第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

 当社グループは、当社の役員等が社外の関係者から金品を受け取っていた問題および役員退任後の嘱託等の報酬に係る問題(以下、金品受取り問題等)により、お客さまや社会のみなさまから賜わる信頼を失墜させた。

 本問題については、第三者委員会を設置し、2020年3月14日に調査報告書を受領した。その報告書の内容を厳粛かつ真摯に受け止め、電気事業法に基づく業務改善命令に対する業務改善計画を取りまとめ、2020年3月30日に経済産業大臣に提出した。

 その後、2020年6月に指名委員会等設置会社に移行し、外部の客観的な視点を取り入れた新たな経営管理体制のもと、ガバナンス改革をはじめとする業務改善計画に掲げた全ての項目について、取組みを着実に進めており、その実行状況を、2020年6月29日、10月13日、2021年3月2日および12月27日に経済産業大臣へ報告した。

 今後も取組みを確実に実行するとともに、外部の客観的な視点を踏まえ実行状況を検証し、必要に応じて改善策を加えるなど、引き続き、新たな関西電力グループの創生に向け、全力で取り組んでいく。

 

 この金品受取り問題等を踏まえ、2021年3月に、新たに「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」を策定し、健全な組織風土の醸成に向けて、理解・浸透・実践に努めている。

 また、この経営理念のもと、変化する事業環境にも対応し、持続的成長を遂げていくため、5ヵ年の実行計画である「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」を策定した。ガバナンス確立とコンプライアンス推進を事業運営の大前提とし、2021年2月に策定した「ゼロカーボンビジョン2050」の実現に向けた「ゼロカーボンへの挑戦」、「サービス・プロバイダーへの転換」および「強靭な企業体質への改革」に全力で取り組み、成長軌道にのせていく。

 

(経営理念)

 これまで、「安全最優先」と「社会的責任の全う」を経営の基軸に位置付け、「お客さまと社会のお役に立ち続ける」ことを使命とする経営理念のもと、事業活動を展開してきたが、金品受取り問題等では、「社会的責任の全う」という点について、社内外から厳しいご指摘をいただいた。これを受け、新しい関西電力グループとして創生し、持続的に成長していくための指針として、2021年3月に「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」を策定した。

 この経営理念は、当社グループの最上位概念として、お客さまや社会にとっての『「あたりまえ」を守り、創る』という存在意義のもと、『「公正」「誠実」「共感」「挑戦」』という価値観を大切にして事業活動を行い、持続可能な社会を実現することを掲げている。

 

(ゼロカーボンビジョン2050)

 国における2050年カーボンニュートラル宣言など地球温暖化対策への社会的な要請が一層高まる中、さらなる地球温暖化問題への対応を自主的かつ積極的に推進していく必要があるとの考えのもと、2021年2月、当社グループは「関西電力グループ『ゼロカーボンビジョン2050』」を策定し、事業活動に伴うCO排出を2050年までに全体としてゼロとすることを宣言した。ビジョンにおいては、ゼロカーボン実現に向けた取組みの3つの柱として、「①デマンドサイドのゼロカーボン化」、「②サプライサイドのゼロカーボン化」、「③水素社会への挑戦」を掲げている。

 また、2022年3月には、ビジョン実現に向けた道筋である「ゼロカーボンロードマップ」を策定し、中間地点として2030年度の目標を設定するとともに、ゼロカーボン社会の実現に向けて取り組む内容を、「当社グループ自ら取り組むこと」「お客さまや社会の皆さまと取り組むこと」の2つの観点で整理した。

 具体的には、関西電力グループ自ら取り組むこととして、再エネの主力電源化や、原子力の最大限の活用、火力のゼロカーボン化などにより、発電によるCO排出量削減を着実に進めるとともに、ゼロカーボン水素については水素自体の製造・輸送・供給および発電用燃料としての利用に取り組んでいく。また、電化や蓄電池などの多種多様なソリューションの提案により、お客さまや社会の皆さまと共に社会全体のCO排出量を削減していく。

 今後、お客さまや事業パートナー、自治体など、あらゆるステークホルダーの皆さまと力を合わせ、様々な取組みを進めていく。

 

(関西電力グループ中期経営計画(2021-2025))

 当社グループは、2021年3月に「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」を策定し、ガバナンス確立とコンプライアンス推進を事業運営の大前提と位置付けるとともに、以下の3つの取組みの柱を掲げ、これらを実行することで、当社グループの一大改革「Kanden Transformation(KX)」を成し遂げるべく、グループ一丸となって取り組んでいる。

 

①ゼロカーボンへの挑戦(EX: Energy Transformation)

 脱炭素化の潮流が世界規模で加速し、持続可能な社会の実現への貢献が期待されるなか、関西電力グループ「ゼロカーボンビジョン2050」の実現に向けた取組みを推進する

 

②サービス・プロバイダーへの転換(VX: Value Transformation)

 従来の大規模アセット中心のビジネスに留まらず、徹底してお客さま視点に立ち、ニーズや課題と向き合うことで、お客さまに新たな価値を提供し続ける企業グループに生まれ変わる

 

③強靭な企業体質への改革(BX: Business Transformation)

 コスト構造改革やイノベーション、デジタル化、そして働き方改革を加速する

 

財務目標(連結)(2021年3月公表)

項目

2021-2023年度

2025年度

経常利益

3ヵ年平均 1,000億円 以上

2,500億円 以上

FCF

3ヵ年平均 △500億円 未満

2,000億円 以上

2021-2025年度合計で黒字化

自己資本比率

20% 以上

23% 以上

ROA(注)

3ヵ年平均 1.5% 以上

3.5% 以上

(注)事業利益〔経常利益+支払利息〕÷総資産〔期首・期末平均〕

 

(関西電力グループ 2022年度計画)

 「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」策定時には、社会全体で脱炭素化の潮流やコロナを契機としたDXが加速しており、エネルギー事業では再エネの大量導入や原油価格の下落などがあった。一方、2022年度計画を策定した2022年4月現在では、ウクライナ情勢の影響等による景気後退の懸念、エネルギー市場の不確実性の高まりが生じている。また、脱炭素化の潮流は更に加速し、エネルギー事業において多様な形で顕在化している。加えて、DXについても、デジタルインフラ整備の重要性が益々高まっている状況である。

 現在の経営環境を踏まえると、自助努力で遂行できるコスト構造改革のさらなる深化や、化石燃料価格の影響を受けにくい原子力発電の安全を最優先とした最大限の活用が必要である。したがって、中期経営計画で掲げた3つの取組みの柱(EX、VX、BX)は、より一層、その重要性を増しており、2022年度も引き続き3本柱に沿って事業を遂行する。

 

2【事業等のリスク】

(1)当社グループのリスク管理体制

 当社グループ(当社および連結子会社)は、2006年4月に定めた「関西電力グループリスク管理規程」に則り、組織目標の達成に影響を与える可能性のある事象をリスクとして認識、評価したうえで、必要な対策を実施するとともに、対策後にその評価を行い、改善していく一連のプロセスにより、当社グループへの影響を適切なレベルに管理している。

 当社グループの事業活動に伴うリスクについては、各業務執行部門が自律的に管理することを基本とし、組織横断的かつ重要なリスク(情報セキュリティ、子会社の経営管理、安全・健康、市場リスク、財務報告の信頼性、環境、災害、コンプライアンス)については、必要に応じてリスクの分野ごとに専門性を備えたリスク管理箇所を定め、業務執行部門に対して、助言・指導を行うことで、リスク管理の強化を図っている。さらに、執行役副社長の彌園豊一*を委員長に計14名(2022年7月1日以降、執行役副社長の西澤伸浩を委員長に計15名)で構成し、リスクを統括的に管理する「リスク管理委員会」を設置し、リスク管理委員会の委員長を「リスク管理統括責任者」とする体制のもと、当社グループの事業活動に伴うリスクを適切なレベルに管理するよう努めている。*2022年6月28日退任

 リスク管理委員会は、リスク評価結果を執行役会議およびサステナビリティ推進会議に提示し、将来にわたる持続的成長の実現に向け、必要なリスク対策をグループ全体の計画・方針に反映するようにしている。また、定期的に執行役会議および取締役会へ報告し、必要に応じてリスク管理の仕組み、体制の改善を行っている。さらに、リスク管理体制の整備と運用に関して、経営監査室による内部監査を受け、監査結果を基に改善を図っている。

 

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(2)当社グループのリスク管理状況

 リスク管理委員会は2021年度中に3回開催し、当社グループの事業活動に大きく影響を与える重要リスク項目を抽出し、その管理状況を全社的視点から把握・評価している。重要リスク項目は、当社グループの持続的成長を遂げるだけでなく、SDGs等のグローバルな社会課題の解決を通じて、社会の持続的な発展に貢献していくESGの観点と財務目標達成の観点から、体系立てて整理するとともに、評価にあたっては、影響度や発生可能性の観点から重要性を評価し、リスクマップ上に分類・整理したうえで、俯瞰的にリスク管理状況を把握・管理・評価し、その結果に基づき、必要に応じて業務執行部門への改善指示を行っている。

 なお、前年度から重要度区分の変更を行った重要リスク項目は、《14》エネルギー事業の売上低下、《18》送配電事業の利益低下、および《22》市場リスク(市況の変動)であり、変更理由は以下のとおりである。

 <重要度区分の変更理由>

 《14》エネルギー事業の売上低下:電力需要の増加等による売上増加を踏まえ、リスクの重要度区分を下方に変更

 《18》送配電事業の利益低下  :需給調整に伴う費用増加等による利益低下の顕在化を踏まえ、リスクの重要度

                 区分を上方に変更

 《22》市場リスク(市況の変動):電力需要が増加する状況下において、燃料価格の高騰に伴う追加燃料調達費用

                 の増加による収支悪化を踏まえ、リスクの重要度区分を上方に変更

 

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重要リスク項目

 

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リスクマップ

 

(3)事業等のリスク

 当社グループの経営成績および財政状態に影響をおよぼす可能性のある「重要リスク項目」の具体的な内容は、以下に記載のとおりである。なお、本記載内容は、提出日(2022年6月29日)現在において当社グループが判断したものであり、今後、経済状況や、原子力発電を含むエネルギー政策、ならびに環境政策の変化等の影響を受ける可能性がある。なお、影響額については、一定の前提に基づき算定した理論値であり、前提諸元が急激かつ大幅に変動する場合等には、影響額により算出される変動影響が実際の費用変動と乖離する場合がある。

補足)《数字》は該当する重要リスク項目、背景色は重要度を示す。

 

a.ESGの観点

 (a) E 環境

①気候変動《1》

 当社グループは、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の趣旨に賛同し、中長期にわたる気候変動に関するリスクの分析を行い、経営計画・方針に適切に反映している。気候変動に関するリスクとして、下記の移行リスクと物理リスクを認識しており、これらのリスクによって、社会的信用の低下が生じる事象、電源構成の大幅な変化に伴うエネルギー事業資産の価値毀損、他事業者との競争のさらなる拡大、各種市場からの収益変動等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

<移行リスク>

 政策:炭素価格導入による火力発電の競争力低下および炭素排出規制に伴う対策費用の増加、

    再エネ競争力の高まりによる他電源の競争力低下等

 技術:再エネ・省エネ技術進展による需要の減少、炭素排出抑制技術の普及に伴う投資増等

 市場:環境負荷の高い商品の競争力低下、EVや蓄電池等による需要形態変化等

 評判:原子力発電に対する社会的受容性の低下、炭素排出量や係数悪化に伴う顧客評判悪化等

<物理リスク>

 異常気象激甚化に伴う被害発生による復旧および対策費用の増加等

 上記2種類のリスクのうち、<移行リスク>に対応し、持続可能な社会を実現するため、『ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニー』として、事業活動に伴うCO排出を2050年までに全体としてゼロとすることを「関西電力グループ『ゼロカーボンビジョン2050』」において宣言している。

 今後、デマンドサイドの役割が拡大していく中で、ゼロカーボンソリューションプロバイダーとして、全ての部門(家庭・業務、産業、運輸)において、お客さまのゼロカーボン化を実現する最適なソリューションを提案・提供していく。また、分散型エネルギーリソースの活用やレジリエンスの強化等、多様化する社会ニーズも踏まえて再エネを最大限導入・主力電源化し、それを可能にする送配電系統の高度化、出力安定性に優れエネルギー密度が高い原子力エネルギーの安全最優先を前提とした最大限活用、再エネ大量導入に必要な調整力等に優れた火力のゼロカーボン化に取り組む。加えて、水素社会の実現に向けて、非化石エネルギーを活用したゼロカーボン水素の製造・輸送・供給、発電用燃料としての使用に挑戦していく。

 さらに、2022年3月には、ゼロカーボンビジョン2050実現に向けた道筋を定めた「ゼロカーボンロードマップ」を策定し、中間地点として2030年度目標も設定することで、ゼロカーボンの取組みを加速していく。

 (なお、物理リスクへの対応は、S社会①自然災害・武力攻撃・感染症のまん延等に記載している。)

 

②環境法令《2》

 当社グループは、気候変動問題への取組みをはじめ、資源循環の推進や地域環境保全等といった事業活動に密接に関係する環境問題への対応について、中長期的にめざす方向性を、「関西電力グループ環境方針」として定め、環境コンプライアンスの実践・徹底に取り組んでいるが、重大な環境コンプライアンス違反等、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 環境コンプライアンス違反を防止するため、事業活動において周辺環境や人の健康に影響をおよぼすことのないよう社内ルールの整備や、実務知識付与のための専門教育等を実施している。また、ISO14001の考え方を取り入れた環境管理システムを構築し、環境問題への先進的な取組みおよび環境リスク管理を推進している。

 

③ 放射性物質の放出《3》

 原子力発電は、エネルギーセキュリティ(安全保障)、地球温暖化問題への対応、経済性の観点から優れた特性を有しており、エネルギー資源の乏しい我が国において、将来にわたって経済の発展や豊かな暮らしを支えるための重要な電源である。一方で、原子力発電は、大量の放射性物質を取扱い、運転停止後も長期間にわたり崩壊熱を除去し続ける必要があるなどの固有の特性を有する。このため、原子力施設の建設・運転・廃止措置、使用済燃料や放射性廃棄物の輸送・貯蔵・処理・処分等の全ての局面において、自然現象、設備故障、人的過誤、破壊・テロ活動、核燃料物質の転用・拡散等により、放射線被ばくや環境汚染を引き起こすリスクがある。原子力発電において、適切な管理を怠って重大な事故を起こせば、長期にわたる環境汚染を生じさせ、立地地域をはじめ社会のみなさまに甚大な被害をおよぼすだけでなく、我が国のみならず世界に対し経済・社会の両面で影響を与えうるなど、社会的信用の低下が生じる事象等が発生し、当社グループの存続可能性に疑義が生じる重大な影響を与える可能性がある。

 原子力発電の安全性を向上させるため、全ての役員および原子力発電に携わる従業員が、「ここまでやれば安全である」と過信せず、原子力発電の特性とリスクを十分認識し、絶えずリスクを抽出および評価して、それを除去ないし低減する取組みを継続する。こうした取組みを深層防護の各層において実施することにより、事故の発生防止対策を徹底し、そのうえで万一、事故が拡大し、炉心損傷に至った場合の対応措置も充実させる。また、「原子力安全推進委員会」において、美浜発電所3号機事故を踏まえた再発防止策の推進や安全文化の醸成、福島第一原子力発電所事故を踏まえた自主的・継続的な取組みに関して、広い視野から確認、議論を行い、全社一丸となり、取組みを推進している。さらに、社外の有識者を主体とする「原子力安全検証委員会」において、独立的な立場から助言等を得て、安全性向上の取組みに反映している。

 

(b) S 社会

①自然災害、武力攻撃、感染症のまん延等《5》

 台風・豪雨(気候変動に起因する異常気象等)・地震・津波等の自然災害や武力攻撃等により、当社グループ設備への被害・損害、操業への支障や、他社からの電気・資機材の調達等への支障が生じ、当社グループサービスの提供が困難になることで、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 従業員とその家族の安全を確保するとともに、電力・ガスを始めとする当社グループサービスの安定供給の責務を果たすため、さまざまな自然災害に対し、「災害に強い設備づくり」や「早期復旧に向けた防災体制の確立」を基本に「設備・防災部会」等を定期的に開催し、災害関連主要リスクに適切に対策を講じるなど、防災対策に取り組んでいる。

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動の停滞、それに関連した小売販売電力量・エリア需要の変動や原油価格等の動向による火力燃料費・購入電力料の変動、分譲住宅市況の悪化や賃貸物件の空室率増加、ホテル稼働率の大幅な悪化に加え、当社グループ設備の操業への支障や、他社からの電気・資機材の調達等への支障が生じ、当社グループサービスの提供が困難になることで、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 新型コロナウイルス感染拡大を防止し、電力・ガスの安全・安定供給を継続するため、当社および関西電力送配電(株)においては、「新型コロナウイルス対策総本部」を立ち上げるとともに、時差出勤やテレワークを実施できるよう勤務制度を変更した。また、テレワーク向けITツールを導入し、さらなるテレワークの活用を推進している。出勤する場合には、感染予防の観点からマスクの着用を徹底し、執務室環境について、席の間隔を離すなど、感染予防を行っている。加えて、新型コロナウイルス感染の収束に貢献するため、新型コロナウイルスワクチンの職域接種を実施するとともに、新型コロナウイルスワクチン接種にかかる特別休暇を設けている。

 なお、新型コロナウイルス感染症による環境変化を新たな価値を提供する大きなチャンスととらえ、デジタル技術の活用や、他事業者やベンチャー企業とも連携しながら、新規事業・新サービスの創出に取り組んでいく。

 (2022年度以降、重要リスク項目《5》「自然災害・武力攻撃・感染症のまん延等」を「自然災害・国際情勢

  の変化等」に見直している。)

 

②情報セキュリティ《6》

 サイバー攻撃等により、当社が保有するお客さま情報をはじめ、業務上取扱う重要情報についての社外への流出が発生する、または当社グループ設備への被害・損害、操業への支障や、他社からの電気・資機材の調達等に支障が生じ、当社グループサービスの提供が困難になることで、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 当社グループは、電気事業・ガス事業・情報通信事業を営む重要インフラ事業者として、万全のサイバーセキュリティ対策のもと、安全・安定供給を確保することが重要な責務と考えている。このため、関係法令・サイバーセキュリティ経営ガイドライン・社内規程等に則り、セキュリティ対策を強化するとともに、サイバー攻撃の手法が日々高度化、巧妙化していることから、社外で発生したサイバー攻撃の事例や最新のセキュリティ技術の情報を入手し、早期対策に努めている。

 当社グループが保有するお客さま情報をはじめ、業務上取扱う重要情報について、適切な取扱いがなされず、社外への流出が発生するなど、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 個人情報の適切な保護のため、当社グループが保有する個人情報については、改正個人情報保護法やガイドライン等を遵守するとともに、プライバシー権等にも配慮した適切な取扱いを行っている。また、個人情報を含めた業務情報を適切に取扱うために、組織的・人的・物理的・技術的対策を実施している。各対策については、社外で発生した情報漏洩事故の情報や最新の技術・知見を取り入れて、適宜見直しするなど、改善に努めている。

 

③レピュテーション《7》

 ユーザー目線に欠けたテレビCMや新聞広告等の内容、プレス発表、ホームページ、SNS等での情報開示不足や情報の分かりにくさからくる否定的反応により、当社グループのブランドイメージが低下する可能性がある。また、原子力発電に対する社会からの受容性低下や、事故や不祥事が発生した場合の対応次第で、社会的信用の低下につながり、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 そのため、広報活動を通して、ステークホルダーのみなさまに適切に情報発信を行い、当社グループ事業にご理解をいただくとともに、広聴活動においては、頂戴したご意見やご要望について、経営層や従業員と共有を図り、事業活動に反映させることで、信頼を賜ることができるよう努めている。また、このような活動を通じて、原子力発電をはじめとする当社グループ事業への理解獲得を図るとともに、ブランドステートメント「0102010_004.jpg」に込めた想いのもと、透明性の高い開かれた事業活動を展開している。

 

④人財基盤《4》、《8》、《10》

 従業員の意欲の低下や、多様で優秀な人財の安定的な確保に支障をきたすなど、人財基盤の強化が進まず、当社グループの持続的な成長を妨げ、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 人財基盤強化の前提として、2021年に策定した「関西電力グループ人権方針」に基づき、あらゆる事業活動において、人権を尊重する取組みを推進している。その上で、人財基盤強化のため、女性・外国人・中途採用者について、今後も性別や国籍や職歴等にとらわれることなく積極的な採用を進めるとともに、管理職への登用についても、個人の能力や適性に応じて公平・公正に実施している。こうした取組みにより、人財の多様性を確保し、ダイバーシティ&インクルージョンを推進するとともに、労働市場の変化や事業環境の変化に即した多様な採用コースの構築を図ることで、優秀な人財の獲得につなげている。また、2018年に設立した「関西電力グループアカデミー」の中で体系化した研修や育成制度を通じて、従業員の自律的なキャリア形成を促し自発的な成長を支援するとともに、「働き方」改革・健康経営の推進責任者である社長のもと、人事労務担当役員が委員長を務める「『働き方』改革・健康経営委員会」での議論を通じて、より柔軟に働ける勤務制度の整備や従業員の健康づくりに取り組むなど、一人ひとりが成長意欲や挑戦意欲をもち、健康で活き活きと活躍できる環境を整備している。

 労働災害の発生等、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 美浜発電所3号機事故をはじめとする事故や災害から得た数々の教訓から、「安全を守る。それは私の使命、我が社の使命」との社長の宣言のもと、当社グループの事業活動にかかわるすべての人の安全を守ることを第一に、安全活動を続けている。この宣言に込めた思いを継承していくため、「関西電力グループ安全行動憲章」をグループワイドで共有し、「安全行動の誓い」を規範として安全行動をたゆまず実践することで、安全の実績を着実に積み重ね、ゆるぎない安全文化を構築していく。さらに、グループワイドで災害防止に向けた取組みをより一層促進するため、「安全・品質部会」や「安全衛生委員会」にて安全活動の継続的な改善を行うとともに、協力会社を含めたグループ会社と”相方向”の情報共有やコミュニケーションを深めることで、「災害ゼロ」を目指している。

 

⑤商品・サービスの提供支障・品質低下《9》

 当社グループ設備の事故等による操業支障や、電力・資機材の調達支障等により、当社グループサービスの提供が困難となることで、当社グループは、社会的信用の低下や業績の悪化等の影響を受ける可能性がある。

 特に、厳気象(猛暑および厳寒)による需給ひっ迫や操業支障、調達支障に伴う電力の需給変動リスクに臨機応変に対応する必要がある。具体的には、「需給ひっ迫を予防するための発電用燃料に係るガイドライン」に基づき必要な燃料在庫の確保に努めるとともに、LNGの取引ハブであるシンガポールの子会社を活用した燃料トレーディングによる経済的かつ柔軟性の高い火力燃料の調達や、卸電力取引市場での積極的な電力取引を通じた電力トレーディングによる安価で機動的な電力調達などに取り組んでいる。

 また、発電所の適切な運転管理や巡視、送配電設備の最適な形成や確実な運用に努めていることに加えて、事故の再発防止を徹底している。

 さらに、国や電力広域的運営推進機関と連携しながら、具体的な需給対策の事前整理や当社グループ大の体制構築等にも努める等、需給ひっ迫が発生した場合の緊急時の対策に取り組んでいく。

 

(c) G ガバナンス

①情報開示《11》

 コーポレート・ガバナンスに係る基本的な考え方・基本方針、経営陣幹部・取締役の報酬を決定するにあたっての方針と手続、経営陣幹部の選解任と取締役候補の指名を行うにあたっての方針と手続等、株主・投資家のみなさま等が求める非財務情報の開示が不足するなど、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 情報開示の充実を図るため、コーポレートガバナンス・ガイドラインにおいて適切な情報開示と透明性の確保に関する考え方を定め、これに基づき、株主のみなさまをはじめとしたステークホルダーのみなさまに向けて、有価証券報告書やコーポレート・ガバナンス報告書、統合報告書等にて会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに係る非財務情報等について、積極的に開示を行っている。

 

②ガバナンス・コンプライアンス《12》、《13》

 求められるガバナンスを十分に実現できないなど、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 当社グループは「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」(2021年3月策定)に基づき、ステークホルダーのみなさまのご期待にお応えし続けることで、持続的な企業価値の向上と社会の持続的発展に貢献していく。その実現に向けた経営の最重要課題は、コーポレート・ガバナンスの強化であると認識し、当社のコーポレート・ガバナンスにおいては、経営の透明性・客観性を高めることを目的に、執行と監督を明確に分離した「指名委員会等設置会社」の機関設計を採用し、取締役会議長は社外取締役、構成委員の過半数は、社外取締役としている。また、取締役会直下に法定外の「コンプライアンス委員会」を設置している。さらに、当社はグループ各社に対して、「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」および「関西電力グループ行動憲章」等の経営の基本的方向性や行動の規範について、浸透を図るとともに、子会社管理に係る社内規程に基づき、子会社における自律的な管理体制の整備を支援、指導すること等により、企業集団の業務の適正を確保している。

 重大なコンプライアンス違反の発生等、社会的信用の低下が生じる事象等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 当社グループは、当社の役員等が社外の関係者から金品を受け取っていた問題および役員退任後の嘱託等の報酬に係る問題により、お客さまや社会のみなさまから賜わる信頼を失墜させた。

 本問題については、第三者委員会を設置し、2020年3月14日に調査報告書を受領した。その報告書の内容を厳粛かつ真摯に受け止め、電気事業法に基づく業務改善命令に対する業務改善計画を取りまとめ、2020年3月30日に経済産業大臣に提出した。

 その後、2020年6月に指名委員会等設置会社に移行し、外部の客観的な視点を取り入れた新たな経営管理体制のもと、ガバナンス改革をはじめとする業務改善計画に掲げた全ての項目について、取組みを着実に進めており、その実行状況を、2020年6月29日、10月13日、2021年3月2日および12月27日に経済産業大臣へ報告した。

 今後も取組みを確実に実行するとともに、外部の客観的な視点を踏まえ実行状況を検証し、必要に応じて改善策を加えるなど、引き続き、新たな関西電力グループの創生に向け、全力で取り組んでいく。

 なお、当社は、独占禁止法に基づき、特別高圧電力および高圧電力の供給について、顧客の獲得を制限している疑いがあるとして、2021年4月13日および7月13日に公正取引委員会による立入検査を受けた。当社としては、こうした事態を厳粛に受け止めるとともに、同委員会の調査に対し全面的に協力していくが、その検査結果として何らかの行政処分を命じられる場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 保安伐採業務等について、2022年6月にコンプライアンス委員会から、不適切な処理の事実、その原因究明および再発防止対策の提言に関する報告を受領した。報告の指摘・提言を真摯に受け止め、再発防止に取り組んでいく。

 また、グループ会社における施工管理技術検定の実務経験不備の問題については、既報のとおり第三者委員会で調査中である。

 

b.財務目標達成の観点

(a) エネルギー事業

①政策動向《21》、《24》

 2021年10月に策定された第6次エネルギー基本計画では、2050年カーボンニュートラルの実現および2030年度に温室効果ガス排出量の2013年度比46%削減に向けたエネルギー政策の方針が示された。また、2030年におけるエネルギー需給見通しで示されたエネルギーミックス(電源構成)では、原子力は20~22%、再エネは36~38%の割合を目指すとされている。

 将来のエネルギーミックスのあり方や、小売全面自由化を踏まえた競争政策、容量市場や非化石価値取引市場といった電力システム改革に関する制度の見直し動向等により、電源構成の大幅な変化に伴うエネルギー事業資産の価値毀損や、他事業者との競争のさらなる拡大、各種市場からの収益変動等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 これらのリスクに対応するため、国の電力システムにかかる政策や規制動向について必要な情報収集を実施するとともに、審議会等の場を通じて当社グループの考え方を主張するなど必要な対応を実施していく。

 

②収支リスク《14》、《15》、《17》、《24》

 エネルギー事業に係る小売販売電力量が、冷暖房需要の主たる変動要因である気象(特に気温)や、景気の動向、省エネルギーの進展、技術革新による電気の利用形態の変化および他事業者との競争状況等により変動し、また、販売価格が、他事業者との競争状況や日本卸電力取引所の取引価格等により変動した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ガス販売量および販売価格についても、上記に準じ変動した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 これらのリスクに対応するため、徹底したコスト構造改革を推進するとともに、安全・安定運転を大前提とした原子力7基体制の確立による競争力強化により、エネルギー事業の収益力回復に取り組む。また、「電化推進」への取組みや、多様なソリューションを通じた新たな価値の提供により、収益の拡大を図る。

 エネルギー事業における主要な火力燃料はLNG・原油・石炭等であるため、燃料価格や外国為替相場等の動向によって火力燃料費・購入電力料が変動した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。燃料価格や外国為替相場の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」によって一定の調整が図られることから、当社グループの業績への影響は緩和されるものの、特にウクライナ情勢の悪化以降、燃料価格の高騰が顕著となっている状況下では、燃料費調整制度において平均燃料価格が上限を超えることにより、燃料価格の上昇を一部、料金反映できない可能性がある。

 また、小売販売電力量の変動や、年間の降雨降雪量の変動による水力発電所の発電量の増減等によって、火力燃料費・購入電力料が変動した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ただし、水力発電所の発電量の増減については、「渇水準備引当金制度」によって一定の調整が図られることから、当社グループの業績への影響は緩和される。

 ESG、SDGsの観点の広がりに伴う電源の脱炭素化やデジタル化、自由化等の経営環境の変化の中、新たな事業領域の拡大が期待でき、当社がこれまで培ってきた技術力、ノウハウを活用できる分野での取組みを進めており、再エネ電源においては、洋上風力を中心に、2040年までに、国内で新規開発500万kW、累計開発900万kW規模をめざし、1兆円規模の投資を見込んでいる。

 しかしながら、これらの投資において、市場規模や規制等の市場に係る動向、開発計画の遅延等に加え、国内外の政治・経済・社会の状況変化、マクロ経済低迷等により、投資済プロジェクトの収入減および当社への配当減が発生するなど、想定していた収益性が確保できない場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

これらの投資リスクに対応するため、投資の妥当性の評価に加えて、投資後のモニタリングと撤退・再建策の検討・実施も含めた一連のマネジメントプロセスを構築・運用し、事業推進部門およびコーポレート部門の役員で構成される社内会議体(投資評価部会)において、専門的知見に基づく審議・検討を行っている。これにより、個別案件の意思決定における適切な判断を支援するとともに、リスク顕在化時にはタイムリーな対処を促し、投資リスクの適正な管理に努めている。こうしたマネジメント状況は定期的に執行役会議に報告するとともに、必要に応じて評価・管理の枠組みや手法を改善している。

 (2022年度以降、重要リスク項目《14》「エネルギー事業の売上低下」と《15》「エネルギー事業の費用増加」を「エネルギー事業の利益低下」に一体化している。)

 

③原子力発電《15》、《16》

 当社は他の電力会社と比較して原子力発電の比率が高く、新規制基準への対応や訴訟等の結果により、発電所の停止が長期化した場合には、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性がある(2021年度実績ベースでは、原子力利用率が1%悪化する場合の費用増加影響は43億円程度)。

 また、原子力施設の廃止措置や使用済燃料の再処理・処分などの原子力バックエンド事業について、超長期の事業であり、不確実性を伴うが、国による制度措置等により事業者のリスクが軽減されている。原子力バックエンドコストについては、今後の制度の見直しや将来費用の見積額の変動等により、費用負担額が増加した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 原子力発電の燃料となるウランは、政情の安定した国々に埋蔵されていることから安定確保が可能である。また、少しの燃料で長期間発電に使うことが可能なうえ、使い終わった燃料は再処理することで再び燃料として使用できることなどから、準国産のエネルギー資源になる。原子力発電所で使用した燃料中のウラン、プルトニウムを燃料として再利用する「原子燃料サイクル」を進めることは、資源に乏しい我が国にとって、エネルギー資源の有効活用およびエネルギーを安定的に確保していくために効果的であるといえる。

 使用済燃料は、発電所内の使用済燃料プールで一定期間貯蔵したあと、再処理工場へ搬出する。万が一、プールが満杯になれば発電所を運転できなくなるため、計画的に搬出する必要があり、使用済燃料を一時的に貯蔵できる中間貯蔵施設を設置することで、将来にわたって発電所を安定的に運転できる。当社では、「使用済燃料対策推進計画」を策定し、福井県外の中間貯蔵施設について、2023年末までに計画地点を確定、2030年頃の操業開始に向けて取り組んでいる。

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構一般負担金については、今後の負担総額や負担金率の変動等により、当社の負担額が増加した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 資源に乏しい我が国においては、3E(エネルギーセキュリティの確保、経済性、地球環境問題への対応)のバランスに優れる原子力発電の果たす役割は大変大きく、安全の確保、技術・人財基盤の維持の観点からも、将来にわたって原子力発電を一定規模確保することが必要であり、これらを実現するためには、安全性の確認された40年超プラントの運転に加えて新増設・リプレースが必要になると考えている。当社としては、原子力発電所の安全確保を大前提として、有効に活用していきたいと考えている。また、廃止措置は大きく4段階に分け、約30年かけて実施することとしており、現在、第1段階の「解体準備期間」である。廃止措置の実施にあたっては、必要な対策等を講じ、安全の確保を最優先に着実に行っている。現在、美浜発電所1、2号機、大飯発電所1、2号機ではタービン建屋内機器等解体工事を行っている。また、美浜発電所1、2号機においては、計画通り2022年度より第2段階である「原子炉周辺設備解体撤去期間」に移行するため、管理区域内設備の解体に向けた準備を進めている。

 

(b) 送配電事業※《18》、《21》

 送配電事業に係るエリア需要が気温や景気の動向等により変動した場合、ならびに設備の高経年化に伴う対策工事に加え、自然災害や需給ひっ迫等による突発的な対応に伴う費用が増加した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 これらのリスクに対応し、安全・安定供給を継続していくため、引き続きコスト構造改革に取り組んでいく。具体的には、アセットマネジメントを活用した設備リスクの定量的評価による設備改修の優先順位判断の高度化や、トヨタ生産方式(カイゼン)を導入して新たな発想による効率化を推進していく。

 一方、電力システム改革として、需給調整市場における調達が開始されたが、今後の市場設計や関連する制度の見直し、エネルギー市場の動向等によっては、供給エリアの需給運用に係る調整力費用が増大する可能性がある。

 これらのリスクについては、国の電力システムに係る政策や審議会等の場を通じて、一般送配電事業者として安全・安定供給やお客さまの利便性向上のために、再エネ予測精度向上などによる必要な調達量の低減や調整力の調達・運用の広域化・効率化への取組みを示した。一方で、外生的に生じる費用については、その負担の在り方や託送料金制度等により適切に回収できる方策を積極的に提言していく。

※送配電事業は関西電力送配電(株)が担う。

 

(c) 情報通信事業《19》、《21》、《25》

 お客さまのニーズに応じた幅広いメニューを迅速に取りそろえ、デジタル技術を活用し、家庭向け、企業向けに総合的な情報通信サービスを提供している。

 しかしながら、情報通信分野においては、5G(第5世代移動通信システム)等のように、新しい技術による情報通信市場における競争環境やビジネスモデルの変化等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。また、国の競争政策によって、料金値下げ競争や新規事業者の参入など競争環境が大きく変化した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 これらのリスクに対応するため、変化するお客さまニーズを的確にとらえてDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や新サービスの開発、既存サービスの拡充を実施していく。

 加えて、競争激化等の環境変化に備えて、コスト削減の取組みにも注力していく。また、国の情報通信政策や規制動向について必要な情報収集を実施するとともに、パブリックコメントやヒアリング等の場で当社グループの考え方を主張するなど必要な対応を実施していく。

 

(d) 生活・ビジネスソリューション事業《20》、《25》

 お客さまの生活やビジネスのさまざまなシーンでお役に立てるよう、賃貸・分譲・管理・レジャー等の総合不動産事業に加え、ホームセキュリティやヘルスケア等の個人さま向けサービス、コールセンターや人材派遣等の事業者さま向けサービスを品質第一で幅広く提供している。

 しかしながら、景気の動向や不動産市況の低迷等、分譲住宅市況の悪化による販売の不振、賃貸物件の空室率の増加による賃料収入の減少、ホテルや商業施設等の売上の減少による保有物件の価値の毀損、旅行・出張需要が減少しホテル稼働率の悪化等の事象が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 不動産事業における投資については、過去から将来にわたる不動産市況の把握・予測を行いながら、競争力のあるエリアでの事業を推進するとともに、資産の入れ替えを進めることにより、安定した収益と一定の自己資本比率を確保することを基本としている。また、市況の急激な変化が発生した場合においても、経営への影響を一定程度に抑えることができるよう、リスク評価を行ったうえで投資予算を策定・管理している。

 

 

(e) 共通事項《22》、《23》

 事業活動に伴い、通貨や各種商品の価値・価格の変動、金利や為替の変動および気候の変動に起因する収支変動等の不確実性があるが、デリバティブ取引の活用等により、一定以上の損失の回避、収支の安定化および向上を図っている。なお、電力需要増加に対応する追加燃料調達を行う際、燃料価格等が高騰している場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 当社グループの有利子負債残高(連結)は、2022年3月末時点で、4,838,325百万円(総資産の55.9%に相当)であり、今後の市場金利の動向によって、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ただし、有利子負債残高の90.5%(4,377,689百万円)は長期借入金、社債の長期資金であり、そのほとんどは固定金利で調達していることから、金利の変動による当社グループの業績への影響は限定的である。

 当社グループは、イノベーション推進によりめざす状態を、「新事業、新サービスを生み出す力」と「既存事業のオペレーション変革力」の双方が優れていること、かつ、「イノベーションが自律的かつ持続的に巻き起こせる仕組み(システム)」が確立されていることと定義しており、これらを推進するための体制強化や仕組みの構築を行っている。また、デジタル技術を活用した既存事業の変革や新事業・新サービスの創出に向けて、「デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略委員会」を設置し、同戦略のもと、各部門がDXに関する具体的な取組みを検討し、順次展開している。

 しかしながら、それらに適切に対応できない場合は、技術革新への対応が遅れるなど、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

(1)経営成績

 当連結会計年度の当社グループは、2021年3月に策定した「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」に基づき、ガバナンス確立とコンプライアンス推進を事業運営の大前提とし、当社グループの一大改革(KX: Kanden Transformation)の完遂に向け、取組みの3本柱である「ゼロカーボンへの挑戦(EX: Energy Transformation)」、「サービス・プロバイダーへの転換(VX: Value Transformation)」、「強靭な企業体質への改革(BX: Business Transformation)」に基づく諸施策について、総力を結集し推進してきた。

 

 当連結会計年度の小売販売電力量は、競争の影響などにより、1,006億6千万kWhと前連結会計年度に比べて1.6%減少した。その内訳を見ると、「電灯」については、323億3千万kWhと前連結会計年度を5.0%下回った。また、「電力」については、683億3千万kWhと前連結会計年度並みとなった。

 

 収入面では、エネルギー事業における他社販売電力料は増加したものの、収益認識に関する会計基準等の適用に伴い再エネ関係の会計処理を変更したことなどから、売上高は2,851,894百万円と、前連結会計年度に比べて240,503百万円の減収(△7.8%)となった。

 

 支出面では、エネルギー事業において、原子力利用率は上昇したものの為替・燃料価格の影響などにより火力燃料費が増加した一方、徹底した経営効率化に努めたことや、収益認識に関する会計基準等の適用に伴い再エネ関係の会計処理を変更したことなどから、営業費用は2,752,569百万円と、前連結会計年度に比べて194,082百万円の減少(△6.6%)となった。

 また、送配電事業において、2021年1月に生じた一般送配電事業者のインバランス収支の取扱いについて、将来の託送料金から毎月定額を差し引く形で調整を行うこととする経済産業大臣の特例認可を受けたことに伴い、インバランス収支調整額10,773百万円を特別損失に計上した。

 

 この結果、当連結会計年度の営業利益は99,325百万円と、前連結会計年度に比べて46,421百万円の減益(△31.9%)、経常利益は135,955百万円と、前連結会計年度に比べて17,895百万円の減益(△11.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益は85,835百万円と、前連結会計年度に比べて23,142百万円の減益(△21.2%)となった。

 

 セグメントの経営成績(相殺消去前)は、次のとおりである。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分等を変更している。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等」の注記「セグメント情報等 セグメント情報 2.報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおりであり、以下の前連結会計年度との比較については、変更後の報告セグメントに基づいている。

セグメント

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

比較増減

金額(百万円)

金額(百万円)

増減金額

(百万円)

増減率

(%)

エネルギー事業

売上高

2,547,698

2,377,879

△169,818

△6.7

経常費用

2,567,162

2,380,290

△186,872

△7.3

セグメント利益

34,149

70,624

36,474

106.8

送配電事業

売上高

1,003,004

997,810

△5,193

△0.5

経常費用

940,300

1,000,738

60,437

6.4

セグメント利益

68,318

6,064

△62,254

△91.1

情報通信事業

売上高

293,781

279,369

△14,412

△4.9

経常費用

255,492

239,635

△15,857

△6.2

セグメント利益

38,693

40,050

1,356

3.5

生活・ビジネスソリューション事業

売上高

176,191

192,516

16,325

9.3

経常費用

162,491

176,243

13,752

8.5

セグメント利益

16,550

19,658

3,107

18.8

 (注)1 本表の金額には、消費税等を含まない。

    2 各セグメント利益には、連結子会社および持分法適用会社からの受取配当金を含まない。

    3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適

      用しており、当連結会計年度の実績については、当該会計基準等を適用した後の数値となっている。

 

(2)キャッシュ・フロー

 

     当連結会計年度のキャッシュ・フローの概要は、次のとおりである。

科目

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

比較増減

金額(百万円)

金額(百万円)

増減金額

(百万円)

増減率

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

369,215

410,315

41,100

11.1

投資活動によるキャッシュ・フロー

△660,755

△532,630

128,124

△19.4

(フリー・キャッシュ・フロー)

(△291,539)

(△122,314)

(169,225)

(△58.0)

財務活動によるキャッシュ・フロー

325,643

318,769

△6,873

△2.1

現金及び現金同等物の期末残高

291,266

490,491

199,225

68.4

 

 

生産、受注及び販売の状況

 当社および連結子会社における生産、受注及び販売の実績については、その大半を占めるエネルギー事業のうち当社にかかる実績を記載している。

(1)需給実績

種別

2020年度

(2020年4月~

2021年3月)

(百万kWh)

2021年度

(2021年4月~

2022年3月)

(百万kWh)

前年度比

(%)

発受電電力量

自社

水力発電電力量

12,775

13,531

105.9

火力発電電力量

61,437

46,961

76.4

原子力発電電力量

15,335

33,553

218.8

新エネルギー発電電力量

28

26

91.2

他社送受電電力量

19,626

13,299

67.8

揚水発電所の揚水用電力量

△2,216

△1,915

86.4

合計

106,986

105,456

98.6

小売販売電力量

102,331

100,657

98.4

出水率(%)

96.5

100.7

(注)1 自社の発電電力量については、送電端電力量を記載している。

2 火力発電電力量は、汽力発電電力量と内燃力発電電力量の合計である。

3 新エネルギー発電電力量は、汽力発電設備におけるバイオマスと新エネルギー等発電設備における太陽光による発電電力量である。

4 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量である。

5 2020年度出水率は、1989年度から2018年度までの30カ年平均に対する比である。
2021年度出水率は、1990年度から2019年度までの30カ年平均に対する比である。

6 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。

 

(2)販売実績

     ① 総販売電力量

 

2020年度

(2020年4月~

2021年3月)

(百万kWh)

2021年度

(2021年4月~

2022年3月)

(百万kWh)

前年度比(%)

総販売電力量(小売、他社 計)

117,733

121,463

103.2

 

小売販売電力量

102,331

100,657

98.4

 

電灯

34,014

32,326

95.0

 

電力

68,317

68,331

100.0

他社販売電力量

15,402

20,806

135.1

(注) 四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。

 

     ② 料金収入

 

2020年度

(2020年4月~

2021年3月)

(百万円)

2021年度

(2021年4月~

2022年3月)

(百万円)

前年度比(%)

電灯料・電力料

1,827,163

1,613,715

88.3

 

電灯料

760,180

669,859

88.1

 

電力料

1,066,983

943,855

88.5

他社販売電力料

163,059

336,405

206.3

(注)1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、2021年度実績については、当該会計基準等を適用した後の数値となっている。

2 本表の金額には、消費税等を含まない。

 

  (3)生産能力

自社発電認可最大出力

区分

水力

(kW)

火力

(kW)

原子力

(kW)

新エネルギー

(kW)

合計

(kW)

2021年3月31日現在

8,235,375

14,566,400

6,578,000

11,000

29,390,775

2022年3月31日現在

8,247,575

14,566,400

6,578,000

11,000

29,402,975

 

  (4)資材の状況

 主要燃料の受払状況

区分

重油(kl)

原油(kl)

LNG(t)

石炭(t)

2020年3月末在庫量

173,872

115,036

407,249

281,820

2020年度

受入量

109,090

185,626

7,951,243

3,486,879

払出量

218,503

218,400

7,963,664

3,443,521

2021年3月末在庫量

64,460

82,263

394,827

325,179

2021年度

受入量

756,738

128,832

5,425,456

3,833,938

払出量

689,879

176,353

5,532,591

3,844,050

2022年3月末在庫量

131,319

34,742

287,693

315,067

 (注)四捨五入の関係で、合計が一致しない場合がある。

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。

 連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要がある。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものについては、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の注記事項(重要な会計上の見積り)に記載している。

 

(2)経営成績

① 経常損益(セグメントの経営成績)

[エネルギー事業]

 燃料の柔軟かつ安定的な調達や、多様な電源をバランスよく組み合わせた発電により、お客さまに電気を安定してお届けするとともに、新たなライフスタイルや、ゼロカーボン化、レジリエンス向上等、多様化するお客さまニーズを踏まえ、新たな価値を提供している。

 収入面では、他社販売電力料は増加したものの、収益認識に関する会計基準等の適用に伴い再エネ関係の会計処理を変更したことなどから、外部顧客への売上高は2,092,810百万円と、前連結会計年度に比べて265,834百万円の減収(△11.3%)となり、内部売上高を含めた売上高は2,377,879百万円と、前連結会計年度に比べて169,818百万円の減収(△6.7%)となった。

 支出面では、原子力利用率は上昇したものの為替・燃料価格の影響などにより火力燃料費が増加した一方、徹底した経営効率化に努めたことや、収益認識に関する会計基準等の適用に伴い再エネ関係の会計処理を変更したことなどから、経常費用は減少した。

 この結果、セグメント利益は70,624百万円と、前連結会計年度に比べて36,474百万円の増益(+106.8%)となった。

 

[送配電事業]

 送配電事業の一層の中立性を確保しつつ、関西一円を中心に、生活や産業の基盤を支える電力を供給している。

 収入面では、収益認識に関する会計基準等の適用に伴い再エネ関係の会計処理を変更したことや、2021年1月の電力需給ひっ迫の影響により増大したインバランス収入の反動減があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響による需要の落込みの回復などにより、エリア需要が増加したことや、他の一般送配電事業者などへの販売電力料が増加したことなどから、外部顧客への売上高は398,977百万円と、前連結会計年度に比べて12,554百万円の増収(+3.2%)となった。一方、当社グループ向けの電力工事関係の売上が減少したことなどから、内部売上高を含めた売上高は997,810百万円と、前連結会計年度に比べて5,193百万円の減収(△0.5%)となった。

 支出面では、燃料価格の高騰などの影響により、需給調整に伴う費用が大幅に増加したことなどから、経常費用は増加した。

 この結果、セグメント利益は6,064百万円と、前連結会計年度に比べて62,254百万円の減益(△91.1%)となった。

 

[情報通信事業]

 FTTHを利用した光インターネット、光電話、光テレビの3つのサービスをeo光ブランドで関西一円に展開しているほか、全国をターゲットにモバイル事業「mineo(マイネオ)」および、法人ソリューション事業を展開している。

 収入面では、FTTHの回線数増加、eo電気における加入者数の増加や燃料費調整額の増加があったものの、収益認識に関する会計基準等の適用による影響や、モバイル事業の新プラン投入による料金改定などから、外部顧客への売上高は210,696百万円と、前連結会計年度に比べて8,699百万円の減収(△4.0%)となり、内部売上高を含めた売上高は279,369百万円と、前連結会計年度に比べて14,412百万円の減収(△4.9%)となった。

 支出面では、徹底したコスト削減に努めたことなどから、経常費用は減少した。

 この結果、セグメント利益は40,050百万円と、前連結会計年度に比べて1,356百万円の増益(+3.5%)となった。

 

[生活・ビジネスソリューション事業]

 不動産賃貸・分譲・管理、レジャーなどの総合不動産事業に加え、リース、コールセンター運営、人材派遣、メディカル・ヘルスケア、ホームセキュリティなど、お客さまの安心・快適・便利な生活やビジネスを実現するサービスを展開している。

 収入面では、不動産分野において、賃貸事業における物件売却や新型コロナウイルス感染症の影響による賃料収入の減少等があったものの、新規賃貸物件の取得により賃料収入が増えたことや、都市部を中心に住宅需要が堅調に推移したことにより住宅販売が増加したことから、外部顧客への売上高は149,410百万円と、前連結会計年度に比べて21,476百万円の増収(+16.8%)となり、内部売上高を含めた売上高は192,516百万円と、前連結会計年度に比べて16,325百万円の増収(+9.3%)となった。

 支出面では、コスト削減に努めたものの、住宅分譲事業における販売関連費用が増加したことなどから、経常費用は増加した。

 この結果、セグメント利益は19,658百万円と、前連結会計年度に比べて3,107百万円の増益(+18.8%)となった。

 

② 親会社株主に帰属する当期純利益

 税金等調整前当期純利益は、渇水準備引当金134百万円の取崩しがあったものの、送配電事業におけるインバランス収支調整額10,773百万円を特別損失に計上したことから125,316百万円となった。ここから法人税等合計と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引きした親会社株主に帰属する当期純利益は85,835百万円となり、前連結会計年度に比べて23,142百万円の減益(△21.2%)となった。

 

(3)財政状態

① 資産・負債の状況

 資産は、設備投資額が減価償却費を上回ったことなどから、前連結会計年度末に比べて580,675百万円増加(+7.2%)し、8,656,430百万円となった。

 負債は、設備投資や成長投資などに対応するために有利子負債が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べて600,675百万円増加(+9.5%)し、6,950,873百万円となった。

 

② 純資産の状況

 純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益(85,835百万円)を計上したものの、その他の包括利益累計額が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べて20,000百万円減少(△1.2%)し、1,705,557百万円となった。

 これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べて1.7%低下し、19.2%となった。

 また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末に比べて26円62銭減少し、1,859円50銭となった。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

① 資金調達

 当社グループは、電気事業等を行うための設備投資や債務償還などに必要な資金を可能な限り自己資金にて賄い、不足する資金については主に社債や借入金によって資金調達を行い、コマーシャル・ペーパー等により短期的な運転資金を調達することにより、流動性を確保している。

 

② キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローについては、売上債権が減少したことなどから、前連結会計年度に比べて収入が41,100百万円増加(+11.1%)し、410,315百万円の収入となった。

 投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出が減少したことなどから、前連結会計年度に比べて支出が128,124百万円減少(△19.4%)し、532,630百万円の支出となった。

 財務活動によるキャッシュ・フローについては、有利子負債の増加額が減少したことなどから、前連結会計年度に比べて収入が6,873百万円減少(△2.1%)し、318,769百万円の収入となった。

 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて199,225百万円増加(+68.4%)し、490,491百万円となった。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項なし。

 

 

5【研究開発活動】

 当社および連結子会社おける研究開発活動としては、中期経営計画の達成に向け、「安全・安定供給の確保のための研究開発」、「コスト削減・競争力の強化に資する研究開発」および「グループ全体の新たな成長につながる研究開発」を中心に取り組んでいる。

 それぞれの取組みについては次のとおりである。

 

 1.安全・安定供給の確保のための研究開発

 原子力安全、地震・津波対策、作業・公衆安全、放射性廃棄物処理、廃炉など事業継続のために必要な安全確保を主目的とした研究や、配電線の電圧変動対策や出力予測、需給想定など再生可能エネルギーの導入拡大やレジリエンス強化のための研究開発などに取り組んでいる。

 

 2.コスト削減・競争力の強化に資する研究開発

 発電効率向上や設備の寿命延伸、作業効率化などのコスト削減につながる研究や、ガスを含めた省エネ、エネルギー診断などのエネルギー事業に必要な商品・サービスに関する研究開発に取り組んでいる。

 

 3.グループ全体の新たな成長につながる研究開発

 保有技術の活用などによる事業領域の拡大に関する研究開発や、水素などゼロカーボンを見据えた研究開発、将来の成長の源となる基盤技術の探索・調査・開発に取り組んでいる。

 

 なお、当連結会計年度における当社および連結子会社の研究開発費の金額は、エネルギー事業について主として上記1~3の研究課題に関して8,060百万円、送配電事業について主として上記1~3の研究課題に関して2,629百万円、エネルギー事業、送配電事業以外の事業について主として上記2~3の研究課題に関して127百万円、合計で10,817百万円である。