1.連結の範囲に関する事項
連結子会社の数
連結子会社名は「第1 企業の概況 3 事業の内容の[事業系統図]」に記載している。
議決権の過半数を自己の計算において所有している、㈱ハウスパートナーホールディングス、㈱コスモライフ、㈱東京電力タイムレスキャピタルSPC第3号ホールディングス、旭ハウス工業㈱は、投資育成を図りキャピタルゲイン獲得を目的とする営業取引として保有していることから、連結範囲適用指針の要件を満たしており、当該会社等の意思決定機関を支配していないことが明らかであると認められるため子会社としていない。
2.持分法の適用に関する事項
持分法適用の関連会社数
主な持分法適用関連会社は、㈱関電工、日本原子力発電㈱、㈱JERAほかである。
アクアコネクトなみえ㈱は、重要性が増したため、持分法適用の範囲に含めている。ハウスプラス住宅保証㈱は、ハウスプラス確認検査㈱を存続会社、ハウスプラス住宅保証㈱を消滅会社とする吸収合併を行ったことにより、持分法適用の範囲に含めている。なお、2024年12月1日付で、ハウスプラス確認検査㈱は、ハウスプラス住宅保証㈱に商号変更している。ロゴス・エーパック・プラットフォーム・ソーラー社、リープス・エスジーピー・ホールド社、リープ・ソーラー・シンガポール・グリーンウィッチ社は、新たに株式を取得するとともに、当社より取締役が就任し、影響力を有するため、持分法適用の範囲に含めている。グリーンウェイ・グリッド・インドネシア社は、グリーンウェイ・グリッド・グローバル社が新たに設立するとともに、当社連結子会社である東京電力パワーグリッド㈱より取締役が就任し、影響力を有するため、持分法適用の範囲に含めている。
エイドン・リニューアブルズ社は、一部の株式を譲渡したことに伴い、持分法適用の範囲から除外している。
持分法を適用していない関連会社(日本原子力防護システム㈱、原燃輸送㈱ほか)は、それぞれ連結純損益及び連結利益剰余金等に及ぼす影響が軽微であり、かつ、全体としてもその影響に重要性が乏しい。
3.連結子会社の事業年度等に関する事項
連結子会社の決算日が連結決算日と異なる会社はテプコ・リソーシズ社、テプコ・イノベーション・アンド・インベストメンツ・ユーエス社、テプスコ・ベトナム社、テプコ・グローバル・エナジー社、TF内幸町特定目的会社、テプコ・パワー・グリッド・ユーケー社、FI1社、テプコ・リニューアブル・パワー・シンガポール社、フローテーション・エナジー社及びその子会社13社、東京電力タイムレスキャピタル第一号投資事業有限責任組合、東京電力タイムレスキャピタル第二号投資事業有限責任組合、東京電力タイムレスキャピタル共同投資第一号投資事業有限責任組合、東京電力タイムレスキャピタル第三号投資事業有限責任組合、都留バイオマス発電合同会社、テプコ・エナジー・パートナー・インターナショナル(タイ)社の28社(前連結会計年度は27社)であり、12月31日を決算日としている。
なお、連結財務諸表の作成にあたっては、各連結子会社の決算日現在の財務諸表を使用し、連結決算日との間に重要な取引が生じた場合には、連結上必要な調整を行うこととしている。
市場価格のない株式等以外のものは、時価法(売却原価は移動平均法)により評価し、その評価差額は全部純資産直入法によっている。
市場価格のない株式等は、移動平均法による原価法によっている。
主として、収益性の低下に基づく簿価切下げを行う総平均法による原価法によっている。
時価法によっている。
有形固定資産は定額法によっている。
無形固定資産は定額法によっている。
耐用年数は、法人税法に規定する基準と同一である。
(3) 重要な引当金の計上基準
イ 貸倒引当金
売掛債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上する方法によっている。
新潟県中越沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用又は損失に備えるため、当連結会計年度末における見積額を計上している。
東北地方太平洋沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用又は損失に備えるため、当連結会計年度末における見積額を計上している。
災害損失引当金に含まれる主な費用又は損失の計上方法等については以下のとおりである。
a 福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失
政府の原子力災害対策本部が設置する政府・東京電力中長期対策会議により「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(2011年12月21日。以下、「中長期ロードマップ」という。)が策定され(2019年12月27日最終改訂)、当社はこの主要な目標工程等を達成するための具体的な計画として「廃炉中長期実行プラン2025」(2025年3月27日改訂)を策定した。
これらに係る費用又は損失のうち、通常の見積りが可能なものについては、具体的な目標期間と個々の対策内容に基づく見積額を計上している。ただし、原賠機構法第55条の9第2項の承認の申請をした廃炉等積立金の取戻しに関する計画における炉心等除去に要する費用は、ここには含んでいない。当炉心等除去に要する費用の詳細は、「(3) 重要な引当金の計上基準 ハ 特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金」に記載している。
通常の見積りが困難であるものは、海外原子力発電所事故における実績額に基づく概算額を計上している。
なお、当損失又は費用の見積りに関して、通常の見積りが可能なものと困難であるものと分類した上で、それぞれの見積方法、並びに見積りに含まれる不確実性の詳細は、「(重要な会計上の見積り) 1.福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失に係る引当金」に記載している。
b 福島第一原子力発電所1~4号機の廃止に関する費用又は損失のうち加工中等核燃料の処理費用
今後の使用が見込めない加工中等核燃料に係る処理費用について、具体的な作業等が計画されているものについては、契約等に基づく見積額を計上している。一方、具体的な作業等を検討中であるものについては、将来の処理に要すると見込まれる費用の現価相当額(割引率4.0%)を計上している。
なお、装荷核燃料に係る処理費用は固定負債のその他に含めて表示している。
2021年2月に発生した福島県沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用に備えるため、当連結会計年度末における見積額を計上している。
(追加情報)
災害損失引当金残高の内訳
ハ 特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金
東北地方太平洋沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用又は損失に備えるため、原賠機構法第55条の9第2項の承認の申請をした廃炉等積立金の取戻しに関する計画に定める金額のうち炉心等除去に要する費用を計上している。また、申請額のうち、未承認額は特定原子力施設炉心等除去準備引当金に、既承認額は特定原子力施設炉心等除去引当金に計上している。
なお、当損失又は費用の見積りに関する不確実性の詳細は、「(重要な会計上の見積り) 1.福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失に係る引当金」に記載している。
(追加情報)
廃炉等積立金
原賠機構法第55条の3第1項の規定に基づき、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下、「機構」という。)より通知を受け、積立てを行った金額を廃炉等積立金として計上している。
なお、当該積立金は、廃炉等実施認定事業者の廃炉等の適正かつ着実な実施を確保するため、2018年度より、原賠機構法の規定に基づき、機構に積立てを実施しているものである。当該積立金と積立スキーム図及び関連する引当金との関係については、「(重要な会計上の見積り) 1.福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失に係る引当金」に記載している。
前連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
① 賠償及び除染に係る引当金の計上方法
東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害に係る賠償に要する費用に備えるため、当連結会計年度末における賠償見積額を原子力損害賠償引当金に計上している。賠償額の見積りは、原子力損害賠償紛争審査会が決定する、原子力損害に関する中間指針等の賠償に関する国の指針や、放射性物質汚染対処特措法等の法律、これらを踏まえた当社の賠償基準、また、損害賠償請求実績や客観的な統計データ等に基づいている。
なお、新たな賠償に関する国の指針の決定や、当社の賠償基準の策定、また、参照するデータの精緻化や被害を受けられた皆さまとの合意等により、今後変動する可能性があるものの、当連結会計年度末における合理的な見積額を計上している。
② 除染に係る引当金の相殺表示
原子力損害の除染に係る賠償に要する費用への備えについては、電気事業会計規則に基づき、当連結会計年度末において、原子力損害賠償引当金を、同額の未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金と相殺表示している。
具体的には、当連結会計年度末において、補償契約法の規定による補償金の受入額188,926百万円及び放射性物質汚染対処特措法等に基づく当社の国に対する賠償債務(2015年1月1日以降に債務認識したもの)に対応する原賠機構法の規定に基づく資金援助の申請額に係る未収金1,531,025百万円は、未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金及び原子力損害賠償引当金から控除している。
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)
① 賠償及び除染に係る引当金の計上方法
東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害に係る賠償に要する費用に備えるため、当連結会計年度末における賠償見積額を原子力損害賠償引当金に計上している。賠償額の見積りは、原子力損害賠償紛争審査会が決定する、原子力損害に関する中間指針等の賠償に関する国の指針や、放射性物質汚染対処特措法等の法律、これらを踏まえた当社の賠償基準、また、損害賠償請求実績や客観的な統計データ等に基づいている。
なお、新たな賠償に関する国の指針の決定や、当社の賠償基準の策定、また、参照するデータの精緻化や被害を受けられた皆さまとの合意等により、今後変動する可能性があるものの、当連結会計年度末における合理的な見積額を計上している。
② 除染に係る引当金の相殺表示
原子力損害の除染に係る賠償に要する費用への備えについては、電気事業会計規則に基づき、当連結会計年度末において、原子力損害賠償引当金を、同額の未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金と相殺表示している。
具体的には、当連結会計年度末において、補償契約法の規定による補償金の受入額188,926百万円及び放射性物質汚染対処特措法等に基づく当社の国に対する賠償債務(2015年1月1日以降に債務認識したもの)に対応する原賠機構法の規定に基づく資金援助の申請額に係る未収金1,522,193百万円は、未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金及び原子力損害賠償引当金から控除している。
従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上している。
退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当連結会計年度末までの期間に帰属させる方法については、期間定額基準によっている。
過去勤務費用は、主としてその発生時に全額を費用処理している。
数理計算上の差異は、主として各連結会計年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(3年)による定額法により按分した額を、それぞれ発生の当連結会計年度から費用処理している。
未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用については、税効果を調整の上、純資産の部におけるその他の包括利益累計額の退職給付に係る調整累計額に計上している。
電気事業営業収益は、電灯料・電力料、他社販売電力料及び託送収益等である。
電灯料・電力料は、当社グループの主たる小売電気事業会社である東京電力エナジーパートナー株式会社等が、一般家庭、オフィスや工場等の顧客に販売した電気の料金である。
顧客が使用する電気機器や送電方式等の種別等に応じて、電灯料又は電力料として区分している。
顧客への電気の供給に係る電気料金やその他の供給条件については、各種の電気需給約款等に定めており、当該約款等に基づいて電気を供給することが履行義務である。
約款等に基づく電気の供給は、基本的に1年間の契約期間にわたり行うものであり、電気の供給という履行義務の充足に従い、一定の期間にわたり収益を認識している。具体的には、電気の使用量は、通常1ヶ月毎に実施する検針や計量で把握し、その時点で収益を認識している。なお、検針・計量は、契約件数が膨大であるため、1ヶ月の内20日間程の日程で地域毎に分散して定期的に実施しており、把握した電気の使用量に基づき、電気需給約款等に規定した単価等を用いて毎月電気料金を算定している。
また、東京電力エナジーパートナー株式会社は、電事法に基づいて電気料金の一部に関して経過措置料金制度が適用されており、当該料金制度の適用期間中は電気事業会計規則が適用される。電気事業会計規則では、電灯料・電力料は、検針・計量に基づく調査決定の完了した金額で収益を認識することとされている。
したがって、連結会計年度末時点で前回の検針日から未検針となっている部分の電気料金については、収益として見積計上していない。
他社販売電力料は、日本卸電力取引所(以下、「取引所」という。)を介して販売した電気及び非化石価値の料金、小売電気事業者・一般送配電事業者・発電事業者等(以下、「小売電気事業者等」という。)に対して販売した電気の料金等の合計額である。
取引所を介して販売する翌日取引・時間前取引・先渡取引等に係る電気及び非化石価値取引について、単価の決定方法やその他の取引条件は取引所が規定する取引規程に定められており、当該規程に基づいて電気を供給すること及び非化石価値を受け渡すことが履行義務である。
取引所における各種取引は、取引所が規定する取引規程に従って約定、受け渡し及び決済を行っており、各種取引の受け渡し期間別に、週間型・月間型・年間型がある先渡取引は一定の期間にわたり収益を認識し、翌日取引・時間前取引及び非化石価値取引は一時点で収益を認識している。
小売電気事業者等に対して販売する電気の料金やその他の取引条件については、各相手先との契約に定めており、当該契約に基づいて小売電気事業者等に電気を供給することが履行義務である。
電気の供給は、基本的に1年間の契約期間にわたり行うものであり、電気の供給という履行義務の充足に従い、一定の期間にわたり毎月収益を認識している。
託送収益は、当社グループの送配電事業会社である東京電力パワーグリッド株式会社が保有する送配電関連設備の利用料金及び東京電力パワーグリッド株式会社が実施する電力量調整に伴う電気の供給料金等である。送配電関連設備の利用料金は、送配電関連設備を小売電気事業者や他の一般送配電事業者等の契約者が利用する場合の料金である。
電力量調整に伴う電気の供給料金は、発電契約者との発電量調整供給契約及び需要抑制契約者との需要抑制量調整供給契約に係るもので、発電量や需要抑制量の不足量を供給する場合の料金である。
小売電気事業者や他の一般送配電事業者等が送配電関連設備を利用する場合及び発電契約者や需要抑制契約者に対して電気を供給する場合の料金やその他の取引条件については、いずれも託送供給等約款に定めており、当該約款に基づいて送配電関連設備を利用させることや電力量の調整供給をすることが履行義務である。
送配電関連設備利用や電力量調整供給については、基本的に1年間の契約期間にわたり行うものであり、送配電関連設備の利用や電力量の調整供給という履行義務の充足に従い、一定の期間にわたり毎月収益を認識している。
その他事業営業収益は、ガス供給事業営業収益等である。
ガス供給事業営業収益
ガス供給事業営業収益は、当社グループの主たる小売電気事業会社である東京電力エナジーパートナー株式会社が、一般家庭、オフィスや工場等の顧客に販売したガスの料金である。
顧客へのガスの供給に係るガス料金やその他の供給条件については、各種のガス需給約款及び主契約料金表等に定めており、当該約款等に基づいてガスを供給することが履行義務である。
約款等に基づくガスの供給は、基本的に1年間の契約期間にわたり行うものであり、ガスの供給という履行義務の充足に従い、一定の期間にわたり収益を認識している。具体的には、ガスの使用量は、通常1ヶ月毎に実施する検針で把握し、その時点で収益を認識している。なお、検針は、契約件数が膨大であるため、1ヶ月の内20日間程の日程で地域毎に分散して定期的に実施しており、把握したガスの使用量に基づき、ガス需給約款及び主契約料金表に規定された単価等を用いて毎月ガス料金を算定している。
ただし、連結会計年度末時点で、前回の検針日から未検針となっている部分のガス料金の収益は見積計上している。
繰延ヘッジ処理によっている。また、特例処理の要件を満たしている金利スワップについては特例処理によっている。
ヘッジ手段 金利スワップ
ヘッジ対象 長期借入金の利息支払額の一部
デリバティブ取引に関する社内規程に基づき、金利変動によるリスクをヘッジすることを目的としている。
ヘッジ対象のキャッシュ・フロー変動の累計とヘッジ手段のキャッシュ・フロー変動の累計を半期毎に比較してヘッジの有効性を評価している。ただし、特例処理によっている金利スワップについては有効性の評価を省略している。
連結キャッシュ・フロー計算書における資金(現金及び現金同等物)は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資からなる。
使用済燃料の再処理等の実施に要する費用は、GX脱炭素電源法第3条の規定による改正再処理法第5条第2項に規定する拠出金を、運転に伴い発生する使用済燃料の量に応じて費用計上する方法によっている。当拠出金を使用済燃料再処理・廃炉推進機構に納付することにより原子力事業者の費用負担の責任が果たされ、同機構が再処理等を実施することとなる。
なお、使用済燃料の再処理関連加工に係る拠出金については、使用済燃料再処理関連加工仮勘定に計上している。
実用発電用原子炉に係る廃炉の実施に要する費用は、GX脱炭素電源法第3条の規定による改正後の改正再処理法第11条第2項に規定する廃炉拠出金を廃炉拠出金費として計上している。
当拠出金を使用済燃料再処理・廃炉推進機構に納付することにより原子力事業者の費用負担の責任が果たされ、同機構が廃炉に要する資金の確保・管理・支弁を行う経済的な責任を負うこととなる。
なお、福島第一原子力発電所については、原子炉等規制法第64条の2第1項に規定する特定原子力施設として指定されており、改正再処理法第2条第5項に規定する「廃炉」の対象外とされている。
・福島第一原子力発電所の廃炉費用の計上方法
福島第一原子力発電所の廃炉に係る費用については、GX脱炭素電源法改正省令施行前の解体引当金省令(以下、「旧解体引当金省令」という。)に準じた見積りを行っており、総見積額を資産除去債務に計上している。
当該見積りは、福島第一原子力発電所1~4号機の被災状況の全容の把握が困難であることなどから、今後変動する可能性があるものの、当連結会計年度末の合理的な見積りが可能な範囲における概算額を計上している。
なお、当該費用及び資産除去債務とその他の引当金との関係については、「(重要な会計上の見積り) 1.福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失に係る引当金」に記載している。
廃炉の円滑な実施等を目的として廃炉会計制度が措置され、エネルギー政策の変更や安全規制の変更等に伴い廃止した原子炉においては、その残存簿価等について同制度の適用を受けることで一般送配電事業者の託送料金の仕組みを通じて回収することとなる。
当社は2019年7月31日の取締役会決議により、福島第二原子力発電所1~4号機の廃止を決定したことから、同日、電気事業会計規則の規定に基づき、経済産業大臣に原子力廃止関連仮勘定承認申請書を提出し、同年8月19日に承認された。
また、2024年4月1日にGX脱炭素電源法及びGX脱炭素電源法改正省令が施行されたことにより、解体引当金省令が廃止され、電気事業会計規則が改正された。
これに基づき、当該原子炉の廃止に伴って生ずる使用済燃料再処理等拠出金費及び当該燃料の解体に要する費用に相当する額並びに原子力発電施設解体引当金の要引当額に相当する額からGX脱炭素電源法改正省令施行日の前連結会計年度までに積み立てられた額を控除して得た金額を原子力廃止関連仮勘定に計上している。
原子力廃止関連仮勘定は電事法施行規則改正省令附則第8条の規定及びGX脱炭素電源法改正省令附則第9条の規定に基づき、一般送配電事業者からの払渡しに応じて償却している。
電事法施行規則第45条の21の12の規定に基づき、原子力廃止関連仮勘定及び原子力発電施設解体引当金の要引当額について、経済産業大臣に廃炉円滑化負担金承認申請書を提出し、2020年7月22日に承認され、東京電力パワーグリッド株式会社及び東北電力ネットワーク株式会社において電事法施行規則第45条の21の11の規定に基づき、2020年10月1日を実施期日として託送供給等約款の変更を行い、廃炉円滑化負担金の回収及び当社への払渡しを行っている。
一般送配電事業者から払い渡された廃炉円滑化負担金は、電気事業会計規則に基づき、廃炉円滑化負担金相当収益として計上している。
(重要な会計上の見積り)
1.福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失に係る引当金
東京電力ホールディングス株式会社(以下、「東電HD」という。)では、機構により指定された額について、廃炉等に充てる資金の積立てを行い(廃炉等積立金)、機構と共同で、廃炉作業を想定した上で必要となる資金について取戻し計画を策定する。
当該計画について、経済産業大臣の承認を受けたのちに、廃炉等積立金の取戻しを行い、実際の廃炉作業への支出を行っている。廃炉作業に関連して発生する費用又は損失に係る引当金は、災害損失引当金、特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金の三つの科目で連結貸借対照表上に計上している。

災害損失引当金、特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金の関係
a 災害損失引当金
災害損失引当金に含まれる主な費用又は損失の計上方法等については以下のとおりである。
Ⅰ 福島第一原子力発電所の事故の収束及び廃止措置等に向けた費用又は損失
「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項 (3) 重要な引当金の計上基準 ロ 災害損失引当金」に記載の経緯を踏まえ、通常の見積りが可能な費用又は損失については、具体的な目標期間と個々の対策内容に基づく見積額(原賠機構法第55条の9第2項の承認の申請をした廃炉等積立金の取戻しに関する計画における炉心等除去に要する費用を除く)を計上している。一方、将来の工事等の具体的な内容を当連結会計年度末では想定できず、通常の見積りが困難である費用又は損失については、海外原子力発電所事故における実績額に基づく概算額を計上している。
Ⅱ 福島第一原子力発電所1~4号機の廃止に関する費用又は損失のうち加工中等核燃料の処理費用
「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項 (3) 重要な引当金の計上基準 ロ 災害損失引当金」に記載している。
b 特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金
「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項 (3) 重要な引当金の計上基準 ハ 特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金」に記載している。
なお、事故炉である福島第一原子力発電所の廃炉費用の見積りについては、通常炉と同様の状況にまで復旧させるための費用は、災害損失引当金、特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金として計上し、通常炉としての廃炉費用については、資産除去債務として計上している。前者については、以下の不確実性が存在し、後者については、旧解体引当金省令に準じた見積りとなる。
災害損失引当金、特定原子力施設炉心等除去準備引当金及び特定原子力施設炉心等除去引当金に含まれる、主要な仮定とその不確実性は以下のとおりである。
2025年3月27日に公表した廃炉中長期実行プランでは、廃炉の主要な作業プロセスを提示した。当連結会計年度末においては、これに基づき関連する費用の見積りを行っている。
福島第一原子力発電所の廃炉は過去に前例のない取組みであり、それ自体に不確実性を内包しているが、それでも至近3年程度は概念検討等が進んでいることから具体的な工事や作業を計画しやすい一方で、それ以降はこれから具体的な検討をするものが多く、中でもデブリ取り出しに関しては本格的に取り出すための装置は構想に近い段階にある等、長期にわたる工事や作業の金額を見積もるにあたっては、多くの仮定を置かざるを得ない。今回の見積りでは、それぞれの作業プロセスにおいて、現在進められている国等の研究の状況や実施内容が類似する過去の作業内容に基づいた仮定を置いているが、今後の研究の進展や現場状況のより詳細な把握、ステップ・バイ・ステップのアプローチに基づく新たな技術的知見の獲得等により、見積りの前提として置いた仮定は見直しが必要となることも考えられる。このような場合、新たな作業や想定していた作業方法の変更、作業の範囲の見直し、作業単価の変動等が生じ、廃炉費用の見積りは変動する可能性がある。
工事等の具体的な内容を現時点では想定できず、通常の見積りが困難な費用又は損失については、類似事例である米スリーマイル島原子力発電所(以下、「TMI」という。)の事故における費用実績額に基づく概算額を計上している。
当見積りにおいては、TMIでの費用処理実績額に、TMIの事故発生時から福島第一原子力発電所の事故発生時までの間における物価上昇率、為替レート等に、取り出し対象基数等を加味して算定を行っている。これには、廃炉に必要となる作業の種類、範囲及び量は、発電機の基数に比例する等の仮定に基づいているが、TMIと福島第一原子力発電所では、燃料デブリの量や、原子炉内の存在箇所の違いによる難易度の違い等、状況の差異があることから、想定した見積りと実際の作業の種類、範囲及び量が変動する可能性がある。また、事故炉の廃炉という極めて限定的かつ長期にわたって発生する作業について、作業の種類、範囲及び量が一定であったとした場合においても、物価水準の変動、技術革新の状況等が生じ、廃炉費用の見積りは変動する可能性がある。
上記により、通常の見積りが可能なもの、通常の見積りが困難なもの、それぞれについて最善の見積りを行っているものの不確実性は存在し、今後の状況の変化によって、翌連結会計年度の財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。
2.原子力発電設備等の評価
会計上の見積方法
事業用の固定資産については、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額することが要求される。原子力発電設備等については、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位である発電所を資産グループに設定しており、このうち柏崎刈羽原子力発電所については、1~7号機の各ユニットに係る原子力発電設備等を一つの資産グループとし、電力取引契約を通じた電気料金収入や6号機の長期脱炭素電源オークション(応札年度:2024年度)約定に伴い見込まれる収入などによる投資の回収状況を踏まえ、減損の判定を行っている。
同発電所は、総合特別事業計画の下で原子力発電所の新規制基準への対応と地元のご理解を得るべく取組みを進めている。2021年4月に「ID不正使用」、「核物質防護設備の機能の一部喪失」という一連の事案を踏まえ、原子力規制委員会より特定核燃料物質の移動を禁止する命令を受領したが、2023年12月に原子力規制検査に係る対応区分が第1区分へ変更され、特定核燃料物質の移動を禁止する命令が解除されるとともに、当社に対する「原子炉設置者としての適格性に関する再確認」が終了し、再稼働に向けたプロセスを着実に進めている状況にある。一方で、同発電所は、2012年3月に定期点検のため6号機の稼働を停止して以降、現在まで長期にわたり不稼働状態が継続しており、こうした状況を踏まえ、当社は同発電所資産グループについて減損の兆候を認識し、減損損失の認識の検討を行った。
当該検討にあたっては、割引前将来キャッシュ・フローの総額を見積り、当資産グループの帳簿価額との比較を行った。
その結果、割引前将来キャッシュ・フローの見積総額が当資産グループの帳簿価額を上回るため、減損は不要と判断している。
柏崎刈羽原子力発電所に係る原子力発電設備等の資産性評価に含まれる主要な仮定は、ユニットごとの稼働状況、安全対策工事に係るコスト、将来の電力価格であり、いずれも不確実性を含んでいる。再稼働に向けては、原子力規制委員会の安全規制審査に合格した上で立地自治体のご理解を得ていくことが必要であり、また、長期にわたる安全・安定運転に向けては、高経年化対策に継続して取り組み、定期的な原子力規制委員会の審査を受ける必要がある。また、同発電所7号機及び6号機の特定重大事故等対処施設の工事完了目途をそれぞれ2029年8月及び2031年9月へ変更する旨原子力規制委員会へ届け出ており、設置期限以後、それぞれ施設の竣工まで発電を停止する期間が見込まれる。原子力発電所の新規制基準に対応するための安全対策工事に係るコストについては、計画されている工事についての材料費や作業員の労務費等の工事費の上振れの可能性に加え、原子力規制委員会の他の原子力発電事業者に対する審査も含めた今後の審査の進展により、新規制基準の改訂等による規制対応への要求事項の高度化・厳格化により工事費が上振れする可能性がある。さらに、将来の電力価格も、全国の電力需給の状況、火力発電の燃料費のベースとなる原油価格の状況やこれらを含めた日本卸電力取引所の電力価格等の状況などの影響に大きく依存する。
上記の不確実性については、現時点において入手可能な情報をもとに最善の見積りを行っているが、将来のこれらの項目の変動により、当社の財政状態、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。今後減損会計の適用により、上記原子力発電設備、建設仮勘定及び核燃料等の総額の一部が影響を受ける可能性がある。
3.退職給付に係る負債及び資産
会計上の見積方法
「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項 (4) 退職給付に係る会計処理の方法」に記載している。
なお、退職給付債務の計算において使用する割引率は、主として、期末のダブルA格社債の利回り(指標利率)を基に決定しており、当連結会計年度は2.0%を採用している。また、年金資産の長期期待運用収益率は、運用方針や保有している年金資産のポートフォリオ及び過去の運用実績等を基に決定しており、主として、当連結会計年度は2.5%を採用している。
従業員の退職給付に係る債務及び費用は、割引率、退職率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率、年金数理計算上の基礎率等について合理的な仮定に基づき見積もっているが、実績との差異や仮定の変動は、将来の退職給付に係る債務・費用に影響を及ぼす可能性がある。
指標利率の変動により割引率を変更することとなった場合は退職給付債務が変動するが、退職給付債務が10%以上変動しないと見込まれる場合は、重要性基準により変更しない。
また、年金資産として保有している株式や債券は、金融市場の動向により時価が変動する。
上記により、最善の見積りを行っているものの不確実性は存在し、今後の状況の変化によって、翌連結会計年度の財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。
会計方針に基づき、数理計算上の差異は、主として、発生の当連結会計年度より3年間で定額償却しており、変動影響は以下のとおりである。
・「リースに関する会計基準」(企業会計基準第34号 2024年9月13日)
・「リースに関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第33号 2024年9月13日)
ほか、関連する企業会計基準、企業会計基準適用指針、実務対応報告及び移管指針の改正
(1) 概要
国際的な会計基準と同様に、借手のすべてのリースについて資産・負債を計上する等の取扱いを定めるもの。
(2) 適用予定日
2028年3月期の期首より適用予定である。
(3) 当該会計基準等の適用による影響
「リースに関する会計基準」等の適用による連結財務諸表に与える影響額については、現時点で評価中である。
(連結キャッシュ・フロー計算書関係)
前連結会計年度において、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に含めていた「退職給付に係る資産の増減額(△は増加)」は金額的重要性が増したため、区分掲記している。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っている。
この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に表示していた△104,949百万円は、「退職給付に係る資産の増減額(△は増加)」△43,814百万円、「その他」△61,135百万円として組み替えている。
1.原子炉の廃止に必要な固定資産及び原子炉の運転を廃止した後も維持管理することが必要な固定資産
原子炉の廃止に必要な固定資産及び原子炉の運転を廃止した後も維持管理することが必要な固定資産の残高は、542,175百万円(前連結会計年度は549,004百万円)である。
2.GX脱炭素電源法の施行に伴う電気事業会計規則の改正
2024年4月1日にGX脱炭素電源法及びGX脱炭素電源法改正省令が施行されたことにより、解体引当金省令が廃止され、電気事業会計規則が改正された。
原子炉等規制法に規定された実用発電用原子炉の廃止措置に係る費用は、従来、資産除去債務に計上し、資産除去債務相当資産について、資産除去債務適用指針第8項を適用し、解体引当金省令の規定に基づき、経済産業大臣の承認を受けた原子力発電施設解体費の総見積額を、発電設備の見込運転期間にわたり定額法で費用計上する方法(エネルギー政策の変更や安全規制の変更等に伴って、原子炉を廃止する場合で、発電事業者の申請に基づき経済産業大臣の承認を受けたときは、特定原子力発電施設の廃止日の属する月から起算して10年が経過する月までの期間にわたり定額法で費用計上する方法)によっていたが、GX脱炭素電源法改正省令の施行日以降は、GX脱炭素電源法第3条の規定による改正後の改正再処理法第11条第2項に規定する廃炉拠出金を、廃炉拠出金費として計上することとなった。
なお、福島第一原子力発電所については、原子炉等規制法第64条の2第1項に規定する特定原子力施設として指定されており、改正再処理法第2条第5項に規定する「廃炉」の対象外である。
原子力事業者は、従来、その各々が保有する実用発電用原子炉に係る廃炉に要する資金を確保する責任を負っていたが、GX脱炭素電源法に基づき、毎年度、使用済燃料再処理・廃炉推進機構に対して廃炉拠出金を納付することで費用負担の責任を果たすこととなり、同機構は廃炉に要する資金の確保・管理・支弁を行う経済的な責任を負うこととなった。
これにより、当連結会計年度において、資産除去債務相当資産120,021百万円及び資産除去債務746,414百万円を取り崩している。
GX脱炭素電源法附則第10条第1項の規定により、廃炉推進業務に必要な費用に充てるため、同機構に支払わなければならない金銭662,589百万円は、GX脱炭素電源法改正省令附則第7条の規定により、未払廃炉拠出金に計上し、その額を費用として計上しているが、同規定により、資産除去債務を取り崩した額は当該費用から控除している。これによる損益への影響はない。
また、GX脱炭素電源法改正省令附則第8条の規定により36,197百万円を原子力廃止関連仮勘定に計上している。
1.固定資産の工事費負担金等の受入れによる圧縮記帳額(累計)
2.有形固定資産の減価償却累計額
3.棚卸資産の内訳
4.担保資産及び担保付債務
担保に供している資産
なお、出資会社が債務不履行となっても、連結子会社の負担は当該出資等の金額に限定されている。
5.関連会社に対する株式及び出資金(うち、共同支配企業に対する投資の金額)
6.受取手形、売掛金及び契約資産のうち、顧客との契約から生じた債権及び契約資産の金額は、それぞれ以下のとおりである。
8.偶発債務
前連結会計年度(2024年3月31日)
多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の海洋放出について、当社は風評影響を最大限抑制するべく対策を講じてもなお、ALPS処理水の放出に伴う風評被害等が発生した場合には、その損害を迅速かつ適切に賠償する方針を公表している。
その後、2023年8月24日よりALPS処理水の放出を開始して以降、外国政府からの輸入停止措置等による損害が発生しているが、当連結会計年度末においては、被害状況の全容を確認できていないことなどから、損害賠償請求実績等の入手可能なデータにより合理的な算定が可能な金額を除き、その賠償額を合理的に見積もることができない。
また、放射性物質汚染対処特措法に基づき講ぜられる廃棄物の処理及び除染等の措置等が、国の財政上の措置の下に進められている。当該措置に係る費用のうち、当連結会計年度末で当該措置の具体的な実施内容等を把握できる状況になく、費用負担の在り方について国と協議中である費用等については、合理的に見積もることができない。
なお、係る原子力損害の賠償に対し機構は、原賠機構法に基づき、申請のあった原子力事業者に対し必要な資金援助を行うこととされている。
当連結会計年度(2025年3月31日)
多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の海洋放出を開始して以降、外国政府からの輸入停止措置等による損害が発生しているが、当連結会計年度末においては、被害状況の全容を確認できていないことなどから、損害賠償請求実績等の入手可能なデータにより合理的な算定が可能な金額を除き、その賠償額を合理的に見積もることができない。
また、放射性物質汚染対処特措法に基づき講ぜられる廃棄物の処理及び除染等の措置等が、国の財政上の措置の下に進められている。当該措置に係る費用のうち、当連結会計年度末で当該措置の具体的な実施内容等を把握できる状況になく、費用負担の在り方について国と協議中である費用等については、合理的に見積もることができない。
なお、係る原子力損害の賠償に対し機構は、原賠機構法に基づき、申請のあった原子力事業者に対し必要な資金援助を行うこととされている。
9.財務制限条項
前連結会計年度(2024年3月31日)
1年以内に期限到来の固定負債(254,642百万円)及び短期借入金(1,445,979百万円)には、当社及び当社グループの財政状態、経営成績に係る財務制限条項が付されている。
当連結会計年度(2025年3月31日)
長期借入金(10,054百万円)及び短期借入金(1,996,820百万円)には、当社及び当社グループの財政状態、経営成績に係る財務制限条項が付されている。
10.土地再評価差額金
前連結会計年度(2024年3月31日)及び当連結会計年度(2025年3月31日)
土地再評価法に基づき、一部の持分法適用関連会社において事業用土地の再評価を行ったことによる土地再評価差額金の持分相当額である。
1.顧客との契約から生じる収益
営業収益については、顧客との契約から生じる収益及びそれ以外の収益を区分して記載していない。顧客との契約から生じる収益の金額は、連結財務諸表「注記事項(セグメント情報等)」に記載している。
2.営業費用のうち販売費及び一般管理費の内訳
電気事業営業費用(相殺消去後6,025,889百万円、相殺消去額△59,930百万円(前連結会計年度は相殺消去後6,092,378百万円、相殺消去額△60,465百万円))に含まれる販売費及び一般管理費の金額(相殺消去前)は、378,341百万円(前連結会計年度373,483百万円)であり、主要な費目及び金額は以下のとおりである。
なお、電気事業における連結会社間の取引に係る相殺消去は電気事業営業費用総額で行っていることから、相殺消去前の金額を記載している。
※ 相殺消去額は、当社と各基幹事業会社との取引に係る相殺消去を除いた金額を記載している。
また、販売費及び一般管理費の金額(相殺消去前)は、当社と各基幹事業会社との取引を控除した金額を記載している。
(表示方法の変更)
「貸倒損」については、当連結会計年度において金額的重要性が増したため、前連結会計年度も含め主要な費目として表示している。
3.引当金繰入額
4.研究開発費の総額
5.原子力損害賠償費及び原賠・廃炉等支援機構資金交付金の内容
前連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害について、原賠法に基づく賠償を実施しており、当該賠償見積額と前連結会計年度の見積額との差額を原子力損害賠償費に計上している。
当社は機構に対し、原賠機構法第43条第1項の規定に基づき、2024年3月15日に同時点での要賠償額の見通し額への資金援助額の変更を申請したことから、2023年3月22日申請時の金額との差額を原賠・廃炉等支援機構資金交付金に計上している。
電気事業会計規則に基づき、当連結会計年度において、放射性物質汚染対処特措法等に基づく当社の国に対する賠償債務(2015年1月1日以降に債務認識したもの)に対する原賠機構法の規定に基づく資金援助の申請額75,184百万円については原子力損害賠償費及び原賠・廃炉等支援機構資金交付金から控除している。
(追加情報)
原賠・廃炉等支援機構特別負担金の計上方法
資金援助を受けるにあたっては、原賠機構法第52条第1項の規定により機構が定める特別な負担金を支払うこととされているが、その金額については、当社の収支の状況に照らし、連結会計年度ごとに機構における運営委員会の議決を経て定められるとともに、主務大臣による認可が必要となることなどから、当連結会計年度分として機構から通知を受けた額を除き、計上していない。
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)
東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害について、原賠法に基づく賠償を実施しており、当該賠償見積額と前連結会計年度の見積額との差額を原子力損害賠償費に計上している。
当社は機構に対し、原賠機構法第43条第1項の規定に基づき、2025年3月3日に同時点での要賠償額から賠償措置額を控除した見通し額への資金援助額の変更を申請したことから、2024年3月15日申請時の金額との差額を原賠・廃炉等支援機構資金交付金に計上している。
電気事業会計規則に基づき、当連結会計年度において、放射性物質汚染対処特措法等に基づく当社の国に対する賠償債務(2015年1月1日以降に債務認識したもの)に対する原賠機構法の規定に基づく資金援助の申請額89,439百万円については原子力損害賠償費及び原賠・廃炉等支援機構資金交付金から控除している。
(追加情報)
原賠・廃炉等支援機構特別負担金の計上方法
資金援助を受けるにあたっては、原賠機構法第52条第1項の規定により機構が定める特別な負担金を支払うこととされているが、その金額については、当社の収支の状況に照らし、連結会計年度ごとに機構における運営委員会の議決を経て定められるとともに、主務大臣による認可が必要となることなどから、当連結会計年度分として機構から通知を受けた額を除き、計上していない
6.災害特別損失
前連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
東北地方太平洋沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用又は損失について、燃料デブリ取り出し作業に必要な敷地を確保するため、今後撤去していくALPS処理水保管タンクの撤去費用や、2024年3月8日に公表された機構の燃料デブリ取り出し工法評価小委員会の報告に基づき、取り出し工法の選定を進めるためのエンジニアリング費用等を災害特別損失として110,963百万円計上している。
政府の原子力災害対策本部が設置する政府・東京電力中長期対策会議により中長期ロードマップが策定され(2019年12月27日最終改訂)、当社はこの主要な目標工程等を達成するための具体的な計画として「廃炉中長期実行プラン2024」(2024年3月28日改訂)を策定した。
これらに係る費用又は損失のうち、通常の見積りが可能なものについては、具体的な目標期間と個々の対策内容に基づく見積額を計上している。
なお、中長期ロードマップに係る費用又は損失については、海外原子力発電所事故における実績額に基づき計上している金額を含め、今後変動する可能性があるものの、当連結会計年度末の合理的な見積りが可能な範囲における概算額を計上している。
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)
東北地方太平洋沖地震により被災した資産の復旧等に要する費用又は損失について、燃料デブリ取り出しの準備に係る作業費用等を災害特別損失として62,681百万円計上している。
政府の原子力災害対策本部が設置する政府・東京電力中長期対策会議により中長期ロードマップが策定され(2019年12月27日最終改訂)、当社はこの主要な目標工程等を達成するための具体的な計画として「廃炉中長期実行プラン2025」(2025年3月27日改訂)を策定した。
これらに係る費用又は損失のうち、通常の見積りが可能なものについては、具体的な目標期間と個々の対策内容に基づく見積額を計上している。
なお、中長期ロードマップに係る費用又は損失については、海外原子力発電所事故における実績額に基づき計上している金額を含め、今後変動する可能性があるものの、当連結会計年度末の合理的な見積りが可能な範囲における概算額を計上している。
※ その他の包括利益に係る組替調整額並びに法人税等及び税効果額
前連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項
(注) 普通株式の自己株式の株式数の増加40千株は、単元未満株式の買取りによる取得等であり、減少1千株は、単元未満株式の買増請求による売渡し等である。
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)
発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項
(注) 普通株式の自己株式の株式数の増加33千株は、単元未満株式の買取りによる取得等であり、減少1千株は、単元未満株式の買増請求による売渡し等である。
※ 現金及び現金同等物の期末残高と連結貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係
オペレーティング・リース取引
オペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係る未経過リース料
オペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係る未経過リース料
1.金融商品の状況に関する事項
資金調達については、金融機関からの借入れ及び社債の発行等により、電気事業等の運営上、必要な設備資金等の確実な調達に努めている。
資金運用は短期的な預金等に限定している。
デリバティブ取引は、社内規程に基づきリスクヘッジの目的に限定して利用しており、トレーディング・投機目的での取引はない。
投資有価証券は主に株式であり、市場価格等の変動リスクに晒されている。なお、上場株式については四半期ごとに時価の把握を行っている。
未収原賠・廃炉等支援機構資金交付金(連結貸借対照表計上額525,412百万円)は、原賠機構法第41条第1項第1号に規定する資金交付に係る資金の未収金である。当該未収金は、東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故等に伴う原子力損害に係る賠償の履行に充てるため、機構から、その必要額の交付を受けるものであり、賠償に要する金額に基づいていることなどから、時価等については記載していない。
受取手形、売掛金及び契約資産は、顧客の信用リスクに晒されている。当該リスクに関しては、社内規程に従い、相手先ごとの期日管理及び残高管理を行うとともに、支払期日を経過してなお支払われない場合については、督促等を行い回収に努めている。
有利子負債には、金利変動リスクに晒されている借入れがあり、一部は金利スワップ取引を行うことにより当該リスクを回避している。
支払手形及び買掛金は、そのほとんどが1年以内の支払期日である。
また、社債、借入金並びに支払手形及び買掛金は、流動性リスク(支払期日に支払いを実行できなくなるリスク)を有するが、資金繰計画を作成・更新する等により管理している。
デリバティブ取引は、借入金の支払金利の変動リスクのヘッジ取引を目的とした金利スワップ取引であり、社内規程に基づき執行箇所及び管理箇所が定められている。これらは、取引相手の契約不履行による信用リスクを有するが、デリバティブ取引の相手として、信用度の高い金融機関を選択しており、そのリスクは極めて低いと判断している。なお、ヘッジ会計に関するヘッジ手段とヘッジ対象、ヘッジ方針、ヘッジ有効性の評価方法等については、前述の「会計方針に関する事項」の「重要なヘッジ会計の方法」に記載している。
金融商品の時価の算定においては変動要因を織り込んでいるため、異なる前提条件等を採用することにより、当該価額が変動することがある。また、「デリバティブ取引関係」注記におけるデリバティブ取引に関する契約額等については、その金額自体がデリバティブ取引に係る市場リスクを示すものではない。
2.金融商品の時価等に関する事項
連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額については、次のとおりである。
前連結会計年度(2024年3月31日)
(※1) 「現金」は注記を省略しており、「預金」、「受取手形、売掛金及び契約資産」、「短期借入金」、「支払手形及び買掛金」は短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似することから、注記を省略している。
(※2) 負債に計上されているものについては、( )で示している。
(※3) 連結貸借対照表上、「長期投資」に計上されている。
(※4) 市場価格のない株式等は、「(1) 投資有価証券」には含まれていない。当該金融商品の連結貸借対照表計上額は以下のとおりである。
(※5) 連結貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資は、「(1) 投資有価証券」には含まれていない。当該金融商品の連結貸借対照表計上額は849百万円である。
(※6) 連結貸借対照表上、「1年以内に期限到来の固定負債」に計上されているものが含まれている。
当連結会計年度(2025年3月31日)
(※1) 「現金」は注記を省略しており、「預金」、「受取手形、売掛金及び契約資産」、「短期借入金」、「支払手形及び買掛金」は短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似することから、注記を省略している。
(※2) 負債に計上されているものについては、( )で示している。
(※3) 連結貸借対照表上、「長期投資」に計上されている。
(※4) 市場価格のない株式等は、「(1) 投資有価証券」には含まれていない。当該金融商品の連結貸借対照表計上額は以下のとおりである。
(※5) 連結貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資は、「(1) 投資有価証券」には含まれていない。当該金融商品の連結貸借対照表計上額は65百万円である。
(※6) 連結貸借対照表上、「1年以内に期限到来の固定負債」に計上されているものが含まれている。
(注1) 金銭債権及び満期がある有価証券の連結決算日後の償還予定額
前連結会計年度(2024年3月31日)
(※) 現金及び預金の1年以内の償還予定額には現金を含んでいる。
当連結会計年度(2025年3月31日)
(※) 現金及び預金の1年以内の償還予定額には現金を含んでいる。
(注2) 社債、長期借入金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額
前連結会計年度(2024年3月31日)
当連結会計年度(2025年3月31日)
3.金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項
金融商品の時価を、時価の算定に係るインプットの観察可能性及び重要性に応じて、以下の3つのレベルに分類している。
レベル1の時価:同一の資産又は負債の活発な市場における(無調整の)相場価格により算定した時価
レベル2の時価:レベル1のインプット以外の直接又は間接的に観察可能なインプットを用いて算定した時価
レベル3の時価:重要な観察できないインプットを使用して算定した時価
時価の算定に重要な影響を与えるインプットを複数使用している場合には、それらのインプットがそれぞれ属するレベルのうち、時価の算定における優先順位が最も低いレベルに時価を分類している。
前連結会計年度(2024年3月31日)
当連結会計年度(2025年3月31日)
前連結会計年度(2024年3月31日)
当連結会計年度(2025年3月31日)
(注) 時価の算定に用いた評価技法及び時価の算定に係るインプットの説明
投資有価証券
上場株式は相場価格を用いて評価している。上場株式は活発な市場で取引されているため、その時価をレベル1の時価に分類している。
社債
社債については、日本証券業協会が公表する売買参考統計値を参照可能なものは、時価はその売買参考統計値を用いて評価しており、レベル2の時価に分類している。売買参考統計値を参照不可能なものについては、元利金を同様の社債を発行した場合に適用されると考えられる利率で割り引いて現在価値を算定しており、レベル2の時価に分類している。
その他有価証券
前連結会計年度(2024年3月31日)
当連結会計年度(2025年3月31日)
ヘッジ会計が適用されているデリバティブ取引
金利関連
前連結会計年度(2024年3月31日)
(注) 金利スワップの特例処理によるものは、ヘッジ対象とされている長期借入金と一体として処理されているため、「金融商品関係」注記におけるデリバティブ取引の「連結貸借対照表計上額」、「時価」には含まれていない。
当連結会計年度(2025年3月31日)
(注) 金利スワップの特例処理によるものは、ヘッジ対象とされている長期借入金と一体として処理されているため、「金融商品関係」注記におけるデリバティブ取引の「連結貸借対照表計上額」、「時価」には含まれていない。
1.採用している退職給付制度の概要
当社及び連結子会社は、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を設けているほか、確定拠出型の制度として、確定拠出年金制度を設けている。
当社については、確定給付企業年金制度、確定拠出年金制度及び退職一時金制度を有している。
2.確定給付制度
(注) 1.一部の退職給付制度では、退職給付債務の算定にあたり、簡便法を採用している。
2.連結範囲の変更に伴う減少等である。
(注) 1.簡便法を採用している退職給付制度の年金資産を含んでいる。
2.従業員拠出による増加等である。
(注) 1.簡便法を採用している退職給付制度の退職給付費用を含んでいる。
2.従業員拠出額を控除している。
3.早期割増退職金等である。
退職給付に係る調整額に計上した項目(法人税等及び税効果控除前)の内訳は次のとおりである。
退職給付に係る調整累計額に計上した項目(法人税等及び税効果控除前)の内訳は次のとおりである。
年金資産合計に対する主な分類ごとの比率は、次のとおりである。
年金資産の長期期待運用収益率を決定するため、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率を考慮している。
主要な数理計算上の計算基礎
3.確定拠出制度
当社及び連結子会社の確定拠出制度への要拠出額は、前連結会計年度3,430百万円、当連結会計年度3,333百万円である。
1.繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳
(注) 1.評価性引当額が42,005百万円増加となった。この変動の主な内容は、当社において、未払廃炉拠出金に関する将来減算一時差異が635,027百万円増加し、資産除去債務に関する将来減算一時差異が224,612百万円減少、並びに原子力発電施設解体準備金に関する将来加算一時差異が476,437百万円増加し、資産除去債務に関する将来加算一時差異が120,021百万円減少したことなどによるものである。
2.税務上の繰越欠損金及びその繰延税金資産の繰越期限別の金額
前連結会計年度(2024年3月31日)
(※) 税務上の繰越欠損金は、法定実効税率を乗じた額である。
当連結会計年度(2025年3月31日)
(※) 税務上の繰越欠損金は、法定実効税率を乗じた額である。
(表示方法の変更)
前連結会計年度において、区分掲記していた繰延税金資産の「送電線路に係る地役権償却額」は、金額的重要性が乏しくなったため、「その他」に含めて表示している。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の注記の組替えを行っている。
この結果、前連結会計年度の繰延税金資産の「送電線路に係る地役権償却額」73,430百万円、「その他」187,531百万円は、「その他」260,961百万円として組み替えている。
(追加情報)
法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理
当社及び一部の国内連結子会社は、グループ通算制度を適用している。また、グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱いに従って、法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理並びに開示を行っている。
2.法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間に重要な差異があるときの、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳
(表示方法の変更)
前連結会計年度において、「その他」に含めていた「留保利益に係る税効果」は重要性が増したため、区分掲記している。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の注記の組替えを行っている。
この結果、前連結会計年度において、「その他」に表示していた1.3%は、「留保利益に係る税効果」△9.1%、「その他」10.4%として組み替えている。
3.法人税等の税率の変更による繰延税金資産及び繰延税金負債の金額の修正
改正法人税法が2025年3月31日に国会で成立し、2026年4月1日以後開始する連結会計年度より「防衛特別法人税」の課税が行われることになった。これに伴い、2026年4月1日以後開始する連結会計年度以降に解消が見込まれる一時差異等に係る繰延税金資産及び繰延税金負債については、法定実効税率を28.0%から28.9%に変更し計算している。
この変更により、当連結会計年度の繰延税金資産(繰延税金負債の金額を控除した金額)が2,869百万円増加し、法人税等調整額が2,924百万円、その他有価証券評価差額金が54百万円それぞれ減少している。
資産除去債務のうち連結貸借対照表に計上しているもの
主として、原子炉等規制法に規定された実用発電用原子炉の廃止措置について資産除去債務に計上している。ただし、「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項 (9) 実用発電用原子炉に係る廃炉の実施に必要な費用の計上方法」に記載の通り、廃炉拠出金を使用済燃料再処理・廃炉推進機構に納付することにより原子力事業者の費用負担の責任が果たされ、同機構が廃炉に要する資金の確保・管理・支弁を行う経済的な責任を負うこととなったことから、改正再処理法第2条第5項に規定する「廃炉」の対象外とされている福島第一原子力発電所の通常炉としての廃炉費用に限り計上している。
主として、旧解体引当金省令に準じて、解体に伴って発生する廃棄物の種類及び物量から、物価水準の変動等を踏まえた解体に要する費用を見積もる方法により算定している。なお、運転期間は終了していることから、割引計算は行っていない。
(収益認識関係)
1.顧客との契約から生じる収益を分解した情報
顧客との契約から生じる収益を分解した情報は、連結財務諸表「注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりである。
2.顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報
電気事業営業収益は、電灯料・電力料、他社販売電力料及び託送収益等である。
電灯料・電力料は、当社グループの主たる小売電気事業会社である東京電力エナジーパートナー株式会社等が、一般家庭、オフィスや工場等の顧客に販売した電気の料金である。
顧客が使用する電気機器や送電方式等の種別等に応じて、電灯料又は電力料として区分している。
顧客への電気の供給に係る電気料金やその他の供給条件については、各種の電気需給約款等に定めており、当該約款等に基づいて電気を供給することが履行義務である。
約款等に基づく電気の供給は、基本的に1年間の契約期間にわたり行うものであり、電気の供給という履行義務の充足に従い、一定の期間にわたり収益を認識している。具体的には、電気の使用量は、通常1ヶ月毎に実施する検針や計量で把握し、その時点で収益を認識している。なお、検針・計量は、契約件数が膨大であるため、1ヶ月の内20日間程の日程で地域毎に分散して定期的に実施しており、把握した電気の使用量に基づき、電気需給約款等に規定した単価等を用いて毎月電気料金を算定している。
電気料金は、基本的に検針・計量時点の翌日から起算して30日目までに収受している。
また、東京電力エナジーパートナー株式会社は、電事法に基づいて電気料金の一部に関して経過措置料金制度が適用されており、当該料金制度の適用期間中は電気事業会計規則が適用される。電気事業会計規則では、電灯料・電力料は、検針・計量に基づく調査決定の完了した金額で収益を認識することとされている。
したがって、連結会計年度末時点で前回の検針日から未検針となっている部分の電気料金については、収益として見積計上していない。
また、再生可能エネルギー発電促進賦課金は、第三者のために回収する額に相当するため、収益認識における取引価格に含めていない。
他社販売電力料は、取引所を介して販売した電気及び非化石価値の料金、小売電気事業者等に対して販売した電気の料金等の合計額である。
取引所を介して販売する翌日取引・時間前取引・先渡取引等に係る電気及び非化石価値取引について、単価の決定方法やその他の取引条件は取引所が規定する取引規程に定められており、当該規程に基づいて電気を供給すること及び非化石価値を受け渡すことが履行義務である。
取引所における各種取引は、取引所が規定する取引規程に従って約定、受け渡し及び決済を行っており、各種取引の受け渡し期間別に、週間型・月間型・年間型がある先渡取引は一定の期間にわたり収益を認識し、翌日取引・時間前取引及び非化石価値取引は一時点で収益を認識している。
電気及び非化石価値の料金は、基本的に約定に基づく支払義務発生日の翌日から起算して2金融機関営業日後に該当する日に収受している。
小売電気事業者等に対して販売する電気の料金やその他の取引条件については、各相手先との契約に定めており、当該契約に基づいて小売電気事業者等に電気を供給することが履行義務である。
電気の供給は、基本的に1年間の契約期間にわたり行うものであり、電気の供給という履行義務の充足に従い、一定の期間にわたり毎月収益を認識している。
電気料金は、基本的に供給量の確定後の翌月末までに収受している。
託送収益は、当社グループの送配電事業会社である東京電力パワーグリッド株式会社が保有する送配電関連設備の利用料金及び東京電力パワーグリッド株式会社が実施する電力量調整に伴う電気の供給料金等である。
送配電関連設備の利用料金は、送配電関連設備を小売電気事業者や他の一般送配電事業者等の契約者が利用する場合の料金である。
電力量調整に伴う電気の供給料金は、発電契約者との発電量調整供給契約及び需要抑制契約者との需要抑制量調整供給契約に係るもので、発電量や需要抑制量の不足量を補給する場合の料金である。
小売電気事業者や他の一般送配電事業者等が送配電関連設備を利用する場合及び発電契約者や需要抑制契約者に対して電気を供給する場合の料金やその他の取引条件については、いずれも託送供給等約款に定めており、当該約款に基づいて送配電関連設備を利用させることや電力量の調整供給をすることが履行義務である。
送配電関連設備利用や電力量調整供給については、基本的に1年間の契約期間にわたり行うものであり、送配電関連設備の利用や電力量の調整供給という履行義務の充足に従い、一定の期間にわたり収益を認識している。具体的には、送配電関連設備の使用量や電力量調整供給量は、通常1ヶ月毎に実施する検針や計量で把握し、その時点で収益を認識している。なお、検針・計量は、契約件数が膨大であるため、1ヶ月の内20日間程の日程で地域毎に分散して定期的に実施しており、把握した使用量に基づき、託送供給等約款等に規定した単価等を用いて毎月利用料金を算定している。
また、東京電力パワーグリッド株式会社は、電事法に基づいて電気事業会計規則が適用される。電気事業会計規則では、託送収益は、検針・計量に基づく調査決定の完了した金額で収益を認識することとされている。料金は、基本的に検針・計量による使用量確定後の支払義務発生日の翌日から起算して30日目までに収受している。
その他事業営業収益は、ガス供給事業営業収益等である。
ガス供給事業営業収益は、当社グループの主たる小売電気事業会社である東京電力エナジーパートナー株式会社が、一般家庭、オフィスや工場等の顧客に販売したガスの料金である。
顧客へのガスの供給に係るガス料金やその他の供給条件については、各種のガス需給約款及び主契約料金表等に定めており、当該約款等に基づいてガスを供給することが履行義務である。
約款等に基づくガスの供給は、基本的に1年間の契約期間にわたり行うものであり、ガスの供給という履行義務の充足に従い、一定の期間にわたり収益を認識している。具体的には、ガスの使用量は、通常1ヶ月毎に実施する検針で把握し、その時点で収益を認識している。なお、検針は、契約件数が膨大であるため、1ヶ月の内20日間程の日程で地域毎に分散して定期的に実施しており、把握したガスの使用量に基づき、ガス需給約款及び主契約料金表に規定された単価等を用いて毎月ガス料金を算定している。
ガス料金は、基本的に検針時点の翌日から起算して30日目までに収受している。
ただし、連結会計年度末時点で、前回の検針日から未検針となっている部分のガス料金の収益は見積計上している。
3.顧客との契約に基づく履行義務の充足と当該契約から生じるキャッシュ・フローとの関係並びに当連結会計年度末において存在する顧客との契約から翌連結会計年度以降に認識すると見込まれる収益の金額及び時期に関する情報
前連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
当連結会計年度の期首現在の契約負債残高は、おおむね当連結会計年度の収益として認識しており、繰り越された金額に重要性はない。また、当連結会計年度において、過去の期間に充足した履行義務から認識した収益の額についても重要性はない。
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)
当連結会計年度の期首現在の契約負債残高は、おおむね当連結会計年度の収益として認識しており、繰り越された金額に重要性はない。また、当連結会計年度において、過去の期間に充足した履行義務から認識した収益の額についても重要性はない。
残存履行義務に配分した取引価格は次のとおりである。
実務上の便法を適用し、当該金額には、当初に予想される契約期間が1年以内の残存履行義務及び提供したサービスの時間に基づき固定額を請求する契約等の請求する権利を有している金額で収益を認識している残存履行義務に係る取引価格は含めていない。