第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社においては、電力の安定供給の確保に努めながら、営業活動の強化、「総合エネルギー企業」として多様なサービスの提供を通じた収入拡大、カイゼン活動等を通じた一層の生産性向上に取り組んできた。しかし、泊発電所の停止が長期化していることに加え、競争の激化などにより、厳しい経営環境が続いている。

2019年度の連結経常利益については、高圧検針日変更による影響や償却方法の変更などによる減価償却費の減少などはあったが、水力発電量の減少による燃料費の増加や、安定供給に万全を期すための設備経年化への対応などによる修繕費の増加に加え、法的分離や収入拡大のための基盤整備費用の支出などもあり、326億円となった。

 

本年4月に送配電部門を北海道電力ネットワーク株式会社として分社化し、大きな転換点を迎えるなか、今後の経営環境の変化に着実に対応していくため、「ほくでんグループ経営ビジョン2030」を取りまとめた。

ほくでんグループは、「人間尊重・地域への寄与・効率的経営」の経営理念のもと、ESG(環境・社会・ガバナンス)をこれまで以上に重視し、北海道の経済やお客さまの暮らしを支え、事業の持続的な成長と持続可能な社会の実現に努める。

 

 <「ほくでんグループ経営ビジョン2030」における主な経営目標>

 項目

2030年度までに目指す経営目標

連結経常利益

第Ⅰフェーズ(泊発電所の再稼働前)    :230億円以上/年
第Ⅱフェーズ(泊発電所の全基再稼働後):450億円以上/年

連結自己資本比率

15%以上を達成し、さらなる向上を目指す

 

 

[2020年度の取り組み事項]

 

(1) 経営基盤の強化

 ① 収入拡大に向けた取り組み

  北海道内の電力小売においては、新電力との競争など事業環境が厳しさを増すなか、お客さまに当社を選択いただけるよう引き続き積極的な営業活動を展開していく。

  ご家庭向けには、「エネとくポイントプラン」などの料金プランをおすすめするとともに、会員制Webサービス「ほくでんエネモール」や家族見守りサービス等の付加価値サービスのさらなる充実に取り組む。多様化するお客さまの要望にスピード感を持って応えるため、昨年9月に設立した北海道電力コクリエーション株式会社とともにさまざまな事業者とのアライアンスに取り組む。
  また、本年3月から開始した首都圏におけるご家庭向けの電力販売にも取り組んでいく。さらに、「スマート電化」をはじめとする高効率電化機器による省エネ・省CO2で快適な暮らしをお客さまに提案し、電力需要の拡大を図る。

  法人のお客さまには、お客さまのご使用状況に応じた料金プランの提案のほか、法人向けの電化提案、省エネ診断サービス等のソリューション営業を強化し、当社を選択いただけるよう取り組みをさらに進める。

 ガス供給事業については、タンクローリーによるLNG供給に加え、都市ガス事業への早期参入に向けた検討を進め、2030年度までに10万t以上/年の供給を目指す。また、エスコンフィールドHOKKAIDOなどにおいて、エネルギーの調達から運転・保守、最適エネルギー管理までを一括して提供するESP(エネルギー・サービス・プロバイダー)事業を展開するなど、「総合エネルギー企業」として多様なニーズに応え、「エネルギーのことならほくでん」とのお客さまの信頼を獲得していく。新たに道内外における再生可能エネルギー発電事業や、地域における課題解決にも取り組む。

 

 

 ② 費用低減に向けた取り組み

  北電グループ経営基盤強化推進委員会のもと、グループ一体となって資機材調達コストの低減や「カイゼン活動」の取り組みを拡大し、抜本的な効率化・コスト低減の取り組みをさらに加速させていくとともに、従業員の意識改革と一層の生産性向上を目指す。電源の競争力の確保に加え、CO2排出削減も見据えて、石狩湾新港発電所(LNG火力)2号機の建設や経年化の進んでいる火力発電所の廃止の検討などを進める。また、IoTなど新技術の活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みの推進などにより、設備保守の高度化・効率化や設備関連費用の低減につなげる。

 

(2) 泊発電所の早期再稼働と安全性向上

  当社は、泊発電所を供給の安定性や収支・財務、環境面などに寄与する重要な基幹電源と考え、安全の確保を大前提に早期再稼働の実現に向けて新規制基準適合性審査への対応を進めている。目下の最優先課題である敷地内断層の活動性評価については、昨年11月に泊発電所において行われた原子力規制委員会による現地調査及びそれ以降にいただいたコメントに対し、できるだけ早く審査会合等で説明していく。また、残る課題についても、原子力規制委員会の理解を得られるよう総力をあげて取り組んでいく。

  福島第一原子力発電所のような事故を決して起こさないとの強い決意のもと、原子力のリスクを一層低減させるため、「泊発電所安全性向上計画」を策定している。新規制基準への適合はもとより、「世界最高水準の安全性」を目指し、不断の努力を重ねるとともに、北海道のみなさまに泊発電所の安全性をご理解いただけるよう努めていく。

 

(3) 電力の安定供給確保に向けた取り組み

 当社においては、S+3E(安全性の確保を大前提に、エネルギーの安定供給、経済効率性、環境適合)の観点から、バランスの取れた電源構成の構築に取り組んでいく。本年4月に送配電部門が分社化した「北海道電力ネットワーク株式会社」は、今後も中立性、公平性を保ちながら北海道における電力の安定供給を担っていく。それぞれの役割をしっかりと果たし、お客さまのもとへ低廉で良質な電気を、安全かつ安定的に供給していく。

 また、平成30年北海道胆振東部地震後の北海道全域停電の教訓を忘れることなく、安定供給の確保とレジリエンス(災害等に対する回復力・復元力)の向上に向けた対策を着実に実施していく。

 

 (4) ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組み

 低炭素社会の実現に向けて、2030年度までにグループ発電部門からのCO2排出量を2013年度比で半減以上とすることを目指し、泊発電所の早期再稼働や再生可能エネルギー発電の拡大、LNG火力発電所の活用などを進める。再生可能エネルギーに関しては、2030年度までに30万kW以上の増加を目指し、メキシコや釧路・岩見沢における太陽光発電事業への参画を決定した。地域の林産資源を活用したバイオマス発電事業にも参画しており、昨年5月に下川町で発電所の運転を開始したほか、当別町においては当社が出資している北海道バイオマス株式会社が、新たな発電設備の建設を開始した。また、株式会社グリーンパワーインベストメントとの連携協定に基づく石狩湾における洋上風力発電事業などを進めている。
  経営環境が大きく変化するなかで、当社が変わらぬ使命を果たしていくための一番の原動力は人であると考え、「カイゼン活動」による業務効率化や、適正な労働時間管理、休暇取得推進を通じた「働き方改革」を進め、健康の保持・増進や従業員の働きがいの向上を図る。また、人材の多様化や女性活躍推進などを通じて、従業員の能力を最大限に発揮できる職場づくりを進める。

  また、「ほくでんグループの成長は北海道の発展とともにある」との認識に立ち、地域の課題の克服や経済の活性化に向けた「共創」の取り組みを進めていく。北海道エアポートグループの事業へ参画するほか、地方自治体、他企業、大学などとの連携によるオープンイノベーションを積極的に推進し、新技術・知見を活用した新たなビジネスにつなげていく。

 

 
 コンプライアンスのさらなる徹底を図るため、不断の取り組みを進め、信頼の醸成にも努める。「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨に則り、ステークホルダーのみなさまに適時・適切な情報開示を行うとともに、透明・公正かつ迅速果断な意思決定を支えるコーポレートガバナンスのさらなる充実を図る。
 
 新型コロナウイルス感染症の影響が拡大するなか、「電力」という重要な社会基盤を預る事業者として、道民のみなさまに安心して電気をお使いいただくため、感染防止に取り組むとともに体制を整備し、グループ一丸となって事業継続に万全を期していく。
 

  当社は以上の取り組みを進め、今後も持続的な企業価値の向上を図っていく。

  なお、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

 

2 【事業等のリスク】

ほくでんグループの業績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがある。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において判断したものである。

ほくでんグループでは、これらのリスクを認識した上で、発現の回避や発現した場合の対応に努めていく。

 

(1) 原子力発電の状況

 泊発電所の安全確保を経営の最重要課題と位置づけ、社長のトップマネジメントのもと、「安全性向上計画」に基づき、安全性のより一層の向上に取り組んでいる。具体的には、原子力発電所の新規制基準への適合はもとよりさらなる安全性・信頼性向上に向けた安全対策工事や、重大事故などを想定した原子力防災訓練の実施など、安全対策の多様化や重大事故等対応体制の強化・充実に取り組んでいる。また、2013年7月の新規制基準の施行を受け、原子炉設置変更許可申請などを提出し、適合性審査への対応に取り組んでおり、「発電所敷地内断層の活動性評価」「積丹半島北西沖に仮定した活断層による地震動評価」「地震による防潮堤地盤の液状化の影響評価」「津波により防波堤が損傷した場合の発電所設備への影響評価」などへの対応を進めている。 
 しかしながら、今後の審査の状況などによって泊発電所の停止がさらに長期化し燃料費の増大が続く場合などには、業績に影響が及ぶ可能性がある。

 

(2) 設備障害

 発電設備や流通設備については、点検・保守の着実な実施などにより設備の信頼性維持に努めているが、自然災害や故障等により設備に障害が生じた場合には、その復旧工事や発電所の停止に伴う他の発電所の焚き増しなどのために費用が増加する可能性がある。

 

(3) 販売電力量の変動

  他事業者との競争の進展や、景気の影響による経済活動・生産活動の低下、省エネルギーの進展、気温の影響などにより販売電力量が変動した場合には、業績に影響が及ぶ可能性がある。

 

(4) 電気事業を取り巻く制度の変更等

 さらなる競争活性化等に向けた市場・ルールの整備など、電気事業に関わる国の制度変更により、業績に影響が及ぶ可能性がある。原子力発電や原子力バックエンド事業などについて制度見直しや費用の変動などがあった場合にも、業績に影響が及ぶ可能性がある。 

 また、全国の電気事業者からなる「電気事業低炭素社会協議会」の一員としてCO排出原単位の低減に努め、2030年度に発電部門からのCO排出量の2013年度比半減以上(1,000万トン以上低減)を目指しているが、地球温暖化防止に関する環境規制などが導入された場合は、業績に影響が及ぶ可能性がある。

 

(5) 降雨降雪量の変動

 年間の降雨降雪量により、豊水の場合は燃料費の低減要因、渇水の場合は燃料費の増加要因となることから、業績に影響が及ぶ可能性がある。

 なお、「渇水準備引当金制度」により一定の調整が図られるため、業績への影響は軽減される。

 

(6) 燃料価格の変動

 燃料購入費用については、燃料価格および為替レートの変動により影響を受ける。そのため、バランスのとれた電源構成を目指すとともに、燃料購入における契約方法の多様化やデリバティブ取引の活用などによって価格変動リスクの分散・回避に努めている。また、燃料価格の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」があるが、燃料価格の著しい変動などにより、業績に影響が及ぶ可能性がある。

 

(7) 金利の変動

 ほくでんグループの有利子負債残高は、2019年度末で1兆4,169億円であり、今後の市場金利の動向によっては、業績に影響が及ぶ可能性がある。
 ただし、ほくでんグループの有利子負債残高の大部分は固定金利で調達していることなどから、業績への影響は限定的と考えられる。

 

 

(8) 電気事業以外の事業

 電気事業以外の事業については、事業内容の事前評価、事業運営の適切な管理に努めているが、事業環境の悪化などにより、当初の見込みどおりの事業遂行が困難になる可能性がある。

 

(9) 感染症の拡大

 電力の安定供給確保に向け、主に以下の新型コロナウイルス感染症への感染防止対策を実施しているが、感染拡大により業務遂行への支障が生じた場合は、業績に影響が及ぶ可能性がある。

・社内体制を整備し、感染防止対策や事業継続等に必要な指示・情報を適宜周知・発信

・電力供給上重要な施設において、感染者が発生した場合に備え、代替の直勤務編成や応援体制等を構築

・社内において、会議・出張の制限やテレワーク・時差出勤、執務スペースの分離、従業員の分散配置などを実施

・受付窓口において、仕切りや消毒用アルコールの設置など、感染防止対策を徹底

 また、経済活動・生産活動の低下により電力需要が減少した場合など、業績に様々な影響が及ぶ可能性がある。

 

(10) コンプライアンスの遵守

 「ほくでんグループCSR行動憲章」や「コンプライアンス行動指針」を定め、コンプライアンスの遵守を徹底しているが、法令違反や企業倫理に反する行為が発生した場合、社会的信用が低下し、業績に影響が及ぶ可能性がある。

 

(11) 情報の管理

 ほくでんグループが保有するお客さま等に関する業務情報については、情報セキュリティの確保や社内ルールの整備、従業員教育の実施により厳正な管理に努めているが、情報流出により問題が発生した場合、社会的信用が低下し、業績に影響が及ぶ可能性がある。

 

 なお、上記のリスクのうち、合理的に予見することが困難であるものについては、可能性の程度や時期、影響額を記載していない。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の分析

① 経営成績

 当連結会計年度の連結決算の売上高は、前連結会計年度に比べ37億70百万円(△0.5%)減の7,484億68百万円となり、これに営業外収益を加えた経常収益は、30億27百万円(△0.4%)減の7,515億92百万円となった。

 一方、経常費用は、前連結会計年度に比べ54億86百万円(△0.8%)減の7,189億51百万円となった。

 以上により、経常利益は、前連結会計年度に比べ24億58百万円(8.1%)増の326億40百万円となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加に加え、前連結会計年度は平成30年北海道胆振東部地震に伴う特別損失の計上もあったことなどから、前連結会計年度に比べ43億63百万円(19.5%)増の267億20百万円となった。

 

 セグメントの経営成績(内部取引消去後)は、次のとおりである。

 

 [電気事業]

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ69億72百万円(△1.0%)減の7,126億70百万円となった。これは、高圧検針日変更などによる小売販売電力量の増加はあったが、他社販売電力量の減少などによるものである。小売販売電力量は、産業用の需要減があったものの、お客さまニーズを捉えた営業活動の推進や高圧供給の一部契約における検針日変更の影響などにより高圧・特別高圧の販売電力量が増加したことから、前連結会計年度に比べ4.1%増と増加に転じた。

営業利益は、前連結会計年度に比べ4億28百万円(△1.1%)減の379億96百万円となった。これは、高圧検針日変更による影響や償却方法の変更などによる減価償却費の減少などはあったが、水力発電量の減少による燃料費の増加や、安定供給に万全を期すための設備経年化への対応などによる修繕費の増加に加え、法的分離や収入拡大のための基盤整備費用の支出などによるものである。 

 

 [その他]

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ32億1百万円(9.8%)増の357億98百万円となった。これは、建設業や電気通信事業の売上が増加したことなどによるものである。

営業利益は、前連結会計年度に比べ6億25百万円(16.5%)増の44億18百万円となった。これは、売上の増加に伴い建設業や電気通信事業の利益が増加したことなどによるものである。

 

 生産、受注及び販売の実績

   当社及び連結子会社の業種は広範囲かつ多種多様であり、また、電気事業が事業の大半を占めることから、電気

 事業の需給実績、販売実績及び資材の状況についてのみ記載している。

 

    a.需給実績

 

種別

 

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

発受電電力量

自社

水力発電電力量

(百万kWh)

3,277

80.3

火力発電電力量

(百万kWh)

18,020

94.4

原子力発電電力量

(百万kWh)

新エネルギー等発電電力量

(百万kWh)

128

88.8

(百万kWh)

21,425

91.9

他社

受電電力量

(百万kWh)

7,546

110.5

送電電力量

(百万kWh)

△2,818

65.4

(百万kWh)

4,728

187.7

揚水発電所の揚水用電力量

(百万kWh)

△244

75.0

         合計

(百万kWh)

25,909

101.6

損失電力量等

(百万kWh)

△2,208

80.9

小売販売電力量

(百万kWh)

23,701

104.1

出水率(自流)

(%)

88.7

 

 (注) 1 他社受電電力量には、連結子会社の北海道パワーエンジニアリング㈱及びほくでんエコエナジー㈱からの

          受電電力量が含まれている。

 2 揚水発電所の揚水用電力量とは貯水池運営のための揚水用に使用する電力である。

 3 小売販売電力量の中には、自社事業用電力量49百万kWhを含んでいる。

 4 出水率は、自社の1988年度から2017年度までの当該累計期間の30ヶ年平均に対する比である。

   

  b.販売実績

  販売電力量及び料金収入

 

種別

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

販売電力量
(百万kWh)

小売

低圧

電灯

9,064

95.6

電力

2,105

96.2

 計

11,169

95.7

高圧・特別高圧

12,532

112.9

   合計

23,701

104.1

地帯間・他社販売

2,461

78.7

料金収入
(百万円)

小売

電灯料

251,602

94.0

電力料

306,287

106.6

  合計

557,890

100.5

地帯間・他社販売

31,709

67.5

 

 (注) 上記料金収入には消費税等は含まれていない。

 

   c.資材の状況

  石炭、重油及びLNGの状況

 

品名

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

期首残高

受入量

前年同期比(%)

払出量

前年同期比(%)

期末残高

石炭(t)

692,114

4,367,448

83.5

4,372,761

82.9

686,801

重油(kℓ)

180,631

645,236

70.1

638,011

65.5

187,856

LNG(t)

34,770

375,262

306.3

377,947

430.7

32,085

 

 (注) 本表には、当社の主な使用燃料を記載している。

   

(2)財政状態の分析

 [資産]

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ40億78百万円増の1兆9,590億60百万円となった。これは、現金及び預金の減少などはあったが、核燃料が増加したことなどによるものである。

 [負債]

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ148億85百万円減の1兆7,116億79百万円となった。これは、有利子負債の増加などはあったが、未払債務の減少などによるものである。

 [純資産]

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ189億64百万円増の2,473億81百万円となった。これは、配当金の支払いなどはあったが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などによるものである。

 以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末の11.1%から0.9ポイント増加し、12.0%となった。

  

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ142億35百万円減の574億90百万円となった。

   

    [営業活動によるキャッシュ・フロー]

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ111億21百万円減の1,026  億86百万円の収入となった。これは、償却方法の変更に伴い減価償却費が減少したことなどによるものである。

 

      [投資活動によるキャッシュ・フロー]

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ1億86百万円減の1,267億45百万円の支出となった。これは、投融資による支出の増加などはあったが、工事負担金等受入による収入が増加したことなどによるものである。

 

    [財務活動によるキャッシュ・フロー]

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度(312億38百万円の支出)に比べ410億61百万円増の98億23百万円の収入となった。これは、有利子負債の増加などによるものである。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

ほくでんグループの資金需要は、主に電気事業に係る設備投資や債務償還に必要な資金であり、自己資金のほか、社債の発行及び金融機関からの借入により調達を行っている。また、短期的な資金需要にはコマーシャル・ペーパーを活用している。

資金調達にあたっては、月次での資金繰計画に基づく適切な資金管理を行っており、緊急の資金需要に対しては、現金及び現金同等物の保有に加え、当座貸越契約やコミットメントライン契約により充分な流動性を確保している。

 

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

ほくでんグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり採用する重要な会計方針については「第5 経理の状況」に記載してる。

ほくでんグループは、連結財務諸表を作成するにあたり、繰延税金資産の回収可能性、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、重要なものは以下のとおりである。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

繰延税金資産の回収可能性の判断にあたっては、原子力発電所の停止の影響や将来の販売電力量等を考慮して、将来年度の課税所得を見積り、回収可能額を計上している。

当該課税所得の見積りについては、現時点で利用可能な情報に基づき合理的に見積りを行っているが、予想し得ない要因や変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性の判断を見直す可能性がある。

 

なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」及び「第5 経理の状況 2財務諸表 (1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載している。

 

(6)経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

ほくでんグループは、2019年度は「連結ベースで東日本大震災前2ヵ年の実績である経常利益230億円/年を上回る水準を目指す」との経営目標を掲げ、営業活動の強化、「総合エネルギー企業」として多様なサービスの提供を通じた収入拡大、カイゼン活動などを通じた一層の生産性向上に取り組んだ。また、法的分離に向けた準備を進めるとともに、平成30年北海道胆振東部地震を踏まえたアクションプランを確実に実践し、災害時協定の充実化を行うなど安定供給確保・レジリエンス強化に取り組んだ。

2019年度の連結経常利益は、高圧検針日変更による影響や償却方法の変更などによる減価償却費の減少などはあったが、水力発電量の減少による燃料費の増加や、安定供給に万全を期すための設備経年化への対応などによる修繕費の増加に加え、法的分離や収入拡大のための基盤整備費用の支出などもあり、前年度に比べ24億円増加の326億円となった。また、連結自己資本比率は12.0%となった。

2030年度までに目指す経営目標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」へ記載している。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社は、2019年4月25日開催の取締役会において、2020年4月における送配電部門の法的分離に伴う分社化について、2020年4月1日に、当社が営む一般送配電事業及び離島における発電事業等を会社分割の方法によって「北海道電力送配電事業分割準備株式会社」に承継させることを決議し、2019年4月25日、承継会社との間で吸収分割契約を締結した(以下、この会社分割を「本件吸収分割」という。)。また、2019年6月26日開催の第95回定時株主総会において本件吸収分割に係る関連議案が承認可決されたとともに、2020年3月13日、一般送配電事業の分割について電気事業法に基づく経済産業大臣の認可を取得し、2020年4月1日、本件吸収分割の効力が発生した。

なお、本件吸収分割に伴い、本件吸収分割の効力発生日付で「北海道電力送配電事業分割準備株式会社」は、「北海道電力ネットワーク株式会社」に商号変更している。

 

(1) 本件吸収分割の目的

当社は、2015年6月に改正された電気事業法(2020年4月1日施行)に基づき、送配電事業部門を別会社化(以下、「法的分離」という。)する。

法的分離の実施にあたっては、送配電事業の中立性確保や安定供給の維持を大前提に、グループの総合力・効率性を発揮できる業務運営体制を構築する観点から、当社はコーポレート機能(グループにおける本社機能)及び発電・小売電気事業を保有する事業持株会社となり、送配電事業を行う子会社(当社の100%出資会社)を設置する。

送配電事業部門については、2018年4月の社内分社化により「送配電カンパニー」を設置し、法的分離を見据えた業務運営を実施しており、法的分離の実施によって送配電ネットワークの中立性を一層高めるとともに、引き続き、設備保全の適切な実施により電力の安定供給を確保しつつ、効率的な事業運営により低廉な託送料金の実現を図っていく。

発電事業部門及び小売電気事業部門については、法的分離後も当社が事業を運営し、経営資源を効率的に活用しつつ、発電事業と小売電気事業が一体となって競争力の確保・強化に取り組むことにより、両事業の利益拡大を図っていく。

当社は、こうした事業運営体制の構築を通じて、法的分離後も引き続き責任あるエネルギー供給の担い手としての役割を全うしつつ、グループ全体の企業価値の持続的な向上を目指していく。

 

(2) 本件吸収分割の要旨

① 本件吸収分割の日程

吸収分割契約承認取締役会(当社)                           2019年4月25日

吸収分割契約承認取締役決定(承継会社)                     2019年4月25日

吸収分割契約締結                                         2019年4月25日

吸収分割契約承認定時株主総会(当社)                       2019年6月26日

吸収分割契約承認臨時株主総会(承継会社)                   2019年6月26日

吸収分割効力発生日                                       2020年4月1日

② 本件吸収分割の方式

当社を分割会社とし、当社の100%子会社である北海道電力送配電事業分割準備株式会社を承継会社とする吸収分割である。

③ 本件吸収分割に係る割当ての内容

本件吸収分割に際し、承継会社は、普通株式1,215万200株を発行し、それらをすべて当社に対して割当て交付した。

④ 本件吸収分割に係る割当ての内容の算定根拠

承継会社は、当社の100%子会社であり、本件吸収分割により承継会社が発行する全株式を当社に割当て交付するため、当社と承継会社間で協議し、割当てる株式数を決定している。

⑤ 本件吸収分割により増減する資本金

当社の資本金に変更はない。

⑥ 承継会社が承継する権利義務

承継会社は、当社との間で締結した2019年4月25日付の吸収分割契約の定めに従い、当社が営む一般送配電事業、離島における発電事業及びこれらに附帯関連する事業に関して有する権利義務を効力発生日に承継した。

なお、本件吸収分割により承継会社が承継する債務については、免責的債務引受の方法により引き受けるものとする。

また、当社の既存の一般担保付社債に係る債務等については、承継会社は承継しない。

 

 

 (3) 分割した資産、負債の項目及び金額(2020年4月1日現在)

資産

負債

項目

金額

項目

金額

固定資産

645,719百万円

固定負債

21,222百万円

流動資産

26,439百万円

流動負債

43,388百万円

合計

672,158百万円

合計

64,611百万円

 

 

  (4) 本件吸収分割後の承継会社の状況(2020年4月1日現在)

 

承継会社

① 商号

北海道電力ネットワーク株式会社

(2020年4月1日付で、「北海道電力送配電事業分割準備株式会社」から商号変更)

② 所在地

札幌市中央区大通東1丁目2番地

③ 代表者の役職・氏名

代表取締役社長 藪下 裕己

④ 事業内容

一般送配電事業、離島における発電事業 等

⑤ 資本金

10,000百万円

⑥ 決算期

3月31日

 

 

5 【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発費の総額は2,336百万円であり、このうち電気事業は2,333百万円である。

 ほくでんグループにおける電気事業に係る研究開発は総合研究所が中心となって推進しており、経営計画等に基づいた研究開発を重点的に実施している。当連結会計年度における主な研究開発は次のとおりである。

 

 (1)新サービス・新事業モデル創造に資する取り組み

 ・新たな時代の安定供給に向けた事業モデルの構築のために、VPP(バーチャルパワープラント)モデルの検討、水素の利活用に係る調査、地域マイクログリッド構築支援などに取り組んでいる。

  ・販売活動強化を目的に、ホームIoT、EMS(エネルギーマネジメントシステム)の実用化研究に取り組み、新たな価値を備えたエネルギーサービスの展開を進めている。

 ・地域社会との協働・共創としてドローンやIoT技術を活用した新たな事業モデルを立案し、地域産業への貢献、付加価値の高いサービスの実現に向けて取り組んでいる。

 ・AI・ビッグデータ等のデジタル化技術動向の調査・研究に加え、データ蓄積・活用の基盤となる情報プラットフォームの設計・構築を進めている。

 

 (2)経営環境の変化に対応した収入拡大に資する研究

 ・需要拡大に向けた機器評価として、寒冷地に適した空調システムに関する実証研究に取り組み、環境負荷低減と快適性を備えた先進的な空調システムの技術動向調査、実態調査、ラボ試験を通じ、寒冷地に適した空調システムを提案している。

 

 (3)電力の安定供給と費用低減に向けた取り組み

 ・保守高度化・コストダウンを目的に、送配電設備においては簡易着雪検知装置の開発、ドローンによる送電線保守業務支援などに関する研究に取り組んでいる。一方、発電設備においては、火力設備への溶接補修適用、フライアッシュコンクリート利用拡大、取水路付着貝類流入低減対策などに関する研究に取り組んでいる。