電力小売における厳しい競争が続くなか、平成32年度からの送配電部門の法的分離をはじめとする経営環境の変化に対応するため、平成30~32年度の3年間を見据えた中期的な取り組みを展開し、経営基盤の強化を図っていく。
[重点的に取り組む項目]
(1) 収支・財務基盤の強化
泊発電所の再稼働前においても安定して利益を生み出せるよう、「経営基盤強化推進委員会」のもと、収入拡大と効率化・コスト低減の両面を一層強力に推進していく。今後3ヵ年の利益については、平均で小売全面自由化後の実績(平成28~29年度平均)を上回る水準を目指す。
また、泊発電所の停止後に大きく毀損した財務基盤の強化を図る。
① 収入拡大に向けた取り組み
北海道内の電力小売においては、対面営業を強化するなど、契約を切り替えられたお客さまにも改めて当社を選択いただけるよう、グループの総力をあげて取り組んでいく。
ご家庭向けには、本年4月から新たに「エネとくMプラン」「エネとくシーズンプラス」を加え、競争力のある料金メニューを拡充した。あわせて、他業種との連携を含めたサービスについても充実を図る。
首都圏販売部を中心に北海道外での電力販売を強化しており、平成32年に運転を開始する福島天然ガス発電所の供給力も活用し、さらなる拡大を図る。
また、石狩湾新港発電所向けに調達するLNGを活用したガス供給事業を進めるとともに、お客さまのニーズに応じて電気とガスを中心とするトータルエネルギーソリューションサービスを提供する。
② 費用低減に向けた取り組み
ほくでんグループ一体となって抜本的な効率化・コスト低減を進め、競争力のある事業構造を実現する。また、適切なリスク管理を行い、設備の計画外停止などを抑制することにより、安定供給の確保と低コスト化の両立を図る。
(2) 泊発電所の早期再稼働と安全性向上
低廉な電気を安定してお届けするため、泊発電所の早期再稼働の実現に向け、新規制基準適合性審査において残る課題について原子力規制委員会の理解を得られるよう、引き続き総力をあげて取り組んでいく。
また、福島第一原子力発電所のような事故を決して起こさないとの強い決意のもと、原子力のリスクを一層低減させるため、「泊発電所安全性向上計画」を策定している。新規制基準への適合はもとより、「世界最高水準の安全性(エクセレンス)」を目指し、不断の努力を重ねるとともに、北海道民のみなさまに泊発電所の安全性について一層のご理解をいただけるよう努めていく。
[引き続き取り組む項目]
(3) 法的分離への対応
電気事業法の改正に基づき平成32年4月に予定されている送配電部門の法的分離(分社化)を見据え、本年4月「送配電カンパニー」を設置し、社内分社化を実施した。業務運営をとおして評価・検証を行っていく。
(4) 電源の競争力向上と安定供給の確保
当社初のLNG火力発電所である石狩湾新港発電所1号機については、平成31年2月の営業運転開始に向け、着実に工事を行っていく。これまで電力の安定供給に寄与してきた石炭火力発電所の奈井江発電所については、経年化が進んでいることなどから平成31年3月に休止する。泊発電所の早期再稼働とあわせて、将来にわたる競争力の高い電源構成の実現に取り組み、発電・販売部門が一体となった事業戦略を展開するなど収益力の向上を目指す。
また、これまで蓄積してきた電力設備全般にわたるデータや新たな知見を活用した設備保全を行うとともに、当社初の直流連系設備である新北海道本州間連系設備の建設工事を進め、安定供給を確保していく。
(5) 人材育成、環境保全、地域に根ざす企業としての活動
企業の原動力となる人材の育成に向け、世代交代が進むなかでの技術・技能の継承を進め、加えて人材の多様化などにも取り組んでいく。引き続き女性のさらなる活躍を進めるとともに、「働き方改革」により生産性向上を実現していく。
環境負荷の低減に向けては、全国の電気事業者からなる「電気事業低炭素社会協議会」の一員としてCO2排出削減目標の達成に取り組んでいる。また、地域に根ざした再生可能エネルギーのさらなる活用を図っていく。当社の電力量に占める再生可能エネルギー比率は、固定価格買取制度による受電分を含め25%程度(平成28年度実績)に達しているが、さらに、系統側蓄電池の設置や、地域間連系線を活用した東京電力パワーグリッド株式会社との実証試験による風力発電の導入拡大、水力発電所の出力増強、バイオマス発電事業への参画などを進めていく。
当社は、責任あるエネルギー供給の担い手として、引き続き北海道のみなさまの暮らしと経済を支える役割を果たしていく。また、北海道とともに歩むほくでんグループとして、さまざまな取り組みをとおして地域に貢献していく。
これらの環境・社会に関する取り組みに加え、コーポレートガバナンスについては、東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨に則り、さらなる充実を図る。
以上の取り組みを進め、経営理念である「人間尊重」「地域への寄与」「効率的経営」のもと、「ほくでんグル ープが目指す企業像」を全従業員が共有し、持続的な企業価値の向上を図る。
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<ほくでんグループが目指す企業像> ・「ともに輝く明日のために。Light up your future.」をコーポレート・スローガンに掲げ、責任あるエ ネルギー供給の担い手としての役割を全うすることで、地域の持続的な発展を支えていきます。 ・総合エネルギー企業として、さらなる成長と発展を遂げるために、新たな視点を取り込みながら、果敢 にチャレンジしていきます。 ・スピード感や柔軟性のある事業運営を進め、事業基盤をゆるぎないものとし、ステークホルダーのみな さまのご期待に応えていきます。
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なお、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものである。
ほくでんグループの業績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがある。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月28日)現在において判断したものである。
ほくでんグループでは、これらのリスクを認識した上で、発現の回避や発現した場合の対応に努めていく。
(1) 原子力発電の状況
当社は、泊発電所の安全確保を経営の最重要課題と位置づけ、社長のトップマネジメントのもと、「安全性向上計画」に基づき、安全性のより一層の向上に取り組んでいる。具体的には、原子力発電所の新規制基準への適合はもとよりさらなる安全性・信頼性向上に向けた安全対策工事や、重大事故などを想定した原子力防災訓練の実施など、安全対策の多様化や重大事故等対応体制の強化・充実に取り組んでいる。また、平成25年7月の新規制基準の施行を受け、原子炉設置変更許可申請などを提出し、適合性審査への対応に取り組んでおり、「発電所敷地内断層の活動性評価」「積丹半島北西沖に仮定した活断層による地震動評価」「地震による防潮堤地盤の液状化の影響評価」「津波により防波堤が損傷した場合の発電所設備への影響評価」などへの対応を進めている。
しかしながら、今後の審査の状況などによって泊発電所の停止がさらに長期化し燃料費の増大が続く場合などには、業績に影響が及ぶ可能性がある。
(2) 設備障害
発電設備や流通設備については、点検・保守の着実な実施などにより設備の信頼性維持に努めているが、自然災害や故障等により設備に障害が生じた場合には、その復旧のために費用が増加する可能性がある。
(3) 販売電力量の変動
他事業者との競争の進展や、景気の影響による経済活動・生産活動の低下、省エネルギーの進展、気温の影響などにより販売電力量が変動した場合には、業績に影響が及ぶ可能性がある。
(4) 電気事業を取り巻く制度の変更等
電力システム改革におけるさらなる競争活性化等に向けた市場・ルールの整備や発送電分離に関する詳細制度設計のほか、エネルギーミックスの実現に向けた施策の導入、地球温暖化に関する環境規制など、当社の事業に関わる制度の変更により、業績に影響が及ぶ可能性がある。
また、原子力発電や原子力バックエンドコストなどについて制度見直しや費用の変動などがあった場合、業績に影響が及ぶ可能性がある。
(5) 降雨降雪量の変動
年間の降雨降雪量により、豊水の場合は燃料費の低減要因、渇水の場合は燃料費の増加要因となることから、業績に影響が及ぶ可能性がある。
(6) 燃料価格の変動
燃料購入費用については、燃料価格および為替レートの変動により影響を受ける。そのため、バランスのとれた電源構成を目指すとともに、燃料購入における契約方法の多様化などによって価格変動のリスク分散に努めている。また、燃料価格の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」があるが、燃料価格の著しい変動などにより、業績に影響が及ぶ可能性がある。
(7) 金利の変動
ほくでんグループの有利子負債残高は、平成29年度末で1兆4,268億円であり、今後の市場金利の動向によっては、業績に影響が及ぶ可能性がある。
ただし、ほくでんグループの有利子負債残高の大部分は固定金利で調達していることなどから、業績への影響は限定的と考えられる。
(8) 電気事業以外の事業
電気事業以外の事業については、事業内容の事前評価、事業運営の適切な管理に努めているが、事業環境の悪化などにより、当初の見込みどおりの事業遂行が困難になる可能性がある。
(9) 情報の管理
ほくでんグループが保有するお客さま等に関する業務情報については、情報セキュリティの確保や社内ルールの整備、従業員教育の実施により厳正な管理に努めているが、情報流出により問題が発生した場合、業績に影響が及ぶ可能性がある。
① 経営成績
当連結会計年度の連結決算の売上高は、前連結会計年度に比べ302億73百万円(4.3%)増の7,330億50百万円となり、これに営業外収益を加えた経常収益は、299億4百万円(4.2%)増の7,352億79百万円となった。
一方、経常費用は、前連結会計年度に比べ230億86百万円(3.3%)増の7,158億58百万円となった。
以上により、経常利益は、前連結会計年度に比べ68億17百万円(54.1%)増の194億21百万円となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ77億56百万円(88.2%)増の165億49百万円となった。
セグメントの経営成績(内部取引消去後)は、次のとおりである。
[電気事業]
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ260億54百万円(3.9%)増の7,015億26百万円となった。これは、販売電力量の減少はあったが、燃料価格の上昇による燃料費調整制度の影響や再生可能エネルギーの固定価格買取制度の影響などによるものである。販売電力量は、他事業者への契約切り替えの影響などにより、前連結会計年度に比べ7.5%の減少となった。
一方、営業費用は、前連結会計年度に比べ198億28百万円(3.0%)増の6,718億31百万円となった。これは、経営全般にわたる徹底した効率化への継続的な取り組みのもと、火力発電所の定期検査基数の減少による修繕費の減少などはあったが、燃料価格の上昇や渇水による燃料費の増加に加え、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の影響などによるものである。
この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ62億25百万円(26.5%)増の296億94百万円となった。
[その他]
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ42億19百万円(15.5%)増の315億24百万円となった。これは、建設業の売上が増加したことなどによるものである。
一方、営業費用は、前連結会計年度に比べ41億61百万円(17.8%)増の274億92百万円となった。これは、建設業の売上原価が増加したことなどによるものである。
この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ57百万円(1.4%)増の40億31百万円となった。
当社及び連結子会社の業種は広範囲かつ多種多様であり、また、電気事業が事業の大半を占めることから、電気
事業の需給実績、販売実績及び資材の状況についてのみ記載している。
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種別 |
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当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前年同期比(%) |
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発受電電力量 |
自社 |
水力発電電力量 |
(百万kWh) |
3,279 |
85.3 |
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火力発電電力量 |
(百万kWh) |
21,029 |
102.2 |
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原子力発電電力量 |
(百万kWh) |
- |
- |
||
|
新エネルギー等発電電力量 |
(百万kWh) |
148 |
109.6 |
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融通・他社受電電力量 |
(百万kWh) |
6,822 △3,305 |
92.4 171.9 |
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|
揚水発電所の揚水用電力量 |
(百万kWh) |
△239 |
119.7 |
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合計 |
(百万kWh) |
27,734 |
93.0 |
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損失電力量等 |
(百万kWh) |
△2,928 |
97.5 |
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販売電力量 |
(百万kWh) |
24,806 |
92.5 |
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出水率(自流) |
(%) |
94.9 |
- |
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(注) 1 他社受電電力量には、連結子会社の北海道パワーエンジニアリング㈱及びほくでんエコエナジー㈱からの
受電電力量が含まれている。
2 融通・他社受電電力量の上段は受電電力量、下段は送電電力量を示す。
3 揚水発電所の揚水用電力量とは貯水池運営のための揚水用に使用する電力である。
4 販売電力量の中には、自社事業用電力量51百万kWhを含んでいる。
5 出水率は、自社の昭和61年度から平成27年度までの30ヶ年平均に対する比である。
販売電力量及び料金収入
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種別 |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前年同期比(%) |
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販売電力量 |
低圧 |
12,628 |
94.8 |
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高圧・特別高圧 |
12,178 |
90.3 |
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合計 |
24,806 |
92.5 |
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融通・他社販売 |
2,538 |
178.1 |
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料金収入 |
電灯料 |
273,725 |
99.3 |
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電力料 |
295,102 |
97.3 |
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|
電灯電力合計 |
568,828 |
98.3 |
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融通・他社販売 |
33,943 |
197.6 |
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(注) 上記料金収入には消費税等は含まれていない。
石炭、重油の状況
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品名 |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
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期首残高 |
受入量 |
前年同期比(%) |
払出量 |
前年同期比(%) |
期末残高 |
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石炭(t) |
756,276 |
5,319,798 |
109.8 |
5,344,046 |
105.4 |
732,028 |
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重油(kℓ) |
212,400 |
1,410,968 |
101.6 |
1,389,972 |
95.1 |
233,396 |
(注)本表には、当社の主な使用燃料を記載している。
[資産]
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ863億69百万円増の1兆9,159億8百万円となった。これは、減価償却による電気事業固定資産の減少はあったが、石狩湾新港発電所1号機新設工事などの固定資産仮勘定の増加や現金及び預金の増加などによるものである。
[負債]
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ734億円増の1兆7,029億17百万円となった。これは、有利子負債の増加などによるものである。
[純資産]
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ129億68百万円増の2,129億91百万円となった。これは、配当金の支払いなどはあったが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などによるものである。
以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末の10.3%から0.2ポイント増加し、10.5%となった。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ280億59百万円増の1,160億
87百万円となった。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ399億73百万円増の
1,070億54百万円の収入となった。これは、税金等調整前当期純利益が増加したことや、消費税の支払いが
減少したことなどによるものである。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ1億38百万円増の
1,453億55百万円の支出となった。これは、工事負担金等受入による収入の増加はあったが、固定資産の取
得による支出が増加したことなどによるものである。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ90億2百万円増の663億
60百万円の収入となった。これは、有利子負債の増加などによるものである。
(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ほくでんグループの資金需要は、主に電気事業に係る設備投資や債務償還に必要な資金であり、自己資金のほか、社債の発行及び金融機関からの借入により調達を行っている。また、短期的な資金需要にはコマーシャル・ペーパーを活用している。
資金調達にあたっては、月次での資金繰計画に基づく適切な資金管理を行っていることに加え、当座貸越契約やコミットメントライン契約により充分な流動性を確保している。
該当事項なし
当連結会計年度における研究開発費の総額は23億48百万円であり、このうち電気事業は23億45百万円である。
ほくでんグループにおける電気事業に係る研究開発は総合研究所が中心となって推進しており、経営計画等に基づいた研究開発を重点的に実施している。当連結会計年度における主な研究開発は次のとおりである。
(1)電力の安定供給と効率性を両立するための研究開発
平成31年2月に運転開始を予定している石狩湾新港発電所など新型設備の導入を見据えた保全技術の確立やコスト低減および長時間の供給支障の早期復旧のための保全・運用技術の高度化と自然災害復旧支援などに必要な技術課題に資する研究を進めている。
地域の資源である再生可能エネルギーについて、国や地域と一体となって推進している各種の実証事業を着実に進めるとともに、導入拡大に資する新技術の調査・研究を進めている。
(2)新たな経営環境に対応するための研究開発
電力小売における競争が進展するなかにおいても、お客さまに当社を選択していただけるよう、サービスの向上、省エネルギー、快適なくらしなどの実現に向けた研究開発に取り組んでいる。
電気事業を取り巻く将来の環境変化を想定し、今から取り組む必要がある技術の調査や適用検討を積極的に進めている。