NUMO)と連携しながら、地層処分の実現に向け、理解活動に積極的に取り組んでいる。

 

 

④販売電力量・販売価格・電源調達費用

 

影響度

特大

発現可能性

想定される

リスク内容

 販売電力量は、気温や天候の影響、経済活動、生産活動に加え、節電や省エネルギー、カーボンニュートラル社会の実現に向けた対応など政策面、さらに小売市場の競争状況などの影響を受ける。また、販売価格及び収益については、小売市場の競争状況による影響を受ける可能性がある。

 加えて、電源調達費用は、燃料市場や卸電力取引所における取引動向や外国為替相場の影響を受ける可能性があり、これらにより、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 ただし、一定の範囲内の燃料価格・外国為替相場・卸電力市場価格の変動については、「燃料費調整制度」及び、「燃料費等調整制度」により、業績への影響は緩和される。

対応策

 ウクライナ情勢などに伴う燃料価格・卸電力市場価格の高騰や電源調達構造の変化により当社グループの財務状態に影響を与えている。

 そのため、「特別高圧・高圧」のお客さまを対象に2023年4月以降に販売価格の見直しを順次実施していく。また、「低圧」のお客さまに関しても、規制料金の値上げについて2023年5月19日に経済産業大臣の認可を受け、2023年6月1日より値上げをさせていただくとともに、低圧自由料金についても2023年7月1日から見直しをさせていただく。販売価格の見直しにあたっては、徹底した経営効率化に取り組むとともに、省エネプログラムの充実や、販売価格算定における原子力発電の再稼動の一部織り込みによる卸電力市場価格などの影響幅の圧縮なども実施し、お客さまのご負担を軽減しつつ、当社グループの財政状態の改善を図っていく。

 併せて、電源調達費用については、電力デリバティブを活用したヘッジ取引の導入などによりリスクを適切に管理しつつ、調達先の拡大などによりコスト削減を進め、競争力の高い電源ポートフォリオを構築していく。

 加えて、カーボンニュートラルの潮流や燃料国際市況の価格変動性の高さを踏まえ、地産地消型設備サービスという新たな事業モデルへの変革を進めることで、お客さまや社会の要請にお応えしながら、燃料価格などの影響を抑えて安定的な利益を確保していくことを目指していく。

 

⑤お客さまサービス

 

影響度

大-特大

発現可能性

想定される

リスク内容

法令に反するお客さま応対などにより、お客さまからの当社グループ及び当社が提供するサービスへの満足度や社会的信用が大きく低下し、当社グループの業績、財政状態及び円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

対応策

当社グループは、2021年7月に新たな経営理念を定め、その下で四次総特に示す具体的戦略の実現に向けて、お客さまのために変革を恐れず挑戦する新たな企業文化を確立し、信頼され、選ばれ続ける企業になることを目指している。

販売活動などを担う東京電力エナジーパートナー株式会社においては、お客さまサービスの向上のために、実務に即した研修・教育や応対スクリプトの整備などを行うとともに、電話・訪問の機会を通じて収集した「お客さまの声」を業務改善に活かし、主な改善事例をホームページに掲載している。

また、四半期に1回開催している東京電力エナジーパートナー株式会社社長を委員長、弁護士及び消費者団体役員を社外委員とする営業品質管理委員会において、過去に受けた行政処分などの再発防止などの実施状況の確認や、サービス内容の説明動画の活用、申込書を分かりやすく改良するなど、営業品質向上と同時に不適切事例の発生防止に向けた各種取り組みを社内横断的に評価し、改善方針の立案を行っている。さらに、CX向上室が各部署の改善の取り組みに対する支援と牽制の役割を担い、不適切事例の発生防止に努めている。

 

 

⑥火力発電用燃料価格

 

影響度

大-特大

発現可能性

想定される

リスク内容

LNG、原油、石炭などの価格は、燃料国際市況や外国為替相場の動向などにより変動し、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。特にウクライナ情勢などを受けた全世界的な燃料価格の高騰により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

対応策

 株式会社JERAにおいて、世界最大級の調達規模を梃子に構築している価格競争力、価格変動リスク対応力に優れた燃料ポートフォリオ、JERA Global Marketsによる燃料トレーディング及び先物市場におけるヘッジの活用などにより燃料価格変動に伴うリスク対応に努めていく。

 

⑦電気事業制度・エネルギー政策変更

 

影響度

大-特大

発現可能性

想定される

リスク内容

 電気事業における制度変更を含めたエネルギー政策の見直し、地球温暖化に関する環境規制の強化など、事業を進めていく上での政策面での変化への対応により、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

対応策

 エネルギー政策や電気事業に係る制度、環境規制に関する動向など必要な情報を幅広く、積極的に収集し、関係箇所で連携しながら様々な場を通じて当社グループの考え方を説明するとともに、必要な対応を実施していく。

 

⑧安全確保・品質管理・環境汚染防止

 

影響度

大-特大

発現可能性

中-高

想定される

リスク内容

 当社グループは、あらゆる事業、部門、事業所において、安全確保、品質管理、環境汚染防止に加え、それらの状況について透明性・信頼性の高い情報公開の徹底に努めているが、作業ミス、法令・社内ルール違反などによる事故や人身災害、大規模な環境汚染の発生、不適切な広報・情報公開により、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

対応策

 当社グループは、企業の社会的責任を果たすため「東京電力グループ企業行動憲章」を制定し、そのもとで、安全の最優先と企業倫理の徹底による法令やルールの遵守、誠実な行動を一体となって取り組んでいる。

 事業活動のあらゆる場面において安全を最優先に掲げ、安全管理の取り組みについて、法令の遵守及び安全活動に実効性があるルール・施策を策定・展開し、継続的に評価・改善している。

 品質管理や環境管理についても、規程・マニュアルなどにより遵守すべきルールを定め徹底するとともに、内部監査などによりその遵守状況を確認し、必要な改善を適宜実施している。

 特に、原子力事業は、管理者が現場における設備・人の状況を定期的に確認・改善するなど、現地現物を重視した安全・品質の向上に取り組んでいる。また、外部専門家による指導・助言なども踏まえて、取り組みを継続的に改善していく。

 情報公開については、お客さまや地域、社会の皆さまに必要な情報が正確に迅速に伝わることを意識して取り組んでいる。

 

 

⑨企業倫理遵守

 

影響度

大-特大

発現可能性

中-高

想定される

リスク内容

 当社グループは、企業倫理を遵守した業務運営を定着させるための取り組みに努めているが、法令違反などの企業倫理に反した行為が発生した場合、当社グループへの社会的信用が低下するなど、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 また、原子力事業においては、安全文化醸成の方針のもと、従事者に具体的に求められる行動を明確化し、一人ひとりが実践できるよう教育や対話活動などに取り組んでいる。しかしながら、これらの取り組みが不十分な場合には、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

対応策

 「東京電力グループ企業行動憲章」及び「東京電力グループ企業倫理遵守に関する行動基準」を定め、会社としての方向性や役員・従業員が遵守すべき具体的行動を明確にするとともに、社長を委員長とし社外有識者を含めた委員で構成する東京電力グループ企業倫理委員会を設置し、企業倫理の定着を図るための諸施策の審議・決定及びその実践状況について指導・助言を受け、組織毎に企業倫理責任者・企業倫理担当者を配置することにより、東京電力グループ一体となった定着活動を実施している。

 また、定期的に実施する意識調査において定着度合いを確認し、その結果を踏まえ、今後の活動方針を決定している。さらに、東京電力グループ大で利用できる企業倫理相談窓口を社内外に設置し、グループ全体で企業倫理に反する行為の未然防止を図っている。

 原子力事業においては、柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護事案などを受け、経営層による所員との対話活動や対話活動などから得られた意見に基づいた「柏崎刈羽原子力発電所の志」の作成や外部人材の登用等の施策により、内部コミュニケーションや所員のモチベーションの改善を行い、地域の皆さまから信頼される発電所を実現するための取り組みを継続して行っている。

 

⑩情報管理・セキュリティ

 

影響度

大-特大

発現可能性

想定される

リスク内容

 当社グループは、大量のお客さま情報をはじめ、業務上の重要な情報を保有している。社内規程の整備や、社員教育などを通じ情報の厳正な管理に留意しているが、サイバー事案やヒューマンエラーなどにより、これらの情報の流出などが発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

対応策

 高度化、巧妙化するサイバー事案に対処するため、防御対策、常時監視、対応・復旧訓練などあらゆる手段を用いてセキュリティ強化に努めている。

 また、お客さま情報の保護は特に重要であると認識しており、外部記憶媒体への情報書き出しを制限するなどのシステム上の対策を実施するとともに、情報流出などによって生じるお客さまや社会への影響について社員へ教育・啓発している。

 

⑪資材調達

 

影響度

発現可能性

想定される

リスク内容

 大規模災害の発生や感染症の蔓延、国際紛争、米中摩擦などの影響によるサプライチェーンの混乱により、調達コストの高騰や計画的な調達が阻害され、当社グループの業績、財政状態及び円滑な事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

 特に昨今のウクライナ情勢などの地政学問題、半導体不足や新型コロナウイルス蔓延時の工場稼働停止などに起因する納品の遅れや製造不能は、電力の安定供給に支障をきたす可能性がある。

 また、当社のサプライチェーンにおいて当社グループまたは調達先が万が一、環境破壊や人権侵害に加担していたことが判明した場合、社会的信用を低下させ、事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

対応策

 サプライチェーンの持続的な確保に向けて、調達先については、取引先登録制度を採用し、あらかじめ適格性を担保するとともに、競争と共創拡大の方針のもと、調達先の多様化を図っている。半導体不足などの資材の納品遅れや製造不能の発生については、早期発注に加え、代替品の検討や在庫管理の徹底と工程調整による欠品リスクの回避などで対処している。

 また、昨今の環境問題・人権問題への社会的関心の高まりや、その重要性に鑑みて、「東京電力グループ調達基本方針」を改定し、調達先に対して「サステナブル調達ガイドライン」を新たに示し、環境や人権問題に対する取り組み状況の確認や対話を通じた信頼関係の構築などを行うことで、サプライチェーン全体での持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいる。

 

⑫気候変動等に関する取り組み

 

影響度

発現可能性

想定される

リスク内容

 当社グループは、「販売電力由来のCO排出量を2013年度比で2030年度に50%削減」「2050年におけるエネルギー供給由来のCO排出実質ゼロ」という目標を宣言し、カーボンニュートラル社会の実現に挑戦しているが、成長志向型カーボンプライシングを含むGX推進法の成立などCOに関する規制の強化や、需要側での太陽光や蓄電池などの自家発電・自家消費、地産地消の広がりによる販売電力量の低下などにより、当社グループの業績、財政状態及び事業運営、企業イメージに影響を及ぼす可能性がある。

 また、ESGに関する投資家の行動変容などにより、当社グループの資金調達や株価に影響を及ぼす可能性がある。

対応策

 当社グループの目標達成に向けては、長期的な安定供給とCO削減を両立させつつ、ビジネスの軸を「カーボンニュートラル」にシフトし、当社グループ一体となり再エネ電源などのゼロエミッション電源の開発とエネルギー需要の電化促進の両輪での取り組みを展開していく。

 今後の規制強化に対しては、GX推進法などの温暖化対策に関する制度設計など必要な情報を幅広く・積極的に収集し、関係箇所で連携しながら様々な場を通じて当社グループの考え方を説明するとともに、必要な対応を実施していく。

 また、大規模電源・大量送電から、自家発電・自家消費といった地産地消型の社会への移行に対しては、これまでの電気(kWh)の販売事業から、お客さまに密着した設備サービス事業にビジネスモデルの軸を大胆にシフトし、新たな事業を社会・コミュニティなどの「まち」単位で、面的に拡大して取り組みを進めていく。ビジネスモデルの変革にあたっては、設備サービス・アグリゲーション事業の全国展開を最重点分野としアライアンスを進めていく。

 ESGに関する投資家の行動変容に対しては、ESG委員会やESG担当役員の設置など世界的なESGの潮流を経営に取り込む体制を整備し、ESG課題の抽出と社内改革などの対策、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に則ったESG情報開示を充実するとともに、カーボンニュートラルロードマップに記載した取り組み事項を着実に実施していき、株主・投資家の皆さまとのエンゲージメントを通じて当社事業や取り組みに対する理解を深めていく。

 

⑬金融市場の動向

 

影響度

発現可能性

想定される

リスク内容

 企業年金資産などにおいて保有している国内外の株式や債券は、株式市況や債券市況などにより時価が変動することから、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。また、支払利息に関しては、今後の金利動向などにより影響を受けることがある。

対応策

 企業年金資産の分散投資や、確定拠出年金制度の導入による退職給付債務の削減を通じて、当社グループ全体での財務リスクの軽減を図り、業績への影響緩和に努めている。

 また、支払利息に関しては、固定金利の社債発行で資金調達を実施するなど、金利変動リスクの低減に努めている。

 

⑭四次総特に基づく経営改革

 

影響度

発現可能性

中-高

想定される

リスク内容

 当社グループは、福島への責任を果たしていくため、賠償・廃炉の資金確保や企業価値の向上を目指して、生産性改革、再編・統合を含めた連携などの推進及び事業基盤の強化などの非連続の経営改革に取り組んでいくとともに、原子力発電所を運営する主体として、地域の皆さまをはじめ広く社会の皆さまからの信頼回復の取り組みを最優先事項として位置付け、抜本的な改革に取り組んでいくが、信頼回復が十分に進まず、経営改革が計画通りに進まない場合には、当社グループの業績、財政状態及び事業運営に影響を及ぼす可能性がある。

対応策

 四次総特に基づく経営改革を実現していくために、責任者・期限・達成すべき内容などをアクションプランとして作成し、取り組みを進めている。また、各アクションプランの進捗状況については重要度に応じたモニタリングを実施し、PDCAを回すことで計画を達成していく。

 地域の皆さまをはじめ広く社会の皆さまからの信頼回復に向けて、経営層を含む組織全体で自己の弱点・課題を認識し、自律的に改善が進む組織になるよう原子力をはじめ経営改革を着実に進めるとともに、カイゼンを基軸とした生産性改革などによる経営合理化や、カーボンニュートラルや防災を軸とした新たな価値の提供などにより、企業価値の向上を実現していく。

 

⑮機構による当社株式の引き受け

 

影響度

発現可能性

中-高

想定される

リスク内容

 当社は、2012年7月31日に機構を割当先とする優先株式(A種優先株式及びB種優先株式。以下A種優先株式及びB種優先株式をあわせて「本優先株式」という。)を発行しました。A種優先株式には、株主総会における議決権のほか、B種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。また、B種優先株式には、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会における議決権は付されていないが、A種優先株式及び普通株式を対価とする取得請求権が付されている。

 機構は、本優先株式の引受けにより総議決権の2分の1超を保有しており、株主総会における議決権行使などにより、当社グループの事業運営に影響が生じる可能性がある。今後、機構によりB種優先株式のA種優先株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合、又は本優先株式について、普通株式を対価とする取得請求権の行使がなされた場合には、既存株式の希釈化が進む可能性がある。特に、普通株式を対価とする取得請求権が行使された場合には、既存株式の希釈化が進む結果として、持株会社である当社の株価が下落する可能性があるほか、当該普通株式を機構が市場売却した場合には、売却時の市場環境などによっては、さらに持株会社である当社の株価に影響を及ぼす可能性がある。

対応策

当社グループ一体となって福島への責任貫徹を第一に、社会からの信頼回復、企業価値向上に向けて、引き続き最大限の努力を行っていく。

 

 

 

⑯電気事業以外の事業

 

影響度

発現可能性

想定される

リスク内容

 当社グループは、四次総特の目標利益を達成するため、アセットサービス・アグリゲーション事業や次世代まちづくりなど電気事業以外の事業を推進していく。これらの事業は、当社グループの経営状況の変化、お客さまニーズの変化、他事業者との競合の進展、規制の強化、外国為替相場や燃料国際市況その他の経済状況の変動、政情不安、制度変更、自然災害、その他の変動要因により、投融資時点で想定した結果をもたらさない可能性がある。この場合、当社グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

対応策

 新たな事業領域への投資などについては、四次総特における事業ポートフォリオの戦略に基づき、一定の経営資源の範囲内で優先順位付けを行い実施している。個別のプロジェクトの投資判断については、予め設定したハードルレート基準に従い、投資管理委員会においてプロジェクトの収益性や戦略性などを評価し投資判断を行っている。事業開始後のプロジェクトについては定期的にモニタリングを行っており、不採算の事業は撤退・縮小するなど、選択と集中を行い投資パフォーマンスの向上を図っている。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

イ.財政状態

[資産・負債・純資産]

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ7,246億円増加し、13兆5,630億円となった。これは、未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金が増加したことなどによるものである。

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ8,097億円増加し、10兆4,411億円となった。これは、原子力損害賠償引当金が増加したことなどによるものである。

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ850億円減少し、3兆1,219億円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことなどによるものである。この結果、自己資本比率は22.8%と前連結会計年度末に比べ2.0ポイント低下した。

 

ロ.経営成績

[概要]

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比46.9%増の7兆7,986億円、経常損益は2,853億円の損失(前連結会計年度は422億円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損益は1,236億円の損失(前連結会計年度は29億円の利益)となった。

[売上高]

 当連結会計年度における各セグメントの売上高(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが6,337億円(前連結会計年度比2.2%増)、フュエル&パワーが39億円(前連結会計年度比24.5%減)、パワーグリッドが2兆5,139億円(前連結会計年度比28.1%増)、エナジーパートナーが6兆3,773億円(前連結会計年度比46.2%増)、リニューアブルパワーが1,562億円(前連結会計年度比2.1%増)となった。

 総販売電力量は、前連結会計年度比3.8%増の2,428億kWhとなった。

[経常損益]

 当連結会計年度における各セグメントの経常損益(セグメント間取引消去前)は、ホールディングスが670億円(前連結会計年度比8.2%減)、フュエル&パワーが△303億円(前連結会計年度69億円)、パワーグリッドが719億円(前連結会計年度比39.2%減)、エナジーパートナーが△3,282億円(前連結会計年度△664億円)、リニューアブルパワーが519億円(前連結会計年度比13.1%増)となった。

[親会社株主に帰属する当期純損失]

 当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は、特別利益に原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金5,074億円、関係会社株式売却益1,233億円、固定資産売却益627億円を計上した一方、特別損失に原子力損害賠償費5,073億円、災害特別損失222億円を計上したことなどから、1,119億円となった。ここに、法人税、住民税及び事業税87億円、法人税等調整額24億円、非支配株主に帰属する当期純利益6億円を計上し、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、1,236億円となった。なお、1株当たり当期純損失は77円17銭となった。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,444億円(16.8%)減少し、7,173億円となった。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の支出は、756億円(前連結会計年度は4,064億円の収入)となった。これは、電気調達費用に関する支出が増加したことなどによるものである。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度比30.5%減の3,888億円となった。これは、投融資の回収による収入が増加したことなどによるものである。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の収入は、前連結会計年度比42.9%減の3,199億円となった。これは、短期借入金の返済による支出が増加したことなどによるものである。

 

③ 生産及び販売の実績

 当社グループは、原子力発電等を行う「ホールディングス」、火力発電等を行う「フュエル&パワー」、送電・変電・配電による電力の供給等を行う「パワーグリッド」、電気の販売等を行う「エナジーパートナー」及び再生可能エネルギー発電等を行う「リニューアブルパワー」の5つのセグメントがコスト意識を高めるとともに自発的に収益拡大に取り組みつつ、一体となって電気事業を運営している。加えて、電気事業が連結会社の事業の大半を占めており、また、電気事業以外の製品・サービスは多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくないため、生産及び販売の実績については、電気事業のみを記載している。

 

イ.発電実績

種別

2022年度

(百万kWh)

前年同期比

(%)

水力発電電力量

12,204

89.3

火力発電電力量

156

99.1

原子力発電電力量

新エネルギー等発電電力量

61

92.1

発電電力量合計

12,420

89.4

 (注)1.上記発電実績には、連結子会社の一部を含んでいる。

2.2019年4月1日付けで㈱JERAが承継会社となり、東京電力フュエル&パワー㈱の燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により承継させた。これにより、火力発電電力量は東京電力パワーグリッド㈱の離島における発電電力量である。

 

ロ.販売実績

(a) 総販売電力量

種別

2022年度

(百万kWh)

前年同期比

(%)

 

小売販売電力量

184,825

99.1

卸販売電力量

57,959

122.5

総販売電力量

242,784

103.8

(注)連結子会社の一部を含んでいる。

 

(b) 電気料収入

種別

2022年度

(百万円)

前年同期比

(%)

電気料収入

4,712,230

142.3

(注)1.連結子会社の一部を含んでいる。

2.電気料収入は小売販売電力量に相当する。

3. 「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づき実施される「電気・ガス価格激変緩和対

策事業」により、国が定める値引き単価による電気料金の値引きを行っており、その原資として補助金

(以下、「当該補助金」という。)117,932百万円を受領している。内訳は「パワーグリッド」が3,358

百万円、「エナジーパートナー」が114,574百万円である。電気料収入には当該補助金収入を含んでい

ない。

 

   (c) 託送収入

種別

2022年度

(百万円)

前年同期比

(%)

託送収益

1,626,059

105.0

(注)セグメント間取引消去前。

 

 

 

④ 電気料金

東京電力エナジーパートナー株式会社は、2020年9月4日及び2023年1月27日に認可を受けた東京電力パワーグリッド株式会社の託送供給等約款の見直しにともない、託送料金の変動分を電気料金に反映すべく、2023年2月14日に経済産業大臣に特定小売供給約款の変更を届出し、2023年4月1日から実施している。

2023年4月1日から見直しされる主要契約種別の料金単価は下記のとおりである。

 

電気料金表

(消費税等相当額を含む料金単価)

 

 

単位

料金単価(円)

需要家料金

1契約   1か月につき

55.00

10Wまで

1灯    1か月につき

101.53

10W超過 20Wまで

153.55

20W 〃 40W 〃

257.60

40W 〃 60W 〃

361.66

60W 〃 100W 〃

569.77

100W 〃 100Wまでごとに

569.77

50VAまで

1機器   1か月につき

245.05

50VA超過 100VAまで

398.79

100VA 〃 100VAまでごとに

398.79

最低料金

1か月8kWhまで

240.72

電力量料金

上記超過1kWhにつき

19.91

10A

1契約   1か月につき

295.24

15A

442.86

20A

590.48

30A

885.72

40A

1,180.96

50A

1,476.20

60A

1,771.44

最初の120kWhまで

1kWhにつき

19.91

120kWh超過 300kWhまで

26.51

300kWh超過

30.60

最低月額料金

1契約   1か月につき

240.72

基本料金

1kVA  1か月につき

295.24

最初の120kWhまで

1kWhにつき

19.91

120kWh超過 300kWhまで

26.51

300kWh超過

30.60

 

 

 

単位

料金単価(円)

需要家料金

1契約   1か月につき

49.50

10Wまで

1灯    1か月につき

92.07

10W超過 20Wまで

140.13

20W 〃 40W 〃

236.26

40W 〃 60W 〃

332.40

60W 〃 100W 〃

524.67

100W 〃 100Wまでごとに

524.67

50VAまで

1機器   1か月につき

224.15

50VA超過 100VAまで

361.39

100VA 〃 100VAまでごとに

361.39

基本料金

1kVA  1か月につき

267.74

電力量料金

1kWhにつき

20.08

最低月額料金

1契約   1か月につき

229.72

基本料金

1kW   1か月につき

1,138.46

電力量料金

1kWhにつき

夏季

17.40

その他季

15.83

(注)1.上記契約種別のほか、臨時電灯、臨時電力、農事用電力がある。

2.料金単価欄の「夏季」とは毎年7月1日から9月30日までの期間をいい、「その他季」とは毎年10月1日から翌年の6月30日までの期間をいう。

3.原油・LNG(液化天然ガス)・石炭などの燃料価格の変動に応じ毎月自動的に料金を調整する燃料費調整制度が導入されている。なお、燃料費調整制度の算定方法は、「(参考)燃料費調整」に記載している。

 

(参考)燃料費調整

特定小売供給約款における燃料費調整

a.燃料費調整単価の算定方法

平均燃料価格の範囲

燃料費調整単価の算定方法

44,200円/klを下回る場合

(44,200円-平均燃料価格)×基準単価/1,000

44,200円/klを上回り,かつ,66,300円/kl以下の場合

(平均燃料価格-44,200円)×基準単価/1,000

66,300円/klを上回る場合

(66,300円-44,200円)×基準単価/1,000

 

b.基準単価

 

単位

基準単価

従量制供給

1kWhにつき

23銭2厘

(注) 定額制供給についても、同様に基準単価がある。

 

また、東京電力エナジーパートナー株式会社は、昨今の燃料価格・卸電力市場価格の高騰による財務体質の悪化を踏まえ、今後も安定的な電力供給を継続するため、電気料金の値上げをお客さまにお願いすることとし、2023年5月19日に経済産業大臣より電気料金の値上げに係る特定小売供給約款の変更について認可を受け、2023年6月1日から実施する。

2023年6月1日から適用される主要契約種別の料金単価は下記のとおりである。

 

電気料金表

(消費税等相当額を含む料金単価)

 

単位

料金単価(円)

需要家料金

1契約   1か月につき

55.00

10Wまで

1灯    1か月につき

169.79

10W超過 20Wまで

290.07

20W 〃 40W 〃

530.64

40W 〃 60W 〃

771.21

60W 〃 100W 〃

1,252.35

100W 〃 100Wまでごとに

1,252.35

50VAまで

1機器   1か月につき

450.84

50VA超過 100VAまで

810.37

100VA 〃 100VAまでごとに

810.37

最低料金

1か月8kWhまで

321.42

電力量料金

上記超過1kWhにつき

30.00

10A

1契約   1か月につき

295.24

15A

442.86

20A

590.48

30A

885.72

40A

1,180.96

50A

1,476.20

60A

1,771.44

最初の120kWhまで

1kWhにつき

30.00

120kWh超過 300kWhまで

36.60

300kWh超過

40.69

最低月額料金

1契約   1か月につき

321.42

基本料金

1kVA  1か月につき

295.24

最初の120kWhまで

1kWhにつき

30.00

120kWh超過 300kWhまで

36.60

300kWh超過

40.69

 

 

 

単位

料金単価(円)

需要家料金

1契約   1か月につき

49.50

10Wまで

1灯    1か月につき

157.61

10W超過 20Wまで

271.21

20W 〃 40W 〃

498.40

40W 〃 60W 〃

725.59

60W 〃 100W 〃

1,179.98

100W 〃 100Wまでごとに

1,179.98

50VAまで

1機器   1か月につき

418.86

50VA超過 100VAまで

750.78

100VA 〃 100VAまでごとに

750.78

基本料金

1kVA  1か月につき

267.74

電力量料金

1kWhにつき

30.17

最低月額料金

1契約   1か月につき

310.42

基本料金

1kW   1か月につき

2024年9月検針日の前日以前

1,138.46

2024年9月検針日以降

1,081.54

電力量料金

1kWhにつき

夏季

27.49

その他季

25.92

(注)1.上記契約種別のほか、臨時電灯、臨時電力、農事用電力がある。

2.料金単価欄の「夏季」とは毎年7月1日から9月30日までの期間をいい、「その他季」とは毎年10月1日から翌年の6月30日までの期間をいう。

3.低圧電力は、2024 年9月検針日以降のご使用分より力率割引・割増を廃止することにともない基本料金を変更する。

4.原油・LNG(液化天然ガス)・石炭などの燃料価格の変動に応じ毎月自動的に料金を調整する燃料費調整制度が導入されている。なお、燃料費調整制度の算定方法は、「(参考)燃料費調整」に記載している。

 

(参考)燃料費調整

特定小売供給約款における燃料費調整

a.燃料費調整単価の算定方法

平均燃料価格の範囲

燃料費調整単価の算定方法

86,100円/klを下回る場合

(86,100円-平均燃料価格)×基準単価/1,000

86,100円/klを上回り,かつ,129,200円/kl以下の場合

(平均燃料価格-86,100円)×基準単価/1,000

129,200円/klを上回る場合

(129,200円-86,100円)×基準単価/1,000

 

b.基準単価

 

単位

基準単価

従量制供給

1kWhにつき

18銭3厘

(注) 定額制供給についても、同様に基準単価がある。

 

⑤ 託送供給料金

 東京電力パワーグリッド株式会社は、2022年12月27日、電気事業法第18条第1項に規定された「託送供給等約款」の認可申請(電気事業法第17条の2第1項の規定により2022年12月23日に経済産業大臣から承認された2023~2027年度のレベニューキャップ制度第1規制期間における「託送供給等に係る収入の見通し」に基づく新たな料金を設定)を経済産業大臣に行い、2023年1月27日に経済産業大臣の認可を受け、2023年4月1日から実施している。

 主要託送供給料金は下記のとおりである。

 

託送供給料金表

(消費税等相当額を含む料金単価)

 

 

単位

料金単価(円)

接続送電サービス

低圧

電灯定額接続送電サービス

電灯

料金

10Wまで

1灯    1か月につき

37.51

10W超過 20Wまで

75.02

20W 〃 40W 〃

150.05

40W 〃 60W 〃

225.07

60W 〃 100W 〃

375.12

100W 〃 100Wまでごとに

375.12

小型

機器

料金

50VAまで

1機器   1か月につき

112.05

50VA超過 100VAまで

224.08

100VA 〃 100VAまでごとに

224.08

電灯標準接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

230.67

SB・主開閉器契約

1kVA  1か月につき

152.24

SB契約;5Aの場合

1契約   1か月につき

76.12

SB契約;15Aの場合

228.36

電力量料金

1kWhにつき

7.48

電灯

時間帯別接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

230.67

SB・主開閉器契約

1kVA  1か月につき

152.24

SB契約;5Aの場合

1契約   1か月につき

76.12

SB契約;15Aの場合

228.36

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

7.90

夜間時間

  〃

7.14

電灯従量接続送電サービス

  〃

11.26

動力標準接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

731.97

主開閉器契約

461.14

電力量料金

1kWhにつき

5.20

 

 

 

 

単位

料金単価(円)

接続送電

サービス

低圧

動力

時間帯別接続送電サービス

基本

料金

実量契約

1kW   1か月につき

731.97

主開閉器契約

461.14

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

5.48

夜間時間

4.97

動力従量接続送電サービス

17.20

高圧

高圧標準

接続送電サービス

基本料金

1kW   1か月につき

653.87

電力量料金

1kWhにつき

2.37

高圧

時間帯別接続送電サービス

基本料金

1kW   1か月につき

653.87

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

2.50

夜間時間

2.26

高圧従量接続送電サービス

  〃

13.09

ピークシフト割引

1kW   1か月につき

555.80

特別

高圧

特別

高圧標準接続送電サービス

基本料金

423.39

電力量料金

1kWhにつき

1.33

特別高圧時間帯別接続送電サービス

基本料金

1kW   1か月につき

423.39

電力量料金

昼間時間

1kWhにつき

1.39

夜間時間

1.28

特別高圧従量接続送電サービス

8.27

ピークシフト割引

1kW   1か月につき

359.89

予備送電サービス

高圧

予備送電サービスA

87.62

予備送電サービスB

109.20

特別

高圧

予備送電サービスA

71.13

予備送電サービスB

86.37

近接性

評価割引

受電電圧が標準電圧6,000V以下の場合

1kWhにつき

0.69

受電電圧が標準電圧6,000Vをこえ140,000V以下の場合

0.41

受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合

0.21

 

(注)1.上記契約種別のほか、臨時接続送電サービス、発電量調整受電計画差対応電力、接続対象計画差対応電力、

需要抑制量調整受電計画差対応電力、給電指令時補給電力がある。

2.SBとは、電流制限器又はその他適当な電流を制限する装置。

3.時間帯別接続送電サービスにおける「昼間時間」とは、毎日午前8時から午後10時までの時間をいい、「夜間時間」とは、「昼間時間」以外の時間をいう。ただし、日曜日、祝日(「国民の祝日に関する法律」に規定する休日)及び1月2日・3日、4月30日、5月1日・2日、12月30日・31日は、全日「夜間時間」扱いとする。

4.近接性評価割引とは、近接性評価地域に立地する発電場所における発電設備等を維持し、及び運用する発電契約者から当該発電設備等に係る電気を受電し、接続供給を利用する場合に行う割引をいう。

5.2016年3月31日までに近接性評価割引対象とされていた地域において、受電電圧が標準電圧6,000V以上であり、かつ、現に割引の適用を受けている電源についても、暫定的に、引き続き割引くこととし、受電電圧が標準電圧140,000Vをこえる場合の単価を適用する。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものである。

 

① 経営成績等

 当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、燃料価格や卸電力市場価格の高騰に加え、円安の継続など、一層厳しい状況となった。こうした状況のもと、当社グループは、さらなる経営合理化を進めたほか、電気の調達費用の抑制に向けた節電施策の展開など、収支の改善に取り組んできたが、経常損失を計上することとなった。

 当社グループの当連結会計年度の小売販売電力量は、競争の継続や節電へのご協力などにより、前連結会計年度に比べ0.9%減の1,848億kWhとなったが、卸販売電力量が増加したことから、総販売電力量は、前連結会計年度に比べ3.8%増の2,428億kWhとなった。

 当連結会計年度の連結収支については、収益面では、燃料費調整制度の影響により電気料収入単価が上昇したことに加え、総販売電力量が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ46.9%増の7兆7,986億円となり、その他の収益を加えた経常収益合計は45.4%増の7兆8,094億円となった。

 一方、費用面では、原子力発電が引き続き全機停止するなか、グループをあげた徹底的なコスト削減に努めたものの、燃料価格や卸電力市場価格の高騰等により電気の調達費用が増加したことなどから、経常費用合計は前連結会計年度に比べ51.9%増の8兆948億円となった。

 この結果、経常損失は2,853億円(前連結会計年度は422億円の経常利益)となった。

 また、原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付金や関係会社株式等の売却益など6,935億円を特別利益として計上する一方、原子力損害賠償費など5,295億円を特別損失として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純損失は1,236億円となった。

 当連結会計年度における各セグメントの業績(セグメント間取引消去前)は次のとおりである。
[ホールディングス]

 子会社の売上高が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ2.2%増の6,337億円となった。

 一方、基幹事業会社からの受取配当金が減少したことなどから、経常利益は前連結会計年度に比べ8.2%減の670億円となった。

[フュエル&パワー]

 持分法適用関連会社である株式会社JERAにおいて、LNGのスポット価格の高騰による調達費用の増加があったことなどから、経常損益は前連結会計年度比372億円減の303億円の損失(前連結会計年度は69億円の経常利益)となった。

[パワーグリッド]

 最終保障供給による収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比28.1%増の2兆5,139億円となった。

 一方、燃料価格高騰等により電気の調達費用が大幅に増加したことなどから、経常利益は前連結会計年度比39.2%減の719億円となった。

[エナジーパートナー]

 燃料費調整制度の影響などにより電気料収入単価が上昇したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比46.2%増の6兆3,773億円となった。

 一方、燃料価格高騰等により電気の調達費用が大幅に増加したことなどから、経常損益は前連結会計年度比2,617億円減の3,282億円の損失となった。

[リニューアブルパワー]

 販売電力料収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比2.1%増の1,562億円となった。

 加えて、減価償却費が減少したことなどから、経常利益は前連結会計年度比13.1%増の519億円となった。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況

イ.キャッシュ・フロー等

(a) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。

 

(b) 有利子負債

 2023年3月31日現在の社債、長期借入金、短期借入金、コマーシャル・ペーパーについては、以下のとおりである。

 

当連結会計年度(2023年3月31日)

 

1年以内

(百万円)

1年超

2年以内

(百万円)

2年超

3年以内

(百万円)

3年超

4年以内

(百万円)

4年超

5年以内

(百万円)

5年超

(百万円)

社債

513,835

230,806

304,000

190,000

359,000

1,802,769

長期借入金

57,200

28,125

12,256

4,316

1,603

47,403

短期借入金

2,183,111

コマーシャル・ペーパー

22,000

合計

2,776,148

258,931

316,256

194,316

360,603

1,850,173

 上記については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)2.金融商品の時価等に関する事項(注2)社債、長期借入金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額」にも記載。

 

ロ.財務政策

 当社グループとして、総合特別事業計画(2012年5月に主務大臣より認定。)において機構から1兆円の出資を受けるとともに、取引金融機関に対し追加与信及び借換え等による与信を維持することなどをお願いしており、ご協力をいただいている。これらの機構や金融機関の支援・協力のもとで、自己資本比率の改善、公募社債市場への復帰を2017年3月に実現しており、 2022年度はパワーグリッドにおいて4,900億円の公募社債を発行し、リニューアブルパワーにおいて300億円のグリーンボンドを発行した。引き続き社債の発行を継続するなど、当社グループの自律的な資金調達力の回復もはかっていく。

 金融機関からの借入金や社債の発行により調達した資金は、電気事業等に必要な設備資金、借入金返済及び社債償還等に充当している。設備投資計画については、「第3 設備の状況」のとおりであり、借入金返済及び社債償還の予定については、「② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況 イ.キャッシュ・フロー等 (b) 有利子負債」のとおりである。

 また、当社グループでは、グループ全体でより効率的な資金の運用を図る観点からグループ金融制度を採用している。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

  四次総特のとおり、賠償・廃炉に関して、当社グループ全体で年間約5,000億円程度の資金を確保する。加えて、年間約4,500億円規模の利益創出も可能な収益基盤を目指す。

  当連結会計年度における経常損益は2,853億円の損失となった。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項なし。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの技術開発については、「東京電力ホールディングス㈱福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」並びに「四次総特」に基づき、「中長期ロードマップに基づいた廃炉の推進に向けた技術開発」、「原子力安全の確保と電気の安定供給の達成に資する技術開発」及び「カーボンニュートラル実現に向けた技術開発」を中心として取り組んでいる。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、19,735百万円である。なお、セグメント毎の研究開発費の内訳は、ホールディングスが8,675百万円、パワーグリッドが8,789百万円、エナジーパートナーが1,346百万円、リニューアブルパワーが924百万円である。