【訂正内容】

第一部【証券情報】

第1【募集要項】

1【新規発行社債】

(訂正前)

未定

 

(訂正後)

本発行登録の発行予定額のうち、金(未定)円を社債総額とする関西電力株式会社第(未定)回無担保社債(特定社債間限定同順位特約付)(トランジションボンド)(以下「本社債」という。)(別称:関西電力トランジション・ボンド)を、下記の概要にて募集する予定です。

各社債の金額        :1億円

発行価格            :各社債の金額100円につき金100円

 

2【社債の引受け及び社債管理の委託】

(訂正前)

未定

 

(訂正後)

社債の引受け

本社債を取得させる際の引受金融商品取引業者は、次の者を予定しております。

引受人の氏名又は名称

住所

大和証券株式会社

東京都千代田区丸の内一丁目9番1号

野村證券株式会社

東京都中央区日本橋一丁目13番1号

三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社

東京都千代田区大手町一丁目9番2号

東海東京証券株式会社

愛知県名古屋市中村区名駅四丁目7番1号

みずほ証券株式会社

東京都千代田区大手町一丁目5番1号

SMBC日興証券株式会社

東京都千代田区丸の内三丁目3番1号

 

(注)各引受人の引受金額、引受けの条件については、利率の決定日に決定する予定です。

 

3【新規発行による手取金の使途】

(1)【新規発行による手取金の額】

(訂正前)

未定

 

(訂正後)

本社債の払込金額の総額(未定)円(発行諸費用の概算額は未定)

 

(2)【手取金の使途】

(訂正前)

設備資金、投融資資金、旧社債の償還資金及び借入金の返済資金に充当する予定であります。

 

(訂正後)

設備資金、投融資資金、旧社債の償還資金及び借入金の返済資金に充当する予定であります。

本社債の手取金については、原子力事業(新規制基準適合のための安全対策工事(再稼動への対応)、安全・安定運転の維持に必要な設備機器の点検・修理や、さらなる安全性の向上に向けた設備更新等)、ゼロカーボン火力事業(既設発電所の高効率化に向けた設備更新、ゼロカーボン燃料やCCUSの導入に向けた調査・研究開発・実証事業等)及び送配電事業(高経年化する送配電設備の更新、安定供給に向けた送配電網のレジリエンス強化や分散化、デジタル化をはじめとする送配電網の運用高度化等)に関する新規投資及びリファイナンスに充当する予定であります。

 

「第一部 証券情報」「第2 売出要項」の次に以下の内容を追加します。

 

【募集又は売出しに関する特別記載事項】

<本社債に関する情報>

トランジションボンドとしての適格性について

当社は、2022年3月に、「関西電力株式会社グリーンボンド・フレームワーク」を策定し、2024年3月に、ゼロカーボン社会に向けた取組みを一層推進していくため、「関西電力株式会社グリーン/トランジション・ファイナンス・フレームワーク」を策定しました。

また、2024年6月に、ゼロカーボンロードマップの改定および中期経営計画のアップデートの内容反映等を行うため、「関西電力株式会社グリーン/トランジション・ファイナンス・フレームワーク」を改定しました。(以下、改定後のフレームワークを「本フレームワーク」という。)

当社は、第三者評価機関である株式会社日本格付研究所(以下「JCR」という。)より、本フレームワークに関連する以下の原則等(以下「原則等」という。)への適格性に係る第三者意見を取得しています。

 

・グリーンボンド原則2021(注1)

・グリーンローン原則2023(注2)

・サステナビリティ・リンク・ボンド原則2023(注3)

・サステナビリティ・リンク・ローン原則2023(注4)

・グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン(2022年版)(注5)

・グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン(2022年版)(注6)

・クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック2023(注7)

・クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針(注8)

 

 なお、2024年3月フレームワークに係る第三者評価の取得に関し、経済産業省の「令和5年度温暖化対策促進事業費補助金(クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業)」(注9)の補助金交付対象となることについて、指定外部評価機関たるJCRは一般社団法人低炭素投資促進機構より交付決定通知を受領しています。

 

(注1)「グリーンボンド原則2021」とは、国際資本市場協会(以下「ICMA」という。)が事務局機能を担う民間団体であるグリーンボンド・ソーシャルボンド原則執行委員会(Green Bond Principles and Social Bond Principles Executive Committee)により策定されているグリーンボンドの発行に係るガイドライン(以下「グリーンボンド原則」という。)です。

(注2)「グリーンローン原則2023」とは、ローン市場協会(LMA)、アジア太平洋地域ローン市場協会(APLMA)及びローンシンジケーション&トレーディング協会(LSTA)(以下「LMA等」という。)により策定された環境分野に使途を限定する融資のガイドライン(以下「グリーンローン原則」という。)です。

(注3)「サステナビリティ・リンク・ボンド原則2023」とは、ICMAが2023年6月に公表したサステナビリティ・リンク・ボンドの商品設計、開示及びレポーティング等に係るガイドライン(以下「サステナビリティ・リンク・ボンド原則」という。)です。

(注4)「サステナビリティ・リンク・ローン原則2023」とは、LMA等が2023年2月に公表したサステナビリティ・リンク・ローン等の商品設計、開示及びレポーティング等に係るガイドライン(以下「サステナビリティ・リンク・ローン原則」という。)です。

(注5)「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン(2022年版)」とは、環境省が2017年3月に策定・公表し、2022年7月に改訂したガイドラインをいいます。同ガイドラインでは、グリーンボンド原則及びサステナビリティ・リンク・ボンド原則との整合性に配慮しつつ、我が国におけるグリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンド市場の健全かつ適切な拡大を図ることを目的として、具体的対応の例や我が国の特性に則した解釈が示されています。

(注6)「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン(2022年版)」とは、環境省が2020年3月に策定・公表し、2022年7月に改訂したガイドラインをいいます。同ガイドラインでは、グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンについてグリーンローン原則及びサステナビリティ・リンク・ローン原則との整合性に配慮しつつ、グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンを国内でさらに普及させることを目的として、具体的対応の例や我が国の特性に則した解釈が示されています。

(注7)「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック2023」とは、ICMAが事務局機能を担う民間団体であるグリーンボンド・ソーシャルボンド原則執行委員会(Green Bond Principles and Social Bond Principles Executive Committee)の主導の下でクライメート・トランジション・ファイナンス・ワーキング・グループにより策定され、特に排出削減困難なセクターにおいて、トランジションに向けた資金調達を目的とした資金使途を特定したファイナンスまたはサステナビリティ・リンク・ファイナンスに際して、その位置付けを信頼性のあるものとするために推奨される、発行体レベルでの開示要素を明確化することを目的としたハンドブック(以下「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」という。)です。

(注8)「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」とは、金融庁・経済産業省・環境省において、クライメート・トランジション・ファイナンスを普及させ、より多くの資金の導入による国内における2050年カーボンニュートラルの実現とパリ協定の実現への貢献を目的として策定されたものです。

(注9)「令和5年度温暖化対策促進事業費補助金(クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業)」とは、トランジション・ファイナンス等を実施しようとする企業や地方公共団体等に対して第三者評価を行う事業に要する費用について、指定外部評価機関に対して補助金を交付する事業です。対象となるトランジション・ファイナンス等の要件は、その調達時点において、以下の①または②に該当するもので、外部有識者による審査委員会(非公開)にて以下(ア)~(ウ)のような基本指針等の適合性の観点から総合的に審査、採択されたものとなります。

①資金使途特定型:ICMAハンドブック、基本指針で示されるトランジションの4要素を満たし、グリーンボンド原則、ソーシャルボンド原則またはガイドライン、グリーンローンガイドラインに整合したボンドまたはローン。ただし、資金使途がガイドラインやグリーンローンガイドラインに具体的な例として例示されているものなどのいわゆるグリーンプロジェクトに当たらないものも含む。

②資金使途不特定型:ICMAハンドブック、基本指針で示されるトランジションの4要素を満たし、サステナビリティ・リンク・ボンド原則、サステナビリティ・リンク・ローン原則またはガイドライン、グリーンローンガイドラインに整合したボンドまたはローン。

(ア)基本指針に定められた「べきである」だけでなく「望ましい」「可能である/考えられる」までも可能な範囲で対応されていること

(イ)戦略及び短期・中期・長期の目標が科学的根拠に基づいていること

(ウ)我が国への裨益があること

 

 

グリーン/トランジション・ファイナンス・フレームワーク

1.クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針等に基づく開示事項

(1)クライメート・トランジション戦略とガバナンス

・「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」

 当社は、2021年3月に、新たな経営理念として「関西電力グループ経営理念 Purpose & Values」を策定しました。本経営理念は、当社グループの最上位概念として、お客さまや社会にとっての「『あたりまえ』を守り、創る Serving and Shaping the Vital Platform for a Sustainable Society」という存在意義のもと、「『公正 Fairness』『誠実 Integrity』『共感 Inclusion』『挑戦 Innovation』」という価値観を大切にして事業活動を行い、持続可能な社会を実現することを掲げています。


図 関西電力グループ 経営理念(Purpose & Values)・ブランドステートメント(power with heart)

 

・関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)

 当社は2021年3月に、新たな経営理念のもと変化する事業環境にも対応し、持続的成長を遂げていくため、5ヵ年の実行計画として、「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」を策定しました。中期経営計画において当社グループは、ゼロカーボン発電量国内No.1であり続け、国内発電事業に伴うCO2排出量を2025年度に半減(2013年度比)するという具体的な目標を定め、地球温暖化対策に取り組んでいます。また、エネルギー、送配電、情報通信、生活・ビジネスソリューションを、改めて中核事業に据え、その周辺に、その重なり合うところに、新たな価値を創出し続けます。

 

・関西電力グループ「ゼロカーボンビジョン2050」

 当社グループは2021年に経営理念の「存在意義」を具体化したものとして「関西電力グループ『ゼロカーボンビジョン2050』」を策定しました。当社グループは、持続可能な社会の実現に向け「ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニー」として、安全確保を前提に、安定供給を果たすべくエネルギー自給率向上に努めるとともに、地球温暖化を防止するため、発電事業をはじめとする事業活動に伴うCO2排出を2050年までに全体としてゼロといたします。さらに、お客さまや社会のゼロカーボン達成に向けて当社グループのリソースを結集して取り組みます。取組みを進める上では、お客さまや、ビジネスパートナー、国や自治体、研究機関等と積極的に連携いたします。

 また、当社は「ゼロカーボンビジョン2050」の実現に向けて、社長を委員長とする「ゼロカーボン委員会」を設置しました。ゼロカーボン委員会では、「ゼロカーボンロードマップ」を策定し、ゼロカーボンの実現に向けた取組み状況の共有や計画の具体化を行い、気候変動への対応を推進しています。

 

・「ゼロカーボンビジョン2050」取組みの3つの柱

①デマンドサイドのゼロカーボン化

 デマンドサイドの役割が拡大していく中で、ゼロカーボンソリューションプロバイダーとして、全ての部門において、お客さまのゼロカーボン化を実現する最適なソリューションを提案・提供します。

 

②サプライサイドのゼロカーボン化

 安全確保を前提に、全ての電気をゼロカーボン化し、エネルギー自給率向上による安定供給や経済性を同時に達成できる電源の最適な組合せの実現を目指します。

 分散型エネルギーリソースの活用やレジリエンスの強化等、多様化する社会ニーズも踏まえて再エネを最大限導入・主力電源化し、それを可能にする送配電系統の高度化、出力安定性に優れエネルギー密度が高い原子力エネルギーの安全最優先を前提とした最大限活用、再エネ大量導入に必要な調整力等に優れた火力のゼロカーボン化に取り組みます。さらに、国際的なゼロカーボン化に貢献します。

 

③水素社会への挑戦

 水素はゼロカーボン社会の実現のために必要不可欠なエネルギーであることから、水素社会の実現に大きな役割を果たせるよう、非化石エネルギーを活用したゼロカーボン水素の製造・輸送・供給、発電用燃料としての使用に挑戦します。


図 ゼロカーボンビジョン2050 エネルギーシステム

 

・関西電力グループ ゼロカーボンロードマップ

 2022年3月に、当社グループは、「関西電力グループ ゼロカーボンロードマップ」を策定しました。「ゼロカーボンロードマップ」は、「関西電力グループ 『ゼロカーボンビジョン2050』」の実現に向けた道筋を定めたものです。取組みを着実に進捗させるべく、2030年度を中間地点と位置づけ、その時点で達成すべき削減目標を掲げています。当社グループは、あらゆるステークホルダーの皆さまと力を合わせて社会全体のゼロカーボン化に向けた取組みを進めてまいります。

 なお、当社は、2024年4月、ゼロカーボン化に向けた取組みをさらに加速するため、「ゼロカーボンロードマップ」を改定しました。「ゼロカーボンロードマップ」策定以降、取組みは順調に進捗しており、「2025年度時点で発電によるCO2排出量半減」という目標は2年前倒しで達成見込みです。これらの取組みの進捗や世界的な脱炭素化の潮流の高まりを踏まえ、2030年度におけるサプライチェーン全体の温室効果ガス削減目標を含むチャレンジングな目標を新たに設定しました。

 


図 ゼロカーボンロードマップ ロードマップの全体像


図 2030年度に向けたこれまでの目標と実績および新たな目標

 

・気候変動および移行戦略におけるガバナンス

 当社グループは、気候変動問題を経営上の重要課題として認識し、以下の会議体にて評価・管理し、必要に応じて、各業務執行部門に対して、助言・指導を行っています。

 

 <取締役会>

各会議体での評価・管理結果について、適宜付議・報告され、グループ全体の計画・方針に反映されています。

 <サステナビリティ推進会議>

社長を議長とし、気候変動に関する事項(戦略・マテリアリティ・リスク・機会等)を含む当社グループ全体のサステナビリティに関する総合的方策の策定や、実践状況の確認を行っています。

 <内部統制部会>

当社グループの事業活動に伴うリスクを適切なレベルに管理し、当社グループの持続的な成長を実現するため、「内部統制部会」を設置しています。同部会では、内部統制システムの整備・運用状況の評価や、改善に係る総合的方策の検討、また、不備事項の改善指示および改善状況の確認・支援を行っています。

 <ゼロカーボン委員会>

社長を委員長とし、「関西電力グループ『ゼロカーボンビジョン2050』の実現に向けて、「ゼロカーボンロードマップ」を策定し、ゼロカーボンの実現に向けた取組みの状況の共有や計画の具体化を行い、気候変動への対応を推進しています。

 

(2)ビジネスモデルにおける環境面のマテリアリティ(重要度)

・マテリアリティ

 当社グループが持続的な成長をとげるとともに、SDGs等のグローバルな社会課題の解決を通じて社会の持続的な発展に貢献することを目的とし、中期経営計画(2021-2025)の策定に合わせて10個のマテリアリティ(重要課題)を特定しており、その中で「ゼロカーボンに向けた取組み推進」を掲げています。

 

E

S

G

新たな価値の提供による

収益力の強化

8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
12. つくる責任 つかう責任

 

E

ゼロカーボンに向けた取組み推進

7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに

12. つくる責任 つかう責任

13. 気候変動に具体的な対策を

 

S

安全最優先でのレジリエントな

事業基盤の強化

7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに

9. 産業と技術革新の基盤をつくろう

11. 住み続けられるまちづくりを

 

デジタル技術の活用による事業の

変革と情報セキュリティ対策の強化

8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう

 

事業エリアにおける信頼獲得と

地域活性化への貢献

11. 住み続けられるまちづくりを

 

ダイバーシティの推進と安全で

働きやすい職場環境の構築

5. ジェンダー平等を実現しよう
8. 働きがいも経済成長も

 

サプライチェーンにおける

適切なリスク管理

8. 働きがいも経済成長も

12. つくる責任 つかう責任

16. 平和と公正をすべての人に

 

人財育成・確保の強化

8. 働きがいも経済成長も

 

ステークホルダーとの

双方向コミュニケーションの深化

12. つくる責任 つかう責任

 

G

 

ガバナンスの確立と

コンプライアンスの徹底

16. 平和と公正をすべての人に

 

 

 


図 関西電力 マテリアリティの特定プロセス

 

・シナリオ分析

 当社は、2019年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同署名を行いました。

 当社グループは、気候変動に関するリスク・機会を分析するにあたって、「気候変動の将来予測」と「当社グループへの影響度」の観点でシナリオドライバーを設定しました。

 「気候変動の将来予測」では、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に係る政府間パネル(IPCC)等を踏まえ、2050年にカーボンニュートラルを達成する「1.5℃シナリオ」とGHG排出を一定程度抑制した「2℃シナリオ」を選定しました。

 「当社グループへの影響度」では、当社グループへの影響度が大きいと特定した「原子力の稼動状況」と「火力のゼロカーボン技術の導入」を選定しました。

 上記シナリオドライバーを前提に、気候変動に関するリスク・機会について、以下の通りシナリオを設定し、分析を行っています。

 


図 関西電力 2050年に向けたシナリオ

 

 1.5℃シナリオにおいて、電力需要は、原子力の稼動状況や火力のゼロカーボン技術の導入度合いにかかわらず、2021年と比べて、約6割増加する結果となりました。需要側では、カーボンニュートラルを達成するために、省エネの進展および電化率の向上(55%~58%)が必要な結果となりました。供給側では、カーボンニュートラルを達成するため、原子力の稼動状況や火力のゼロカーボン技術の導入度合いに応じて、再エネの導入量が大きく変動する結果となりました。

 2℃シナリオでは、電力需要は、2021年と比べて、約1割増加する結果となりました。需要側では、1.5℃シナリオと比較しGHG排出制約が厳しくないため、電化率は46%程度と、1.5℃シナリオと比較すると緩やかに上昇する結果となりました。供給側では、1.5℃シナリオと比較しGHG排出制約が厳しくないものの、火力のゼロカーボン技術の導入遅延に伴い、火力電源が減少するため、再エネ導入の拡大が必要な結果となりました。

 このように、1.5℃シナリオは2℃シナリオと比べて、シナリオ達成のために、より強力な施策の実施とイノベーションを必要とするシナリオだと考えています。

 

(3)科学的根拠のあるクライメート・トランジション戦略(目標と経路を含む)

 当社グループは、「関西電力グループ『ゼロカーボンビジョン2050』」および、それを実現するための道筋を定めた「関西電力グループ ゼロカーボンロードマップ」で示しているとおり、発電事業をはじめとする事業活動に伴うCO2排出を2050年までに全体としてゼロとします。

 「クライメート・トランジション戦略とガバナンス」における各種取組みは、2030年CO2排出量46%削減を定めた国のエネルギー基本計画および我が国の電力事業にかかる地域性・業種特性を考慮して策定された分野別ロードマップ(電力)と整合しています。これらの計画およびロードマップの取組みは、パリ協定に基づく温室効果ガス排出削減目標等と整合するものであり、我が国の2050年カーボンニュートラルおよびパリ協定の目標の実現に必要な削減目標とそのための政策を踏まえた、科学的根拠を有する内容です。

 

(4)実施の透明性

 「関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)」の取組みの柱の一つである「ゼロカーボンへの挑戦(EX: Energy Transformation)」については、2021-2025年度の累計で1兆500億円の投資により「ゼロカーボンビジョン2050」の実現に向けた取組みを推進します。

 


図 関西電力グループ中期経営計画(2021-2025)のアップデート キャッシュ配分

 


図 関西電力グループ中期経営計画(2021-2025) 取組みの柱

 

 

2.グリーンボンド原則等における4要素への適合(資金使途を特定する場合のフレームワーク

(1)調達資金の使途

 グリーン/トランジション・ファイナンスで調達された資金は、以下の適格事業への新規投資およびリファイナンスに充当される予定です。リファイナンスについては、ファイナンスの実行日から遡って36ヶ月以内に運転開始、または資金充当がされた事業を対象事業とします

 

[グリーン/トランジション適格事業]

ゼロカーボン

ロードマップ項目

適格事業

資金使途

 

関西電力グループ自ら取り組むこと

再生可能

エネルギー

   水力、風力、太陽光、地熱、バイオマス発電事業の開発、建設、運営、改修(*)

 

原子力

   さらなる安全性の向上、運用高度化、安全・安定運転の継続、再稼動

   新増設・リプレース(次世代軽水炉・SMR・高温ガス炉等)

   水素製造調査・研究開発・実証事業・設備投資

 

ゼロカーボン

火力

   火力ゼロカーボン燃料(水素・アンモニア・バイオマス)混焼に向けた調査・研究開発・実証事業・設備投資

   LNG火力の効率化

   CCS・CCUSの調査・研究開発・実証事業・設備投資

 

水素

   水素製造・輸送・供給・発電用燃料としての利用など、水素関連の調査や研究開発、実証事業、設備投資(*)

 

送配電

   ゼロカーボンの実現に向けた再エネ主力電源化やレジリエンス強化等のための設備増強・更新、分散型グリッドの適用(*)

   連系線・基幹系統の設備強化、系統運用の広域化、温室効果ガス低減機器の導入拡大(*)

   蓄電池やEVの活用に向けたVPP制御システムの構築、電力データ活用、再エネを最大限活用する高度な系統運用の実現に向けた調査・研究開発・実証事業・設備投資(*)

 

お客さまや

社会の皆さまと

取り組むこと

 

 

電化

 

 

   社有車の電動化(EV,PHV,FCV,HV含む、特殊車両等を除く)(*)

   EVパッケージサービス(ハイブリッドを除く)(*)

   EV充電サービス(ハイブリッドを除く)・EV船・空飛ぶクルマ(エアモビリティ)(*)

 

創エネ

(蓄エネ)

   デマンドサイドにおける太陽光発電設備(*)

   デマンドサイドにおける蓄電池(再エネで創った電気)(*)

 

 

お客さまや

社会の皆さまと

取り組むこと

ゼロカーボン

タウン

<グリーンビルディング>

    下記いずれかの基準を満たす物件の開発、建設・改修・取得(*)

-   集合住宅・戸建て住宅におけるZEH(ZEH-M)Oriented基準以上の省エネルギー性能を有する水準

-   オフィスビル等におけるZEB Oriented基準(物流施設においてはZEB Ready基準)以上の省エネルギー性能を有する水準

   下記のいずれかの認証を取得(予定含む)または更新(予定含む)する物件の開発、建設・改修・取得(*)

-   CASBEE建築(新築・既存・改修)、CASBEE不動産、自治体版CASBEEにおけるSランクもしくはAランク、B+ランク(自治体版CASBEEについては、工事完了日から3年以内のものに限る)BELS平成28年度(もしくは2016年度)基準における5つ星もしくは4つ星、3つ星

-    BELS令和6年度基準における以下のレベル
非住宅:レベル6、5、4
再生可能エネルギー設備がある住宅:レベル6、5、4、3
再生可能エネルギー設備がない住宅:レベル4、3

-    LEED認証における「Platinum」もしくは「Gold」、「Silver」(LEED BD+Cの場合はv4以降に限る)

-    DBJ Green Building認証における5つ星もしくは4つ星、3つ星

 

<データセンター>

・   設計PUE(Power Usage Effectiveness)が1.4未満であるデータセンターまたはグリーンデータセンターの建設・改修・取得(*)

 

*グリーン適格事業となる場合があり、グリーンファイナンスとして活用することがあります。

※1 資金使途には出融資の資金を含むことがあります。

※2 全ての適格事業について以下の環境面・社会面のリスクへの配慮について確認します。

・事業実施国・地方自治体にて求められる環境関連法令等の遵守と必要に応じた環境への影響調査の実施

・事業実施にあたっての地域住民への十分な説明の実施

※3 バイオマス発電事業については、日本政府が求める持続可能性基準に適合した燃料を使用したもので、ライフサイクルを通じてCO2の削減に貢献するものに限定していることを確認します。

※4 地熱発電事業については、ライフサイクルを通じてCO2の削減に貢献するものに限定していることを確認します。

※5 グリーンビルディングについて、関連制度等に変更が生じた場合には、第三者機関と協議のうえ、その変更にあわ せて資金使途の内容を見直します

 

(2)プロジェクトの評価および選定のプロセス

 グリーン/トランジション・ファイナンスで調達された資金は、当社の経理室財務グループが、「調達資金の使途」にて定める適格事業への適合状況に基づいて、対象候補を特定します。経理室財務グループ、グループ会社および社内関係部門で協議を行い、経理室財務グループにおいて適格プロジェクトを最終決定します。

 なお、対象となる事業は、当社が中長期的に目指す環境管理の方向性を定めた「関西電力グループ環境方針」に則ったものとします。

 

(3)調達資金の管理

 調達資金は、全額適格事業に充当します。その管理は当社の経理室財務グループが内部管理システムにて調達資金と実際の支出を四半期単位で追跡管理します。当社が調達した資金のうち実施主体が子会社である適格事業には、当社からプロジェクトの実施主体である子会社に貸し付ける形となります。

 また、調達資金が適格事業に全額充当されるまでの間の未充当資金については、現金または現金同等物にて管理します。

 

(4)レポーティング

 当社は、グリーン/トランジション・ファイナンスで調達された資金が全額充当されるまでの間、以下の項目のいずれかまたは全てにおいて、守秘義務の範囲内かつ合理的に対応可能な範囲内で、資金充当状況および環境改善効果を当社の統合報告書またはホームページ上にて年次で開示、もしくは貸し手に対して開示(ローンの場合のみ)します。

 なお、調達資金の全額が充当された後に重大な状況の変化が生じた場合は、適時に開示します。

 

<資金充当状況レポーティング>

・充当金額

・未充当金の残高

・調達資金のうちリファイナンスに充当された部分の概算額(または割合)

 

<インパクトレポーティング>

 インパクトレポーティングに際しては、下記に例示された内容のいずれかまたは全てを開示する予定ですが、資金充当対象とするプロジェクトに応じて変更することがあります。

 なお、環境改善効果については、可能な限り定量的な開示を目指すものの、プロジェクトの状況や性質等により定量的な開示が困難な場合、定性的な開示のみとすることがあります。

 

適格事業

事業概要

レポーティング内容/内容例

再生可能

エネルギー

 

   水力、風力、太陽光、地熱、バイオマス発電事業の開発、建設、運営、改修

・設備容量(MW)

・CO2排出削減量(t-CO2/年)

原子力

  さらなる安全性の向上、運用高度化、安全・安定運転の継続、再稼動

  新増設・リプレース(次世代軽水炉・SMR・高温ガス炉等)

  水素製造調査・研究開発・実証事業・設備投資

<設備投資の場合>

・設備容量(MW)

・CO2排出削減量(t-CO2/年)

・水素製造量(t/年)

<研究開発/実証事業の場合>

・研究開発および実証事業の目的・概要・進捗

ゼロカーボン

火力

 

 

 

 

 

・   火力ゼロカーボン燃料(水素・アンモニア・バイオマス)混焼に向けた調査・研究開発・実証事業・設備投資

・   LNG火力の効率化

・   CCS・CCUSの調査・研究開発・実証事業・設備投資

<研究開発/実証事業の場合>

・研究開発および実証事業の目的・概要・進捗

<設備投資費の場合>

・設備容量(MW)

・CO2排出削減量(t-CO2/年)

・混焼率

水素

・   水素製造・輸送・供給・発電用燃料としての利用など、水素関連の調査や研究開発、実証事業、設備投資

<研究開発/実証実験の場合>

・研究開発および実証事業の目的・概要・進捗・研究開発計画/実証実験の概要と進捗状況

・目指す効果について(想定利用目的、水素製造量の見込み等)

<設備投資の場合>
・水素製造量(t/年)

 

送配電

   ゼロカーボンの実現に向けた再エネ主力電源化やレジリエンス強化等のための設備増強・更新、分散型グリッドの適用

   連系線・基幹系統の設備強化、系統運用の広域化、温室効果ガス低減機器の導入拡大

   蓄電池やEVの活用に向けたVPP制御システムの構築、電力データ活用、再エネを最大限活用する高度な系統運用の実現に向けた調査・研究開発・実証事業・設備投資

・設備投資の概要

・研究開発および実証事業の目的・概要・進捗

・温室効果ガス低減機器の導入機器数

電化

   社有車の電動化(EV,PHV,FCV,HV含む、特殊車両等を除く)

   EVパッケージサービス(ハイブリッドを除く)

   EV充電サービス(ハイブリッドを除く)・EV船・空飛ぶクルマ(エアモビリティ)

・適格事業の概要

・CO2排出削減量(t-CO2/年)

・導入量/導入率

創エネ

(蓄エネ)

   デマンドサイドにおける太陽光発電設備

   デマンドサイドにおける蓄電池(再エネで創った電気)

・適格事業の概要

・CO2排出削減量(t-CO2/年)

・設備容量

ゼロカーボン

タウン

 

 

 

 

 

 

   省エネルギー性能を有する物件の開発、建設・改修・取得

   グリーンビルディング認証を取得する物件の開発、建設・改修・取得

・  設計PUE(Power Usage Effectiveness)が1.4未満であるデータセンターまたはグリーンデータセンターの建設・改修・取得

<グリーンビルディング>

・物件の名称

グリーンビルディング認証の種類およびランク(認証を取得する場合)

<データセンター>

・データセンターの概要

・設計PUE

・再生可能エネルギー電力使用量(kWh/年)